2016年7月30日土曜日

東京オリンピックまでにペイトリオット部隊の性能改修を実施へ



Exclusive:

Japan to upgrade Patriot batteries for Olympics as North Korean missile

threat grows: sources

TOKYO | BY TIM KELLY AND NOBUHIRO KUBO
防衛省でペイトリオット高性能改修-3(PAC-3)装備の傍に立つ自衛隊員。
December 7, 2012. REUTERS/ISSEI KATO/FILE PHOTO
  1. 日本がペイトリオットPAC-3ミサイル防衛装備を2020年東京オリンピックまでに改修し、有効距離拡大に加えて精度を上げ北朝鮮弾道ミサイルの高性能化に対応させるとわかった。
  2. 性能向上策でPAC-3ミサイルの射程は30キロと現行の二倍近くに伸び、改修は来年開始と関係筋が明かしている。
  3. 「性能改修型PAC-3はムスダンに対応するため必要」と別の筋は語り、北朝鮮の中距離弾道ミサイルを名指しした。
  4. 北朝鮮は今年六月にムスダンを二発試射し、一本目は失敗したが二発目は400キロ飛翔し、高度1,000キロと弾頭を装着した場合3,000キロ先まで到達できる能力を示した。
  5. 北朝鮮は実用化に一歩近づき、毎秒数キロの速度で飛翔すれば防衛の最後の砦PAC-3部隊が対応ができなくなる。
  6. 旧型PAC-2を保有する韓国は2018年までにPAC-3に更改すると韓国国防部関係者が述べている。在韓米軍も首都ソウルを防衛範囲に入れている現有PAC-3を改修する
  7. なお日本防衛省の報道官はPAC-3性能向上について「何も決まっていない」と述べた。
  8. 東京オリンピック開催でPAC-3改修は厳しい予算でも優先実施しやすくなったと関係筋は語っている。
  9. 約1,000億円を平成29年度予算概算で要求すると関係筋は述べている。予算提案は内閣承認を経て正式に予算化され、追加費用は後年に都度承認される。
  10. 日本はより高性能な最終段階地域防衛装備、THAADミサイル迎撃システムの導入を検討している。米韓両国が同装備の導入を今年決めているが、中国をいらだたせる結果が生まれている。中国は安全保障のバランスを崩す装備だと評している。
  11. だがペイトリオット改修は弾道ミサイル防衛能力を直接引き上げる効果があり、THAAD他の導入より優れている。
  12. 日本にはイージス装備駆逐艦部隊もあり、米国とスタンダードミサイル 3(SM-3)を開発中で弾道ミサイル弾頭を宇宙空間で撃破するのをめざす。ただし同ミサイル投入はまだ決定されていない。
  13. PAC-3の開発元はロッキード・マーティンレイセオン日本最大の防衛企業三菱重工業(MHI)で日本向け改修作業は来年4月からライセンス方式で始まる
  14. MHIは初年度に12隊、次年度も12隊、三年目に4隊の改修作業を実施すると消息筋が明かしている。東京防衛にあたる隊を優先し、訓練隊は改修の対象外とする。
  15. 「防衛省は本件をまだ公表していません。当社はコメントする立場にありません」とMHI広報は述べている。
  16. レイセオンもコメントを出さない中でロッキード広報から同社が「日本側との長い成功の実績の一部としてPAC-3ミサイル装備のライセンス生産をおこなってきた」と述べている。■


沖縄4,000ha演習地の返還は本当にいいことなのか



沖縄の皆さんには申し訳ないのですが、日米同盟がある限り米軍基地がすべてなくなる日は訪れないと思います。では日米同盟がなくなればどうなるのか。当然触手を伸ばしてくる国がありますね。日本政府はそこまで甘くありませんが、問題は地元自治体です。基地返還をした後の経済振興策には一定の資金が必要で、これこそ政治の知恵の出しどころではないですか。またグアムやオーストラリアへ一部米軍部隊が移動したのは決して声高な反米感情をそそのかしている勢力の勝利ではなく、単に弾道ミサイルの格好の標的になっているからにすぎません。


