2022年2月22日火曜日

接近する日英両国の新型戦闘機開発を象徴するジャギュアープロジェクトに注目。

  

Jaguar sensor Credit: Leonardo UK Copyright.

 

 

日両国は防衛技術協力を延長し、2月15日に中核となる戦闘航空機用センサーの共同研究実施を決めた。両国は合意書に調印し、英国防省が万能無線周波数センサーuniversal radio frequency sensor技術で共同研究を展開する。同技術は多機能レーダーアンテナとも呼ばれる。

 

 

この高性能無線周波数システムのアンテナは静止中移動中を問わず、標的の位置を突き止め、相手の監視捕捉を妨害できる。▼同事業の契約はまだ成立していない。

▼このプロジェクトはジャギュアーJaguarと呼ばれ、4月からおよそ5年の予定で進むと英MoDが声明を発表した。

 

レオナルドUKが英国側の中心企業となると見られ、日本側企業は契約成立後に発表される。▼英日で1基ずつ実証装置を組み立てる。

 

英国防調達相ジェレミー・クインDefence Procurement Minister Jeremy Quin は今回の提携を航空戦闘での技術優位性維持に不可欠と述べた。▼「両国で高性能技術を実用化し、両国を今後長く防衛しつつ両国内での投資活動の結果として高い技術レベルの雇用機会が生まれる」

 

Wheelden Strategic Advisory(ロンドン)のコンサルタント、ハワード・ウィールドンHoward Wheeldonは今回の提携は英国がすすめる国際連合事業による第六世代戦闘航空機剤開発と軌を一にするものと述べている。▼「英国の今後の戦闘航空システム開発は国際提携にかかっており、日本がレオナルドと組んでジャギュア技術を開発するのは正しい選択だ」「ジャギュアは既存の方向の延長上に大きな進展をめざすもので、標的捕捉とともに敵の監視機能を妨害する。またレオナルドと日本企業がともにセンサー技術に取り組めば、世界トップクラスの技術が生まれるのは確実だ」

 

今回の事業は英日両国間で進む共同開発の一環となる。▼昨年12月にはロールス・ロイス他英企業が日本のエンジンメーカーIHIとの第6世代戦闘航空機用ジェットエンジンの実証モデル開発に合意した。▼英日両国とも新型戦闘機を開発中で2035年頃の実戦化をめざしている。

 

日本の新型機はF-Xと呼ばれ、三菱重工業が中心となり、ロッキード・マーティンが支援する。▼英国版の新型機はテンペストと呼ばれ、イタリア、スウェーデンが共同開発国になっている。▼今回の新型センサー技術開発合意はテンペスト搭載とは別だが、成果は日英両国の新型機に搭載される可能性がある。▼なお、MBDAの英法人が2014年から日本と共同新型空対空ミサイル(JNAAM)の開発にあたっている。

 

New warplane sensor team boosts UK-Japan defense agenda

By Andrew Chuter

 Feb 16, 04:04 AM


PLANがオーストラリア機へレーザー照射した事件の詳細。豪中両国は言葉の応酬。レーザーの普及で今後も同様の事件が発生か。ところで、南朝鮮によるレーザー照射事件はどうなったのか。

 中国艦艇とオーストラリアP-8ポセイドンで発生したレーザー照射事件をめぐり、中国がオーストラリア非難を始めました。The Drive War Zoneの記事をご紹介します


(メディア関係者の皆様へ。P8という機材は存在しないので、P-8と正確に報道してくださ瑠葉お願いします。C130も同様です)


AUSTRALIAN DEPARTMENT OF DEFENSE

 

ーストラリアと中国が言葉の戦争を始めた。オーストラリアとニューギニア間のアラフラ海で発生した事件が契機だ。オーストラリア国防省は中国人民解放軍海軍(PLAN)艦艇が王立オーストラリア空軍(RAAF)のP-8Aポセイドン哨戒機にレーザー照射したと中国を非難している。中国はオーストラリアが自国艦艇を嫌がらせし、付近にソノブイを投下したと非難した。

 

 

 オーストラリア国防省は先にこの事件を公式発表し、2月17日オーストラリア時間 1:35 pm に発生したとある。声明文ではRAAFのP-8がレーザー照射を受けたとあり、同機は艦艇数隻がオーストラリアの排他的経済推移域内で演習しているのを探知していた。

