2018年1月27日土曜日

トランプ政権の核戦力再整備方針は使える核兵器をめざすのか

The Pentagon Wants Its Nuclear Tomahawks Back

ペンタゴンが核トマホークの復帰を望む


前回2010年の核戦力整備検討で核弾頭付きトマホークの退役が決まった。同ミサイルは2012年から2013年にかけて配備中止となったが、トランプ大統領はこの戦力の再登載が必要としている。Credit: U.S. Navy



Jan 17, 2018James Drew | Aviation Week & Space Technology


トランプ政権は米核戦力の大幅復興に乗り出す。近年の核戦力は衰退していたが、新規弾頭用のプルトニウムコアの増産、海上発射型巡航ミサイルの再配備などの手をうつ。
2018年度核戦力検討作業の内容がリークされ、米軍トップによるこれまでの指摘を確認している。中国・ロシアの核戦力増強に米国が対応を求められ、北朝鮮の新たな脅威が加わる中で広範な核兵器の近代化は待ったなしで冷戦時の爆撃機、潜水艦、ミサイルや核運用可能戦術機などで対応が必要だ。
政策原案が承認されれば「遅延なく作業を加速化する」ことになり、前政権で着手済みの中核事業の実現をめざす。コロンビア級潜水艦、ノースロップ・グラマンB-21爆撃機、地上配備戦略抑止力弾道ミサイル、長距離スタンドオフ巡航ミサイル、核・非核両用ロッキード・マーティンF-35A共用打撃戦闘機、B61-12誘導方式自由落下爆弾だ。
一方でオバマ政権が手掛けた海軍の核巡航ミサイル削減が逆転し、B83-1は温存する。これは最後のメガトン級核爆弾だ。B61-11地中貫徹弾他通常型バンカー破壊爆弾も保持し必要に応じ地下施設攻撃に投入する。
ロシア戦術核兵器の「大きな優位性」に対抗しつつ、中国や北朝鮮の軍事行動に対応すべく、国防総省は「潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の一部」に低威力核攻撃能力を付与し、新型海上発射巡航ミサイルに資金投入する。これでオバマ政権がレイセオンのトマホーク対地攻撃ミサイル退役で生じた穴を埋める。
新方針ではコロンビア級潜水艦の追加建造に含みを残し、「最低でも12隻」と原案の十隻程度から増えた。トライデントD5潜水艦搭載弾道ミサイルは供用期間を延長しオハイオ級およびコロンビア級で使う予定だが2020年にペンタゴンは後継機種の検討を開始する。
米核戦力を今後も維持するべく、トランプ政権はエネルギー省の国家原子力安全保障局による新規プルトニウムピット(核弾頭の中核部分)の増産を求め、2030年に年間80基が「最低でも」必要としている。ちなみに現時点はゼロである。
米プルトニウムピットの大部分は1978年から1989年に製造されその後調整しつつ供用している。新規プルトニウムコアとしてはロスアラモス国立研究所が製造したW88弾頭(2007年-2012年)が最後だ。「現時点で米国には新規核弾頭の製造能力がない」と報告書はまとめている。
米核戦力の再整備の背後にある戦略は核・非核の大規模攻撃が発生した場合に米国に弱点がある、または抑止できないと「誤った理解」をさせないことだと検討結果にある。ここには米核戦力指揮命令系統ネットワークへの宇宙、サイバー両面での妨害も含む。




検討ではトランプ政権が「非先制使用」政策は採択しないことを確認している。この点は前政権で広く議論の対象となっていた。つまりワシントンは必要なら核先制攻撃を行う権利を保持するということだ。
政策転換はワシントンの国防タカ派に歓迎される一方で軍備管理を主張する一派からは批判されている。
「トランプ案では核兵器を非核装備に対して使用するシナリオの幅が拡大しています。サイバー脅威も対象になるのです」と軍縮協会専務理事ダリル・キンボールDaryl Kimballが述べている。「危険で不安定化をもたらします。たとえ少数でも核を投入すれば結果は破滅的です」
前政権は米核兵器を他国による核攻撃の抑止手段としてのみ見ていたが、キンボールはトランプ大統領は「もっと使い勝手の良い」核兵器を求めているとし、低威力弾頭をトライデントD5や海軍用巡航ミサイル用に提案するのはその例だし、両装備は「軍事上不要」の存在で危機や紛争の際に誤解を増やすだけとする。
「使い勝手の良い兵器があれば核兵器で抑止効果を強めるとの確証はありません。ロシアのように各種の手段が使える相手の場合は特にそうです」とキンボールはAviation Weekに述べている。「核兵器投入の最低ラインを引き下げて世界の核兵器開発レースを刺激するよりも米国には指導力が必要」という。





