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RQ-4Nはこうしてイランに撃墜された

A War Begins? How Iran Shot Down a U.S. RQ-4N Surveillance Drone イランは米RQ-4N偵察無人機をどう撃墜したのか。

June 21, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: IranU.S. MilitaryUAVsWarPersian Gulf

2019年6月20日早朝、イラン海沿いの街ゲロウクGerouk近くで移動起立発射トラックがミサイル3発を搭載するフェイズドアレイレーダーが捕捉した標的に角度調整していた。同地はホルムズ海峡で最も狭くなっている部分を見下ろし、眼前を巨大タンカーがペルシア湾からインド洋に出入りしていく。
標的機は大型米海軍無人機RQ-4N広域海洋監視無人機(BAMS-D)で翼幅35メートルとボーイング737に匹敵する。空軍でかつて供用したRQ-4Aを改装したBAMS-DはMQ-4Cトライトンの試作機だった。
RQ-4Nは海軍のVX-20試験評価飛行隊に所属し、アラブ首長国のアルダフラ航空基地を真夜中に発進したと言われる。離陸は専用パイロットが遠隔操縦し、ペルシア湾上空を時速350マイルと通常の航空機より低速で高度100千フィートの成層圏で飛行していた。
大型UAVの同期は南東に上昇し狭いホルムズ海峡を下図のように周航した。
同機の操作員は飛行高度を下げる調整を強いられた。赤外線センサーで船舶を探査、あるいは電磁ESMセンサーで近隣のレーダー信号を探知していたはずだ。
4:30 AMに北西に戻るとサヤード-2Cミサイル一本が発射され、マッハ4に加速された。
RQ-4にはAN/ALR-89防御装置一式が搭載され、レーダー警告受信機から操縦者に脅威の接近が知らされたはずだ。だがミサイルを振り切ることは不可能なままALR-89レーダー妨害装置を作動させていたのではないか。
対策をとっていても結果を不可避だった。サヤード-2Cミサイルの弾頭から破片が機体を貫通し、100百万ドルの同機はホルムズ海峡に墜落した。
イランはその後同機残骸を海上で回収したと述べてる。機体の調査結果はロシアや中国と共有されそうだ。
以上は米、イラン双方の情報をまとめたものだ。
ただし、一点が熱い議論の的となっている。イランは同機が「ステルスモード」になっていたと主張し、信号を発信させずにイラン領空に侵入しゴルクGhorukから35マイルのコーエモバラクKoh-e-Mobarak近郊で被弾したと述べている。
これに対して中央軍司令部は同機はイラン海岸線から21マイル地点のホルムズ海峡上空を飛行していたと主張しており食い違う。
グローバルホークはステルス機ではなくRQ-170ステルス機のように敵国領空に侵入することができない。RQ-170は2011年12月に操縦を乗っ取られイラン国内に墜落しているが、同機の標準任務は安全な距離から敵国を監視することに有る。
ポイントは米国無人機がイラン領空を侵害していない点ではなくそもそもRQ-4Nのような脆弱性の有る機材を領空に侵入させるはずがない点だ。
イランにはロシア、米国が原設計の防空装備を供用中
イラン革命防衛隊の航空宇宙防衛軍は各種地対空ミサイル装備を供用しており、おもに3つの種類に大別される。ロシアS-300、米ホーク、英レイピアの様な輸入装備。国内で輸入装備をリバースエンジニアリングで発展させたもの。そしてリバーシエンジニアリングした中国製品をイランでリバースエンジニアリングした装備だ。
イランのラード(「雷』)防空ミサイルはロシアのブク中距離地対空ミサイルのコピーでブクは2012年の軍事パレードで初めてその存在が知られたが、2014年のマレーシア航空MH117便を撃墜し298名の生命を奪ったことで知られる。この際はロシア陸軍の第53防空旅団がひそかにウクライナ東方に同ミサイルを持ち込んでいた。
イランがブクを輸入した事実は確認されていないが、ラードはブク-M2EK(NATOコードネームSA-17グリズリ)輸出型と類似しているように見える。
ラアドのタエルミサイルはブク-M-1-2の9M317ミサイルにほぼ同じで、有効高度は82千フィート、有効射程は31マイル、最高速度はマッハ4だ、
イランのメディアではラアド防空装備の各種型式を紹介しており、一般人には理解の混乱を招いている。最高性能を有すると言われるのはホルダド-3で名称は1982年にイラクから奪還したホラムシャール港に由来している。
ホルダド-3で発射可能なのがタエル-2Bミサイルだが別タイプのミサイルのサヤド-2Cは実は米国装備を原型としている。
1979年イラン革命の寸前に当時のイラン政府はRIM-66 SM-1海軍用対空ミサイルを輸入していた。
発射風景の写真ではSM-1から派生のサヤド-2Cの特徴の中間部分の延長が見られる。これは9M317が原型のタエル-2と大きく異なる。.
サヤド2Cはレイル発射指揮で射程46マイル、有効高度は100千フィートでRQ-4に充分対応できるが報道では同機はミサイル発射時点で高度をさげていた。
そうなるとイランはロシアが原設計のミサイル発射装置で米国でもともと開発したミサイルを発射してRQ-4Nを撃墜したことになる。
無人機攻撃は開戦を正当化できない
RQ-4N撃墜はイラン革命防衛隊によるペルシア湾での軍事活動の最新事例となりテヘランが米国による経済制裁の強化に忍耐を失いつつある状況の印だ。トランプ政権はイラン核合意から2018年に一方的に脱退している。
ただし中東では今回以外も米無人機の撃墜が相次いでいることに要注意だ。ロシアのパンツィール防空装備のメーカーからは2017年に米海軍のRQ-21ブラックジャック無人機をシリア・タルタス近郊で撃墜したと述べている。もっと最近ではイラン軍がMQ-9リーパーを携帯対空ミサイルで撃墜しようとしたし、イエメンのフーシ反乱勢力が2K12カブ(SA-6)で別のMQ-9を撃墜している。
偵察中の無人機の撃破しても開戦は正当化されない。この曖昧さを逆手に取ってテヘランは重要な米軍事装備を国際空域上空で撃墜したのか。
イランによる挑発行為は綿密に計算されていた可能性があるが、軍事衝突にエスカレートしかねないものだ。ブルームバーグは米軍が撃墜当日にミサイル発射地点の攻撃実施寸前まで言っていたと伝えており、タカ派の安全保障担当補佐官ジョン・ボルトンが攻撃を進言したというが、実施寸前で命令が取り消されたという。■

Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

コメント

  1. 米軍のECMがイランのECCMに負けたのか?どんな電波で狙ってくるのか判ってからがECMの本番なのか?イランのSAMのレーダーが新型のAESAだと言う話もあります。

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  2. ぼたんのちから2019年6月24日 21:33

    イラン革命防衛隊(IRGC)による今回のRQ-4N撃墜、及びIRGCが実行した(と推定される)タンカー攻撃は、人的損失がなく、物的損害に限るように計画されており、その意味で理性的とも言える。そうであるが故に一連の攻撃はイランの最高指導者の了解、及び指示の下に行われたと考えるべきだろう。
    ではこのような示威的攻撃の目的は何か。それはペルシャ湾を扼するホルムズ海峡に対する軍事力の誇示であり、石油消費国、特にEU・日本に対する牽制であり、同時に湾岸諸国に対する威嚇である。これはNATO、及び湾岸諸国の対イラン戦争を抑制するだろう。しかし、このような推測は表面的かもしれない。
    イランの究極的目的は核武装であり、今回の混乱の陰で、核兵器の製造を開始している可能性がある。

    返信削除

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