2016年3月27日日曜日

米陸軍が進めるヴィエトナム、カンボジア他での物資事前集積の動きと中国の関係



US Army Plans Stockpiles in Vietnam, Cambodia: Hello China

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on March 15, 2016 at 4:50 PM


Army photo米陸軍はこれと同様の野戦病院をカンボジアに造成する
HUNTSVILLE, ALA: 米陸軍は太平洋地区でベトナム、カンボジアに加え国名不詳の数か国で装備類を事前集積し、部隊の迅速展開に資する計画中だ。各集積地は中国が自分の影響圏とみなす地域内に位置する。
  1. 陸軍補給司令部のデニス・ヴァイア大将は各集積地には人道援助災害救難 (HADR)装備を配置するが、大型装甲車両は置かないと強調。ただし、ヴィエトナム国内に再度米陸軍装備が置かれると劇的な出来事になる。アメリカには42年前の撤収の記憶が最大だが、ヴィエトナムはその後中国と地上戦一回、海上衝突を数回中国と経験しており、北京政府は不快に感じるはずだ。
  2. 冷戦時の米国はロシア、中国を封じ込めるべく、大部隊を前方配備した恒久基地を各地の同盟国内に整備していた。今日ではこのような基地は政治的に国内外で受け入れにくくなっており、日本や韓国では地元感情の反発が多発気味だ。そこで米軍部隊の大半は国内基地に配備され、一時的に海外派遣されることが多い。
Army photoM2ブラッドレー戦闘装甲車両が韓国に向けて送られる
  1. しかし必要とあれば一時派遣が事実上の恒久的プレゼンスとなり、部隊を交代していく。旅団単位の戦闘部隊が韓国及び欧州でプレゼンスを示している。このようなローテーション派遣には大掛かりな兵站支援活動が必要となるが、必要な補給品装備が事前配備されれば派遣が容易になる。
  2. 大将は米陸軍協会冬季大会の席上で、太平洋関連の計画を明らかにし、同時にアフリカと南アフリカでも同様の構想があると述べた。各集積装備は「活動用セット」として低密度ミッションの多国籍演習や災害救助を念頭にしている。
  3. 「環太平洋では人道援助災害救助を念頭に置いた装備物資を配備し、台風その他自然災害に備える」とし、「米陸軍太平洋司令部は従来より迅速対応が可能となる」とヴァイアは述べた。「たとえばカンボジアに戦闘支援病院を設置することを検討中だ」 カンボジアは中国寄りとの世界からの受け止め方を払拭しようと必死になっている。
  4. 集積装備は現地条件を配慮し、水面の多い太平洋では小舟艇も配備されるだろう。ヴァイアは「軽装備」中心と述べた。
  5. 対照的に欧州ではM1エイブラムズ大型戦車200両その他装甲戦闘車量週数百両を備蓄する。これまでの欧州戦闘用備蓄は戦車87両、M2ブラッドレー歩兵戦闘車両138両、M109パラディン自走榴弾砲138両だった。2月に陸軍補給司令部は補給品5,000トンを欧州司令部宛に送っているが、第二次大戦後で最大規模の弾薬類補給になった。
  6. 太平洋での陸軍装備補給の規模は控えめだ、とりあえず今は。同時に太平洋で米軍が小規模の演習をこれまで継続実施していることに注意が必要だ。ここでは中国とも実施している。だが中国の近隣国が一層神経をとがらせる中、米軍装備の事前集積を受け入れる各国は政治的な意図を示すことになる。■

2016年3月26日土曜日

★速報>ロシアが北方領土にミサイル配備など軍備増強の動き



このニュースはさすがに北方領土問題に敏感なところを反映して各メディアも伝えているようですが、あらためてお知らせすることにします。文中のバルとはKh-35、バスティオンはP-800超音速ミサイルで、特に後者は要注意です。
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Russia To Deploy Missile Systems on Kuril Islands, Defense Minister Says

