2021年11月19日金曜日

水中に没したF-35Bをロシアに渡すな。米国と連携して英国が全力で東地中海での捜索回収作戦を展開中。

CROWN COPYRIGHT

 

 

軍のF-35Bが2021年11月17日空母HMSクイーンエリザベス発艦直後に東地中海に墜落したのをうけ、英国は米国に支援を要請し、機体回収をめざしている。機体に加え搭載する高性能部品等をロシアあるいは他の勢力の手に渡してはならず、同機の回収に高い優先順位がついている。

 

The Timesの国防担当ラリサ・ブラウンの記事では英国防省は米国に支援を要請し、スペインにある米サルベージ装備の利用を期待しているとある。

 

CROWN COPYRIGHT

HMSクイーンエリザベスに着艦する617飛行隊のF-35B fr May 2021, ahead of Exercise Strike Warrior.

 

匿名英海軍筋がThe TimeにF-35Bの墜落地点は正確に把握できていないと語っているが、墜落は発艦直後だった。ただし墜落地点は同艦から相当離れている可能性もある。

 

そこで期待が集まるのが米国の曳航式ソナー位置把握装備 Towed Pinger Locator 25(TPL-25)でF-35Bの発する緊急ビーコンをとらえ、正確な場所を把握できる。同装備は現在、事故地点に向かっている。

 

米海軍によれば重量が60ポンドのTPL-25は軍用機民生機を最大深度20千フィートまで把握できるという。艦艇が曳航し、音響信号を捉え、操作員に伝える。

 

U.S. NAVY

The Towed Pinger Locator (TPL-25).

 

 

同じ筋から墜落機は遠隔操作の水中機と膨張式バッグで浮上させるとの説明がある。その後機体は最寄りのRAF基地があるキプロスへ運ぶのだろう。

 

他方で英軍は付近海域で警戒を強めており、外国勢力が機体のありかをつきとめ回収することのないよう目を光らせている。HMSクイーンエリザベス他艦艇が本日もギリシアのクレタ島沖合を周回しているが、機体回収とは関係ない動きなのかもしれない。

 

さらに匿名のRAF筋はThe Timesに「ロシアがF-35の入手に走ることは想像に難くない。実行できるかは兵たん面の条件次第で、それは当方も同じだ」と語っている。

 

ただし、The Timesはここでも英海軍筋を引用し、ロシア海軍には「墜落機回収の装備が付近にはない」としており、水中での諜報活動が外大きな交問題に発展する可能性もあると指摘する。

 

海底から墜落機を回収した事例は前にもあるが、容易とはとても言えない。特に大深度では難易度が高い。今回のF-35Bは1マイル超の海底にあるといわれる。他方で報道によれば同機は発艦直後に墜落しており、低エナジー状態つまり、大きな損傷なく沈んだ可能性がある。

 

F-35では今回の英海軍事件に先立ち海中水没事例がある。今回のパイロットは英空軍あるいは英海軍所属のいずれかで機外に安全に脱出したが、航空自衛隊(JASDF)のF-35Aパイロットは2019年4月の日本沖合墜落時に死亡している。

 

その後日本機の位置は突き止められたが、パイロットの遺体回収にはさらに二カ月かかった。同機のフライトレコーダーは回収したものの損傷がひどく再生できなかった。機体の残骸は大部分が海底で分散した状態で見つかった。ただし、一部は墜落地点付近に浮かんでいるのが見つかった。機体尾部は捜索の結果、墜落からほどなくして見つかった。同機の小型部品でさえ、海外勢力の手に渡れば情報戦の大きな収穫となってしまう。英国のF-35Bでも同じだ。

 

JASDF機の捜索ではTPL-25に加え、ケーブル制御式の水中回収機21Undersea Recovery Vehicle 21(CURV-21)も投入され遠隔操作で海底を捜索した。これも深度20千フィートまで活動可能ででソナー、カメラを搭載し対象物の場所を突き止める。捕捉用アーム等を取り付け物体の回収も可能だ。米海軍はCURV-21を2017年に投入しアルゼンチン潜水艦ARAサンファンの沈没地点周辺を捜索した。


