2020年11月21日土曜日

新型30FFMは護衛艦ではなくフリゲート艦だ。「くまの」進水したばかりで早くもインドネシア輸出が取りざたされているが、これでいいのか。

  

Japan Maritime Self-Defense Force


 

本が新型の多任務フリゲート艦を進水させた。無人装備やレーダー断面積の削減など新技術を盛り込んでいる。

 

30FFMにはくまのの艦名がつき、11月19日に三井造船玉野造船所で進水し、2022年に海上自衛隊に編入される。

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ただし、くまのは二号艦で、初号艦は三菱重工業の長崎造船所で建造中だ。防衛装備庁は2017年に三菱重工案を採用した。

 

日本政府は先に6隻を発注し、次年度の予算要求では951百万ドルで二隻を追加している。海上自衛隊はフリゲート艦を22隻まで整備する予定で、三菱重工と三井造船がそれぞれ建造する。

 

30FFMは護衛艦とされ30DXと以前よばれていた。全長435フィートで排水量は3,900トンだが完全装備すると5,500トンになる。ステルス形状でレーダー断面積を減らし、無人水上、水中機を発進、運用、回収できる。

 

その他の特徴に統合マストがあり三菱電機製OPY-2多機能レーダー他各センサーを格納する。その他統合戦闘情報センターや自動化の採用で乗組員は90名に減らしていることがある。

 

対機雷戦、対潜戦ソナーがつき、シーホークヘリコプター運用用の格納庫もある。兵装にレイセオンのRIM-116ローリングエアフレイムミサイルと三菱重工製17式対艦ミサイルを搭載する。

 

30FFMの推進方式にはロールスロイス製MT30ガスタービンとMAN製12V28/33D仕様のSTCディーゼルエンジン二基を組み合わせ、30ノットを実現した。

 

シンガポールのビジネスタイムズによればインドネシアが30FFMを4隻導入し装備近代化の一環にする意向だという。菅首相とジョコ・ウィドド大統領が10月に会談しており、合意が形成される。■

 

この記事は以下を再構成したものです。新鋭艦をそのままインドネシアが入手できると調子のいい考えを射ているとしたら大間違いでしょうが、日本側が本当にそのまま輸出して実績だけ作りたいと考えていればもっと大きな間違いではないでしょうか。

 

Japan launches first ship of new frigate class


By: Mike Yeo    18 hours ago


2020年11月20日金曜日

2020年11月17日、イスラエル軍がシリア国内で広範囲空爆を展開し、シリア国内のイラン軍を標的にした。

 IAF photo

ウヴダ航空基地から離陸するイスラエル軍のF-35I。

スラエルがここ数年で最大規模の空爆をシリアに加えた。国際原子力エナジー機関がイランで核物質貯蔵量が急増していると発表した直後のこととでイランの濃縮ウラニウムは2015年核合意時の12倍になっている。

イスラエル軍は滑空爆弾他「その他兵器」でゴラン高原からダマスカスにわたる標的8か所を撃破し、ダマスカス国際空港付近のイラン軍施設もそのひとつだった。ここはイラン軍高官の宿舎さらにシリア陸軍第七師団の指令所にもなっており、高性能地対空ミサイル発射陣地にもなっている。

イスラエル筋によればモスクワへのホットラインを使いロシア側に「空爆数秒前に」警告を伝えたという。

「IDF機はイランのクッズ部隊、シリア陸軍の軍事標的数か所を攻撃した。攻撃により倉庫、指令所、軍事施設、地対空ミサイル陣地に損害を与えた」とイスラエル国防軍は声明文を発表した。

今回のイスラエル軍の行動の理由について、消息筋はイスラエルとイラン間の緊張が高まり、さらにウラニウム濃縮を急ぐイランが「核爆弾製造にあとわずか」になったためだと説明している。

シリアの国営SANA通信社はシリア防空部隊が「イスラエルの侵略」を同国南部で食い止め、ミサイル数発を撃破したと発表。イスラエル筋によればシリアにはパンツィール防空システムがあるが、イスラエル空軍のスタンドオフミサイルを迎撃できなかった。

IDFで情報研究部門を統率していたエイモス・ギリードはシリアが自国内でイランに活動を許しており、イスラエルはイランの勢力拡大はこれ以上認められず、あらゆる手段をとる必要に迫られており、シリアが真意を理解しないと今後も同様の攻撃が続くと解説している。

