ロシアは大国ではありません。経済規模は開戦前ですら南朝鮮なみでした。制裁措置によりロシアは近代前の経済に転落しつつ、核兵器等軍備を備える史上初のアンバランスな体制となります。今回のロシア空軍も砂漠の嵐以来見慣れた西側空軍力のものさしをあてるから、パフォーマンスに疑問が出るのであって、あくまでも地上軍の支援手段とするロシアの西側と非なる考え方からすれば、こんなものなのでしょう。であれば、飛行禁止区域設定を恐れる理由は本当にあったのか疑問が出てきますね。
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ロシアのウクライナ侵攻から2週間以上となったが、ロシア空軍の信頼性への疑問が消えない。週末にロシア軍機の損失が急増し、ロシア航空宇宙軍(VKS)の次の戦闘段階が見えないままだ。ウクライナの頑強な抵抗で阻まれ、ロシア軍の戦闘は新たな砲撃の段階に入り、民間人の犠牲が増えるとの懸念が強まっている。一方、米国防総省の評価では、ウクライナ上空は依然として雌雄が決まらず、ウクライナの空戦・防空能力は相当程度残っている。ロシアは、ウクライナの空軍戦力を打倒すべく、防空網の破壊作戦に転じる可能性がある。
2 月 24 日未明に始まった戦争では、数週間にわたってウクライナ国境付近、特にベラルーシに戦力を集中させてきたVKSが最前線に立つと予想されていた。また、VKSが集結させた機材数は、西側情報機関評価では約300機だった。一方、ウクライナ戦闘機は総数100機未満とみられ、完全に作戦可能な機体はかなり少ないと思われていた。
そのため、VKSが地上侵攻の前に「ドアを蹴破り」、はるかに小規模なウクライナ空軍の戦闘能力を圧倒し、ウクライナ地上防空システムを可能な限り破壊すると観測筋は予想していた。ところがウクライナ全土で展開する作戦、それともVKSが地上軍に「回廊」を作る意図があったのか、どちらも実現しなかった。
ウクライナの主要飛行場と早期警戒レーダーが、戦争開始後の空爆リストに載っていた。しかし、VKSの投入は限定的だったようだ。開戦直後の空爆でKh-31P(AS-17クリプトン)対レーダーミサイルの残骸が見つかっただけで、VKSが攻撃活動を行った形跡はほとんどない。その代わり、艦船や地上から発射されたロシアの巡航ミサイルや短距離弾道ミサイルが攻撃を担当した。ロシアの長距離爆撃機の通信が探知されたというが、長距離爆撃機が巡航ミサイル発射に使用された証拠は今のところない。
VKS(および他のロシア軍)司令官は、侵攻命令を受けて驚いた可能性が高い。今回の戦争計画は、軍最高幹部以外には隠されていたのかもしれない。RUSI 研究所の空軍戦力主任研究員で、VKSの戦闘能力を観察しているジャスティン・ブロンクJustin Bronkは、The War Zone にこう語っている。「そのため、VKS 前線戦闘機部隊に、整備スケジュールの調整、航空機の武装搭載、パイロットへの説明、大規模攻撃と(攻撃的対空)作戦の任務計画を策定する時間が少なすぎたのかもしれません」。
AP PHOTO/VITALIY TIMKIV
Su-30戦闘機がロシア・クラスノダ地方で訓練飛行に離陸したところ。 January 2022.
