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中ロ合同水上部隊が日本本土を取り囲んで航行中。西側へどんなメッセージを送ろうというのか。さらに同部隊の今後の進路へ関心が集まる。

  

計10隻の中国・ロシア海軍艦艇が日本本土沖合で合同パトロールを展開しており、日本列島沿いの航行は示威効果を狙ったものだ。

 

本日の防衛省発表では中国ロシア艦艇が本州南300マイル地点の須美寿島と鳥島の西方を航行中とある。両国艦艇は太平洋に向け津軽海峡を2021年10月18日に通過した。

 

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防衛省が公表した津軽海峡通過後の中国ロシア海軍艦艇の動向。

 

 

日本当局の説明では各艦は国際公海を一貫して航行している。津軽海峡もその一部で、同海峡は国際海峡の扱いだ。これは核兵器持ち込みを禁じた日本に対し米艦艇が核兵器を搭載したまま通過できるようにしたためと伝えられている。

 

中国人民解放軍海軍、ロシア海軍それぞれ5隻で今回の部隊が構成されている。中国は055型駆逐艦1、052D駆逐艦1、054A型フリゲート艦2、補給艦1を、ロシアはウダロイ級駆逐艦2、ストレグシチー級海防艦2、マーシャル・ネデリン級ミサイル追尾艦1を投入している。

 

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PLANの055型駆逐艦

 

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PLAN の052D型駆逐艦

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PLAN の054A型フリゲート艦

 

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PLANの補給艦

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ロシア海軍ウダロイ級駆逐艦

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ロシア海軍ステレグーシチー級海防艦

 

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ロシア海軍のマーシャル・ネデリン級ミサイル追跡艦

 

このうちマーシャル・ネデリン級はマーシャル・クリロフのようでソ連時代の宇宙開発支援用に建造され多が同時にミサイルテストのデータ収集にも投じらたが民生用に改装されたといわれてきた。同艦はロシア太平洋艦隊に編入されており、今年初めにはハワイ群島に異常なまで接近して演習に投入されていた。

 

「中ロ海軍艦艇が津軽海峡を同時通過したのは今回が初めてだ」 磯崎仁彦官房長官は報道陣に説明していた。「日本政府は重大な関心をもって中国ロシア海軍艦艇の日本周辺での動きを注視していく」

 

防衛省からは駆逐艦JSたかなみ、やまぎり、掃海艇いずしまが中ロ艦艇を追尾していると発表があり、P-3Cオライオン哨戒機も投入されている。本日、ロシアのKa-27ヘリコプター、中国のKa-28ヘリコプターが艦上発進するのを探知し、自衛隊が戦闘機をスクランブル発進させたとの発表も出ている。

 

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防衛省が公表したロシアKa-27(上)、中国Ka-28ヘリコプターの写真

 

今回の中国ロシア合同部隊は10月16日に閉幕した日本海での合同演習からそのまま移動しているもので、同演習にPLANは055型駆逐艦戦隊も投入した大規模なものとなった。米海軍では055型を巡洋艦としており、PLAN最新かつ最強の艦艇だ。垂直発射管100門で対空、対艦、対地攻撃ミサイルを運用する。

 

中国共産党の意見を伝える環球時報は10月19日記事で「共同任務部隊が日本を全周する、あるいは米国領に接近する可能性」に触れている。これと別のPLAN水上部隊に055型、052D型駆逐艦、補給艦、情報収集艦が加わり、アラスカ付近までこれまでにない航路を9月にとったことがあった。ロシア海軍も今年はじめにハワイにごく近い点で演習をしており、アラスカ付近でも活動を強めている。

USCG

2021年、アラスカに接近した中国海軍艦艇を米沿岸警備隊が監視した

 

中ロ海軍艦艇は東シナ海に向かうようで日本列島をかすめるように展開し、日本に本拠地を構える米第七艦隊にも中国、ロシアの共同作戦能力を示す強いメッセージとなりそうだ。中ロ両国は日本と領土をめぐり意見の対立がり、その他の地政学上の争点が多数ある。

 

また同部隊あるいは一部が東シナ海入り後に個別の動きを示す可能性もある。あるいは南方に針路を転じ台湾に向かう可能性もある。中国は台湾との緊張の度を高めている。台湾防空識別圏内に中国は軍用機多数を飛来させ台湾当局への威嚇を狙っている。また台湾付近で海軍演習も展開しメッセージを送っている。

 

台湾をめぐる地政学的対立が中国と米国の間で急拡大しており、その他の対立点も残ったままだ。米軍は中国を「忍び寄る脅威」ととらえ主要対立国とみており、太平洋での演習を同盟国友邦国交えて展開している。

 

先週も米英豪日の海軍艦艇、航空部隊が大規模な演習海洋パートナーシップ演習(MPX)をしたばかりだ。米海軍はニミッツ級空母USSカール・ヴィンソン、英海軍は空母HMSクイーン・エリザベス、海上自衛隊はJSかがを派遣した。このうち、かがとカール・ヴィンソンはマラバール演習にも参加し、インド・オーストラリア艦艇に加わっていた。

 

このうち、かがが各演習に加わった意義は大きい。というのは日本はこれまでいずも級を「ヘリコプター駆逐艦」と呼称してきたが、空母転用工事を2018年に公式発表していからだ。今月に入り、米海兵隊のF-35Bがいずも艦上で運用を試し、転用工事の第一段階の完了を示し、同艦の性能をあらためて意識させた。

 

中国を抑止しつつ太平洋の同盟友邦各国との連帯を示すことが米主導の各演習の目的とされている。そこには米政府の戦略政策目標を支える広義の目的もある。米、英、オーストラリアの新規防衛協力取り決めでオーストラリア海軍に原子力潜水艦部隊を整備するのが、この動きを如実に示している。三国間合意でさらに広範な防衛安全保障の協力関係の道が開いた。

 

北京も黙っているはずはなく、ロシアとの共同演習に走ったのは驚くべきことではない。両国は長距離爆撃機運用として日本や南朝鮮を周回する飛行を展開している。米ロ関係の冷え込みも北京クレムリン間の接近につながっている。

 

中ロ艦艇がどちらへ向かうにせよ、太平洋で米軍が同盟国友邦国と共同活動を続ければ、中ロ両国も合同海軍作戦を増やしそうだ。■

 

 

Armada Of 10 Chinese And Russian Warships Is Sailing Around Japan

 

The joint patrol first passed through a 12-mile-wide strait between Japan's main islands in an already significant show of force.

BY JOSEPH TREVITHICK OCTOBER 21, 2021

 


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