2021年10月15日金曜日

Su-57の戦力化は早くて2027年。遅延はプーチン流の強権的経営体制が原因だった。実はロシアの経済規模はオーストラリア並みで。ロシア航空宇宙産業は低迷するのか。

 

 

クレムリンがSu-57に期待するのは宣伝効果だ。

 

 

西側分析ではロシアの第五世代ステルス戦闘機スホイSu-57が作戦投入可能となるのは2027年以降としている。事業の遅れ、コスト超過、研究開発上の問題が同機事業につきまとっている。

 

驚くべき理由はない。もともとSu-57は実行可能な事業ではなかった。

 

2006年当時、ウラジミール・プーチン大統領がロシア航空企業各社を単一国営持ち株会社に統合した。これが合同航空機製造会社(UAC)だ。

 

その後UACは20社以上あった航空企業を4つの事業体に整理統合した。戦闘軍用機一社、軍用輸送機一社、民生機一社、航空部品一社だ。

 

この過程で国営企業多数が株式会社に改編されたが、株式の9割は国が握る。

 

このように垂直統合で中央統制を強めた改編だが、UACは傘下企業にある程度の自主性を認めた。MiGとスホイはそれぞれ役員会を残している。

 

ただし、一部例外を除き、各社の取締役は異論をさしはさめない。それどころか、UAC傘下各社は14名で構成する取締役会の決定下にあり、役員大部分はプーチンの腹心である。産業界で高い知見を有するのはごく少数にとどまる。

 

ロシアメディアが仰々しい報道をすることがあるものの、UACは死に体といってよい。UACは1980年代末から1990年代初頭の機体の生産再開ははたしたものの、技術革新の取り込みでは無能をさらけ出している。

 

 

その大きな理由としてUAC役員会には入念に選んだイエスマンが多数で、新規事業や戦略の話題には前向きとはいえ、厳しい決断には及び腰であることがある。その意味で、UACがここ10年にわたり大風呂敷をひろげたものの実現した案件は皆無に近いというのは当然といえる。

 

Su-57ではどうか。UAC大きな失敗は戦闘航空機事業部を海外投資家に非公開としたことである。初代コンソーシアム統帥は元国防副大臣で後に首相になったセルゲイ・イワノフで2006年に、ロシアは「独力でこの分野を育てる」と主張していた。

 

UACの柔軟性欠如にウクライナ侵攻後の西側制裁措置でロシア経済が大幅に衰退したことも加わり、Su-57が事業として成立しなくなった。

 

国の規模人口は大きくてもGDPがオーストラリア並みでは超大国を演じることはできないし、シリア内戦から抜け出せず、ステルス戦闘機の国内開発もままならない。

 

同事業の最後の頼みはインドの財政支援でSu-57をSu-30MKI並みのステルス攻撃戦闘機に発展させる構想だった。だが、プーチン流の経営構造のため連携効果が実現に至らなかった。

 

そうなると、クレムリンガSu-57に期待するのはロッキードのF-22ラプターに匹敵する機体との宣伝工作で注目を浴びることが中心となる。だが、ビジネスセンスも兼ね備えたインド空軍はこの言葉に踊らされず、資金提供をもちかけなかった。

 

ここにSu-57の進展がない理由がある。■

 

 

Doomed To Fail? Russia’s Stealth Su-57 Isn’t Going Anywhere Soon

by WarIsBoring

October 13, 2021  Topic: Su-57  Region: Eurasia  Blog Brand: The Reboot  Tags: RussiaMilitaryTechnologySu-57Stealth

 

 

Image: A Sukhoi Su-57 jet fighter performs during the MAKS 2021 air show in Zhukovsky, outside Moscow, Russia, July 25, 2021. REUTERS/Tatyana Makeye


プーチンも習近平も社会主義の頭で資本主義の真似事をしてきたため、ここにきて経済のダイナミズムについてこれなくなっています。また、旧体制のまま異論を認めない、取り込めない体質のため意思決定が裏目に出ているのでしょう。こんなことを言うとヒントになり、中ロが急に力をつけては困りますが、どうせ両国の権力構造では自由な体制を作るのは不可能なので心配しなくてもいいと思います。

 

たいげい級二番艦はくげいの進水式に海外が日本国内より高い関心を示す。海上自衛隊潜水艦(現役)は22隻になった。

 

はくげい進水式。2021年10月14日 (Japanese MOD photo)

 

 

