ロシア揚陸艦RFS Kaliningrad (102)ガダルダネス海峡を通行した。 February 8th. Photograph copyright Yörük Işık, with permission.
トルコ外相メブルト・カヴソグルMevlut Cavusogluがダルダネス、ボスポラス両海峡の軍艦通行を禁じると各国に発表した。
トルコ外相による重大発表は2月28日夜にトルコ内閣が検討した内容を受けたもので、同国はモントルー条約で両海峡の航行の管理権限を有している。
外相はトルコ政府から黒海に接するか問わずあらゆる国に向けロシア-ウクライナ戦が続く間は両海峡を通過する黒海への移動は認めないと発表した。同外相によればこれは初の規定の実施措置だという。
「トルコは今回の軍事衝突に中立であり、当事国の軍艦航行を規制する権限を有する。黒海内の母港への回航では海峡通過を認めるが、あくまでもモントルー条約に従う。黒海に面する、面しないを問わずあらゆる国に警告する。軍艦の通行は認められない」
同外相によればロシア政府からトルコがモントルー条約を遵守するのかとの問い合わせが来ていたという。
トルコ大統領レジェップ・タイイップ・エルドアンRecep Tayyip Erdoganは域内のエスカレーション回避の意味でモントルー条約の意義を認め、トルコが国際枠組み内で責務を果たすと強調した。背景には国連、NATO、EUが念頭にあり、ロシアによる侵攻は「受け入れがたい」と発言した。
「トルコは1936年モントルー条約に基づきトルコ海峡の権限を行使し、ロシア・ウクライナ『危機』をこれ以上エスカレートさせない」(エルドアン大統領)
2月27日のCNNトルコのインタビューで、カヴソグル外相は、「両国の対立を本格的な戦争とみなしている」と述べ、今回の決定を先に示唆していた。外相はモントルー条約第19条に言及し、戦時中のトルコによる海峡管理を強調した。
条約第19条は次の通り。
戦時下において、トルコが交戦国ではないとして、軍艦は、第 10 条から第 18 条に定める条件(トン数制限及び通過規則に関する条文)で、海峡の通過及び航行で完全な自由を享受するものとする。
但し、交戦国に属する軍艦は、この条約第25 条の適用から生ずる場合及び国際連盟規約の枠内で締結され、かつ、同規約第18 条の規定に従い登録及び公示されたトルコを拘束する相互援助条約により侵略の被害国に提供される援助の場合出ない場合は、海峡通過できない。
前項に規定する例外的な場合では、本条約第十条から第十八条に定める制限は、適用されない。
2.上記第2項に定める通航の禁止にかかわらず、交戦国に属する軍艦は、黒海沿岸国であるかを問わず、その基地から分離した場合には、同基地に復航できる。
交戦国に属する軍艦は、海峡において、捕獲、臨検及び捜索の権利の行使、又は敵対行為をしてはならない。
外相は19条に言及したが、条文は交戦国の軍艦を禁止措置の対象とする。その結果、トルコ政府は、第21条の権利行使を行ったと思われる。第21条は、トルコ政府が戦争の危険が差し迫っていると感じた場合、軍艦の通航は完全にトルコ政府の裁量によるものとし、海峡での拿捕、臨検捜索権の行使、あらゆる敵対行為を禁止する、と定めている。
第 21 条:トルコが急迫した戦争の危険にさらされていると認めた場合には、トルコは、本条約 第 20 条〔戦時において、交戦国であるトルコは、第 10 条から第 18 条までの規定を適用せず、軍艦の通航は、トルコ政府の裁量に全面的に委ねられる〕の規定を適用する権利を有する。
外相発表はトルコ政府による両海峡通過の取扱に関する公式発表と受け止められる。■
Turkey Closes The Dardanelles And Bosphorus To Warships
Tayfun Ozberk 28 Feb 2022
Posted by : Tayfun Ozberk
Tayfun Ozberk is a former naval officer who is expert in Above Water Warfare especially in Littoral Waters. He has a Bachelor Degree in Computer Science. After serving the Turkish Navy for 16 years, he started writing articles for several media. Tayfun also offers analysis services on global naval strategies. He's based in Mersin, Turkey.
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