2022年2月20日日曜日

ウクライナ危機 米陸軍ストライカー部隊がブルガリアへ移動。ウクライナ南部と国境を接するブルガリアへはドイツ駐留部隊が出動。

 

 

 

迅速な展開と地形を問わない運用が可能なストライカー装甲車両部隊の展開でNATOがブルガリア防衛に真剣だと伝えられる

 

防総省はストライカー装甲歩兵戦闘車両部隊の一個中隊をブルガリアに派遣する。同国はNATO加盟国であり、ロシアによるウクライナ侵攻に備えた防衛措置だ。

 

「今回派遣対象となった部隊は数日内にドイツから移動し、NATO同盟国ブルガリアの即応体制および相互作戦体制を強化します」と国防長官ロイド・オースティンがNATO本部のあるベルギー・ブリュッセルで語った。

 

ブルガリア増援には大きな意味がある。まず、同国はウクライナ南方に位置し、ロシアの侵攻経路とは無関係だ。だが、オースティン長官はロシア軍の集結状態についてウクライナ以外に黒海も顕著と指摘している。ブルガリアも黒海沿岸に位置し、ロシアによる海上からの攻撃に脆弱だ。ストライカー部隊を送ることでロシアにはNATOがブルガリア防衛に真剣だとメッセージを送れる。

 

事実、オースティン長官はNATOが結束し、憲章第五条による加盟国が攻撃を受けた際の集団防衛原則を堅持すると強調している。

 

もう一つストライカー部隊のブルガリア移動では機動性と展開力に意味がある。2015年、米陸軍はその他NATO加盟国部隊とドラグーン・ライド演習を展開し、大規模車両部隊を各地に移動させ、とくに東欧の加盟国チェコ共和国などでの展開が目立った。移動車列にはストライカー以外に戦術トラック他装甲車両が加わり、エストニアからドイツまで1,800キロを走破した。

 

その狙いとして米陸軍関係者は米軍及び同盟軍部隊を迅速かつ効率よくヨーロッパ内で移動させ展開できる能力を示すことにあった。同演習中に第二騎兵連隊がポーランド経由でバルト海各国に移動し、チェコ経由でドイツに入った。

 

このため、今回の展開には2015年当時の演習から続く戦略的な一貫性がある。米陸軍ストライカー部隊はNATO機械化陸上戦闘装備とともにブルガリアから北進し、ウクライナ増援も可能だ。

 

ブルガリアはルーマニアとも国境を接し、仮にルーマニア救援が必要となれば、あるいはウクライナ南方国境地帯の増強が必要となれば、ブルガリアからストライカー部隊が大きな役目を発揮することになる。ただし、今のところジョー・バイデン大統領は米軍部隊をウクライナ国内に展開することを厳に禁じている。■

 

US Stryker Infantry Fighting Vehicles Deploy to Bolster Bulgaria | The National Interest

by Kris Osborn

February 18, 2022  Topic: Stryker  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: NATOBulgariaRomaniaUkraine CrisisDragoon Ride

 

 

Kris Osborn is the Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master's Degree in Comparative Literature from Columbia University.

Image: Wikipedia


2022年2月19日土曜日

ロシア-ウクライナのにらみ合いで航空業界にどんなリスクが生まれているか、本格交戦となればどんな影響が出てくるか

 


2月15日のFlightRadar24ではエアライン運行状況でウクライナ上空飛行を回避しているのがわかる。 (Image: FlightRadar24)



クライナや周辺での航空輸送の混乱は今のところ軽微だが、ロシア侵攻の脅威が依然大きいため、航空会社やビジネス航空機の運航会社は、運航安全の確保に懸命になっている。国際民間航空機関(ICAO)のような多国間機関がないまま、リスク管理の方程式は複雑で変化が激しく、各企業は自国政府発表の勧告を主に参考にしている状況だ。



