2019年10月30日水曜日

見えてきたF-15J後期型の改修、いよいよAESAを搭載したスーパー迎撃機(JSI)誕生へ

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Japan – F-15J Modernization

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19-65
­­­WASHINGTON, October 29, 2019 -米国務省が日本向け海外軍事販売案件を承認した。最大98機のF-15Jを日本向けスーパー迎撃機(JSI)仕様に性能向上させる案件で総額は45億ドルの試算が出ている。国防安全保障協力庁が同案権の承認を求め関連資料を本日議会に送付した。
日本政府要望により最大98機のF-15Jを日本版スーパー迎撃機(JSI)に改修すべく、APG-82(V)1アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダー103基(予備5基含む)、高性能ディスプレイ・コアプロセッサーII(ADCP II)ミッションシステムコンピュータ116基、ALQ-239デジタル電子戦装備(DEWS)101基を提供する。また統合ミッション立案システム(JMPS)にソフトウェア、訓練、支援含め提供する。選択式盗聴対策ずみモジュール(SAASM)、ARC-210無線装置、航空機・装備品の統合及び試験支援、地上訓練装備(フライト、保守管理シミュレーター含む)、その他支援試験用装備にソフトウェアと予備部品、通信装備、施設建築の支援、技術文書の準備、人員訓練、戦術兵站支援、調査研究、その他関連補給活動や作戦支援を含め、総額45億ドルの試算がある。
今回の海外向け販売案件は米国の外交目標及び国家安全保障上の目的に合致するものであり、主要同盟国の安全をさらに引き上げる効果が理、政治安定性の確保に役立ち、アジア太平洋での経済成長に資する。日本が強力かつ効果的な自衛能力を維持することは米国の国家安全保障上で死活的な意味がある。
今回の案件により日本の防空体制がさらに強化され、日本本土並びに駐留米軍部隊の安全を守ることになる。改修F-15は日本に近づく空の脅威に対応が容易であり、防衛の効率が上がる。日本は装備品の導入と支援の展開に何ら問題を感じないはずだ。
今回の軍事装備品販売並びに支援活動により当該地区で力のバランスが変更となることはない。
今回のFMS案件の一次協力会社はボーイングエアクラフトカンパニー(本社ワシントン州エヴァレット)、日本では三菱重工業がボーイングを協力企業と位置づけ案件の実現を目指す。今回の売却に関し、一切の裏契約はないとされる。
本案件の実施に当たり米政府代表者一名が日本に駐在する。
また本案件の実施により米国防体制の即応対応に悪影響は生じない。

今回の告示は法により求められているものであり、案件が実際に締結されているわけではない。■

バグダディ強襲作戦で判明した興味深い事実

What We Know About The U.S. Raid on Abu Bakr al-Baghdadi in Syria. バグダディ強襲作戦で今わかっていること



今回の作戦に投入されたと見られるMH-60ブラックホーク特殊作戦仕様機。 (Photo: U.S. Army/160th SOAR)

大規模作戦に機材多数が動員され、綿密な作戦調整のもと電光石火の行動が展開された。


ISISの創設者にして指導者のアブ・バカ・アル-バグダディが米特殊作戦部隊の「危険かつ勇敢な夜間強襲」によりシリア国内で週末に殺害された。ドナルド・トランプ大統領は強襲作戦は「最高水準」の実施だったとし、米特殊作戦部隊を称賛している。
世界各地の報道機関が今回の展開を報じており、米大統領の報道発表の様子を中継した。今回の強襲作戦で興味深い内容が浮上している。
米軍は作戦内容について口をつぐんているが、大統領発言およびその他報道内容から実に興味深い点が推察できる。
アブ・バカ・アル-バグダディ (Photo: File via Wikipedia)

まずNBCの報道番組「報道陣に語る」で安全保障担当補佐官ロバート・オブライエンが作戦名称については公言していないものの、2015年にISISにより人質となった挙げ句殺害された米人道援助専門家カイラ・ミューラーからヒントを得ているとした。CNNのマイク・キャラハンは「NBC番組でオブライエンは『統合参謀本部議長がカイラ・ミューラーに由来を求めた作戦名称をつけた。本人が受けた苦しみが念頭にあった」とし、一般にも理解してもらえるはずと付け加えた」と報じた。
統合参謀本部の議長米陸軍大将マーク・A・ミリーとマーカス・エヴァンス准将(特殊作戦部隊副司令兼対テロJ-3統合参謀本部メンバー)がホワイトハウスの緊急事態対応室で強襲作戦の実況を見ている。作戦が米陸軍特殊部隊が中心で展開されたと考えてよいだろう。これはオサマ・ビン・ラディンを殺害したネプチューンスピア作戦(2011年)が米海軍の特殊部隊中心で展開されたのと好対照である。
今回の強襲作戦の実施場所 (Photo: via DailyMail)