Agence France-Presse2:42 p.m. EDT March 25, 2016
MOSCOW — ロシアは極東クリル(千島)列島に沿岸防備用ミサイル装備を配備すると国防相セルゲイ・ショイグが25日述べた。千島列島南部は日本が領有を主張している。
  1. 「クリル列島の駐留部隊と軍事基地の強化が進行中だ。今年中にバル、バスティオンの二種類の沿岸防備用ミサイル装備に加え、新世代エレロン-3無人機を配備する」とショイグは国防省行事で明らかにした。
  2. ロシアはかねてから千島列島の軍事施設を強化しており、兵舎の建設も進んでいる。今年来年とロシアはクリル列島内に350棟を超える建築物を作るが、建設用地には日本が択捉と国後と呼ぶイトゥルップ、クナシルの二島を含む。
  3. ショイグは同会合で国防省の関心が「北極海クリル列島地帯の軍事施設整備」にあることを明らかにした。
  4. ロシア太平洋艦隊は来月から三か月にわたりクリル列島で海軍基地建設の可能性を探索する。
  5. 日本とロシアの二国間関係が厳しいのは千島列島のうち最南端の四島(日本では北方領土と呼称)の状況が理由だ。
  6. 岩だらけの辺境の各島に暮らすロシア人は合計19千名を数え、ソ連時代に第二次大戦末期に占領し占拠している。
  7. 日ロ両国は平和条約を締結しておらず、このため緊張関係により貿易上のつながりは数十年好転していない。■


★中国はRIMPAC参加は予定通りと主張


中国のレトリックに対抗することがなまじ簡単ではないことが報道官発言=中国政府見解からわかります。幼少時からさんざん訓練されているのでしょう。これに対し西側民主国家では付け刃の弁論訓練では簡単に対抗できません。

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China confirms participation in naval drill in Pacific

Source: XinhuaEditor: Yao Jianing
2016-03-24 20:240

BEIJING, March 24 (Xinhua) -- 中国はRIMPAC多国間海軍演習に自国海軍艦船を予定通り派遣すると確認した。
  1. 「中国は米国から公式に中国をRIMPAC-2016合同演習に招聘されており、中国は自国軍艦を同演習に参加させることを確認するものである」と中国外務省報道官華春瑩が定例記者会見で語った。「中米両国は密接に連絡し調整中だ」
  2. 同報道官の発言は米国防長官アシュ・カーターが22日に米国が中国の演習参加を「再検討している」と発言したのを受けてのこと。長官は「中国が自ら孤立化の道をすすんでおり、多数国が米国側についている」とも発言している。
  3. 開かれた、発展中の国家で隣国へ友好的な政策を維持する中国は友好国の数を増やしていると同報道官は発言。
  4. 「『孤立化』に関し、米側の発言で中国包囲網を作ろうという真の意図が露呈したのではないか。これは建設的でもなければ現実的でもない」
  5. 中米両国は多くの点で協力が可能と報道官は指摘した。「相互尊敬とウィンウィンの協力関係を中米両国が構築することが両国人民の利益につながり、アジア太平洋から世界規模の平和安定成長につながる」
  6. RIMPACは米国が主導して1971年にスタートした世界最大級の多国間海軍演習で、隔年開催で20か国以上が参加している。中国は2014年に初めて参加し、艦船4隻と乗組員1,100名を派遣している。■


中国がRIMPAC演習への招待を取り消される可能性


要は中国が南シナ海でしていることよりも中国の戦術運用データなど中国に参加させて米側が得られる情報がどれだけあるのか(米側の情報がどれだけ取られるのか)をはかりにかけた議論なのですね。これに対して中国も早速声明文を発表していますので別途ご紹介しましょう。
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Weighing How Much Intel US Gets: Hawaiian Lawmaker Calls To Bar China From RIMPAC

