2016年6月26日日曜日

★ブレグジット後の英国防衛政策はどうなるのか



なんといっても先週の大きな話題はBrexitで結構な差で離脱が決まりましたね。英国内ではまだ動揺が続いているようですが、英国はNATO脱退まで決めたわけではありません。それでも経済パフォーマンスが落ちることを前提に早くも国防力縮小の議論が発生しているようです。これを機会にロシアが勢力を伸ばすことは許容できませんので、欧州特に西欧の防衛面の結束はますます必要で、EUがだめでもNATOは一層重要性を増してくるでしょう。その中で日本のNATO加盟(NATOの改組が当然必要です)もそのうち議題に上るのではないでしょうか。週明けの金融界は大変でしょうが、経済論理より正当な扱いを受けていないと感じる政治感情の方が強いことが証明された事件で、これから世界は大きく変わるのではと見ています。

After the Brexit, What's Next for Defense?

Andrew Chuter12:10 p.m. EDT June 24, 2016
TOPSHOT-BRITAIN-EU-VOTE-BREXIT(Photo: LEON NEAL, AFP/Getty Images)

英国は未知の世界に突入した。国民投票でEU離脱が決まるとアナリスト、関係者それぞれが国防関連の影響を憂慮し始めた。
  1. 直近の影響は政治面ですでに現れており国防支持派の首相ディヴィッド・キャメロンが辞任を発表し10月までに退陣する。
  2. ジョージ・オズボーン蔵相も辞任と見られる。オズボーンは国防省の実績に不満を持ちながら戦略国防安全保障見直し strategic defence and security review, SDSR で今後五年間の国防支出増を昨年11月の認めた
  3. 欧州残留を希望したスコットランド自治政府も独自に国民投票を実施し連合王国残留の可否で民意を問う可能性が出てきた。
  4. スコットランドが分離独立すれば軍事作戦上で大きな影響が発生する。ファスレーンの原潜基地だけの問題ではない。与党スコットランド国民党の公約は英海軍の弾道ミサイル原潜、攻撃型原潜をスコットランドから追い出すことだ。
  5. だがEU離脱の影響は国防面でもっと緊急の課題を生むとの分析がある。
  1. 「離脱後に歳出見直しは必至な中で国防費が削減対象外というのは非現実的」とマルコム・チャーマーズ英シンクタンクRoyal United Services Instituteの副所長は述べる。
  2. 「財源が減れば政府は戦略の優先を従来のグローバルな役割から欧州同盟国と同じ水準に再調整を迫られるでしょう」
  3. 23日の投票後にチャーマーズが出したレポートでは短期的な支出削減の可能性は十分あるが、国防予算への長期的影響を左右するのは経済実績の悪化の程度次第としている。
  4. 元軍需調達大臣のピーター・ラフは保守党政権は歳出削減に及び腰となりNATO加盟国の防衛費2パーセント水準目標を達成できずに問題を再発させたくないはずと見る。この水準はオズボーン蔵相が昨年の支出見直しで了承している。
  5. 「緊縮予算は必至だったが蔵相が2パーセント公約を守ったのは極めて勇気のいる行為だった」と評価し、「保守党は懸命に国土防衛を継続しており、国会議員からの支援は強い。蔵相人事は見えないが支出削減に動かないだろう。削減が必要なのは事実だが次の首班人事次第でしょう」とラフは述べた。
  6. 予算編成の圧力の中で国防予算水準をどこにおくか疑問が出ている。
  7. 国家監査局による先週の報告では国防予算は256億ポンド(350億ドル)でSDSRでボーイングP-8哨戒機の調達も決まっている。
  8. これに対してチャーマースは政府はSDSR内容を見直し「EU離脱で生まれる新しい状況に国防安全保障政策全般を合わせる好機だ。政府は特にフランス、ドイツと密接に動くべきだ」と主張する。
  9. ラフは2015年度SDSRは現時点で負担不可能で予算調達できないと指摘する。「あくまで願望であり実現は無理」
  10. 「英国は軍事活動の中心をヨーロッパの安全確保に移すべき」とチャーマースは述べる。
  11. これに対し国防コンサルタントのハワード・ウィールドンは英国離脱の直近の影響は最小限と見る。
  12. 「長期的な影響は首相人事で今と同様の国防支出の考え方が続くかで大きく変わります。次期蔵相は国防省にSDSR2015の見直しを強く迫ると見ています」
  13. ウィールドンはEU離脱でP-8およびAH-64E攻撃ヘリコプターの調達契約発表がまもなく開催のファーンボロ航空ショーで取り消しにはならないと見る。
  1. 匿名条件の国防企業幹部は不確実ではあるものの中核事業は政府承認を受け前進するはずと語った。
  2. 「今の勢いを殺したくないです。ビジネスは予定通り進むと見ていますが、途中で変更が発生するかもしれません」
  3. 次期原子力潜水艦事業は総額300億ポンド以上と見られ、国会での審議を待つが、ヴァンガード級トライデントミサイル潜水艦四隻の後継艦は大問題だ。
  4. 上記企業幹部は国民投票結果で英国内及び海外から投資は減速すると見ている。
  5. 「英国向け投資案件は疑問視されるでしょう。英国企業も投資活動に慎重になり、状況がはっきりしするまではそのままとなり、結果として投資低迷が続くと思います」
  6. 「英国に投資しようと考える向きも政治面で不確実性を嫌うでしょう。企業活動でこれまでとは見方が変わります」
  7. ただし英国防産業は全般として「きわめて回復力が高く粘り強いので、問題を直視し新しい政治環境に挑戦していくでしょう」とする。
  8. 同幹部は英国離脱でもヨーロッパ各国とりわけフランスとの共同事業に大きな影響はないと見ている。
  9. 「国防産業の観点ではEUを高く評価していません。ヨーロッパ各国との国防関係協力事業はブリュッセルと無関係です。特にフランスと関係強化につながると楽観視しています」
  10. 「ヨーロッパの反応はこれからですが、ドイツの国防観はフランスと大きく違いますし、フランスは英国よりの考え方ですので、事業の協力関係は自然に続きますよ」
  11. ラフは対欧州協力関係で政治要素が入るのは必至と見る。
  12. 「そうなると英仏協力は一層難しくなりますね。英仏防衛条約が両国のトップによる政治取り決めで成立ずみですが難易度は高くなるでしょう。次期首相がキャメロンと同じ扱いをするかも不明です」
  13. パリではフランス防衛調達部門のトップが英国との強い関係を強調しつつ現時点で中長期的には不明と語っている。
  14. 「国防部門ではランカスター条約で取り決めた二国間協力が基礎で両国の高レベルがそれぞれ支持しています」とローラン・コレ・ビヨン防衛装備調達総局局長が語った。「今の時点ではブレグジットの影響が防衛部門にどう出てくるか不明ですが、短期的な影響は少ないとしても中長期的にはわかりません」
  15. カミユ・グランはシンクタンク戦略研究財団Fondation pour la Récherche Stratégiqueを主宰し短期的には若干の不確実性があるが心配すべきは先が見通せないことだという。「ヨーロッパの防衛に悪材料です」■