 民間国防コンサルタントで核問題専門家のピーター・フーシイPeter Huessyは戦略変更を歓迎し、ロシアの欧州内通常戦力、核戦術能力への対抗策になると期待。
 「ロシアは米・NATOと通常戦力では互角なので戦域核戦力で脅迫せんとしている」という。「米国の戦域核戦力は限定的で海上運用巡航ミサイル戦力を実現すれば現在の抑止力構成に望ましい追加要素になる」という。
 フーシイはレーガン以降の各政権を通じ米戦略核兵器は85%削減され、「史上他に例がない事態」だという。
 「ただし世界の安全保障環境は2010年以降悪化しています」とし、「ロシアが核兵器での対米攻撃を2009年から2016年に20回以上伝えています。ロシア、中国共に2010年以降に戦略戦術核兵器を大幅に増強し、特に中国は軍備管理の制約を何ら受けません。両国合わせると戦域核兵器は数先発となり米国の数百発と雲泥の差です」
 さらにオバマ政権下での見直しから8年が経過したが、インドとパキスタンが核兵器を「劇的に増加」させ、中国も数百発から数先発の核弾頭を増やしたという。ロシアは戦略戦術核部隊の近代化を実施し、北朝鮮は最大100発を製造し、イランが核兵器運用の能力を急速に実現していると指摘する。「これに対して米国は陸上ミサイル、潜水艦、爆撃機いずれもまったく増強しておらず今後も二十年間にわたり増加の兆しはない」という。
 トランプ政権の核近代化加速案では同時に低出力核弾頭を増やし海上発射巡航ミサイルを近代化するので数十億ドル追加支出になりそうだ。議会予算局は核の三本柱の維持近代化で今後30年間で1.2兆ドルになると試算しており、内訳は8000億ドルが運用作戦用で4000億ドルが近代化用だとする。
 トランプ構想では核兵力整備支出が最大になるのは2029年で国防予算の6.4%相当になる。これに対して1962年の米国国防予算では24.9%、レーガン時代の1984年は13.4%になっていた。ただし国防予算総額自体がかつては小さかった。
 ペンタゴンは決定案ではないため原案内容に関し一切の言及を拒んでいる。最終版は検討作業中であり大統領、国防長官の承認をもって二月初めに公表される。■

核戦力の運用はとてつもない巨額が必要ですね。米露中以外の各国はしょせん小規模しか運用しないのでもともとシステムも小ぶりなのでしょうが、それでも各国の財政上に相当の負担となります。北朝鮮が核兵器運用で通常軍を縮小し生産活動に振り向けようとするのであれば、それはそれで合理的な判断かもしれませんね。ノーベル平和賞を取ったICAN代表が来日していましたが、日本政府をいじめたい勢力と結託していました。ぜひ、ロシア、中国、北朝鮮にも足を延ばして議論ができるか試してもらいたいものです。

2018年1月26日金曜日

米国外生産で初のF-35B初号機がイタリア海軍へ納入!

The First F-35B Assembled Outside The U.S. Delivered To The Italian Ministry Of Defense Today 米国外で初のF-35B完成機がイタリア国防省へ引き渡し



イタリア製F-35B一号機(BL-1)がイタリア国防省に納入され、イタリア海軍に配属された。1月25日、カメリFACO。I(Ministry of Defense Photo)
 By David Cenciotti Jan 25 2018


タリア製のF-35BライトニングII短距離離陸垂直着陸型 (STOVL) 一号機がカメリ最終組立点検施設(FACO)でイタリア国防省に納入されイタリア海軍に1月25日配属された。

