With FCAS, French Air Force’s Renaissance Begins FCASでフランス空軍のルネッサンスは始まる
France's Air Force imagines new and improved concepts of operations will flow from the Future Combat Aircraft System (FCAS). フランス空軍が思い描く作戦構想は将来航空戦闘装備(FCAS)から始まる
on June 13, 2019 at 7:01 AM
パリ航空ショー開幕が来週に迫ってきたが先にフランス空軍から機材近代化事業のあらましが発表された。なかでも将来航空戦闘装備(FCAS)、指揮統制(C2)ネットワークの改修、さらにA330 MRTT給油機フェニックスに注目だ。
長く予算を削られ基地閉鎖も続いてきたフランスの国防費に転機が訪れ空軍に余裕が生まれ、21世紀型の兵力投射という目標の到達が視野に入ってきた。
次代航空戦闘装備(FCAS)こそフランス空軍参謀総長フィリプ・ラヴィニュ大将の描くビジョンの中心だ。ブレグジットにより英国の協力は失ったが、エマニュエル・マクロン大統領のもと同事業への期待は高まりを示し、いよいよ仏独を中心とした欧州プロジェクトとして正式に開始となる。フランス政府は特に強力に同事業を推進しており、完成の暁ンはラファール、ユーロファイターの後継機となるほか、UAVの大群の制御や性能改修ミサイルを高性能指揮統制(C2)ネットワークを介し運用する構想だ。(こうしてみると米B-21での説明と類似していることに気づく)
趣旨書には仏独国防相がともに昨年署名していたが、その後74百万ドル相当の契約がダッソー、エアバス両社に交付されたのが今年2月で二年間にわたりコンセプトを煮詰める。これと別にフランスのサフラン・航空機エンジン、ドイツのMTU航空機エンジン両社が共通エンジン設計を進める。
欧州でロッキード・マーティンF-35に関心が高まっているが、スペインがFCAS開発に加わる意向を示しているのは朗報で、加入で生まれる政治的な影響だけにとどまらない。三カ国しか集まらなくても欧州防衛基金の利用につながる可能性がある。スペインでもユーロファイター後継機となる。
欧州共同事業には思わぬところに難関が潜んでいることは読者もよくご存知だろう。今は政治面でも追い風だが今後どうなるかはだれにもわからない。とくに直近の欧州議会選挙でポピュリスト勢力と国粋主義勢力が議席を伸ばしたことと経済減速が気がかりだ。
ただし今後20年で何が起ころうと、FCASが完成に向かえばラヴィニュ大将の「フライトプラン」戦略構想どおりにフランス空軍の戦力は一新されるはずだ。
その他の有力空軍国同様にフランス空軍でも戦闘力を構成するのは個々の「レンガ」で、相互に噛み合い全体を構成し個々の合計を上回る効果を生むことだ。次世代戦闘機、戦闘UAV、電子妨害UAV、ミサイル、給油機、輸送機で構成する空軍部隊を地上部隊、海上部隊をつなぐため宇宙配備の通信系統、C2、情報収集監視偵察(ISR)をつなぎ連携させる必要がある。通信衛星群のバックアップも宇宙以外の手段で別途必要となり冗長性を意味する。
フランス空軍のルネッサンスでもうひとつの「レンガ」がある。新世代経にックスA330MRTT給油機でフランス空軍が「給油機のロールスロイス」と呼ぶ同機はすでに各種演習に投入されており(オーストラリア・ダーウィンでのピッチブラック2018演習等)、給油輸送機として第31空中給油輸送航空団(イストレ基地)に配属されており、フランス空軍は同型機を15機2028年までに調達する。
新型給油輸送機には高性能装備も搭載されており、同時にフランスの航空核戦力の支援にもあたる。
だが新型給油機は40年供用してきた米国製C-135の代替機材以上の意味がある。同機は一石三鳥ともなり、フランス空軍の輸送機A310、A340、C-135に代わり高い通信性能のおかげでこれまでミラージュF1/ラファール偵察機に乗っていたISR要員を乗せC2性能をフルに発揮できる。
フェニックス三号機は来年引き渡しとなり、L16-JRE (Link 16 Joint Range Extension)高性能データリンク含むStandard 2仕様となりフランス空軍がFCASで必要とする高度のコネクティビティが実現する。同時にA400Mアトラス輸送機含む新世代戦術機材の導入でフランス空軍の戦術作戦で選択肢が広がる。
第31飛行隊司令セバスティアン少佐が取材でこう述べている。「各開発事業が進行中で(HD映像ストリーミングや高性能衛星通信など)、新ConOPsではA400Mを『戦術給油機』し、MRTTは『戦略給油機』となる...しかも新型装備で大統領が長距離長時間強襲作戦のパイロットと直に連絡できるようになる」
こうした進展でり長距離遠征作戦(例 2013年マリ、昨年のシリア)や核攻撃ミッションでもフランスの国家指導部にオプションが生まれ、抑止力で信頼性が高まる大きな転機となるだろう。■
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。