2022年3月24日木曜日

ロシアはすでに敗戦している。ウクライナ戦を力づくで勝利しても占領が維持できない。世界を敵に回し、ロシア経済は崩壊する。

Russian Tank Destroyed Ukraine

AFP VIA GETTY IMAGES

 

ウクライナ国内に展開するロシア軍に確かな道筋が見えなくなっている。戦闘には勝利したとしてもロシアはすでに敗北している。

 

シアのウクライナ侵攻が一ヶ月を過ぎ、血生臭さは増すばかりだ。休戦や和平は遠のき、戦闘は続いている。そもそもロシアに軍事的にどんな目標があったにせよ、あらゆる面でロシアは敗北を喫している。ウクライナの占領に成功したとしても、さらに悪いのはその後の事態だ。誰も見たことがない内戦となる。豊かな各国が後押しし、対戦車兵器、対空兵器であふれる中、決意の固い戦闘員が活躍する。ここにその他要素が加わり、どう見てもこの戦いでロシアは明るい未来に到達できない。ロシアは戦闘に勝ち、都市を占拠できても、結果としてすでに敗戦国になっている

 そもそもロシアは戦術面で大きな誤算を繰り返してきた。その例としてウクライナ側がここまで戦闘意欲を維持できるとみていなかったし、ウクライナ指導部のリーダーシップ、防空能力、生存の知恵があることもNATOや欧州連合の決意のほども予測に反するものだ。

 更に悪いのはロシアが自国の力を過剰なまで盛って試算していたことだ。空軍力もそのひとつで、スタンドオフ兵器群の数量信頼性も加わり、自軍の地上部隊の能力と意欲、さらに電撃戦以降の各部隊への補給能力もある。侵攻開始後数日でロシア軍の作戦立案ならびに指揮統制能力が機能不全になったようだ。各方面の指揮官を統合調整する能力も皆無に近く、そもそも全体を指揮する総司令官の姿が見えない。

 

UNCREDITED

KA-52攻撃ヘリコプターが撃墜された — ウクライナの戦場でロシアは多数の機材を喪失している

 

 ウクライナ国民がロシアという共通の敵に向かい一体となったことに加え、ウクライナ軍のイメージが急に向上したのに対し、ロシア軍のイメージは驚くほど低下してしまった。これだけでおわらず、ロシアの行動が逆にNATO、EUさらに世界多数国を反ロシアに団結させてしまった。ロシアへの制裁措置は前代未聞のものでロシアの破壊につながる。ロシアに国富を消費させ、世界から孤立させ、存続の鍵を握るグローバルマーケットへのアクセスを否定する効果を狙っている。

 ロシア経済でエナジー部門は三分の一を占める大きな存在だが、未だに取引を続けている国もあるが、時間経過とともに取引規模が減少していく。中国がロシアの貿易赤字を補填するだろうが、ロシアが失った市場全体のかわりにはならない。そうなると制裁措置でロシアは想像打だにしなかった状況に落ち込むことになる。

 さらに、ロシアに悪の勢力のラベルがつき、無数の一般市民の殺害者となったことに加え、貿易、地域間協力にとどまらず世界での信用度が劣化している。

 自らが招いた結果だが、開戦を選択した国が生き残るための戦闘に追いやられる。慎重に編集したプロパガンダが目立つ。商品も食品も姿を消せば、金融界も底なしのブラックホールに飲み込まれ、若い世代でウクライナ戦で命を落とすものが増え、国内でも戦争が悪いイメージをまとい、意見思想の制圧が困難になる。

 ウクライナ侵攻の直後から、ロシアが意味のある結果を得られるとは到底思えなかったが、数週間が経過し、疑問は一層深まってきた。一刻も早く紛争を終結させ、あるいは凍結させる策を取ることが、何らかの成功の可能性を残すため絶対的に重要に見える。一定の成果を残しながら、人命や物資の損失を公表しなければ、ロシア国民に勝利を「売り込む」のは可能だが、ロシアが侵略の失態から価値あるものを得たとは、事実を知る者を納得させられない。実際このような主張は、全く不可能に映る。

 ロシアがウクライナ東部の港湾都市を全部手に入れ、ドンバス地方の分離独立国家を維持し、その過程でクリミア陸橋を確保し、さらにウクライナの将来の戦闘能力を低下させたと偽って宣言しても、すべてのカテゴリーで失ったものには足りない。情報弱者や否定的なロシア国民の中には、信じる者もいるかもしれないが。そして、ウクライナが和平条件を守る兆しがなければ、ロシアが次回の侵攻を実行してもおかしくない。今回の作戦で犯した失敗を克服すべく次回は準備がはるかに整っているはずだ。

 ロシア軍が恐れるに足りないとか、通常型紛争に勝てないとか、そういうことではない。ウクライナにはロシアを追い出すチャンスが絶対にあるが、ウクライナ領土を軍事的に征服するとなると、まだモスクワに勝算がある。

