2021年10月23日土曜日

台湾防衛を求める声は米国内にいさましいが、台湾自体に自ら犠牲をいとわない姿勢はあるのか、と元米陸軍中佐が厳しい目を向ける。

どの国も相手国を助ける以上、その国が本当に努力することを前提とするものであり、アメリカの場合はアフガニスタンで苦い経験を積んでおり、いくら台湾が価値観を共有する民主陣営の国でも相応の負担を求めるのは当然でしょう。同じことは日本にもあてはまり、日本側の努力で米国は一定の評価をしているようですが、現状のままでいいとはないはずです。総選挙後にGDP比率論が再検討されると思いますが、日本国民も自由を享受する以上代償がついて回る当たり前の事実を認識すべきでしょうね。

 

Die for Taiwan

Image: Creative Commons.

 

国は中国の台湾侵攻に備え安全保障を保証すべきとの声が米国指導層から出ている。米国有識者にも米軍による台湾防衛を求める意見は根強く、台湾のため米国民の生命を犠牲にしてもよいという。ただし、米指導層は台湾に自国防衛に自ら犠牲をいとわない姿勢があるのか確かめるべきだ。

 

台湾が自国防衛に今以上の負担をいとわない姿勢なのかわからないうちに米国が対中戦にまきこまれるのではたまらない。台湾住民が自国防衛に命をささげることを冷笑する間に米軍の男女が台湾周辺の海域で生命を絶たれる事態が発生してからでは遅い。

 

まず、これは「先に小切手帳を見せてくれるのならそちらの優先順位を見てやる」という古典的な例だ。米国は自国民の保護とグローバルレベルの権益保護を重要視しており、毎年GDP比3.5%を国防費に費やしているのがその証拠だ。

 

2016年の台湾はGDP比1.6%を国防費に計上し、来年はさらに増やし2.1%支出とする。米国内の世論リーダーから台湾へ安全保障上の保証を与えても台湾指導部が米国が提供するので自国の防衛負担を減らすことがないよう留意すべきとの意見も出ている。

 

二番目に、その国の市民が軍に志願し、自国防衛に命をささげる覚悟があるのかが重要だ。米軍は完全志願制だが入隊者を確保してきた。目標数に到達しないことが常とはいえ、隊員数としては十分だ。これに対し台湾軍はいつも人員不足に悩まされている。軍役につく台湾人はごくわずかで、今年初めでも台湾軍の第一線部隊の人員充足率はなんと6割を切っていた。

 

タイペイタイムズ紙が志願年齢の台湾若年層の意識調査を数年前に行ったところ、「軍勤務に無関心かつ強い抵抗感」があると判明した。

 

ある元台湾海兵隊員はこの無関心さについて「戦闘勃発の可能性が低い、敵となる存在がないのに訓練を進める理由が薄弱」と考えるからと説明している。2018年のロイター記事に過去三年で予備役隊員1千名が「訓練義務を忌避」したとある。

 

台湾住民の多くが本当に中国の脅威を意識していないのか、攻撃を受けても中国を撃退できないと考えているのか、あるいは軍勤務で「時間を無駄に使いたくない」と考えているのか不明だ。だがこの状況はアフガニスタンを想起させる。アフガン部隊では戦っても勝てないと考え敵と取引するほうが多かった。そのためここ20年にわたり米軍部隊の成果があっても状況は好転しなかった。

 

 

ロシアが2014年にクリミアを一発も撃たずに併合したのはロシアがクリミア防衛隊に抵抗すれば無駄死にになると事前説得したためだ。中国が台湾侵攻に踏み切っても同じことが発生しない保証はない。

 

台湾政府が国防予算を適正水準で維持しない場合、台湾の男女が自国防衛に立ち上がらない場合に米国民を戦闘投入し台湾防衛に生命を犠牲にするのは道徳上寛容できない。自国部隊の福祉を重要視するような国に米国民を送ることを米世論リーダー層、政府指導層が声高に唱えるのはそろそろやめてほしいところだ。■

 

Why Should American Soldiers Die for Taiwan?