宇宙アセットをどう守るか 米宇宙軍団が新構想を発表


各種宇宙装備は軍事作戦に不可欠な存在ですが、中国の衛星攻撃実験で(発生したデブリはどうするのでしょうか)、衛星の脆弱性が急にクロースアップされているという理解で正しいでしょうか。システム冗長性にくわえて防御のための攻撃能力開発が新しい切り口ですが、宇宙非武装化の概念が揺らいでいくのでしょうか。

By COLIN CLARK on June 20, 2016 at 4:01 AM

WASHINGTON: 米空軍宇宙軍団は宇宙空間での勝利への道筋を「宇宙事業構想」Space Enterprise Vision、 SEV との無害な表題の構想で発表した。
構想の存在は機密事項ではないが、内容の多くは機密扱いとなっている。
宇宙軍団広報官ジョン・ドリアン大佐はSEVを「わが方宇宙装備の復元力を強化し、能力を向上し、脅威に対応する能力のため必要な対策全部を包括的に展望しています」という。
現行の武器システム各種に加え計画中の装備ならびに訓練や機構運営の変更点が内容に網羅されている。ドリアン大佐によればSEVは政府全体で進める宇宙ポートフォリオ検討SPRの直接の成果ではないというが、「関連はある」という。その大きな理由にSPRが扱う米スパイ衛星群は宇宙軍団の管轄外のためと記者は考える。
構想に宇宙問題専門家が好意的な見解を示している。「米政府がやっと国家安全保障問題として宇宙空間を真剣に見るようになったのはよいこと。長い間にわたり話題だけで行動はなかった」と語るのはテレサ・ヒッチンス(メリーランド大国際安全保障研究センター主任研究員)だ。
ただしこれまで見過ごされてきたわけではない。「宇宙装備ではこれまで『単一点故障』に近い水準しか許されてこなかったのです」とヒッチンスは述べ、一回の事故あるいは攻撃により中核機能が失われる事態を指している。「これではだめで、米国どころか世界の安全保障に有害です。なぜならそのためにこちら側装備を標的にする勢力が出てくるためです」
ジョン・ハイテン大将(空軍宇宙軍団司令官)も4月11日配信の空軍記事でこれを認めている。
「米国の軍事宇宙衛星の大部分がそもそも脅威を想定しておらず、長期間にわたり機能し効率を維持するつくりになっている。数十年にわたりシステムが機能する装備も中にはある」と発言している。「脅威を想定しないため設計で稼働期間と価格が重要な要素となり、ミッションにも反映されている。しかし今となると宇宙軍装備としては不適当と言わざるを得ない」
ヒッチンスが評価する進展は次の通りだ。
  • 「宇宙空間での状況把握能力改良」
  • 「IC(各情報機関)と軍の間に見られる宇宙装備に関する認識の違いを埋める努力(これは深く深刻な問題で克服の必要がある)」
  • 「回復力」
  • 「ミッションの成功のために装備を分散すること」
  • 「同盟各国と協力して冗長性を確保すること」
  • 「分離(戦略上重要な装備と戦術戦装備を区別すること)」
だがヒッチンスは「全部20年前に実施しておくべきことだったのにまだ実現していない」と付け加えた。
今回の構想で述べた新技術開発で情報諸機関が大きな役割を果たす。省庁間共同宇宙作戦センター (JICSPOC) が実戦演習を行い指揮統制手順やシステム各種をこれから作っていくためだ。公式説明では国家偵察局(NRO)が米スパイ衛星群の製造運用の監督機関で空軍とともにSEVの実施調整にあたるとハイテン大将は説明している。
空軍の公式説明ではSEVの新しい概念に「復元能力」があり、「宇宙配備装備が既知の脅威対象全般にどこまで対応でき、どれだけ迅速に将来の脅威に適応できるか、一方で宇宙から各軍や同盟軍に支援を引き続き提供していく」としている。ここで消えたのが「機能有効性」による評価の概念でこれまでの衛星の運用や設計に用いられてきた。旧基準は「これから登場する脅威に対応しきれない」と公式説明は述べている。
高復元力の宇宙装備を作る根本的な理由のひとつに衛星地上局でこれまでより多くの衛星を自動管制できるようになったことが挙げられよう。管制員をデータ遠隔測定、追尾、通信の仕事から解放し人員削減が可能となる。
地上局の機能強化と並び、宇宙軍団はシステムを冗長に保有し、代替システムもあり、アメリカの全力を経済、外交、軍事で行使し、敵勢力に対してこちら側衛星を攻撃する代償は高くつくと理解させようとしている。
SEVの機微部分は宇宙対抗装備、攻撃兵器の開発配備に関する予算だ。これにヒッチンスが憂慮している。
「米国がここまでの能力を必死に開発すれば、新たな基準となってしまい、TCBMがすでに揺らいでいることもあり、健全とは言えません」という。ヒッチンスが言及しているTCBMとは透明性信頼性醸成手順 Transparency and Confidence-Building Measures のことだ。
なぜか。「三大宇宙利用国は危機エスカレーションにつながりかねない要素を理解しておらず危機が紛争に変わることもあり得ます」という。「強い姿勢を見せ、邪魔をする、強硬な態度はリスクを上げるだけです」
