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多くの予想に反し、ロシアの侵攻にウクライナ空軍が奮闘している。ウクライナ空軍は、開戦数日で地上と数で優勢かつ技術的に進んだ相手により消滅するとの予想に反し、戦い続けている。ウクライナ政府による航空戦勝利の主張では、ウクライナ空軍が不利な状況をどう切り抜け、ロシア航空宇宙軍(VKS)の航空優勢確保を防いでいるのか、正確なところがわからない。今回、ウクライナ空軍の反撃の実態について、現役戦闘機パイロットへのインタビューで一端が明らかになった。
ひとつは、ニューヨークタイムズ記事で、Su-27フランカーのパイロット「アンドレイ」へのインタビューが掲載されている。一方、コールサイン「ジュース」との別のウクライナ空軍パイロットは、CNNのアンダーソン・クーパーとのビデオインタビューに応じた。
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A Ukrainian Air Force MiG-29 Fulcrum.
まず、Su-27パイロット、アンドレイは、夜間スクランブルでVKS戦闘機を迎え撃つなど、迅速対応の警戒任務について話している。飛行前の完全チェックを省略し、フランカーは格納庫からスクランブル発進している。ウクライナ機の一部は、フライトラインからではなく、硬化した航空機シェルターで、攻撃者の視界から遠ざけられているようだ。
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A Ukrainian Air Force Sukhoi Su-27UB Flanker-C.
「操縦するのは毎回実戦です」とアンドレイは説明する。「ロシア機とは、いつも対等ではありません。常に5倍以上の機体を飛ばしてきます」。25歳のアンドレイは、これまで任務を10回こなし、すくなくとも一機撃墜したという。
「主な任務は空中標的の攻撃や、迎撃です」とアンドレイは説明した。「ロシア機へ十分に接近し、標的を定め発砲したこともある。探知してミサイルのロックオンを待っていると、地上から『もうミサイルを発射したよ』と言われたこともありました」。
ロシア機撃墜を振り返り、「この機が私の平和な町を爆撃できなくなり、幸せです」という。
アンドレイは、飛んできたミサイルを回避行動で生き延びたようだが、ジェット機の自己防衛システムも活用したのだろう。高周波の脅威をパイロットに警告するレーダー警告受信機や、チャフやフレア放出装置がある。
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A Ukrainian Air Force Su-27 ejects flares during an air display.
「自らの技量で勝つしかない」「技量はロシア側より優れている。しかし、私より経験豊富な者や同僚が戦死しています」
シナリオでは、Su-27のパイロットは格納庫から発進し、空中で標的情報を受け取ることになっているが、ウクライナ空軍に残る作戦拠点がどこかは公式に開示されていない。空軍基地や空港は、ロシアのミサイル攻撃で激しい攻撃を受けており、空軍は分散作戦で対応しているようだ。西部の小規模滑走路や、部分的に破損した長い滑走路、高速道路を使用することもある。道路からの作戦は、ウクライナ空軍がこれまでも実践してきたものである。
同様に、ウクライナ空軍の残存機数も明らかにされていない。米空軍中将を退役し、現在は米空軍士官学校上級研究員のデビッド・デプチュラDavid Deptulaによれば、ウクライナ空軍は現在、55機の戦闘機を運用中だという。今月初め、米国防総省の高官は、開戦前戦力の80%に当たる56機と発表している。
英国国防省は、「ウクライナ空軍と防空軍はウクライナ領空を効果的に守り続けている」「ロシアは制空権を獲得できず、ウクライナ国内への攻撃は比較的安全なロシア領空から発射するスタンドオフ兵器に大きく依存している」とみている。
とはいえ、機材は平時よりも厳しい状況に置かれており、戦闘が続けばウクライナ空軍の作戦能力は劣化するだろう。NATOからMiG-29を入手する試みは、失敗に終わっている。さらに、ロシアはリヴィウ州立航空機修理工場を攻撃し、MiG-29メンテナンス用の大型格納庫を破壊するなど損害を与えた。