ByDaniel DavisPublished1 day ago

 

Now a 19FortyFive Contributing Editor, Daniel L. Davis is a Senior Fellow for Defense Priorities and a former Lt. Col. in the U.S. Army who deployed into combat zones four times. He is the author of “The Eleventh Hour in 2020 America.” Follow him @DanielLDavis1


 

2021年10月22日金曜日

中ロ合同水上部隊が日本本土を取り囲んで航行中。西側へどんなメッセージを送ろうというのか。さらに同部隊の今後の進路へ関心が集まる。

  

計10隻の中国・ロシア海軍艦艇が日本本土沖合で合同パトロールを展開しており、日本列島沿いの航行は示威効果を狙ったものだ。

 

本日の防衛省発表では中国ロシア艦艇が本州南300マイル地点の須美寿島と鳥島の西方を航行中とある。両国艦艇は太平洋に向け津軽海峡を2021年10月18日に通過した。

 

JAPANESE MOD

防衛省が公表した津軽海峡通過後の中国ロシア海軍艦艇の動向。

 

 

日本当局の説明では各艦は国際公海を一貫して航行している。津軽海峡もその一部で、同海峡は国際海峡の扱いだ。これは核兵器持ち込みを禁じた日本に対し米艦艇が核兵器を搭載したまま通過できるようにしたためと伝えられている。

 

中国人民解放軍海軍、ロシア海軍それぞれ5隻で今回の部隊が構成されている。中国は055型駆逐艦1、052D駆逐艦1、054A型フリゲート艦2、補給艦1を、ロシアはウダロイ級駆逐艦2、ストレグシチー級海防艦2、マーシャル・ネデリン級ミサイル追尾艦1を投入している。

 

JAPANESE MOD

PLANの055型駆逐艦

 

JAPANESE MOD

PLAN の052D型駆逐艦

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PLAN の054A型フリゲート艦

 

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PLANの補給艦

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ロシア海軍ウダロイ級駆逐艦

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ロシア海軍ステレグーシチー級海防艦

 

JAPANESE MOD

ロシア海軍のマーシャル・ネデリン級ミサイル追跡艦

 

このうちマーシャル・ネデリン級はマーシャル・クリロフのようでソ連時代の宇宙開発支援用に建造され多が同時にミサイルテストのデータ収集にも投じらたが民生用に改装されたといわれてきた。同艦はロシア太平洋艦隊に編入されており、今年初めにはハワイ群島に異常なまで接近して演習に投入されていた。

 

「中ロ海軍艦艇が津軽海峡を同時通過したのは今回が初めてだ」 磯崎仁彦官房長官は報道陣に説明していた。「日本政府は重大な関心をもって中国ロシア海軍艦艇の日本周辺での動きを注視していく」

 

防衛省からは駆逐艦JSたかなみ、やまぎり、掃海艇いずしまが中ロ艦艇を追尾していると発表があり、P-3Cオライオン哨戒機も投入されている。本日、ロシアのKa-27ヘリコプター、中国のKa-28ヘリコプターが艦上発進するのを探知し、自衛隊が戦闘機をスクランブル発進させたとの発表も出ている。

 

JAPANESE MOD

防衛省が公表したロシアKa-27(上)、中国Ka-28ヘリコプターの写真

 

今回の中国ロシア合同部隊は10月16日に閉幕した日本海での合同演習からそのまま移動しているもので、同演習にPLANは055型駆逐艦戦隊も投入した大規模なものとなった。米海軍では055型を巡洋艦としており、PLAN最新かつ最強の艦艇だ。垂直発射管100門で対空、対艦、対地攻撃ミサイルを運用する。

 

中国共産党の意見を伝える環球時報は10月19日記事で「共同任務部隊が日本を全周する、あるいは米国領に接近する可能性」に触れている。これと別のPLAN水上部隊に055型、052D型駆逐艦、補給艦、情報収集艦が加わり、アラスカ付近までこれまでにない航路を9月にとったことがあった。ロシア海軍も今年はじめにハワイにごく近い点で演習をしており、アラスカ付近でも活動を強めている。

USCG

2021年、アラスカに接近した中国海軍艦艇を米沿岸警備隊が監視した

 

中ロ海軍艦艇は東シナ海に向かうようで日本列島をかすめるように展開し、日本に本拠地を構える米第七艦隊にも中国、ロシアの共同作戦能力を示す強いメッセージとなりそうだ。中ロ両国は日本と領土をめぐり意見の対立がり、その他の地政学上の争点が多数ある。

 

また同部隊あるいは一部が東シナ海入り後に個別の動きを示す可能性もある。あるいは南方に針路を転じ台湾に向かう可能性もある。中国は台湾との緊張の度を高めている。台湾防空識別圏内に中国は軍用機多数を飛来させ台湾当局への威嚇を狙っている。また台湾付近で海軍演習も展開しメッセージを送っている。

