2019年2月14日木曜日

あらためて日本のF-3開発状況をとりまとめてみましたが....

Japan's Stealth Fighter: What Happened? 

日本のステルス戦闘機開発はどこまで進展しているのか

This is what we know.
判明していることをお伝えしましょう
February 12, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: JapanStealthF-22F-35MilitaryTechnology
2016年4月22日に、赤青のアクセントをつけた白塗装のジェット機が名古屋空港を離陸した。この時点で日本はステルス機開発で世界四番目の国となった。三菱重工業のX-2心神だ。
その二年後、当初予定のフライトテスト40回を34回で切り上げ心神は退役した。自衛隊は次世代ステルス戦闘機を完全国産開発するか輸入調達するかの厳しい選択に迫られ、報道を見る限り日本は後者に傾いているようだ。
ラプターが入手できず心神が生まれた
日本の自衛隊は他国の軍事組織と異なり自国防衛を想定し海空からの攻撃に対応する。中国が空軍力を整備し中距離弾道ミサイルや艦艇数を増やす中で任務は一層重くなっている。中国、ロシアの軍用機へのインターセプト出動は年間数百回に登る。中国に第5世代機のJ-20ステルス戦闘機が登場して航空自衛隊のF-15やF-2戦闘機の質的優位性が揺らぐ心配がでてきた。
21世紀に入る時点で日本はロッキード・マーティンF-22ラプター調達を希望していた。制空戦闘機では最高の機材と多くが見るラプターには性能相応の高額の値札がついていた。しかし、米議会が輸出を禁じ、ラプター生産ラインも完全閉鎖された。そこで航空自衛隊はF-35Aステルス戦闘機42機の調達に方針を変えたが、制空戦闘機としての性能はラプターに劣る。
技術研究本部は別個にステルス研究をしている。米テスト施設の利用を拒否され、ステルス機モックアップをフランスに搬送し、レーダー断面積測定をしたのが2005年だった。その11年後に三菱重工業がX-2として知られる先進技術実証機を発表した。日本はステルス機開発はこれまでに360百万ドル以上を投入し、協力企業220社に登り、X-2の部品点数中9割は国産調達だ。
X-2は縮小型で全長14メートル、翼幅9メートルにすぎない。実証機なのでこの大きさが許されたのであり、兵装は一切搭載できず、空虚自重は10.5トンしかない。
心神ではレーダー吸収塗装を用いず、非反射性のシリコンカーバイドとセラミックを使用し、バブル形状のキャノピーに特殊スズ合金を施した。さらに機体表面には不規則曲線を用いレーダー反射を抑え、尾翼も外側に鋭く傾けている。
防衛関係者は取材で「心神は10キロ先からだとカブトムシ程度にしか映らない」と述べている。このことを聞くと米軍関係者からF-35のレーダー断面積はゴルフボール程度だとの発言を思い出す。ただし、X-2のRCSはそこまで低区内と見る関係者もあり、実態は中程度のステルス性能だとする。
搭載するIHI製XF5-1低バイパスターボファンはアフターバーナー付きとして初の国産エンジンとなり、耐熱性に優れたセラミックマトリックス複合材とチタンアルミ合金を用いる。排気口にパドルがつき推力を三次元偏向させX-2は異例なほどの細かい挙動が可能だ。量産機ではパドルのかわりに排気口を可動式にしてRCSを下げている。
X-2搭載のエンジンは各5,500ポンドの推力しかないが、機体が軽量のためマッハ2まで加速するには十分でアフターバーナーを必要としないスーパークルーズが実現した。