 使用されたレーザーの種類は不明だが、報道では「軍事仕様」とあり、大出力と暗示しており懸念を招きそうだ。レーザーには光学系装置やパイロットを一時的に盲目にする可能性があり、大出力レーザーの場合はともに完全に失明、機能喪失する可能性をはらむ。

 「このレーザーは人民観砲軍海軍の艦艇から照射されたと判明した」「中国艦が同機を照射したことは安全面で重大な事態を招きかねない。このような行為でオーストラリア国防軍隊員の人命が奪われかねない。このような行為は通常の軍の標準から逸脱したものだ」(オーストラリア国防省)

 オーストラリア国防省公表の画像にはPLANの071型ユーチャオ級揚陸輸送ドック艦井岡山Jinggang Shan052D型ルーヤンIII級駆逐艦合肥 Hefeiが随行する姿が見える。どちらの艦がレーザー照射したのかは不明だが、オーストラリア国防省は両艦はその後トレス海峡から珊瑚海に移動したと発表した。

 

AUSTRALIAN DEPARTMENT OF DEFENSE

オーストラリアが発表した今回の事件に至る中国艦の軌跡

 

 The Age 新聞によるとオーストラリア国防省には別の画像もあり、レーザーがP-8に照射された瞬間をアンザック級駆逐艦HMASアルンタが撮影しているとある。ただし、同写真の存在は確認できない。

 

AUSTRALIAN DEPARTMENT OF DEFENSE

オーストラリア国防軍が撮影した052D型ルーヤンIII級駆逐艦合肥

 

 これに対し、中国国防省も声明文で報道官Tan Kefei上級大佐がこの件に関する記者質問に答えた内容を発表した。

「オーストラリア発表は全く事実に反する。

「2月17日、該当のオーストラリアP-8対潜哨戒機がわが軍艦艇群付近の空域に移動し、最短でわずか4kmの距離だった。同機に対し中国艦艇は一貫して安全かつ標準的さらに職業軍人としての行動を国際法慣習に従い維持した」

 中国国防部発表の画像ではP-8が中国艦から撮影した形で写っており、またポセイドンが中国艦付近にソノブイを投下する様子も見える。ただし、こうした画像があってもソノブイが実際に投下されたと断定はできない。

 

CHINESE MINISTRY OF DEFENSE

中国国防省公表の画像でPLAN艦艇付近にソノブイが投下されたとの説明がついた。

 

 「我が方艦艇が撮影した画像からオーストラリア軍用機が艦艇に接近飛行していたことがわかる。またソノブイも投下されている。こうした悪意ある挑発行動は誤解や誤った判断が容易に繋がり、双方の艦艇、航空機、人員に危険となりかねない」(中国国防省)

 中国国防省の声明ではさらにオーストラリアが意図的に事実に反する情報を拡散して、虚偽の非難を中国に浴びせたとし、「即座にこのような挑発行為危険行為を止めるべき....両国並びに両国軍部間の関係全体に悪影響を及ぼすことのないようにすべき」とある。

 中国の言い分には矛盾がある。一方でオーストラリアのP-8が中国艦艇に「極めて接近」したとしながら、PLAN艦艇との最短距離は4キロだったとある。公表した画像にあるP-8(下)を見ると、撮影艦と同機の距離は相当あるのがわかる。

 

CHINESE MINISTRY OF DEFENSE

 

 さらに、同機へ照射したレーザーが軍事仕様だったかは別としてもあきらかに危険行為で法的な影響を招きかねない。それ以外にレーザーをこのように使うのは海上衝突回避規範Code for Unplanned Encounters at Sea (CUES)に違反する。同規範ではレーザーが人員あるいは機器に危害を与えかねないと規定している。

 実は中国軍が外国軍の機材にレーザー照射したのは今回が始めてではない。

 ちょうど二年前に前回の事件が発生した。米海軍は052DルーヤンIII級駆逐艦が軍事仕様レーザーをP-8Aに照射したと非難した。同機はグアム付近を飛行していた。

 2018年4月にはPLAがジブチで米軍機を標的にレーザーを数回に渡り照射したといわれる。ペンタゴン発表ではC-130のパイロット2名が「軽度」の障害を軍事仕様レーザーにより受けたと発表していた。これを重く見た米国は外交チャンネルで中国に抗議した。

 オーストラリア軍に今回のような中国軍からのレーザー照射は前例のない事態だが、携帯レーザーが中国の海上民兵からオーストラリア軍ヘリコプターに照射された事例が2019年5月に南シナ海で発生している。