今週初めには、ウクライナ国際航空Ukrainian International Airlinesスカイアップ航空SkyUp Airlinesなど現地航空会社向けの保険取扱いが停止された。リース会社が機材を安全な場所に移動するなど、航空会社にも決断が迫られるケースもあった。木曜日には、スペインのブエリング Vueling が、ウクライナ路線を停止した。これに続いて、KLMオランダ航空エミレイツが2月14日から運航停止し、ノルウェー航空が同国上空飛行を停止すると決定した。


航空輸送業界では、航空会社や保険会社向けガイダンス以外に、オープンソース情報にも注目し、直面する運航リスクの完全評価を目指している。リアルタイムでの状況理解は困難だ。そこで、Osprey Flight Solutionsのような専門家集団が、クライアントのため全体像の把握を目指す。人工知能と機械学習を利用し、空域と地上の状況の体系的リスク評価を提供している。


オスプレイのチーフ・インテリジェンス・オフィサー、マシュー・ボリーMatthew Borieによれば、「飛ぶか飛ばないか」という一択判断の必要はないという。例えば、ルフトハンザオーストリア航空、スイスの各社は、ウクライナ国内空港で夜間駐機を止め、迅速なターンアラウンドでリスク軽減をしている。


ロシアとウクライナ、NATO加盟国のにらみ合いが今のところは冷戦状態にとどまっているとはいえ、安全運行を脅かす暴力の脅威は非常に現実的なものだ。戦闘機パイロットに防空システム対処方法を訓練した経験を持つ元米空軍将校のボリーは係争中の東部国境だけでなく、ウクライナ北部ベラルーシとの国境沿いや2014年にロシアが併合したクリミア地方にロシアが配備したS400およびS300ミサイルシステムの脅威を指摘する。射程200~400kmの各ミサイルが、ウクライナや近隣空域を通過する各機に潜在脅威を与えている。


「過去20年に地対空ミサイルで撃墜された3機はウクライナと関係があり、いずれも誤認されていた」とボリーは述べた。言及したのは、マレーシア航空MH17便の撃墜事件(ロシア支援を受けた民兵によるものとされる)、2020年1月にイラン防空部隊がウクライナ国際航空752便を墜落させた事件、2001年にウクライナ軍が黒海上でシベリア航空機を撃墜した事件のことだ。


ボリーは、ロシア軍とウクライナ軍間で戦闘が発生すれば、「双方が電子戦用ジャマーやスプーフィング技術で偽ターゲットを作り出すだろう。ロシアのレーダーが電磁波ジャマーを受ければ航空機を誤認する可能性が高くなる」とボリーは注意を促した。2014年初頭のクリミア侵攻以来、ウクライナ東部空域が危険なままで、航空会社多数がコストのかかる迂回経路を選んでいるが、同地帯は完全回避するよう求められている。


ロシアと衝突となれば、黒海、バルト海、ノルウェー海の上空や、ブルガリア、トルコ、ルーマニア、ポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニアなど近隣諸国の空域でも脅威がエスカレートする可能性がある。ボリーによれば、ロシア軍とNATO軍が哨戒飛行を強化すれば、民間旅客機が迎撃される可能性が現れる。


昨年8月、アフガニスタンをタリバンが制圧した際の混乱した光景が、ウクライナで展開される可能性を予見させるとオスプレイは分析している。「アフガニスタン軍がタリバンに降伏し、カブール空港の航空管制官や警備スタッフが逃げ出し、サービスが急速に低下した」という。「米軍が引き継ぐまで、離発着できなかった」。それ以来、ICAOは、有事における業務調整が実施可能になった。


ウクライナ周辺で航空機が危険にさらされる可能性に加え、政治・経済面の制裁の影響も考えられる。「ロシアへの飛行が禁止されれば、ヨーロッパ-アジア路線が中断され、航空機部品などでサプライチェーンがロシアの航空会社に大きな障害となる可能性がある」とボリーは予測する。■


Russia-Ukraine Standoff Poses Real Dangers to Aviation | Air Transport News

by Charles Alcock

 - February 17, 2022, 7:28 AM


日米同盟の進化、共同技術開発、さらに政治面の結束...CSIS-JIIA共催イベントで林外相が示した今後の方向性。

 