 

台湾をめぐる地政学的対立が中国と米国の間で急拡大しており、その他の対立点も残ったままだ。米軍は中国を「忍び寄る脅威」ととらえ主要対立国とみており、太平洋での演習を同盟国友邦国交えて展開している。

 

先週も米英豪日の海軍艦艇、航空部隊が大規模な演習海洋パートナーシップ演習(MPX)をしたばかりだ。米海軍はニミッツ級空母USSカール・ヴィンソン、英海軍は空母HMSクイーン・エリザベス、海上自衛隊はJSかがを派遣した。このうち、かがとカール・ヴィンソンはマラバール演習にも参加し、インド・オーストラリア艦艇に加わっていた。

 

このうち、かがが各演習に加わった意義は大きい。というのは日本はこれまでいずも級を「ヘリコプター駆逐艦」と呼称してきたが、空母転用工事を2018年に公式発表していからだ。今月に入り、米海兵隊のF-35Bがいずも艦上で運用を試し、転用工事の第一段階の完了を示し、同艦の性能をあらためて意識させた。

 

中国を抑止しつつ太平洋の同盟友邦各国との連帯を示すことが米主導の各演習の目的とされている。そこには米政府の戦略政策目標を支える広義の目的もある。米、英、オーストラリアの新規防衛協力取り決めでオーストラリア海軍に原子力潜水艦部隊を整備するのが、この動きを如実に示している。三国間合意でさらに広範な防衛安全保障の協力関係の道が開いた。

 

北京も黙っているはずはなく、ロシアとの共同演習に走ったのは驚くべきことではない。両国は長距離爆撃機運用として日本や南朝鮮を周回する飛行を展開している。米ロ関係の冷え込みも北京クレムリン間の接近につながっている。

 

中ロ艦艇がどちらへ向かうにせよ、太平洋で米軍が同盟国友邦国と共同活動を続ければ、中ロ両国も合同海軍作戦を増やしそうだ。■

 

 

Armada Of 10 Chinese And Russian Warships Is Sailing Around Japan

 

The joint patrol first passed through a 12-mile-wide strait between Japan's main islands in an already significant show of force.

BY JOSEPH TREVITHICK OCTOBER 21, 2021

 


米軍の超小型原子炉テストにイールソン空軍基地(アラスカ)が選定された。軍用電力供給源として原子力の持つ意義とは。

 

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福島事故のため日本では原子力の活用については思考停止していますが、地球温暖化対策以外に伸びる一方の電力需要への対応では依然として原子力は有望な選択肢のままです。さらに今回米軍が進める超小型原子炉に注目したいところです。

 

A satellite image of Eielson Air Force Base in Alaska with an inset showing a notional small nuclear reactor design.

 LOS ALAMOS NATIONAL LABORATORY

 

空軍から発表だと、イールソン空軍基地(アラスカ)を新型小型原子炉のテスト実施場所になりそうだ。米軍とエナジー省は小型原子炉による電力供給で伸びる一方の電力需要に応える方法の実現を前向きに検討しており、同時に化石燃料依存を減らしコスト減と効率向上を狙っている。

 

空軍省はイールソン基地を試験炉の設置場所に選定したと10月18日に発表。同基地はアラスカ内陸部に位置し、フェアバンクス近郊で北極圏から110マイル南にある。同基地には354戦闘航空団が常駐し、F-35A共用打撃戦闘機やF-16ヴァイパーのアグレッサー部隊、アラスカ州軍航空隊の168給油航空団がKC-135を運行している。

 

「ミッションの継続実施のカギを握るのはエナジー供給だ」と空軍次官捕(環境安全インフラ担当)のマーク・コレルが発言している。「超小型原子炉は有望な技術でエナジー供給の復元力となり安定性を実現する。また国内軍事基地の電力需要や暖房を賄える。イールソンAFBが典型的な場所だ」

 

イールソン基地に設置される原子炉の諸元は不明だが、原子力規制委員会(NRC)が認証し、契約企業の所有で運用する構想で、臨界量にいつ到達するか、完全出力達成の日程もわからない。空軍からは2019年度国防認可法(NDAA)で2027年までに超小型原子炉を完全運用状態にする目標を実現するとだけ発表があった。

 

