U.S. NAVY
米海軍は、今年初めに空母カール・ヴィンソン(CVN-70)の着艦事故で喪失したF-35C共用打撃戦闘機を南シナ海で回収に成功した。同機は深度約12,400フィートから引き上げられた。
機体は米第7艦隊の任務部隊75(潜水・サルベージ)と海軍海洋システム本部(NAVSEA)のサルベージ・潜水監督官(SUPSALV)により回収された。合同チームは、民間潜水支援工事船(DSCV)「ピカソ」に乗船した。同船は2月23日に沖縄を出港し、墜落現場に向かっていた。
海上保安庁発行の告知から、引揚げ作業地点はフィリピン・ルソン島の西方約170マイルだった可能性がある。海軍は詳細な場所を発表していない。
回収作業には、CURV-21(Cable-controlled Undersea Recovery Vehicle 21)と呼ぶ通常は海底調査に使用するテザー式の遠隔操作船(ROV)が使用された。CURV-21は、ソナーやカメラを搭載し対象物の位置を特定が可能で、今回は事故機に専リグとリフトラインを取り付けた。
艤装品とリフトラインで固定したF-35Cは、船内クレーンのフックで海上に吊り上げられ、ピカソに移送された。第7艦隊の公開写真では、機体は保護用のプラスチックに包まれ輸送されているようだ。
タスクフォース75責任者であるガレス・ヒーリー大佐Capt. Gareth Healyは、「迅速かつ有効な指揮・統制・通信機能、機敏なロジスティクス、有機的なセキュリティ、タスクフォースの専門性を選択した」「最終的に、慎重に事件発生から37日で回収作業を行えた。この問題のユニークな特性とNAVSEAのユニークな技術力で達成可能なスケジュールにできた」と述べている。
海軍は、事故機の残骸は今後、「調査のため軍事施設に運ばれ、本国輸送の可能性を評価する」と発表した。
残骸の大部分が回収されていなかったことがわかり、国防総省や共用打撃戦闘機のコミュニティは安堵するだろう。残骸の一部または全部が敵対する国(中国かロシア)により調査されたり、墜落現場から持ち出される可能性が非常に高かった。
「我々はF-35の価値を、あらゆる点で留意している」と、事故直後に国防総省のジョン・カービーJohn Kirby報道官は述べた。「さらに機体回収では、安全を第一に考えつつ、国家安全保障上の利益を考慮して行う」
昨年11月に空母HMSクイーン・エリザベスで離陸時の事故で地中海に沈んだ英国空軍F-35Bステルス機を浮上させる作業と同様のパターンで回収されたようだ。
今回のF-35Cは、着艦時に飛行甲板後部に衝突し、その後、転覆して着水した。パイロット含む7名が負傷したが、パイロットは脱出後、水中から救出された。
F-35Cは空母の4本のアレスティング・ワイヤーをすべて引きちぎり、甲板上に破片を散乱させたが、ヴィンソンの飛行業務はわずか45分以内に再開された。
ただし墜落直後に、水中の事故機の写真と、艦内のアイランドカメラ室が撮影した動画2点がSNSにアップされるという驚くべき手順違反が発生した。海軍はその後、すべて本物であると確認した。
海軍は、こうした機密漏洩がなぜ起こった原因を究明したいとはずだ。海軍士官1名と上級下士官4名を戒告処分にしており、これらの者は裁判によらない処分を受ける見込みである。同時に、海軍は墜落事故の原因究明を続けており、期待されていた海軍F-35Cによる最初の作戦行動に影を落としている。
Navy's Crashed F-35C Recovered From The Bottom Of The South China Sea
Recovery of the jet after its carrier landing mishap allays fears that it could have fallen into the wrong hands.
BY THOMAS NEWDICK MARCH 3, 2022
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