By COLIN CLARK on March 23, 2016 at 11:23 AM

RIMPAC logo
WASHINGTON: 南シナ海で人工島の建設など身勝手な行動をとる中国がRIMPAC演習に招かれなくなる事態が生まれるかもしれない。
  1. ハワイ州選出のマーク・タカイ下院議員が昨日の下院軍事委員会で下院版2017年度国防認定法案に中華人民共和国を各種海軍演習に参加させないものとするとの文言を盛り込もうとしているとアシュ・カーター国防長官に伝えた。RIMPACには42隻の海軍艦船が22か国から2012年に参加していた。
  2. 議会に中国の演習参加で気が重くなっているのは南シナ海での中国の行動や米国側の同盟国への扱いが原因だ。上院で有力な国防関連議員のジョン・マケインおよびジョン・リード各議員は中国参加に反対の意見を公式に残している。
  3. 以下はカーター長官が中国のRIMPAC参加を初めて確認した際に記者が報道した内容だ。
  4. 7月16日付上院軍事委員会委員長ジョン・マケイン議員宛書簡でカーター長官は長文で中国への非難を避けつつ、マケインおよびジャック・リード議員をなだめようとしている。この上院議員二名はカーター長官に5月に中国の演習参加に反対する旨の書簡を送っていた。カーター長官は上院軍事委員会有力議員に対し、中国は「わが方の対応が必要な行動を起こしており、同盟国協力国ともに憂慮すべき状況を起こしている」と述べている。
  5. だがRIMPACは友好国へのご褒美ではなく、各種兵装、通信手段、レーダー、運用技術の有効性を確認する場であり、戦術や手順の有効性を確認する機会になる。これはとてつもなく大きな情報収集の場だ。各国が最大限にこの機会に他国から情報を得つつ、自国から漏れる情報を最小にしようとする。上院のスタッフがいみじくも「複雑な状況」だと述べている。米国はひとことで拒絶するのではなく、「PLANが参加することの意義」を評価しつつ、「情報収集などほかのことには神経を使うべき」と述べている。
  6. 議員各位が国防総省や情報関連各機関に逃げ道を作るだけの粋さがあるのかこれから要注目だ。■

2016年3月25日金曜日

★ニコン開発のライフル照準器はすごい(らしい)



ニコン製品(米国人はナイコンと呼んでいるのでしょうか)をご愛用の方は多いと思いますが、こんな製品もあったんですね。要は電子制御で照準を距離と関係なくたえず正確に確保できるという機能のようですが、間違っていたらニコンの方ご訂正方お願いします。下写真のキャプションではライフル照準器は6種類あり、それぞれ距離固定機能がついているとのことです。
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Nikon’s New Scopes Feature Distance Locking Technology

POSTED BY: BRYANT JORDAN MARCH 17, 2016
The PROSTAFF 5 3.5-14x50, one of six new Nikon riflescopes with Distance Locking technology.T
he PROSTAFF 5 3.5-14x50, one of six new Nikon riflescopes with Distance Locking technology.

ニコンのスポーツオプティックスNikon Sport Opticsに新型ライフル照準が登場。第一焦点面に距離固定機能Distant Lock function が付いたことでズーム中も距離と縮尺の比率をそのまま維持できるようになった。

BDC距離固定機能で第一焦点面に写るものすべてを保持しながら、ニコン開発のスポットオンSpot On ・アプリケーションが拡大倍率を問わず対応すると同社は説明している。ライフル照準器の第一焦点面で照準線サイズがズームに応じて変わるためこれが可能となる。

ニコンのスポットオンにより射撃手は射撃条件や弾道情報をインプットし、ニコンBDC照準線で正確な照準を行うことが可能。これは射撃距離と関係ない。また正確な照準はBDC照準線でどの距離でも行うことが可能となる。

従来のニコンのライフル照準器では第二焦点面を使っていたと同社は説明。スポットオンを使うと照準を最大倍率で得られる。■



★F-35は2070年まで供用と決定



2070年に皆さんはおいくつになっていますか。むしろF-35をそこまで運用することの方がショックですが、機体を維持するためのインフラや投資を考えるとその計算が成り立つのでしょうかね。全事業費は120億ドルともいわれますが数字が大きすぎてよくわかりません。またこれから半世紀後のドル価値も予測不可能でしょう。後の世代につけをまわす不良債権にならなければいいのですが、皆さんはどうお考えでしょうか。今や日本も他人ごとではないのですよね。
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F-35 Will Fly Until 2070 — Six Years Longer Than Planned