 レーザー妨害手段は広く普及しており、米海軍も導入し、各種センサー機能への妨害効果として、水上艦、航空機、無人機や対艦ミサイルへの効果が懸念となっている。今後も今回のような事件が発生してもおかしくない。

 オーストラリアの今後の外交政策ならびに戦略目標で中国の軍事脅威は明確に認識されている現状で、今回の事件は中国の強硬な姿勢の表れと認識され、今後の豪中関係の方向で議論を呼びそうだ。

 さらに事件の舞台がオーストラリア本土に近い海域であったことからPLANがいっそう大胆に行動していえることがわかる。実際にオーストラリア国防省公表のPLAN艦艇写真を見るとオーストラリアの北方地方にかなり近い地点で活動していたことがわかる。

 

AUSTRALIAN DEPARTMENT OF DEFENSE

2月18日、PLANの071型揚陸輸送ドック艦井岡山がトレス海峡を通過した。

 

 

 ただし、PLAN艦艇がオーストラリアEEZ内で活動するのはまったく合法的である。だがオーストラリの「裏庭」で危険な結果を招きかねないレーザーを照射した意味には腹黒い中国軍の活動は広いアジア太平洋だけでなくオーストラリア本土沿岸周辺にもひろがっていることをあらためて気づかせてくれるものがある。■

今回の事件が今後どう展開するか予断を許しませんが、日本海で発生した南朝鮮海軍によるレーザー照射事件はまだ解決していません。同国には深い闇がありますが、新大統領誕生で意外な展開になるかもしれませんね。しかし、中国、朝鮮ともに兵員が傍若無人な行動を取ることが多く、規律という概念が大きく違うのかなと思いますし、公表内容を見ると事実という概念も違うようですね。

 

Beijing Scorns Australia's Claim That P-8 Patrol Plane Was Targeted By Chinese Warship's Laser

BY THOMAS NEWDICK FEBRUARY 21, 2022

2022年2月21日月曜日

米海軍作戦部長の思い描く近未来の艦隊像

 

MANTAS T-38 水上艦艇が沿岸警備艦USSスクォール(PC 7)と並走している。アラビア湾、 Dec. 4, 2021. U.S. ARMY / SGT. DAVID RESNICK

 

 

米海軍は無人艦艇運用の専門階級を創設しそうだ。

 

母と大型無人艦が並走する姿が5年以内に実現する。海軍トップの構想どおりなら。

 

 

2027年か2028年に「あるいはそれより早く」、マイク・ギルディ海軍作戦部長は大型中型無人艦艇を空母打撃群や揚陸即応部隊に編入したいとする。

 

初期段階の無人艦運用は「完全無人体制でなくてもよい。最小限の人員を配置する」と同大将は2月16日報道陣に語った。「はいはいから歩き走る段階に移行したい」とし、「2030年代に実用化する」と述べた。

 

鍵を握るのはテスト多数と試作型を可能な限り地上施設とシミュレーターで完結させることだとギルディ作戦部長は見ている。施設のひとつがフィラデルフィアにあり、「投入をめざす仕様で運転し、長期にわたり試す」「洗練させていく。機能しない部分は取替え改良する。結果として知見が増え、導入可能な装備品となる」と述べた。

 

同じ方法は無人装備品以外でも使っていると作戦部長は述べた。近年の新型水上艦事業でトラブルが続いた。沿海域戦闘艦、ズムワルト級駆逐艦、フォード級空母があったが、建造が始まるコンステレーション級フリゲート艦、コロンビア級弾道ミサイル潜水艦建造に応用する。海軍は「革命的と言うより進化的な変革を実現したい」とし、問題連発で議会の怒りを呼んだ従来の流れを変えたいとした。

 

これと別にギルディ作戦部長は柔軟かつ信頼性に富む無線ネットワークで無人艦艇と打撃群艦艇を結ぶのが重要要素だと説明。海上ネットワークにProject Overmatchの名称がつき、各種通信手段で自動的に接続を実現するのは、携帯電話が家庭内wifiから外部セルラーネットワークに自動的に切り替わるのと似ている。各艦艇で各種データを使い、最適な通信系統を組み合わせ移動や運用を制御するとギルディ大将は述べた。

 

4個空母群で新型ネットワークの搭載が始まる。このうち最初の空母群での準備状況は「予定通り」とギルディは述べ、今年末か来年初めに実施するとした。次の段階は残る空母打撃群、揚陸即応部隊への搭載で、大規模艦隊演習に応用することだという。

 

ギルディ大将によれば米海軍は無人装備運用を行う特別下士官階級を創設し、アプリケーション群を整備していくという。■

 

Navy Chief Sees Robot Ships Alongside Aircraft Carriers Within Five Years - Defense One

The service may create a new enlisted specialty to operate them.

