2022年3月20日日曜日

極超音速ミサイル「キンザル」の実戦投入デビュー。ロシアの情報操作には要注意。なぜロシアは平気で嘘を言えるのか。

 MiG31 Kinzhal Ukraine

GETTY IMAGES/RUSSIAN MOD


ロシアの空中発射型極超音速弾道ミサイルがウクライナで初めて実戦使用されたようだが、腑に落ちない点がある。


 

シア国防省は3月19日未明、極超音速の空中発射弾道ミサイル「キンザル」Kinzhalがキーウ南西約300マイル地点のウクライナ軍ミサイル貯蔵施設を攻撃したとするビデオを発表した。攻撃が実際に行われていれば、キンザルで初の実戦使用であり、同時に、NATO加盟国の国境に近いウクライナ西部へのロシアの新たな攻撃となる。しかし、ロシアの主張には腑に落ちない部分があり、キンザル投入の意味は限定的だ。

 

MiG-31から発射するKh-47M2「キンザル」別名「ダガー」ミサイルについて、ロシアは通常兵器または核武装可能と主張しており、2018年のウラジミール・プーチンの過激な演説で公開したロシアの「スーパー兵器」の一つとして初登場していた。その後、他に先駆けてThe War Zoneは、キンザルの実態は空中発射用の改良型イスカンデルM戦術弾道ミサイルと特定した。

 MiG-31が高速で高高度に到達してから発射することで、キンザルは地上発射型イスカンデルより射程と速度が大きく向上する。軌道変更も可能である。このため、迎撃は困難となる。また、イスカンデルMと同じデコイ発射機能を備えているかは不明だが、これも防空網の突破に役立つ可能性がある。

 

RUSSIAN MOD

キンザルがMiG-31発射機に搭載されている

 

 キンザルには対艦能力もあると言われるが、真偽不明だ。通常型弾頭での対艦攻撃は、移動中の艦船に照準を合わせるアクティブ・レーダー・シーカーを装備した場合のみ使用可能であり、実現できていない可能性がある。今のところ、同ミサイルの在庫は限られており、MiG-31を改造した発射用機材がシリアとカリニングラードに配備されている。ミサイルの速度と射程の推定値は異なるが、マッハ5〜12、900〜1600マイルとされる。

 ウクライナでのキンザル攻撃で、ロシア国防総省が攻撃を撮影したとするビデオについて、疑問があるので以下に説明する。

 標的はイワノフランキフスクIvano-Frankivsk Oblast州デリヤティンDelyatynの地下ミサイル貯蔵施設とされる。地図で確認すると、同基地はカルパチア山脈の北側にあり、ウクライナのルーマニアやハンガリー国境に近い。デリアティンは、ミサイルや弾薬の貯蔵用に、地形を利用した掩蔽壕があり、民間人居住区から離れている。

 

GOOGLE MAPS

 

 The War Zoneは、ビデオと一致する商業衛星画像を使ったが、目標とされる場所は地上の大型倉庫か納屋に見える。また、ロケット燃料と爆薬が混合して起こるはずの二次的爆発がない。キンザルが基地を攻撃した可能性はあるが、映像は疑わしい。

 この目標にキンザルを使用したのは、ウクライナ防空体制がロシア軍を強力に抑止している証拠でもある。ウクライナ防空網は極めて有効に機能しており、巡航ミサイルにもある程度成功しているとはいえ、ウクライナ西部への攻撃を止めることはできない。いずれにせよ、ロシアは西方の目標に対して有人攻撃機を飛ばす気がない、あるいは飛ばせないことが明らかになった。

 しかし、キンザルのスタンドオフ射程や防空網突破設計は別として、この目標にキンザルを使う必要があったのかが不明だ。ロシアは地上発射弾道ミサイル「イスカンデルM」を使用すればよい。

 

RUSSIAN MOD

イスカンデルMがTELに搭載されている

 

 しかし、兵器庫一箇所の攻撃にここまでハイエンドの装備を使用した理由が強力な防空体制であることを考えれば、低性能のオルラン10無人航空機が攻撃目標とされる地域上空をどうやって通過して撮影できたのか、疑問がさらにわく。

 オルラン10の航続距離は通常120〜150キロメートルとされる。しかし、「オフライン・モード」を使えば、600キロメートルで作戦可能で、映像記録はできるが、リアルタイム送信はできないとされている。同型機がルーマニア北西部に墜落したとの情報が1週間以上前にあり、ウクライナに同型無人機が展開していたようだ。こうした点を考慮すると、オーラン10はベラルーシ南部からウクライナに飛来した可能性があるが、モルドバの親ロシア派分離地域トランスニストリアから発進した可能性もある。