イスラエル軍は今回の空襲への反撃はないとみているが、アイアンドーム対ミサイルシステムが同国北部に展開中で、地上部隊も警戒態勢を強めている。

はたしてこれはエスカレーションのスタートになのか。イスラエル筋によればイランが核合意に違反したためイスラエルの大規模作戦が「現実のもの」となったのだという。■


この記事は以下を再構成したものです。

Israel Kills 10 Iranians In Large Air Strike Against Targets In Syria

By   ARIE EGOZI

on November 18, 2020 at 11:09 AM


2020年11月19日木曜日

USSロナルド・レーガンが5か月の哨戒から横須賀へ帰港。USSニミッツは第七艦隊へ編入。

 


電子攻撃飛行隊(VAQ)135所属のEA-18Gグラウラーが米海軍唯一の前方配備空母USSロナルド・レーガン上空を飛行した。グラウラーは三沢基地に展開している。 Nov. 13, 2020. US Navy Photo

 

USSロナルド・レーガン(CVN-76)が五か月超の哨戒任務から日本に戻ってきた。

 

前方配備艦レーガンは横須賀に11月14日帰港した。哨戒は159日にわたり、日本配備の空母で1999年以来の記録となった。同年に日本を母港としていたUSSキティ・ホーク(CV-63)が中東、西太平洋で176日の航海をしていた。

 

日本配備の米空母は短いパトロールに出港し、横須賀で整備を受けることが多い。

 

「ロナルド・レーガンの柔軟展開で地域内の同盟国協力国に公海上の自由の維持に米国が真剣な姿を見せられる」とレーガン館長フレッド・ゴールドハマー大佐が声明文を発表。

 

「日付変更線からインド洋までさらにフィリピン海へといかなる地点へもレーガンで『力を介した平和』を維持しつつ、求めあればすぐ対応できる体制を維持している」

 

レーガンが日本を出港したのは5月初めで6月に西太平洋で哨戒した。その際はUSSニミッツ(CVN-68)と南太平洋での演習(7月)を展開した。

 

一方で強襲揚陸艦USSアメリカ(LHA-6)も佐世保に戻っている。アメリカとレーガンは9月にヴァリアントシールド2020演習に加わった。

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ニミッツは最近まで中東に出動していたが、今は第七艦隊に加わっており、マラバール演習でインド空母と共同行動している。

 

ニミッツはペルシア湾方面に約二か月展開してからインド方面に移動した。■

 

この記事は以下を再構成したものです。


Japan-Based Carrier USS Ronald Reagan Wraps Up Record Patrol; Nimitz in 7th Fleet

By: Mallory Shelbourne

November 16, 2020 12:48 PM


2020年11月18日水曜日

今度は「電磁プラズマ砲」。中国からのニュースを笑い飛ばしてはいけない。

 

 

国が「電磁プラズマ砲」を開発中と主張している。

 

中国軍が研究者向け公告で電磁レイルガンと思われる兵器開発で人材を募っている。数か国で電磁レイルガンが研究中だが、サイズと消費電力のため兵器として配備に至っていない。

 

だが中国は電磁プラズマ砲なら軽量化しつつ消費電力も抑えられるので、戦車にも搭載可能としている。

 

「今回の公告は電磁プラズマ砲の理論試験ならびに発射装置の開発を募っている」と国営環球時報が伝えている。「まるでSF映画のように聞こえるが、実際に発射するのは高エナジープラズマではなく、超高速弾だろう」

 

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だが電磁プラズマ砲とはどのように作動するのだろうか。環球時報では中国国内で出願済みの特許がGoogle Patentsに登録されているとする。以下特許文を見てみよう。


本特許は電磁プラズマ砲に関するものである。磁場を砲本体に設定する。磁場方向を砲本体の軸方向と一緒にする。磁場の強度は砲本体の内壁から砲本体の軸に向かい漸次弱くなる。砲本体内のガスをイオン化しプラズマに変えると砲本体の内壁にプラズマの薄膜が形成され、ストレス異方性が生まれる。また熱絶縁性も発生し、砲本体の背分力が大幅に低下する一方で砲弾の推進力が大幅に増加する。他方で砲本体の熱体制が大幅に伸び、供用期間が延長される。

 

別の言い方をすれば、電磁プラズマ層で砲本体を摩耗と熱から守り、発射弾の速度を引き上げることになる。

 

中国の軍事アナリストWei Dongxuが環球時報に語った内容では新技術で「従来型155ミリ自走砲の射程を100キロに延ばせる。プラズマ層により砲弾と砲身内部の摩擦を減らし、命中精度が上がる」という。