 ウクライナが国内多くでロシアを抑えこんでいるのを見るのは素晴らしいが、我々は今回の紛争を偏った見方で見ている。ロシアには、軍事作戦に投入する装備品と人的資源がまだ相当残っており、モスクワ指導者は、自ら掘った暗い穴にさらに人命と装備を投げ込むことに何の問題も感じない。しかし、ウクライナ制圧は簡単なはずだったのに、まったく簡単でなかったことは明らかである。その後待ち受けるのは、これまで見たこともない反乱であり、ロシアが制圧できる可能性はほとんどない。

 侵攻開始後に、ウクライナへの最新携帯型対空・対車両兵器の流れは劇的に増加した。対戦車誘導弾数万発と携帯型防空システム(MANPADS)数千発がウクライナ全土に行き渡り、さらに多くの兵器が投入されている。

 ジャベリン、NLAW、スティンガーが注目される一方で、アサルトライフル、カービン銃、ピストル、スナイパーライフルなど小火器も大量に入ってきており、ロシアによる占領に破滅の兆しを見せている。戦闘に慣れた正規軍に加え、戦闘経験豊富な民間戦闘部隊が、理由なくやってきて愛する者を殺し、街を破壊し、焼き払うロシア人への憎悪で団結すれば、銃弾の一発一発が深刻な脅威となる。占領が始まる頃には、多数が弾丸の使い方を知っているので、占領するロシア軍と傀儡勢力に苦痛を最大に与えるだろう。

 ロシア兵も協力者も、安全に動き回れなくなる。環境は極めて敵対的なものになる。イラクやアフガニスタンで米兵の命取りになったのと同じ低コスト即席戦術が、ウクライナに流入しており、数十万ドルするミサイルと一緒に使われている。

 ウクライナ内の兵器はロシアにとって大きな問題であるだけでなく、ロシアがウクライナで活動する限り、さらに多くの兵器が流入し続ける。ウクライナには、NATO加盟国と長く複雑な国境がある。そのため、物資は流れ続ける。反乱軍が史上最高の資金力を持てば厳しい状況が現実のものとなる。西側の多くは基本的に、モスクワの治外法権の妄想がウクライナ国境で死ぬのを見るため、必要なものは何でも使うだろう。

 実際、歴史上初めて、反乱軍が相手よりも優れた装備と訓練を受けていることになるだろう。

 これはすべてウクライナ領土を完全制圧する前提だ。ハイブリッドモデルが実現し、ロシアの支配が完全に及ばなくても、ウクライナ西側が激しく対立する場になる可能性は大いにある。そうなれば、ロシアの侵略者にとって事態がさらに悪化するだけだ。

 ロシアにはウクライナ占領に必要な戦力すらない。それどころではない。大惨事となった戦闘作戦が開戦時の大誤算であったことは明らかだ。紛争に投入された総兵力のおよそ1割が、現在、行動不能と考えられている。兵員や装備の損失が増えれば増えるほど、部隊は正常に機能しなくなり、スパイラル的に影響が拡大する。

 ロシアは当初派遣した兵力以上の戦力を投入できるにもかかわらず、そうすると万が一の場合に非常に手薄になるし、ロシアの物理的な大きさを考えると、大規模な援軍を送ることには、疑問が残る。米国防総省によれば、ロシアの大隊戦術群の能力の75%がウクライナで活用され、固定翼と回転翼の航空能力の60%以上が戦闘に投入されている。特に、何年続くかわからないウクライナの本格的な占領を維持する戦力はない。これに大規模な反乱軍が加われば、まったく不可能な任務になるのは目に見えている。

 ロシアがウクライナへ保有戦力を最後の一人まで投入できないとは言わないものの、このような作戦を継続するとは非常に考えにくい。また、ウクライナに展開するロシア軍の大部分は数カ月前から配備されており、士気が低下した部隊もあると考えなければならない。隣国ベラルーシがウクライナに自国軍を派遣し事態を収拾できるかもしれないが、長期的な解決策にはなりえない。

 つまり、ロシアがウクライナで血と国富の犠牲を払って軍事的に目的を達成したとしても、その先に控えるのは勝ち目のない状況なのだ。そして、ウクライナ国民が占領軍に紛れ込めば、敵はどこにもおらず、同時にどこにでもいることになる。

 どう考えても、ロシアが「勝った」後には、壮大なスケールのゲリラ戦の大虐殺が控えるという話である。

 侵攻開始の数日前、著者はロシアがアフガニスタンで行った10年にわたる冒険が、ソ連を歴史の塵に突き落とした大要因となった繰り返しになる、あるいはもっと悪い結果に終わる可能性があると記した。

 ロシア社会にアフガニスタンが今でも大きく立ちはだかっている。残酷な10年戦争は、ソビエト連邦を崩壊させる大きな要因になった。プーチン大統領は、この戦争が彼の世界観の原動力となっていることを熟知している。この戦争では、米国から提供された最新鋭ミサイルなどの兵器や訓練が、モスクワがめざした人的・物的損失を出さずに達成する目的に大きな影響を与えた。