心神には日本開発技術が他にも盛り込まれているという。現在の戦闘機は「フライバイワイヤ」制御で操縦するが、三菱は先に進み光ファイバーを採用し、伝達速度を早めつつ電磁攻撃に強靱となっている。また「自己修復型」制御も採用し、機体表面の損傷を探知すれば機体制御を自動的に補正するという。
実証機からF-3が生まれるのか
心神は技術実証用であり試作機として量産機開発を目指したものではない。また兵装以外にコンピュータや電子戦装備も大量に積む軍用機ではなく非武装であり機構は簡略になっている。
その本命が国産ステルス戦闘機で三菱F-3と呼ばれ概念設計段階にある。防衛省は大型双発ステルス機で長距離空対空ミサイル6発を機内搭載する機体の生産を2027年に開始したいと述べている。100機以上生産し、F-15JやF-4EJの後継機にしたいという。
コンセプト図は二通り公表されており、ひとつはF-22に似ており、もうひとつが無尾翼第六世代機のようだ。多機能レーダーを搭載し敵機の接近を探知する以外に電磁センサーや高周波兵器として敵の電子装備を破壊する機能も加わるのではないか。
ただし2018年4月にロイターが匿名の日本防衛筋複数の話として国産開発は棚上げし国際提携先を模索すると伝えた。
理由は費用であり、リスク懸念だ。国産開発の場合は初期費用だけで400億ドルと日本は試算しているが、日本の防衛予算総額が史上最高額の水準となったといっても2018年で460億ドルだった。
F-35では新技術導入の結果、予想に反してうまく機能せず遅延と費用超過を招いた例がある。既存技術を採用するほうが堅実だし、他国費用で技術が成熟化すればなお結構なのであり、ゼロから新型技術を導入した機材を開発するリスクを避けられる。
ラプター/ライトニングハイブリッド構想は?
日本政府は情報開示要求(RFI)をBAEシステムズボーイング、ロッキード・マーティンの各社に発出し、共同開発の可能性を模索している。その中でラプターとF-35のハイブリッド版の開発案が浮上してきた。
そもそも日本がF-22を希望したのは制空性能が優秀なためでF-35を上回るためだし、航空自衛隊は空対空戦能力を重視する。しかしラプターは1990年代製のコンピュータを搭載し性能向上もままならず高額につくレーダー吸収剤(RAM)塗装を施している。一方でF-35では費用対効果に優れるRAMパネルを採用し、センサー、コンピュータも新型でネットワーク機能により情報を友軍内で共有できる。
そのため日本政府は新型機にF-35の新機能を盛り込みつつF-22の優秀な飛行性能を継承したいと考えている。
これが実現すれば究極のステルス戦闘機になるだろうが目が飛び出るほどの価格になるはずだ。ペンタゴン内部研究が漏れておりF-22生産ラインを再開し機内装備を一部更新した場合の初期費用は70ないし100億ドルで194機発注の場合で機体単価は210百万ドルになる。初期費用だけ見れば新型機を両型の技術を元にゼロから開発したほうがいい。米空軍も180機残る既存F-22の性能改修となればやる気がでるだろうが、F-35の予算が流用されるとなればロビーストが強硬に反対に回るはずだ。
そうなると心神をベースに三菱F-3を純国産機として開発する構想は予備対策だろう。日本政府としても国内生産とともにステルス技術を自国で管理できる方法のほうが望ましいはずだ。しかし、X-2にあれだけ注力したものの航空自衛隊は第5世代ステルス戦闘機は海外提携先と組んだほうがより安心して費用対効果にすぐれかつ迅速に実現できると結論づけている。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .

2019年2月13日水曜日

対潜特別訓練でJSいせがロサンジェルス級SSN相手の対潜戦を実施する

海軍はロサンジェルス級攻撃型潜水艦一隻を日本近海に派遣し、海上自衛隊の対潜特別訓練(SUBCOMP)に参加する。演習は日本南方海上で2月13日から20日にかけて実施する。ひゅうが級ヘリコプター駆逐艦いせが同演習に投入される。


JS Ise, Haruyuki and Abukuma in the East China Sea after Keen Sword 2013, -16 Nov. 2012 c
Denver Applehans, U.S. Navy [Public domain], via Wikimedia Commons

☆ ドイツのF-35不採択方針は撤回すべきなのだろうか

German F-35 decision sacrifices NATO capability for Franco-German industrial cooperation ドイツのF-35不採択方針は仏独産業協力を優先しNATO戦力を犠牲にするものだ



Pilots from the 388th and 419th fighter wings taxi F-35As on the runway in preparation for a combat power exercise at Hill Air Force Base, Utah. (Senior Airman Justin Fuchs/U.S. Air Force)

イツがロッキード・マーティンF-35をトーネード90機の後継機候補から外したのはフランスとの産業協力を優先したためで、ドイツ空軍の戦力が仏独共同開発戦闘機が稼働開始する2040年まで弱体化する代償につきそうだ。
今回の決定はドイツのNATOでの指導力より国内政治情勢を優先させている。ロシアの軍事脅威を受けない国であれば理解できないこともないがNATO抑止力効果を最大化させようと主張する向きの足を引っ張る動きとなり見直しが求められる。
  • F-35を選定対象から外した(同時にF-15も検討対象から外した)ドイツに選択肢は3つある。ユーロファイター・タイフーンが177機あるが90機を追加調達し、敵防空体制制圧任務と電子攻撃任務に特化させるのがまずある。タイフーンが267機になれば整備管理や訓練が簡略化されるが、一方で同機に問題が見つかれば一気に全機が地上待機となる。タイフーンでは稼働率で大きな課題が指摘されている。
  • 別の選択肢がボーイングF-18(スーパーホーネット、グラウラー混成)を90機導入することでドイツも真剣に検討している。これに決まれば対地攻撃、電子戦でいずれも戦力が増強される。だが採択すれば他国が次世代戦闘機に向かう中でドイツは第5世代機がないままになる。
  • あるいはタイフーン、F-18を同時に調達する可能性もある。ドイツでは米国製機材を運用しているのでF-18採択の可能性は高いと見る向きもある。
上記の3つの可能性はいずれもドイツ空軍力の整備ならびにNAOT空軍力でのドイツの指導力の今後を展望すれば決して最善の結果にならない。
運用面ではF-35が最善の選択である。ステルス性能だけでなく戦闘管理能力は一世代先をゆく存在でタイフーンやF-18の比ではない。戦力効果を増強させつつそこまでの能力のない同盟各国の機体を助ける能力を発揮する。ドイツ空軍が将来の戦場で強固な防御態勢を突破して敵地奥深くに進行する能力が必要なら選択肢はF-35だろう。F-35を欠いたままのドイツ空軍は厳しい環境の中で苦戦を強いられるだろう。
現時点でNAOT加盟国のうち8カ国がF-35導入を決めており、第5世代戦闘機で高度の相互作戦能力を実現できる。将来のNATO空軍作戦でエリート国となり敵防空体制の制圧任務に投入されるだろう。F-35を欠いたドイツはこの中に入れず、ドイツ軍パイロットは二次的任務をあてがわれるだろう。
F-35にはドイツのNATO核戦力運用能力で利点もある。F-35なら敵地侵攻しつつ残存性が高い。F-35は核兵器運用能力の認証を受けてから納入の見込みだが、タイフーンやF-18だと時間や予算がかかるだけでなくドイツ政界にも負担が生じる。既存タイフーンの耐用年数延長を選択すればNATO核抑止力そのものも低下しかねない。
ドイツ空軍トップがF-35導入を公然と支援したのは不思議ではないが、その後沈黙を強いられ退役させられてしまった。
ドイツ政治家はなぜこの決断に至ったのか。
予算だけではないようだ。F-35は高性能機材だが機体価格はタイフーン並に低下する。タイフーン生産は現地経済に恩恵があるのは事実だ。
納入次期も要素ではない。ロッキード・マーティンはドイツ側に契約交付から三年で納入開始できると伝えている。
決め手は政治と産業界への配慮だ。
メルケル政権は連立内閣であり、社会民主党が連邦外務省、財務省で主要ポストを占める。同党は国防支出増に反対する傾向がありロシアの動向にも寛容な傾向があり、ドイツ核兵器運用にも抵抗が高い。またドナルド・トランプ大統領率いる米国に利益を与えたくないとの点で一致している。
より重要なのがフランとドイツが国防政策の面で協力を強めており、ブレグジットやトランプ大統領のNATO批判を意識していることだ。両国が最近調印したアーヘン条約では防衛外交両面でこれまでにない水準の二カ国間協力をめざすとある。
仏独防衛協力の中心が昨年夏に合意した次世代戦闘機の開発で2040年を目標にしている。ダッソー、エアバスがラファール、タイフーンを元に次世代共用機の完成を目指す。フランスとしてはドイツがF-35を大量導入したら次世代戦闘機の必要性が減り、欧州製高性能戦闘機の実現が遠のくとの危惧があった。当然、ドイツ政府にもこの考えを示している。
仏独中心の欧州防衛は進めるべきだ。だがNATO航空戦力、抑止力が犠牲になってはおかしいだろう。ましては広義のNATO団結力を損なってもいいのか。
ドイツはF-35を対象外とした選択を見直し、逆にF-35を十分に導入し欧州空軍力における主導的位置を維持しつつ、第5世代機技術を駆使すべきだ。一方で欧州内のその他同盟国に悪影響は生まれず逆に歓迎されるはずだ。これができなければ、F-18導入は次善の選択肢となるはずだ。■

