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ドイツが核任務用にF-35導入を決定。トーネード後継機とする。核シェアリングはロシアへの抑止手段。日本では議論を封印するのでしょうか。

 



f-35 Nuclear Germany

USAF


イツでは核兵器搭載戦闘機の更新で「やるか、やらないか」の議論が延々と続くかと思われたが、結局、F-35Aステルス戦闘機の購入を決めた。



今日の公式発表は、可変翼攻撃機トーネードIDSの後継機をめぐる憶測に終止符を打つものとなった。


ドイツ国防省のツイートは、F-35取得を決定との報道記事を確認した。


「トーネード後継機の決定がなされた。F-35で核シェアリング任務を将来行う。2030年までにトーネードと交代する」


また、ドイツのクリスティーン・ランブレヒトChristine Lambrecht 国防相は、「F-35はNATO同盟国やヨーロッパ内その他パートナー国との協力にユニークな可能性を提供する」と付け加えた。


ドイツ国防省は、F-35の調達数や費用を明らかにしていないが、以前の報道では35機とあった。NATO協定に基づき、米国所有の核爆弾を運搬できるドイツ機となる。


メディア関係者の皆様へ F35という機種は存在しませんが、核兵器の場合はB61です。お間違えのないようお願いします。


米国のB61核重力爆弾はドイツのビュッシェル基地などNATO基地に保管されており、アメリカは有事の際にドイツ軍に提供する。現在、ドイツ空軍トーネードが核搭載の認証を受けており、最新の核爆弾B61-12搭載のテストが行われている。F-35AにもB61-12が搭載される。米空軍はF-35Aは今年末までに同爆弾の運用可能となると発表している。


核攻撃任務でF-35に対抗するはずだったユーロファイターにも朗報がある。ドイツ国防省は、ユーロファイターをF-35と並び空軍の中心として維持するだけでなく、「電子戦闘任務に備え、さらに開発する」と発表し、ユーロファイターECR合計15機を取得する。


追加調達分のユーロファイターECRは、敵防空の制圧用として供用中のトーネードECRの後継機となる。また、ドイツとヨーロッパで主要技術の開発が継続され、次世代戦闘機FCASシステムでドイツの強力な役割が保証される。


ここでFCASが言及されたのは、ドイツがF-35を購入することで、2040年代を想定した欧州の次世代戦闘機の共同調達が脅かされると懸念していたフランス向けのようだ。


「F-35と電子戦特化ユーロファイターにより、ドイツ空軍の将来の立場は非常に有利になる」と空軍司令官インゴ・ゲルハルツ中将 Lt. Gen. Ingo Gerhartzは述べた。


F-35購入は、オラフ・ショルツ首相率いる連立政権で初の大規模武器購入案件となる。ロシアのウクライナ侵攻後、ショルツ首相は国防費増額を公約し、NATO目標の2%を上限に、過去一貫して未達成だった国防費増額を実現するとしている。


また、ロシア侵攻を受けて増強されたNATOの前方展開の一部として、F-35が投入されており、急速に拡大するヨーロッパのF-35運用へドイツが参加を決定したことは重要である。


NATO以外でも、昨年はスイスとフィンランドが同機購入を決定するなど、F-35の欧州での受注は増え続けている。


2017年10月、「軍高官」がトーネード後継機としてF-35を「好ましい選択」と発言したが、ドイツ空軍が統合打撃戦闘機の機密ブリーフィングを受けたわずか数カ月後のことであった。

 

ところが2018年4月、ドイツ政府関係者はアメリカに、ユーロファイターを核攻撃機にできるか照会したようだ。同時に、ドイツ議員たちは、ドイツとヨーロッパが軍用機の専門知識を保持することの重要性を指摘し、ヨーロッパ製機材選択に結集し始めたのである。


1カ月後、当時のドイツ空軍司令官カール・ミュルナー中将Lt. Gen Karl Müllnerは、F-35を支持したのを理由に退官に追い込まれた。


2020年3月までに、ドイツがトーネードの後継機として、ユーロファイターとF/A-18E/FおよびEA-18Gの分割購入を選択する可能性が高まっていた。核兵器運搬能力を持つスーパーホーネットが必要とされ、この機体の改造はユーロファイターで必要な改造と比較すれば容易と考えられていた。


にもかかわらず、ドイツ当局は既成の第5世代戦闘機を希望したようで、最終的にF-35が選ばれたのは必然的だった。


F-35は現在、生産が確立されており、ドイツはヨーロッパでF-35をサポートするインフラの拡大で利益を得られるはずだ。オランダのエンジン試験・整備工場、イタリアの最終組立・検査工場(FACO)、オランダの戦闘機製造工場などがある。


トーネードが稼働率の問題に悩まされてきたことから、後継機への需要も明らかだ。計画では、最後のトーネードが2030年までに退役するが、ドイツのF-35の引き渡し開始でいつ運用可能になるかは今のところ不明だ。


BUNDESWEHR/INGO TESCHE

トーネード ECR が ネリス空軍基地を離陸した。2020年レッドフラッグ演習で。


本日のドイツ国防省発表は、核攻撃と敵地支援という重要な役割を担うトーネード戦闘機50機の代替だった。しかし、ドイツは過去に、トーネードで合計85機の新規製造機を取得すると発表していた。そうなると、F-35の追加発注も十分にあり得る。


F-35購入の決定は重い。冷戦終結後、長年にわたり衰退してきたドイツ軍に、近代化投資や即応性向上への意欲がまだあるのを示している。


また、ウクライナで戦闘が激化する中での決断であるのも注目される。F-35は多様な任務に対応できるが、ドイツ国防省は核攻撃用に取得すると明言している。ユーロファイターやスーパーホーネットでは任務に耐えられないとドイツ空軍が判断したと解釈できるが、ベルリンが、攻撃的姿勢を強めるロシアの外交政策を阻止するため、核運搬能力を重要なツールとあらためて見ていることがわかる。■


Germany Has Chosen The F-35 As Its Future Nuclear Strike Fighter

he options of Eurofighter Typhoon and Super Hornet, the F-35 has been chosen to become Germany's next nuclear strike fighter.

BY THOMAS NEWDICK MARCH 14, 2022



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