 また、国境近くのウクライナ基地にロシアが最先端の攻撃能力を投入したのであれば、NATOへのメッセージの要素もある。先週、ロシアはポーランド国境近くの旧NATO訓練基地を攻撃していた。

 また、The War Zonがロシアのウクライナ侵攻前に予測したように、クレムリンは今回の紛争を利用して、最先端能力と兵器イノベーションを披露したいのだろう。これも戦略的メッセージとなる。

 何よりも、なぜ今この能力が投入されたのかが喫緊の課題だろう。紛争の初期段階で、指揮統制を喪失させ、防空網を破壊し、連携戦闘能力を奪うためになぜ投入されなかったのか。この疑問は、統合軍事作戦に関するロシアの総合能力とあわせ、今後大いに議論されるだろう。しかし、一方で、少数とはいえスタンドオフ兵器を使用したことは、ロシアの精密誘導兵器の在庫水準について多くを物語っている。イスカンデルMの在庫が少なくなっているのかもしれない。

 結局のところ、すべて辻褄が合わないが、現実は現実だ。このビデオに映っているのは実は通常のイスカンデルM攻撃であり、キンザルによる攻撃の可能性もあるが、そうでない証拠が出てくるかもしれない。米国政府筋もキンザルの使用を認めていることから、標的が主張とは異なる可能性がある。初期段階なので米国の評価が変わる可能性もある。

 

UPDATE: 5:20 PM PST—

 

映像で描かれているのが、ウクライナ西部でもなく、大規模軍事兵器保管場所でもないのは確かだ。ウクライナ東部で爆撃を受けた郊外だ。

 

GOOGLE MAPS

 

 Planet LabsからThe War Zone が入手した衛星画像では、ビデオに登場する農場がはっきりとわかる。映像が公開され、キンザル投入のニュース配信の1週間前の2022年3月12日時点で一部破壊されていた様子が画像で確認できた。

 

 

 

PHOTO © 2022 PLANET LABS INC. ALL RIGHTS RESERVED. REPRINTED BY PERMISSION

PHOTO © 2022 PLANET LABS INC. ALL RIGHTS RESERVED. REPRINTED BY PERMISSION

A wide-area view showing just how battered by artillery fire this area is has been. The farm is in the lower right corner.

 

 標的地点上空に無人機が存在できたのかというThe War Zoneの疑問への答えにもなる。ウクライナ東部には西部並の対空脅威はない。だがキンザルのようなミサイルがロシア領土に近いターゲットに、しかも納屋や鶏小屋と思われる標的に使用されるのか、疑問が湧く一方だ。

 こう考えると、映像ではキンザル・ミサイルが使用されている可能性は非常に低い。実際に使用されたのかはわからない。どこかに別の標的があったのかもしれないが、映像は標的ではない。■

 

We Have Questions About Russia's Claimed Kinzhal Hypersonic Missile Use In Ukraine

The apparent first use of Russia's air-launched hypersonic ballistic missile against a target in Ukraine doesn't all add up.

BY TYLER ROGOWAY AND STETSON PAYNE MARCH 19, 2022

厳寒のノルウェーで演習中の海兵隊MV-22オスプレイが墜落。搭乗員4名が死亡。

 MV-22 Ospreys Takeoff

II MARINE EXPEDITIONARY FORCE—PUBLIC DOMAIN

 

海兵隊のMV-22Bオスプレイのティルトローターがノルウェー北部で消息を絶ち、搭乗員4名が行方不明になった。同機は、ノルウェーの厳寒の中で戦闘技術を訓練するNATOの「コールド・レスポンス」演習でノルウェーに展開していた。その後同機搭乗員の海兵隊員4名の死亡が確認された。

 

 

 ノルウェー救助機関 Hovedredningssentralen (HRS) Northern Norwayは、同機が現地時間午後6時頃、訓練後にノールランド地方のボーデ空軍基地に着陸していないと確認したと発表した。MV-22は午後6時26分に行方不明と報告された。最後の確認位置は、ボーデ南方で、北極圏と重なるノルウェー最大の山脈Saltfjellet上だった。

 

U.S. MARINE CORPS/CAPT. KATRINA HERRERA

米海兵隊第二海兵航空団所属のMV-22オスプレイがノルウェー・ハースタッドでコールドレスポンス演習に先立ち、飛行準備に入った。Feb. 19, 2022

 

 現地時間午後9時17分、ノールランドのベイアーン自治体のグロトーダレン渓谷が墜落現場らしいとわかった。しかし、悪天候のため、救助隊は現場に移動できなかった。

 

GOOGLE EARTH

事故現場付近の地形

 

 HRSは「現地気象条件は厳しく、さらなる悪化が予想される」と述べた。

 オスプレイ捜索には、ボーデから発進した救助ヘリコプターに加えノルウェー空軍(RNoAF)のP-3オライオン哨戒機も参加した。ボーデとオーランドの両空軍基地には、シーキングMk43Bと最新のAW101 Mk612救難ヘリコプター分遣隊が配備されている。