Hans Binnendijk is a distinguished fellow at the Atlantic Council and formerly served as the U.S. National Security Council’s senior director for defense policy. James Townsend is a senior fellow at the Center for a New American Security and formerly served as deputy assistant secretary of defense for European and NATO policy

2019年2月12日火曜日

沖縄の自衛隊訓練状況を見た元中国海軍士官が自国の訓練即応体制の不足を痛感した理由

Chinese navy veteran warns training, not hardware is key to military preparedness

中国海軍の元士官から軍の即応体制の鍵は訓練、ハードウェアではないとの指摘
  • 中国の軍事力拡大の一方で退役海軍士官が近代戦では数が全てではないとの指摘
  • 「装備品を使いこなせる人員こそが重要だ」


Guo Rui
PUBLISHED : Tuesday, 05 February, 2019, 6:01pm
UPDATED : Wednesday, 06 February, 2019, 12:50am
中国海軍士官Wang Yunfeiは1月に沖縄を休暇で訪問し、那覇空港で自衛隊ジェット機やヘリコプターの訓練を見て、憂鬱な気分になった。
雲底は低く空はすっきりしていなかった。「地上200から300メートルまで雲が垂れ下がり、離陸したジェット機はすぐ雲の中に消えた」とWangは言う。
「中国では雲が地上400メートル以下だと訓練飛行しない」「その条件だと軍用機離陸でも危険なためだが訓練そのものは実施することが十分できる条件だ」
Wangは今は海軍兵装専門家で、近代戦では兵力の規模は決定的ではなく、米国や日本等の同盟各国に追いつこうとする中国にとってハードウェアがすべての条件ではないと指摘する。
「艦艇数を二倍にしても軍事力はそのまま二倍にならない」「大事なのは装備を駆使できる人員であり結局は訓練水準に行きつく」


「一部には我が国の軍用機のほうが進歩していると見る向きがあるが、わが軍の訓練の実態を見ると...とてもまだ向こうの水準に追いついていない」
マカオ在住の軍事専門家Antony Wong DongはPLAを研究し、Wangと同じ評価をしている。
PLAは朝鮮戦争以降の実戦経験がないがここ数十年で訓練内容を向上しているとWongは述べ、「即応体制」で大きく引き上げる余地があるという。
同じことを習近平主席が軍高官に対し戦争に備えて訓練、準備体制をひきあげることこそ2019年のPLAの最大課題だと12月の演説で述べていた。
沖縄県那覇市は航空自衛隊第9航空団の本拠地でF-15戦闘機40機を抱え3年前に編成された。当時は中国が東シナ海で強硬な態度になり、尖閣諸島をめぐり、日本が実効支配するものの、中国、台湾が領有主張していた。
日本の防衛省統合幕僚監部によれば2017年度に航空自衛隊は中国軍用機に500回スクランブル出撃した。2016年は851回であった。
ところが2018年度の最初の三ヶ月だけで476回もスクランブルしているのは習近平がPLAに訓練強化を求めたためで、本土から離れた地点でも訓練が増えた。
また中国が初の国産空母の試験公開を始めると日本はヘリコプター空母の改装でF-35B運用を可能とする方針を発表した。


