2018年1月25日木曜日

ベルギー向けF-35売却を同国決定に先立って米国務省が承認

U.S. State Department clears potential (and likely) sale of F-35s to Belgium 米国務省がF-35のベルギー向け販売を承認

A Norwegian F-35 taxis in after landing on the runway June 29, 2017, at Luke Air Force Base, Ariz. (Airman 1st Class Alexander Cook/U.S. Air Force)

米国務省は1月19日にF-35のベルギー向け販売を事前承認し、同国が選定すれば同機売却が実現する。
販売案では総額65.3億ドルでロッキード・マーティンF-35A通常離着陸型34機とF135エンジン(プラットアンドホイットニー)38基を対象とする。
対象に電子戦装備、通信装備、ミッション訓練装置、ロッキードのALIS(自律型補給支援情報システム)、その他を含むと国防安全保障庁が述べている。
国務省が武器販売を対象国の決定以前に承認するのはまれだが、前例がないわけでもない。最近ではボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネット18機のカナダ向け販売を9月に承認した事例がある。この場合は米加間の貿易問題で最終合意が成立していない。
F-35はベルギーでは有望な選択肢と見られている。ベルギーは現行のF-16部隊54機の代替機種を求め、F-35を正式選定すれば最終的な販売価格は交渉時提示価格と変わる可能性があると国防安全保障庁も認めている。
競合相手はフランス政府が強く推すダッソー・ラファール、ユーロファイター・タイフーンだった。
そこにボーイングが2017年早々にスーパーホーネットを持ち込み、スウェーデンのSaabもグリペンEを提案してきため競合が激しくなった。
ただし4月にボーイングが提案を退けたのはF-35が優遇され公正な競争ができないと判断したためだ。
さらに7月にはスウェーデン政府がベルギーの作戦支援要求内容に答えられないとしてSaab選定の芽をなくした。
Saab撤退を受けてF-35の採用は確実と述べたのは投資コンサルタント業キャピタルアルファパートナーズのバイロン・キャランByron Callanだ。
「F-16導入した四か国のうち、ベルギーだけが選定していなかった。デンマーク、オランダ、ノルウェイはすでにロッキード・マーティンF-35を選定済み」とニュースレターで伝えている。■

横並びではないですが、各国の運用規模を考えると機種統一で合理的な運用をした方が費用対効果や相互運用が楽になりますね。ただしこれはF-35が宣伝通りの実力を発揮した場合で、ソフトウェア開発などまだ全部解決したわけではありません。

2018年1月24日水曜日

ステルス性能さらに引き上げる画期的な技術をBAEシステムズが実証


New Drone Has No Moving Control Surfaces

制御面がまったくない新型無人機

BAE Systems' MAGMA could lead to much stealthier warplanes

BAEシステムズのMAGMAは高性能ステルス機の先駆けになるか

New Drone Has No Moving Control Surfaces
January 11, 2018 David Axe

BAEシステムズはマンチェスター大学と共同で無人実験機の初飛行に成功した。同機には可動式制御面が皆無だ。BAEシステムズが2017年12月発表した。
全幅12フィートのジェット推進無人機はMAGMAの名称でBAEが今後開発する高性能ステルス機につながる。制御面を廃止したことで機体のレーダー探知性が大幅に減る。
ラダー、エルロン他通常の制御面を廃したMAGMAは機体制御に二つの新技術を使う。一つが主翼への排気循環で「機体エンジンの排気を主翼後縁に吹きつけ操縦制御する」とBAEシステムズは説明。
もうひとつが流動推力偏向 fluidic thrust vectoring で「空気を吹き付け偏向させて飛行方向を変える」
「こうした試行は今後の機体につながる」とMAGMA開発をマンチェスター大学でまとめたビル・クロウザーがBAEシステムズの報道資料で述べている。「目指しているのは真の意味で画期的な機体」
初飛行したMAGMAは小型垂直フィン二枚で機体を安定させている。だがフィンでレーダー探知される可能性が大で、暫定的につけているだけだ。「今後の飛行実験で全く新しい飛行制御技術を試し究極の狙いはフィンもなく可動制御面が皆無の機体として飛行させること」とBAEシステムズは説明している。
MAGMAはBAEシステムズが目指す可動制御表面がまったくないUAVとしては二番目の機体だ。2010年に同社はクランフィールド大とデーモン小型無人機を製造している。これも排気を吹き付ける機体制御を目指した。MAGMAはこの流れをくむ次の機体だ。
航空宇宙業界では機体から可動式制御面の廃止が目標で、レーダー断面積RCS縮小に加え、制御面の重量、機構の複雑さ、製造コストを省く効果が期待される。
ボーイングの研究員ジョン・ケリーが可動式制御面がステルス機開発で障害だと発見したのは1975年だった。「制御面の廃止が低RCS設計の課題だ」とケリーが社内論文で書いていた。
ケリーは表面を滑らかにした機体と可動式制御面を有する機体を比較した。表面が滑らかな機体のRCSは0.1平方フィートだったが、可動式制御面付きの機体は5平方フィートだった。