同機は軍高官が出席する式典で正式にイタリア海軍に引き渡された。ロッキード・マーティンからはダグ・ウィルヘルムDoug WilhelmF-35事業統括副社長が出席した。
従来通り、イタリアが報道関係は一切シャットアウトしたため式典の様子はお伝え出来ないが、イスラエル向けあるいはオランダ向け初号機の際は鳴り物入りで広報したの対照的だ。イタリア国防省はF-35に関する限り一貫して「低姿勢」を守っている。
イタリアのF-35は発注が131機から90機に削減されさらに縮小の可能性もある中でイタリア国防予算の相当な部分を占めている。このためイタリア国防政策ではF-35の動向が注目されがちだ。物議をかもす存在にもなっており、一般国民のみならず国会議員にも同機への反対姿勢が相変わらず存在するのはティアII参加国で産業界へ大した恩恵がないまま苦しい財政の中存続させられないからだ。にもかかわらず政府はF-35事業を温存しイタリア空軍に第五世代戦闘機を配属し、老朽化してきたAMXとトーネード戦闘爆撃機に交替させ、海軍にはF-35BでAV-8B+ハリアーの後継機とさせたいとする。
これでカマリFACOはF-35Aは9機、F-35Bが1機納入ずみとなり、米国外で唯一のF-35B生産ラインとなっている。イタリア製F-35は4機がルーク空軍基地(アリゾナ)に配備され国際パイロット訓練に供され、5機はアメンドーラ空軍基地(イタリア)にある。
カメリFACOではオランダ空軍向けF-35A(29機)も製造する予定でその他ヨーロッパ向け機体の製造能力もある。FACOを運営主体はレオナルドでロッキード・マーティンが支援する形で現在は800名の熟練作業員がF-35AおよびF-35BSTOVLの生産に従事し、F-35A主翼の生産も行っている。■

F-35Bには日本、韓国等が急に関心を示し始め、今後調達することになれば機体生産をどこでするかが課題になるでしょう。小牧のFACOで対応可能なのかわかりませんが当然カマリの事例も参考になるでしょうね。問題は機体が手に入ってもそれをどう稼働させるかが重要で、訓練、支援体制、そもそも海上自衛隊が「航空隊」を編成するのかも含め総合的な検討が必要でしょう。