開戦直後にミサイル集中攻撃があったが、その後VKSはほとんど姿を見せなかった。ロシアの戦術航空戦力は休眠状態に見えた。ウクライナ空軍の残存勢力は空戦能力を残していた。
ウクライナのMiG-29とSu-27が数的にも技術的にも優れたロシアの戦闘機に一掃されなかったのかは不可解なままだ。ウクライナのSu-25対地攻撃機も、一部地域で飛行を続けていた。逆にロシア地上軍は、近接航空支援を受けていないようだった。
クレムリンはウクライナ指導者の斬首作戦を強く望み、地上軍は抵抗を鎮圧した後、支配権を握る想定だったのだろう。
「その枠組みで、ウクライナの空網の目をくらます巡航ミサイルや弾道ミサイルによるスタンドオフ攻撃は別として、空戦は不要と考えていたのだろう」とブロンクは続ける。「英雄的で統一されたウクライナの抵抗と、ロシアによる暗殺と破壊工作を阻止したウクライナ治安機関のおかげで、どれも計画通りに展開されなかった」(ブロンク)
ウクライナの移動式防空装備は、固定翼機や特にヘリコプターに効果を上げ続けている。一方、侵攻前にウクライナへ大量投入された携帯型防空システム(MANPADS)もVKSに大損失を与えており、ロシアがエアブリッジを設置しようとしたキエフ郊外のホストメル空港での大逆転に貢献した可能性がある。
ロシア軍機の損失が味方によるものかは不明だが、VKSと地上のロシア軍機動防空システムに連携がないことから、その可能性は高い。VKS機を味方の防空システムに接近させて運用すれば逆効果になるとの懸念があるのかもしれない。とはいえ、ロシア地上部隊は上空援護なしに活動し、ロシアの防空システムもウクライナのTB2武装ドローンに攻撃されてきた。
ハリコフやマリウポルのような主要都市でのロシア進軍は一層停滞し、空戦の次の段階として、都市部への無差別爆撃が懸念されてきたが、実際に活発になってきた。これは、クレムリンがチェチェンやシリアなど、これまでの作戦で利用してきた戦術だ。
開戦当日に見られたKh-31Pの残骸や、精密誘導弾の投入を除けば、ロシアの戦術機は圧倒的に非誘導弾を使用してきた。また、人口密集地に落下しており、この種の民間人標的へのロシア軍のロケット砲撃の証拠を見ると、民間インフラへの被害どころか、民間人の犠牲を抑える意欲も皆無といってよい。
VKSが市街地や非戦闘員の近くで抵抗する敵勢力に別のアプローチを採用するかも議論の的だ。最新のVKS戦術ジェット機は夜間飛行が可能で、精密誘導弾を搭載するが、夜間飛行資格を持つパイロットの数、弾薬の備蓄量、兵器の信頼性に疑問符がついている。特に、ウクライナで相次いで発見された残骸は、Kh-31Pが目標を完全に外している可能性を示唆している。
例えば、シリア作戦では、ほとんどのVKS機が「非スマート」兵器しか使用していない。多くの場合、精密誘導兵器の量は限定される。精密誘導弾は非誘導弾より大幅に高価なため、誘導弾を大量保有すれば、予算が圧迫される。
一方、VKSがウクライナの防空力の無力化に向け、別のアプローチが出てきた。
ベラルーシには以前からA-50メインステイ空中早期警戒管制機が配備されていたが、最近1機追加配備された。ウクライナ上空監視能力を改善したいVKSの姿勢を示唆している。ウクライナ空軍の抵抗に効果的に対処できるようになるだろう。
ウクライナ北部と国境を接するブリャンスク州のセーシャSeshcha空軍基地に、VKSのAn-2複葉機が42機配備された。旧式機だが、ウクライナの防衛力を圧倒するだけでなく、レーダーの位置を明らかにし、対レーダー兵器による攻撃、スタンドオフ弾による攻撃を誘導し、デコイとして使用するのが目的ではないかとの憶測が流れている。IL-22PPスタンドオフ妨害機とIL-20M電子情報プラットフォームが同基地に配備されていることがその裏付けかもしれない。
VKSがウクライナ上での制空権を確保するため、態勢を整えているもう一つのシグナルは、名称不明のロシアの空軍基地で最近撮影された、戦闘準備中のMiG-31BM迎撃機のビデオだ。同機のレーダーは、150マイル先の戦闘機サイズの目標を検出するといわれ、R-37Mミサイルは射程124マイルを有する。MiG-31は敵ミサイルの射程を超えた地点からウクライナ航空機と交戦できる。
MiG-31は、ロシアやベラルーシから国境を越えて発射されるロシアの長距離地対空ミサイル(SAM)システムと連動する可能性がある。ポーランドとルーマニアのNATOの戦闘航空パトロール機はSAMシステムに照射されており、同盟に明確なシグナルを発している、とブロンクはThe War Zoneに語っている。MiG-31とSAMの組み合わせによりウクライナ空軍は超低空飛行を強いられ、状況認識が大幅に低下し、地上戦やポイント防空システムに脆弱になりそうだ。しかし、昨日の時点で、米国防総省は、ウクライナ空軍は航空機在庫のほとんどを利用しており、地上防空システムも健在と評価している。
ロシア国防省が最近公開したビデオには、Kh-31Pシリーズの対レーダーミサイルを装備したSu-35S多用途戦闘機も登場しており、ウクライナの防空能力を低下させることに重点を置く方向に再びシフトしているのか。一方で、こうした映像は、作戦実態を反映しないレベルなのも忘れてはならない。結局、利用可能な精密誘導兵器の備蓄が不足していることに加え、利用資格を有する航空機乗員が足りない可能性がある。
