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ロシアの侵攻にだけ目を奪われず、中国の裏での動きに注視すべき。だが、両国の接近はむしろ歓迎すべきこと。ロシア衰退の罠が中国にも足かせとなる。

 

 

J Capital Researchのアン・ステーブソン-ヤンAnne Stevenson-Yangは、ロシアのウクライナ侵攻を北京が支持すれば、「中国にとって災難となる」と述べた。

 

 

外交政策のエリート層は、中ロ両国のパートナーシップ拡大をどうやって切り崩すか、長年考えてきた。今は両国提携を支持し、両国のさらなる接近を願うべきだ。

 

ロシアが中国を急速に衰退させるからだ。

 

ウクライナ戦争の勝者は中国と見る観測筋が多い。「対ロシア制裁で受益し、ルーブル下落で人民元が恩恵を受け、台湾を侵略した場合の世界の反応がわかる事例となった」と、中国事事案を扱ってきた元FBI特別捜査官のスティーブ・グレイSteve GrayはFox Newsに語っている。「中国の計画通りに進展しているとしても、全く驚くにあたらない」

 

中国に遠大な計画があることは、2月4日北京で習近平がプーチンと2時間半以上会談したことからも明らかだ。両国は、「ロシアと中国の新しい国家関係は、冷戦時代の政治的・軍事的同盟関係より優れていると再確認する」との共同声明を発表した。「両国の友情に限界はなく、協力に『不可能な』領域は存在しない」。

 

2月4日の声明文は、中国指導者がモスクワの侵略作戦を知ったうえで起草された。ニューヨーク・タイムズによると、北京冬季オリンピックが終了するまで開戦を延期するよう中国はモスクワに求めたという。オリンピックは2月20日終了し、ロシアは4日後に侵攻を開始した。

 

ロシアは中国向け石油、ガス、石炭などエナジー商品の大量販売を2月4日発表し、北京はロシア産小麦の輸入制限を撤廃した。さらに北京は、米欧の金融システムから切り離されたロシアの金融機関に、自国の金融システムを提供した。北京は国連でロシアを支援し、国営メディアを通じロシアの不条理なシナリオの宣伝に一役買っている。つまり中国は戦闘当事国だ。

 

短期的には、スティーブ・グレイが言うように、北京は多大な利益を享受する。前出のスティーブンソン-ヤンは「中国は、今回も社会的弱者としてのロシアの地位を利用するだろう」と述べている。「中国は危機を利用するのが大好きだ。2012年の制裁以来、中国はイランと非常に仲が良くなり、米国の侵攻後、イラクの最大の通信サプライヤーになった。北朝鮮もある。石油・ガス価格でロシアは打撃を受け、穀物やレアメタルでは間違いなく好条件を得るだろう」。

 

だが清算はすぐやってくる。アンが言うように、目先の利益は「すべて小さなこと」なのだ。

 

「本当に重要なのは、中国が国際機関のビッグ・ボーイズと勝負してきた20年間の努力を台無しにしたこと」とスティーブンソン-ヤンは指摘する。「中国は資金調達が困難になり、債権の利払いが増え、人民元を国際化し、米国のパワーに対抗するための努力も夢に終わる」。

 

中国にとって大きなマイナス面は、悪役と関わることで、必要とする他国との関係に影響が出ることだ。オリエント・キャピタル・リサーチのアンドリュー・コリアーAndrew Collierは、「中国には欧米との貿易が必要で、経済成長を軌道に乗せるためには、ルールに基づく秩序に従う必要がある」という。

 

中国がアメリカ市場に依存していないとは誰にも言わせない。昨年の対米商品貿易黒字は、中国全体の黒字の58.6%を占めている。ただしこの計算は、中国統計が正確である前提であり、中国は対米輸出額を低めに操作してきた。

 

中国はアメリカやヨーロッパへのアクセスも危険にさらしている。アメリカやヨーロッパがなければ、輸出依存度が高い中国経済は崩壊する。

 

北京は、崩壊しつつある大国に自国を縛り付けているのだ。たとえモスクワが最終的にウクライナ全土を併合しても(ペンタゴンによれば、ロシアの侵攻は勢いを増している)、ロシアの国家としてのロシアは弱体化する。今回の巨大な誤算のコストは1日200億ドルと推定され、最新予測によれば、今年のロシア経済は15%から20%縮小する。

 

「経済規模が自国の30分の1で、比較にならないほど活力も劣る国と二国間同盟を維持するのは、核兵器が支えているといえ、北京には大した同盟ではないとすぐわかるはず」と、ジャーナリストのハワード・フレンチHoward Frenchは書いた。ロシアは、「弱く、孤立し、機能不全国家となる」と彼は考えている。

 

中国はロシアを荒廃させたままにもできるが、それでは貴重な資産の浪費になる。中華人民共和国にとってロシアは、強い国家であってこそ価値がある。したがって、中国がモスクワを救済すれば中国にとってリスクとなる。

 

しかし、北京は一帯一路をはじめ大規模海外プロジェクトを抱えており、ロシアの底なしの穴にはまる余裕はない。現在、中国では債務危機の進行が遅く、経済が停滞しているため、手一杯に見える。

 

しかし、地政学を重視する習近平はロシアの侵略作戦に大きな価値を見出している。

 

エコノミストの論調を借りれば、「北京の学者や政府の高位顧問の予測は、西側の結束の誇示は、制裁でロシアを止められず、逆にエナジー価格の高騰で、遅かれ早かれ色あせるというもの」だ。中国は、今回の侵略で「アメリカの衰退と世界からの退出が早まる」と考えている。その結果、「新世界秩序」が生まれ、中国は影響圏を確立できる。

 

習近平は、アメリカを放逐する時がきたと考えているようだ。そのため、弱小国家でも支援することをいとわない。世界を制するために、すべてを賭けているのだ。

 

しかし、大胆な中国の支配者は、重大な間違いを犯している。ロシアが中国を弱体化させているのだ。■

 

Why Russia's Brutal War in Ukraine Could Sink China - 19FortyFive

ByGordon ChangPublished9 hours ago

 

 

Gordon G. Chang is the author of The Coming Collapse of China and The Great U.S.-China Tech War. Follow him on Twitter @GordonGChang.

In this article:China, Economics, featured, Putin, Russia, Trade, Ukraine, War in Ukraine

 

WRITTEN BYGordon Chang

Gordon G. Chang is the author of The Great U.S.-China Tech War and Losing South Korea, booklets released by Encounter Books. His previous books are Nuclear Showdown: North Korea Takes On the World and The Coming Collapse of China, both from Random House. Chang lived and worked in China and Hong Kong for almost two decades, most recently in Shanghai, as Counsel to the American law firm Paul Weiss and earlier in Hong Kong as Partner in the international law firm Baker & McKenzie.


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