US To Return Land to Japan Used for Jungle Training

Wendell Minnick, Defense News6:44 a.m. EDT July 29, 2016
TAIPEI, Taiwan — 米軍は沖縄北部の演習地4,000haを日本政府に返還するこれだけで米軍占有の土地面積は17パーセント一気に減ると29日在日米軍司令部横田空軍基地の広報部発表で判明した
  1. 返還対象は北部演習地の一部でジャングル戦演習に使われてきた。条件付き土地返還は沖縄に関する特別行動委員会(SACO)による1996年報告書で盛り込まれていた。沖縄返還(1972年)以来最大規模の返還事業と広報資料が述べている。
  2. 北部演習地の部分返還は米軍使用地の整理を目指す日米の政策の一環で、最終的には嘉手納航空基地より南の米軍施設大部分を返還する。嘉手納は第18航空団の基地でF-15C/D戦闘機二個飛行隊が駐留している。
  3. 「日米相互防衛援助協定で米国は土地施設の使用権を認められており、日本の防衛と極東の平和安全維持が目的だ」と在日米軍副司令官チャールズ・チアロッティ少将が述べている。
  4. 「取り決めでは施設又は土地が不要となれば日本政府へ返還されることになっている。今回の事例では代替ヘリコプター発着場新設で残る演習地内での訓練が効率化することで約4,000ha返還が可能となった」(チアロッティ少将)
  5. 今回の返還は両国が合意したヘリコプター発着場六か所と連絡道路を返還対象外の北部演習地内に建設することが条件だ。
  6. 「沖縄演習地が減るとはいえ日本政府、自衛隊部隊との共同歩調には影響はない」とローレンス・ニコルソン第三海兵遠征部隊並びに在日海兵隊司令官は述べている。「太平洋での作戦能力はこれまで通りで単に面積が減るだけだ。演習地ではオスプレイ他機材の安全に留意して今後も運用する。SACOでは今後の返還予定地があり、沖縄住民の感情に米軍施設削減を求める声があることを理解している」
People hold up placards as they protest against the
米軍基地の存在に抗議する人たちがプラカードを掲げ、海兵隊キャンプシュワブ正門前に陣取る。 June 17, 2016. (Photo: Toru Yamanaka/AFP via Getty Images)
  1. 普天間海兵隊航空基地返還も両国間の長年の課題と広報資料は述べている。普天間には第一海兵隊航空部隊があり、MV-22オスプレイ、F/A-18スーパーホーネット戦闘機、AH-1Wスーパーコブラ攻撃ヘリコプター、AV-8Bハリヤーを運用している。
  2. 米軍は一部装備施設をグアムへ移転しており、その他でも兵力を削減している。
  3. 沖縄の戦略的価値は大きい。尖閣諸島からは250マイルしか離れておらず、台湾へも350マイルとともに中国が領有あるいは侵攻を主張している地点だ。■


2016年7月29日金曜日

中国-ロシアが9月に南シナ海で海軍演習を実施へ


予想通り中国はますます唯我独尊状態に入り、その動きは予想しにくくなっています。面子がつぶれたと感じればどうなるかわからないので、そもそも国際司法判断そのものを無意味と論じ、全く違うロジックを作り、アフリカや一部アジア諸国を応援団に国際社会の主流意見はこちら、と主張しています。プロパガンダだけでなく軍事力も注目を集めるので効果は高いですね。そのためロシアとの演習を実施するぞと公表したわけです。これらの動きが世界からどう見られるかは関係ないのでしょうかね。しかしTHAADに抗議してなぜミサイル迎撃テストをするのでしょうか。どこで実施するのでしょうか。

China, Russia to Conduct Joint Military Drills in South China Sea

Beijing will also deploy anti-missile defense tests to counter U.S. system in South Korea


