Japan's Stealth Fighter: What Happened?
日本のステルス戦闘機開発はどこまで進展しているのか
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February 12, 2019 Topic: Security Region: Asia Blog Brand: The Buzz Tags: JapanStealthF-22F-35MilitaryTechnology
2016年4月22日に、赤青のアクセントをつけた白塗装のジェット機が名古屋空港を離陸した。この時点で日本はステルス機開発で世界四番目の国となった。三菱重工業のX-2心神だ。
その二年後、当初予定のフライトテスト40回を34回で切り上げ心神は退役した。自衛隊は次世代ステルス戦闘機を完全国産開発するか輸入調達するかの厳しい選択に迫られ、報道を見る限り日本は後者に傾いているようだ。
ラプターが入手できず心神が生まれた
日本の自衛隊は他国の軍事組織と異なり自国防衛を想定し海空からの攻撃に対応する。中国が空軍力を整備し中距離弾道ミサイルや艦艇数を増やす中で任務は一層重くなっている。中国、ロシアの軍用機へのインターセプト出動は年間数百回に登る。中国に第5世代機のJ-20ステルス戦闘機が登場して航空自衛隊のF-15やF-2戦闘機の質的優位性が揺らぐ心配がでてきた。
21世紀に入る時点で日本はロッキード・マーティンF-22ラプター調達を希望していた。制空戦闘機では最高の機材と多くが見るラプターには性能相応の高額の値札がついていた。しかし、米議会が輸出を禁じ、ラプター生産ラインも完全閉鎖された。そこで航空自衛隊はF-35Aステルス戦闘機42機の調達に方針を変えたが、制空戦闘機としての性能はラプターに劣る。
技術研究本部は別個にステルス研究をしている。米テスト施設の利用を拒否され、ステルス機モックアップをフランスに搬送し、レーダー断面積測定をしたのが2005年だった。その11年後に三菱重工業がX-2として知られる先進技術実証機を発表した。日本はステルス機開発はこれまでに360百万ドル以上を投入し、協力企業220社に登り、X-2の部品点数中9割は国産調達だ。
X-2は縮小型で全長14メートル、翼幅9メートルにすぎない。実証機なのでこの大きさが許されたのであり、兵装は一切搭載できず、空虚自重は10.5トンしかない。
心神ではレーダー吸収塗装を用いず、非反射性のシリコンカーバイドとセラミックを使用し、バブル形状のキャノピーに特殊スズ合金を施した。さらに機体表面には不規則曲線を用いレーダー反射を抑え、尾翼も外側に鋭く傾けている。
防衛関係者は取材で「心神は10キロ先からだとカブトムシ程度にしか映らない」と述べている。このことを聞くと米軍関係者からF-35のレーダー断面積はゴルフボール程度だとの発言を思い出す。ただし、X-2のRCSはそこまで低区内と見る関係者もあり、実態は中程度のステルス性能だとする。
搭載するIHI製XF5-1低バイパスターボファンはアフターバーナー付きとして初の国産エンジンとなり、耐熱性に優れたセラミックマトリックス複合材とチタンアルミ合金を用いる。排気口にパドルがつき推力を三次元偏向させX-2は異例なほどの細かい挙動が可能だ。量産機ではパドルのかわりに排気口を可動式にしてRCSを下げている。
X-2搭載のエンジンは各5,500ポンドの推力しかないが、機体が軽量のためマッハ2まで加速するには十分でアフターバーナーを必要としないスーパークルーズが実現した。
心神には日本開発技術が他にも盛り込まれているという。現在の戦闘機は「フライバイワイヤ」制御で操縦するが、三菱は先に進み光ファイバーを採用し、伝達速度を早めつつ電磁攻撃に強靱となっている。また「自己修復型」制御も採用し、機体表面の損傷を探知すれば機体制御を自動的に補正するという。
実証機からF-3が生まれるのか
心神は技術実証用であり試作機として量産機開発を目指したものではない。また兵装以外にコンピュータや電子戦装備も大量に積む軍用機ではなく非武装であり機構は簡略になっている。
その本命が国産ステルス戦闘機で三菱F-3と呼ばれ概念設計段階にある。防衛省は大型双発ステルス機で長距離空対空ミサイル6発を機内搭載する機体の生産を2027年に開始したいと述べている。100機以上生産し、F-15JやF-4EJの後継機にしたいという。
コンセプト図は二通り公表されており、ひとつはF-22に似ており、もうひとつが無尾翼第六世代機のようだ。多機能レーダーを搭載し敵機の接近を探知する以外に電磁センサーや高周波兵器として敵の電子装備を破壊する機能も加わるのではないか。
ただし2018年4月にロイターが匿名の日本防衛筋複数の話として国産開発は棚上げし国際提携先を模索すると伝えた。
理由は費用であり、リスク懸念だ。国産開発の場合は初期費用だけで400億ドルと日本は試算しているが、日本の防衛予算総額が史上最高額の水準となったといっても2018年で460億ドルだった。
F-35では新技術導入の結果、予想に反してうまく機能せず遅延と費用超過を招いた例がある。既存技術を採用するほうが堅実だし、他国費用で技術が成熟化すればなお結構なのであり、ゼロから新型技術を導入した機材を開発するリスクを避けられる。
ラプター/ライトニングハイブリッド構想は?
日本政府は情報開示要求(RFI)をBAEシステムズ、ボーイング、ロッキード・マーティンの各社に発出し、共同開発の可能性を模索している。その中でラプターとF-35のハイブリッド版の開発案が浮上してきた。
そもそも日本がF-22を希望したのは制空性能が優秀なためでF-35を上回るためだし、航空自衛隊は空対空戦能力を重視する。しかしラプターは1990年代製のコンピュータを搭載し性能向上もままならず高額につくレーダー吸収剤(RAM)塗装を施している。一方でF-35では費用対効果に優れるRAMパネルを採用し、センサー、コンピュータも新型でネットワーク機能により情報を友軍内で共有できる。
そのため日本政府は新型機にF-35の新機能を盛り込みつつF-22の優秀な飛行性能を継承したいと考えている。
これが実現すれば究極のステルス戦闘機になるだろうが目が飛び出るほどの価格になるはずだ。ペンタゴン内部研究が漏れておりF-22生産ラインを再開し機内装備を一部更新した場合の初期費用は70ないし100億ドルで194機発注の場合で機体単価は210百万ドルになる。初期費用だけ見れば新型機を両型の技術を元にゼロから開発したほうがいい。米空軍も180機残る既存F-22の性能改修となればやる気がでるだろうが、F-35の予算が流用されるとなればロビーストが強硬に反対に回るはずだ。
そうなると心神をベースに三菱F-3を純国産機として開発する構想は予備対策だろう。日本政府としても国内生産とともにステルス技術を自国で管理できる方法のほうが望ましいはずだ。しかし、X-2にあれだけ注力したものの航空自衛隊は第5世代ステルス戦闘機は海外提携先と組んだほうがより安心して費用対効果にすぐれかつ迅速に実現できると結論づけている。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .