キーウ郊外で対戦車兵器NLAWを持つウクライナ領土防衛軍隊員(2022年3月9日撮影)
March 9, 2022. AP Photo/Efrem Lukatsky
ロシア軍はウクライナの抵抗に苦戦を強いられている
ロシアの装甲車両や航空機は、西側装備で強化されたウクライナ軍に阻まれている
対空ミサイルのスティンガー、対戦車ミサイルのジャベリンとNLAWがウクライナ防衛に欠かせない存在となっている
ロシア軍は、20万人近くの兵力と装甲車数千台を戦闘機や軍艦が支援する侵攻部隊を編成したが、ウクライナ侵攻が始まり3週間、主要目的を達成することができないままだ。
ロシア軍は、48〜72時間の電撃作戦でウクライナを降伏させる想定だったが、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は激しい抵抗を続け、首都キーウ含む主要都市は依然ウクライナの手にあり、モスクワのみならず世界中が驚いている。
ウクライナ人の気概と戦場での知識が防衛に大きく貢献しているが、NATOやEU諸国が提供した装備品もロシア侵攻を食い止めている。
ウクライナは西側諸国から数十億ドル相当の兵器を受け取っており、今週も米国が10億ドルの安全保障支援を行ったが、中でも兵器システム3点が際立っている。
米国製のFGM-148ジャベリン、FIM-92スティンガー、英国とスウェーデンの設計による次世代軽量対戦車兵器(NLAW)だ。
ジャベリンとNLAWの威力は高い
戦車や装甲車は、ロシア軍の戦術思想の中核をなす。ロシアの大隊戦術集団battalion tactical groupsは、強力な火力で抵抗を圧倒するべく機械化された編成である。
しかし、BTGは対戦車防衛ジャベリンに弱い。ジャベリンは発射後すぐ再使用可能な誘導ミサイルだ。
ジャベリンは発射管と、制御装置や昼夜兼用の光学照準器を備えた制御ユニットの2つで構成する。ジャベリンミサイルの先端には赤外線ホーミング誘導装置があり、発射後に隊員は移動して反撃をかわす。
ジャベリンは1発20万ドル近くと決して安くないが、「だから頻繁に撃つことはない」と、州兵部隊に配属されたグリーンベレー隊員はInsiderに語っている。
「通常、(軍事訓練)クラスでは、優等生だけが実弾を発射する。他の生徒は実弾を込めない武器で手順を学びます。しかし、実弾を撃たなくても、発射手順や順序のマスターができます」と、同上グリーンベレーは述べている。
2022年2月、ウクライナで行われた訓練で、対戦車ミサイル「ジャベリン」を発射するウクライナ軍。Ukrainian military/Handout via REUTERS
ジャベリンの効果は、大きさとは関係なく、ターゲット対応の柔軟性にある。
戦車など装甲車両に対して、ジャベリンは高い攻撃角で装甲が最も薄い車体上部を狙い攻撃する。
侵攻前、ロシア戦車兵は戦車上部にカゴをつけ、ジャベリンを先に爆発させ、威力を弱める対抗策を講じた。だがロシア戦車何百台が破壊されたことから、有効でなかったことがうかがえる。
建物やバンカーなどの静止標的には、ジャベリンは直線状で攻撃する。米国の特殊作戦部隊は、アフガニスタンでジャベリンを対人攻撃に使用したこともある。
「ジャベリンは対人攻撃にも非常に有効です。何十万ドルもする対戦車兵器システムが対人用攻撃のオプションになるとは、普通考えないでしょう」と、元海軍特殊部隊SEALの将校はInsiderに語っている。
SEAL隊員は、アフガニスタンでジャベリンを「広範囲に」使用したと、匿名の同上元将校は言う。
「ジャベリンでタリバンを何人も殺した有名な隊員がいます。距離が長いので、作戦環境には理想的だった」と元シールズは語った。
ウクライナ軍は、英国が供給する対戦車兵器「NLAW」も使用している。NLAWは米国製ジェベリンより性能は劣るが、操作が非常に簡単で、150ミリ高性能対戦車弾頭を搭載し、殺傷力も高い。
NLAWはジャベリンと同様に上方から攻撃できるが、有効射程は約800mとジャベリンの2000mに比べ短い。
スティンガーの恐るべき定評
実弾演習でミサイルを発射する米兵たち(2019年6月13日)。US Army/Sgt. Thomas Mort
量的・質的に圧倒的な優位性があるのに、ロシア空軍はウクライナ上空を支配できていない。これは、ウクライナの抵抗に関するロシアの誤った認識とロシア人指揮官の「リスク回避」であると米国当局が述べていることの反映だ。
しかし、ロシア軍機はウクライナ上空に展開しており、ロシア軍の占領と保持を可能にし、ウクライナ軍を攻撃できる。
ウクライナ軍は、ロシアの戦闘機、爆撃機、ヘリコプターをウクライナ上空で自由に行動させないため、スティンガーミサイルなど携帯型防空システムを頼りにしてきた。
米国は1月、他国がスティンガーをウクライナに送るのを許可したが、スティンガーから機密資料を取り除く方法が判明するまで、自らはスティンガーを送れなかった(侵攻後に可能となった)。
キーウ空港で、リトアニアから届いた米国製スティンガーミサイルやその他の軍事援助を積み込むウクライナ軍(2022年2月13日)SERGEI SUPINSKY/AFP via Getty Images
スティンガーは、アフガニスタンでソ連軍に対し使用され有名になり、恐ろしいほどの評判を得ている。
有効射程距離は15,000フィートで、12,000フィート以下を飛行する標的ならほぼ全部に命中させることができる。赤外線シーカー弾頭で航空機の熱源(通常はエンジン)に狙いを定め攻撃する。
軽く使いやすいので、一般兵士や州兵、さらには過激派組織までも、航空機を撃墜できる。
「ジャベリンもスティンガーも、比較的簡単に使える。CIAがアフガニスタンでソビエト軍に対抗するため、読み書きのできない人々にスティンガーの使い方を教えたのを思い出してほしい」と同上グリーンベレーは述べ、「ジャベリンは少し複雑ですが、敷居は比較的低い」と言う。
米国は2022年3月17日、ウクライナ向け追加安全保障支援パッケージを発表し、スティンガー800発、ジャベリン2000発が含まれ、米国提供の合計数は、それぞれ1400発4600発になる。追加パッケージには、軽量対人兵器1,000発とAT-4無誘導携帯型対人ミサイル6,000発も含まれる。
「米国と同盟国および協力国は、ウクライナ支援で武器装備品供与を急増すると完全に約束し、更に増やす。在庫品からの搬送を追加するからだ」と、ジョー・バイデン大統領は水曜日に述べた。■
Easy-to-use handheld weapons provided by the US are helping Ukrainians shred Russian tanks and aircraft
https://www.businessinsider.com/javelins-stingers-nlaws-help-ukraine-destroy-russian-tanks-aircraft-2022-3
Stavros Atlamazoglou 23 minutes ago
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