U.S. Indo-Pacific Command

 

 

ンド太平洋地区で敵対する勢力と課題を共有する日本は米国との同盟関係および軍事技術協力により戦略上の優位性を確保し、域内バランスの回復をめざす。

 

 

2022年2月18日に開かれた戦略国際研究センター(CSIS)と日本国際問題研究所(JIIA)共催のイベントに林芳正外相はビデオで登壇し、「インド太平洋のみならず各所で軍事面の動きの加速とともに一方的に力で現状変更する動きに直面している。いわゆるグレイゾーンでサイバー脅威も増大している」「経済力をテコに国益を勝ち取ろうとする国もある。通商関係やサプライチェーンの弱点を利用し、経済で強硬な動きが出ている」と述べた。

 

中国の軍事面での強硬な態度と急速な近代化を米日両国はインド太平洋の安全保障上の脅威と受け止め、中国に技術面での優位性を奪われる事態を恐れる両国は防衛力増強をめざすのはこのためだ。

 

林外相は米国務長官アントニー・ブリンケン、国防長官ロイド・オースティンIII、防衛相岸信夫との1月会談で日米同盟の進化が話題となり、合わせてインド太平洋方面の懸念事項を共有したと述べた。

 

同相は日米同盟による抑止効果、対応力の強化で一致した強い決意を会談で確認し、今後の脅威に対応するとした。中心となる分野には、装備の防御、共同での情報収集監視偵察活動、現実を反映した訓練、柔軟な抑止力手段の選択、戦略的メッセージの発信、両国の共同利用がある。

 

なかでも鍵となるのが日本の戦略防衛文書の方向性を米国にあわせることだと同相は述べた。日本は防衛姿勢を2013年以降初めて強化し、日本自身の国防戦略を見直し、その他防衛関連文書の改定も勧めているとした。

 

JIIAの理事長佐々江賢一郎は新たな防衛政策は2013年以降の中国、北朝鮮の動向を反映すると述べ、防衛力の迅速な整備に主眼を置くとした。

 

小谷哲夫主任研究員は日本の防衛装備供給国として米国が最大だが、防衛装備の国内製造強化を日本政府が目指し、あらたな防衛関連文書にもこれを盛り込むと述べた。

 

ただし、日本の防衛産業単独での防衛力整備は困難だ。「私見だが共同開発、共同生産でハイエンド技術の整備が強まるだろう」と小谷主任研究員は発言した。

 

林外相は技術優位性の確保のため新技術への投資を続けるとし、防衛予算の増額が必要とした。今後十年に渡り、政府は予算支出を増やしていくと述べた。

 

「防衛予算増額なくして国土防衛は不可能とのコンセンサスができている」(林外相)

 

宇宙、サイバー、人工知能、量子コンピュータ、極超音速兵器などで米国と日本は協力し、域内の安全を維持できると外相は述べた。

 

その中で中国と北朝鮮が極超音速技術を急速に拡充している。対抗して日米両国は新たな合意事項を1月に発表し、極超音速ミサイル防衛での研究開発を強化するとした。

 

小谷主任研究員からは極超音速兵器への防衛力強化としてセンサー機能の向上、宇宙空間での能力整備が日米同盟の共通課題に出ているとの発言があった。

 

新技術開発のため、林外相は日本政府は民間企業と経済安全保障の強化に務める必要があると、グローバル規模のサプライチェーンを念頭に発言した。

 

その他の協力分野として政治面での結束があり、米、日、オーストラリア、インドによる4カ国対話(クアッド)が今後の安全保障に不可欠と外相は述べた。

 

「こうした動きで力のバランスを回復できれば、外交の効果が強化され、緊張緩和しつつ永続する平和安定が実現する」と林外相は述べた。■


Japan Seeks to Accelerate Integrated Deterrence with US

2/18/2022

By Mikayla Easley

 