China's Harbin (112) guided missile destroyer takes part in a week-long China-Russia "Joint Sea-2014" navy exercise at the East China Sea off Shanghai, China May 24, 2014 / AP
     
July 28, 2016 12:32 pm
中国国防部は28日ロシアと共同海軍演習を南シナ海で9月に実施すると発表した。中国がかねてから主張していた同海域の主権は国際仲裁裁判所により否定されている。
  1. 国防部報道官楊宇軍Yang Yujun上級大佐は演習を「通常のもの」と報道会見で述べ、特定の国を想定した演習ではないと説明した。
  2. 予定通り実施すれば南シナ海で中ロ合同演習は初めてになる。両国は以前のライバル意識を捨て米国等の圧力に対抗するべく提携を深めている。
  3. 「両国軍には全く通例の演習でさり、中ロ戦略互恵関係の強化を狙うものである」と楊は説明した。
  4. 実施となれば7月12日の常設仲裁裁判所の判断で中国の領有権主張が覆され他後を受けての演習となる。中国は仲裁裁定を無効活法適温居がない司法判断として遵守するつもりはないとしている。
  5. ロシアは中国と2014年に大型天然ガス案件を成約し、エネルギー面での協力を強めた他、東シナ海で共同海軍演習を同年から開始した。2015年5月には地中海で共同演習も行っている他、同年に日本海でも演習を展開した。
  6. また中国国防部は韓国が高性能米国製ミサイル迎撃装備導入を決めたことへ対抗し、ミサイル迎撃テストを行うと発表。
  7. 米国と韓国は先月末に最終段階高高度地域防衛装備(THAAD)の導入を発表し、中国はこれに対し地域の安定を損なうものと警告していた。
  8. 「中国がミサイル防衛能力を整備するのは中国固有の防衛のためであり、特定の国を狙ったものでもなく、国際間の安定を損なうものでもない」と楊は述べている。■

オープンスカイズ査察OC-135機がロシア内で緊急着陸し、嘉手納で修理中


オープン・スカイズ条約には日本も中国も加盟していません。米ロと欧州の間の取り決めですね。KC-135系の機体は使い勝手がいいのかたくさんモデルがありますが、機齢を考えても物理的にいろいろ不具合が発生してくる時期なのでしょうね。


US Monitoring Plane Makes Emergency Landing in Russia

Aaron Mehta, Defense News5:30 p.m. EDT July 28, 2016

Open Skies aircraft(Photo: US Air Force)
WASHINGTON — 米査察機が機体故障で27日にロシアで緊急着陸した
  1. ペンタゴン報道官ミシェル・バルダンザ中佐がDefense Newsに同機はロシア国内ウラン‣ウデ空港を離陸し、国内査察飛行に入ったが飛行中に着陸装置が機内に完全に引き込まれていないと分かったと述べた。
  2. 「乗員は機内のロシア側クルーとともに条約に基づく査察飛行を中止し、行き先をハバロフスクへ変更し、同地でロシア側人員を降機させロシア領空を抜け最も短い空路を飛び在日米軍基地で点検修理を行うことにしました」と中佐は述べ、「ハバロフスクはオープンスカイズ指定空港としてよく利用されており、ロシアが条約で指定していますが、条約での『国外出発地』としては普通使われていません」
  3. 中佐はミッションが途中で中止されたため、フライトで画像は収集できなかったと述べた。同機はハバロフスク(中国国境からおよそ77キロのロシア南東部)から嘉手納空軍基地に移動して点検中で、完了次第ネブラスカのオファット空軍基地に戻る。
  4. 第一報は英国のExpress紙で機体はボーイングOC-135Bと判明した。
  5. 2002年締結のオープン・スカイズ条約により米ロ含む34カ国が非武装の他国偵察機に国内上空を査察飛行させ軍事部隊に関する情報収集を許している。条約は軍縮協定の遵守条項を確認できる情報公開をめざす。
  6. ただし条約で米国内に懸念が今年2月に浮上した。ロシアからオープンスカイズ飛行に投入するツボレフTu-154に新型デジタル電子光学センサーを搭載すると通告してきたためだ。ペンタゴンと議会からそろって新型センサーでロシアに情報面の優位性が生まれると警戒心があらわになった。
  7. 空軍公表資料によればOC-135はKS-87Eフレーミングカメラ一台は垂直方向、二台を斜め配置で低高度撮影用に、KA-91Cパノラマカメラ一台が高度35千フィートから全体撮影用に搭載している。乗員は最大35名。■