U.S. NAVY/LT ALEX CORNELL DU HOUX

アルゼンチン潜水艦ARAサンファンの事故を受け、米海軍は調査船 R/V AtlantiからCable-controlled Undersea Recovery Vehicle 21 (CURV-21) をコモドロ・リヴァダヴィア沖合に投入した。

 

日本の事例を念頭に、またロシア海軍がシリア付近に展開していることもあり、全力を挙げて機体の位置を突き止めるだけでなく機体を完全に浮上回収しようというのだろう。今回のF-35Bには安全保障上のリスクがある。機密素材や機微な製造技術が満載の同機から産業上のインテリジェンス情報が入手できる。

 

ロシア海軍には特殊任務用の潜水艦多数があり、深海での作業が可能で、有人無人の深海艇もある。最近もこうした艦がノルウェイ沖合の水中センサーネットワークと関連したケーブルに干渉した疑いがもたれている。ロシアには航空機含む水中物体を探知回収可能な特殊装備ヤンターもあり海洋調査装備と称している。

 

他方で英国防省はHMSクイーンエリザベスが初の作戦航海を無事終えたばかりで、もともと少ない第五世代機を喪失した今回の事故原因調査を続けている。■

 

 

Britain Wants America's Help In The Race To Retrieve Its Crashed F-35 Off The Seafloor

 

Time is of the essence as the United Kingdom seeks to prevent any parts of the stealth fighter from falling into the wrong hands.

BY THOMAS NEWDICK NOVEMBER 18, 2021


極秘RQ-180(制式名称ではない可能性あり)「ホワイトバット」の実機公開が近づく予兆。HALE無人ISR機にはB-21との関連もあるのか。実用化されれば革命的な変化をもたらす。

 Render of stealthy flying wing ISR aircraft

YOUTUBE SCREENCAP

 

ホワイトバットと呼ばれる機体が謎のRQ-180と関連するのか、今回米空軍がその名称と同機と思われる姿をビデオに登場させたことに注目だ。

米空軍の極秘装備「RQ-180」高高度長時間滞空(HALE)全翼機形状ステルス無人機をめぐる報道がここにきて急増している。同機らしき姿の目撃談三例に続き、カリフォーニアとネヴァダにまたがる飛行テスト空域で、さらにフィリピン上空と目撃例が出ており、同機の公式発表が近づく予感がある。

空軍公開のビデオは「今日に引き継がれる偉業、ISRと技術革新」の題で空軍の情報収集監視偵察(ISR)ミッションのこれまでの変貌を短く展望している。その終わり近くでグローバルホークが飛ぶシーンがあり、ナレーションでは「気球や複葉機の時代がホワイトバットへと変貌した」とある。この時点で短いカットでステルス全翼機のHALE無人機の姿が入る。その姿はAviation Weekが伝えたRQ-180の姿に酷似している。(ただし、RQ-180の呼称が本当に存在するかは不明であることに注意)

これはプレースホールダーとしてとりあえず登場した姿なのだろう。実際の形状を見せることはない。さらにこれまでの機体形状に符合しない。HALEが一機種だけというつもりはない。中国も同様の機体をCH-7「レインボー」の名称で開発を続けている。

とはいえ、「ホワイトバット」の名称がつくISR機材にはRQ-180以外は考えられない。繰り返し目撃が伝えられているステルス無人機と外形が一致しているが、ニックネームと運用部隊関連情報が直接つながる。

Aviation Week記事にはその後追加ソースから同機には非公式ながら「グレイトホワイトバット」や「シカラ」の名称がついているとある。シカラとは1995年公開のジム・キャリー主演映画「ジム・キャリーのエースにおまかせ!Ace Ventura 2に登場した架空の白コウモリの名前だ。

その後、Aviation Weekはさらに空軍が第74偵察飛行隊をビールAFB(カリフォーニア)に発足させ、RQ-180運用を遠隔で実施していると伝えた。同部隊の記章には大型白色コウモリの姿あり、伝えられるRQ-180の愛称に符合する。

AVIATIONGEAR.COM

第74偵察飛行隊の記章には白色コウモリの姿が描かれている。ラテン語による標語に注意。「アクセス可能」の意味で深度侵入型ISR機にぴったりではないか。

そうなると、ここから何がわかるのか。公式ビデオに特別に文言、画像が挿入されて板のには驚かされる。ISR機材とともに戦場の通信、ネットワーク化に革命をもたらす同機が現存するとの確認が近づいているのだろう。

