スキップしてメイン コンテンツに移動

米国はウクライナの情報活動をここまで支援している。ロシアの情報工作に注意が必要だ。食料不足への覚悟も必要か。

 


 

 

防情報局局長スコット・ベリエ陸軍中将Lt. Gen. Scott Berrierは、2022年3月17日、議会公聴会で、米国とウクライナとの情報・諜報の共有について、「革命的」と下院軍事情報小委員会の非公開セッションで述べた。

 

 

 サイバー軍と国家安全保障局を率いるポール・ナカソネ陸軍大将Gen. Paul Nakasoneは、「ウクライナで行われているほど、正確かつタイムリーで実行している情報共有はこれまで見たことはない」と述べた。

 同盟国との情報共有は、「同盟関係を構築する」価値があり、ロシアが侵略前に行った「偽情報」キャンペーンに光を当てることができる、とナカソネ大将は付け加えた。問題は、意味があり活用できる情報をウクライナとどう共有するか、ということに尽きる。

 ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が同胞に武器を捨てるように語った最近のフェイクビデオなど、「ディープフェイク」について聞かれると、ナカソネ大将はNSAは「何が本物で何が偽物かを区別しようと取り組んでいる」と述べ、ペンタゴンや行政府、民間企業に情報を適切に伝えている、と発言した。

 ウクライナや世界で実際に起きていることをめぐり、嘘を広め、混乱を招こうとする動きを警戒し、「注意深く観察し、迅速に対応し続ける」と述べた。

 オースティン・スコット議員(共、ジョージア)Rep. Austin Scott, (R-Ga.)は、ウクライナでクレムリンに有利な状況をめざす情報キャンペーンの「ディープフェイク」や「偽旗」について「情報を機密解除することで世界は利益を得ている」と述べた。

 ナカソネ大将は、NSAの成功の「秘策」は、「敵が何をしているか」「それが米国にどう影響するか」を見極め、国外で活動する能力だと付け加えた。また、空軍のKC-135や宇宙衛星、センサーなどの性能実証済み装備と、現場での収集が効果的だと述べた。

 サイバー司令部高官がNSAも指揮する体制を維持すべきかについて、情報・セキュリティ担当次官のロナルド・モルトリーRonald Moultrieは、責任をバラバラにする決定を下した場合、「双方へ損害を与えたくないという感情がある」と述べた。

 サイバー司令部は2010年に設立された。

 ナカソネ大将は、司令部と機関を一元管理することで、イランとの問題からランサムウェア攻撃、ウクライナでのロシアの侵略まで、「一体感」と俊敏な対応力が得られていると述べた。

 DIAが「オープンソース」の素材(画像やデータ)を購入する方法について、ベリエ中将は、購入の範囲や、必要なときに必要なものだけを購入することに限定できるか疑問があるとした。「アフガニスタンで役立つオープンソース(の素材)がある」とも述べた。

 米国はアフガニスタンで国外から情報、監視、偵察を行っているが、限界があると、退任するケネス・マッケンジー海兵隊大将Gen. Kenneth McKenzieは今週、議会で述べた。

 スコット議員は、ウクライナ戦争が世界の食糧市場に与える影響についても、DIAは情報をただちに集めるべきと考えていると述べた。ウクライナは小麦「5000万トン」を輸出し、「世界食糧計画への最大の供給源」でもあるからだ。

 問題を深刻にしているのは、「ロシアが穀物や肥料を輸出しないと言っていること」であり、同盟国のベラルーシも同様だとした。トウモロコシ、大麦、ヒマワリの種、小麦、肥料を含む黒海の穀物輸出市場の閉鎖で、「プーチンは食糧供給に関し第三次世界大戦を始めた」とスコット議員は言う。

 同議員は、食糧供給と価格上昇が、戦闘から遠く離れたスリランカなどに影響を及ぼしはじめたと指摘。

 ワシントン・ポストは3月18日社説で、「穀物植え付けから収穫まで数カ月かかり、一部作物の不足分はすぐ埋め合わせできない。石油供給危機より対応が困難だ」と述べている。■

 

 

Intel Sharing Between US and Ukraine 'Revolutionary' Says DIA Director - USNI News

By: John Grady

March 18, 2022 2:28 PM


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...