T-Xで高性能機体を求める米空軍の狙いは成功するのか




これだけの高性能を要求する米空軍はT-Xで別の狙いがあるのか、あるいは単に高性能を希求したらこうなったのでしょうか。果たして調達が成功するのか、あるいはロッキード=KAI案がこれで本当に有利になるのか、答えはボーイングノースロップの新型機体案が出てくると判明するでしょう。

Aerospace Daily & Defense Report

High-Performance T-X Could Edge Out Low-Cost Bid

Jul 27, 2016 Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report

T-38: USAF

T-38練習機で老朽化が目立つ中、米空軍が後継機T-Xの提案要求 (RFP)案を各社に公開し、要求水準以上の性能へ誘導しようとしている。
  1. 空軍は今回T-XのRFPを公開する前から個別に業界に要求内容を示しコメントを求めていた。違うのは要求以上の性能へ追加支払いすることで、高G操縦性、高迎え角操縦性や空中給油能力を想定している。
  2. このうちG性能が議論になっており、上限7.5gで閾値要求6.5gを超える0.1gごとに奨励金を出すと7月26日付のRFP原案は述べている。言い換えれば二案が同価格なら、高G設計案が高く評価される。あるいは価格差があっても高G対応案が有利だ。
  3. この評価方式に落ち着くまで空軍は業界と基本性能と要求内容の議論を重ねており、コストと性能の解析とトレードオフでT-Xの全体調達費用を下げるのが空軍の狙いだ。
  4. 「業界との協議を経て、空軍は閾値以上の性能を実現する意義を深く理解できるようになりました」と空軍報道官ロブ・リース少佐が7月27日に語っている。「したがって提案審査では特定性能を重視し、一定以上の場合には追加支払いし、今後数十年に渡るパイロット養成の効果と効率を引き上げたい」
  5. RFP案で総計350機のT-X並びに関連装備採用を企業チーム4組が競う。T-XはF-22やF-35を飛ばす次世代空軍パイロットを養成し、採用となればF-35導入国への販売の道も開く。RFP最終版は年末に出る。空軍は契約交付を2017年、初期作戦能力獲得を2024年ともくろむ。
  6. 契約交付までまだ一年あるとはいえ、競合は激しくなっている。ボーイング・Saabチーム、ノースロップ・グラマン主導のBAEシステムズL-3はともに新型機を、韓国航空宇宙工業(KAI)とロッキード・マーティンはT-50Aを原型に、さらにレイセオンレオナルドCAE連合はT-100を元に提案する。テキストロン・エアランドはスコーピオン原型で参入意向だったがT-X要求内容では価格面で競合できないと今年早々に判断した。
  7. RFP案のシステム要求は空軍が昨年公表した要求と酷似し性能要求3点を重視する。高G持続、シミュレーターの視覚鋭敏性と性能、並びに機体の長期間稼働だ。
  8. このうち高G持続性能が物議を醸しだしている。通常のG持続は速度、高度を一定の条件とするが、T-Xでは具体的な飛行状況を設定し最低6.5gで140度の旋回飛行だ。空軍は6.5gを旋回中最後まで求め、条件は高度15,000フィートで燃料残80パーセント以上とする。また7.5gに耐えることが望ましいとしている。機体制御は高度15,000フィートで開始して13,000フィート以下にせず、速度も開始時から10パーセント以上下がらないことと想定。
  9. この要求以上の性能を実現すれば報奨金を出すとの空軍発表で有利になりそうなのがロッキード=KAI連合のT-50Aだ。レイセオン=レオナルドのT-100は要求を一応満たすものの「合格線ぎりぎり」と主任テストパイロットのエンリコ・スカラボットがAviation Weekに昨年語っている。ただし、レイセオンのダン・ダーネルからはその後、g最低水準を「容易に達成しそれ以上も耐えられる」と言及している。
  10. ロッキード広報のロブ・フラーからはRFP原案は予想通りとのコメントが出ている。
  11. 稼働性も2015年案と同じで最低80パーセントとしている。空中給油はKC-135およびKC-10を想定。燃料消費はT-35比10パーセント減、向かい風10ノット高度7,464フィートの8,000フィート滑走路で6,400フィートで離陸し、同じ条件の滑走路でタッチダウンから機体停止までの距離は7,000フィート以下としている。
  12. 飛行時間合計は8,000時間で22年間稼働とし、月当たりの飛行時間を30.3とRFP案は記載している。■

