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ウクライナ飛行禁止空域は実現しなくても、西側へのロシアへの対抗策はまだ残っている。西側が選択可能なオプションを考えてみた。ウクライナ存亡がかかるが、時間はあるか。

 

 

Image: Creative Commons.

 

行禁止空域が実現しなくても問題はない。NATOには、ウクライナを支援し、ロシアの侵略を押し返す選択肢が別にある。75年以上前、ジョージ・ケナンはロシア指導者のDNAには「神経症的」で、包括的な「不安感」と「外界への本能的な恐怖心」が埋め込まれていると述べた。

 

 

ロシアのパラノイアは、何十年経っても衰える様子がない。プーチンと側近の将軍たちは全員、旧ソ連邦のような深い戦略的領土の余裕を求めてやまない。この目標を達成するため、ゲラシモフ・ドクトリンGerasimov Doctrineは、軍事、経済、情報、サイバーなど幅広く組み合わせた現代版ハイブリッド全面戦争を提唱している。

 

1938年のミュンヘン協定以来、西側諸国は、アドルフ・ヒトラーに匹敵する冒険的で本格的かつ軍事凶悪犯に直面してこなかった。ミュンヘン協定で、同盟国はスデーテンランドをヒトラーに譲渡した。この決定で、ヒトラーはより大きな軍事的冒険へ駆り立てられ、第二次世界大戦へ突入した。

 

宥和政策や非軍事的に中途半端な措置は、プーチンを増長させるだけだ。プーチンが譲れない内容の要求を突きつけてくれば、次の展開は、危険で破壊的で悲劇的になる。例えば、モルドバ、NATOバルト三国への攻撃の可能性があるが、戦略的余裕の欠如への不安からロシアが巻き起こすと思われる。

 

プーチンは、民主主義諸国が介入すれば「計り知れない結果」が生じると曖昧かつ計算づくの脅しを行い、欧米指導者を思いとどまらせたようだ。 小規模介入でも、プーチンは、どのように反応するか分からないので、西側指導者は凍りつき、無策が続く中で、プーチンはもっと積極的な犯罪的攻撃実施に勇気付けられている。

 

これまでのところ、NATOの立場は、ウクライナはNATO非加盟国というものである。威圧された西側諸国は、詭弁を弄しウクライナへの強い支持を表明する一方、民主主義を守るため自国軍でウクライナ防衛を強化することは拒否している。

 

しかし、ユーゴスラビアで大量虐殺と人道的悲劇の進行を止めようとNATOが介入したとき、同国はNATO加盟国ではなかった。NATOなど各国連合が、凶悪な侵略からクウェートの主権を守るべく力を合わせたとき、同国もNATO加盟国ではなかった。リビアで、NATOが国連を代表し、異常な指導者からリビア市民を守ったとき、やはりリビアNATOのメンバーではなかった。

 

ウクライナのゼレンスキー大統領が推進し、メディアや活動家がとりあげたのが、NATO軍機による飛行禁止空域の設定だ。しかし、飛行禁止空域は、西側指導者が主張するように、NATO軍とロシア軍機の空中対決につながる可能性が高い。プーチンは、トルコ戦闘機がシリア付近の領空でロシア機を撃墜したときに厳しい反応を示さなかったが、NATOの挑戦は軍事反応を間違いなく引き起こし、核や化学兵器の使用など、螺旋状にエスカレートする可能性を持つ。

 

皮肉なことに、侵入拒否を維持しつつウクライナを守るモデルは、ロシアの脚本そのものから得られる。高性能装備を有する民主主義国家は、主要戦力を危険にさらさず、ロシアに公然と対峙せず、小規模の秘密戦で流れを変えられる。 次の選択肢があり得る。

-徽章をつけない「志願兵」を参戦させる。スペイン内戦で活躍した国際旅団の現代版としてヨーロッパで訓練し、送り込めばいい。

-米国のSEALチーム、英国のSAS、フランスの外人部隊のような特殊な小型戦術戦闘チームを密かに投入し、ウクライナ軍を支援する。兵站線の背後からの急襲、指揮統制の部隊やミサイル拠点への襲撃など。

-ロシアの戦術通信を妨害するため、サイバーや技術の専門部隊が投入されている。

-供与中の兵器より堅牢で、標識なしまたはウクライナ徽章をつけた移動式対空戦闘車をウクライナに持ち込む。

-欧米の無人偵察機部隊をウクライナに配備し、ウクライナの航空資産と合流させる。無人機の損失はすべてウクライナ機材とする。

-より攻撃的だが、国連の「保護する責任(R2P)」に基づき、ロシア領域からの攻撃から市民を守る平和維持活動としてTHAAD対ミサイルユニットをウクライナ西部に移動し、ロシアのミサイル攻撃から防衛する。

 

自由主義諸国の多くは、民主主義防衛を強固かつ、不安なく実施したいとする。ウクライナへの軍事支援には、ロシアによる大規模なエスカレーションを引き起こさない計算での賭けが見られる。ロシアは戦争犯罪を隠すため虚構の主張を繰り返している。西側諸国は、軍事資産を提供しウクライナ軍に見せかけるためもっともらしい説明を垂れ流しているというのだ。プーチンの嘘はあからさまで、西側諸国が信憑性が高いが難解な説明をするよう仕向けられているのはなんとも皮肉だ。

 

紀元前480年、テルモピュライでスパルタ兵が英雄的に、だが悲劇的に戦った。ウクライナ軍は歴史の再現だ。21世紀の歴史が書かれるとき、ウクライナ人は英雄伝説に加わるかもしれない。西側諸国の軍事支援で巧妙な方法が見つかるだろうか。■

 

A Ukraine No-Fly Zone Could Start a NATO-Russia War. The West Has Other Options - 19FortyFive

A Ukraine No-Fly Zone Could Start A NATO-Russia War. The West Has Other Options

 

ByRichard SindelarPublished1 day ago

Richard Sindelar, @FSOProf, a retired U.S. diplomat with three tours of duty in the State Department’s Bureau of Intelligence and Research, now serves as Director of the Center for International Studies at Houston’s University of St. Thomas, where he teaches courses in U.S. foreign policy and international law, among others.

In this article:featured, NATO, No-Fly Zone, Russia, Ukraine, World War II

 

原稿作成中:ロシア航空宇宙軍はこうして逆襲する(仮題)

 

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