CNN含む一部メディアでは米陸軍の特殊部隊作戦分遣隊D別名「SFOD-D]が実施したと伝えている。これは『デルタ』と一般社会で呼ばれる部隊だがデルタは米陸軍の制式名称ではない。
CNNのアナリストのひとりは米陸軍の第160特殊作戦航空連隊(第160 SOAR)『ナイトストーカーズ』が「ヘリコプター8機を投入し、特殊部隊をシリア北西部のバリシャ近郊に送り込んだ」と述べている。
特殊作戦向けの機材は3機種あり、あるいはその組合せで強襲作戦に投入されたのかもしれない。MV-22オスプレイは空軍の特殊作戦部隊の他海兵隊が運用している。MH-60ブラックホーク及びMH-47チヌークは陸軍の第160特殊作戦航空連隊が運用している。
ツイッターに出た映像は今回の強襲作戦のものとされる(Photo: via Twitter)

CNNのバーバラ・スターの報道では「今回の作戦を実行した米軍部隊の一部はイラク国内から発進しシリア北西部にヘリコプターで移動したと米軍筋から聞いた」とある。
米大統領は目標地点への飛行はおよそ「一時間10分」と述べており、特殊作戦用回転機がトルコのインチリック基地のような地点から出発すれば無給油で飛べる範囲だとわかる。キプロス島のRAFアクロティリ基地を発進したと述べる者もいる一方で、イラクのエルビルから飛んだとする向きもある。
8機が動員されたとすると特殊部隊隊員は60名から80名の規模となる。ここには特殊訓練を受けた軍用犬も含まれる。
その一頭が作戦中に傷を負ったと伝えられている。これはバグダディが地下トンネルに逃げてから「爆弾ベスト」を点火し、本人および「こども3名」が死亡した際のこととされる。該当軍用犬はその後無事脱出しているという。
バグダディ強襲作戦の現場とされる写真がツイッターに出た (Photo: via Twitter)

大統領発言からその他に判明しているのはリアルタイム及びほぼリアルタイムの情報活動が強襲作戦立案に役立っていることだ。大統領は「(バグダディが)そこにいることがわかっていた」とし、「現地の様子もわかっていた。トンネルがあることもわかっていた」という。こうした大統領発言から目標地点は相当詳しく偵察されてから強襲作戦に至ったことがわかる。また情報活動には人的情報収集(ヒューミント)や航空偵察が含まれていることがわかる。航空偵察には有人機が使われた可能性がある。
10月27日ニューヨーク現地時間14:32にニューヨーク・タイムズのエリック・シュミット、ヘレン・クーパー両名が「イスラム国指導者アブ・バカ・アル-バグダディの居場所はバグダディの妻の一人を逮捕し尋問したことで判明した米関係者二名画明らかにした」と報じた。
米大統領は強襲作戦のうらで展開された偵察活動を称賛し、作戦の様子は「明確かつ完璧に」目にすることができたと述べた。映画を見るようだったという。この大統領発言から軍務経験がないもののメディアに造詣が深い本人の言として特殊部隊がカメラ数台を現地に運び作戦の進行に合わせホワイトハウスに中継したが2011年のオサマ・ビン・ラディン強襲作戦時を上回る精細な映像を送ったのではないか。大統領からはさらに「夢中で見た」との感想を述べている。
大統領、副大統領、国家安全保障担当補佐官ロバート・オブライエン、マーク・エスパー国防長官、統合参謀本部議長マーク・ミリー大将が作戦実施を見守る写真がホワイトハウスから公表されているが、一部記者によればこの写真は事前に準備されたものだという。
大統領からはロシアの協力が大きかったと同国の動きを称賛する発言上がらい、また「トルコ、シリア、イラク、さらにシリア国内のクルド人」が今回の強襲作戦の成功を導いたと述べている。
大統領発言では強襲部隊は現地に到着した際に「銃火を浴びた」ものの目標地点に「二時間」とどまり、追加情報資料を押収しISISの動きの解明につながることが期待されるという。このことから強襲部隊には時間面の制約があり、利用機材の騒音が届かない別地点には着陸せずに奇襲攻撃の形をとったことがわかる。
今後さらに作戦の詳細が浮上する可能性は十分にある。ただし、今回の強襲作戦で得た情報から米軍等が地域内で別の目標を捕捉するとすれば、今回の強襲作戦は機密扱いのままとなるかもしれない。■

2019年10月29日火曜日

B-52を100年飛ばせ続けようとする米空軍のねらいと新制式名称B-52J


100 Years Flying: Meet the Air Force's Plans for the B-52J

An impressive upgrade.
October 28, 2019  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: B-52MilitaryTechnologyWorldAir Force

by David Axe 
Key point: The Pentagon wants to keep its B-52s operational for the foreseeable future.