2016年7月28日木曜日

★ブルーエンジェルスが機材をスーパーホーネットへ更改



歴代の機材を見るとF11とA-4の長期使用も目立ちますね。いずれも小ぶりの機体で操縦性が高かったのでしょうね。F11はF-104のかわりに日本も導入していたかもしれない機体ですが。

Blue Angels trade-in old jets for Super Hornets

July 26, 2016
Editor

PATUXENT RIVER NAS, Md., 26 July 2016.---米海軍の飛行展示チーム、ブルーエンジェルスが機材を旧型F/A-18からF/A-18E/Fスーパーホーネットへ更新する。
  1. 海軍航空システムズ本部が12.1百万ドル総額の契約をボーイングの防衛宇宙安全保障部門に交付し、機体をブルーエンジェルス仕様に改修する。
  2. ブルーエンジェルスは年間全米34箇所で70回以上の航空展示を行う。チームは超音速ジェット戦闘機を6機で構成し、4機と2機に分け、ダイヤモンド形の編隊飛行を4機で2機は観衆を喜ばせる特別飛行を行う。
  3. ブルーエンジェルスはF/A-18各型を30年間稼働させており、1946年のチーム誕生以来ここまで長期間使用した機種は他にない。
  4. ただしF/A-18のA、C、B、D各型の生産は終わっており、老朽化が進んでいる。機体から部品等の落下が展示飛行中に発生しているという。
  5. スーパーホーネットは旧型より機体が25パーセント大型化し、飛行距離は40パーセント増えている。単座型がF/A-18E、複座型がF/A-18Fだ。
  6. ブルーエンジェルスが使用してきた機材はグラマンF6F-5ヘルキャット(1946年6月-8月)、グラマンF8F-1ベアキャット(1946年-1949年)、グラマンF9F-2パンサー(1949-1951年)、F9F-5パンサー(1951-1955年)、グラマンF9F-8クーガー(1955-1957年)、グラマンF11タイガー(1957-1969年)、マクダネル・ダグラスF-4JファントムII(1969-1974年)、ダグラスA-4Fスカイホーク(1974-1986年)、そしてマクダネル・ダグラス(現ボーイング)F/A-18A/B/C/D(1986年-)である。
  7. 今回の契約でボーイングがF/A-18E/Fをブルーエンジェルスの展示飛行用に改装する作業では、機関銃、ミサイル発射装備を撤去し、燃料ポンプを追加して反転飛行を持続できるようにし、オイルポンプを尾部に追加しスモークを出せるようにし、操縦桿にバネを追加して編隊飛行、反転飛行の機体反応を引き上げる。
  8. 作業はエル・セグンド(カリフォーニア)とセントルイスで行い、2017年9月に完了する。詳細な情報はボーイング・ディフェンス、スペース&セキュリティwww.boeing.com/defense および海軍航空システムズ本部http://www.navair.navy.mil、ブルーエンジェルスwww.blueangels.navy.mil で得られる。■


2016年7月27日水曜日

★中国が新型水陸両用機の生産を開始。気になるUS-2との比較は?