BY BRADLEY PENISTON

DEPUTY EDITOR

FEBRUARY 16, 2022 08:07 PM ET

 

 

 


F-22生産終了の決断は正しかったのだろうか。

 

 

F-22ラプターの生産中止決定は正しかったのだろうか。生産終了から10余年だが、歴史の審判は分かれている。

 

1990年代の冷戦終結後、米国航空戦力は頂点にあった。戦闘機材数が世界最大だけでなく、当時唯一の第五世代戦闘機F-22ラプターの生産が始まっていた。だが2009年に米政府は同機へ背を向け、わずか187機で生産を終了する決定を下し、最終機は2011年に完成した。一体何があったのか、F-22生産終了の理由とは何だったのか。

 

F-22が今も世界最高峰の制空戦闘機であることに変わりない。ただ、開発の長期化が問題で、同時に想定敵たるソ連空軍が弱体化したのも想定外だった。

 

F-22は時事問題にも直面した。イラクやアフガニスタン戦で経済負担が増えた中、単価300百万ドルの同機は政府に維持できない水準と写った。不況といってもよい2008年に始まった景気後退が2010年まで続いたいことも背景にあった。

 

 

 

ラプターの興亡

 

F-22の誕生は1980年代初頭にさかのぼる。米空軍の制空戦闘機の優位性を維持すべく、F-15Cイーグルの後継機の検討が始まった。1990年に入り、ノースロップYF-23とロッキード・マーティンYF-22が飛行実証で比較され、YF-22が残り、F-22ラプターと改称され、これからの米空軍力の中心として期待を集めた。

 

空軍は750機を2620億ドル(機体単価35百万ドル)で調達する見込みだったが、1990年に冷戦は実質的に終了し、ジョージ・H・W・ブッシュ政権は648機に縮小させた。1997年には339機に、さらに2003年には277機にまで削減された。2009年に187機とされ、生産ラインを閉鎖することとなった。

 

実戦配備への道のりも長くなった。F-22を生んだ高性能戦術戦闘機事業は1981年に始まった。ラプター初飛行は1990年で、初期作戦能力の獲得は2005年だ。比較するとF-15イーグルは設計案採用から初飛行まで7年で実現しており、初期作戦能力獲得は初飛行から4年後のことだった。

 

いいかえるとF-22開発はF-15の二倍の時間がかかったことになる。この間にソ連は対抗相手の超大国から転落し、1991年に解体してしまった。強力なソ連空軍も各共和国に分散し、新型戦闘機開発は止まり、既存機改良にとどまった。1990年代の経済低迷中は必要な飛行時間さえ稼げないパイロットが多数となり、F-22開発を急ぐ理由が消えた。無用の長物と呼ばれるのを避けるべくF-22に空対地攻撃能力も付与されることになった。

 

F-22はイラク・アフガニスタン戦の犠牲になったといえる。長期化した戦役の費用は巨額になり、当時は米国に真っ向から対抗する超大国が消えたこともあり、大国を想定したF-22への支出を正当化できなくなった。F-22はイラク、アフガニスタンともに投入されなかったが、実戦を展開する中で予算をめぐる戦いでよく取り上げられた。F-22予算のため地雷に強く待ち伏せ攻撃に耐える地上車両の調達が犠牲になったとされ、イラク、アフガニスタンの地上戦で多大な犠牲が生まれたと非難の的にされた。

 

開発長期化でF-22は間接的ながらF-35共用打撃戦闘機との競合に直面した。両機は異なる任務を想定した機体ながら、F-35は同等あるいは場合によってはF-22を上回る性能を低水準経費で実現した。F-22終了では当時の国防長官ロバート・ゲイツが大きな影響力を示したのが明らかだ。ゲイツはF-35を拡大すればよいとし、2025年までにF-35の1,700機調達を想定した。実際には費用超過との遅延により、この実現はできなくなっている。

 

とどめを刺したのは2008年に米経済が大不況以来最悪の経済危機に突入したことだ。2009年のGDPは8%縮小し、F-22生産終了が決定された。不況は2010年まで続いたが、大国間戦向けの装備品は後回しにし、展開中の戦闘に対応できる装備に集中すべしとの圧力が高まった。

 

生産終了は誤った判断だったのか

 