だが訓練された搭乗員や精密誘導兵器があっても、VKSが西側諸国空軍並の精度を達成しそうにない。特に戦術戦闘機に照準ポッドが皆無に近い状況を見れば、その傾向は顕著だ。この能力欠如には、歴史的な理由もある。ロシアには空中目標も地上目標双方に対応する多任務戦闘機の伝統がない。高性能ポッドはロシアで技術的な問題となり、広く使用されるには至っていない。
その結果、ソ連時代の地上攻撃専用機の照準システムには陳腐化という欠点があった。現在では、限られた防衛予算と、歴史的な戦術的・技術的な名残から、新世代のマルチロール戦闘機のほとんども、内蔵型またはポッド型照準システムを備えない。このことは、レーザー照準空対地兵器の開発にも影響を与え、テレビ照準が広く採用されている。このため、現有の精密誘導兵器は、複雑な機構ながら柔軟性に欠ける装備となっている。
同時に、ロシアの戦術機による空爆を指揮する前方航空管制官(FAC)が地上に不足しているようだ。これは明らかにドクトリンの問題であり、相互運用性や訓練の問題でもある。高高度での脅威が残り、低高度で目標を目視確認する必要と相まって、戦闘機がMANPADSの適用範囲での活動を迫られているようだ。
一方、空戦の最初の数日間、ウクライナの主張にもかかわらず、VKS固定翼機の撃墜確認は1例だけだった(3月1日にハリコフ付近で撃墜されたSu-34戦闘機は、明らかに地上戦の犠牲)。以降、特に週末に損失が大幅に拡大したのは、VKSの作戦ペースが大幅に上がったのを反映しているのかもしれない。
しかし、ウクライナでのVKSによる空戦は、決して褒められるものではなかった。訓練不足、時代遅れの戦術、精密攻撃能力の限定、統合レベルの低さ、民間人犠牲を避ける原則の軽視など、おなじみの非難が、VKSのパフォーマンスを評価する際に再び前面に出てきている。
挑発的な記事のタイトルで、ブロンクはこう問いかけた。「ロシア空軍には複雑な航空作戦が実施できないのか」で、答えは「イエス」であった。特にブロンククは、NATOや西側諸国の空軍が行える複雑な航空作戦を、VKSが実施できない証拠として、以下の要因を挙げた。
1. シリアでの豊富な経験にもかかわらず、VKSは同一機種の小編隊での作戦に慣れており、防空脅威に対抗する大規模かつ複雑な編隊を組む能力に欠けている。
2. VKSパイロットの年間飛行時間は、約100時間と、欧米のパイロットに大きく遅れをとっている。地上では、ロシアのパイロットは西側諸国のパイロットのように高品質のシミュレーターなど訓練用装備を利用できない。
3. ウクライナに残存する中・低レベルの地上防空システムに対抗する気がない、あるいは対抗できないと、VKSは潜在的な制空権を失うことになる。同時に、低空飛行により、状況認識と戦闘効果が低下し、ウクライナのMANPADSの餌食になる可能性がある。
しかし、VKSやロシア国防省がこうした批判を痛感することはない。伝統的にソ連や現在のロシアは、戦術航空兵力を地上軍に従属する存在と考えている。空飛ぶ大砲に過ぎない。その意味で、これまでの損失は、作戦全体の観点で見るべきだ。ウクライナの防衛軍がロシアの進撃の鉄槌に屈すれば、VKSが重要な役割を果たさなかったとしても問題でなくなる。
数の勝負はロシアに有利であり、高価な戦術機を数機失っても、VKSの戦闘能力に大きな影響は出ない。現在のまま損失が続いても、ウクライナ空軍に対する数的優位を数カ月間維持できる。実際、ロシア軍全体が物資(および人員)の大規模喪失のリスクを甘受しているように見えるため、「西側流」の戦争遂行に慣れている多くの観察者は驚かされている。
一方、クレムリンは、ウクライナ都市への無差別爆撃に焦点を合わせる必要が生じるまで、VKSの攻撃力をフルに発揮させないようにしている、という可能性もある。長距離爆撃機がウクライナ上空で使用されたことは確認されていないが、実施されれば、現時点では各機を危険にさらすことになる。
ブロンクによれば、ロシア回転翼機と地上軍間に、効果的な戦術連携の兆しも見えつつあり、間違いなく最終結果に重要となる。同時に、VKSが大編隊でウクライナ上空を飛行しているのも、協力関係強化のあらわれだ。
この先、どのような紛争が起ころうとも、ロシア航空宇宙軍が何らかの形で貢献することは間違いなさそうだ。ロシア空軍の総合能力は西側諸国の軍と乖離しているかもしれないが、数と打撃力において、ロシア空軍が依然として侮れない存在であることは明らかだ。■
After An Abysmal Start, Here Is How Russia's Application Of Airpower In Ukraine Could Evolve
A rash of losses in Ukraine has increased questions about the competency and role of the Russian Aerospace Forces.
BY THOMAS NEWDICK MARCH 9, 2022
只今製作中 ドイツの軍備強化を招いたプーチンの大失策
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