 

南フロリダ大のデニス・キリンジャー名誉教授(物理学)は「実現可能な構想のようだ」とNational  Interest に語った。「ただプラズマがどれだけ残留し、砲弾発射時にも有効なままなのか不明だ」と述べた。

 

またレイルガンとは方法論が異なる。「レイルガンとはリニアモーターに近く、固定子つまり砲弾を加速器のようにローラーコースターに使う。今回の方式はプラズマで磁場を制御し砲身内部の表面を覆うものだ」と同教授は語った。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

China Could Be Developing Deadly 'Magnetized Plasma Artillery'

November 8, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaMilitaryTechnology

by Michael Peck


2020年11月17日火曜日

強力な米製装備品をさらに改装して供用するイスラエルにかなう敵はいるのか 四つの事例をご紹介

 


 

 

スラエル国防軍(IDF)が米製装備品を各種供用しているのは、米国からの大量な軍事援助があるためだが、米製装備品が過酷な砂漠環境や市街地戦での作戦展開が必要なIDFの要求条件に最適設定になっている保証はない。このためIDFでは米製品を大幅改修しており、なかにはIDF独自の仕様に進化したものがもある。今回はIDFで供用中で大幅改修された米製装備品を見てみよう。

 

1. MAPATS対戦車ミサイル

 

IDFでは長年にわたり対戦車誘導ミサイル(ATGMs)を使用している。イスラエルを取り巻く砂漠地帯では対戦車ミサイルは極めて有効な装備品だ。イスラエルが初めて使ったATGMはフランス製SS.10、SS.11でその後1970年代末に米製TOWに切り替わった。(IDFはオレフと呼ぶ)ただし、TOWは有線誘導式のため射程に制約があり、使用条件も限られる。樹木や送電線があるとTOWの誘導が妨害され、運用部隊も危険になる。そのためイスラエルはレーザー誘導方式TOWを開発した。推進力を増し、弾頭部分も改良したため貫通力と飛翔速度が向上した。このMAPTSは輸出も好調だが、現在イスラエルは完全国産設計の新型ATGMを導入中だ。

 

 

 

 

2. イスラエル製のM16 、CAR-15改良型

 

IDFではテイヴァー銃に大部分切り替えているがM16もまだ使っている。しかし、1980年代後半から1990年代にはFN FALやイスラエル製ガリル小銃にとってかわったM16が第一線で使用されてきた。なお、ガリルカービン銃は全長の短さのため現在でも装甲部隊で供用中だ。イスラエルは小銃の近代化にもとりくんだ。IDF歩兵部隊の戦闘場面は市街地が多いため、M16やコルト653の銃身(それぞれ20インチ、14.5インチ)は扱いにくい。そこで銃身は12.5インチに短縮化された小銃には新たに「メクズラー」の名称がついた。

 

3.対空機関砲マクベトMachbet

 

20mm機関砲を複数備えるM163VADSは米軍では短距離防空装備として「一時しのぎ」の手段とされてきたが、イスラエルはVADSを1982年のレバノン戦争で多用した。シリアのMiG-21撃墜以外にが発射速度の高さを利用し地上支援、市街地や山岳地での敵地上部隊制圧にも投入した。米軍では1990年代からM6ブラッドレイ・ラインバッカーの登場で第一線を退いたが、イスラエルは逆にVADSを改良し、「マクベト」にした。電子光学式追尾装備、新型レーダー、スティンガーポッドとADAネットワークのデータリンクを搭載し、従来より広範な標的に迅速対応できるように進化した。

 

4. F-15 バズメショパーBaz Meshopar

 

イスラエルはF-15を真っ先に導入した。1970年代から今日までイスラエル空軍の主力戦闘機として長年供用している。空対空任務の卓越した性能が1982年のレバノン戦で発揮されたが、オペラ作戦、木の脚作戦の長距離攻撃ミッションでも性能をいかんなく発揮した。この背景に国産の航法センサーポッドの存在がある。イスラエルはその後対地攻撃に特化したF-15EストライクイーグルもF15Iラアムとして導入したが、第一世代第二世代のイーグルも新しい仕様に改修され国産電子装備等を搭載した。これがF-15バズメショパー、あるいはバズ2000だ。改修内容には新型レーダー、AIM-120、イスラエル製パイソンミサイル、コックピットをグラスコックピットにし、電子戦能力も向上させた。改修は1995年から2001年にかけ行われ、改修型F-15は今後も供用される。■

 

この記事は以下を編集したものです。

 

Wanna Know How Israel Wins War After War? Custom U.S. Weapons.