今回の原子炉は国防長官直轄の国防戦略能力整備室(SCO)が進めるプロジェクト・ペレの一部のようだ。その目標は小型原子炉で1から5メガワットの電力を実現することにある。これに対し民生原子力発電所は数百,数千メガワットを発電している。超小型原子炉のプロジェクト・ペレでは原子力潜水艦用原子炉よりさらに小型の原子炉での発電を目指す。ちなみに米海軍のヴァージニア級潜水艦はS9G原子炉で40メガワット出力を実現している。

 

プロジェクト・ペレの原子炉ではTRISO型被覆燃料を使う。「TRISOの粒子Iはウラニウム、炭素、酸素の燃料カーネル構造となる」とエナジー省が説明している。「カーネル炭素、セラミックの三層構造とし放射性分裂生成物の放出を封じ込める」。TRISO核燃料は従来型の核分裂物質より高性能を発揮しながら、安全に取り扱える。このため従来より小型でも信頼性の高い原子炉を実現できる。

 

今年3月に国防総省はプロジェクト・ペレ原子炉試作型の実現のためX-エナジーBWXテクノロジーズの二社に契約交付し、今後二年で完成させ、最終版を決定する。2022年度末に超小型原子炉の仕様が決まると期待されている。

 

空軍はイールソン基地選定の理由に触れていないが、国防総省、エナジー省、その他独立機関から超小型原子炉の試験設置場所の条件が以前から提示されている。立地条件と既存の電力施設がカギだという。

 

USAF

イールソン基地内の石炭火力発電所

 

同基地は遠隔電力供給の課題の典型で、補給兵たん活動や化石燃料依存の面でも課題を現している。特に後者に関し、米軍は世界規模の気候変動による安全保障リスクへ懸念を深めており、化石燃料依存の軽減策を検討している。気候変動によりこれまで使えなかった資源地帯へのアクセスや北極海航路が実現するが、すでに次の対決場所になるともみられている。つまり、イールソン含むアラスカの各米軍基地の意義が高まる。

 

イールソン基地では石炭利用が環境・経済面で重荷になっている。基地の発電施設やインフラがそこにからむ。空軍はディーゼル機関車数量を保有し、同基地へ石炭を輸送している。

 

USAF

空軍保有のEMD GP40-2型ディーゼル機関車がイールソン基地の運用を支えている

 

 

「冬季は電力需要が最大規模となり、13から15MWe(メガワット)で一日800トンの石炭を消費する」と2018年に独立系の原子力エナジー研究所(NEI)が指摘している。「同基地には90日分の石炭備蓄があり、石炭は解凍してから燃焼されている」

USAF

イールソン基地内に貯蔵されている石炭

 

イールソン基地の立地条件と同基地が空軍で主要な基地であることから安全面及び規制面で効果が期待される。「アラスカ初の超小型原子炉を軍事基地に設置するならイールソン空軍基地が最右翼との意見は幅広い関係者から出ている」とアラスカ大フェアバンクス校のアラスカエナジー電力センター(ACEP)が報告書で指摘している。

 

プロジェクト・ペレの目標は小型原子炉開発により既存施設の電力需要をまかなうことにあるが、同時に最前線など戦場にも配備可能とすることも含まれている。大量のガソリン、ディーゼル燃料などの供給に実戦部隊は依存したままだ。

 

DOD

戦場で移動型原子炉をどう活用するのかを説明する図

 

新型TRISO燃料の超小型原子炉による信頼性の向上が実現すると推進派は主張するが、安全面や安全保障面での懸念も存在する。たとえば、原子炉が敵の攻撃を受ける、あるいは敵勢力に捕獲されたらどうなるのか。TRISO燃料はメリットもあるが、環境問題に意識が高い向きからは核廃棄物問題で懸念する声もある。

 

あわせて、イールソン基地の19,780エーカー(約80平方キロメートル)に及ぶ敷地は米環境保護庁(EPA)によるいわゆる「スーパーファンド対象地」に指定されていることも重要だ。毒性化学物質で汚染され、「閉鎖系だが今も埋め立てが進んでおり、浅い溝にタンク内のスラッジが埋められ、ドラム缶貯蔵区もある、その他廃棄物が残る場所もある」とある。最近でも消火用泡に含まれるフッ素置換剤による汚染も見つかっている。

 

2021年1月のACEP報告書では超小型原子炉の設置場所をめぐっては「社会の感情が大きく決定に作用しそうだ」との指摘もあった。

 

イールソン基地に超小型原子炉を設置するのはまだ数年先のことだが、それまでに世論やその他条件が構想に影を落とし日程が影響される事態もありうる。同時に米軍全体として小型原子炉による大量のコスト競争力に富んだ電力が将来の戦場のみならず日常の軍の活動を支える可能性に期待が高まっている。■



This Alaskan Air Base Will Host An Experimental Mini Nuclear Reactor

The military hopes its new mini nuclear reactor will lead to new battlefield energy capabilities and help power its sprawling installations.