現在のステルス軍用機であるB-2、F-22、F-35は低探知性モードで制御面を管理しレーダー反射を最小限に抑える。MAGMAでBAEシステムズは制御面が少ない、さらに全くない機体の実現を目指し、ステルス効果はさらに増える。■
MAGMA初飛行の様子

グアム島付近に海中センサーを設置した中国の狙いはもっと大きい戦略の一環であることを見逃してはならない

China Reveals It Has Two Underwater Listening Devices Within Range of Guam 

グアム近辺に水中聴音機二基を設置したと中国が明かす

The sensors are officially for scientific purposes, but they could just as easily monitor submarine movements and gather other intelligence. 

公式説明はが学術目的だが、潜水艦の動向他情報収集に転用できる



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 BY JOSEPH TREVITHICKJANUARY 23, 2018
国政府が水中センサー二基を米領グアム島と南シナ海の中間に設置したと発表。公式には学術用としながら海中聴音装置は同時に米国他の潜水艦の動向を監視するのにも使われそうで同時に通信傍受の可能性も出る。
 中国科学院から聴音センサー二基を設置したとの発表が2018年1月に出たが、実は2016年以来稼働中とサウスチャイナモーニングポストが伝えている。うち一基はマリアナ海溝の南端チャレンジャー海淵に設置され、もう一基はマイクロネシア連邦ヤップ島近くに設置された。ともに有効探知距離は620マイルとグアムや米軍のアプラハーバー基地をカバーする。
 サウスチャイナモーニングポスト記事では中国科学院の深海調査通信部門トップが「深度が大きければそれだけ静寂になり捉えたい信号に専念できる」と述べている。
 公式にはそうした信号とは海底地震、台風他自然現象や海中生物のものとされている。海中地震は津波を発生するためこうしたセンサー設置は早期警戒体制の強化という観点から大きな意味がある。
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The PRC gov. has placed powerful acoustic sensors in the Challenger Deep of the Mariana Trench, as well as near the island of Yap, ostensibly for scientific research, but more likely to spy on US sub.s & to intercept US underwater military signals to Guam.https://sc.mp/2DwTv4z
 同時に同じセンサーでは潜水艦の航行もとらえてしまう。グアム近辺と言う戦略的な位置関係から米海軍の潜水艦、水上艦の動向をとらえるのに最適で軍事面でも早期警戒や情報収集に有効に活用できる。
 グアム起点の潜水艦の動向を監視できれば大きな意味が生まれる。潜水艦は探知されないことで抑止力が生まれ、突然の攻撃を実施したり情報収集に効果を発揮する。
USN
ロサンジェルス級攻撃型潜水艦USSキーウェストがグアムに入港している。同艦は4か月の哨戒を追えたばかりだ。
 さらに中国の水中聴音装置は海中通信回線のやり取りを盗聴できるのではないか。サウスチャイナモーニングポスト記事ではグアム島周辺には水中マイクロフォンのネットワークがあるといわれ、潜水艦は潜航したまま米海軍司令部と連絡できる。
 盗聴も可能だろう。2008年に米海軍がレイセオンを選定しDeep Sirenと呼ぶシステム開発を始めた。これは小型ブイで衛星信号を音波に代えて潜航中の潜水艦で長距離通信ネットワークを利用可能としようとするものだ。
 こうした伝達方法で機微情報は当然暗号化されるはずだが、それでも中国側に大量の情報を提供することになる。大量のやり取りから標準行動のパターンが解明されるかもしれない。また有事の際に通信が脆弱にさらされるかもしれない。
 この発想は前からある。冷戦中に米国は広範な海中監視網を構築しソ連潜水艦の動向を監視した。これは音響監視システム(SOSUS)と呼ばれる。これ以外に水上艦のえい航式ソナーアレイや情報員の情報も併せて統合海中監視システム(IUSS)と呼ばれ、今日でも稼働中だ。
 中国が自前で同様の能力を整備したことが重要で、南シナ海の広大な海域で外国軍の動きにたがをはめようとしていることに注目すべきだ。国際仲裁裁判所で中国政府の主張が毎回斥けられても中国は事実上の占拠を続けており、人工島の上に軍事施設数か所を設置している。
DOD
南シナ海での中国他諸国の拠点を示す地図
 米国は同地域で航行の自由作戦FONOPSとして艦船航空機を送りこんでおり、国際水域での作戦行動は自由だと主張する。2018年1月にもアーレイ・バーク級駆逐艦USSホッパーがスカボロ礁近辺を通航し中国から自国領土を防衛するためいかなる手段でも取るとの警告が出たばかりだ。
 中国は南シナ海で統合防空沿岸防衛体制を整備中で接近阻止・領域拒否をめざすが、潜水艦の航行だけは手が打てなかった。
 一方で中国海軍(PLAN)の潜水艦部隊が近代化中とはいえ、水上艦部隊の進展と比べると精彩を欠いている。また運用も沿海部に比重を置き、長距離展開はまだ少ないのが現状だ
QIAO TIANFU/COLOR CHINA PHOTO/AP
中国の091型漢級原子力攻撃型潜水艦
 そこで中国は別の方法で外国潜水艦が同地域を自由に航行するのを制する手に出た。2017年2月に中国は海上通行安全規則の改正を発表し潜水艦は浮上航行するものとし国旗を表示して南シナ海での通航を求めるとした。中国は南シナ海を自国領海と見ており、同時に関係当局に航行の届け出を求めている。国際海洋法から見てこの措置の根拠には怪しいものがあり、中国官憲も新規則の実施の乗り出す兆候はない。
 新規設置の聴音装置で力のバランスが容易に変わってもおかしくない。実際に中国はその方向を目指しており、2016年に国有企業中国国家造船が「水中の万里の長城プロジェクト」を発表し南シナ海でのPLANを支援するとしていた。
 2017年5月には別の中国調査機関から南シナ海・東シナ海に水中センサー網を構築するとの発表が出た。後者では日本との領土問題がある。ここでも表向きは学術データ収集だが、当局も「国家防衛」能力も組み込んであると認めている。
CCTV
中国国営テレビが2017年5月に放映した際のスクリーンキャプチャーで南シナ海・東シナ海に設置する水中センサー試作機が写っている。