中国が新型飛行艇の生産を開始した模様です。
まずDefense Newsの伝え方です。


China Kicks Off Production of New Amphibious Aircraft

Wendell Minnick, Defense News8:40 a.m. EDT July 26, 2016

636051190754469037-P1140414.JPG(Photo: Wendell Minnick)
TAIPEI —  中国がAG600水陸両用機を珠海生産開始した同機は生産中機体では世界最大の水陸両用機と中国メディアが伝えている
報道によればメーカーの中航通用飛機有限責任公司China Aviation Industry General Aircraft Co. (CAIGA)は同時に小型のH660の製造も手がけている。両機種は2014年の中国国際航空宇宙展(珠海航空ショー)で模型が公開されている。
AG600はショーで配布された資料によれば消火、捜索救難、貨物輸送、海上哨戒の4つの任務を実施できる。乗客50名を搭載し、毎時350マイル(約560キロ)で3,400マイル(約5,400キロ)まで飛行できる。
その性能だと海南島から南シナ海で中国軍が占拠するウッディ島までが実用行動範囲に入る。■

次にJane'sです。数字が一部違うのはご容赦ください。

China rolls-out indigenous flying boat

Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
26 July 2016

  
The Aviation Industry Corporation of China (AVIC) AG600 amphibious aircraft was rolled out on 23 July. Source: Xinhua
中国が新型水陸両用機を中国航空工業(AVIC)の珠海工場で生産開始した国営通信が伝えている。
翼幅38.8メートル、全長37メートル、ターボプロップ4発のAG600は中国が製造する飛行艇として最大規模だ。
新華社通信によれば同機の最大離陸重量は53.5トン、最大巡航速度500キロで4,500キロの飛行距離を有し、飛行時間は最大12時間だ。離水には1,500メートル長、幅200メートル、深度2.5メートルの水域が必要だ。
新華社伝ではAG600は消火任務と海上救難任務に投入すると伝えている。■
参考 US-2の諸元 (Wikipediaより)
  • 全長 - 33.25m
  • 全幅 - 33.15m
  • 最大離着陸重量 - 47.7t
  • 巡航速度 - 260kt=M0.38(約470km/h)
  • 航続距離 - 4,700km(約2,500海里
  • 離水滑走距離 - 280m(43t時)

なるほどAG600はやや大きな機体ですが、離水能力は低いようですね。大きなモノ好きの中国らしくとにかく大型機を作ったということでしょうか。この機体が南シナ海でどう運用されるのかが注目ですね。



★発掘、ソ連のフランス攻略作戦案、核兵器多用で7日間で完了見込む




The National Interest


Russia's Cold War Plan to Crush France (In 7 Days)

Think nukes. Lots of nukes.