「各国には理解を深める時間がまだ残されており、武装化を性急に進める必要はないのでは」と主張する。
ドリアン大佐は抑止力の重要性を認めつつ宇宙対抗攻撃兵器の開発、配備の予算は極秘情報だとするが、2017年度予算案では宇宙対抗手段で支出予定が三倍に増えているのは周知の事実だ。■


2016年6月25日土曜日

★A400Mの対米輸出を狙うエアバス、だが技術問題解決の遅れ発生中


エアバスがA400Mの米空軍売り込みを図っている模様ですが、本当に採用される可能性があると考えているのでしょうか。事業が大赤字のため輸出に活路を見出そうというのですが、どこまで真剣なのでしょうか。

Airbus Looks To the US in Search of A400M Buyers

Pierre Tran, Defense News1:26 p.m. EDT June 23, 2016
MUNICH, Germany – エアバス・ディフェンスアンドスペース(エアバスDS)はA400Mアトラスの輸出先としてアメリカが有望と見ており、技術問題に直面しているが同機を西側最大の軍用機市場に売り込む。
  1. 「米国を狙いますがまだ実現していません」と同社の軍用機部門トップ、フェルナンド・アロンソが6月20日報道陣に語っている。同社はプロペラギアボックスtp一部機体の胴体中央部で見つかった亀裂問題で修理を急いでいる。
  2. エアバスDSは今後30年で最低200機のA400M輸出を目指し、米国が最大の需要国とみなす。同社としては財務大損失を輸出で回避したいところだ。
  3. 空中給油機案件でボーイングに敗退した教訓から、A400Mでは米政界、軍部の上層部に働きかける。
  4. そのためアトラスをワシントンまで飛ばし空軍に見せる予定で、米国の複雑な調達手続きを乗り切りたいとしている。
  5. A400Mは米国製部品も採用しており、米国販売が成約すれば米国製部品比率も上げるとしている。未発表だが、同社がA320旅客機を生産するアラバマ州モビール工場で組み立てるのではないか。
  6. 米国のエアバス関係者は営業でデジタル装備と接続性を売り物にするという。だが技術問題解決の遅れが輸出の脚を引っ張っている。
  7. 「輸出販促活動の方が難しいですが、あえてこの話題を口にするのは問題の解決策に光が見えてきたからです」とアロンソも言う。「傑作機になると見ており、当社は自信を持っています」
  8. 問題とはエンジンにつけたプロペラギアボックスの改修とともに素材をアルミ合金から既存材料に戻し機体中央部の亀裂発生を防ぐことだ。
  1. このうちギアボックスについてはアヴィオ製プロペラギアボックスを緊急交換したテスト機が6月24日までに100時間飛行する。
  2. 「亀裂問題は安全とは関係ありません。定期検査で安全は保障さています」(アロンソ)
  3. 緊急対策が付いたギアボックスは600時間ごとに検査される。現状は検査間隔は20時間にすぎない。
  4. 長期対策として新設計のギアボックスがジェネラルエレクトリックにより製造され、同社のイタリア子会社アヴィオへ来年までに届く見込みだ。
  5. エアバスDSの親会社エアバスグループからは5月10日に補修コストが「相当」の規模になるとの見込みが示されている。エアバスにはこれまで各種のトラブルで50億ユーロ(57億ドル)の追加出費となっている。
  6. エアバスDSはまもなく改訂版の納入日程表を公表するとし、ギアボックス改修ならびに一部「戦術」性能の追加を盛り込む。
  7. この戦術性能向上型を最初に受領したのはフランスで改修の中にはコックピット乗員の防御性向上がある。
  8. またフランスの航空宇宙研究機構Oneraがフランスが重要視するヘリコプター向け空中給油能力の研究開発中だ。
  9. 長さ120フィートの小口径燃料ホースの飛行試験を今年末までに行う。80から90フィートが標準だ。延長でヘリコプターから燃料補給中に給油機尾部が目視しやすくなり、A400Mが搭載する強力なユーロプロップインターナショナルTP-400ターボプロップエンジン4基の生み出す乱気流から安全となる。
  10. フランスはC-130Jを4機一月に発注しており、うち二機は空中給油型KC-130J仕様だ。フランス陸軍と特殊作戦部隊から能力ギャップの早期解消を求められていた。
  11. 落下傘部隊116名を胴体の両側にドアを設け58名ずつ落下させる改修もあり今年末には116名運用が実現する。両側から同時に落下させることも可能となる。
  12. エアバスは米国商戦で空中給油機の二の舞をするつもりはないようだが米空軍には給油機を二機種運用する意向はない、と同社営業トップのジャン・ピエール・タラモ二は語っている。
  13. ヴィエトナム代表団がエアバスDSを訪問し、C-295軽輸送機に「真剣な関心を」示したとタラモ二は述べた。同社はヴィエトナムの輸送機需要の潜在性は高く「極めて有望な輸出先」という。■


2016年6月24日金曜日

★★海上自衛隊がAW101掃海ヘリを12機追加発注か



 Japan eyeing fresh order of AW101 helicopters

22 JUNE, 2016
BY: DOMINIC PERRY
LONDON


Asset ImageLeonardo Helicopters
レオナルドヘリコプター(旧アグスタウェストランド)が海上自衛隊とアグスタウェストランドAW101の追加調達を交渉中だ。
  1. 日本は発注済み11機のうち7機をMCH-101の名称で掃海任務に投入している。また輸送型CH-101を三機発注し二機が稼働中だ。
  2. 重量15.6トンでターボメカRTM322エンジンを三基搭載する同機は日本では川崎重工業が現地生産している。
  3. 6月17日の報道発表でレオナルドの執行副社長で企業戦略、市場開拓、業務推進担当のジオヴァンニ・ソコダトは「成約一歩前まで」にきていると日本との商談について述べた。
  4. またステファノ・ボルトリ営業販売担当副社長は「追加購入は十数機規模になる」と述べている。
  5. 日本向けとは別にAW101は英国ヨーヴィルでイタリアとノルウェー向けに組み立てられている。二国の受注残はそれぞれ8機と14機だ。
  6. ボルトリによればその他国から受注に成功すれば生産継続につながる。
  7. ヨーヴィルにはもう一つの軍用ヘリAW159もあり、営業活動が待ったなしになっている。
  8. 同機は英軍ではワイルドキャットと呼ばれ、陸軍航空隊と英海軍が発注した60機の納入が2016年中に終わると受注残はわずか6機になる。韓国海軍の4機とフィリピン向け2機だ。
  9. ボルトリは受注と生産量の乖離は商談中の案件があるので警戒していないと一蹴。商談はアジアとヨーロッパにあるとし、ドイツがLunx 88の更新発注しそうだと指摘。■

海兵隊の老兵EA-6Bはイラク、シリアでISR任務にも投入されている


The U.S. Marines’ Jamming Jets Are Spying on Islamic State

Old EA-6Bs get a new role

by JOSEPH TREVITHICK
イラク上空を飛ぶプラウラーにライトニングポッドがついている。 U.S. Air Force photos.

EA-6Bブラウラー電子戦機が米海軍、海兵隊で供用開始したのは1971年で強力な搭載ジャマーを使った敵レーダーや通信の妨害が主任務だった。

  1. 海兵隊はじめ各軍で機材不足が深刻な中、わずかになってきたプラウラーも穴埋めで使われ、イラク上空でスパイ活動に投入されている。
  2. 2016年5月にISISに対抗するペンタゴンの特別部隊がFacebookに掲載した写真にこれまでと異なる機体各種が写っていた。その中に海兵隊第四戦術電子戦飛行隊所属のプラウラーがあり、通常のジャミング装備ではなく目標捕捉ポッドを搭載していた。
  3. 2015年1月時点で海兵隊はWar Is Boringにプラウラーがイスラム国戦を支援中と発言したが具体的には何も教えてくれなかった。各機は海兵隊が主に使用しているクウェートのアーメド・アル・ジャバー基地を本拠地にしている様子でトルコのインチリック空軍基地にもEA-6Bが増派されている。
  4. 「プラウラーは連合軍各機や地上部隊の防護の傘となりダーイシュの通信を妨害してくれる」と米空軍のオマー・ヴィラレアル少佐(空軍中東メディアオペレーション主任)がWar Is Boring にメールで語った。少佐はイスラム国の別称を使っている。
  5. ありがたいことにイラク国内のテロリスト集団には長距離レーダー誘導による地対空ミサイルの装備はなくプラウラーは妨害を加える必要がない。だがイスラム国のプロパガンダは高度に組織化され技術も高く、通信ネットワーク、ラジオ放送他を沈黙させる機会は豊富にある。
イラク上空を飛ぶプラウラーにライトニングポッドがついている。 U.S. Air Force photos.
  1. 「EA-6BはNTISRポッドを搭載できます」と少佐は述べ、「非通常型情報収集監視偵察non-traditional intelligence, surveillance and reconnaissance」任務について言及している。「ただし保安上の理由から同装備をどう使っているか詳細はお話しできません」
  2. ノースロップグラマンが製造したライトニングポッド Litening pod はスマート爆弾やミサイルの照準用だが、偵察用途にも使えると同社は売り込んでいる。高解像度赤外線カメラとレーザー画像センサーを搭載し、空中からのスパイ活動に最適だという。
  3. 海兵隊は2007年にプラウラーに同ポッド搭載の改修をしており、とくに監視偵察用途を狙った。海兵隊航空部隊はこの機体をイラクに持ち込んでいる。
  4. この追加装備でプラウラーは道路わきに爆発物を埋める戦闘員を追尾し、携帯電話からの爆破信号を電子妨害できる。また乗員は新しい目標を発見すれば空爆を要請したり、地上部隊へ警告できる。
  5. EA-6Bは増槽をつければスパイ任務をさらに長時間延長することが可能で2,000マイルの飛行が可能となる。
  6. クウェートの基地からイスラム国の拠点地モスルまで往復1,200マイルで、イラク政府軍が奪回を急ぐファルージャまでは400マイル短くなる。
トルコのインチリック航空基地に着陸しようとするEA-6B、 2016年4月撮影. U.S. Marine Corps photo
  1. ペンタゴンはプラウラーの話題では口を閉じているが、米海軍安全本部は同機がイラク上空で情報収集活動についていると認めており、おそらく2014年に投入されていたのだろう。その理由としてダグラス・デヴオノ海軍大尉は同本部発行のApproach誌上で2015年3-4月号で乗機EA-6Bの空調が飛行中に故障したと伝えている。
  2. 「イラク上空の長時間飛行中に発生した」とあり「NTISRミッションの最中だった」と述べている。
  3. 記事では当該機の所属は明示していないがAP通信が同大尉が家族と映る写真を2014年11月に配信しており、キャプションでは空母USSジョージ・H・W・ブッシュ航空隊所属としている。
  4. ブッシュは9か月に及ぶ海上任務からヴァージニアの母港に戻ったばかりだった。艦載機はプラウラー5機も含め空爆他のミッションをイスラム国相手に実施していた。
  5. これが海軍のプラウラーに最後の実戦展開となった。空母の帰還から7か月して海軍は同機運用を終了している。
  6. 一方で海兵隊は同機を電子戦機材として少なくとも2019年まで使う予定で、イスラム国戦に投入していくようだ。
  7. 3月27日に空軍中将チャールズ・ブラウンが中東地区の最上級将官として報道陣に情報収集増強の必要性を話している。「もっと情報があれば民間人被害を最小限に食い止めつつ精密攻撃を継続できる」
  8. ペンタゴンはイラク、シリア両国で空中情報収取活動を広げる必要に迫られている。さらにスパイ機や無人機はアフガニスタンやイエメンの上空も飛行する必要がある。
  9. 空軍は監視偵察機を要注意地区のウクライナや南シナ海上空にも飛ばす必要があり、ブラウン中将にとってプラウラー隊がイラク上空にあることは心強いにちがいない。
  10. 海兵隊のF/A-18ホーネット戦闘爆撃機も臨時に情報収集ミッションをプラウラー同様に行えるが、ホーネットはすでに酷使気味である。予算削減の上ずっと遅れたままのF-35ステルス戦闘機に予算が流れるため、海兵隊航空部隊はホーネットを飛行させるだけで精一杯の観がある。
  11. 2016年4月20日には海兵隊で航空部門トップのジョン・デイヴィス中将がワシントンの議会で海兵隊保有のジェット機材で飛行可能な状態なのは32パーセント90機未満しかないと驚くべき発言をしている。
  12. 海兵隊もゆくゆくはEA-6Bの後継機種としてF-35を投入する。だが共用打撃戦闘機の実用化が数年先のままで最前線に大きなしわよせがきており、機齢45年のプラウラーは当面第一線でがんばるしかない。
  13. イラク、シリア、ペンタゴン、海兵隊で状況がこのままだと、海兵隊プラウラー乗員は通常ミッションに加え情報収集任務を覚悟しなければならない。

2016年6月23日木曜日

★中国は本当に大国なのか、五つの通説を切る



以下は主張が偏りがちなNational Interestの中でも極めてバランスの取れた観察だと思います。一読をお勧めします。


The National Interest  5 Common Myths about China's Power

Beijing’s no supervillain.
June 16, 2016

世界から孤立した途上国から経済大国かつグローバルに活動する国に変身を遂げた中国は21世紀の国際政治でもっとも重要な変化といってよい。今や世界二位の経済規模になり、軍事予算は1989年の200億ドルから2015年の2,150億ドルへ大幅に増えた。これはロシア、ドイツ、英国の国防予算の合計よりも大きな金額だ。
  1. 中国の台頭を恐れるあまり事実に反する報道や誇張された話が広がっており、米国内での議論では「通説」となっており多くの中国のかかえる問題の姿が見えにくくなっている。その例に社会に深くしみ込んだ汚職問題、経済成長の鈍化、人口高齢化がある。
  2. 中国のイメージは危険な強奪者で米国に変わり世界支配を企む大国になっている。そこで中国の国力に関する通説を解明して中国台頭の理由を理解し、今後の国際社会での中国の役割を理解ことが米中関係の今後を占うために必要だ。

通説その1 中国はグローバル軍事超大国
  1. 目を見張る経済成長が二十年続き人民解放軍の近代化を多方面で進める余裕が生まれた。1995年から2015年の国防予算は平均して二ケタ成長を維持してきた。ストックホルム国際平和研究所の試算では中国の2015年国防予算は2,140億ドルで、米国に次ぐ世界第二位とする。中国の軍事支出だけでアジア太平洋地区の防衛総支出の48%に相当する。
  2. 支出増大により中国は軍事力を伸ばしたが、依然として中国軍事力の到達範囲は限定的だ。超大国の定義として軍事力を世界各地に投射する能力が必須だが、中国は東アジアまでにとどまっている。物議を醸す人工島建設さらに滑走路やレーダー施設の建設で南シナ海では中国軍事力を増幅する効果はあるが、それぞれの施設は攻撃に脆弱であり九段線を超えた作戦には役立たない。同様に中国の接近阻止領域否定能力や対艦ミサイルは近距離地点で米国との対決には有効だが、離れると途端に効果がなくなる。
  3. 政治的決断があれば中国はゆくゆくは超大国能力を手に入れるだろう。中国初の空母遼寧は2012年に就役しているが、元はソ連空母を再整備したもので、技術的成約が残る。しかし中国は新型空母を国産技術で建艦する挑戦に着手している。国産国防装備の開発は研究開発や技術力の基盤の拡大につながり、中国は米国との技術格差を埋めていくだろう。さらに中国は今のところ海外基地の使用合意ができていないが、米軍は世界規模で作戦を展開している。その中でジブチで初の海外「支援施設」の建設が2016年2月に発表されている。
  4. また金銭で解決できない別のハードルもある。中国は1979年以降に実戦経験がない。軍事力は試す機会がないままで、将校は戦闘経験が欠けているのは米軍とは好対照だ。PLAの内部再編が最近行われたが状況を悪化させるかもしれない。指揮命令系統の階層を再構成したからだ。こうした制約で中国が軍事力をグローバルに投射する能力を手に入れるのはまだ数十年かかるかもしれない。

通説その二  米国債務1兆ドル相当を保有する中国はアメリカに強みを発揮できる
  1. 中国が米国の借金を所有することで米経済へ影響力を及ぼすとの恐れは誤りであり誇張されすぎだ。ある国の債務を外国が購入すること自体は通常の取引で世界経済の透明性を保つ作用がある。
  2. 各国が債権を保有するには理由がある。外国債はその国の外貨準備の一部となり、海外から財の購入とともに海外投資の手段となる。中央銀行が政府債を購入するのは為替レートを維持するためと経済不安定化を未然に防止するためで低リスクの債権として買い入れる。中国が米国の借金を買い上げるのも同じ理由だ。
  3. 米債券の大口所有者は中国だけではないのが重要な点だ。米国債は安全で便利な資産対象で世界に通用する準備通貨の保有になる。ドルは国際決済に広範囲に使われている。たしかに中国は1.2446兆ドルの米債券を保有し世界最大だが日本も1.1371兆ドルと二位で迫っており、実は米債券の大多数およそ6割は米国内の諸機関が保有している。
  4. 中国の大規模債券保有に関していつか中国が「取り立て」に来るのではと言われることが多いが、債権を使った強圧的な行動をとることは厳重に制限されている。は債務国に打つ手がなくなった時に初めて債権国は影響力を支払い条件に行使できる。
  5. これを米国の例に当てはめると米国債は世界経済では極めて需要が高い資産とみなされている。米国債は広く保有されており、ほぼ常時買い手が見つかる。仮に中国が保有する債権を売りに出しても米国への影響は限定的だ。例として2015年8月に中国が米国債を1,800億ドル減らしたが、米国債価格の下落幅は無視できるほどだった。