 NATO加盟国が支援するウクライナでの長期的な交戦は、ロシアにとってどのようなものになるのだろうか。かなり恐ろしいと言えるかもしれない。ロシア国内では、ウクライナ戦争は非常に高価につく、無制限戦になる可能性があり、その上、制裁と国際社会多数からの排斥を受ける可能性がある。ウクライナの反乱は、「もしも」の学術ゲームではない。不測の事態の基礎は、国内的にも国際的にも築かれている。冷戦時代以降に見られなかったが現代の代理戦争になる可能性がある。

 先の記事で述べたように、冷戦後期に鋭く研究したはずのプーチンが、落とし穴を熟知しながらウクライナで大盤振る舞いしているとすれば、驚くべきことだ。ウクライナのすべて、あるいは半分を奪おうとすれば、ソ連のアフガニスタン同様の戦術事態が、はるかに大きな規模で到来するだろう。プーチンが壮大な道を選んだのが明らかになった後、そのすべて、いやそれ以上のことが実現しつつあるように見える。

 さらに悪いことに、ロシアが軍事目標の基本を達成しても、どのような物質的見返りがあるのだろうか。仮にロシア軍が大戦果を上げ、事態が占領に移行したら、先に述べたように見通しは極めて厳しい。ロシアの枯渇した軍事力をさらに犠牲にすることになる。抵抗が続き、ロシアが町単位で破壊を進めれば、紛争が終わる段階でウクライナの大半が廃墟と化しているだろう。巨大な足かせになるのを防ぐには、巨額投資が必要となるがロシア経済そのものが破綻となる可能性が高い。

 いずれにせよ、ロシアの戦闘力は著しく低下し、兵力は低下し、資材の多くは破壊される。キエフのロシア傀儡政権を支えるため必要となる膨大な経済的犠牲に加え深刻な制裁を考慮すれば、軍の再編成予算もなくなる。制裁でロシアは先端兵器製造に必要な技術の供給源から切り離されたため、消耗した先端兵器の補充することは極めて困難であり、そもそも調達資金があったとしても、実現の可能性は非常に低い。

 ソ連に近いものを再建する、あるいはNATOとの間に緩衝地帯を回復するとのロシアの歪んだ夢の対局に通常戦の脅威をほとんど与えない壊れて、再建方法を持たずウクライナで立ち往生しているロシア軍がある。一方、NATOは、ウクライナにおけるロシアの行動の結果、冷戦以来見られなかった方法で軍事能力を拡大する。このためロシアの考えは通用しない。

 ロシアの戦略兵器にも大きく影響が出る。通常戦力が崩壊すれば、抑止効果は核兵器に頼らざるを得なくなる。これでは理想的、あるいは柔軟とは言い難い。また、核軍拡競争が起こっても、ロシアには財政面で対抗の術がない。国内経済が困窮する中で、軍事費に資金を投入すれば、プーチン政権はさらに不安定になる。

 そして、占領後のウクライナへの支援は、モスクワの首に財政の縄をかけることになる。

 とはいえ、明確な道筋が見えない中、なぜ続けるのか?なぜ、こんなことをするのか?このままではコストに見合う成果が得られないのでは?との疑問が出そうだ。これは戦略的な問題であると同時に、プーチンの理性的な行動者としての資質を問うリトマス試験紙である。プーチンは、聡明な戦略家と見なされてきたが、その建前が崩れつつある。

 こうして、ロシアにはウクライナの征服で勝機が残っているかもしれないが、すでに負けているのである。そもそも起こるべきでないまやかし戦争が、日を追うごとに損失をより深く、より永続的になるだけであろう。■

 

Russia Has Already Lost | The Drive

 

There is no clear path to a positive outcome for Russia in Ukraine. It could win every future battle, but it has already lost.

BY TYLER ROGOWAY MARCH 23, 2022

 


 

不利な状況にもめげず奮闘するウクライナ空軍のパイロットが語る内幕。ロシアはウクライナの防空体制の柔軟な対応をまだ屈服できていないが....

 Training session of Ukrainian Air Force at a military airbase in Vasylkiv village

DANIL SHAMKIN/NURPHOTO VIA GETTY IMAGES

 

くの予想に反し、ロシアの侵攻にウクライナ空軍が奮闘している。ウクライナ空軍は、開戦数日で地上と数で優勢かつ技術的に進んだ相手により消滅するとの予想に反し、戦い続けている。ウクライナ政府による航空戦勝利の主張では、ウクライナ空軍が不利な状況をどう切り抜け、ロシア航空宇宙軍(VKS)の航空優勢確保を防いでいるのか、正確なところがわからない。今回、ウクライナ空軍の反撃の実態について、現役戦闘機パイロットへのインタビューで一端が明らかになった。

 ひとつは、ニューヨークタイムズ記事で、Su-27フランカーのパイロット「アンドレイ」へのインタビューが掲載されている。一方、コールサイン「ジュース」との別のウクライナ空軍パイロットは、CNNのアンダーソン・クーパーとのビデオインタビューに応じた。

 

OLEG V. BELYAKOV/WIKIMEDIA COMMONS

A Ukrainian Air Force MiG-29 Fulcrum.

