スキップしてメイン コンテンツに移動

B-21レイダーが初飛行前の準備に入った。今年中のロールアウト、初飛行をめざす。調達規模は145機に拡大。

A rendering of the B-21 Raider stealth bomber.

USAF

 

空軍が開発中の次世代爆撃機B-21レイダーが初飛行に近づき、一号機が校正試験に入ったとの報道が出ている。校正は飛行前テストとして必要で、飛行荷重に機体が耐えらるかを検分する。

 

 

校正作業に入ったのはB-21が完成しているためだ。空軍は機体に主翼、降着装置がつき、「爆撃機らしくなった」と述べている。

 

USAF/PHILIPPE ALÈS-WIKICOMMONS

A digital rendering of how the B-21 may look.

 

発言は空軍迅速性能実現室長のランドール・ウォルデン Randall Waldenのもので、Air Force Magazineが伝えたものだ。

 

ウォルデンは荷重校正試験について「極めて通常のもの」とし、機体構造が「想定条件に耐えるか」を見ているという。

 

校正試験用の機体がノースロップ・グラマンの製造施設がある空軍42プラント(カリフォーニア・パームデイル)で完成した実機なのかはわからない。同施設では他に5機が製造中と判明している。

 

Aviation Weekにノースロップ・グラマンはB-21の初号機が「生産ラインを離れ、公式地上試験に投入されている。当社による事業実施の効率と速度を如実に示すもの」と伝えてきた。

 

同機を巡っては高度の保安体制が取られており、B-21初号機のシリアルナンバーはおろか、非公式名称も不明のままだ。ただ、ウォルデンは校正試験は初飛行機材が対象になるのは確実と述べている。

 

初飛行予定も不明だが、ウォルデンは全体日程にCOVID-19パンデミックの影響は大きくないと述べている。同時に、ノースロップ・グラマンは「画期的な事業実行とデジタルエンジニアリング」で時間短縮効果が生まれたとしている。

 

そうなるとB-21のデビューがいよいよ近づいているのは間違いないだろう。

 

U.S. AIR FORCE

B-21 concept art.

 

期待が集まるロールアウトは華々しいものになるとウォルデンは認め、「歴史的なイベント」となり「政府高官、報道陣」が招待されるとした。日程は未定だが、今年中と見られ、初飛行が直後に控える。ロールアウトが終われば、少なくとも外観がわかる。

 

B-21で判明している僅かな情報は公式発表が主で、今年初めにグローバル打撃軍団(AFGSC)の戦略立案担当ジェイソン・R・アーマゴスト少将Maj. Gen. Jason R. Armagostが以下述べていた。「B-21は敵地侵攻に投入され、接近阻止領域拒否をかいくぐる両用任務対応の機体となる」。最後の部分は核・非核対応を指す。

 

ロールアウトまでにエンジン含む機内各システムに入力を与え、低・高速タキシーテストも行うはずで、その後初飛行となる。場所はエドワーズ空軍基地付近のパームデイルになると見られ、飛行テストも同地で展開する。

 

B-21合計6機が存在しているか、製造中だとわかっているが、技術製造開発(EMD)段階で合計何機が製造されるかは不明だ。とはいえ、B-2でも同様の段階で6機が製造されていた。

 

空軍公表の計画では少なくとも145機のB-21を調達し、近代化改修型B-52と爆撃機部隊を構成するとある。

 

第一線部隊にB-21を相当数配備するまで時間がかかるが、米空軍が同機の登場でカウントダウンに入ったのは確実だ。■

 

First B-21 Raider Is Now Undergoing Calibration Tests As Official Rollout Approaches

The first B-21 now “really looks like a bomber” and after calibration tests, the bomber’s systems can be fired up.

BY THOMAS NEWDICK MARCH 3, 2022


 

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...