通説その三 中国は温室効果ガスの排出削減対策をとっていない
  1. 中国は環境汚染問題を抱えているのは議論の余地がない。数十年にわたり急速な経済成長を進めた結果、中国のエネルギー需要は大幅に拡大し、今や世界最大のエネルギー消費国になっている。化石燃料特に石炭、石油を大量に消費する中国は世界最大の二酸化炭素排出国になった。
  2. 経済発展と環境保護、社会福祉の均衡が各国に求められるが、この課題は特に中国には待ったなしだ。多くの点で中国はいまだに開発途上国である。これまでの中国は経済成長を阻害する要因に抵抗してきたが国内からも環境意識が高まっている中で指導部は環境水準を改善し環境にやさしい選択肢を模索し始めたところだ。
  3. 中国政府の公約では2030年までに2005年実績比で二酸化炭素濃度を60から65パーセント削減する。2015年には国内で排出権取引市場を発電、製鉄、セメント産業を対象に創設すると合意している。
  4. 中国の石炭消費量は残りの世界合計を上回るが、同時にに中国は水力発電、太陽光、風力発電でも世界最大規模だ。大規模投資をインフラ部門に行い、水力発電が中国の再生可能エネルギーの中心となり、2014年の総発電量の16.8パーセントを占めるまでに成長した。また太陽光発電パネルの生産でも世界最大であり太陽光発電量も世界有数の規模となっている。すべてあわせて2015年に中国は世界の発電容量の三分の一を占めている。
  5. にもかかわらず、中国が化石燃料の消費を減らすには相当の年数が必要だ。風力発電は2012年実績で総消費量の2.1パーセントしか占めず、米国の3.7%やドイツの9.4%と比べると見劣りがする。中国は水源と土壌を汚染から守ろうと懸命になっている。再生可能エネルギーへ投資しながら、喫緊の課題と言える国内国際公約の実効に向け各方面の力を投入しており、昨年のパリ合意内容含め効果が出てくるのを期待しているところだ。たしかに中国は世界最大の公害発生源だが、クリーン化を進めているのも事実だ。

通説その四 中国は通貨操作で有利な貿易条件を作り、米国は不公平を強いられている
  1. 2016年は米大統領選挙の年で両政党の候補者はともに中国の通貨操作を非難しているが、その声明文を見ると為替交換レートが国際経済で果たす役割を誤って理解しているとよくわかる。通貨切り上げ切り下げは通常の金融政策手段である。中国が交換レートに手を入れると米国では同時に中国国内市場への介入手段として金利水準を変更してくる。
  2. 政治家の中国批判は実質交換レートと名目レートの一体化に原因を求めている。自国通貨を発行する各国政府は通貨の名目為替レートを設定できるが通常は貿易実務では実勢レートを重視するものであり、これは国内の購買力を国際比較して決まる。そのため名目為替レートは貿易実務ではほとんど参考にされない。例えば米ドルは日本円に対して長年ドル安となっていたため、日本との貿易赤字が1970年の12億ドルが1995年には591億ドルまで拡大した。2004年から2014年にかけてドルは中国元にもドル安のままで中国との米貿易赤字は1,622億ドルが3,657億ドルへ倍増している。
  3. 歴史的に見れば、中国は名目為替レートを調整して物価安定化を図り、雇用を維持したきたといえる。中国は元の価値を安定させることで輸出主導で経済成長を維持しようとしたきたのであり、元の価値を巡る問題は重要性を。しかし中国が内需主導型経済構造に切り替えようとする中で経済政策も強い元を目指すようになり、輸入品価格を下げることで内需を刺激しようとした。強い元を求めることは国際舞台で元の使い勝手を良くさせる願望のあらわれである。
  4. 2015年11月に国際通貨基金IMFが元を特別引き出し権SDRの対象通貨に加えたことで元の国際的な役割が改めて認識された。SDRとは各国通貨を組み合わせて各国はIMFから受け取る。元が加わったことで世界経済も恩恵を期待できる。というのは中国人民銀行が自国通貨の管理でいっそうの透明性を発揮せざるを得なくなったからだ。しかしながら元の国際化には難題も相当残っている。元を中国国内市場でも強力にしておくため中国指導部は資本市場を開放することにしたが、その実施で逆に元には切り下げ圧力が働くようになる。
  5. 中国の金融政策を批判するよりも国際社会は中国にいまだに残る貿易や投資上の障壁の撤廃を働き掛けるべきである。中国では知的財産権の仕組みが完全でなく、国内企業を優遇する傾向があるため公正かつ競争原理の働く国際取引の実現には課題が残っており、このままだと通貨操作よりも大きな被害が発生するだろう。

通説その五 中国は世界の統治に貢献していない
  1. 世界規模の問題では多国間協力が必要で中国にとって平和と安定への貢献を見せる絶好の機会となる。歴史を振り返れば中国は介入勢力に抵抗を示し、特に国家主権が国連決議で侵害されるのを恐れていたが、時代は変わりつつある。
  2. 中国が汎地球的統治機能に前向きになっている証拠の中で一番明確なのは国連への参画だ。ここ数年で中国は従来の傍観者の立場から、いやいやながら支援する側へ、さらに国連内部で指導力を発揮するまでと大幅な変化を示している。国連一般予算への拠出金では中国は世界三番目規模となっており、平和維持活動では二番目で三千名を派遣している。
  3. 国連内部での中国の役割変化は北朝鮮制裁でも見える。長年にわたり決議案成立を拒んできた中国が今や北朝鮮へ最も強硬な制裁を支持するまでになっている。特に北朝鮮が2016年2月に核実験を敢行したことへの反感だ。
  4. 世界規模の統治機能を中国は支持しており、経済力で気前の良さを武器にしている。現時点で中国は途上国向け協力で最大の資金提供国で、国家開発銀行、輸出入銀行、新開発銀行(BRICSsが設立)、アジアインフラ投資銀行を通じて提供している。中国の財務力は増大しており、G-20、世界銀行、国際通貨基金での発言力が増えている。
  5. さらに中国は多国間取り決め各種を調印して世界規模の重要構想を支援している。2015年のパリ気候条約が好例だ。だが中国が一般的に支援しているのは基準規則を元にした国際秩序だが、ハーグの国際仲裁裁判所で現在南シナ海を巡る意見衝突を審理中で中国も各国同様に自国だけの利益と国際社会全体の利益を調和させる必要がある。だが中国は裁定結果を受け入れないとし、国連海洋法条約では自国の都合よい解釈をしている。にもかかわらず多国間協力取り決めに中国の参加が増えているのは事実だ。

ボニー・S・グレイサーはアジア問題の主任研究員兼中国兵力投射問題の研究主任を戦略極再研究書で務めている。マシュー・P・フネオレはCSISで中国兵力踏査問題を研究員でアジア太平洋における同盟関係と国力の関係を専門としている。



リムパック参加の中国艦隊が米海軍エスコートで真珠湾に移動中


なるほどPLAN部隊はハワイまでの移動に米海軍がエスコートすることになったのですね。今回も中国はこれとは別にスパイ船を派遣するのでしょうか。

 Chinese, U.S. warships rendezvous in west Pacific Ocean for RIMPAC 2016

Source: China Military OnlineEditor: Zhang Tao
2016-06-20 16:410

中国海軍誘導ミサイル駆逐艦西安の乗組員がボートで誘導ミサイル駆逐艦USSストックデール(DDG-106)での事前打ち合わせに向かう。RIMPAC2016に参加する中国艦は西太平洋で米海軍艦艇と現地時間6月18日正午に合流した。

WESTERN PACIFIC, June 20 (ChinaMil) –RIMPAC2016演習に参加する中国海軍部隊が大東諸島南方海域に到着し、米海軍のUSSストックデール(DDG-106)とローレンス(DDG-4)に6月18日合流した。
中国部隊の編制は誘導ミサイル駆逐艦西安Xi'an、誘導ミサイルフリゲート艦衡水Hengshui、補給艦高邮Gaoyouhu、病院船和平方舟Peace Ark、潜水艦救難艦長島Changdao、艦載ヘリコプター三機、特殊作戦チーム1、潜水チーム1で浙江省舟山市Zhoushanの軍港を6月15日に出発していた。
合流した中国艦隊の幹部は硬式膨張ボートで移動しUSSストックデールに乗艦し、調整会議に臨んだ。
会議後に二国の艦艇七隻は任務部隊の陣形を組み、USSストックデールが旗艦となりパールハーバーに現地時間6月29日に入港する。
中国海軍艦隊司令官Wang Sheqiangによれば二国間協議の結果、パールハーバー到着前に通信、戦術行動、煙幕行動、海上物資補給、緊急処分、主砲発射、航空撮影の演習を行う。■


イスラエル向けF-35A一号機がロールアウト



Lockheed Martin has officially unveiled Israel’s first F-35

Jun 22 2016 -

イスラエルはF-35Aに「アディール」(強者)と呼称を与え、イスラエル空軍向けライトニングII一号機がロールアウトした。

ロッキード・マーティンは実況中継https://youtu.be/AvYEHZa_z_Uでイスラエル向けF-35初号機がロールアウトする模様をフォートワース工場(テキサス)から6月22日伝えた。初号機AS-1はイスラエル空軍(IAF)に今年後半に引き渡される。

イスラエル国防相アヴィグドール・リーベルマンは同機を「世界最高性能の機体でイスラエルに航空優勢をもたらす」と評し、イスラエルの抑止力を今後維持すると式典であいさつした。

イスラエルはF-35Aを33機を米政府の海外軍事装備有償援助制度で導入し、さらに17機のオプション枠がある。

機体にはイスラエル企業製の部品も採用されており、イスラエル航空宇宙工業は主翼外側、エルビットシステムズ・サイクロンは胴体中央部の複合材、エルビットシステムズはライトニングII全機向け第三世代ヘルメット内蔵ディスプレイシステムをそれぞれ製造している。

ただしイスラエルが「国内対応」改修をどこまで行うか不明で、EW電子戦ポッド、兵装類、C4システム他が機体に独自に搭載されるはずだ。このため機体はF-35I(イスラエルのI)と呼ばれる。■