 

 まず、Su-27パイロット、アンドレイは、夜間スクランブルでVKS戦闘機を迎え撃つなど、迅速対応の警戒任務について話している。飛行前の完全チェックを省略し、フランカーは格納庫からスクランブル発進している。ウクライナ機の一部は、フライトラインからではなく、硬化した航空機シェルターで、攻撃者の視界から遠ざけられているようだ。

CHRIS LOFTING/WIKIMEDIA COMMONS

A Ukrainian Air Force Sukhoi Su-27UB Flanker-C.

 

 「操縦するのは毎回実戦です」とアンドレイは説明する。「ロシア機とは、いつも対等ではありません。常に5倍以上の機体を飛ばしてきます」。25歳のアンドレイは、これまで任務を10回こなし、すくなくとも一機撃墜したという。

 「主な任務は空中標的の攻撃や、迎撃です」とアンドレイは説明した。「ロシア機へ十分に接近し、標的を定め発砲したこともある。探知してミサイルのロックオンを待っていると、地上から『もうミサイルを発射したよ』と言われたこともありました」。

 ロシア機撃墜を振り返り、「この機が私の平和な町を爆撃できなくなり、幸せです」という。

 アンドレイは、飛んできたミサイルを回避行動で生き延びたようだが、ジェット機の自己防衛システムも活用したのだろう。高周波の脅威をパイロットに警告するレーダー警告受信機や、チャフやフレア放出装置がある。

 

DMITRY PICHUGIN/WIKIMEDIA COMMONS

A Ukrainian Air Force Su-27 ejects flares during an air display.

 

 「自らの技量で勝つしかない」「技量はロシア側より優れている。しかし、私より経験豊富な者や同僚が戦死しています」

 シナリオでは、Su-27のパイロットは格納庫から発進し、空中で標的情報を受け取ることになっているが、ウクライナ空軍に残る作戦拠点がどこかは公式に開示されていない。空軍基地や空港は、ロシアのミサイル攻撃で激しい攻撃を受けており、空軍は分散作戦で対応しているようだ。西部の小規模滑走路や、部分的に破損した長い滑走路、高速道路を使用することもある。道路からの作戦は、ウクライナ空軍がこれまでも実践してきたものである。

 同様に、ウクライナ空軍の残存機数も明らかにされていない。米空軍中将を退役し、現在は米空軍士官学校上級研究員のデビッド・デプチュラDavid Deptulaによれば、ウクライナ空軍は現在、55機の戦闘機を運用中だという。今月初め、米国防総省の高官は、開戦前戦力の80%に当たる56機と発表している。

 英国国防省は、「ウクライナ空軍と防空軍はウクライナ領空を効果的に守り続けている」「ロシアは制空権を獲得できず、ウクライナ国内への攻撃は比較的安全なロシア領空から発射するスタンドオフ兵器に大きく依存している」とみている。

 とはいえ、機材は平時よりも厳しい状況に置かれており、戦闘が続けばウクライナ空軍の作戦能力は劣化するだろう。NATOからMiG-29を入手する試みは、失敗に終わっている。さらに、ロシアはリヴィウ州立航空機修理工場を攻撃し、MiG-29メンテナンス用の大型格納庫を破壊するなど損害を与えた。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、ウクライナ空軍の1日の出撃回数は5〜10回、これに対しVKSは約200回と推定している。他の推定では、ロシアの出撃回数はもっと多く、ある米国防総省高官は昨日、24時間で300回出撃したと述べた。ウクライナの出撃回数も増加傾向にあると評価されるが、地上配備の防空体制の優位性を反映している。

 同記事では、ウクライナ空軍の地上防空システムの優位性も取り上げ、ウクライナの大部分でVKS機へ防御の傘を張ることができたという。しかし、ロシアはウクライナの一部で同様にミサイル防衛を確立したようだ。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、VKSのミッションは夜間が大部分で、地上防空網への脆弱性を減らすためらしいが、この主張の検証は困難だ。

 ウクライナ空軍報道官ユーリ・イフナットYuriy Ihnatは、ニューヨーク・タイムズ紙に「ウクライナは自国で活動しているため、空で効果を発揮している」「わが領空に飛来する敵は、こちらの防空システムの有効範囲内に飛来している」と述べている。ウクライナ側がVKSに罠を仕掛け、有人戦闘機で敵機を地対空ミサイルの空域に追い込んでいる。このため、VKSは航空制圧作戦(SEAD)で出撃を明らかに増加させているようだ。