Lara Seligman, Defense News7:34 p.m. EDT March 24, 2016

WASHINGTON — F-35共用打撃戦闘機の就役期間は2070年までとこれまでの想定より6年延長される。
  1. F-35共同開発室JPO室長のクリストファー・ボグデン中将が3月24日ペンタゴンで記者団に米空軍、海軍、海兵隊でF-35飛行時間を合計1.6百万時間増やすと発表した。このうち空軍の増加分は1.3百万と最多だ。空軍向けF-35Aが2070年まで飛行することになる。
  2. 延長で運用支援(O&S) 分450億ドルが2015年の見積もりに上乗せされ、これまで2ないし4パーセント減る見込みだったO&Sの節減効果が帳消しになる。延長しなかった場合にはライフサイクルでのO&S費用は2014年予測より220億ドル減っていたはずとボグデン中将は述べた。2014年から2015にかけてのO&S費用のは230億ドル増加し総額6,208億ドルと見積もられている。
  3. ペンタゴンがまとめた主要装備調達報告書Selected Acquisition Report, SARによればF-35調達の全期間コストは2014年予測の3,910億ドルが3,790億ドル(ただし報告書作成年のドル換算)に減るとしていた。
  4. SAR報告書は編集時点のドルで換算するのに対し、JPOは基準年の2012年ドル価格を使っている。
  5. 2014年度のSARとの比較では空軍向けF-35Aでは基準年ドル換算で一機当たり1.8百万ドル低下、海軍向けC型では1百万ドル下がっているとボグデンは述べ今後も増産効果と生産コスト削減で費用圧縮が続くとボグデンは述べた。
  6. SARによれば3,241億ドルだった機体関連費用が3,184億ドルに下がっており、プラット&ホイットニーのF135エンジン関連で9.5%の削減が実現し、670億ドルから606億ドルになった。
  7. SAR最新版では基準年換算でも研究開発テスト評価RDT&Eで300百万ドルの増加を試算しているとボグデン中将は述べたが、この増加分には「真水の」RDT&E費用分は入っていないという。むしろJPOが調達勘定からRDT&E勘定に予算を移したことが反映されているのだとの説明だ。このため「実質的に全く影響はなし」とし、同額分が調達勘定で減っているからだとする。RDT&E費用の実態は2014年から2015年にかけて増加していることは同中将も認めた。
  8. 「今年は実質費用が実質的に増加する」とボグデン中将は報道陣に伝えた。「これまで大変な歴史のあった事業としては大きな問題ではないだろう」■


博物館j展示機から部品取り? ここまで米軍の装備状況は悪化しているのか


ここまで状況がひどくなっている原因は財政の健全化のため無理やり予算を削減したことなのですが、オバマ政権が残した課題を次の政権がどうかじ取りするのか、2020年代まで危険な時代が続きそうです。
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Marines Scrounge Yorktown Museum F-18 For Spare Parts; How Bad Is It?