本がリチウムイオン電池を採用した新型通常型潜水艦の2号艦を初号艦進水式のちょうど一年後に進水させた。

新型艦ははくげいと命名され、川崎重工業の神戸造船所で10月14日に進水式を挙行した。同艦は最終建造段階にあり海上公試ののち海上自衛隊に2023年3月に引き渡される。

はくげいはたいげい級潜水艦の二号艦で、排水量3,000トンのディーゼル電気推進式攻撃型潜水艦で、29SS級とこれまで呼ばれており、一号艦たいげいは三菱重工神戸で2020年10月進水ずみで今年7月に公試を開始した。同艦が2022年3月に就役すると、海上自衛隊の22隻目の現役潜水艦となる。

2010年の防衛大綱でそれまでの16隻体制の強化が決めたのは、日本が中国の軍事力整備を警戒視していることのあらわれだ。

そうりゅう級最終建造分の二隻、たいげいと合わせ、はくげいにもリチウムイオン電池が搭載されている。リチウムイオン電池技術の実用化に向け、日本は大規模な研究開発を2000年代初頭から展開していた。リチウムイオン電池は保守管理が簡単な一方で潜航中に高速を長時間維持できる点で鉛電池より優れる。現時点でリチウムイオン電池を潜水艦に応用しているのは日本だけだ。

日本の潜水艦部隊は旧型おやしお級8隻、そうりゅう級12隻とたいげい級2隻の構成となる。たいげい級は三号艦の建造も始まっており、さらに二隻分の建造予算も承認ずみで、令和4年度予算要求で一隻追加分として602.3百万ドルが計上されている。

 

たいげい級の外観はそうりゅう級と大差ないが、艦内は全く別だ。まず、たいげい級ではAIP装備のかわりにリチウムイオン電池を搭載した。

 

つぎに、ソナー及び戦闘指揮システムが改良されている。また音響吸収材、浮き張り式床の採用でステルス性が高まっている。防御面では魚雷対抗装置(TCM)が搭載され、おとりを放出し敵魚雷の命中を逃れる。

 

たいげい級の基本性能

基準排水量約 3000 トン

全長84メートル

全幅9.1メートル

乗員70名

推進方式ディーゼル電気推進(リチウムイオン電池搭載)

 

Japan launches second Taigei-class submarine, 'Hakugei'

By Mike Yeo

 Oct 15, 03:07 AM

 

Kawasaki Launches 'Hakugei' - Second Taigei-class Submarine for the JMSDF

Xavier Vavasseur  14 Oct 2021

 

 


 

2021年10月14日木曜日

ソ連ワルシャワ同盟側の西欧侵攻計画が明らかになった。核兵器先制攻撃で電撃戦を展開し、破壊された欧州を占領する非現実的な内容だった。実施されなかったのが幸いな内容。

 

 

二次大戦は人類史上で最大の被害を生んだ戦争となり、控えめな試算でも世界人口の3パーセントが死亡したとされる。

 

だが第二次大戦は次の大国間衝突の種子をまいただけともいえる。ソ連が中東欧に鉄のカーテンを下ろし、米国は西欧で同盟関係を構築した。

 

その後45年にわたり、米ソの軍関係者はNATO-ワルシャワ条約間の戦闘計画を練ることになった。ソ連の数的優位性をどうしたら覆せるか、しかも初期段階で核兵器の投入をせずに。

 

米国では核兵器の役割を減らすと公約して政権の座につく大統領が連続したが、結局レーガン政権が生まれるまで公約は実現できなかった。精密誘導兵器の登場で初めて米国がソ連軍を打破できる時代が到来したのだ。

 

ソ連の戦闘計画も米国同様に機密扱いのままだが、学界では旧ワルシャワ条約加盟国が公開した資料からソ連軍がどんな戦闘を展開したかがわかるようになった。

 

それによれば、スターリン存命中および1950年代を通しワルシャワ条約軍は西側侵攻からの防衛を主にしていた。当時の米国が核兵器の圧倒的優位性を保持していたため、核兵器使用を全く考慮しない戦争計画だった。

 

スターリン死去をうけ1960年代に入り、ソ連は全く別の戦争計画を立案した。攻撃的性格となり電撃戦型の強襲によりワルシャワ条約軍が西欧の大部分を数日間で占領するものだった。核兵器も遠慮なく投入し、ワルシャワ条約軍の通常兵力の鉄壁な優位性を活用する前提だった。