 同記事によると、ウクライナは航空戦の不利を克服する工夫もしている。地上のボランティア観測者のネットワークが、VKSの航空活動を軍に報告するよう警戒体制を構築しており、第二次世界大戦中の「ブリテンの戦い」での民間防衛観測者と類似している。また、民間パイロットがナビゲーション機器を空軍に寄贈した例も紹介されている。

 一方でジュースは、現在の航空戦の状況について、ニュアンスの違う説明をした。VKSは現在、完全な航空優勢を得ていないが、目的は「ほぼ」達成したと述べている。ウクライナ側は、限られた数の航空機と防空システム(いずれも旧式の装備)で阻んでいる。

 それでも、「ロシアは多くの損失を出し、我々の防空を恐れている」とジュースは言う。「だから、ここでは快適に飛べないのだ」。

 米国の国防当局者は昨日、ロシアの航空優勢が実現していないのは、ウクライナの「非常に創造的な防空態勢」のためとした。

 ジュースは「効率的な地上防空システムが必要で、制空権を得るために、戦闘機も必要だ」と述べた。

 ニューヨークタイムズは、「現代戦では珍しいトップガンスタイルの空中戦が同国上空で繰り広げられている」と表現している。ウクライナ空軍の戦術がVKSを阻んでいるのは間違いなく、ウクライナ戦闘機(MiG-29やSu-27)がロシア機の損失に貢献している可能性が高い。ウクライナ当局によると、ウクライナ国防軍(戦闘機・地上防空システムも含む)が撃墜したロシアの固定翼機は97機にのぼるという。正確な数は不明であり、今後何年も議論される可能性がある。

 現段階では、どのロシア軍機がウクライナ空軍戦闘機により撃墜されたか特定できないが、パイロットへのインタビューから、ウクライナ上空ではVKS機や巡航ミサイルと定期的に遭遇しており、一部はウクライナ軍機が撃墜したとも伝えらる。

 米国はじめ同盟国は、肩撃ち発射式地対空ミサイル・システムをウクライナに供給し続けているが、より高度でSAMシステムのウクライナへの移転も積極的に進めており、航空機材の提供を水面下で進めている可能性すらある。しかし、少なくとも公の場での戦闘機供与の希望は、国防総省がポーランドMiG-29の供与案を支持しないと表明したため、停滞している。ロシアからの深刻な報復を恐れたためだ。そのため、アンドレイやジュース、さらにウクライナ空軍は、戦争が進むにつれて損失が増え、ますます困難な状況に直面するだろう。ロシアに制空権を握らせないためには、ウクライナ軍の地上装備が大きな役割を果たすのは必至なようだ。

 

Ukrainian Fighter Pilots Describe Their Desperate Air War Against Russia

Against the odds, the Ukrainian Air Force continues to work at denying Russia air superiority over Ukraine.

BY THOMAS NEWDICK MARCH 22, 2022

 


2022年3月23日水曜日

ウクライナ戦で早くもロシア戦車の10%を喪失。戦車の時代は終わったのだろうか。

 


A piece of a Russian tank along a road outside of Kharkiv, Ukraine.

ウクライナ・ハリコフ郊外で放棄されたロシア戦車の砲塔部分。ロシアは新鋭戦車部隊の一割を喪失したとの試算がある。Sergey Bobok/AFP via Getty Images


一次世界大戦以降の陸上戦で重要な柱は戦車だ。ウクライナでは、無人機と最新鋭軽火器に支えられた士気の高い歩兵が、戦車を前線で排除できると示している。



 粗い粒子の画面の十字線が、野原に潜むオリーブグリーンの巨体をとらえる。画面が一瞬かすみ、ミサイルが消えていく。6秒後。ドカーン。

 ロシア軍のT-72戦車がまた1台、行動不能に陥り、乗員は死んだようだ。

 肩ごし発射のジャベリン最新鋭ミサイルではない。ウクライナ製の対戦車弾Stugna-Pで、お世辞にも洗練されているとは言えない。兵士数名が三脚上にミサイルを設置し、戦車が射程に入るのを待つ。リモコンパネルで操作する兵士はミサイルが命中するまでターゲットにレーザーで照射したり、自己誘導させる。

 非常に効果的だ。オープンソースの兵器追跡サイト「オリックス」によれば、ロシアは少なくとも270台の戦車を3週間で失っている。

 ウクライナ防衛は効果を上げており、アナリスト多数が、ロシアの失敗は、前線兵器としての戦車自体に原因があると考えている。

 戦車の戦術的弱点を示す新たな証拠は、専門家の言葉を借りれば「衝撃的」であり、軍事史の遺物となるかで議論を呼び起こしている。

 低価格無人機が低高度で戦車を攻撃している。防衛部隊は焼け焦げた郊外で戦車を待ち伏せ、新世代の「撃ちっぱなし」武器で、志願兵でも、戦車殺しを簡単な仕事にしてしまった。

 世界各国の政府にコンサルティングする軍事戦略家のエドワード・ルトワックEdward Luttwakは、「戦う決意が固い歩兵は、大量の使い捨て対戦車ロケットで、超強力になった」とInsiderに語っている。