2022年2月18日金曜日

F-15J性能改修の対象は68機へ。防衛省が認める。残る非対象機材はF-35Aに置き換える方針。F-15供用は2045年までの想定。

 

百里基地を離陸するアグレッサー部隊所属のF-15DJ。July 2019. (Photo by Mike Yeo/staff)

 

(メディア関係者の皆様へ。F15ではなくF-15と正確に情報を伝えていただくようお願いします)

本が運用中のライセンス製造三菱F-15Jイーグル迎撃機のうち合計68機が性能改修作業の対象と日本が確認した。改修内容はレーダー、電子戦、兵装搭載機能、スタンドオフ兵装運用が中心。

 

 

防衛装備庁ALTAが2月公表した資料ではF-15を2045年まで供用可能とする改修作業の経費見積は6,465億円(56.2億ドル)とある。防衛省は改修対象68機は単座型で数次に渡る改修MSIPを受けてきた機体だとDefense Newsに確認した。

 

ただし、同じMSIPを受けた残りの34機のF-15Jと-DJ型機の取扱いは未定で、防衛省は「内部検討中」とDefense Newsに述べた。また、改修後にロッキード・マーティンAGM-158共用空対地スタンドオフミサイルJASSMが運用可能となるとも防衛省は認めた。日本国内報道では長距離対艦ミサイルLRASMは経費増のため非対象になったとある。

 

MSIP改修を受けなかった99機のF-15は対象とならず、順次ロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機に交代する。

 

防衛装備庁資料では作業は国内で行うと強調するが、装備品の一部は海外軍事販売制度FMSで調達する。

 

2019年10月に国務省が承認したF-15改修リストがこのFMS調達分に相当し、その時点では「最大98機」を改修対象とあった。

 

リストにはレイセオンAN/APG-82(V)1アクティブ電子スキャンアレイレーダー、BAEシステムズALQ-239デジタル電子戦装備(DEWS)、新型ミッションコンピュータ、通信装備が列挙されていた。

 

ボーイングには2021年12月に471百万ドル契約が交付されており、各種システム統合で設計開発、試験、訓練用装備4基含むF-15性能改修をFMSで行う。■

 

 

Japan confirms details of F-15J upgrade program worth $5.6 billion

By Mike Yeo

 Feb 18, 04:00 AM

https://www.defensenews.com/smr/singapore-airshow/2022/02/17/japan-confirms-details-of-f-15j-upgrade-program-worth-56-billion/


About Mike Yeo

Mike Yeo is the Asia correspondent for Defense News. He wrote his first defense-related magazine article in 1998 before pursuing an aerospace engineering degree at the Royal Melbourne Institute of Technology in Australia. Following a stint in engineering, he became a freelance defense reporter in 2013 and has written for several media outlets.


2022年2月17日木曜日

USAF: E-3セントリーAWACS後継機調達がスタート。E-7ウェッジテイルの採用が最右翼視される。

  E-7_WEDGETAIL

U.S. AIR NATIONAL GUARD / STAFF SGT. JOHN LINZMEIER

 

空軍はE-3セントリー空中警戒指揮統制機(AWACS)の後継機材調達を正式に開始した。情報開示請求(RFI)では2023年度に試作型2機ないし3機を調達し、5年以内の納入を想定している。セントリー後継機としてE-7ウェッジテイルが有望といわれ、米同盟数カ国が供用中だ。

 

 

RFIは昨日出ており、E-3後継機の業界パートナーを特定するのが目的。「生産仕様機に近い試作機」の2機に加え、関連地上支援や訓練機器も評価後に生産契約に移行する。E-3は計31機あり、27機が航空戦闘軍団(ACC)に、4機が太平洋空軍(PACAF)で供用中だ。

U.S. AIR FORCE/TECH SGT. MICHAEL CHARLES

米空軍機付き長がサウジアラビアのプリンス・スルタン航空基地でE-3セントリーを誘導している。 March 2020.

