スキップしてメイン コンテンツに移動

南シナ海で事故に遭遇したUSSコネティカットがグアムを出港。艦艇補修能力が不足の米海軍には痛い展開になるが、シーウルフ級の重要性のため高優先順位で修理が行われそうだ。一方、事故は回避可能だったとの海軍結論で艦長他が解任された。

 

USN

 

 

海軍のシーウルフ級原子力攻撃型潜水艦USSコネティカットがグアムを本日出港した。同艦は自力航行しているが、目的地は不明で、ワシントン州へ帰還の前に試験航行した可能性もある。同艦が海図にない海中山岳に衝突し損傷を受け一カ月以上が経過しているが、海軍当局は事故は回避できたと結論づけている。

 

コネティカットの出港をまっさきにつたえたのはUSNI Newsで、アプラハーバーのバースから移動しているのが航路追跡ソフトウェアで確認できた。中国国内のSCS Probing Initiativeもこれを確認している。同艦は事故発生の6日後の10月8日にグアムに入港していた。事故は南シナ海で発生したとされる。

 

「USSコネティカットは被害評価、修理、テストをグアムで受け、安全かつ安定した状態のままだ」と海軍中佐シンディ・フィールズCdr. Cindy Fields報道官(太平洋艦隊潜水艦戦隊SUBPAC)がThe War Zoneに述べている。中佐は同艦が出港したかには触れていない。

 

海軍は繰り返し同艦の原子炉及び推進系には事故で損傷はなかったと述べている。ただし海中山に衝突した際の艦体への損傷程度は不明だが、衛星画像では前方のソナードームが完全につぶれた可能性が見える。その他報道でもバラストタンク含む艦の下方で損傷が発生したとある。

 

確実なことは言えないが、同艦はグアムを離れて移動中なのか、自力航行が可能なのか確かめてから別の基地に移動するのだろう。フィールズ中佐の発言とも符合するのは海軍が同艦への損傷評価を完了していないことだが、内容不詳の「修理」および「テスト」も行っている。

 

同艦の損傷度合が伝えられるより深刻だとすれば、ドライドックに入れる必要がある。アプラハーバーにはこの作業に適した設備がないため、海軍は母港のブレマートン(ワシントン州)で大規模修理を行うと公表している。同艦が安全に外洋航行できない場合は、民間会社を雇い大型運搬船で同艦をグアムから移動させる。

 

海軍はコネティカットの修理と現役復帰を費用や時間に構うことなく真剣にとらえている。シーウルフ級が三隻しかないことを考えると理屈に合う。各艦は高性能の大型艦で需要が高く、情報収集機能が目立つほか、各種の特殊任務に従事している。シーウルフ級の最終建造艦USSジミー・カーターには全長100フィートの多任務プラットフォーム(MMP)が艦上部についており、極秘かつ危険な水中情報活動に使われているといわれる。

 

コネティカットの事故を受けて、海軍は潜水艦部隊全体に「航行安全訓練」の再受講を求めている。

 

USN

USSシーウルフの主制御室の写真は珍しい。1997年撮影

 

SUBPAC司令ジェフリー・ジャブロン少将 Rear Adm. Jeffrey Jablon は「潜水艦全体に警戒態勢解除を命じた」としており、ウィリアム・ヒューストン中将 Vice Adm. William Houston (米大西洋艦隊海軍潜水艦部隊(SUBLANT)司令官)(兼NATO合同潜水艦部隊司令官)は海軍潜水艦連盟の例会で「教訓を共有する。安全調査委員会はまだ結論を出していないが、現時点で十分な情報が判明している」と発言した。

 

11月4日に海軍からコネティカットの艦長、副長、最先任下士官を解任したと発表しており、衝突事故の責任をとらせた。海軍の見解は航行時に求められる決定プロセスに従い、航行コース決定、見張り員の職務、リスク管理をしっかり行っていれば事故は回避できたというものだ。

 

「航行では安全手続きの厳守を求めているが、同艦の乗員はそれに反する対応を示した」とヒューストン中将は発言している。コネティカットについては現役復帰し安全な運航が可能となるのがいつになるのかが今後は焦点となるだろう。■

 

USS Connecticut Left Port In Guam For The First Time Since Hitting A Seamount: Report

 

The Navy says USS Connecticut would need to go back to its homeport in Washington State for more extensive repairs.

BY JOSEPH TREVITHICK NOVEMBER 18, 2021

 


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