By COLIN CLARK on March 23, 2016 at 6:24 PM

F/A-18D Aboard USS Yorktown MuseumUSSヨークタウン博物館で展示中のF/A-18A Credit: Patriots Point Naval & Maritime Museum
CAPITOL HILL: 米国の兵器各種で老朽化が進んでいることに下院共和党議員の間に当惑が広がっている。新型装備の数はかなり減っており、訓練費用が不足し15年間もの長きにわたり戦闘が続く中、米軍兵士がそのうちに究極の対価を支払う事態になりそうだ。
下院軍事委員会委員長マック・ソーンベリー議員が海兵隊のボーフォート航空基地で見聞した事例が昨日アシュ・カーター国防長官と統合参謀本部議長ジョー・ダンフォード大将を招いた公聴会で明らかになった。
公聴会では博物館展示の機体から部品取りが行われたとだけ紹介された。記者が裏を取るため聞きまわったところ海兵隊ボーフォート航空基地所属のF/A-18で必要な部品は生産が終了しており、在庫がなかった。基地内の展示機体をチェックし、該当部品を見つけようとしたが、だめだった。USSヨークタウン空母博物館を訪問した中佐が同じ型式の機体が展示されているのを見つけ甲板に展示中のA型機体から部品を取り外した。当日はコックピット開放日で子供も機体に触れることができた。部品を持って帰ったが、残念なことに作動しなかった。
だが委員会は驚くべき内容の事例を紹介している。「即応態勢問題が軍全体で発生していることの象徴だ」と委員会スタッフは記者に語っている。ソーンベリー委員長はこの問題を公聴会で取り上げた。
「軍の関係者から以下直接聞き取った:
  • 博物館展示機体から部品を取り出し、海外派遣に間に合わせようとした(上の例)
  • アリゾナの機体保管所から機体を呼び戻し、任務飛行の準備を間に合わせた
  • 必要飛行時間下限に満たないパイロットでさらに訓練飛行時間が敵側より低くなっている
  • 次世代の隊員に必要な訓練や指導ができる経験者が不足し、連日の長時間勤務に耐えられなくなっていること
  • ペンや清掃用紙タオルのような基本必需品を自ら購入している隊員がいる。正規手順だと入手に三四か月かかるため
「海兵隊航空部隊が訓練のみならず任務でも要求水準に到達していない。陸軍の三分の一は準備態勢が不足している」とソーンベリー議員は発言した。「空軍の戦闘部隊で即応体制ができているのは半分以下だ。ハイエンドの戦闘についてである、との指摘があり、我が国の歴史上でここまで規模が縮小し、戦闘準備の劣化があらゆる作戦で見られたことはない、との証言がある。各軍でこの指摘は共通しており、憂慮せざるを得ない」
これに対して統合参謀本部議長ダンフォード大将から議員の主張する準備態勢は確かに問題であるが、2017年度予算で適正な対応が可能と指摘が出た。議会が作り出した「不安定な財政環境」に「作戦テンポがけた外れに高くなったこと」が組み合わさったことが即応体制の不足を招いているという。
では解決にいつまでかかるのだろうか。ダンフォード大将は暗い見通しを示した。陸海空軍、海兵隊が迅速な維持管理、訓練、近代化を実現できるのは2020年度ごろだという。ではコソボ紛争からずっと戦闘を展開中の空軍はどうなるか。ハイエンド戦に十分な対応ができるようになるのは2028年度になるという。
その間の予算措置で老朽化する機体をだましだまし飛ばすことになるが、これで作戦展開のニーズに本当に答えることになるのだろうか。■


2016年3月23日水曜日

米比基地利用協定の中身に注目



南シナ海のご当地フィリピンで米軍が再び基地利用できるようになったという話題です。当面は空軍基地のネットワークを整備しながら、本命の海軍施設の供用開始まではまだ相当時間がかかりそうですが、1991年に反米感情の高まりから米軍基地を放逐したフィリピンがやっとここまで来たのかというお話です。中国は過敏な反応を示すでしょう。
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Analysis: New U.S.-Philippine Basing Deal Heavy on Air Power, Light on Naval Support