米海軍ズムワルト級二号艦の完成近づく

Navy to Deliver 2nd Stealthy Zumwalt-Class Destroyer in March

ズムワルト級二号艦進水が3月に迫る



号艦USSズムワルトの影に隠れているが、米海軍は二号艦を静かに完成に近づけており、まもなくUSSマイケル・マンソーと命名されるはずで早ければ三月に引き渡しとなる。
 同艦はDDG-1001と呼称され現在98パーセント完成しており、建造主公試が今年12月に予定されている。
 初号艦と同様に二号艦もステルス多任務対地対艦攻撃艦として長距離精密攻撃手段を搭載し各種ミサイルも運用し、高速演算能力と電気推進式統合推進システムを艦内78メガワット発電で賄う。
 技術基盤を共有し、艦の仕様と兵装システムが同じマンソーではコンピューターソフトウェアをアップデートする。
 艦載コンピュータは全艦演算環境Total Ship Computing Environmentの名称で艦内諸システムを統合するものでレーダー、兵装、推進系にまたがる。ソフトウェアアップデートで各装備が恩恵を享受する。
 マンソーが航海に出る時点でズムワルトも同じアップデートを受ける。コンピュータプログラムは700万行におよぶ膨大なものだという。
 USSズムワルト建造で得た知見も活用できたという。ズムワルトでは一部機器の取り扱いや技術統合で工期が遅れた。とくに艦橋とアンテナが複合材の一体化に難しさがあった。
 こうした経験から二号艦建造はスムーズに進んだという。
 三号艦はUSSリンドン・B・ジョンソンとなるはずで現在71パーセントの進捗度で先行艦と違い艦橋は鋼鉄製となる。
 USSマイケル・マンソーは2020年3月に海軍引き渡し予定で同年にUSSズムワルトが作戦能力を獲得する。
 三隻しかないズムワルト級部隊はこれからの世界で新規脅威が生まれるとあちこちからひっぱりだこになりそうだ。それは同級にしかない技術が理由でステルス特性を生かし強襲作戦で先頭に立つ、あるいは攻撃の口火を切る役割が期待される。また現行のDDG-51級駆逐艦と同様にズムワルトは空母打撃群の防御にも有効だ。
 レーダーや空中ISR装備または艦載MH-60Rやファイヤースカウト無人機が長距離地点で敵あるいは飛来する敵攻撃を探知した場合、対抗措置の前衛機能がズムワルトに期待される。主砲の長距離精密射撃能力を活かし敵の地上目標を自らを探知されずに攻撃できるはずだ。これがズムワルト級の長距離対地攻撃弾LRLAP構想で現行の無誘導5インチ砲の射程をはるかに超える威力を実現する。
 低レーダー探知特性を生かしてズムワルト級には揚陸作戦での活躍も期待されている。高性能搭載センサー類と無人機やその他ISR機材をつなぎ、揚陸即応部隊に最適の攻撃地点へ誘導する。こうしたズムワルトの沿海部浅海部ミッション能力と長距離精密火力で揚陸部隊の展開前に陸上目標を弱体化できる。LCSと異なりズムワルトではアクセス可能な港湾や沿岸部が広く、沿海部作戦で投入できる火力が増す。
 ズムワルト級は三隻しかないため、全世界どこでもいつでも展開させるのは難しい。このためズムワルト級は今後建造される新型艦船や技術革新の見本となり、将来につながるだろう。
レーザー兵器の搭載
 レイルガンやレーザー兵器の搭載が関心の的になりがちだ。このためズムワルトの統合発電システムへの関心が高くなっており、今後も進化しレーザー搭載の際の技術基盤となるだろう。
 出力容量が大きくなればレーザー強度も増す。艦載レーザー兵器はすでに運用装備の域に達している。今後の課題は出力を上げ有効射程を伸ばしながらレーダー、センサー類、火器管制技術と統合していくことだ。
More Weapons and Technology - WARRIOR MAVEN (CLICK HERE) --
All Scout Warrior Content Has Now Moved towww.warriormaven.com
WARRIOR MAVEN's Premium Offer - Free for US Military - Offers Q&A with US Military Leaders - PREMIUM CLICK HERE
--- Kris Osborn, Managing Editor of WARRIOR MAVEN (CLICK HERE) can be reached at krisosborn.ko@gmail.com -

★F-16はまだまだ需要あり、生産ライン閉鎖は先送り

Lockheed keeps F-16 production line going with Bahrain deal

バーレイン向け販売成約でF-16生産ラインの維持が決まった


An F-16 Fighting Falcon prepares to receive fuel from a KC-135 Stratotanker over Afghanistan Nov. 19. (Staff Sgt. Sean Martin/Air Force)

By: Chirine Mouchantaf    
ーレインが中東で初めてロッキードF-16ブロック70機材を運用する。これでファルコン生産ラインは勢いがついた。
昨年、マイク・ペンス副大統領から同国向けF-16合計16機23億ドル販売がまとまったと発表があり「米国内雇用と安全保障双方で大きな貢献」としていた。「バーレイン王国と米国政府はF-16ブロック70販売で合意ができた」とロッキード・マーティンエアロノーティクスの国際営業開発担当副社長リック・グローシュRick Groeschが述べていた。
ファイティングファルコン最新型のF-16ブロック70は以前のブロック50/52に比べAN-APG-83アクティブ電子スキャンアレイレーダーの搭載が目新しい。エイビオニクス構成や機体構造も改修され機体寿命は50%伸びた。
機体販売総数は19機原案から節約で16機になったが、今回の販売で「F-16生産ライン縮小を回避できる」と軍事筋が見ている。
同筋によればバーレイン向け販売で「ロッキードの生産ラインはあと3年から5年維持できる」「ウィンウィンになる。バーレインはF-16が必要だし、F-16にはバーレインが必要だ」
グローシュは今後のF-16拡販の可能性について「中欧、地中海、東南アジア、南アジア全部で200機の可能性があると見ている」と述べている。
昨年6月にロッキードとTata Advanced Systems Limited (TASL) がF-16ブロック70のインド国内生産をで合意した。これもF-16生産ラインの維持すにつながる。
バーレインが中東初のF-16運用国となる。バーレイン軍関係者は今回の決定でユーロファイター・タイフーン調達は断念すると明らかにした。タイフーンが有力と見られていた。「王立バーレイン空軍はタイフーンを運用しない。新型F-16が16機新規調達され、ブロック40のF-16も20機をV型に改装するので空軍は機種はこれ以上不要だ」
サウジアラビア、オマーン、クウェートがエアバスBAEシステムズレオナルドの共同事業体によるユーロファイター・タイフーンを運用中だ。
ユーロファイター広報は受注状況からタイフーンは2024年までに納入を完了すると述べている。「当社は引き続き世界各地で新規受注を目指しタイフーンの販売数はまだ伸びるとみています」
軍事専門家ナジ・マレーブNaji Malaebは他の湾岸諸国に比べバーレインの軍事支出が少ない点を指摘する。ただし今回の購入で「バーレインもイランの地域内介入に対応する各国に加わる姿勢を示した」と評している。
ストックホルム国際平和研究所は昨年2月発表の研究報告でアラブ諸国並びにバーレイン除く湾岸諸国の軍事装備輸入が2007年から2016年にかけ一貫して伸びたと指摘。イランとの関係がぎくしゃくするバーレインだけ輸入額が119パーセント減っていた。