 戦車は80年以上にわたり陸戦の王者だった。敵陣地を突き崩し、歩兵に新たに獲得した地点を保持させるのが戦車の仕事だ。だが戦車には、バズーカや無反動ライフルなどの携行武器や、映画「プライベート・ライアン」に登場する「粘着爆弾」のような即席爆発物に弱い問題があった。


戦車は、時間の経過とともに、掃討任務に移行していく

 しかし、ウクライナにおけるロシア戦車の攻撃効果の低さを見れば、技術、特に高性能弾と誘導ミサイルの進歩で、戦車が時代遅れになるほど、対戦車防御が有利に傾いていることがわかる。

 Insiderの取材に応じた一防衛アナリストは、戦車の役割を、最前線で活躍したルネサンス時代の矛と薙刀で武装したスイス槍兵になぞらえている。 

 当時は歩兵が、そして今は戦車が担う前衛は、これからは無人機やロボット車両、長距離攻撃システムに役目を譲る可能性が高い。

 元米国陸軍レンジャーで、新しいアメリカの安全保障センターCenter for a New American Securityの研究部長ポール・シャールPaul Scharreは、「戦車は時間とともに、戦場を掃討する役割に移行していくでしょう」と述べている。


「ポイント・アンド・シュート」

肩撃ち兵器が、戦争を変えている。


 短時間の訓練で、歩兵のみならず志願兵でさえも戦車に勝てる。発射後すぐに移動したり、身を隠したりできるのがジャベリンだ。戦車の装甲の一番弱い上部に命中させるモードもある。ウクライナでは、開戦以来、予備役に同兵器を訓練してきた。

 イギリスとスウェーデンで設計されたNLAW(次世代軽戦車兵器)も、使い方は比較的簡単で、重さはビール1ケースと同程度。肩に担ぎ、半マイル以内の標的を数秒間追尾してから、発射する。その後はサイルの誘導装置が作動する。

「NLAW軽戦車兵器は、プラスチックの筒にロケット弾を搭載したのが、大きな違いがあります。指差して撃つだけ。トラック一台でキーウの街角に500発を配送できます」(ルトワック)

 NLAWはまさにウクライナのような戦争に対応できる設計だ。

 「NLAWは、建物上部から木の陰や溝と、ほぼすべての位置から攻撃できる」と、兵器メーカーSAABはウェブサイトで宣伝している。「45度下に発射でき、建物の中から、地下から、あるいはほとんどの戦車で射程外の2階から撃てる」

 SAABのパンフレットがいうように、戦車は市街地で、あるいは都市に接近時に最も脆弱となる。街角で待ち伏せされたり、窓から発砲され逃げられたりする。戦車にとって既知の危険だが、第二次世界大戦やベトナム戦争で戦車が地上で直面した事態をはるかに超えている。

 100年前、英国は戦車を陸上戦艦と考え、ほぼあらゆる地形を踏破し、速度と火力の比類ない組み合わせで敵を驚かせる装甲の塊になると考えた。戦車は第一次世界大戦中、塹壕戦の膠着状態を打破するため初めて配備された。

 戦艦同様に、戦車は燃料を大量消費するが、攻撃力を発揮する。米M1A2主力戦車は、重量73トン以上、120mm弾を発射する。ただし重い装甲とミサイルジャマーを持つ同戦車でさえ、市街地では危険だ。

 世界は都市化している。世界銀行によると、2045年までに60億人が都市部に住み、軍隊が戦いを強いられる都心部と郊外がさらに拡大する。

 ウクライナは郊外の輪郭部で、ロシアの優位性を否定している。ロシアの進攻は、キーウ近郊で停滞し、士気の高い戦闘員に鉢合わせした。戦闘は数週間にわたり街区単位で行われている。

 キーウの北西に位置するイルピンでは、ウクライナ火砲が射程内に入った装甲車隊を打ちのめし、部隊や志願兵の小チームが対戦車兵器で待ち伏せしている。キーウの東にあるブロヴァリで、ある中尉がニューヨーク・タイムズに語ったところによると、彼女のチームは主要高速道路や大通りに対戦車兵器を設置し、Stugna-Pミサイルの3マイル射程内に入るのを待ち伏せしている。

 そして、無人機がある。戦闘機サイズから手のひらサイズまで、各種あり、無効化する技術対策が進行中だ。しかし、無人機のメーカーや機種は多岐にわたり、妨害、混乱、破壊の各面で万能な方法は存在しない。


A collage of four screenshots from what Ukrainian forces say is the viewfinder of Bayraktar TB2 drones targeting Russian-controlled assets

ウクライナのバイラクター無人機によるロシア軍への攻撃の様子 Ukraine Armed Forces/Facebook/Insider


ウクライナ戦では、無人機が優位性を示している。トルコ製TB2が装甲車両の近くで待機し誘導ミサイルで攻撃し、標的の位置を砲撃部隊に中継している。TB2は貧者にとってのMQ-9リーパーの存在で、セスナ機ほどの大きさで、丸1日以上滞空し最大4発までミサイルや爆弾を発射し、基地に戻り再充填する。