 墜落現場が特定され、地元警察と連携した地上捜索活動も行われてる。

 国防総省が公開した画像では、海兵隊中型ティルトローター飛行隊261(VMM-261)「レイジング・ブルズ」が2022年寒冷地対応演習に参加しており、同隊所属のオスプレイが事故にあった可能性を示唆している。

 演習には、NATO以外に地域パートナーのフィンランドやスウェーデン含む27カ国から、約3万人の部隊、220機の航空機、50隻の艦船が参加している。訓練は3月14日から4月1日まで行われる。

 今年は、ロシアのウクライナ侵攻に加えNATOとクレムリン間の緊張の高まりにより、コールドレスポンス演習の意味が重要になっている。

 バーバラ・バレット空軍長官(当時)は、空軍が2020年に北極圏戦略を発表した際、「北極圏は今日、世界で最も戦略的重要な地域の一つで、米空軍と宇宙軍が警戒を行う要だ」と述べていた。これは、ロシアの脅威に対抗するために、同地域でのプレゼンスを高めることが求められている。

 コールドレスポンス演習では、北極圏含む寒冷地での作戦を経験させるだけでなく、北欧でNATOとロシアが対立する際に重要な作戦地域となるノルウェーへの援軍展開も試されている。

 このような背景から、コールドレスポンス演習は陸・海・空で構成されるマルチドメイン演習として実施されている。今年は、大西洋での海上フェーズに始まり、航空作戦に焦点を当てた第2フェーズ、最後に水陸両用上陸と陸上戦闘の訓練が行われる。

 

Update 3/19/2022:

 

 悪天候の中、ノルウェー当局はボーデの南、ベイアーンのグラエタエダレンの墜落現場に今朝早く、たどり着けた。到着後、搭乗員4人全員の死亡を確認した。事故原因は引き続き調査中。遺体回収の発表はまだない。

 ノルウェーのヨナス・ガール・ストーレJonas Gahr Støre首相はツイートで、「昨夜の飛行機事故で4人の米軍隊員が死亡したとのメッセージを受け取り、大変悲しく思っている」と述べた。「家族、親族、部隊の同僚に深い哀悼の意を表する」。 ■

 

Four Marines Killed In MV-22 Osprey Crash In Norway | The Drive

 

The deadly crash occurred while the Marine MV-22 was supporting Exercise Cold Response in Norway.

BY THOMAS NEWDICK MARCH 18, 2022

 


2022年3月19日土曜日

ホームズ教授の主張 長期戦になれば、ロシア、ウクライナそれぞれ有利不利になる。ウクライナに勝機はまだある。

  

 

クライナでどちらが優勢なのか。

 ロシアの攻勢がいつまで続くのか、成功するのかは、外交政策の専門家やコメンテーターでホットな話題となっている。無益な話題とまでは言わないが、自信過剰が目につく評価には要注意だ。戦史を紐解けば、時間経過とともに作戦が頓挫する傾向がわかる。停滞することもあれば、運が逆転することも稀ではない。勢いを持続させる、あるいは衰えた勢いを取り戻すには、熟練した軍事装備だけでは足りず、創意工夫と強い個性を持つリーダーシップが必要だ。

 

 

 ロシアはウクライナに勝利をおさめる運命ではない。実際、ロシアの攻勢は初日から失速の兆しを見せていた。劣勢でも戦闘力を最大限に発揮すれば、潜在能力を浪費する相手を打ち負かせる。

 ウクライナに勝機はある。

 軍事の天才カール・フォン・クラウゼヴィッツは、戦場のリズムを神秘的な言葉づかいで説明し、軍事的成功が政治的成功にどう関係し、役立つかを示した。提唱した考え方は「絶頂点」であり、戦争の運命が一方または両方に、劇的な方法で変化し始める点を指す。一方の敵対勢力の相対的な強さが頂点に達し、他方の敵対勢力が底を打ち回復に転じることもある。あるいは、以前は強かった競争相手が弱くなる転回点が訪れるかもしれない。

 まず、「勝利の絶頂点」だ。クラウゼヴィッツは、攻撃側が奇襲性、主導権、最初の打撃地点を選択する特権などにより、軍事バランスで最初に優位となると仮定している。しかし同時に、クラウゼヴィッツは戦術的防御こそ最強の戦争形態と考えた。そのため、攻撃側の軍事的優位は時間経過とともに頂点に達し、減少に転じる。しかし、政治的優位性(勝者に有利な交渉力)は、頂点に達した後、減少し始めるので、攻撃者が防御者に意思を押し付ける能力も減少する。

