内情に詳しい情報筋2人によれば、フランク・ケンドール空軍長官は、F-15EXの調達中止の検討を空軍の予算班に命じていたという。逆に23年度概算要求ではプラスアルファの調達となる。
米空軍は、F-15EXを優先しF-35調達は短期的ながら減速する計画で、JSTARSとAWACS双方の退役を求め、研究開発費の大幅増額を要求しているが、いずれも中国を意識してのことだ。
本日発表された空軍省予算案には、空軍向け1,695億ドル、宇宙軍に245億ドル、空軍が省外の機密プロジェクトに支払う「ノンブルー」支出として402億ドルが含まれる。
空軍の予算担当副次官補であるジェイムズ・ペチアJames ペチアは、この数字はFY22の空軍要求と比較すると、推定2.2%のインフレ率を含め約8%の実質成長であると述べています。
中国の経済力と技術力に対抗できる空軍に変身させる必要があるということだ。フランク・ケンドール空軍長官は金曜日の記者会見で、数年前に国防総省の調達トップとして在任中に、記者から「あなたは変革型のリーダーか、進化型のリーダーか」と問われた時のことを思い出した。
「そのとき、私はどちらかといえば進化的なリーダーだと答えた。「今日は、その逆で、進化よりも、変革の方が今は重要だ。原動力は脅威だ」。
空軍と宇宙軍にとって、研究・開発・試験・評価(RD&E)が勝者として浮上し、22年度予算要求の401億ドルから23年度は492億ドルに跳ね上がった。
ここには、B-21爆撃機の購入予算17億ドルや、ロッキード・マーチンF-35の調達数を減らし、ボーイングからF-15EXを購入する決定が含まれている。
F-35Aの調達は33機、45億ドルで、22年度から15機減る。一方、ボーイングF-15EX戦闘機は24機、14億ドルで購入する計画で、前年度の調達数の2倍になる。
ボーイング機に関心を向けているように見えるが、空軍はもっと慎重である。この問題に詳しい情報筋2名によれば、ケンドール長官は空軍の予算班にF-15EX調達中止を検討するよう命じていた。しかし、空軍や国防総省のF-15EX推進派が反発した。
その結果、空軍はF-15C/Dに代わるF-15EX調達を急増させ、高度なF-35ブロック4仕様が購入できる時が来るまでF-35調達を減らす選択をしたのである。
F-35購入は、今後5年間で元に戻るとケンドール長官は述べた。
「F-35にこだわるのか、と聞かれる。もちろん、我々はF-35にコミットしている」「F-35は当分の間、戦術空軍の基礎となることに疑問の余地はない。」(ケンドール長官)
ボーンヤード送り
空軍は23年度に269機以上の航空機を処分する意向だ。昨年要求の200機程度をはるかに上回る。
「これをしなければならない。明日の資源を確保するため、旧式機を処分しなければならない」とケンドール長官が語った。
空軍の広報担当者がブレイキング・ディフェンスに語ったところによると、処分場に向かう航空機のリストには、以前に議会へ説明された119機が含まれるという。しかし、残りの150機には、これまで対象でなかった航空機が含まれており、議会や他の予算ウォッチャーが驚ろくことになりそうだ。
空軍は、地上目標情報を提供するE-8C JSTARSを8機退役させる計画で、残るJSTARSはわずか4機となり、これも24年度に退役する。
空中目標を感知、識別、追跡するE-3セントリー空中警戒管制機AWACSも15機を退役させたいとしている。現在、空軍は31機のAWACSを保有しているが、後継機導入に伴い退役させる。
戦術機も大幅削減される。空軍は旧式ブロック20のF-22の33機を退役させる承認を得るとし、ケンドール長官は戦闘能力がないと述べている。ペチアによると、各機を処分できないと、今後8年間の維持費として18億ドルかかるという。
また、昨年に引き続き、老朽化したF-15とF-16の退役を進め、合計F-15C/D26機とF-16C/D67機を処分したいとする。
空軍は、C-17やKC-10などに移行する前に、訓練生の機動性飛行の教育に使用されるT-1ジェイホーク練習機50機を引退させると示唆した。空軍は声明で、T-6テキサン練習機の進歩により、パイロット養成に影響を与えずに、同機のみで訓練するシラバスへの移行が可能になると述べている。