November 15, 2020  Topic: Security  Region: Middle East  Blog Brand: Tags: IsraelIDFAmericaMilitaryArmyTechnologyFmsFmfIsrael Defense ForcesF-35

by Charlie Gao

 

Charlie Gao studied political and computer science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national-security issues. This article first appeared in 2018.

Image: Reuters.


2020年11月16日月曜日

空母キラーミサイル二型式が洋上艦艇に命中したと主張する8月テスト内容での中国の言い分をあなたは信じますか、

 



 

月に入り中国が8月実施した「空母キラー」ミサイル2型式の試射の詳細を公表している。各ミサイルは数千キロを飛翔し、南シナ海パラセル諸島付近の標的に命中したと中国は説明している。

 

人民解放軍の元大佐で現在は北京の航天大教授Wang Xiangsuiがサウスチャイナモーニングポスト紙にミサイルはともに移動船舶に命中したと語っている。テストではDF-21D、DF-26Bの二種類が投入され、中国の目指す抑止力の中核となる装備だ。

 

DF-26Bは青海省から、DF-21Bは浙江省からそれぞれ打ち上げられ、目標地帯は中国当局があらかじめ立入り禁止措置にしていた。

 

 

 

DF-26とは

 

DF-26は移動式二段ミサイルで固体燃料の中距離弾道ミサイル(IRBM)で2015年9月の軍事パレードで初公表された。射程4千キロとされ、核・非核両用で、地上目標、海上目標を狙う。弾頭は1.2トンから1.8トンを搭載可能で、有事には米領グアムを攻撃可能だ。DF-26が空母キラーと呼ばれるのはニミッツ級フォード級の超大型原子力空母が標的とされるためだ。

 

DF-26は中距離核兵力条約で禁止対象となる兵器である。冷戦終結jに米ソが調印したが、中国は一度も条約交渉に招かれず、米国が昨年に条約から脱退した際に中国が条約から自由に兵器を配備しているためとした。

 

一方、DF-21Dは

 

DF-21Dは世界初の対艦弾道ミサイル(ASBM)で、これも「空母キラー」とされる。射程は1,800キロで艦船、とくに紛争地帯で敵勢力の接近を阻止する機能が期待され、東シナ海・南シナ海への投入がありうる。

 

米海軍の空母以外に日本の新型航空母艦やオーストラリアの強襲揚陸艦も標的になる。

 

今回のミサイル二型式のテストの前日に中国は人民解放軍海軍の実弾演習を展開中の渤海上空の飛行禁止空域に米国がU-2スパイ機を送り込んだとして非難していた。米海軍もUSSニミッツ、USSロナルド・レーガンの各空母打撃群で「自由で開かれたインド太平洋を支援すべく」戦術防空演習を展開していた。

 

サウスチャイナモーニングポスト紙は中国政府が米海軍による演習に強い嫌悪を示し、露骨な挑発であるとしたと伝えている。一方で米国は中国のミサイル発射テストを無謀かつ安定を損ねる行為だと対抗した。

 

今回のミサイルは人民解放軍が保有する地上発射式弾道ミサイル、巡航ミサイル1,250発の一部にすぎないことに注意が必要だ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Report: China’s ‘Aircraft-Carrier Killer’ Missiles Hit Target Ship in August

November 15, 2020  Topic: China  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaDF-21DDF-26BASDMMilitaryA2/adTechnology

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.


2020年11月15日日曜日

第六世代ステルス戦闘機は米国で完成している。予想より10年も早く飛行できた理由とは....

 第六世代ステルス戦闘機は米国が各国に先駆け飛行を開始させたようです。F-35で20年以上たっても完成しない間に技術は一気に次の段階に進んだのでしょうか。また数年で完成したのはなぜでしょうか。今回の記事はその片鱗に触れていますが、はいそうですか、と簡単に納得できない点もあります。ただし、航空機製造の技術体系が大きく変わるパラダイムシフトが米国で実現したのは事実のようですね。

 

USAF

 

国の謎に包まれた第六世代ステルス戦闘機は想定より5ないし10年も早く飛行を開始した。空軍の次世代制空戦闘機(NGAD)構想が始まり数年経過しているが、実機登場は2030年以降と見られていた。

この背景になにがあったのだろうか。考えられるのがデジタルエンジニアリングで試作機、設計図面、技術詳細を仮想再現し、テストや解析を「金属切り出し」より先に完了してしまうことだ。この作業で第六世代ステルス戦闘機は完成したのだろう。