By: Armando J. Heredia
March 22, 2016 12:25 PM


先週末に米フィリピン両国が第六回二国間安全保障対話をワシントンDCで実施した。今回は高度防衛協力協定 (EDCA) で初の具体的成果が表れた。米国が太平洋再配備の一環として部隊をローテーション配備したり事前集積拠点として利用できる基地五か所が発表された。
  1. このうち4か所が空軍基地で、ルソン島のバサ、パラワン島のアントニオ・バウティスタ、セブのマクタン-ベニト-エブエン、ミンダナオのルンビアの各基地だ。首都マニラ郊外のフォート・マグサイサイは唯一の地上部隊用施設となる。
  2. この発表を見ると興味深い可能性が見えてくる。バサはフィリピン空軍戦術攻撃飛行隊の拠点であり、米空軍の航空戦闘軍団飛行隊を収容する余地が大きい。マクタンはフィリピン諸島の中央部に位置し、フィリピン空軍の輸送隊が拠点としている。また基地は国際空港に併設されており、港湾とも近い。ルンビアは反乱勢力が活動するミンダナオにあるが、直近の戦闘が発生した地点にほど近く、フィリピン空軍の第15攻撃飛行隊の基地となっており、この数年間反乱勢力への対地攻撃を実施している。
  3. 同飛行隊はフィリピンで初めて精密誘導攻撃を実施しており、ペイヴウェイ爆弾をアブサヤフ反乱勢力に投下している。これは米空軍が技術指導しており、今後の展開の前例となった。アントニオ・バウティスタ基地はパラワン島にあり、スプラトリー諸島に近い。フォート・マグサイサイはこれまでの米比軍事交流でおなじみの基地だ。
  4. 基地利用案は恒例のバリカタン(肩を並べた協力)演習の際に発表された。
  5. 同演習では今後各基地の利用で大きく前進するだろう。今のところ、各基地の整備に予算を確保する必要があり、部隊の展開はまだ実行できない。一部には冷戦時の米軍駐留に戻るとの批判もあるが、各基地はフィリピン基地であり、米軍は兵員を交代で配備し、施設を建設し、物資を事前集積するがあくまでもフィリピン側が管轄する範囲内であり、かつてのスービック海軍基地やクラーク空軍基地のような米軍が完全に管理運用するのとは異なる。
  6. この違いの意味は大きい。また今後の整備も必要で、例えば基地運営のモデルはまだ未完成だ。どちらが指揮統制すべきなのか、米軍が一方的に基地から発進できるのか。さらに状況を複雑にするのが中国の脅威だ。もしEDCA指定基地の米軍が攻撃を受ければフィリピンが直接攻撃を受けたことになり、運用上米軍部隊への攻撃と事前集積装備への攻撃を区別することは不可能だ。
USS Enterprise (CVN-65) at Subic Bay in 1993. US Navy Photo
USS Enterprise (CVN-65) at Subic Bay in 1993. US Navy Photo

  1. EDCAの背景には米軍のアジア再展開があるが、各基地は同時に人道援助災害救難(HA/DR)活動の支援にも活用できる。マクタン-ベニトエブエン基地は国内中央部にあり、この数年同地区は強力な台風に相次いで襲われているので、救援物資の輸送用の大型機の受け入れには最適な立地といえる。
  2. ただし今回の発表で目立つのは海軍関係の基地が入っていないことだ。この地域の海洋安全保障上の課題で中心となる不安定さは空軍だけでは根本原因を解決できない。海軍のプレゼンスがどうしても必要だ。ではスービック他がどうしてリストにに入っていないのか。
  3. まずスービックは1991年の米軍撤退後は経済輸出地帯に変換されており、工業地帯として民間産業用に利用されている。2015年中頃にやっとフィリピン国防省が輸出地帯公社から認可を受けて15年間の期限付きで旧海軍基地部分の利用が可能となった。
  4. そうなると基地再整備はまだこれからとなり、第七艦隊艦船の受け入れは拡張工事が完了してから可能となる。ベニグノ・アキノ大統領は今年夏に退陣し、整備事業の決定は次期政権に任される。
  5. 5月予定の大統領選挙の結果次第で事態は複雑になる。有力候補の一部には親中国姿勢を示すものもあり、米国務省、国防総省の政策立案部門は動向を注視している。■


2016年3月22日火曜日

MiG-35初期生産機体が今年中にフライトテストを開始


MiG-35 pre-production batch to start flight tests soon

Nikolai Novichkov, Moscow - IHS Jane's Defence Weekly
17 March 2016

RSK MiGはまもなく量産前のMiG-35複数機をロシア空軍へ引き渡し、フライトテストを開始させる。. Source: IHS/Patrick Allen



新型駆逐艦ズムワルトが引渡し前の海上公試へ出港!



Zumwalt Destroyer Leaves Bath Iron Works for Builder’s Trials

March 21, 2016 12:36 PM

Destroyer Zumwalt (DDG-1000) is underway on Dec. 7, 2015. US Navy Photo
Destroyer Zumwalt (DDG-1000) is underway on Dec. 7, 2015. US Navy Photo