このような背景でWangによれば中国は最新軍事装備への投資に加え全般的軍事力を深く理解する必要がある。
那覇空港で自衛隊の訓練状況を見て本人の気分が重くなったのはこのためだ。
「その日はF-15だけでなく、オスプレイやシコースキーのシーホークも盛んに離陸しており訓練は一日中続いていた」(Wang)
「これを見て日本軍を見くだしてはいけないとわかった。訓練の実態は有事の準備体制を反映していることを忘れてはいけない」
「わが方の艦艇や軍用機は数で日本を上回るが実戦になれば戦場は空でも海でも広くない」
「すべては限られた戦闘区域に展開できない。両陣営が同じ装備を戦場に投入すればこちらが楽勝できるとは思わないことだ」
新型装備が続々投入される中で中国軍で訓練が一層重い課題になっている。取扱方法や機構の理解といった技量が課題だ。
「いまだに方向を模索している。怠慢なのではない、新型装備があまりにも高度なのだ」「その例がJ-20や(艦載)J-15で性能を発揮させる方法が当初はわからなかった」
「最近になりJ-15の夜間離着艦をやっとマスターした。ただし重装備のまま機体が夜間運用できる体制になっているか確かではない」
軍事専門家WongによればPLAでは未解決課題が多い。そのひとつはがJ-15戦闘機の空母運用だ。
「PLA人員と兵装が有事にどこまでスムーズに機能するだろうか」「艦載機が搭載する兵装の質と量でギャップがあることがわかっている」■


コメント 中国を旅すると実に個性が豊かな人たち、物品に遭遇します。ビルはみんな個性的な建築様式で主張がはっきりしています。自分のやりたいことを自由にするのが中国流でそこには他人の気分や世間体を意識することはありません。また意外に外部の世界についても考察している人も多いのが特徴で、決して一枚岩の世界ではありません。(整形手術でみんな同じ顔になったり、空気を読みすぎて同調を最重要視する隣の国とは大違いです)そこで今回の記事ですがあらためて中国から見た日本の怖さを強調するのか、それとも自国の弱点をあえて指摘して関係者の奮起を求めているのかわかりませんが、改めて中国の怖さを感じさせます。だからこそ日本は抑止力としての軍事力の整備を今後も続けるべきです。

2019年2月11日月曜日

★★いずも、かがとF-35Bを日本はどう運用するのか考えてみた

Aircraft Carriers and F-35s: The Killer Combination China Fear Is Coming Soon  中国が恐れる空母とF-35の組合わせが現実のものになる

To Japan... しかも日本に
February 10, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35JapanChinaNavyMilitaryAircraft Carrier
本政府は2018年12月の閣議決定で日本海軍のいずも級ヘリコプター空母二隻をF-35Bステルス戦闘機運用艦に改装することとした。
第二次大戦終了後初めて日本は空母で固定翼機を運用することになる。二隻と機材がそろえば英国が1982年にアルゼンチンに占拠されたフォークランド諸島奪回と同様の作戦を日本が実施できる。
「小規模航空戦力でも実施できることは多い」と語るのがCombat Fleets of the Worldの編者エリック・ワーサイムだ。「高性能ステルス機のF-35Bであればなおさらだ」
日本政府は同時にF-35Bを42機の追加調達も決め、50億ドルの出費になるが空母二隻には十分な機数だ。
各国海軍は最重要艦艇を2ないし3隻導入し、うち一隻を戦闘投入可能とし残りを訓練あるいは保守整備にあてるのが通常だが、有事となれば一隻でも多く作戦投入すべく訓練や修理はあとまわしになる。
米海軍にはニミッツ級、フォード級の超大型空母10隻があり、危機発生30日以内に6隻を投入し、少なくとも別の一隻を90日以内に稼働させるのが目標だ。
日本はF-35Bの42機をいずも級2隻でどう運用するか。
いずも級の航空部隊の構成では発表がないが、2023年までにF-35Bを18機取得することにしており、一個飛行隊の編成に十分だ。その間に空母は大幅な改修が必要となる。飛行甲板に耐熱性が必要だ。F-35Bのリフトファンの排出する熱への対応だ。
現時点でいずも姉妹艦かがは通常は9機しか搭載していない。H-60対潜ヘリとMCH-101掃海ヘリだ。ただし全長814フィート、排水量27,000トンの同艦では理論上は28機が搭載できる。
他国海軍の例があてはまればいずも級はF-35十数機と支援ヘリを搭載できる。日本陸軍にV-22ティルトローター輸送機の調達予定があり、艦艇運用も可能となることに注目すべきだ。
イタリア海軍の全長800フィート、3万トンの旗艦カボールでジャンプジェット6機を運用し、現在はハリヤーだが将来F-35Bに替わる。英海軍のクイーンエリザベス級空母二隻は全長920フィート排水量65千トンでF-35Bを24機とヘリコプター数機を運用できる。.
米海兵隊は全長850フィート、40千トンのワスプ級およびアメリカ級強襲揚陸艦でF-35Bを20機さらにヘリコプター、ティルトローター数機の運用を狙う。
英海軍はF-35Bを48機導入し、常時24機の稼働を目指す。日本海軍も同様の規模で、12機体制の航空隊二個を各艦に搭載するのではないか。
30千トンの空母に戦闘機十数機を搭載すれば相当の戦力となる。英海軍の1982年に作戦行動では軽空母インビンシブルは22千トンでハリヤー8機を搭載していた。同艦は退役済みだ。同様に退役した空母ハーミーズはハリアー12機を搭載し、後日14機を追加した。
前出のワーサイムは「英海軍のシーハリヤー戦闘機はフォークランド諸島で極めて限定的な防衛任務を小型空母から効果的に実施したことでアルゼンチンの攻撃をものともせず英軍作戦を継続することができた。F-35Bでも少数機とはいえ日本に同様の効果を実現するのではないか」と語る。■