空軍調達トップのウィリアム・ローパー博士がデジタルエンジニアリングを大々的に提唱している。ローパーがデジタルエンジニアリングの論文 “There is No Spoon: The New Digital Acquisition Reality”を発表している。 

「『デジタル三本柱』とはデジタルエンジニアリング・マネジメント、アジャイルソフトウェア、オープンアーキテクチャアであり、これがステルスに貢献する。次のパラダイムシフトは軍用分野でこの三技術で優位を確保することだ。より良いシステムを構築するのではなく、システムをよりよく構築することで、設計が短縮され、機体組立がスムーズになり、アップグレードが容易になる」

仮想シミュレーションや高度コンピュータ技術で設計が迅速化された以外に試作機多数の製造が不要となりコストが下がった効果が大きい。歴史を眺めるとペンタゴンで新型機というと、短くても10年かけ設計審査、各種調達段階を経たのちに試験開発にさらに数年をかけてきた。

ではどうやって第六世代機特有の技術詳細を試作機の飛行前に実現できたのだろうか。ここに高度デジタルエンジニアリングやコンピュータモデリングの妙義があり魔法がある。仕様が多数あってもシミュレートし仮想評価できる。ローパー論文ではデジタルエンジニアリングでは想像、直観といった人間特集の認知力を使い新装備品システムの開発を進めるとある。

大気の状態、空力学の諸現象、熱特徴、機体外部の構成、エンジン性能のすべてが正確に高度アルゴリズムで再現できる。完璧な際限が不可能な要素もあるが、デジタルエンジニアリングの効果は実証ずみだ。こうした効果からローパーがいうようにデジタルエンジニアリングが重要な検討の「水準を上げる」効果を示し、設計陣も可能性の幅を広げた。■

この記事は以下を再構成したものです。

Why An Air Force 6th-Gen Stealth Fighter is Here Almost 10 Years Early

by Kris Osborn - Warrior Maven

-- Kris Osborn is the Managing Editor of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

Kris Osborn is defense editor for the National Interest*. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.* 


2020年11月14日土曜日

北朝鮮海軍がイルカを軍用用途に訓練中か。衛星画像で浮かび上がった疑惑。

 


HI Sutton Image Used with Permission

 

朝鮮がイルカ等を軍用用途に投入するため訓練を展開しているとする証拠が衛星画像で浮上してきた。

 

イルカなど海生哺乳類の訓練で先陣を切ったのは米海軍で、サンディエゴを本拠に海軍用途への利用を模索した。この用途のための投資は並大抵の国では不可能だ。これまでロシア海軍が黒海、北極海の基地で同じ用途を模索している例が唯一だった。

 

画像情報収集により北朝鮮が早ければ2015年10月に同じ目的で作業を開始していたと判明した。西海岸ナンポの海軍施設で確認された。北朝鮮は海軍近代化の一環でこの事業を進めているようだ。

 

衛星画像では造船施設と石炭搬送用ふ頭の間に茶色の水面があり、ここに動物を飼っている。ただしこの囲いは連続使用されていないようで、訓練は付近の海軍部隊が行っている。その後主要施設は同地を流れる川の付近に移動しており、イルカ飼育と思われる活動は2016年10月に拡張された。

 

米海軍、ロシア海軍の事例が参考となる。米国はイルカ、アシカを訓練し、ロシアはシロイルカ、イルカ、アシカを対象としている。米海軍はイルカ等をヴィエトナム、湾岸戦争で実際に利用した。ロシアはシリアに投入しか可能性がある。ノルウェーに現れたシロイルカがロシア海軍の活動と関係していた可能性がある。ノルウェー沖合でロシアがシロイルカに何をさせていたかは議論の的だ。

 

今回の北朝鮮画像の囲いの大きさから対象はイルカと推測される。

 

また養殖魚用の囲いの可能性もある。北朝鮮は近年魚類の養殖に力を入れており、各地で養殖魚を算出している。多くは軍が運営している。だが、囲いの形状が異なる。各地の養殖施設とも異なる。

 

海生哺乳類は訓練すれば海底で物を拾わせることが可能だ。同じ技で海底の物体を検分させることも可能で、ケーブルほかソナーアレイも対象となる。


HI Sutton Image Used with Permission

 