USAFがステルスHALE無人機について堂々と課tるのがいつになるか読めないが、同システムがB-21レイダーおよび敵地侵攻能力の開発に関連しているのは明らかだ。B-21の公式発表も近づく中で、同時に同機の存在についても公表されるのではないか。その場合はいつになるかは別として、いったん同機の存在が公表されれば、関連する支援インフラが完全稼働状態になるはずだ。同機が実際の作戦に投入されるのはまだ数年先かもしれない。グローバルホークの場合も同じ経緯があった。なお、グローバルホークは部分的にせよ退役が近づいている。

とはいえ、空軍は大きな断片情報を積み上げており、「ホワイトバット」の存在が次第に明らかになりつつある。背景に意図がある。同機の作戦内容が広がれば、存在を隠し通すのが困難となり、なんらかの形で情報公開が必要となるからだ。■

Secret RQ-180 "White Bat" Spy Drone Alluded To In New Air Force Video

BY TYLER ROGOWAY NOVEMBER 18, 2021


B-52は百年爆撃機になる。各種改修を受け、新型装備を導入し、現在のB-52は製造直後と別の機体になった。

 

 

 

B-52ストラトフォートレスは永遠に飛行し続けるのだろうか。決して非現実的と言い切れなくなってきた。時の試練を経た冷戦時の爆撃機は100年供用を実現すべく、今後も改修を受けていく。

 

同機にはかつてはじゅうたん爆撃のイメージがついてまわっていたが、今やサイバー回復力に富んだ電子戦装備を施し、極超音速ミサイルの発射に対応し、デジタルネットワーク機能を備えた爆撃機として、新世代の空中投下爆弾各種や精密誘導巡航ミサイルを運用する機体に変身している。その変貌ぶりは大きく、B-52は百年間飛行し続けることになる。 

 

各種改修作業の背景には数十年前の製造の機体構造が頑丈で、強く、しかも今後も供用可能なことがある。一部で補強や保全が必須となったが、米空軍の兵装開発部門は今後も時の経過に耐えうるとしている。

 

機体構造以外では現在のB-52は大幅改修を受けたことで製造時と別の機体になっているといってよい。最先端新技術各種が導入され、現代の戦闘環境に適合できるようになった。改修は長期にわたり実施され、内容は多岐にわたる。

 

空軍は数年前から同機の通信機能の改修に乗り出し、リアルタイムで飛行中に情報収集の実現を狙っている。この装備は戦闘ネットワーク通信技術 Combat Network Communications Technology (CONECT) と呼ばれ、B-52のデジタル機能の中心として、標的情報の更新、地形、敵の動きなど重要なミッションデータの活用を可能とする。2016年7月14日付の空軍報道機関向け資料ではCONECTにより機内の搭乗員がLANを利用するのと同じ形で作戦状況を共有可能になるとあった。

 

機内ディスプレイは相互につながり同じチャンネルを注視できるとの説明もあった。従来はあらかじめプログラムした標的情報、ミッション情報に依存していたが、CONECTにより乗員はリアルタイムで標的侵入経路の変更情報を利用し、脅威環境の変更に対応可能となる。

 

さらにB-52エンジン換装が行われる。これで性能が大きく向上する。これ以外には機内兵装庫の改修を複数年度かけて実施することが大きい。これにより兵装搭載量が増え、レーザー誘導共用直接攻撃弾(JDAM)、共用空対地スタンドオフミサイル(JASSM)、さらにJASSM射程延長型ミサイルの運用が可能となる。こうした兵装類の利用拡大には小型空中発射式おとり飛行体やそのジャマー版も含む。

 

こうしたパラダイムを一変させる改修ではさらに極超音速兵器の運用もB-52で想定されている。これにより同機からマッハ5での高高度高速攻撃が実現する。その準備として空軍はAGM-183空中発射式迅速反応兵器を600カイリ地点で発射するシミュレーションを実施している。■

 

 

No Joke: The B-52 Is As Modern a Bomber as they Come

November 17, 2021  Topic: B-52 Bomber  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: B-52US Air ForceTechnologyBombersMilitaryAir-to-Surface Missile

by Kris Osborn

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University. 