誘導ミサイル駆逐艦ズムワルト (DDG-1000) は3月21日に建造元による最終海上公試に出港し、来月の米海軍向け引き渡しに備える。海軍報道官がUSNI Newsに伝えてきた。
  1. 同艦はジェネラルダイナミクスのバスアイアンワークス(BIW)造船所(メイン州)を離れ、ケネベック川を下り大西洋に向かった。
  2. 「DDG-1000は本日メインを出発し、建造元海上公試で中核システムや技術内容の実証を行う。主なものに高性能誘導モーター (AIM)、統合推進方式 (IPS)、操艦補助システム等がある」と報道官発出の声明文は説明。
  3. 「各システムの試験以外に海軍と業者が合同で行う引き渡し時公試前の各種確認作業、乗員の習熟、正式認証に向けた乗員訓練があり、本年10月15日の就役に向け重要な一歩となる」同艦は昨年12月に初出航し短期間の海上公試を行っている。
  4. 海軍には4月に引き渡され、カリフォーニアへの回航に先立ち船体機械電気各システム (HM&E) を完成させる。西海岸で戦闘装備とセンサー類を搭載する。
  5. ズムワルト級ではガスタービンエンジンとディーゼル発電機で複雑な艦内配電を行うのが特徴で予定より長時間かけて建造試験が行われ、引き渡しも遅れた。
  6. BIWは同級3隻を総額220億ドルで建造する。またアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の追加建造もあり、海軍はズムワルトの戦闘装備艤装をサンディエゴで実施することで造船所の作業スペースを確保するとUSNI Newsは見ている。■

2016年3月12日土曜日

速報 北朝鮮潜水艦が日本海で行方不明、沈没か



U.S. Official: North Korean Submarine is Missing, Presumed Sunk

By: Sam LaGrone
March 11, 2016 4:00 PM • Updated: March 11, 2016 5:12 PM

Kim Jong Un in the conning tower of what appears to be a Project 633 diesel submarine. KCNA Photo
633級ディーゼル推進潜水艦の司令塔に乗る金正恩  KCNA Photo

This post was updated with additional information on the North Korean submarine force.


北朝鮮海軍の潜水艦一隻が行方不明中で沈没したらしいと米政府関係者がUSNI Newsに11日伝えている。

  1. 種別不明の同艦は北朝鮮沿岸で数日間にわたり作戦中に所在が分からなくなった。
  2. 「先週から行方不明で沈没したとみている」と同関係者はUSNI Newsに述べた。同関係者は同艦で何があったのか詳しく述べていないが、追跡捕捉の方法を明かせないためだろう。
  3. 別の関係者も情報を提供してくれた。米政府関係者はいずれも沈没地点を明らかにしていないが、USNI Newsは北朝鮮が日本海側に有する潜水艦基地二か所の近辺と理解している。ジョンズホプキンス大学米韓研究所のジョー・バーミュデスの情報提供によれば北朝鮮の主要潜水艦基地は東海岸にあるが、別に小型潜水艦運用に小規模施設が三か所あるという。
  4. 北朝鮮が運用中の潜水艦は大小合わせ70隻あり、数名が乗り組む小型潜水艇から40名ほどで運用する大型艦まである。2000年以降北朝鮮は潜水艦の近代化を図っている。
  5. バーミュデスによれば各艦は「そこそこの性能」があり、民生用装備を軍用に転用しているという。しかし「整備で大きな問題があり、保守管理水準は東アジア各国海軍より相当低い」と指摘する。
  6. 北朝鮮は潜水艦部隊で韓国に脅威を与えようとし、攻撃型潜水艦を多数集結して韓国に示威をかけたこともある。艦の大部分は旧式ロシア製で性能は低いが、韓国海軍の対潜能力整備は遅れている。2010年に韓国海軍の海防艦天安 Cheonan が北朝鮮の小型潜航艇が発射した魚雷で沈没し、乗組員46名が命を落としている。■


2016年3月11日金曜日

主張: 核運用爆撃機は抑止力維持で今後も有効 近代化を進めるべき


LRS-Bへの風当たりが強く、空軍関係者から以下の寄稿があったようです。抑止力のおおきな構造要素としての爆撃機の運用能力の維持向上が必要との主張です。
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Why Bombers Are Key to Nuke Modernization; Think Russia, North Korea, China