 全部実現すると相当の規模となり前出の調査網だけでも20億元(3億ドル)と相当な規模になり中国政府は意図的に低めの評価をしているようだ。
「水中の万里の長城」の別の側面は安上がりになりそうもない。だが水中監視網で状況を一変させ戦略的優位性を太平洋で確立できるのであれば正当化できる範囲だ。

回のグアム近くでのセンサー設置の報道は改めて中国が西太平洋で兵力投射を強化する姿勢を崩しておらず、外国の軍に対抗する力の整備に向かうことを強く裏付ける。特に米国を意識しており、自国領土だと解釈する地域周辺で米国がわがもの顔で航行することに我慢がならないのだろう。■

★ステルス戦闘機が防空網を突破できなくなる日がいつか到来する

Could Russia's S-400 Do the Unkthinkable: Kill a F-22, F-35 or B-2 Bomber?



ロシアS-400防空ミサイルはステルス機に有効対応できるのか




January 18, 2018


シア防空体制は接近阻止領域拒否 (A2/AD) 能力の整備で強力になっているといわれうがその実効性は一部専門家が呼ぶ「鉄のドーム」と言われる突破不可能なものとほどとおい。
 たしかに多層構造で統合化された防空体制により第四世代機での侵攻は高価につくことがあるが、逆に防衛体制がアキレス腱にもなる。ロシア防空体制は第五世代ステルス機対応に苦慮しているのが現状だ。
「第五世代機を投入する敵に対して有効な防空体制を確立するためロシアはステルス機対策を真剣に行う必要がある」と述べるのはマイク・ホフマン(ロシア軍事問題を専門とするCNAコーポレーション研究員)だ。「ロシアの高性能レーダーやミサイル他装備は大量データを活用して西側機を区別します。将来は同様の装備が中国、イラン他に拡散するので侵攻して生存するのは大変なことになるでしょう」
 コフマンは高性能ロシア製防空装備のS-300やS-400さらに今後登場するS-500ファミリーには低視認性機材の探知追跡能力が備わると指摘。ロシアの早期警戒レーダーはVHF,UHF、Lバンド、Sバンドで作動し戦術機の大きさならステルス機も追跡できるが、探知精度が高くないことが問題だ。「ロシアは低帯域早期警戒レーダー整備に注力しており、一部は高性能とはいえ全体として低視認性機材に対応できるか疑問だ」(コフマン)
 ステルス戦術機で火器管制用で高精度で追尾が可能な高周波のC、X、Kuバンドに対抗するには物理上の限界がある。業界、空軍、海軍関係者は一様に低視認性機材では「段階的変化」が必要だとし、おそらくSバンド上位部分で共鳴現象を発生させる波長への対応を意識している。
 共鳴現象が発生するのは機体の一部が特定波長の八倍未満の場合だ。小型ステルス機では機体表面のレーダー吸収剤の厚みが二フィートも確保できず一部周波数対応にとどまっている。つまりステルス戦術機は低周波帯域のSバンド、Lバンド等で探知されることになる。大型ステルス機のノースロップ・グラマンB-2や開発中のB-21には共鳴現象を発生させる機体上の特徴がなく低周波レーダーにも有効だ。
 ロシアは低視認機探知の課題解決に引き続き取り組むが、解決策を確保したか怪しい。ロシアが多層防空体制に重点支出するのはクレムリンが米航空戦力を地上部隊への最大の脅威と認識しているためだろうとコフマンは見ている。ロシアは引き続きこの分野に多大な支出をしている。