David Axe serves as the new Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring  and Machete Squad.

ペンタゴンが移動型原子炉の実用化を狙っている

This Might Be the U.S. Military's Worst Idea Ever これは米軍最悪の構想にならないか

Think mobile nuclear reactors. 移動型原子炉を考える。

ンタゴンは移動型原子炉の実用化を狙っている。
前方基地、人道援助の即応部隊で電力を安定供給するのが目標だ。だが原子力利用の安全性とともに核物質が悪の手に渡らないかとの懸念もある。
1月18日に情報公開制度によりペンタゴンが「Project Dilithium」として知られる携帯型原子炉の実現可能性を公表した。2016年の国防科学委員会報告でイラク、アフガニスタンの前方展開部隊の必要な燃料、水は9割がトラック補給で移動中に襲撃される可能性があると指摘されたことで原子炉が出てきた。
今後展開すべき装備のひとつ、高エネルギーレーザーでミサイルや無人機対応すると大量の電力が必要となり、報告書では原子力利用を提案し、「戦場で無尽蔵のエネルギー補給を行えば問題を克服できる」と指摘していた。
ペンタゴン内部の戦略能力開発室は移動型原子炉を海外、国内双方で利用する利点を取り上げ、「小型移動式原子炉があればDODの国内体制は電源網への攻撃があっても安泰となり、前方展開基地への補給活動も大幅に変わり、エネルギー利用規模が増えれば燃料補給活動も簡略化できる。現行はディーゼル油で発電機を動かしている。
さらに小型移動式原子炉が実用化できれば人道救難活動災害救助活動の対応が迅速化できる。小型移動式原子炉はDODの活動全般に大きな影響を与え、経費節減しつつ柔軟かつ機能的な対応が可能となる。
出力は1ないし10メガワットで最低でも三年間燃料補給なく作動できる。重量は「合計40トン以下とし、トラック、船舶、C-17輸送機で移動可能な大きさとする」とあり、周囲の空気により自然冷却する。
.原子炉は「半自律式」とし人員操作なくても安全機能を維持し、監視計測は最小限とする。運転停止、冷却、接続解除、輸送準備はいずれも一週間未満で可能とし、発電再開は3日以内とする。
移動式原子炉が電力供給するのは当然としても軍としては「安全な設計としてメルトダウンは物理的に不可能となるよう各種シナリオを想定してほしい」とする。
「運転による環境汚染や原子炉中心部の故障がないことで一般国民の安全リスクは増えない設計とし、敵攻撃を受けた場合でも原子炉まわりの人員に悪影響がでても最小限に留めるべきだ」との指摘もある。■
コメント 日本では原子力発電にアレルギーが強いのですが、エネルギー密度と効果を考えると原子力は依然として選択肢です。ロッキードが開発中と言われるCFR(小型融合炉)が本当に実現すればもっと選択肢が広がるのですが。



2019年2月9日土曜日

中国J-20の性能、ミッションを推測する....F-22で勝てるのか


Stealth Attack: What If An F-22 Raptor Battled China's J-20 Fighter?