 

RFIでは高性能移動標的識別 (AMTI) および戦闘管理指揮統制l (BMC2) 機能を求めており、敵味方識別 (IFF)、電子支援対策も加わる。

空軍の求めるセントリー後継機は最低6種類のミッションに同時対応するもので、攻撃的防御的双方の制空任務、航空交通管制、近接航空支援、敵防空体制制圧(SEAD)、空中給油、戦闘捜索救難(CSAR)が対象。これと別にRFIではレーダーによる海洋監視ミッションの実施可否も求め、アジア太平洋方面への投入を意識している。

通信装備としてLink 16データリンクや機動性利用者目的システム(MUOS)があり、機体防御用の統合防御装備一式の搭載も求めている。AWACSのような高価装備の防御が一層重要な課題になっている。

空軍はボーイングに別個に関連業務契約を昨年10月に公布し、E-7ウェッジテイルの追加情報を求めている。「現行のE-7A基本仕様で必要業務が実施できるのか検討、分析する」とあり、同型機で空軍の求める「標準と性能が実現するか」を見る。

ただし最新のRFIで更にデータを集めてから選考するのは方針変更なのか不明だ。すくなくとも別の選択肢を求める狙いなのだろうが、ボーイング製品が最右翼の候補なのは明らかで、米国内で生産されており、米軍も各種演習で同型機と普段から一緒に活動している。

ボーイングは同社製品が米空軍に採用されると自信たっぷりで、昨年11月のドバイ航空ショーで防衛事業開発担当副社長マイク・マナジール Mike ManazirもE-7の採用に「極めて強い自信」を記者団に述べていた。「2022年中にE-7採用の発表が出ると見ています」

ただし、現時点でE-3後継機は決定していない。

とはいえ、ACCトップのマーク・ケリー大将 Gen. Mark Kelly 、PACAF司令ケネス・ウィルスバック大将 Gen. Kenneth Wilsbach の公然たる支援があるため、空軍が非競争形式でE-7を導入する決定を下すと見る向きがある。英国がこの方式で決定していた。この点でE-7が有利となるのは同機が長期開発段階を終えており、成熟度が上がったまま投入可能となっていることだ。

空軍協会主催の航空宇宙サイバー会議で空軍参謀総長チャールズ・Q・ブラウン大将Gen. Charles Q. BrownもE-3後継機にウェッジテイルを本命視する発言をしており、「優秀な機体」として、実機に乗った経験があると述べていた。また、同大将は新型機を一から開発するよりE-7なら迅速に供用開始できるのも利点だと述べた。

2021年12月、空軍長官フランク・ケンドールFrank Kendall がE-7調達を検討していると認め、空中及び移動標的識別機能を最優先事項とした。ケンドールからはウェッジテイル調達は将来の宇宙配備移動標的識別能力が実現するまでのつなぎとの発言もあった。

より最近では王立オーストラリア空軍(RAAF)のE-7がネリス空軍基地(ネヴァダ)のレッドフラッグ航空戦闘演習で今年初めに参加し、ハイエンド訓練シナリオで米空軍のF-22、F-35ステルス戦闘機等と運用された。

U.S. AIR FORCE/WILLIAM R. LEWIS

オーストラリアのE-7Aがネリス空軍基地(ネヴァダ)にRed Flag 22-1参加のため、到着した。 January 20, 2022, 

 

レッドフラッグでのRAAF所属E-7との共同運用の経験を振り返り、ケイス・A・カニンガム少将Maj. Gen. Case A. Cunningham(航空戦センター司令)は「E-7が導入された場合を想定して学ぶ点がある」と発言していた。

オーストラリアが想定するウェッジテイル運用環境に無人戦闘航空機材の管制があり、米空軍も当然関心を示す分野だ。

アジア太平洋での将来の戦闘作戦を想定すれば、クリストファー・ニーミ准将Brig. Gen. Christopher Niemi(PACAF戦略立案事業部長)が先にE-3センサーの有効距離に限界があるため、同機は戦術面で効果を発揮できにくくなっていると発言していた。