「バーレインが16機のファルコン戦闘機を発注したのは空軍力増強に賭ける同国の狙いの一環だ」とマレーブは指摘している。■
まだまだF-16はじめ第四世代戦闘機は使い勝手の良い、よい買い物になるのですね。

2018年1月25日木曜日

インドネシア空軍向け戦闘機調達の最新動向

ロシア製機材が米国製機材と混じるのはインドネシア、マレーシアに共通ですが、運用上は大変でしょうね。しかし、ロシアへの購入条件提示を見ているとこういう国とは商売したくなるなるのでは。経済急成長中と言われるインドネシアですが国家財政は貧弱なのですね。


Aerospace Daily & Defense ReportIndonesia Shopping For Western Fighters

 インドネシアが西側戦闘機導入を検討中


Typhoon: Eurofighter


Jan 23, 2018 Marhalim Abas | Aerospace Daily & Defense Report


ンドネシアが西側メーカー数社と戦闘機調達を商談中で、候補はユーロファイター・タイフーンとロッキード・マーティンF-16Vが有望だと同国業界筋二名から判明した。
 Saabグリペンとダッソー・ラファールも候補で両社はジャカルタに事務所を置く。調達規模は不明だが、インドネシア空軍の戦闘機飛行隊定数の16機の倍数となるのは確実だ。
 内部筋の一人目は商談は昨年に始まり、タイフーンが有力とみている。
 空軍がF-16を推すのは同型機を運用中のためと別の内部筋が語る。両名とも軍部とのつながりが強い。
 ロッキード・マーティンはF-16Vにプラット&ホイットニーF100-PW-229エンジンを搭載し提案中だという。インドネシア空軍は同エンジンを搭載した32機を運用中だ。ロッキード案で訓練費用、補給費用が下がりそうだ。
 ロッキード・マーティンのインドネシア政府・空軍向けプレゼンでは現行の新規生産F-16C/D23機、およびF-16A/B9機をV規格にアップグレードし、レーダーやエイビオニクスを新型に換装するとある。
 ミサイル、爆弾、照準ポッドなど購入済み装備はそのまま使えるので調達コストが節約できると同社はインドネシア側に訴える。
 インドネシア空軍は2024年までに戦闘機180機体制をめざしていたが目標達成は険しい。現在は48機供用中で、スホイSu-35を11機発注中。
 西側戦闘機を発注してもSu-35発注に影響はないと見られる。ロシアとは契約書調印一歩手前にある。
 同国は米国製武器の禁輸措置を20年前に受けた経緯があり、Su-35調達は利点があり、非西側の供給を受けるほうが良いとの主張もある。
 Su-35選定は2015年のことでF-5Eタイガーの後継機としてであるが、その後も西側メーカー数社がインドネシアに戦闘機売り込みを図ってきた。
 2017年7月にインドネシアはSu-35導入を総額11.4億ドルと発表している。うち、5.7億ドルはロシア向け各種輸出で清算し、残る35%を相殺支払いするとしていたが、いまだ契約書が発効していない。