 ロシアはステルス技術対抗策数々を試行している。防空ネットワークにレーダー多数を運用し同一機体を各角度から探知することもある。だがこれが功を奏するかは大きな疑問だ。「機体探知できたとしても、あるいは一部分のみ探知できても精度が低ければミサイルを標的近くで運用するのが課題だ」(コフマン)
 ロシアや中国はまだこの問題を解決していないが、ステルスはゆくゆくは優位性を失う。さらにモスクワが防御と攻撃の絶え間ないいたちごっこの中でステルス機対策を確立するのは時間の問題ともいえる。
Dave Majumdar is the defense editor for the National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.
This first appeared last year.

Image: Creative Commons.

小型機の制約で全域ステルス性能が実現できなければB-2サイズの大型機しか有効な「戦闘機」になれなくなりますね。

2018年1月23日火曜日

シンガポールのエアバスA330 MRTT一号機引き渡し予定が明らかになった


Singapore reveals delivery date for first Airbus tanker

シンガポールがエアバス給油機一号機の引き渡し予定を発表


フランス空軍C-135FRから空中給油を受けるオーストラリア所属のA330 (Airbus Defence and Space)

Defense News By: Mike Yeo 
ンガポールはエアバスディフェンスアンドスペースA330多用途給油輸送機の初号機を今年後半に受領し、同国空軍の創立50周年に合わせる。
 シンガポール国防省の報道発表では9月1日の空軍創設記念日にA330 MRTTが姿を現すという。
 空軍報道官はDefense Newsに機体到着日は未確定だが、期日が近づけば詳細発表できると伝えてきた。
 同機はツールーズ(フランス)で2017年11月に撮影されており、給油仕様改装後の性能評価に入っていた。その時点で同国空軍の指定色の塗装は未実施だった。
 シンガポールはA330 MRTTを6機2014年3月に発注し給油能力の拡充を図る。現在はボーイングKC-135Rストラトフォートレス4機を運用している。各機は米空軍供用後に保管されていた機体を購入したもの。
 シンガポール空軍はロッキード・マーティンC-130B/Hハーキュリーズ輸送機10機のうち5機を給油用にも使用できるよう改装したが現在は給油任務は実施していない。空軍にプローブ方式給油に対応する機材がないためだ。
 引き渡しを待つA330 MRTTはMRTT高性能版仕様で空力特性、機体構造、エイビオニクスで改良を施す。フランスと韓国も同型機を受領する。
 A330 MRTTはシンガポール空軍のみならず陸軍も海外演習で支援することになりそうだ。300名あるいは75千ポンド貨物を輸送、あるいは245千ポンド燃料を補給する能力を発揮する。

 シンガポールは国土が狭いため訓練場所を海外に確保しており、ボーイングF-15SGイーグル、ロッキード・マーティンF-16C/Dファイティングファルコン両戦闘機がオーストラリア、タイ、インドに定期的に展開して訓練している。■

★新型空母フォード級への期待 

 



Do Russia and China Stand Any Chance Against the Navy's New Aircraft Carrier?