 

ソ連の戦闘立案部門は米国および同盟側が初期段階で核兵器の大量投入に踏み切ると想定していた。このため、ソ連及びワルシャワ同盟加盟国の領土を守るためにも核先制攻撃を想定した。

 

にもかかわらず、ソ連の対西欧戦略では核兵器に中心的役割を想定した。北方戦線だけでも核兵器189発をミサイル177本、爆弾12発で5キロトンから500キロトンにわたり投入する想定だった。さらに中欧南欧の各地でも核兵器を投入する計画だった。

 

さらに多数の核兵器を西欧主要都市の破壊に使う予定で、ハンブルグ、ボン、ミュンヘン、ハノーバー、ロッテルダム、ユトレヒト、アムステルダム、アントワープ、ブリュッセルが標的だった。

 

コペンハーゲンには二発で十分で、デンマーク全土にも5発を想定した。イタリア諸都市も標的となっていた。

 

オーストリアは中立国だったにもかかわらず、ソ連はウィーンに500キロトン核兵器を投下する想定としていた。

 

主要都市や人口稠密地帯の破壊以外でもソ連は戦術核兵器を惜しげなく投入しNATO軍事施設を攻撃する想定だった。米議会調査局によれば、「ソ連は600か所の基地を戦術核攻撃する」計画だった。ソ連崩壊の際でも戦術核20千発が貯蔵されており、当初より相当増えていた。

 

ソ連ーハンガリー合同シナリオが発掘されているが、ワルシャワ同盟側は西側標的に開戦後数日で合計7.5メガトンの核兵器を投入するとある。

 

米国やNATO側の想定も似たようなものだった。英国の核抑止効果研究部会の推定では英国は開戦となればソ連に40発の核爆弾を投下する想定だったという。

 

米国ではさらに大規模な攻撃を想定し、単独統合作戦想定(SIOP)として1960年から立案を進めていた。SIOPは今日でも極秘扱いだが、初期のSIOP内容が機密解除となっている。それによると「核先制攻撃でソ連、中国はじめアジアヨーロッパの1060か所の標的に3,200発を投入する」想定とある。ここでは米国は対戦相手かを問わず共産圏すべて攻撃する想定だった。このため中国も攻撃対象となっていた。

 

ソ連の戦闘方針で西側と異なるのはソ連にとって核兵器は戦闘手段の一つにすぎず、決定的な兵器とは理解されていなかったことだ。だが米国はじめ西側では核兵器の大量投入は戦闘が継続して初めて考慮すべき要素だった。

 

旧ワルシャワ同盟国で見つかった文書を見るとソ連は核兵器で戦闘の行方を決するつもりだったとわかる。敵軍を打破し、領土を占領する古典的な方法論で戦闘結果を決定的にする想定だった。

 

チェコ学者ペートル・ルナックの説明では「米国の大量報復方針と対照的にソ連圏は核兵器だけでなく、通常兵器も投入し通常戦力の優位性を発揮する想定だった。ソ連の戦略計画は古典的な敵地占領により勝利を収める想定だった」とある。

 

「核兵器で戦闘の進展が変わっても戦闘全体の様相は影響を受けないとチェコスロバキアや当時のソ連軍司令部はみていた。核兵器投入で戦闘は短縮化されるというのが東側の理屈だったが、大規模攻撃で決定的な優位性を確保すべく奇襲性を重視した」

 

核兵器を躊躇なく使うことでソ連、ワルシャワ同盟軍は大規模電撃戦を展開し西欧の大部分の占拠を狙った。目標はNATO前線を寸断し、「迅速に敵防衛線の奥深くに侵入する」事だたった。開戦当初の成果を迅速に達成するためにも、ソ連は兵力差を5対1ないし6対1で優位にする目標を立てた。

 

作戦目標は戦線で異なっていた。核攻撃後にチェコスロバキア陸軍はNATO前線を突破し、ニュルンベルグ、スツットガルト、ミュンヘンを占領する予定だった。開戦後9日でチェコスロバキアリグンはソ連の支援も受けながら、南仏リヨンを占領する想定だった。その後、ソ連の増援部隊がピレーネ山脈を越えるとあった。

 

同時にポーランド軍はソ連軍と北欧の大部分を占領する。とくに西ドイツ、デンマーク、オランダ、ベルギーへの侵攻を想定したのは、米国英国カナダの増援部隊の上陸を阻止する目的があったためだ。そのためデンマーク占領を開戦一週間以内に設定し、二週間以内に大西洋岸に到達するのが目標となった。

