主張 台湾には核武装が必要。今すぐ。核武装させ米国は台湾防衛から手を引く。今日の中国軍事大国化を招いた原因はキッシンジャーだ。米国内に台湾のため犠牲をいとわないと考える戦略専門家は皆無に近いのが現実。
Image: Creative Commons.
アフガニスタン撤退のさなか、著者は台湾に核兵器が必要との主張をワシントンエグザミナー紙に投稿した。これに対し、海軍大学校の軍事戦略専門家で1945編集にもあたるジェイムズ・ホームズが反論を展開した。
ホームズ博士が論旨を巧妙に展開したので当方も意見を述べたい。
ホームズの主張の核心部分は「抑止戦略に核兵器はそもそも必要なのか。そうではないだろう。核兵器があれば核攻撃を防げる根拠は薄い。また台湾侵攻に核兵器が投入される可能性は皆無に近い」というものだ。
だがその想定がホームズ意見の明確な根拠には思えない。
以下はどうか。
- ホームズは「CCP(中国共産党)上層部が軍事行動に出ても核兵器投入まで行かない」とする。だが、台湾が通常兵器で互角になれないなら核兵器導入の選択肢もあるはずだ。これがないままでは台湾も南シナ海や香港同様に「サラミの薄切り」で中国の手に落ちる結果になろう。
- またホームズは「核兵器では非核兵器による侵略行為へ抑止効果が皆無に近いことを歴史が示している」とするが、違和感がある。歴史の教訓はこの逆だろう。通常兵器による侵攻に対し核兵器以上の抑止効果は存在しない。冷戦時代がその証拠だし、イスラエルの核戦力のもとにもなっている。イランがが核兵器取得に走るのを米国が憂慮するのはイラン指導部は核抑止力があれば、通常兵力を投入しても大丈夫と信じているからであり、平気でテロ活動を展開支援するようになるからだ。米国で政権交代があり核政策も変更となったため、ジョージタウン大教授ケイトリン・タルマッジがツイッターで「同盟国側の主な懸念は米国の核の傘が核攻撃以外にも通常兵器による攻撃にも有効なのかだ。核先制攻撃は行わないとの誓約は聞こえはよいが、通常兵器で優勢な敵には核兵器による対応が必要だ」と述べた。
- ホームズの主張は続く。「低レベル侵攻への報復として例えば上海を広島長崎に続く攻撃目標にするのは理屈があわない」 確かにそうだが、台湾は「低レベル侵攻」の可能性に直面しているのではなく、自由国家として存亡の危機に直面しているのである。
- ヘンリー・キッシンジャー元国務高官への疑問に基づきホームズは「台湾が核兵器配備に踏み切る可能性がある...が共産中国上層部が台湾の核兵器を認知し意思の強さを示せるだろうか」とした。ここで筆者はアメリカンエンタープライズインスティテュートのニコラス・エバースタットによる労作を賞賛したい。それによれば中国は長年の一人っ子政策やゆがんだ男女構成のため深刻な問題に直面している。高齢化が進む社会を支える若年男性を中国軍は活用せざるを得ない。人口構成がゆがんでから、中国は本格的な戦闘を経験していない。若年層の戦死者が数万名あるいは数十万名になる戦闘を実行すれば中国社会への影響は避けられない。この状況台湾の核兵力はで中国共産党トップにとって侮れない存在になる。
- ホームズは冷水を浴びせる論旨を展開した。「毛沢東はかつて核兵器を『張子の虎』と揶揄し、四分の一世紀前に中国将官が台湾のため米国はロサンジェルスを犠牲にしないはずと軽口をたたいた」。だがここに問題の核心が隠れている。同盟国のためロサンジェルスを喪失していいのか。米国が同盟国防衛を放棄すれば侵攻を招き、一線が崩されればロサンジェルスが次の標的になる。幸いにも中国が喧伝しているような台湾をめぐる核戦争は発生しそうにない。むしろ台湾をめぐり中国が行動よりも理論面に後退するほうが可能性が高い。
指導部が賢明で両党出身の大統領それぞれの戦略が一貫していれば、こうした政策論争を避けられるとホームズと筆者の見解は一致している。ワシントンには自信過剰なところがあり、過失を償う選択肢がいつも存在すると見ているが、車を運転して断崖から落ちれば、左だ右だといまさら指示してももう遅い。
戦略専門家はキッシンジャーをもてはやすのではなく短期的得失を長期的成功より重視した本人を問題にすべきだ。キッシンジャーが中国共産党にあれだけ素朴な態度で近づいていなければ、ニクソン・フォード両政権はじめ以後の米アジア各国はここまで強力な敵に対峙する事態を避けられたはずだ。これを議論すればまた時間がかかる。ホームズ教授が取り上げれば、面白い展開になるのだが。
とはいえ、ジョージ・W・ブッシュ、オバマ両政権はともに中国の南シナ海進出を阻止できず、トランプは中国の条約不履行や香港の自由圧殺に手をこまねいた後では、戦略専門家で台湾の自由の維持を目指す向きが全滅に近い事実の認識が肝要だ。
端的に言おう。台湾には今すぐ核兵器が必要だ。■
Yes, Taiwan Needs Nuclear Weapons To Deter China
ByMichael RubinPublished1 day ago
Yes, Taiwan Needs Nuclear Weapons to Deter ChinaNow a 1945 Contributing Editor, Michael Rubin is a Senior Fellow at the American Enterprise Institute (AEI).
台湾の核武装について、現実的であるか考えてみたい。その前提として、いくつかの倫理上の問題、即ち核使用による多数の死者や、米国の核兵器管理の無責任さ等は無視することにする。
返信削除台湾は、独自に核武装するのは困難であり、当然、米国が供与することになるが、その数量は多くはないだろう。つまり台湾の核使用は、戦術的なものになる。
主な核使用の対象は、PLA侵攻軍であり、台湾海峡での使用となる。しかし、ある程度分散したPLA侵攻軍に対し、その効果は限定的になるだろう。都市部の攻撃は、計画段階でも台湾侵攻の口実となる。
あるいは台湾の核武装は、習の怒りを増大させ、PLAの台湾侵攻の抑止力とならず、逆に侵攻をより強く招く可能性がある。習は、台湾が核を使用すれば、それを逆手にとって、国際世論を有利に展開させ、国内を結束させるのに利用するだろう。結果として、台湾の核武装は、PLAの侵攻時期を早めることになる。習は、台湾侵攻を決断すれば、いかなる犠牲を払っても達成しようとするだろう。
台湾が核を持った時、その核がいつまでも中国を向いている保証が無いのが日本にとって困った物
返信削除