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水中に没したF-35Bをロシアに渡すな。米国と連携して英国が全力で東地中海での捜索回収作戦を展開中。

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軍のF-35Bが2021年11月17日空母HMSクイーンエリザベス発艦直後に東地中海に墜落したのをうけ、英国は米国に支援を要請し、機体回収をめざしている。機体に加え搭載する高性能部品等をロシアあるいは他の勢力の手に渡してはならず、同機の回収に高い優先順位がついている。

 

The Timesの国防担当ラリサ・ブラウンの記事では英国防省は米国に支援を要請し、スペインにある米サルベージ装備の利用を期待しているとある。

 

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HMSクイーンエリザベスに着艦する617飛行隊のF-35B fr May 2021, ahead of Exercise Strike Warrior.

 

匿名英海軍筋がThe TimeにF-35Bの墜落地点は正確に把握できていないと語っているが、墜落は発艦直後だった。ただし墜落地点は同艦から相当離れている可能性もある。

 

そこで期待が集まるのが米国の曳航式ソナー位置把握装備 Towed Pinger Locator 25(TPL-25)でF-35Bの発する緊急ビーコンをとらえ、正確な場所を把握できる。同装備は現在、事故地点に向かっている。

 

米海軍によれば重量が60ポンドのTPL-25は軍用機民生機を最大深度20千フィートまで把握できるという。艦艇が曳航し、音響信号を捉え、操作員に伝える。

 

U.S. NAVY

The Towed Pinger Locator (TPL-25).

 

 

同じ筋から墜落機は遠隔操作の水中機と膨張式バッグで浮上させるとの説明がある。その後機体は最寄りのRAF基地があるキプロスへ運ぶのだろう。

 

他方で英軍は付近海域で警戒を強めており、外国勢力が機体のありかをつきとめ回収することのないよう目を光らせている。HMSクイーンエリザベス他艦艇が本日もギリシアのクレタ島沖合を周回しているが、機体回収とは関係ない動きなのかもしれない。

 

さらに匿名のRAF筋はThe Timesに「ロシアがF-35の入手に走ることは想像に難くない。実行できるかは兵たん面の条件次第で、それは当方も同じだ」と語っている。

 

ただし、The Timesはここでも英海軍筋を引用し、ロシア海軍には「墜落機回収の装備が付近にはない」としており、水中での諜報活動が外大きな交問題に発展する可能性もあると指摘する。

 

海底から墜落機を回収した事例は前にもあるが、容易とはとても言えない。特に大深度では難易度が高い。今回のF-35Bは1マイル超の海底にあるといわれる。他方で報道によれば同機は発艦直後に墜落しており、低エナジー状態つまり、大きな損傷なく沈んだ可能性がある。

 

F-35では今回の英海軍事件に先立ち海中水没事例がある。今回のパイロットは英空軍あるいは英海軍所属のいずれかで機外に安全に脱出したが、航空自衛隊(JASDF)のF-35Aパイロットは2019年4月の日本沖合墜落時に死亡している。

 

その後日本機の位置は突き止められたが、パイロットの遺体回収にはさらに二カ月かかった。同機のフライトレコーダーは回収したものの損傷がひどく再生できなかった。機体の残骸は大部分が海底で分散した状態で見つかった。ただし、一部は墜落地点付近に浮かんでいるのが見つかった。機体尾部は捜索の結果、墜落からほどなくして見つかった。同機の小型部品でさえ、海外勢力の手に渡れば情報戦の大きな収穫となってしまう。英国のF-35Bでも同じだ。

 

JASDF機の捜索ではTPL-25に加え、ケーブル制御式の水中回収機21Undersea Recovery Vehicle 21(CURV-21)も投入され遠隔操作で海底を捜索した。これも深度20千フィートまで活動可能ででソナー、カメラを搭載し対象物の場所を突き止める。捕捉用アーム等を取り付け物体の回収も可能だ。米海軍はCURV-21を2017年に投入しアルゼンチン潜水艦ARAサンファンの沈没地点周辺を捜索した。


U.S. NAVY/LT ALEX CORNELL DU HOUX

アルゼンチン潜水艦ARAサンファンの事故を受け、米海軍は調査船 R/V AtlantiからCable-controlled Undersea Recovery Vehicle 21 (CURV-21) をコモドロ・リヴァダヴィア沖合に投入した。

 

日本の事例を念頭に、またロシア海軍がシリア付近に展開していることもあり、全力を挙げて機体の位置を突き止めるだけでなく機体を完全に浮上回収しようというのだろう。今回のF-35Bには安全保障上のリスクがある。機密素材や機微な製造技術が満載の同機から産業上のインテリジェンス情報が入手できる。

 

ロシア海軍には特殊任務用の潜水艦多数があり、深海での作業が可能で、有人無人の深海艇もある。最近もこうした艦がノルウェイ沖合の水中センサーネットワークと関連したケーブルに干渉した疑いがもたれている。ロシアには航空機含む水中物体を探知回収可能な特殊装備ヤンターもあり海洋調査装備と称している。

 

他方で英国防省はHMSクイーンエリザベスが初の作戦航海を無事終えたばかりで、もともと少ない第五世代機を喪失した今回の事故原因調査を続けている。■

 

 

Britain Wants America's Help In The Race To Retrieve Its Crashed F-35 Off The Seafloor

 

Time is of the essence as the United Kingdom seeks to prevent any parts of the stealth fighter from falling into the wrong hands.

BY THOMAS NEWDICK NOVEMBER 18, 2021


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