This article is being reprinted for reader interest.

Image: Flickr



2021年11月18日木曜日

オットーエイビエーションのセレラ500Lが空に革命を呼ぶ? 試作機は良好な性能を示したとのこと。2025年量産をめざし、低費用低排出の機体となる。

 


  • ターミナル1、2共通記事です。これだけの画期的な性能がピストンエンジン一基で実現するのなら本当に革命的です。米国民のエアライン、空港への不満ぶりは相当のようで、手が届く料金なら各地へ直行するエアタクシーになるのではないでしょうか。軍用となると連絡機、それとも特殊作戦の移動用でしょうか。

Otto Aviation's prototype Celera 500L aircraft.OTTO AVIATION

 

 

ットーエイビエーションOtto Aviationはセレラ500Lのフライトテストで野心的な目標達成のめどがついたとする。

オットーエイビエーションによればセレラ500Lのフライトテスト第一段階が完了し、革命的といえるほどの高性能を発揮したという。同機は昨年発表されていた。試作機は計51時間のフライトを実施し、時速250マイル、高度15千フィートを記録したという。

同機は涙滴型形状、推進式プロペラ構造が特徴的で、2017年にカリフォーニア州ヴィクターヴィル空港で同機の姿が流出して以来注目されてきた。

「テストフライト第一段階で得たデータから目指す性能達成に向け順調に向かっていることがわかる」とオットーエイビエーションCEOウィリアム・オットーJrが声明文を発表した。「2025年の量産機製造目標に近づいており、これ以上の興奮はない。次のフライト段階では飛行高度、速度を上げていく」

オットーはセレラ500Lの設計の特徴である涙滴型の「層流」を最適化した形状、長い主翼、高効率複数燃料使用エンジンはすべて革命的な低コスト航空移動の実現にむけたものとする。同機ウェブサイトでは「エアタクシーモデル」を提唱している。

OTTO AVIATION CAPTURE

 

「フライトテストでは層流の状況をチェイス機の赤外線カメラで記録したが、機体表面の空気の流れの制御機能を確認できた。主翼と機体上の層流はしっかりしており、追加テストデータを得られたので、生産仕様機の実現に役立てる」

なお同機にはレイフリンエアクラフトエンジンディベロップメント(RED)のA03V12ピストンエンジンが搭載される。

「フライトでは高度15千フィートで250mph超の速力に達し、めざすのは50千フィート、460mphだ」と同社発表にある。これまで同社は最低でも4,500マイルの航続距離、航空燃料ガロンあたり18から25マイル、飛行時間コスト目標を328ドルと現在飛行中のターボプロップ機やビジネスジェットの数分の一の水準にしたいとしてきた。

OTTO AVIATION

セレラ500Lと同サイズのビジネスジェットを比較している

 

「これまでの航空機の世界は0.5%の改良をあちこちに加えてきたようなものだ」とオットーエイビエーションの最高技術責任者デイヴィッド・ボーグが今年はじめ Air & Space Magazine に語っていた。ボーグはボーイングで737-700の実現に尽力した人物だ。「だがこの機体では400%の改良をねらう。まさしく驚異的な結果となる」

効率化を狙った革命的な性能ながら利用者にやさしい機体にするのがねらいだ。「フライトテスト結果を見るとセレラ500Lは同サイズの機体より排出量を80%減らせることが分かった」(同社による2020年12月報道資料)

OTTO AVIATION

 

セレラ500Lは試作機だが、オットーエイビエーションでは大型のセレラ1000Lの企画を進めており、貨物機並びに軍用機への発展を話題にしている。同社ウェブサイトでは無人型やハイブリッド電動機の構想も紹介している。

同社は今もセレラ500Lの量産型を実現することを最初に目指しており、小型ターボプロップ旅客機やビジネスジェットの代替需要を狙う。

OTTO AVIATION

セレラ500L量産型の想像図.

