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米国には長年に渡り捕獲、差し押さえその他の方法で入手したロシア製防空装備システム各種があり、ウクライナへ送り実戦投入させようとしている。
米政府は保有するソ連時代の防空装備品をウクライナへ搬送しつつあるとウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。長年に渡り米軍や情報機関が入手し、訓練に使用してきた装備品だ。いわゆる外国製物資活用(FME)プログラムがウクライナが切望する防空能力の供給源となる可能性をThe War Zoneは以前から主張してきた。
記事では米政府機関が段取りをつけているとあるが明確ではない。米軍が全体を進めている様子だとあるが、ペンタゴンはコメントを拒否している。
また記事では米政府が米陸軍レッドストーン武器庫(アラバマ州ハンツビル)からC-17グローブマスターIII輸送機で一部装備品をウクライナへ発送したとあり、レッドストーンは陸軍の航空ミサイル本部(AMCOM)の所在地だが、国防情報局(DIA)のミサイル宇宙情報センター(MSIC)もあり、FMEに関与している。DIAが国防総省のFME事業全体を統括している。
米軍はウクライナ向け軍事装備品の搬出や調整に非常に熱心に動いている。その一環に各種防空装備品があり、特に肩のせ式地対空ミサイル別名携行型防空装備(MANPADS)がある。さらに米政府関係者はウクライナ軍が習熟ずみの装備品供与に重点を置く。The War Zoneではこの構想のメリットを先に説明している。とくにウクライナ軍が装備品を第一線に迅速かつ平易に展開できるのが利点だ。ウクライナの地上配備防空装備こそロシア軍による航空優勢確保を阻止するため重要な存在だ。
だが最終的にどの装備品がウクライナに手渡されるのかは不明だ。ジャーナル紙記事ではSA-8ゲッコーについてのみウクライナ軍に手渡されると明記している。SA-8はロシア軍が9K33オーサと呼ぶ、車輪走行式の短距離地対空ミサイルだ。DIAのMSCIに同装備が少なくとも一式あると判明している。
USAF
米軍が保有するSA-8ゲッコー
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米空軍第547情報隊保有の SA-8 ゲッコー
匿名筋からジャーナル紙にS-300長距離地対空ミサイル装備(NATO名SA-10グランブル)を米政府はこっそり1994年にベラルーシから入手しており、米国内に残っているとの情報を伝えている。
ソ連時代あるいはロシアになってからの防空装備でウクライナも供用中の装備品が他に米軍在庫にあるのかは不明だ。米軍のFMEエコシステムは情報機関コミュニティが大半を取り仕切り、外国製軍事装備品の入手方法そのものが機密とされているだけに全体も秘密のままだ。
確実とは言えなくても可能性があるのが米政府がFMEでの保管中装備でウクライナ支援する決定をしたことで、DIAや陸軍に限らず各方面から装備品を集めることにした点だろう。米空軍にもSA-8の実機があり、ウクライナ軍でも供用中のSA-13やSA-15ガントレットも保有している。このうち後者二型式はロシアでは9K35ストレラ-10、9K332トーM2Eと呼ばれ、ともに装輪式短距離防空装備だ。
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2011年の演習でSA-15Bガントレットがアラスカのエイルソン空軍基地に到着した
米国がFMEを通じて保有するソ連/ロシア製移動式防空装備も多数あるといわれ、その他ウクライナ軍でも活躍しそうな装備にブク対空装備がある。米軍が保有する外国製MANPADSも各種あり、これもウクライナへ搬送されそうだ。
こうした外国製装備品が機能するのか疑問もある。また比較的少数のこうした装備品をウクライナへ送ることが有益としても、米軍の演習や開発に必要なこうした装備品を送ることによるマイナス面も発生しよう。
あわせて、ウクライナ軍は総動員なまで追い込まれており、どんな種類の軍事装備品提供でも断われる状況でもない。使い慣れた防空装備品なら即戦力になる。米軍が供与する装備品にはもともとウクライナ政府から米国が入手したものもあり、FME装備品でウクライナは大きな供給源で、戦闘機からレーダーまで提供してきた。
米政府についていえば、FME在庫の装備品は米国の最良でウクライナへ手渡せる利点もある。米政府は同盟国協力国と協力してソ連時代やロシア製の防空装備品を探し回っており、ウクライナへ供与できる装備も見つかるだろう。ただし、他国の中には政治的理由のため取引に慎重だったり複雑な規定を有するものがある。
ELLSWORTHSK VIA WIKIMEDIA
米政府はスロバキア保有のS-300装備、部品類をウクライナへ送るため同国と協議に入っている。
米軍自身が現実世界で驚異となる装備品を必要としてきたが、今や実機でなくてもシミュレーターや代理装備で相当部分を再現できると考えるようになっているのかもしれない。さらにロシアがウクライナで敗北すれば、米FMEに新品のロシア防空装備が加わる絶好の機会になる。その他装備品や関心を集める素材もあるはずだ。
ソ連時代ロシア製防空装備が米軍のFME事業からウクライナへの移動が実際に一部始まっているのであれば、実際に供与された装備品の種類がすぐ判明してもおかしくない。いずれにせよ、ウクライナ軍は追加防空装備を喉から手がでるほど欲しいはずで、自国の空での優位性確保が不可欠であることにかわりない。■
Secretive American Stocks Of Soviet Air Defense Systems Are Headed To Ukraine: Report
The US has captured, snatched, or otherwise acquired various Russian-made air defense systems over the years, and now they could fight in Ukraine.
BY JOSEPH TREVITHICK MARCH 21, 2022
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