BY JOSEPH TREVITHICK OCTOBER 20, 2021

2021年10月21日木曜日

海上自衛隊が初の燃料輸送艦建造に踏み切った理由に深刻な日本の安全保障の仕組みの欠陥が見える。YOTは4,900トンの内航仕様の輸送艦のようです。

 Japanese Shipyard Launches First Yard Oiler Tanker for JMSDF

YOT-01は排水量4,900トンで防衛省が昨年発注したもの。

Picture by local ship spotter @crazyquail_BT

 

上自衛隊が発注した燃料輸送艦2隻のうち初号艦が新来島どっく波止浜造船所(愛媛県今治市)で進水した。

 

「YOT-01」(4,900トン)は防衛省が昨年発注した二隻のひとつ。

 

今回建造された燃料輸送艦は沖縄南西諸島方面に展開する自衛艦用の燃料を基地へ輸送する。このため、設計上で「洋上燃料補給」UNREPの想定はない。

 

これまで海上自衛隊は燃料輸送を民間船舶の用船で行ってきたが、有事に民間企業から業務実施を断られる可能性があるため、YOT艦で自前での燃料輸送を行うことにした。

 

燃料輸送艦は2022年春に就役予定で、製油所から燃料を海上自衛隊基地へ運搬する任務につく。海上自衛隊が独自の燃料輸送艦を保有するのは今回が初めて。■


Japanese Shipyard Launches First Yard Oiler Tanker for JMSDF

Xavier Vavasseur  20 Oct 2021


北朝鮮の新型SLBMの正体を推察。同国発表をうのみにすると情報操作に踊らされかねず危険。潜水艦発射だったのか疑わしく、飛翔パターンも失敗の可能性も秘める。

Pictures North Korean released of what it said was the test of a new submarine-launched ballistic missile.

NORTH KOREAN STATE MEDIA

朝鮮が新型潜水艦発射弾道ミサイルSLBMを試射し、優れた飛翔制御を実証したと発表した。今回のミサイルはこれまでの北朝鮮SLBMよりかなり小さい。

同ミサイルへの関心が高まっているが、既存型式なのか新型かで評価が分かれている。

試射は2021年10月19日、東海岸の北朝鮮潜水艦運用の中心地シンポ付近で行われた。南朝鮮メディアは同ミサイルは430から450キロ飛翔し、高度は60キロに到達し、日本海へ落下したと報じている。南朝鮮政府は早くからSLBMと断定していたが、米政府は発射の事実を認めながら、ミサイルの種類については発言していなかった。日本の岸田文雄首相は北朝鮮がミサイル二発を発射したと発言したが、事実と反するようだ。

NORTH KOREAN STATE MEDIA

北朝鮮国営メディアが2021年10月19日のミサイル発射の写真を公表した。

NORTH KOREAN STATE MEDIA

NORTH KOREAN STATE MEDIA

NORTH KOREAN STATE MEDIA

NORTH KOREAN STATE MEDIA

潜水艦発射型ミサイルのモックアップが先週ピョンヤンで公開されていた

 

「朝鮮国防科学院が新型潜水艦発射型弾道ミサイルの試射を19日実施した」と北朝鮮国営メディアが報じた。「初の潜水艦発射型戦略弾道ミサイル発射は5年前のことで、今回新型ミサイルを『英雄艦8.24』から発射したことでわが国の軍事力を見せつけた。党中央委員会への忠誠心がこの誇らしい成果を生んだ」とある。

ミサイル発射の実態は全く不明だ。北朝鮮国営メディアは同国に一隻のみあるコレ(鯨)級潜水艦の写真を公表し、同艦が名称不詳のミサイルを発射後に浮上したとした。同艦の写真を見ると発射ハッチがセイルにあり、開いたままだ。同時に衛星画像ではシンポのSLBM発射用バージが10月18日に港外に移動したことがわかる。