 

想定はかなり欲張ったもので、軍事専門家の間にはここまで迅速な侵攻を展開する装甲車両はワルシャワ同盟軍が保有していなかったと断言するものもある。

 

ルナックは戦争計画を「おとぎ話」と突き放す。目標が野心的過ぎること以外に計画が非現実的だったのはソ連とワルシャワ同盟軍が核兵器で破壊され相当の放射能が残る国土で戦う想定になっていたためだ。ルーナックは「ソ連は地上部隊を送り込み戦闘させると真剣に想定していたが放射能により部隊は数日で全滅していただろう」

 

こうした自殺行為を各部隊が受け入れたかは疑問だ。共産主義あるいはワルシャワ同盟への献身ぶりとは別に、戦闘舞台となり占領対象となる地の経済軍事機能は破壊されており、破壊され無益な場所になっていたはずだ。

 

そのため核攻撃を受けた各国はもはやソ連側に脅威とならない。さらにこうした土地を占領しても経済上で何ら利益がなかったはずだ。居住に適さない状況が当面続くだけだっただろう。

 

ドワイト・アイゼンハワーが核兵器もその他兵器同様に普通に使用できると信じていたとの誤解があるが、本人は原子力時代の到来とともに核戦争に勝者はないと確信するに至っていた。国家安全保障会議の席上でアイゼンハワーは「核戦争に勝者はない。破壊のあげく、原始時代に戻ってしまう」と発言していた。大統領退任までに本人は暗たんな気分となり、戦争勃発となれば「外で誰彼なく撃ち殺し、最後に自分を撃つのと同じだ」とまで言い出す始末だった。

 

ソ連が立案していたのは文字通りそういうことだった。■

 

Russia Had a Cold War Master Plan To Annihilate NATO

by Zachary Keck

October 12, 2021  

https://nationalinterest.org/blog/reboot/russia-had-cold-war-master-plan-annihilate-nato-194884?page=0%2C1

 

This article first appeared in July 2015.

Image: Wikimedia Commons


2021年10月13日水曜日

新型バンカーバスター爆弾GBU-72/B登場。全天候対応となり、威力も高い新型爆弾が北朝鮮やイランに投下される日が来るのだろうか。

 GBU-72/Bは改良型全天候対応バンカーバスター爆弾で米空軍で供用中の2千ポンド型と3万ポンド型の中間に位置する。

USAF

 

 

空軍は新型5,000ポンド級バンカーバスター爆弾となるGBU-72/Bの連続テストを成功裏に実施した。F-15Eストライクイーグルからの投下もフロリダのエグリン空軍基地そばで行った。

 

従来は高性能5,000ポンド弾あるいは高性能5,000ポンド貫通弾と呼ばれていたものだが、空軍はそっけなくテスト結果だけ発表している。飛行テストに先立ち地上テストが展開され、炸裂力他の効果測定が行われた。エグリンの第96試験飛行団によれば同基地史上で最大規模の爆弾だという。

 

USAF

5,000ポンド級 GBU-72/B バンカーバスター爆弾がさく裂するとこうなる.

 

外観上はGBU-72/Bは2,000ポンド級のGBU-31/B共用直接攻撃弾(JDAM)精密誘導弾をやや拡大してバンカーバスター弾頭のBLU-109/Bまたは改良型BLU-137/Bを装着したように見える。後者は高性能2000ポンド弾頭(A2K)として知られ、今回の5,000ポンド版ではGBU-31/Bの尾部を流用しており、GPS補正の慣性後方システム(INS)誘導パッケージをつけている。

 

外観で新型がGBU-31/Bともっとも異なるのは長く伸びたフィン(ストレーキ)が本体底部の左右についていることだ。GBU-31/BシリーズのJDAMのストレーキは本体中央部についている。

 

USAF

GBU-72/B バンカーバスター爆弾のモックアップ。

 

USAF

GBU-31/Bs にバンカーバスター弾頭を装着している

 

空軍ではGBU-72開発にはモデリング、シミュレーションを多用したのに加え、威力をさらに高める検討を加えたと説明。「モデリング、シミュレーションを使う設計では初期型がすでに量産型の例となること」とGBU-72事業主管のジェイムズ・クリトンが述べている。「これにより運用テストも早期に開始でき、設計効果を確認し、早期に改良が可能となった」