July 19, 2016

六週間でフランスを制圧したナチ・ドイツは軍事史上もっとも華々しい勝利のひとつとされた。
  1. ソ連が西側に1960年代初頭に開戦していたら、ソ連は電撃戦で一週間でフランスを制圧する計画だった。旧チェコスロヴァキアの軍事文書保管庫で発見されたワルシャワ条約軍1964年作戦案で判明した。
  2. 軍事力の裏付けがあったのかそれとも誇大妄想狂だったのか。神の存在を信じない制度の上に成り立つソ連の作戦案は奇跡を想定したものにほかならない。ソ連と東欧軍部隊はチェコスロヴァキアから攻勢を始めドイツ南部を通過し、ライン川を横断し、南部フランスへ進行する案だった。所要7日で完了する想定だった。
  3. ソ連案は野心的だ。チェコ第一軍第四軍で独仏国境を攻撃し、ソ連第八軍がその北方へ前進し、ハンガリー軍が南方を固める構想だった。落下傘部隊でネッカー川ライン川の主要通行地点を占拠し、ワルシャワ条約軍の戦車部隊・機械化歩兵部隊がチェコスロヴァキアからリヨン北東のブサンソンまで開戦後8日で700マイルを一気に突破する。さらにソ連軍はパリ北方へ前進し、英仏海峡の港湾を制圧するか、マルセイユなど地中海の港湾を占領する。
  4. チェコスロヴァキアからブサンソンまで赤軍は一日60マイル移動する必要がある。それまでの史上最速の移動はロンメルのアフリカ軍団の1942年6月事例で当時のドイツ機械化部隊は350マイルを10日で移動、つまり、一日35マイルだった。1940年の電撃戦でも同じロンメルの第七戦車師団は85マイルを移動するのに5日を要している。
  5. 障害は多かったはずだ。西側にはソ連軍は圧倒的な軍事力のイメージがあるが、モスクワはNATO軍への数的優位性は部分的にしか期待していなかった。ソ連軍、チェコ軍は数々の河川、丘陵、市街地が戦場として横断する必要があった。ワルシャワ条約軍は航空優勢を確立できず、1940年のドイツのような航空支援は実現しなかっただろう。
  6. ただしソ連にはロンメルの時代には存在しなかった兵器をあてにできた。赤軍の電撃作戦は核兵器を開戦初頭から投入することで突破口を創る構想だった。作戦案によれば「131発のミサイル、核爆弾が必要で、ミサイル96発、爆弾35個の内訳だ。まずミサイル29発、爆弾1個を投入する」とあった。
  7. この案は実行可能だったのだろうか。すべて予定通り機能すれば可能だっただろう。つまり米第七軍、ドイツ第二軍団、フランス第一軍がソ連の前進を食い止められければ、あるいは双方の核爆弾による地形変化や放射能でも前進が止まらなかった場合だ。.
  8. フランスが原子爆弾を初めて爆発させたのが1960年で、1964年にはフランス空軍は核爆弾を装備していた。ソ連報復を恐れてモスクワの原爆攻撃は思いとどまっただろう。だが、またもや国土を占領されるのかとの思いから「赤化より死ぬほうがまし」との短絡的反応になっていたかもしれない。
  9. どちらにせよ西欧は核攻撃で崩壊していたはずだ。

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.


UASの空中空母構想でハイテク飛行船を利用する構想が浮上



航続距離の不足をカバーするため、空中母機構想は過去に各種ありましたが実用化に至ったものは皆無でした。今回は温故知新ではないですが、技術進歩で空中空母を実現しようと言うたくましい企業のお話です。しかし飛行船でなくても太陽電池で分散推進手段を運用する無人長時間滞空機も母艦になりませんか。技術の進歩で今まで不可能と思われた構想が実現性を帯びてきます。それだけに発想力、企画力がもっと必要になりますね。