 これがクラウゼヴィッツのパラドックスだ。攻撃側は一般に、望むものを手に入れようと、勝利の頂点(軍事的優位の最大限界点)を超えても攻撃を続ける。しかし、攻撃が続けば、立場は弱くなる。戦果を得るため戦場の優位を長く保つには、名将の技が必要だ。

 政治的には、ロシアは絶頂に達しているのか。プーチン大統領が渇望していた電光石火の勝利に失敗したことで、ロシアの軍事面での定評は汚された。モスクワの脅威を恐れる国は減り、支援を求める外国人指導者は少なくなる。パワーポリティクスでは評判がすべてであり、ロシアは自らのブランドを傷つけた。

 さらに、ロシアは世界中の主権国家の敵となり、1945年サンフランシスコで確立された国連主導の世界秩序にふさわしくない存在だと露呈してしまった。ロシアは、中国に勝るとも劣らぬ無法国家だ。ウクライナで、ロシアは力技で勝つかもしれない。しかし、ロシアの政治的地位は低下し、永続的な政治的利益を得られなくなった。

 攻撃側の運命がいつ頂点に達するかで、防御側に影響が出る。ロシアは、作戦初期に勝利の絶頂点を超えてしまった可能性がある。ウクライナ軍は、ロシアと真正面での戦いを拒否し、非正規戦にもちこんでいる。弱者が強者の体力と意志を消耗させる戦略である。戦闘が長引けば長引くほど、国際的な非難が高まり、ロシア国内でも戦争への抵抗も大きくなる可能性がある。

 最終的には、妥協の和平が成立するかもしれない。

 防衛側の同盟国やパートナーも、侵略側が勝利の頂点に達するまで後押しできる。国際制裁は、侵略者の装備を時間をかけ減少させる。ウクライナの場合は対戦車兵器を提供することで、戦力均衡を保つ。ロシアの軍事優勢は部分的に衰え、モスクワが納得できる勝利を実現する能力も低下する。同盟関係の維持管理がウクライナの今後に極めて重要だ。

 クラウゼヴィッツがいう絶頂点の第二は「攻撃の絶頂点」だ。攻撃側が勝利の絶頂点を超えて、行き過ぎた行動を続けると、優位度の差は日に日に小さくなる。最終的にゼロになり、攻撃側は敵地の奥深くで弱者として戦うことになる。戦場の優位度から交渉力が生まれるならば、攻撃側の和平条件は有利でなくなる。

 兵員数の大きな格差を見れば、ロシアが攻撃の絶頂点をオーバーシュートするかは疑問だ。しかし、不可能でもない。ジョージ・ワシントンの大陸軍は、アメリカ独立戦争初期に同様のミスマッチに直面したが、巧みな同盟政治と相まって、不規則手法により、長い闘争の末にアメリカの植民者を勝たせた。毛沢東の赤軍は、国民党軍が中国共産党を絶滅寸前まで追い詰めた長征から生還した。ウクライナには状況は不利だが、生き残る可能性はある。

 つまり、戦力を大量投入せず、分散させ、侵略者に戦略的勝利を与えないようにし、影響力のある同盟国や友好国を取り込む。このような戦闘の干満の力学を、戦略理論家エドワード・ルトワックEdward Luttwakは、戦争の「逆説」論理と呼ぶ。指揮官は部隊を過剰なまで展開する傾向があり、作戦は頂点に達するまで続く。勝者が敗者となり、政治的目的を達成できなくなる可能性が生まれる。

 ロシア・ウクライナ戦争に関して、解説者には、ロシアの武器を揶揄したり、あるいはロシアの巨大な力に対抗するウクライナが生き残る可能性を絶望視する傾向がある。クラウゼヴィッツやワシントン、毛沢東なら、こうした早計かつ歴史の流れと異なる判断を嘲笑うだろう。おそらく、今後数週間は両当事者にとり、浮き沈みの激しい展開となるだろう。

 本当に終わるまで終りはない。

 

Yes, Ukraine Could Beat Russia - 19FortyFive

ByJames Holmes

 

A 1945 Contributing Editor, Dr. James Holmes holds the J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and served on the faculty of the University of Georgia School of Public and International Affairs. A former U.S. Navy surface warfare officer, he was the last gunnery officer in history to fire a battleship’s big guns in anger, during the first Gulf War in 1991. He earned the Naval War College Foundation Award in 1994, signifying the top graduate in his class. His books include Red Star over the Pacific, an Atlantic Monthly Best Book of 2010 and a fixture on the Navy Professional Reading List. General James Mattis deems him “troublesome.” The views voiced here are his alone.