 

「GBU-72開発では強化され深く掘られた標的の撃破が課題で、かつ戦闘機場爆撃機での運用を想定した」と空軍の公式発表にある。「GBU-28等既存装備品に比べ、威力は相当大きくなった」

 

GBU-28/Bは5,000ポンド精密誘導バンカーバスターでレーザー誘導方式を採用し、空軍では1991年から供用開始している。湾岸戦争宙にBLU-109/Bではイラクの深度標的に到達できないとの懸念があった。いそぎGBU-28/BでBLU-113/B弾頭がつけられた。

 

その後GBU-28/BがNATOによるセルビア空爆で米軍が1999年に使い、アフガニスタンやイラクで2002年、2003年それぞれ投下された。米政府はその後同装備をイスラエルと南朝鮮に輸出している。

USAF

F-15E がGBU-28/B バンカーバスター爆弾を投下した。

 

弾頭にBLU-122/Bを付けた現行のGBU-28/Bの正確な性能については極秘扱いとなっているが、初期設計では地表下150フィートまで、さらに強化コンクリート15フィートを貫徹する能力があるといわれていた。GBU-72/Bはこれを上回る威力がある。

DOD VIA GLOBALSECURITY.ORG

BLU-109/Bバンカーバスター弾頭を付けたGBU-31/B、GBU9-28B、GBU-57/B大型貫通爆弾の性能を比較した図。

 

現時点でGBU-28/Bは通常弾頭のバンカーバスターとしては先に述べたGBU-31/Bと30,000ポンド級のGBU-57/B大型貫通爆弾(MOP)の中間に位置する装備となっている。空軍が保有するMOPの数はわずかで、B-2スピリットが唯一同装備の運用が可能な機材だ。核弾頭付き投下爆弾でバンカーバスター機能があるのはB61-11、B83-1があるが、通常の作戦には投入せず、しかも精密誘導方式でもない。

USAF CAPTURE

GBU-57/B MOPを投下するB-2

 

そのためGBU-72/Bのバンカーバスター機能向上でGBU-31/Bで対応不能だがMOPの投入までは必要がない標的への攻撃が期待される。将来の戦役では深部構築された標的が不足する事態は考えにくいのであり、イランや北朝鮮がまず想定されるが、投入手段で選択の幅が広がり現地で重宝されるはずだ。

 

さらに、GBU-72/BでJDAMの GPS/INS 誘導方式を採用していることで米空軍は全天候下での作戦実行が可能となる。GBU-28/Bのレーザー誘導では雲や霧など天候条件に精度が左右されかねない。GBU-72/Bでは発射機体が標的から離れた地点で投下できることが機体の生存性を高める。GPS/INS誘導方式でGBU-72/Bは固定目標の実に対応することになるが、地下深くに構築された強固な施設はどう見ても移動目標ではないだろう。

 

付け加えれば、近年の米軍の対ISIS作戦で2,000ポンド級バンカーバスター爆弾が強化標的とは言えない対象に日常的にイラクで投入されている。トンネル網や地上建屋も標的にしている。とくに後者にバンカーバスターが党かされ、遅延爆発させることで付近の建物内の住民への付随被害を押さえる効果がある。

 

GBU-28/Bに続き、イスラエルや南朝鮮といった米同盟国友邦国がGBU-72/Bの取得にも関心を示すだろう。サウジアラビア、アラブ首長国連邦も将来のイラン強化標的の攻撃を想定し同装備品を紹介されるだろう。

 

現時点では米空軍は追加テストフライトなどGBU-72/Bの運用テストは2022年まで続くとしている。本日の発表で空軍が最新のバンカーバスター爆弾の実用化に大きく近づいていることが明らかになった。■

 

 

The Air Force's New 5,000-Pound Bunker Buster Bomb Breaks Cover

BY JOSEPH TREVITHICK OCTOBER 12, 2021

 


主張 AUKUSの後に出てくるもの---自由世界対中国の対決。CCPの独裁体制に各国はどう対抗するか。バイデン政権で自由世界の司令塔は務まるのか。

 

 

 

 

国がベトナム戦に苦しむ中でアルゼンチン生まれのキューバの革命指導者エルネスト・「チェ」・ゲバラは米国に「ベトナムを二つ、三つ」生み出してやると豪語していた。このチェの精神が対中姿勢を強める協力関係を後押ししていると言える。

 