F-22事業の終了後、評価は分かれている。一つには同機事業が終わり、予算を戦術用装備の喫緊の課題にまわせたとする。他方で世界は再び一変し、中国やロシアの空軍力が大幅な近代化を受け、前に増して強硬な姿勢を世界に示している。第五世代機も中国のJ-20、FC-31、ロシアのSu-57と三機種が登場し、米国の航空力を脅かす存在になっている。各機ともに2009年には存在しておらず、F-22生産終了の決断を批判する向きは国防総省は大国間戦の抑止につながる装備を犠牲にして戦術的決断を下したとし、このままでは悲惨な結果は避けられないと主張している。

 

F-22には数々の優秀な性能が秘められているが、開発期間が長引いた中、時事問題によりかえってリスクが増えたといってよい。海軍の沿海域戦闘艦も開発開始後10年たっても57mm砲一門の搭載のままで同じ方向に向かっている。素晴らしい装備品となる期待にもかかわらず短命に終わった例はF-22以外にもあり、今後も登場するだろう。■

 

Here's Why the F-22 Raptor Went Extinct

November 18, 2021  Topic: F-22  Blog Brand: The Reboot 

by Kyle Mizokami

 Tags: F-22 RaptorDefenseTechnologyFighter JetsU.S. Air ForceMilitaryStealth

 

Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.

This article first appeared a few years ago and is being reposted due to reader interest.

Image: Reuters


2022年2月20日日曜日

ポーランド向けM1エイブラムズ主力戦車最大250両の販売案件にGO。

 

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3RD ARMORED BRIGADE COMBAT TEAM,—PUBLIC DOMAIN

 

ーランド陸軍の戦力が大きく強化される。米国務省が総額60億ドルで M1A2SEPv3 エイブラムズ主力戦車最大250両の売却を承認した。成立すれば、米製エイブラムズ戦車がドイツ製レオパルド2とポーランド陸上軍で供用される日が来る。

U.S. ARMY/SPC. HEDIL HERNÁNDEZ

第一歩兵師団第一装甲連隊戦闘チームの第34装甲連隊第二大隊所属のM1A2エイブラムズ戦車がM256 120mm 平滑砲で夜間火力演習に加わった。ポーランド、コノトップ演習地。 January 28, 2022.

承認日付に意味がある。冷戦後で東西の緊張が最大となり、ロシアによるウクライナ侵攻の脅威が現実になりかねなず、NATO、ロシア双方で東欧での部隊増強が進んでいる中での承認だからだ。

海外軍事販売承認は昨日のことで、米国防安全保障協力庁(DSCA)が米議会に通知を出した。案件の中心は最新 M1A2SEPv3 エイブラムズ戦車250両に加え、M88A2 ハーキュリーズ装甲回収車両26両、M1110共用強襲橋梁(JAB)17も含む。このうちM1110はM1エイブラムズの車体を利用し、M88A2は1960年代の戦車が原型。

その他の装備品について以下列挙されている。

AN/VLQ-12 CREW Duke対IED装備250、M2 .50口径機関銃276、M240C 7.62mm機関銃500、AGT1500ガスタービンエンジン15、120mmM865標的演習用円錐安定機能付きサボ追尾弾(TPSCDS-T)9、168、120mmM1002標的演習用多用途追尾弾(TPMP-T)4,562、120mm M830A1高性能爆薬対戦車(HEAT)TP-T弾13,920、120mm XM1147XM1147高性能爆薬多用途追跡弾6,960。

さらに以下を含む。前方修理装備、トレーラー搭載発電機、共通遠隔運営兵器操作低視認型 (CROWS-LP)、通信装備、GPS受信機、弾薬類、予備修理部品、特殊工具試験装置(STTE)、技術マニュアル出版物、修理技術訓練装置、砲手訓練装置、操縦者訓練装置、新型装備訓練装置、米政府並びに契約企業による技術兵站活動専門家支援、その他関連補給活動等支援。

米陸軍はM1A2 SEPv3 (システム向上事業ヴァージョン3)をイラクの自由作戦の戦訓から開発した。変更点として車内容積、重量、動力系に加え生存性を高めた。SEPv3は電源出力を高め、車内健康管理機能を強化し、装甲を変更し、イスラエル製トロフィーアクティブ防御システムを搭載し、統合即席爆発物対抗の防御策、補助動力を一新し、訓練支援策を組み込んだ。米陸軍では「エイブラムズ戦車で最も信頼性が高くなった」と評している。