海生哺乳類を海軍基地の防御に投入することも可能だ。また訓練すれば敵ダイバーを見つけ出すこともできる。潜水して侵入する人員はイルカやアシカのスピードにかなわない。またこうした哺乳類は濁った海水や暗い水中でも「視認」できる特徴がある。ただし、ダイバーが味方なのか敵なのか識別はできないので、対象にブイをつけその後の追跡に役立てることしかできない。とはいえ訓練は可能だ。敵の侵入者なら手りゅう弾を投下したり、網で捕獲できる。

 

首都ピョンヤンではイルカ水族館で訓練もしており、その知見が軍用用途に転用されていても突飛な発想ではない。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

New Evidence Suggests North Korea has a Naval Marine Mammal Program


By: H I Sutton

November 12, 2020 4:57 PM

   

 


2020年11月12日木曜日

低地球周回軌道で一時間以内で世界いかなる場所にも貨物人員を送り届ける....米陸軍がこの構想を実現しようとしている

 軍は世界いかなる場所へも補給物資を送れる「ロケット貨物便」に注目している。

 

こんなシナリオだ。戦闘部隊が世界のはてに展開中で、弾薬糧食が必要だ。そこで特別航空補給を要請する。米輸送本部が承認し、貨物を載せた低地球周回軌道便が打ち上げられる。一時間足らずで5.56mm弾、おいしそうなピザのMREが届き、部隊は気分を一新し士気が高まる....

 

補給ポッドを宇宙から送り込む構想はSFのようだが、真剣に検討していると米陸軍は認めている。

 

「80トンの貨物となるとC-17一機分だが、世界中いかなる地点に一時間未満で送り届けられる」と輸送本部司令のスティーブン・R・リヨンズ大将が空輸給油協会開催の10月のリモート会議で発言した。「これからの兵力投射方法を打ち破る形に挑戦したい。ロケット貨物輸送もその一部だ」

 

リヨンズ大将はこれ以前に全国国防輸送協会のイベントでペンタゴンが航空宇宙企業のスペースXと協同研究開発契約を締結し、外宇宙に輸送経路が確立できるか検討すると発表していた。

 

輸送本部は「商用宇宙輸送手段を利用し、まず部品部材、さらにゆくゆくは人員を世界中いかなる地点に迅速輸送することで緊急事態や自然災害に対応できると着目」しているとニラフ・ラッド空軍中佐が述べている。中佐は宇宙輸送の主任研究員である。

 

国防企業間で「宇宙空間を介しての輸送について利用可能性、技術・事業面での実施可能性の検討が進行中で、輸送本部は国防総省のグローバル輸送部隊として役割が与えられる」と同本部は発表している。「貨物人員輸送ではスピードが重要だ。ここに大きな可能性が秘められている」とリヨンズ大将は発言。

 

Senior Airman Ian Dudley, 30th Space Wing Public Affairs photojournalist, photographs an unarmed Minuteman III intercontinental ballistic missile during an operational test at 2:10 a.m. Pacific Daylight Time Wednesday, Aug. 2, 2017, at Vandenberg Air Force Base, Calif.

非武装のミットマンIII大陸間弾道ミサイルがヴァンデンバーグ空軍基地から試射された。

Senior Airman Ian Dudley, 30th Space Wing Public Affairs photojournalist, Wednesday, Aug. 2, 2017,Photo via DoD

 

 

宇宙空間を利用した輸送手段の評価の次段階は来年で、輸送本部は「産業界や戦闘部隊と協力し長距離地点間輸送構想を2021年に実施する」と米陸軍が公表している。

 

「民間宇宙輸送手段を提供する企業が常識を破る手段を開発中でその進展は実に早い。2021年の実証で人道救難物資を送り届けることになるだろう。ロケット輸送ミッションは現実となる」(リヨンズ大将)

 

長期目標は宇宙輸送手段の試作型を製造し、輸送本部に空中、海上、陸上の輸送を補完する手段を今後5年から10年以内に実現することにある。スペースXとの研究契約でこの目標が実現できるかが注目される。

 

「スペースXの最新情報については開発は非常に進んでいるとだけお伝えしておく」とリヨン大将は以前述べていた。

 

一つ確かなのはロケット貨物輸送はハインラインの「宇宙の歩兵」構想につながることで、筆者は構想を支持する。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

 

US Army Developing 'Rocket Cargo' To Transport Gear To Troops Via Space

JARED KELLER16 HOURS AGO


TAGSSPACEXROCKETSOUTER SPACENEWSMILITARY TECHRESUPPLY INBOUNDU.S. TRANSPORTATION COMMANDU.S. SPACE FORCEU.S. ARMYRESUPPLY