OTTO AVIATION

量産型セレラ500Lの客室内はビジネスジェット並みになる。

「キャビン高は6'2"(188センチ) あり、機内をそのまま歩ける。ラバトリーもつける。中型ビジネスジェットと全く同じレベルになる」とオットーはCNNで語っている。機体外観は「ガルフストリームに慣れた企業幹部の目には魅力的に映らないかもしれないが、エアラインでの移動で空港や保安検査で列を作り延々と待たされるのに閉口している人は多い」

オットーエイビエーションがここまで野心的な目標を達成できるか注目される。同社の目標の実現は不可能ではないもの難易度が高いと見る専門家もいる。

実現できれば、セレラ500Lさらにその後続く後継モデル各機は一夜にして空の利用を一変させる存在になる。■

 

BY JOSEPH TREVITHICK NOVEMBER 17, 2021



F-22とF-35はどこが違うのか、改めて比較検証してみた。

このブログ読者には改めて説明がない内容ですが、メディア各位にはこの記事内容を引用するとしてもF22とかF35などとおかしな表記をするのはご遠慮くださいね。

F-22 vs. F-35

IFG Family Photo, F-22, A/C 4009, LtCol Lee "Split" Bryant, F-35A, AF-3, Major Jonathan "Spades" Gilbert, F-16D, A/C 835, Major Charles Brantigan & Major Scott "Gins" Rinella, in formation over ISB, Tanker View, 15 May 2019

 

軍は世界最高峰の技術を用いるが、同時に最も恐るべき戦力を有している。国防総省は最先端装備により米国は第二次大戦後の世界に君臨している。

 

技術に加え、ペンタゴンは大規模な装備展開が可能だ。米空軍、米海軍には合計8千機があり、それぞれ世界第一位、第二位の戦力を有する。これに対し中国の人民解放軍空軍が世界第三位で3千機を運用中だ。

 

ただし米国では長く数より質を重視してきた。これはソ連時代からのロシアや中国と対照的だ。そのアメリカの価値観を象徴するのが戦闘機、爆撃機だ。好例がF-22ラプター、F-35共用打撃戦闘機の第五世代ステルス機だ。

 

ともに世界最高峰の戦闘機材といわれるが、両機種を比較すると違いが見えてくる。

 

F-22の競合相手をF-35と考えると本質を見失うことになる。

 

F-22ラプターは最高峰の制空戦闘機だ

 

2005年から供用中のF-22は制空多任務戦闘機で、初の実用ステルス戦闘機として登場し、今日でもF-35、ロシアのSu-57、中国のJ-20と並びステルス戦闘機は四型式しかない。

 

なかでもF-22の飛行制御能力がずば抜けて高いのは二次元推力偏向機能と推力重量比の高さが理由だ。前者についてはラプターは飛行中に推力の方向をずらし、飛行方向を変更できる。後者についてF-22の機体重量は43千ポンド程度だが、プラット&ホイットニーF119-PW-100ターボファンエンジン二基で70千ポンド推力を実現している。

 

このため、F-22は高高度の低密度大気でも十分に飛行でき、高度限界は65千フィートに達する。それ以外に低空の高密度大気中では自由に機体を制御できる。航空ショーではラプターが物理原則に反する飛行ぶりを示して観客を驚かすのが通例だ。

 

F-22は大量の兵装を搭載しつつステルス性能を維持できる。同機には20mm機関砲がつき、各種爆弾や空対空ミサイル、空対地ミサイルを機内兵装庫三か所に搭載する。F-22はステルス性能を犠牲にせずに航空優勢を確保できる。

 

マッハ2へ加速が可能でスーパークルーズでアフターバーナーを使わず超音速飛行するラプターの有効飛行半径は1,850マイルだが、これは機外に増槽二個をつけての場合でステルス性能が犠牲となる。

 

だが同機の生産は2011年に終了し、空軍の調達は186機で終わった。空軍は750機の調達をめざしたが、186機のうち、運用状態の機数は少数にとどまる。

 

F-35 共用打撃戦闘機は空のクォーターバックだ。

 

F-35共用打撃戦闘機も第五世代ステルス多任務機で、三型式ある。F-35Aは通常型の離着陸に対応し、F-35Bは短距離離陸垂直着陸のSTOVL型、F-35Cは空母運用用の機体だ。

 