 CNASのシャールは、「ウクライナ軍は実際に、ロシア装甲車に対して、TB2やもっと小さな無人機で大きな効果を上げている」「無人機は低空飛行が可能で、パイロットを危険にさらさず、空からの攻撃に非常に有効だ。

 さらに小型の無人機も役割を果たす。バイデン政権はウクライナに「スイッチブレード」100機を送る。バックパックほどの大きさの単発機で、カミカゼ攻撃で装甲車両を破壊できる。


これでは戦闘を続けられない

ロシア軍指揮官は誤判断で、軍の潜在能力を無駄にしている。戦車もこの一部だ。

 戦車を泥の中で進める自信がないため、幹線道路上を走らせている。ロシアの戦車は、それを守れる歩兵を出し抜く。

T-72の航続距離は約600マイル、重量は40トン、燃費は1ガロン当たり1マイル以下だ。ウクライナでは、多くが給油トラックから離れすぎたり、乗員自身の妨害を受けているという。ほとんど道路に張り付き、オフロードを走る、分散する、位置を隠すことはほとんどしていない。火砲の射程圏内で集団行動し、大損害を被ったこともある。

 欧米アナリストの多くは、ロシアが複合兵器能力を整備した兆候は皆無に近いと見ている。例えば、航空戦力と火砲が連動して戦車を支援する想定だ。

 戦車推進派は、ロシア戦車の場合は戦術が悪いせいと考え、アメリカでの戦車中心の陸上戦想定がすぐに変わることはないと見ているのだろう。


 ロシア軍は複合兵器運用に無能

 戦車は長い間、米陸軍のドクトリンの中心であり、中心的な役割を担ってきた。

 バルジの戦いで包囲された101空挺師団を救ったのは、パットン率いる第3軍の戦車部隊であった。1991年の湾岸戦争では、アメリカ軍戦車がイラク軍戦車を撃破した。73イースティングの戦いでは、戦車9台のアメリカ軍が、数でまさるイラク軍戦車部隊と遭遇し、これを撃破する典型的な戦車部隊の激突があった。

 73イースティングのイーグル戦車部隊の司令官で、後にドナルド・トランプ大統領の下で国家安全保障顧問を務めたH・R・マクマスター退役中将Lt. Gen. H.R. McMasterは、Insiderのメールインタビューで、「機動保護火力は今後も戦闘と勝利に重要」と述べた。

「接近戦に決定的な武器はない」とマクマスターは続け「地形に制限があったり都市部で敵の防御を崩すには、指揮官は歩兵と機動的な保護火力、そして火砲や航空機の攻撃を統合しなければならない。

「ロシア軍は複合武器作戦において無能に映る。

 とはいえ、地上や空から発射される誘導弾が課題だ。戦車支持派でさえ、戦車は軍艦同様に、装甲やミサイルへの防御システムが必要と認めている。

 歴史家ジェレミー・ブラックJeremy Blackは、2020年の著書『Tank Warfare』で、戦車を無人機や無人陸上車両を発射・制御する母艦に改造する提案をしている。

 無人機で武装しても、対抗兵器が強力で精密になるにつれて、戦車の役割は縮小する可能性が高い。

 NATO軍とロシア軍の通常兵器での衝突はどうなるか、という質問にシャールは「理想的な対応策は、戦車を前線に送り込むことではなく、長距離砲やミサイルでロシア装甲車両の前進を攻撃することだ」と答えた。

 「装甲車は来るだろうが、前方の装甲車隊を瓦礫にした後の第二波だろう」と。■



Ukraine has destroyed nearly 10% of Russia's tanks, making experts ask: Are tanks over?

Sam Fellman and Mattathias Schwartz


2022年3月22日火曜日

米国内のロシア製防空装備をウクライナへ送る作戦が進行中か。米国には訓練、開発用にこれまで入手したロシア製装備が多数ある。

 A US Air Force-owned Soviet-era SA-13 Gopher surface-to-air missile system.

USAF

 

米国には長年に渡り捕獲、差し押さえその他の方法で入手したロシア製防空装備システム各種があり、ウクライナへ送り実戦投入させようとしている。

 

政府は保有するソ連時代の防空装備品をウクライナへ搬送しつつあるとウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。長年に渡り米軍や情報機関が入手し、訓練に使用してきた装備品だ。いわゆる外国製物資活用(FME)プログラムがウクライナが切望する防空能力の供給源となる可能性をThe War Zoneは以前から主張してきた。

 

 