 


ゼレンスキー大統領は米議会に何を語ったのか。バイデン政権は相変わらず装備品供与に注力。ロシアの孤立は決定的。

 U.S. Marine Corps Cpl. Jonathan Altamirano, a fire support Marine with 1st Air Naval Gunfire Liaison Company (ANGLICO), I Marine Expeditionary Force Information Group, launches a lethal miniature aerial missile system during an exercise at Marine Corps Base Camp Pendleton, California, Sept. 2, 2020.

USMC

 

TBS系列でsuicide droneを殺人ドローンと伝えていたのは情報を歪める意図があったのでしょうか。メディア報道にはチェックが必要ですね。

 

シアのウクライナ戦は3週間経過した。ロシア軍の装甲車、非装甲車、航空機、人員の損失が拡大しており、すべての前線でロシア軍の前進は鈍化している。同時に、首都キーウ含むウクライナ都市は、これまで以上に過酷な砲撃にさらされ続け、民間人何百人が犠牲となり、何百万人が避難を余儀なくされている。

 

本日未明、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、米国連邦議会でリモートで演説した。大統領は、自国上空の飛行禁止区域の設定、防空などの軍事支援の拡充、紛争を阻止するため新たな国際同盟の創設、ロシアへのさらなる制裁措置などを改めて訴えた。

 

ゼレンスキー演説の直後、ジョー・バイデン米大統領はウクライナに8億ドルの追加軍事支援策を発表し、議会有力議員によれば、スイッチブレード空中待機弾(自殺無人機)100機が含まれる。

 

テキサス州選出の共和党下院議員マイケル・マコールMichael McCaulは、バイデン大統領が本日未明に発表したウクライナ向け追加軍事支援パッケージに、スイッチブレードが含まれるとポリティコに語った。ホワイトハウスのプレスリリースは「戦術的無人航空機システム」と表現した。NBCニュースはバイデン政権がウクライナにスイッチブレードを送ることを検討していると以前報じていた。

 

米国政府が現在、ウクライナ当局に譲渡する予定のスイッチブレードの機種は明らかではない。米軍にあるスイッチブレード300の旧型を送ることは、新型スイッチブレード600より、簡単に実施可能な選択肢の1つだろう。

 

いずれにせよ、発射管装填タイプのスイッチブレードがウクライナ軍に有益な装備となるのは間違いない。バックパック型の携帯型滞空兵器は、兵士数名でも局所的な空中偵察が可能で、前方の偵察、障害物、待ち伏せ、ターゲットなどを発見できる。そして、極めて正確に攻撃することができる。航空監視と航空支援を分隊レベルまで「民主化」する効果が生まれる。

 

同装備は、ウクライナ軍のヒット・アンド・ラン待ち伏せ攻撃に応用できる。小型無人機で撮影された動画では、東部ハリコフでウクライナ特殊作戦部隊が肩撃ちロケットランチャーでロシアのトラックと交戦しており、こうした戦術の典型例だ。

別の動画でも無人機で撮影しており、南部の港町マリウポリでロシア支援を受けた分離主義者が運用するT-64BV戦車が対装甲兵器の攻撃を受けており、ウクライナ各地で続く街頭戦闘の例となっている。

 

バイデン政権の追加援助には、肩撃ちの地対空ミサイル「スティンガー」、対戦車誘導弾「ジャベリン」、無誘導対人兵器「AT4」なども含まれる。

 

マコール議員はさらに、ウクライナへのS-300地対空ミサイルシステム移転を米国政府が不特定の同盟国と打診中とポリティコに語った。国防総省は問題の同盟国がNATO加盟国のスロバキアであるとの報道について、肯定も否定もしなかった。オースチン米国防長官は明日スロバキアを訪問する予定で、「長官はスロバキアにもウクライナに提供可能な支援について話をすると考えてよい」と、米国防当局高官は本日記者団に語った。

 

米国防省高官によると、クレムリンは総軍事力の約75%をウクライナ戦に投入している。また、ロシア軍は現在、ウクライナに少なくとも弾道ミサイルと巡航ミサイル980発を発射した。

 

ウクライナ当局は、南部メリトポリ市の市長イワン・フェデロフIvan Federovの所在を同国軍が突き止め、解放できたとしている。フェドロフ市長は、ロシア軍が同市を占領して3月11日に拉致されたと伝えられている。

 

ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の米議会演説は、短いものの熱がこもっていた。9.11テロ事件、日本の真珠湾攻撃、キング牧師の「I Have A Dream」演説など引用し、紛争を生々しい映像で示した。

 

ゼレンスキーは、これまで訴えてきた自国上空の飛行禁止区域の設定を再び求めた。彼は、ウクライナの人々は、ヨーロッパでこの80年間誰も見たことがない空からの「恐怖」にさらされている、と述べた。

 

米国はじめNATO加盟国は、自国軍をロシア軍と対峙させ、深刻な紛争の火種になりかねない作戦をきっぱりと拒否している。

 

ウクライナ大統領は、飛行禁止区域設定が不可能なら、追加防空装備が必要だと述べた。特に、ソ連が設計した長距離地対空ミサイルシステム「S-300」を希望すると明らかにした。S-300PやS-300V(NATO名称はSA-10、SA-12)を指しているかは定かでない。ウクライナ軍は該当システムの派生型を運用している。

 

米国政府は、ソ連時代の各種防空システムをウクライナへ移転する際、同国軍で運用中の装備品に焦点を当てて検討すると述べている。今日、CNNは、アメリカ当局とその他NATO加盟国が、9K33 Osa (SA-8), S-300 (SA-10), S-300V (SA-12), 9K34 Strela-3 (SA-14)の 地対空ミサイルシステム含む追加軍事支援を準備していると報じた。マコール下院議員を引用したCNN報道では、S-300が送付済みとあったが、これは誤報と判明している。

 

ゼレンスキーは、既存の国際機関では自国の紛争を食い止められないと指摘し、「U24」との新しい国際同盟を呼びかけた。U24(united for peace)とは、「紛争を即座に止める力と意識を持つ国々が、24時間以内に介入する」とのウクライナ大統領の構想だ。

 

ウクライナ大統領は演説で、ロシア制裁のさらなる強化を求めた。彼は、米国企業から「ロシア人が1銭も受け取らないようにしたい」と述べ、米国企業が 「我々の血で溢れた」ロシア市場を完全に放棄するよう懇願した。

 

「バイデン大統領、あなたは一国のリーダーです。あなたが世界のリーダーであることを望みます」とゼレンスキーは演説の最後に言った。"世界のリーダーとは、平和のリーダーということです」。

 

国家安全保障補佐官ジェイク・サリバンは本日、ロシア安全保障会議のニコライ・パトルシェフNikolay Patrushev長官と会談し、ここ数週間で最高レベルの両政府間交流が実現した。サリバンは、ウクライナ紛争に関してロシアに懲罰的なコストを課し、ウクライナ当局に軍事的およびその他の支援を提供する米国政府のコミットメントを改めて表明した。米財務省と司法省は本日、ロシアのオリガルヒへの制裁を執行するため特別タスクフォースを立ち上げたとそれぞれ発表した。

 

ロシアのプーチン大統領は本日、テレビ演説を行い、ウクライナの「特別軍事作戦」は計画通りに進んでおり、これまでのところ「成功」していると主張した。また、ウクライナがロシアに対する脅威の「踏み台」になるのを防ぐためと称し、侵攻を開始した理由に関する長年の主張を繰り返した。また、ウクライナと国際的なパートナーについて、根拠のない主張を繰り返した。たとえば、キーウ政府は米国支援により核兵器や生物兵器を開発している、などというものだ。

 

今日、紛争を終結させるためにウクライナ当局への要求をクレムリンが、軟化させているという報道が出た。フィナンシャル・タイムズ紙によると、現在、キーウ政府が中立の立場を正式に採用し、ロシアの重要条件のひとつであった軍事力制限を設けるという15項目を中心に交渉が行われているとある。議論されているモデルは、ウクライナがオーストリアやスウェーデンのような中立的な政策を採用することを意味する。

 

ウクライナでの戦闘は、現在も続いている。しかし、ロシア軍は実質的な利益を上げるのに苦労し続けており、人員や物資の損失が拡大している。

 

一方でウクライナの一般市民は、ロシアの占領下にある地域を含め、暴力の脅威にさらされている。

 

ロシア政府は欧州評議会から排除され、国際的な孤立が続いている。■

 

Ukraine Will Get Switchblade Suicide Drones As Part Of New US Aid Package Lawmaker Says

A new $800 million U.S. aid package for Ukraine includes drones, air defenses, anti-armor weapons, and more.

BY JOSEPH TREVITHICK MARCH 16, 2022

 


2022年3月18日金曜日

中国の国防予算増額を正当化する環球時報の論調をごらんください。

 China's defense budget Graphic: Deng Zijun/GT

China's defense budget Graphic: Deng Zijun/GT

 

おなじみ環球時報の論調です。ロシアと同類で、自分が全て正しいとする世界観のため、中国の主張は世界に説得力がありませんが、事実を認めるわけに行かず、ますます唯我独尊の世界に入っていくのでしょう。

 

ご注意 以下はCCPに近い環球時報英語版の記事からのご紹介ですが、当ブログの意見を代表するものではありません。

 

国が2022年国防予算を7.1%増にするのは、主権、領土保全、安全保障、発展の利益を守り、世界に安全を提供するのが目的で抑制された動きだと、専門家は述べ、2019年以来最速の増加の軍事費計画で、GDP成長目標を上回る増加と誇張する西側メディアの一方的解釈に反論している。