NORTH KOREAN STATE MEDIA

北朝鮮コレ級潜水艦の写真も公表された。同艦のセイル上の発射ハッチが開いている。

「国防科学アカデミーの発表で新型潜水艦発射型弾道ミサイルには高度の制御誘導技術が盛り込まれており、横方向移動のほか滑空ジャンプ操作も可能で、祖国の国防技術の進展で大きな一歩を示した」と北朝鮮国営メディアが伝えている。

北朝鮮からはこの主張を裏付ける資料は一切公表されていない。「滑空ジャンプ操作」とは「イルカジャンプ」あるいは表面跳躍のことかもしれず、兵器本体あるいは再突入部分が先頭を起立させ飛翔速度を減じ、不規則な軌道を飛翔の最終段階で示すことだ。これにより飛翔コースを変更するとともに兵器の射程を延ばす効果が期待でき、防衛側の迎撃を困難にする。

再突入部分をミサイルから分離したとすれば、岸田首相が言うように日本は二発のミサイルと認識した事の説明になるが、誤りの可能性がある。

今回のテストで発射されたミサイルが比較的短距離対応だったようだ。国営北朝鮮メディアの発表は今回のミサイルが「戦略級」でなく、通常弾頭搭載だったこと可能性が出ている。通常弾頭SLBMは南朝鮮も最近テストしており、強化施設さらに重要拠点の攻撃に効果を発揮する。

今回のミサイルが小型であるのは北朝鮮でミサイル発射用に改装された潜水艦搭載用だ。コレ級に加え、北朝鮮はロメオ級ディーゼル電気推進型潜水艦を弾道ミサイル発射用に改装中でミサイル搭載数を増やそうとしている。

NORTH KOREAN STATE MEDIA

金正恩が2019年にロメオ級潜水艦の弾道ミサイル運用改装工事を視察した。

北朝鮮のその他のSLBMより射程が短いが、南朝鮮国内あるいは日本を標的とするのなら問題はない。小型潜水艦部隊に短距離SLBMを搭載し展開させれば残存性が高いまま各所から多数の目標を攻撃可能となり、敵対国には対応が課題となる。

今回のミサイル性能はともかく、北朝鮮が新型SLBMのテストを行った意味は大きい。少なくとも2019年以降で初のSLBMテストだ。また1月に北極星5型とされる大型新型SLBMも公表しているが、テスト実施の発表はない。

南朝鮮は今回のテストに先立ち、独自に通常弾頭SLBMを島山安昌浩級通常型潜水艦から9月に発射している。南北朝鮮の軍拡レースでともに新型弾道ミサイル、巡航ミサイルが公表されており、北朝鮮はさらに極超音速滑空体を搭載したミサイルもテストしている。

今回の北朝鮮SLBM発射前に北朝鮮問題の米特使スン・キムが南朝鮮特使Noh Kyu Dukとワシントンで会談している。キムは今週ソウルを訪問予定で北朝鮮との交渉再開について協議する。

「米国はDPRKが弾道ミサイル発射に踏み切ったことを糾弾する。発射は国連安全保障理事会決議に違反しており、域内安全保障への脅威だ」との国務省声明を聯合通信が伝えている。「DPRKにはこれ以上の挑発行為を自粛し、対話の継続を求めたい。米国による大韓民国及び日本への防衛の姿勢は不変だ」

北朝鮮からは最近になり交渉への関心を示す兆候が出ている。表面だけかもしれないが、人道援助や制裁解除が焦点だ。金正恩は先週の兵器展示会で軍備拡張を続け、テストも付随して継続すると公言した。SLBM発射もその一環で南朝鮮及び米国の侵略に対応する同国の基本的な権利だとした。

UPDATE:

高解像度写真が公表された。左上の写真では大型エンドプレートが吹き飛ばされている様子が見える。

KCNA

 

高解像度写真を見ると今回のミサイルは地上発射型短距離弾道ミサイルKN-23との類似性が見える。今回発射されたのはKN-23を潜水艦発射型に改装した可能性がある。■

New Short-Range Submarine-Launched Ballistic Missile Tested By North Korea (Updated)

The missile appears to be very similar to a mysterious short-range type that Kim Jong Un recently showed off at an arms showcase in Pyongyang.

BY JOSEPH TREVITHICK OCTOBER 19, 2021