ボーイングKC-46の運用開始に伴い、旧式給油機の部分的退役を継続し、23年度にはKC-10を10機、KC-135を13機退役させる。
アラバマ州のマックスウェル空軍基地のC-130H10機をモスボール保存するが、4機のC-130Jが稼働開始し不足分は部分的に緩和される予定。また、電子戦機EC-130Hコンパスコール1機と特殊作戦機EC-130Jコマンドーソロ3機の処分を進める。
12機のHH-60Gペイブホークを退役させ、最新型HH-60Wに置き換える。
そして最後に、空軍はA-10の一部を退役させる。インディアナ州空軍が運用する21機のA-10を廃棄し、その代替としてF-16を導入したいとする。アリゾナ州議会は歴史的に、現在281機残るA-10の退役に抵抗がある。
厳密には退役ではないが、空軍は100機のブロック1仕様MQ-9リーパーを、ケンドール長官が名前を伏せた政府機関(おそらく中央情報局)に引き渡そうと考えている。この動きは、戦闘指揮官の要求に応えるために必要な能力を維持しながら、リーパーの運用とメンテナンス経費を空軍予算から外すのがねらいだ。
資金はどこに流れるのか
23年度も空軍は、長期優先事項のため、調達と開発資金を交換する傾向を続ける。研究開発費に334億ドル(22年度288億ドル)、調達費に257億ドル(前回229億ドル)を要求している。(この合計額には、宇宙軍への支出は含まれない。)
B-21レイダー計画は17億ドルの要求で調達段階に移行したが、秘密主義のプログラムにふさわしく、ペチアはその金額で何機のステルス爆撃機が購入されるのか明示を避けた。
さらにボーイングKC-46タンカーを15機、28億ドルで購入する。また、ボーイングのMH-139グレイウルフの調達も再開する。
「このヘリコプターには、合格すべき認証が2つある。「1つ目は完了した。2つ目はここ数ヶ月で完了するので、23年度には再びMH-139調達を開始できる」トペチアは述べた。
その他回転翼機の調達では、空軍はHH-60WジョリーグリーンIIヘリコプター10機を8億7000万ドルで最終購入した後、戦闘救助ヘリコプター調達を早期に終了する。
F-15EXとF-35の追加購入のための投資以外にも、空軍はF-22の先進的なセンサーに3億4400万ドルを投資する。
RDT&E予算には、核近代化プログラムへ多額の資金が含まれており、ミニットマンIIIに代わる地上戦略抑止システムには36億ドル、B-21爆撃機の継続設計に33億ドル、核の長距離スタンドオフ兵器には9億2900万ドルと膨大な規模の予算が計上されている。
ボーイングE-3セントリー空中早期警戒管制機をどのように置き換えるのが最善か、何年も水面下で検討された後、空軍は23年度にE-3後継機に227百万ドルを計上し、新型機を配備する可能性がある。ケンドールによると、ボーイングE-7ウェッジテイルWedgetailがAWACS後継機で有力候補だが、正式な調達決定の前に市場調査を済ませるという。
ペチアによれば、空軍は次世代航空優勢(NGAD)に16億5000万ドルを要求し、約1億3300万ドルの増額で、ほとんどが第6世代戦闘機に関連する高度なセンサーと弾力性のある通信装備用だという。また、NGADとB-21を強化する「忠実なるウィングマンLoyal Wingman」スタイルの無人機では空軍の最新の専門用語である「高度連携型機材advanced collaborative platforms」用の113百万ドルも含まれている。
先進エンジン開発プログラムに3億5400万ドルを投じ、適応エンジン技術プログラムの2億8600万ドルと次世代適応推進の6600万ドルを含む。
先進戦闘管理システムプログラム向け予算は、23年度に約28百万ドル増加し、231百万ドルとなるとべチアは述べた。■
F-35 cuts, F-15 boost, and E-3 replacement: Air Force's $170B budget makes big moves in FY23
on March 28, 2022 at 1:31 PM
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。