ロシア、中国は米海軍新型空母を撃破できるのか
January 21, 2018

2009年、米海軍が35年ぶりに新型空母の建造を開始した。前大統領で海軍航空士官だったジェラルド・R・フォードの名前を冠したUSSフォードは21世紀の原子力空母だ。技術革新を盛り込んだ同艦は建造で遅延を余儀なくされたが、米海軍の超大型空母部隊を世界最大かつ最先端の存在として当面継続させる。
USSフォードは高度なまで成功したニミッツ級空母の後継艦となる。ハンティントン・インガルス工業のニューポートニューズ造船所で建造が2009年に始まり、フォード級はニミッツ級と多くの面で類似し、全長は1,106フィートでニミッツは1,092フィートだ。満排水量も約10万トンと同じだ。ブリッジの配置、カタパルト4本のレイアウトも共通する。
動力源は新設計AB1原子炉二基でベクテルが製造し、従来の海軍用原子炉がジェネラルエレクトリックウェスティングハウスが作ってきたのと異なる。二基の原子炉で600メガワットの発電容量があり、これだけの規模でカリフォーニア州パサデナの各家庭に供給できるほどだ。
これだけの電力が必要なのは30ノット余という最高速力を得るだけでなく電磁航空発艦システム(EMALS)があるためだ。新システムで機体への負担は減り供用期間が延びる以外に旧式より25パーセント増の出撃が可能となる。
着艦にも新方式を使う。高性能拘束装置(AAG)で水圧タービンと誘導電動機で着艦時の機体を静止させる。AAGは従来の拘束装置より信頼度が高く機体の負担も減る。
フォードは最先端のデュアルバンドレーダー(DBR)を搭載しXバンドのAN/SPY-3イージスレーダーとSバンドの大量監視レーダーを組み合わせる。DBRは多数のミサイル・機体を同時に探知追尾可能で発展型シースパロウミサイル(ESSM)を発射する。
さらに自艦防御用にMk. 29ミサイル発射機二基があり、各ESSM8発を搭載する。またローリングエアフレイムミサイル発射機二基もある。ファランクス近接兵装システムで局地防御を、さらにM2.50口径機関銃4基を搭載する。発電容量に余裕がありレーザー兵器の後日搭載が予想される。レーザー防御では電力ある限り弾薬数の制約と無縁だ。
搭載航空機は10機ないし12機のF-35C共用打撃戦闘機二個飛行隊、やはり10機ないし12機のF/A-18E/Fスーパーホーネット二個飛行隊、EA-18Gグラウラー電子攻撃機5機、E-2Dホークアイ早期警戒機4機、C-2グレイハウンド空母輸送機二機となる。またMH-60シーホークヘリコプター8機を運用する。ここにMQ-25スティングレイ給油機兼情報集無人機が加わる。さらに将来は現在企画中の第六世代戦闘機がスーパーホーネットと交替する。またジョン・マケイン上院議員の主張が通れば新型長距離攻撃用無人機が導入される。またV-22オスプレイがC-2グレイハウンドに代わり輸送任務に就く。
フォード就役で海軍の空母は全11隻に戻る。海軍の空母部隊は議会が定めた条件を満たす必要がある。米国法典第5062条には「海軍戦闘艦には空母11隻を下回らないこと」とある。現状では海軍は同条項の執行猶予を求めている。
二号艦USSジョン・F・ケネディが第35代大統領の名前を冠しニューポートニューズで建造中で2020年就航予定だ。三号艦エンタープライズは来年起工し2020年代初頭に艦隊に編入される。ドナルド・トランプ大統領が海軍作戦部長とともに350隻から355隻の海軍力の実現に向かう中でフォード級空母四号艦の建造もゆくゆく検討課題になろう。■

Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009, he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.