多任務戦闘機としてF-35ではミッションセット6通りに対応する。戦略攻撃、近接航空支援、航空優勢確保、電子戦、情報収集監視偵察(ISR)、敵防空体制制圧(SEAD)、敵防空体制撃破(DEAD)である。

 

F-35の機内兵装庫は二か所で搭載量は少ないが、ステルス機能を維持したまま航続距離は長い。

 

アフリカでグリーンベレー部隊を支援する、クリミアのロシアレーダー施設を破壊する、フィリピンでテロリストを追跡する...F-35ならすべてをこなす。

 

ただし、F-35には深刻な条件がついてまわる。共用打撃戦闘機は各種ミッションをこなせるのだが、米空軍はその実施に及び腰だ。極めて高価な装備品のF-35は事業費が1.7兆ドルとなり、その他の旧型機でこなせるミッションに同機を投入する理由がない。また空軍上層部はF-15EXイーグルII(4.5世代機)でステルス性能が不要なミッションに投入するとしている。

 

ラプターと対照的にF-35生産は継続中でしかも活況を呈している。国防総省は各型合計で2,500機の導入を目指しており、その他十数か国が500機程度の調達希望を表明している。

 

F-22 と F-35

 

F-22、F-35はともに高性能機材であるものの、想定する役割は異なる。ただし、搭載技術とミッションセットの一部は共通している。

 

F-35ではセンサーと接続性が大きく異なる。両機ともに状況認識能力が高いが、F-35ではさらに先を行くセンサー能力、情報融合能力、データリンク機能を搭載し、旧型機含む僚機の戦力を増進させる。

 

たとえば、JSFの高性能センサーでロシア爆撃機を北海で探知したとしよう。あるいは南シナ海で中国戦闘機編隊を探知した場合だ。F-15EXあるいはF-16のペアを標的に誘導できる。F-35のステルス性能によりロシア、中国側は危険が迫る状況と認知できない。まさしくF-35は空の「クォーターバック」で海軍や陸軍部隊への情報提供も可能で、秘匿性を確保したネットワークを利用する。

 

他方でF-22は「ドッグファイト機」として優秀だ。機敏な機体制御と武装多数を積み込んでいる。このため、ラプターは中国あるいはロシア相手の大国間戦闘で真っ先に投入される制空戦闘機になるだろう。強力な敵軍がさらに優秀な戦闘機部隊や対空装備、レーダーで対抗する中に旧型のF-15、F-16やF/A-18を投入すれば苦戦となる。だがラプターのステルスと強力な武装があれば厳しい環境でも活躍可能で敵機を駆逐するはずだ。さらにF-35と組み、敵防空体制を制圧し、戦域単位で侵入路を開く、あるいは戦略級の航空優勢を実現する。

 

米軍部隊の技術を世界最高峰と称するのには理由があり、F-22ラプターおよびF-35共用打撃戦闘機も強力な部隊を構成している。■

 

Why Trying to Compare an F-22 Raptor and F-35 Is Just Flat Out Wrong

ByStavros AtlamazoglouPublished23 hours ago

 

1945’s New Defense and National Security Columnist, Stavros Atlamazoglou is a defense journalist specializing in special operations, a Hellenic Army veteran (national service with the 575th Marine Battalion and Army HQ), and a Johns Hopkins University graduate.

 

2021年11月16日火曜日

米空中給油能力の抜本的なてこ入れが必要とハドソン研究所が指摘。インド太平洋での作戦支援には機材のみならず日本などの民間空港の活用も視野に入れるべきと主張。

  


F-16ファイティングファルコンがKC-135ストラトタンカーからの空中給油をアフガニスタン上空で受けようとしている。ハドソン研究所が公開したレポートは空軍の空中給油能力の現況に警鐘を鳴らしている。(Staff Sgt. Sean Martin/U.S. Air Force)

 

軍の空中給油能力が「弾力性を欠き、もろく」なっており、老朽化が進み、大国相手の戦闘継続を支えられなくなっているとハドソン研究所がレポートで警鐘を鳴らしている。

 

レポートの題名は「空中給油の弾力性、米軍のグローバル展開を守る」“Resilient Aerial Refueling: Safeguarding the U.S. Military’s Global Reach,” で、給油機部隊の現況を解説しつつ世界各地で米軍の兵力投射能力が減退していると指摘している。