ニューヨーク・タイムズ紙は、ウクライナ空軍の1日の出撃回数は5〜10回、これに対しVKSは約200回と推定している。他の推定では、ロシアの出撃回数はもっと多く、ある米国防総省高官は昨日、24時間で300回出撃したと述べた。ウクライナの出撃回数も増加傾向にあると評価されるが、地上配備の防空体制の優位性を反映している。
同記事では、ウクライナ空軍の地上防空システムの優位性も取り上げ、ウクライナの大部分でVKS機へ防御の傘を張ることができたという。しかし、ロシアはウクライナの一部で同様にミサイル防衛を確立したようだ。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、VKSのミッションは夜間が大部分で、地上防空網への脆弱性を減らすためらしいが、この主張の検証は困難だ。
ウクライナ空軍報道官ユーリ・イフナットYuriy Ihnatは、ニューヨーク・タイムズ紙に「ウクライナは自国で活動しているため、空で効果を発揮している」「わが領空に飛来する敵は、こちらの防空システムの有効範囲内に飛来している」と述べている。ウクライナ側がVKSに罠を仕掛け、有人戦闘機で敵機を地対空ミサイルの空域に追い込んでいる。このため、VKSは航空制圧作戦(SEAD)で出撃を明らかに増加させているようだ。
同記事によると、ウクライナは航空戦の不利を克服する工夫もしている。地上のボランティア観測者のネットワークが、VKSの航空活動を軍に報告するよう警戒体制を構築しており、第二次世界大戦中の「ブリテンの戦い」での民間防衛観測者と類似している。また、民間パイロットがナビゲーション機器を空軍に寄贈した例も紹介されている。
一方でジュースは、現在の航空戦の状況について、ニュアンスの違う説明をした。VKSは現在、完全な航空優勢を得ていないが、目的は「ほぼ」達成したと述べている。ウクライナ側は、限られた数の航空機と防空システム(いずれも旧式の装備)で阻んでいる。
それでも、「ロシアは多くの損失を出し、我々の防空を恐れている」とジュースは言う。「だから、ここでは快適に飛べないのだ」。
米国の国防当局者は昨日、ロシアの航空優勢が実現していないのは、ウクライナの「非常に創造的な防空態勢」のためとした。
ジュースは「効率的な地上防空システムが必要で、制空権を得るために、戦闘機も必要だ」と述べた。
ニューヨークタイムズは、「現代戦では珍しいトップガンスタイルの空中戦が同国上空で繰り広げられている」と表現している。ウクライナ空軍の戦術がVKSを阻んでいるのは間違いなく、ウクライナ戦闘機(MiG-29やSu-27)がロシア機の損失に貢献している可能性が高い。ウクライナ当局によると、ウクライナ国防軍(戦闘機・地上防空システムも含む)が撃墜したロシアの固定翼機は97機にのぼるという。正確な数は不明であり、今後何年も議論される可能性がある。
現段階では、どのロシア軍機がウクライナ空軍戦闘機により撃墜されたか特定できないが、パイロットへのインタビューから、ウクライナ上空ではVKS機や巡航ミサイルと定期的に遭遇しており、一部はウクライナ軍機が撃墜したとも伝えらる。
米国はじめ同盟国は、肩撃ち発射式地対空ミサイル・システムをウクライナに供給し続けているが、より高度でSAMシステムのウクライナへの移転も積極的に進めており、航空機材の提供を水面下で進めている可能性すらある。しかし、少なくとも公の場での戦闘機供与の希望は、国防総省がポーランドMiG-29の供与案を支持しないと表明したため、停滞している。ロシアからの深刻な報復を恐れたためだ。そのため、アンドレイやジュース、さらにウクライナ空軍は、戦争が進むにつれて損失が増え、ますます困難な状況に直面するだろう。ロシアに制空権を握らせないためには、ウクライナ軍の地上装備が大きな役割を果たすのは必至なようだ。
Ukrainian Fighter Pilots Describe Their Desperate Air War Against Russia
Against the odds, the Ukrainian Air Force continues to work at denying Russia air superiority over Ukraine.
BY THOMAS NEWDICK MARCH 22, 2022
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