★F-35Bで台湾防衛力を増強が実現する

 

The F-35: How Taiwan Could Really Push Back Against China

F-35で台湾に中国を撃退する能力が実現する
January 18, 2018


国の国家安全保障戦略(NSS)が初めて台湾について明確に言及している。NSSでは「台湾と強固なつながりを維持するが『一つの中国』政策に準拠し、台湾関係法に定めた米国の責任を果たし台湾の正当な防衛ニーズに答え軍事行動を抑止する」とある。
NSSの台湾に関する表現は台湾との関係強化へ関心が議会で高まるのと平行している。昨年夏にトム・コットン、コーリー・ガードナー両上院議員が台湾安全保障法案を提出した。成立しなかったが、法案は二国間交流、訓練、艦船寄港を盛り込んでおり、この内容が国防予算認可法(NDAA)に入りトランプ大統領は2017年末に署名している。
こうした流れは台湾の独立維持が米国や同盟国の安全保障上で東アジアで重要要素と理解されているためだ。台湾は中国の太平洋進出を阻む位置にあり、日本やフィリピンの防衛にも特に重要だ。
台湾は米中間のイデオロギー競合で十分活用されていない。台湾は中国人でも自由かつ民主的で成功できることを証明している。
蔡英文総統の2016年選挙勝利から北京はイライラを募らせており、総統が「一つの中国」を認めていないことが特に気に入らない。このため中国はさらに圧力を台湾にかけ、台湾経済を締め上げる政策をとり、国際社会で台湾を孤立させようとし安全保障でも揺さぶりをかけている。
今月初めに中国は一方的に台湾海峡上空に民間航空路四本を設定し、台湾の安全保障立案部門は中国軍が軍事活用することを恐れている。台湾国防省から中国軍機が台湾の周囲を年間15回飛行したと報告したこともあった。中国は台湾を主権国家と認めていない。
台湾国防軍はもちろん中国の動きを監視してスクランブル出撃で本土から飛来の機体を追尾している。だがPLAが活動を高めることで台湾航空部隊にストレスも高まっており、機材老朽化で飛行安全も懸念材料で部品確保も大変となっており機体の負担が目立ってきた。
台湾が米国の東アジア防衛面で重要な立場にあることから、台湾の問題は米国の問題にもなる。では中国が空の上での優位性を高める中で何ができるか。
まずトランプ政権はF-16C/D新機の台湾向け販売を認めずF-16A/Bの改修としたオバマ時代の決定を覆すべきである。これでは今必要な機体が相当の長く使えなくなる。改修も必要で有益だが新規生産のF-16C/Dは比較的短期に確保でき、しかも有益に活用できる。台湾には高性能機材とともに機数を増やす必要がある。
だが現況の空軍力の不均衡を真に解決するにはワシントンが台湾への思考方法を大幅に変える必要がある。そこでF-35B以上に効果が出る機材はない。ステルス性能で敵大群と遭遇しても残存可能であり、電子戦能力の高さで敵レーダー等の位置を割り出し妨害でき、友軍F-16による攻撃が効果をあげる。さらにF-35Bの単距離離陸垂直着陸性能で基地の確保問題が解決できる。中国の巡航ミサイル、弾道ミサイルが精度を上げていることを考えるとこれは必要な性能だ。機材の分散配備で残存性も上がり、優れた策略になるが通常機ではこれは困難だ。
台湾がF-35Bを調達するには時間がかかる。また決定も先送りしたほうがよいだろう。一方で米海兵隊が台湾周辺でF-35Bを使った演習を実施し、実際に台湾本島で離着陸を試みるのが良いだろう。演習で同機の有用性が証明されるが、それ以上に北京やその他同盟国へ米国の台湾防衛姿勢を示すことになる。F-35を台湾に展開すれば中国空軍も海峡上空から台湾本島までの優位性は確立できなくなる。
こうしたステップを踏んでトランプ大統領と議会は前政権が台湾防衛の重要側面を無視してきたことを是正し台湾海峡に安定をもたらせるようになる。NSS、NDAAがともに紙の上だけでなければ、文言は具体的かつ効果の上がる手順で実施されねばならない。F-16を新造しF-35を引き渡すことが台湾防衛で着手すべき重要な一歩となる。■
Michael Mazza is a research fellow in foreign and defense policy at the American Enterprise Institute, while Gary Schmitt is co-director of AEI’s Marilyn Ware Center for Security Studies.

Image: Flickr.

日本、台湾、韓国(?)ともに事情が違いますが、F-35Bに関心が集まりそうですね。