ミサイル防衛庁主催のアライアンス円卓会議で同准将は次のように説明していた。「現実を見れば、E-3は機齢50年に達した機材で信頼性やセンサー能力を維持する費用には際限がない。このため、E-7こそ将来の航空優勢を維持する点で最重要機材になると思う」

E-7が搭載する多機能電子スキャンアレイ(MESA)監視レーダーを製造するノースロップ・グラマンではレーダー性能向上と合わせオープンアーキテクチャによる改良に取り組んでおり、米空軍仕様のウェッジテイルでの採用につながるだろう。

偶然なのか、RFIにある2機以上が英空軍が発注取り消ししたE-7の2機と合致する。RAFは当初ウェッジテイル5機を総額19.8億ドルで2019年に発注した。だが、国防費削減で3機に減らし、生産枠2機分が米空軍向けに振り当てられそうだ。

固定翼の早期警戒統制機は極めて特殊な機材の部類になっており、米国除く西側で製造元は皆無に近い。SaabはグローバルアイでE-7に対抗の可能性があるが、スウェーデン製装備品が米国製を差し置いて採用されるとは考えにくい。今回のRFIではブーム/レセプタクル両方式の空中給油能力も求めており、グローバルアイの原型ボンバルディア・グローバルビジネスジェットでは対応できない。さらにグローバルアイのような小型機で空軍の要求性能が満たせるかも不明だ。

とはいうものの、SaabのCEOマイケル・ジョハンソン Micael JohanssonはBreaking Defenseに対し、同社はグローバルアイを米空軍に提案する準備ができたとし、「競争力の高い実現策になる」と昨年11月に語っていた。

今回のRFIは調達手順を明示していないが、E-7調達への条件が整いつつある。宇宙配備レーダーの実用化はまだ先になりそうで、E-3後継機にはウェッジテイルが最右翼のようだ。■

The Search To Replace The Air Force's Geriatric E-3 Sentry Radar Jets Has Officially Begun (Updated)

Officials from across the service have earmarked the Boeing E-7 Wedgetail as their preferred Sentry successor.

BY THOMAS NEWDICK FEBRUARY 9, 2022


2022年2月16日水曜日

速報 ロシア軍撤退の裏付けが取れず、西側は警戒を緩めず。逆にロシア国会、サイバー攻撃で新たな展開あり要注意。

 



Satellite imagery showing attack helicopter buildup on the Crimean peninsula

Satellite imagery showing attack helicopter buildup on the Crimean peninsula MAXAR TECHNOLOGIES

 

 

衛星画像では攻撃ヘリコプター、ジェット機、地上部隊がウクライナ付近の前方地点に集結しており、他方でロシア国会が気になる動きを示した。

 

ョー・バイデン大統領から米国はまだロシアの2月15日発言にあるようなウクライナ国境付近からの部隊撤退を確認できず、ウクライナ侵攻の脅威は残ったままだとの発言があった。

 

「そうだといいのだが、まだ確認できていない」「ロシア軍部隊が原隊に戻る様子は確認できていない。逆にこちらの分析ではすぐにも侵攻開始できる位置に配備されている」ロシアは150千名で「ウクライナを包囲している」と述べた。

 

大統領がロシア大統領ウラジミール・プーチンとの外交にかかりきりになる間に、専門家からはここ48時間の衛星写真からロシアの発表に疑問を投げかける発言が出ており、事実、2月16日にはサイバー攻撃がウクライナの銀行と国防施設を狙った。

 

2月14日夜に公開されたMaxarの衛星写真ではウクライナ国境に近づく部隊が写っている。「新しい動きとして大規模な部隊の移動とともに攻撃ヘリコプターが投入され、対地攻撃機、戦闘爆撃機が前方地点へ移動している。兵営施設から複数の地上部隊が移動し、その他戦闘部隊と移動車列を構成している」とMaxarは発表。画像を見ると新型攻撃ヘリコプター部隊がロシアが併合したクリミア半島のドヌズラズ湖近くに展開し、Su-34がアゾフ海の反対側プリモルスコ・アフタルスクPrimorsko-akhtarskに出現し、テント兵舎がウクライナ国境から155マイル離れたロシア都市エリニャYelnyaに現れたなどの進展が見つかった。

