スキップしてメイン コンテンツに移動

米国防総省が新インド太平洋戦略を発表

The Department of Defense’s New Indo-Pacific Strategy

国防総省が発表した新インド太平洋戦略

May 31, 2019 10:11 PM

国防総省がインド-太平洋戦略報告を2019年6月1日に発表した。

報告書より


インド太平洋は国防総省にとって高優先順位地域である。米国は太平洋国家であり、インド太平洋地区の諸国とは強い絆が歴史、文化、通商、価値観を通じて存在する。米国は自由で開かれたインド太平洋の維持に責任を有し大小を問わず各国の主権を守り経済成長を公平な競争の国際ルール、規範、原理原則を通じ追求している。

各国との戦略構想の共有化は安全保障環境が複雑化しても妨げられてはならない。国家間の戦略競争は地政学的な自由体制と抑圧体制という世界観の違いから発生しており、米国の国家安全保障上で最大の懸念事項である。とくに中国共産党が支配する中華人民共和国は域内の秩序再構築を模索し軍事力の近代化、影響力の行使、他国に威圧的な経済活動を展開している。

対照的に国防総省はインド太平洋内の全国家の平和と繁栄を長期的に確保する選択を支持するものである。法規則に基づく国際秩序を脅かしたり軽視する政策や行動は受け入れがたい。全国家が等しく恩恵を受ける秩序は法規則のもとで実現する。米国はこうした共通価値観の防護、強化に責任を有している。

国家安全保障戦略ならびに国家防衛戦略はこの環境下での競合で価値観を守り勝つために強化する。このビジョンの実現のためには一層の威力を発揮できる統合部隊に同盟国提携国を加えなければならない。このために予算支出を増やしてこそ米国の同地域における影響力で望ましい力のバランスが維持され自由で開かれた国際秩序が強化されるのである。

2019年版国防総省によるインド太平洋戦略報告(IPSR)では同地域の安定と繁栄に対する米国の変わることのない姿勢を改めて確認しネットワークで繋がった地域での準備体制、パートナーシップ、促進を強調している。

  • 即応体制---力による平和と効果のある抑止力の使用には統合部隊が必要であり、いかなる事態にも戦勝できる準備を整えておく必要がある。国防総省は同盟国、提携国とともに我が方の高い戦闘力を有する部隊を前方配備する。さらに統合部隊はハイエンド敵勢力に対抗すべく強い威力の実現につながる予算支出を優先する。
  • 我が方の同盟国提携国のネットワークは戦力を増加させる構造であり平和、抑止力、共同作戦を実行する戦力の裏付けだ。国防総省は同盟国提携国との関係強化とともに新規同盟国との関係を深化させ主権を尊重しつつ公平かつ双方向の貿易とともに法の支配を堅持していく。
  • ネットワーク化地域の推進---国防総省は米国との同盟関係提携関係をネットワーク化安全保障環境へ進化させ国際法を基礎とする秩序の実現をめざす。国防総省はあわせてアジア内安全保障関係を整備し侵略を抑止し、安定を維持しつつコモンドメインへの自由なアクセスを保証していく。

インド太平洋ビジョンの推進には経済、統治、安全保障が連関しているとの認識で努力を統合していく必要がある。すべて同地域の競争力の実現に不可欠な要素だ。国防総省はその他米政府省庁、域内組織、域内同盟国提携国とともに今後も今後も法規則の上に築かれた秩序による平和、繁栄がすべての国家に共有されることを守っていく所存である。
[signed]

国防長官代行パトリック・M・シャナハン

ここをクリックすると原文が見られます。 here.

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