オーストラリア-英国-米国(AUKUS)の潜水艦協力合意が9月に発表されたのは幸先の良いスタートだ。同合意で各国はオーストラリアの原子力潜水艦を共同で開発、配備し共有できる。AUKUS方式による中国への対決での合意がここに加わるはずだ。軍事、経済、外交、イデオロギーの舞台で各国がまとまれるかが中国共産党(CCP)との対決で鍵を握る。

 

9月のAUKUS合意は重要な一歩で、各国の協力はAUKUSやクアッドの枠を超え軍事部門で広がり、外交、イデオロギーでも拡大深化していく。軍事面の協力関係は集団防衛体制も視野に入れ、加盟国への攻撃を全加盟国への攻撃とみなされる。米同盟国の武装強化が進むだろう。米国にとって同盟国の原子力潜水艦就役を20年間も待つ余裕はなく、同盟国の側も早期の軍事技術や装備品の供与が必要だ。

 

軍事協力分野で新規国を入れるべきで、インド、日本はクアッドの一員でもあり有力候補だ。台湾は通常動力攻撃型潜水艦での協力や各国部隊の寄港で恩恵を受けるはずだ。カナダにもメリットが生まれる。カナダのインド太平洋方面での貢献は北極海周辺から拡大し、東シナ海南シナ海へ拡大されよう。

 

海軍方面以外では弾道ミサイル・巡航ミサイル分野で軍事協力が深化しており、統合防空体制や接近阻止領域拒否の打破、サイバー宇宙、軍事教育訓練、遠距離展開でも協力の実が生まれている。

 

経済分野ではインド太平洋の米同盟国友邦国間の貿易合意が相互に良好な結果を生む。これは世界貿易機関枠組みを尊重する米国の姿勢と矛盾しない。中国は貿易を武器とするアプローチをオーストラリア、南朝鮮、台湾、フィリピン等米国を支援する側に使い、そうした国からの輸入を止めた。だが、貿易ブロックが域内に生まれれば米同盟各国の経済成長が促進され、中国の貿易戦術に対抗可能となる。

 

また、「深化」でクアッド加盟国並びにその他国が法執行、麻薬対策、海上河川航行、民間宇宙開発、さらに月や火星への有人飛行の各分野で新規の外交合意を生むはずだ。

 

協力拡大はイデオロギー分野でも現れる。民主体制の価値観を共有することがCCP対抗へのイデオロギー運動の基盤となる。クアッドはイデオロギー協力関係の手段となりうる。だがイデオロギー運動は調整を受けたうえで、CCPの独裁体制より民主体制が優れている価値観を基盤とすべきである。自由な国際秩序のほうが中国がめざす「人類の共通運命」より優れているのは明らかだ。中国はこの価値観を世界支配の正当化に使っている。人権尊重は各国の必要要件である。イスラム教徒を強制収容所に集めることは認められないし、中国の人権面の実績には開いた口がふさがらない。中国が作ろうとしている世界は受け入れられない。

 

だが現実ではすべて一様の取り扱いとすべきではない。各国で自国の実情に合わせたメッセージがあってよい。そのため、民主体制と人権に関する日本の進め方がインドと異なってもよい。またニュージーランドのように軍事面ではなく人権や経済面で中国を非難する動きであってもよい。

 

AUKUS合意で中国とのバランスは単一課題の各分野で行えることが示された。こうした対策はオーストラリア、英国、米国のインド太平洋の安全保障へのコミットメントを示している。同時に、中国対策ではより大胆な動きが必要で、軍事、経済、外交、イデオロギーの各面で各国が合同かつ包括的に動く必要がある。

 

バイデン政権が各行動の音頭を取るべきだ。なんといっても米国は自由世界のリーダーだ。そのため、AUKUSで生まれた勢いを活用し、今後も活動を維持すべきだ。AUKUSは厳として存在しており目に見える形で進展するとはいえ、道のりは長い。中国との対抗であらゆる場面で同じことがいえよう。世界の民主体制間の協力関係が照らし出す道は自由につながる道であり、世界に足かせをはめようとする中国の道ではない。■

 

After AUKUS: The Next Steps Toward a Confrontation with China

by Lianchao Han Bradley A. Thayer

October 11, 2021  Topic: China  Region: Asia  Tags: ChinaAUKUSJoe BidenIndo-PacificSubmarine

 

Lianchao Han and Bradley A. Thayer are co-authors of the forthcoming Understanding the China Threat

Image: United World