 

Overview of helicopter deployments, Lake Donuzlav, Crimea, Ukraine on Feb 13, 2022 | Satellite image ©2022 Maxar TechnologiesOverview of helicopter deployments at Lake Donuzla in Crimea, Ukraine on Feb 13, 2022 | Satellite image ©2022 Maxar Technologies

Close up of helicopters and troops at Lake Donuzlav in Crimea, Ukraine on Feb 13, 2022 | Satellite image ©2022 Maxar Technologies

Battle Group Vehicle Park in Yelnya, Russia on Jan 19, 2022 | Satellite image ©2022 Maxar Technologies

Troop tents and housing area in Yelnya, Russia on Jan 19, 2022 | Satellite image ©2022 Maxar Technologies

Overview of new Su-34 Fighter deployment at Primorsko Akhtarsk Airbase, Krasnodar Krai, Russia on Feb 13, 2022 | Satellite image ©2022 Maxar Technologies

Closer view of new Su-34 Fighter deployment at Primorsko Akhtarsk Airbase, Krasnodar Krai, Russia on Feb 13, 2022 | Satellite image ©2022 Maxar Technologies

 

 

データ企業Babel Street の戦略担当副社長まkダニエル・ウィッカーMcDaniel WickerはDefense Oneに「Babel Streetのツールを使い解析してみたが、ロシア報道機関以外、さらにロシア報道機関でさえも部隊撤収を裏付ける情報が見当たらない」と述べている。

 

Center for European Policy Analysisで大西洋国防安全保障を専門とするローレン・スペランザ Lauren Speranzaは「衛星画像ではロシアは侵攻時に投入する最後の部隊を配置していることがわかる。クレムリンの言っていることを真に受けず、地上の動きを確認する必要がありますね」と述べた。

 スペランザによればロシアは以前にもまず軍備を増強してから撤収、緊張緩和の発表をしたことがあるという。「実際は一部部隊を撤収させただけで、その他はそのまま残していた。プーチンは短時間で部隊を集結させ、数ヶ月そのまま配備を続ける地点に戦略的な動きを示したのだろう」

 

2014年のウクライナへの攻撃ではサイバー攻撃が並行して民間を狙った。2月15日にもウクライナ銀行2行およびウクライナ国防軍のウェブサイトがそれぞれ襲撃された。ウクライナ戦略通信情報保全センターは今回の攻撃がロシアによるものとは断定していないが、「侵攻を桒田立てたものが汚い手段を使った可能性は排除できない。というのはこうした小手先の手段は大規模に展開できないからだ」との声明を発表している。

 

同じく、2月16日にロシア国会がウクライナでロシア軍が占領している2地方をドネツク人民共和国、ルハンスク人民共和国として独立承認する投票を行った。大差で可決した条項ではプーチン大統領に独立構想を検討するよう求めている。プーチンが承認すれば、ウクライナとの休戦協定が崩壊する。

 

ロシア国会の動きの背後にはドネツク、ルハンスク両地方とウクライナ政府の緊張の高まりがある。Babel Streetがソーシャルメディアを分析しており、1月23日から親ロシア武装集団が「ソーシャルメディアを組織的に利用しウクライナの人権じゅうりんを非難しはじめ、ロシアによるウクライナ侵攻を正当化した」という。■


Satellite Images and Experts Challenge Russian Withdrawal Claims

Photos show attack helicopters, jets, troops moving toward forward positions near Ukraine in the midst of aggressive legislative actions in the Russian assembly.

 

BY PATRICK TUCKER

TECHNOLOGY EDITOR

FEBRUARY 15, 2022 06:53 PM ET

https://www.defenseone.com/threats/2022/02/satellite-images-and-experts-challenge-russian-withdrawal-claims/362045/