By ADAM LOWTHER and CHRIS WINKLEPLECK on March 09, 2016 at 3:15 PM

B-2 with B-61 other weapons
B-2 with B-61 and other weapons
核兵器の改修事業に反対する向きは大統領選挙の行方に気をもんでいる。長距離スタンドオフ巡航ミサイル (LRSO) や核爆弾B61Mod12の耐用年数延長はじめ拡充事業を阻止する望みが消えつつあるためだ。核兵器の廃絶や段階的縮小を願う向きには残念だがオバマ大統領は核兵器改修を推進しており、2010年の新START条約の成立で共和党の支持を取り付けた際の約束を守っている。ロシア、中国、北朝鮮が一層活発な動きを示しておりオバマ政権は核兵器の近代化改修を継続している。
  1. ここに予算を投じることは税金の無駄使いではない。逆に核抑止力の維持で中心的な役割を果たす。爆撃機部隊がLRSOや B-61 Mod 12を搭載すれば、核兵器改修が目に見える効果を上げるのが一番よくわかるだろう。
  2. ここ三年で二回も米国は北朝鮮の危機エスカレーションに対してB-2やB-52による示威活動で対抗している。2012年12月に北朝鮮が長距離ロケット発射をした際、2013年2月12日に核実験を行った際だ。
  3. 当時、米韓合同演習の実施が迫り、北朝鮮は演習を核戦争準備ととらえ威嚇しつつ、1953年休戦協定は無効とまで言い切った。緊張が高まる中、B-2ステルス爆撃機2機が米本土から発進し韓国上空を飛行し、演習用爆弾を韓国内演習地に投下した。韓国空軍戦闘機の護衛つきで爆撃機は演習に参加し、緊張は緩和したが、一時的にすぎなかった。
  4. 金正恩生誕の二日前に北朝鮮が水爆実験した際には太平洋軍 (PACOM) がB-52一機を韓国に派遣した。
  5. 抑止効果は一回で完了するものではなく、正しい手段で事態がエスカレートし開戦にならないように日常から維持すべきものだ。このため、空軍がB-52やB-2を韓国へ派遣したのであり、各機が最新型の核巡航ミサイルや高精度の核爆弾を搭載していると敵側に知らせる必要がある。
  6. これが理解できなければ抑止ミッションは成功しない。PACOM司令官ハリー・ハリス大将がいみじくも言っている。「米側同盟国の韓国、日本へのコミットメントで米国に不動の決意があると示すとともに米本土防衛でも妥協の余地なしと伝えることだ」
  7. もっと大きな外交メッセージとしては米国が有するいかなる脅威にも対応する能力、意思を伝えている。北朝鮮と米国の関係が極めて複雑なため、何にもまして北朝鮮には米国が核兵器の行使を真剣に考えており、韓国防衛に責務を有していると理解させる必要がある。
  8. 核兵器の近代化とともに核運用可能な爆撃機の投入は北朝鮮に対してこちら側の能力・意思を伝えるだけでなく、その他国に対しても米国の言葉の重みを感じさせることにつながる。
  9. 爆撃機による核兵器ミッションというと都市破壊や大量殺戮の印象が強いが、このイメージがあるからこそ米国は間違いのない抑止力を確実に確保できるのだ。爆撃機は核の三本柱のひとつであり、敵対勢力にアメリカの意図を明瞭に伝えるがICBMや潜水艦発射ミサイルでは期待できない効果だ。近代化改修があってこそ大きな威力を発揮できるのであり、米国の発出するメッセージに重みがつく。
  10. 核兵器近代化や爆撃機部隊の存続に反対する向きは核運用爆撃機や兵器の近代化あるいは新型導入は不要と主張するが、厳然たる事実はかわらない。三本柱でアメリカの意思をこれだけ目に見える形で伝えられる手段は他にはない。北朝鮮がこちらの意思を試すことに執念を燃やす現状で爆撃機部隊に高性能核兵器を搭載しないでおけるだろうか。
著者クリス・ウィンクルプレック少佐は第608航空作戦センター勤務。またアダム・ロウサーは空軍工科大学高度核抑止力研究校の理事。著者の見解は米空軍、米国防総省、米国政府の公式見解や方針を必ずしも反映するものではない。