F-22ラプターが中国J-20と対決すれば勝者はどちらか?


January 22, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaMilitaryTechnologyWorldF-22J-20
済でトラブルがあるとはいえ中国は米国と並ぶ軍事大国の座を今後五十年に渡り維持しそうだ。米中直接対決となれば第三次世界大戦になりかねずその可能性は低いが米国は最悪の事態に備える必要があるのは確かだ。
航空戦や航空優勢を巡る戦いが現代の通常戦で鍵を握る。米国の場合はロッキード・マーティンF-22ラプターが中心となり空の支配を確保する想定で、米空軍が目指すF-Xが実現するまでその座を守るだろう。
中国でラプターに一番近い存在と言える成都J-20は米軍の最高性能機材とどう戦うだろうか。
J-20では既知の事柄は少ない。通常の概念で言う戦闘機ではないのかもしれない。特殊任務機材で米兵力投射能力を西太平洋で撃破して中国の接近素子領域拒否(A2/AD)戦略を実現する存在かも知れない。また給油機、AWACS、JSTARSといった支援機材を狙う、あるいは巡航ミサイルで各地の米軍基地や空母を攻撃する想定かもしれない。
J-20で判明している事項をあげると、ステルス機の構造でありラプターやF-35共用打撃戦闘機の特徴を堂々と模倣している。偶然こうなったのではない。中国がF-35の極秘データを大量に盗んだ可能性は充分ある。
J-20がもっぱら攻撃機である兆候があるが同時に空対空戦闘能力も充分あるようだ。F-35と同様にJ-20試作機では電子光学方式の標的捕捉装備が機首下に搭載され、Beijing A-Star Science and Technology製の電子光学方式標的捕捉装置electro-optical targeting system (EOTS)である可能性がある。制空権確保用の機材ではこのセンサーは不要な存在だ.
J-20がアクティブ電子スキャン方式アレイレーダー(AESA)を搭載している兆候がある。すでに1475型レーダーの搭載が知られており、中国ではツボレフTu-204でこのレーダー試験をしたことが判明している。ただしこの情報自体の確認ができない。人民解放軍空軍(PLAAF)が開発中の機材について情報開示をしていない。このため中国がSu-35に関心を示したのは同機のレーダーとエンジンの技術がほしかったためともいわれる。中国が実用に耐えるAESAをどこまで開発しているか疑わしい。
J-20が攻撃に特化した機体に思えるのは機体構造が巨大だが主翼面積が比較的小さいためだ。兵装搭載スペースも大きいようだ。こうした特徴は超音速攻撃機には最適だが航空優勢戦闘機には向いていない。
これだけの機体サイズの航空優勢戦闘機に必要なエンジンを中国は実用化していない。国産WS-10エンジンは未完成であり、次世代エンジンWS-15の開発もめどがたたない。中国で信頼性が十分なエンジンはでておらず、ロシア技術を盗用したエンジンでさえこのとおりだ。だが攻撃機にはずば抜けた推力重量比は不要なので現在搭載しているロシア製サトゥルンAL-31Fエンジン双発で十分ではないか。
さらに短距離性能のF-22やF-35が西太平洋での作戦行動に適しているのかという議論は根強い。なんと言っても距離が長い上に基地が少ない。だが同じ地理条件は中国にもあてはまる。F-22やF-35では空中給油機の支援が不可欠だ。そこで中国としては米国や同盟国の空軍力を減ずるには主力機材と真っ向勝負するかわりに戦闘維持を可能とする装備を除去すればよい。つまり米軍基地や給油機、通信設備を排除しればよいのであり、J-20が中国に航空優勢を実現する手段になりうる。この点で同機はF-22より優位に立つ可能性がある。
もちろん以上はすべて推測である。J-20をどう戦闘投入するかを熟知するのはPLAAFのみだが手強い敵機になりそうだ。■
Dave Majumdar is the former Defense Editor for The National Interest.
Image: Creative Commons.