DSCAは今回の売却で「ポーランドの防衛体制を将来の脅威に対応すべく、抑止効果のある戦力の実現手段となり、NATO作戦に加わる能力も実現する」「ポーランドは対象装備品の自軍導入になんら障害はない」とした。

今回の案件の背景に共和党議員が販売推進を加速するよう求めていた。ヨーロッパの安全保障面の悪化が一因で、ロシアがウクライナ周辺に部隊増強していることが中心だ。ウクライナ侵攻の恐れに加え、ロシア、NATOの部隊が東欧各地に展開しており、ポーランドも東欧の一部で、米陸上部隊、戦闘機部隊が同国に移動してきた。

そこで戦車売却を「ウクライナ周辺で武力増強中のロシアをにらみ、クレムリン、NATO双方へメッセージを送る」と位置づけたのが下院軍事委員会の有力議員マイク・ロジャース、下院情報委員会のマイク・ターナー、リサ・マケイン各議員だ。「sらにポーランドにM1A2戦車を導入すれば、ソ連時代の装備品をポーランド軍から一掃できるのに加え、米NATO軍との共同作戦能力が向上しつつ、同時に米産業界の強化にもつながる」と各議員は述べている。

ポーランドはエイブラムス取得の意向を昨年10月時点で表明していた。ポーランド国防相マリウス・ブラスザックMariusz Błaszczakは「ポーランド陸軍へのエイブラムズ戦車の配備は米軍との共同作戦体制構築のため絶対必要だ」と述べていた。

2021年7月、ブラスザック国防相は新型主力戦車調達を検討中と述べ、「最良の戦力を搭載しつつ調達可能な戦車で、実績があり、ロシアの最新戦車T-14アルマータ戦車に対抗できる車両」を想定していると語っていた。

ポーランド装甲部隊の中心は250両ほどのレオパルド2A4、2A5両型式の戦車部隊で、やはり性能改修を受けている。このため、エイブラムズは冷戦時代の遺物T-72戦車とポーランド製PT-91と交代すると見られる。

T-14は手強い相手で、ロシア旧型戦車に比べパッシブ装甲を改良し、アクティブ防御も採用しているが、エイブラズムにも問題が発生しており、予算不足もそのひとつだ。数千両規模の調達は実現しておらず、現時点では初期生産バッチ100両の予定があるだけだ。

ポーランドもその他ヨーロッパ諸国同様に冷戦は終わったが、装甲部隊の大幅削減を実行していない。逆にロシア装甲部隊による攻撃事態への対応を念頭に置いている。ポーランドはロシア本国と国境を接しないものの、重装備を配備したロシアの飛び地カリニングラードはポーランドに隣接しており、さらにロシアの軍事同盟国ベラルーシも隣国だ。

今回の安全保障上の危機の前からNATOはいわゆるスワルキギャップSuwalki Gapが将来のロシアとの軍事衝突で重要地点になると見ていた。ここでNATO加盟国のポーランドとリトアニアがつながり、ロシアはベラルーシ経由で同地に入り、バルト海3カ国をその他NATO加盟国から分断するねらいがある。

さらにその他の事情も念頭に、ポーランドは地上部隊の迅速展開と防御力の強化を目指しており、中でも戦車部隊に大きな役割を期待する。ロシアが大規模戦車部隊、野砲部隊を維持していることも背景にある。

今回のエイブラムズ戦車以外にポーランドは米製軍事装備品の購入を進めており、米国への接近をさらに強めている。ペイトリオット防空装備、F-16C/Dブロック52戦闘機、HIMARSロケット発射装置、ジャベリン対戦車ミサイル等がある。

ポーランド政府関係者から新型エイブラムズ戦車の納入は早ければ来年に始まるとの発言が出ているが、メーカーのジェネラルダイミクス・ランドシステムズは実施に二年かかると述べている。

総合して、今回の新型戦車導入は装甲車両による戦闘を念頭にポーランドが米軍との共同作戦体制強化を続けていることを示す。また同国は防衛予算を増額し、NATOの予算支出目標を意識するだけでなく、ロシアに侵攻を思いとどまらせる抑止効果につながらう戦力整備を真剣に考えていることが明らかになった。■

Poland Cleared To Buy 250 M1A2 SEPv3 Advanced Abrams Tanks

Adding 250 of the advanced tanks would be a huge boost to the Polish Land Forces as they seek to match Russian developments.

BY THOMAS NEWDICK FEBRUARY 18, 2022