 F-16以外に空軍には旧型フランカーSu-27とSu-30がある。1月18日にF-16C/D改修型の最終号機が現地到着した。F-5Eは用途廃止済みだ。■

米軍は北朝鮮には戦術核兵器投入で対処するのか

US stealth bombers in Guam appear to be readying for a tactical nuclear strike on North Korea

グアム配備のステルス爆撃機は北朝鮮の戦術核攻撃に備えている

B 2
A US Air Force B-2 Spirit takes off at Andersen Air Force Base, in Guam, in August 2016.U.S. Air Force/Tech Sgt Richard P. Ebensberger
  • 金正恩抹殺に最適な戦術核兵器を投下できる爆撃機が配備されている
  • 迅速な戦術核攻撃なら被害最小限で北朝鮮の核戦力を無効化できるとの主張がある
  • トランプ大統領が北朝鮮攻撃を検討中と言われるが戦術核攻撃は悲惨な結果に終わるとの見方が専門家政界にある


 米国が太平洋で戦力を静かに増強中だ。配備中の装備から見て戦術核攻撃を実施する可能性がある。
 B-2ステルス爆撃機がグアムに派遣されB-1、B-52部隊に合流している。B-2、B-52は米軍の核三本柱の一角で空中発射核弾道付き巡航ミサイルや小型核兵器を運用可能で特に後者が改修を受けており、北朝鮮攻撃に投入されそうだ。

改修された戦術核で状況は一変するのか

B 61 nuclear bombs on rack
B61自由落下爆弾を前面から見る。United States Department of Defense SSGT Phil Schmitten
 B-2でB61戦術核爆弾16発を搭載できる。最近の改修で命中精度を上げており、地下施設にも有効だが、最新型は未配備だ。
 金正恩が隠れそうな地下壕の破壊に有効なだけでなく威力が調整調整可能で放射性降下物の散布を抑えられる。
 米軍は北朝鮮攻撃用に核兵器多数を保有するが、中国やロシアと言った大国攻撃用の大型が中心だ。
 MIT国際安全保障研究所が近年の誘導方式と核兵器の改良により米国は北朝鮮国内の核施設すべ手を破壊しながら死亡者は100名程度に抑えられるとの論文が出た。これは核兵器を使用しなかった場合の想定死亡2百万ないし3百万と大きな対照となる。
 ただしジェイムズ・マーティン非拡散センターの主任研究員メリッサ・ハンハムMelissa Hanhamは論文に誤りがあるという。
View image on Twitter
This is a terrible map.
 ハンハムは論文の前提がわずか五か所を北朝鮮核施設全体とすることを疑問視する。
 北朝鮮は核・非核攻撃を受ける前提で核施設を分散させている。その所在は秘密で、米情報機関も誤った地点で把握していたと元国務省関係者が証言している。
トランプは戦術核攻撃案に前向き?

 戦術核兵器だけで北朝鮮問題の泥沼が解決できないのは明白だが、トランプ政権は小型核兵器に大きく期待している。
政権発表の核戦力整備案では小型核兵器増産を推奨し、小型化で戦場投入が容易になる。
 B61はヨーロッパで広く配備されているが、大型爆撃機での運用は少ない。The Aviationistは昨年10月にカンザス州で民間人が携帯無線スキャナーでB-2、B-52倍ロットの交信を傍受したが内容は北朝鮮VIP攻撃想定だったと伝えている。
 またトランプが「血まみれ」攻撃を北朝鮮対象に検討中との報道も出ており、金正恩がミサイル発射あるいは核実験に踏み切れば限定攻撃を実施するということだ。
 ただし専門家や政界には核攻撃は不安定を生むだけで単純に正気の沙汰ではないとの見方が多い。ジョン・ガラメンディ下院議員(民、カリフォーニア)は軍事委員会で疑問を語っている。「北朝鮮は米国が一筋縄でいかない相手と見ている。米国が血まみれ攻撃を実施すれば北朝鮮がどんな反応をするかを考えておく必要がある。その後どうなるだろうか」■

Update: This article has been updated to reflect that the modified B-61 is not yet deployed.