Aviation Week & Space Technology

Airship Carriers Could Extend Smaller UAS Capabilities

Jul 22, 2016 Graham Warwick | Aviation Week & Space Technology
.
  1. 無人航空システム(UAS)の性能は向上し続けており、ペイロードは小型しつつ威力は増加している。だが欠点がある。航続距離だ。「太平洋地区でどうやって小型UASを運用したらよいでしょうか」とDARPA副長官スティーブ・ウォーカーがワシントンの会合で問いかけている。
  2. DARPAの回答はグレムリン構想で、既存大型機の輸送機や爆撃機から小型UASを多数発進回収し、各UASに航空優勢が確立できない空域に侵入させ協調運用する。
  3. 別の構想がサイエンス・アプリケーションズ・インターナショナルコーポレーション(SAIC)とArcXeonから出たエアステーションAirStation構想で、飛行船をUASの空中空母に利用する。両社は軍事用途以外に物流配送作業にも転用できると説明。
  4. 空飛ぶ空母構想は以前にもあり、米海軍は飛行船USSエイクロン、USSメイコンを1930年代初頭に運用した。全長785フィートのメイコンは三日間飛行を続け、カーティスF9Cスパロウホーク偵察機を3機内部格納庫に搭載した。
  5. 複葉機は飛行船から空中ブランコを展開して発進回収し、飛行船の巡航速度は60ノットで偵察機の失速速度55ノットを僅かに上回る程度だった。二機の偵察機を使いメイコンは165,000平方マイル(約427千平方キロ)に及ぶ海域を探査できたとSAICのロン・ホチステラーは言う。 
  6. エイクロン、メイコンは飛行船と航空機の組み合わせで偵察能力を向上する狙いがあったが、グッドイヤーは1930年代末にもっと大型の空母飛行船構想を発表していた。だが陸上運用偵察機の性能が向上し、費用対効果で対抗できなかったとホチステラーは述べる。
  7. 飛行船を長時間監視手段にする提案がでは米陸軍と空軍がイラク・アフガニスタン戦真っ盛りの時期に企画したが結局キャンセルされている。同じ機能は小型あるいは中型UASの分散型、多機種で各種センサーを使った運用で実現した。
  8. だがUASには支援設備が必要で、「発進する地上拠点や艦船は容易に移動できないし、政治的な理由で運用が不可能な場所や洋上地点がある」とホチステラーは言う。
  9. 「最大限にUASの性能を活用するには移動と地理的制約から自由が必要であり、そのためUAS運用に特化した飛行支援記機材が必要です」
  10. DARPAのグレムリン構想では既存機種を母機とし、おそらくロッキード・マーティンC-130輸送機を使うだろうが、飛行船に比べれば滞空時間は短く、母機自体にも地上支援が必要だ。小型UASと大型ターボプロップ機の速度差も問題だとホチステラーは指摘する。

無人航空機隊を運用するUAS空母飛行船の概念図 Credit: SAIC/ArcXeon


  1. 「専用機材が必要です。小型中型UASの性能をフルに発揮させる機材が必要です。専用のUAS母機はほぼ全空域で活用でき、同時に維持費用は負担可能な範囲です」
  2. 空母飛行船は自動運転でUASを発進、回収、燃料補給し、再発進させる。ロボットアームとコンピュータ画像処理を応用する。飛行船は水平線超え通信中継機になり、UASと地上操作員が連絡しあうことが可能となる。
  3. 飛行船への空中給油も可能だと両社は主張しており、洋上で燃料を詰めた袋を拾い上げる案(1950年代に実証されており1990年代にも実施している)や飛行船にドッキングできる改装航空機による給油案が浮かび上がっている。
  4. 「UAS空母飛行船の傑出した価値は長時間飛行性能でUASを必要な期間に渡り該当空域に展開させることにあります」とホチステラーは説明する。「UAS空母を安全なスタンドオフ位置に待機させることも可能ですが統制、燃料補給、置換できるようUASの活動空域に接近させることも可能でしょう」
小型非硬式飛行船がInstituのスキャンイーグルUAS二機を搭載する運用構想があるCredit: SAIC/ArcXeon

  1. SAICは傘下のレイドスとともにスカイバス30K、80K無人飛行船を開発した経験があり、後者は米陸軍向けに制作しペイロード実証テストで飛行している。
  2. 大型商用飛行船を開発中の企業は数社あり、ロッキード・マーティンや英国のハイブリッド・エアヴィークルスがあるが、エアステーション構想をまとめた両社によれば各社の設計案を利用すればペイロード40トンのUAS空母が実現できるという。
  3. 「大型商用飛行船にUAS発進回収システムズを搭載したUAS空母は開発可能で、運用試験できると思います。その場合、各種UASの軍事用途に加え、民間商用運行も視野に入ってくるでしょう」(ホチステラー)■