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オーストラリア潜水艦基地建設をめぐり、西側報道と中国報道を比較してみた。同じ事実が違うメッセージを発する好例。

 オーストラリアが原子力潜水艦基地を新設すると発表しました。今回はBreaking Defenseと環球時報の伝え方をそれぞれご紹介します。まず、米メディアBreaking Defenseです。


Scott Morrison, Prime Minister of Australia, speaks at UN Climate Change Conference in November. (Ian Forsyth/Getty Images)


ーストラリアはAUKUSの一環で100億豪ドル(73億米ドル)で原子力潜水艦運用基地を同国東海岸に構築するとスコット・モリソン首相が本日発表した。軍事基地新設は1990年代初めてで、候補地はブリスベーン、ニューカースル、ポートケンブラの三箇所だ。



基地には特別整備施設、潜水艦乗員や基地要員の宿舎等も含み、英海軍米海軍の原子力潜水艦も利用する、とモリソン首相は述べた。戦略的に意味のある地点で各艦を再補給しつつ、三カ国の潜水艦部隊が情報共有しつつ親密度を上げるねらいだ。


基地構築の初期段階は2023年末までに完了する。


モリソン首相は国政選挙前に原子力潜水艦の国内建造あるいは海外調達の大方針を決めたいとし、AUKUSウォッチャーの関心を集めている。


ピーター・ダットンPeter Dutton国防相は、日曜の報道番組で、「今後数カ月以内に決定する」と発言していた。モリソン首相はこれを否定したが、ダットンと意見が対立していると思われるのを避けるため、「ピーターが言ったように、我々は前進できている」と付け加えた。この件では「時間を無駄にしていない」。しかし、意思決定プロセスまで18ヶ月というスケジュールは変わらないというのだ。


モリソン首相はAUKUS原子力潜水艦事業は単なる調達事業の域を超えていると強調している。「パートナーシップ」だという。米国は技術アクセスを統制しており、「我が国が使いたい技術だけでなく、英国に対しても同様に管理している。そのため、パートナーシップの性質として貿易取決め手続き同様にともにスピードを持って進めていくことになる、という。


さらに広い世界に言及してモリソン首相は暗い見方を紹介した。二元論的で、「中国の好戦的な姿勢や独裁体制の台頭、ウクライナ侵攻で明らかになったロシアの脅威へ、西側の開放性と国際機関の利他的な野心が、知らず知らずのうちに扉を開いてしまった」と発言。


「包容力と融和により独裁政権に改革や穏健化がもたらされるとの期待」は、「裏切られた」と、長年にわたり国会議員を務めてきた首相は述べている。


オーストラリアはこの見解に基づき行動している。「先週火曜日、私はウクライナ防衛を支援するため、約7000万ドルの防衛軍事支援と非殺傷軍事装備および医療品の提供を発表しました。我々のミサイルは現場にある」と述べた。「我々は祈りを捧げたが、弾薬も送っている」


モリソン首相は、ウクライナでプーチンが勝利するかと尋ねられ、以下慎重に評価した。


「ロシア軍の実力は過大評価されていると思う」と、仮定の質問に答えたがらないことで知られるモリソン首相は言った。「ウクライナには抵抗勢力があり、時間とともに拡大するだろう。その結果、ロシアが利益を得られるとしても、維持できなくなる」。


モリソン首相は中国がウクライナ侵攻を台湾占領のモデルとして利用するのではないかという憶測で注目されるインド太平洋にも触れた。


「台湾海峡の状況とウクライナの状況に類似性を見出そうとは思わない。全く異なる状況だ。台湾海峡で予想される反応は、ウクライナで起こっていること全く異なる」■


Australia commits $10B to nuke sub base; US, UK boats welcome

With $70 million defense package to Ukraine, Australian PM says, "So yes, we have offered our prayers, but in Australia, we have also sent our ammunition."

By   COLIN CLARK

on March 07, 2022 at 1:14 PM



では、環球時報の報道ぶりを見てみましょう。中国の権益の観点しかないことが明白ですね。例によって「専門家」に伝えたい主旨を喋らせる格好になっています。記事はトップの扱いで並々ならぬ関心を示した格好ですが....


 

   

中国はオーストラリアの原子力潜水艦基地構築に警戒すべき、と専門家が警句。

 

ーストラリアは、原子力潜水艦基地の建設に巨額の予算を投じる計画を明らかにした。AUKUS協定に基づく初の原子力潜水艦が2038年までに登場すると伝えられていることから、新基地は米国の原子力潜水艦が先に使用する可能性が非常に高いと、匿名希望の北京在住の軍事専門家は述べ、基地は中国にとって脅威となるため、中国は警戒を強め海上防衛力を強化すべきだと注意喚起している。

 

スコット・モリソン首相は月曜日、東海岸に基地を設置すると発表したとオーストラリア・メディアが報じた。

 

「米国と英国の原子力潜水艦の定期的な寄港も可能になる」とモリソン首相は述べた。コリンズ級通常型潜水艦から原子力潜水艦への移行に100億オーストラリアドル(74億ドル)以上が必要になると指摘した。

 

モリソン首相は、ウクライナ危機が必然的にインド太平洋地域に及ぶと主張したが、人民解放軍海軍研究院上級研究員Zhang Junsheは、積極的な国防計画を守るための言い訳だと指摘した。

 

Zhangは、原子力潜水艦基地の整備計画は、実はAUKUSへの加盟と同じ目的に沿ったもので、オーストラリアは米国の世界覇権と地域問題介入の共犯者として行動し、中国を封じ込めるためのいわゆるインド太平洋戦略への協力を決意していると指摘した。

 

AUKUS潜水艦事業は、オーストラリアの近隣諸国や各国の核軍縮支持者の激しい批判にあっており、インドネシアやマレーシアなどの国々は、AUKUSが核軍拡競争に火をつけ、地域の平和を損ねると懸念を示していると、Zhangは指摘する。

 

北京の匿名専門家が月曜日に環球時報に語ったところによると、原子力潜水艦が運用開始するのは2030年代後半と言われているため、オーストラリアの原子力潜水艦が引き渡される前に、中国はより発展し潜在的脅威への対応力を強める。

 

しかし、匿名専門家は、基地が完成すれば、米国や英国の原潜だけでなく、オーストラリア原潜も配備でき、中国への直接的な脅威となると警告している。

 

「おそらくオーストラリアの原子力潜水艦は、AUKUS全体の枠組みの中では、基地整備より重要度が低いのだろう。基地ができれば米原子力潜水艦に中国に近い安定した場所とな利ながら脆弱性を減らせる」

 

Zhangも同様の見解で、基地は「間違いなく米国に利用される」と述べた。

 

 「中国は平和的発展の道を歩むと約束し、海洋防衛能力を開発し続け、起こりうる外部からの脅威に対処し、国家の主権、安全、領土の一体性を守るべきである」とZhangは述べた。

 

China should be on alert over Australia's future nuclear-submarine base: experts - Global Times


China should be on alert over Australia’s future nuclear-submarine base: experts

By Xu Keyue

Published: Mar 07, 2022 10:17 PM


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