 

2022年国防予算を総額1兆4500億元(約2300億ドル)とする案は、土曜日に第13期全国人民代表大会(NPC)第5回会議が開幕した際に発表された予算報告書草案で明らかにされた。

 

中国は国防予算増を7年連続で一桁に抑えていることは認めながらも、ロイターやブルームバーグなど海外メディアは、2019年の7.5%以来の速いペースで、経済成長目標の約5.5%を上回る増加だと誇張している。

 

欧米メディアは、数字だけに注目して、中国の軍事費増加を悪者にし、「中国軍事脅威論」を誇張していると、環球時報が取材した専門家は語った。

 

これまでの中国の国防予算を振り返れば、2016年以降の成長率はCOVID-19流行前は常に7%以上であり、2022年の7.1%は2016年から2022年の平均値7.2%より低い。

 

2020年と2021年に成長率が7%を下回った大きな理由は、COVID-19大流行と経済への影響だとアナリストは述べ、7%前後の軍事費増加は正常で安定的であり、7.1%は過去3年間で最高だが、驚くほどのことではないとしている。

 

国防予算のGDPとの関係について外部専門家は、中国のGDPは2021年に8.1%成長し、114兆3700億元に達したと指摘した。中国が今年のGDP成長率目標5.5%を達成すれば、2022年のGDPは約120兆6600億元となる。中国は国防費に1兆4500億元を予定しているため、国防予算はGDP比で1.2%にしかならず、ここ数年の1.3%より低い。

 

これに対し、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のデータによると、2020年の軍事費/GDP比の世界平均は2.4%近くと、中国の2倍の水準に達している。

 

中国の4倍近くを費やす米国の数値は、SIPRIによると3.7%である。ロイター通信の2月17日記事では、ジョー・バイデン米大統領は米議会に対し、来年度の国防予算に7700億ドル超を要請する見込みとある。

 

そのため、中国の2022年の国防予算増額は決して高くなく、非常に抑制的と考えるべきだと、中国の軍事専門家であるFu Qianshao氏は環球時報に語った。

 

中国の国防予算増額に疑問を持つ向きは、まず米国の予算を疑うべきだとFuは指摘した。

 

中国の軍事費のGDP比が低いことから、中国は経済発展と生活に重点を置いているのは明白とFuは述べ、経済発展の安定には、安定した安全保障環境が必要であり、強力な国防が必要である、と指摘した。

 

1970年代後半に改革開放が始まった当時、中国は軍事的発展よりも経済的発展を優先させ、経済が本格的に発展した時でさえ、国防予算の増加は停滞していたと、当時人民解放軍に所属していた退役将校が日曜日に匿名希望で環球時報に語っている。

 

今日の軍事開発は失われたものを補うものであり、中国の包括的な発展状況に見合った軍事力を持つことは、国の発展の果実を守るため不可欠であると、同退役将校は述べた。

 

中国には国防予算を増やす余地があるが、米国、日本、オーストラリアなどの国が軍事費を大幅に引き上げても、中国は軍拡競争を希求していない。中国の目的は、他国とは異なり、国家の主権、安全、発展の利益を守ることにあるからだ、と軍事専門家でテレビ解説者のSong Zhongpingは述べた。

 

 

適切かつ合理的 

 

2021年、中国は国防と軍の強化で大きく前進させる、第14次5カ年計画(2021-2025)で良いスタートを切った。2022年、中国は2027年のPLA100周年に向けた目標に取り組み、軍事訓練と戦闘準備を強化し、軍事対応を柔軟に行い、中国の主権、安全、発展の利益を守ると、全国代表大会開会で政府工作報告書が次のように述べている。

 

中国は、兵站と資産管理システムの近代化、近代的な兵器と装備の管理システムの構築、国防と軍の改革の継続、防衛科学技術のイノベーションの強化、新時代の有能な人材の育成による軍強化戦略の実施、法と厳しい規律に基づく軍の運営、質の高い軍の発展の促進、防衛科学技術および産業の配置改善をより速く進めるべきだ。

 

軍事専門家Wei Dongxuは、中国が近代戦力の発展を目指し、また、一部の外部勢力が絶えず軍事展開を強化し、中国付近をかき回している中で、中国の軍事予算の増加は適切かつ妥当であると環球時報に語っている。

 

米軍の航空機や船舶の挑発的な動き、中国の目前での大規模な軍事訓練、中国を軍事的に包囲する同盟国や協力国の結集、台湾の分離主義勢力を支援する台湾島への武器販売が含まれると指摘した。

 

一部の欧米メディア報道では、国防予算増額をウクライナ危機と関連付けているが、これはナンセンスだと、別の軍事専門家が匿名を条件に環球時報に語っている。

 