 

「2021年に米空中給油能力は失速した」とあり、2021年11月15日に公表された。まとめたのは同研究所で国防構想と技術を扱うティモシー・ウォルトンTimothy Walton とブライアン・クラークBryan Clarkだ。

 

冷戦終結はすでに30年前だが、給油機はその後も世界各地で平和維持並びに戦闘任務の支援に動員されている。「遠征展開」で部隊派遣が増えているが、空軍の給油機は往時の701機規模が473機に減っており、部隊運用にストレスを感じさせている。給油機を高ピッチ運用するのが通常になると給油機部隊に余裕がなくなるというのが同レポートの指摘事項だ。

 

「このままだと航空部隊は複雑かつ分散型の作戦展開ができなくなる」とあり、「紛争時に弾力性を失った空中給油と米国の作戦構想の弱点を敵勢力が広範についてくるだろう。空中給油体制が弱点となり、米軍は侵攻の抑止・撃退に無力ぶりをさらけだしかねない」

 

もう一つ懸念されるのが給油機の機齢が平均52年と高くなっていることで、稼働率も低下している。新型ボーイングKC-46ペガサス導入の遅れも状況悪化につながっている。旧型KC-10エクステンダー、KC-135ストラトタンカー両型では退役が近づいている。

 

ハドソン研究所では空軍含む各軍で空中給油能力の拡充は避けて通れず、機数を増やす以上の策が必要だと指摘している。今回のレポートでは最優先事項はインド太平洋での航空施設を多数整備、燃料貯蔵の確保、防御態勢の強化だとしている。このため今後の10年で毎年633百万ドルを、その後は毎年400百万ドルの支出が必要と試算した。これによりインド太平洋での給油能力は63%増え、2041年にほぼ倍増することになる。ただ給油機の調達数は少なくなると見ている。

 

空軍が空中給油能力の拡充にむかわず、燃料確保にも向かわないと、有事の際に中国による挑戦に対抗できなくなるとレポートは推論している。空中給油機部隊には施設の整った航空施設が多数必要となるし、政策上の考慮も求められるとハドソン研究所は主張。

 

各機にリスクが増えれば稼働可能な給油機が制限され深刻な結果を生むともレポートは主張している。

 

国防総省は「給油機部隊の運用弾力性を引き上げるため、現行のもろい体制を分散型に変化させ、軍用民用双方の航空施設を米領也日に各国領内に確保することで、米空軍がめざすアジャイルコンバット展開構想を実現すべきだ」とレポートは指摘している。

 

給油業務の分散化をさらに進めれば燃料貯蔵庫の防御が容易となり、海上輸送も活用すれば軍は必要な燃料確保が実現するというのがレポートの主張だ。

 

レポートでは日本や南朝鮮の民間空港を米軍が使用すれば中国は標的捕捉が困難となると指摘している。民間施設に給油機が「立ち寄り」、給油後に迅速に離陸すれば作戦実行が拡大できるとする。

 

米空軍には給油機材の進化が必要だとハドソン研究所は主張している。KC-46と次世代給油機KC-Zのギャップをつなぐ機材が必要だ。このつなぎ給油機はKC-Yとして知られ、候補にKC-46あるいはロッキード・マーティンのLMXT次世代給油機があがっている。後者はエアバスA330マルチロール給油輸送機(MRTT)を改修するものだ。

 

つなぎ給油機は燃料を大量搭載しての長距離ミッションの実施能力が求められるとハドソン研究所は主張。小型機では空軍の要求に合わない。だが同時につなぎ給油機が既存機材の改修予算を吸い取ってはいけないと注意喚起している。また次世代KC-Z高性能給油機開発の予算も別個確保すべきとする。

 

空軍はKC-Z開発を加速化すべきだとレポートは主張し年間18-24機のペースで生産が必要とある。これはKC-135が予想より早く退役となり、機材全体の機齢を引き下げることで空軍は調達予算支出を増やせる効果が生まれるからだ。

 

レポートでは指揮統制通信機能の近代化も空中給油業務で実施すれば実施効率効果がさらに引き上げられるとも指摘している。■


'Brittle' air refueling capability endangers US during major war

By Stephen Losey