 記事では米政府機関が段取りをつけているとあるが明確ではない。米軍が全体を進めている様子だとあるが、ペンタゴンはコメントを拒否している。

 また記事では米政府が米陸軍レッドストーン武器庫(アラバマ州ハンツビル)からC-17グローブマスターIII輸送機で一部装備品をウクライナへ発送したとあり、レッドストーンは陸軍の航空ミサイル本部(AMCOM)の所在地だが、国防情報局(DIA)のミサイル宇宙情報センター(MSIC)もあり、FMEに関与している。DIAが国防総省のFME事業全体を統括している。

 米軍はウクライナ向け軍事装備品の搬出や調整に非常に熱心に動いている。その一環に各種防空装備品があり、特に肩のせ式地対空ミサイル別名携行型防空装備(MANPADS)がある。さらに米政府関係者はウクライナ軍が習熟ずみの装備品供与に重点を置く。The War Zoneではこの構想のメリットを先に説明している。とくにウクライナ軍が装備品を第一線に迅速かつ平易に展開できるのが利点だ。ウクライナの地上配備防空装備こそロシア軍による航空優勢確保を阻止するため重要な存在だ。

 だが最終的にどの装備品がウクライナに手渡されるのかは不明だ。ジャーナル紙記事ではSA-8ゲッコーについてのみウクライナ軍に手渡されると明記している。SA-8はロシア軍が9K33オーサと呼ぶ、車輪走行式の短距離地対空ミサイルだ。DIAのMSCIに同装備が少なくとも一式あると判明している。

 

USAF

米軍が保有するSA-8ゲッコー

USAF

米空軍第547情報隊保有の SA-8 ゲッコー

 

 匿名筋からジャーナル紙にS-300長距離地対空ミサイル装備(NATO名SA-10グランブル)を米政府はこっそり1994年にベラルーシから入手しており、米国内に残っているとの情報を伝えている。

 ソ連時代あるいはロシアになってからの防空装備でウクライナも供用中の装備品が他に米軍在庫にあるのかは不明だ。米軍のFMEエコシステムは情報機関コミュニティが大半を取り仕切り、外国製軍事装備品の入手方法そのものが機密とされているだけに全体も秘密のままだ。

 確実とは言えなくても可能性があるのが米政府がFMEでの保管中装備でウクライナ支援する決定をしたことで、DIAや陸軍に限らず各方面から装備品を集めることにした点だろう。米空軍にもSA-8の実機があり、ウクライナ軍でも供用中のSA-13やSA-15ガントレットも保有している。このうち後者二型式はロシアでは9K35ストレラ-10、9K332トーM2Eと呼ばれ、ともに装輪式短距離防空装備だ。

 

USAF

2011年の演習でSA-15Bガントレットがアラスカのエイルソン空軍基地に到着した

 

 米国がFMEを通じて保有するソ連/ロシア製移動式防空装備も多数あるといわれ、その他ウクライナ軍でも活躍しそうな装備にブク対空装備がある。米軍が保有する外国製MANPADSも各種あり、これもウクライナへ搬送されそうだ。

 こうした外国製装備品が機能するのか疑問もある。また比較的少数のこうした装備品をウクライナへ送ることが有益としても、米軍の演習や開発に必要なこうした装備品を送ることによるマイナス面も発生しよう。

 あわせて、ウクライナ軍は総動員なまで追い込まれており、どんな種類の軍事装備品提供でも断われる状況でもない。使い慣れた防空装備品なら即戦力になる。米軍が供与する装備品にはもともとウクライナ政府から米国が入手したものもあり、FME装備品でウクライナは大きな供給源で、戦闘機からレーダーまで提供してきた。

 米政府についていえば、FME在庫の装備品は米国の最良でウクライナへ手渡せる利点もある。米政府は同盟国協力国と協力してソ連時代やロシア製の防空装備品を探し回っており、ウクライナへ供与できる装備も見つかるだろう。ただし、他国の中には政治的理由のため取引に慎重だったり複雑な規定を有するものがある。

 

ELLSWORTHSK VIA WIKIMEDIA

米政府はスロバキア保有のS-300装備、部品類をウクライナへ送るため同国と協議に入っている。

 

 米軍自身が現実世界で驚異となる装備品を必要としてきたが、今や実機でなくてもシミュレーターや代理装備で相当部分を再現できると考えるようになっているのかもしれない。さらにロシアがウクライナで敗北すれば、米FMEに新品のロシア防空装備が加わる絶好の機会になる。その他装備品や関心を集める素材もあるはずだ。

 

 ソ連時代ロシア製防空装備が米軍のFME事業からウクライナへの移動が実際に一部始まっているのであれば、実際に供与された装備品の種類がすぐ判明してもおかしくない。いずれにせよ、ウクライナ軍は追加防空装備を喉から手がでるほど欲しいはずで、自国の空での優位性確保が不可欠であることにかわりない。■

 

 

Secretive American Stocks Of Soviet Air Defense Systems Are Headed To Ukraine: Report

The US has captured, snatched, or otherwise acquired various Russian-made air defense systems over the years, and now they could fight in Ukraine.

BY JOSEPH TREVITHICK MARCH 21, 2022