ドイツが最近国防費を引き上げたように、紛争に対する心配はあるが、ロシアとウクライナの紛争は数日前に始まったばかりであり、中国の国防予算は数ヶ月前から立案された可能性が高いと、同専門家は述べた。

 

中国の国防費は、国連平和維持活動への参加、船舶護衛、人道支援、災害救援活動などの安全保障策の提供にも使われており、世界平和と地域の安定にしっかり貢献していると指摘した。■

 

China's defense budget growth justified as restrained amid foreign media hype - Global Times

By Liu Xuanzun

Published: Mar 06, 2022 08:10 PM Updated: Mar 06, 2022 10:47 PM


ロシアの戦術変更で爆撃機がロシア領空内から長距離ミサイルを発射している。飛行禁止区域設定を求めるウクライナにとって不利な状況か。

 


週末、ロシアの爆撃機がウクライナ標的に長距離巡航ミサイルをロシア領空から発射し、NATOが想定した飛行禁止措置ではロシア空軍力の活用を防ぐことができないことを証明した。



3週間近く、ロシア軍はウクライナ国境から侵入し、第二次世界大戦後のヨーロッパで最大の地上戦となっている。しかし、数的・技術的に優位なはずのロシア軍は大きな抵抗を受けており、ウクライナ首都を占領できず、ウクライナの空域の制圧はほとんどできていない。しかし、ウクライナにとって不利な状況は続いている。


ウクライナ上空を飛行禁止区域とする発想は、これまでの紛争でイラク、ボスニア、リビアに設定されたNATO飛行禁止区域作戦を大きな根拠としている。これまでの飛行禁止区域は、ウクライナ上空の飛行禁止区域と根本的に異なる。

ウクライナ上空を飛行禁止区域とすれば、理論的にはロシアがウクライナで空爆することを禁じることになるので、良いアイデアのように思えるが、実際はそうではない。実際には、アメリカの戦闘機をロシアの航空機と交戦させることを意味し、それ以上の可能性もある。

しかし、一連の欠点により、ロシアのウクライナ上空で航空優勢を確保できておらず、ウクライナ人パイロットは空を飛び続けており、ロシアの輸送隊もウクライナの無人機攻撃の餌食となっている。


ウクライナ当局はNATOと米国に対し、ウクライナ上空に飛行禁止区域の設定を要請してきた。NATO当局は、飛行禁止区域を設定すればNATO軍がロシア軍と直接戦闘を行う可能性が高く、その結果、紛争が急速に拡大し、世界規模の戦争、最悪の場合は核戦争に至る可能性があるとして、繰り返し提案を拒否してきた。


NATOがウクライナ上空を飛行禁止区域とすることで、見返りよりもリスクが大きくなる理由はいくつもある。これまでのところ、ロシア機は迫撃砲や大砲による攻撃よりも効果が小さく、飛行禁止区域のもとで迫撃砲や大砲による攻撃は妨げられることなく継続されることになる。さらに、S-400 Triumfのようなロシアの防空システムの射程は250マイル(約850km)あり、ロシア領内からNATO軍機への交戦も可能だ。つまり、飛行禁止区域設定を強行すれば、ロシア国内の空爆につながり、大規模戦へエスカレートする可能性がある。


NATOがウクライナ上空を飛行禁止区域にすれば、より大きな紛争に発展するのはほぼ確実であり、ウクライナ国内へのミサイル攻撃を阻止する効果もないのは明らかである。


ロシア爆撃機はウクライナ攻撃をロシア領空から実施している


ロシア戦術が先週末に変化を示し、ウクライナ上空の飛行禁止区域構想に新たな穴を開けた。ロシアの戦略爆撃機が、ロシア領空からウクライナ国内の目標に長距離巡航ミサイルを発射したのだ。NATO機は、ウクライナ上空を飛行禁止区域にしても、ロシア上空を飛ぶ航空機を迎撃したり撃墜できない。アメリカの防空装備はロシアの巡航ミサイルを迎撃できるかもしれないが、それを運用するとなるとウクライナにアメリカ軍を送り戦闘に参加させることになり、ジョー・バイデン大統領はこれをしないと繰り返し表明している。


ロシアのTu-95MS「ベアH」とTu-160「ブラックジャック」爆撃機はKh-555巡航ミサイル運用能力を実証済みだ。Kh-555は、核巡航ミサイルを改良したもので、NATOではAS-15ケントと呼ぶ。長距離スタンドオフ兵器とされるKh-555は、ほぼ2,200マイルの射程がある。つまり、ロシア爆撃機は、ウクライナの国境から数千マイル地点からでもにこれらの武器を展開し、目標を攻撃できる。■


Russian bombers just proved a no-fly zone won't work over Ukraine - Sandboxx

Alex Hollings | March 14, 2022