空軍は改修型B-52を「B-52J」の制式名称で運用する予定だ。改修対象のB-52Hは1960年代初頭に稼働開始している。Air Force magazine のジョン・ターパックが以下伝えている。

「空軍は大改修を終えた機体にB-52Jの名称をつけるようだ」とヒース・コリンズ准将の発言を引用した。

今後10年かけてB-52は新型エンジンに換装する。これだけでも機体呼称の変更に十分であるが、同時にデジタル装備、通信装置、新型兵装、新型レーダー他数多くの改良を施す。

コリンズ准将は航空戦闘軍団がB-52乗員の削減も検討しているとし、現在は兵装担当士官が担当する業務を自律化させたいとする。ただし、これは決定事項ではないという。

Air Force magazine は2019年1月号でエンジン換装について深く伝えた。

「空軍の思惑どおりならB-52は2050年までにほぼ一世紀空を飛ぶことになる」とターパックは伝え、「今後も同機を飛行させるべく、空軍はB-52に新型エンジンを導入し、整備業務をやさしくし、飛行の効率を上げるべく10年足らずですべてを実施する」

2018年に空軍から1980年代機材のB-1B全62機およびより新しいB-2全20機足らずを2040年までに退役させる方針の発表があった。だが改修型のB-52Jは少なくとも100機製造するB-21ステルス爆撃機と併用する。

空軍はアリゾナの機体保管施設からB-52H2機を現役復帰させており、墜落事故で全損した機材の穴埋めとし、76機体制を維持している。

「高機齢ながら高い稼働率を誇り、各種大型兵装を運用し、しかも効率よく運用できる、少なくとも敵の防空体制が完璧でない箇所で」とターパックは記事をまとめた。「ハイエンド戦になってもB-52は敵防空体制の外側からミサイルを発射できる。核巡航ミサイルを空中発射できる爆撃機は同機だけだ。新型長距離スタンドオフミサイルの運用も同機から始まる」

B-52改修構想の議論は20年に渡り、やっとこの段階に至っている。1996年に空軍は13通り以上の検討を行い、機体重量240トンの重爆撃機向けの新型エンジンの選択肢を研究した。2019年時点でB-52エンジンは1962年当時と同じプラット&ホイットニーTF-33エンジンのままだ。

2018年に空軍が作成した資料ではTF-33を「効率は悪く現時点の民生エンジンと比べ性能も見劣りする」としていた。プラット&ホイットニー製エンジンは「高費用かつ整備工数も多くかかり、部品の陳腐化に対応が大変」とあった。

「現時点のエンジン各種はTF-33より信頼性も高く新型エンジンなら一度搭載すればおそらく脱着の必要はない」とターパックは述べていた。「大修理までの平均期間は30千時間程度が普通で空軍が同機の稼働期間として想定する時間よりずっと長い」

エンジン換装によりB-52の燃料消費効率は少なくとも2割伸びつつ、現状の性能水準を維持できる。B-52HがTF-33エンジン搭載しているが、爆弾ミサイルを35トン搭載し、4,500マイルを空中給油無しで飛び、最高時速650マイルを維持できる。新型エンジン換装により同機の性能を引き上げる狙いは空軍にないようだ。

2018年の空軍試算ではB-52の供用期間延長に要する費用を320億ドル程度としていた。

2011年から2016年にかけて空軍は76機のB-52を稼働させるべく年間12億ドル程度を支出していることが政府資料で明らかになっている。

エンジン換装により節約となる燃料、整備費用は2040年にかけて100億ドル相当になるとの空軍資料をターパックは引用していた。各機8発なので合計608基のエンジンが必要となる計算だ。■

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad. (This first appeared in June 2019.)

Image: DVIDShub

台湾危機、南シナ海で中国は米海軍相手にどんな作戦を展開するか



How China Would Fight the U.S. Navy (And Sink It) During a War 中国は米海軍相手にどんな戦闘を展開するのか

Sea mines, missile and much more. 機雷、ミサイルの他多数がある

October 14, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaMilitaryTechnologyWorldWarMissiles
国軍が一番恐れる事態とはなんだろうか。
これだけ懸命に努力し、大規模予算を投入しても中国海軍は米海軍との対決を望んでいない。ある退役中国国防高官が2014年に語っている。「深夜に米海軍と戦闘に入ったとの報告だけは受けたくない」
ペンタゴン関係者の心をくすぐりそうな発言だが、以下を理解する必要がある。恐怖心もうまく使えば、人智を尽くし複雑な軍事課題の解決に繋がり、不可能と思われたことが可能となる。
例として、1995年から1996年にかけての台湾危機で中国の「悪夢」が現実になりかけた。強力な米海軍艦艇多数が動員され、中国では対抗の余地がないほどの事態になった。当時の指導部、特に江沢民主席は米空母戦闘群を恐れ、中国の台湾への圧力が無効になることを危惧した。中国が米空母の位置を把握できていないと判明したこともあり、大きな問題になった。その際の危機から中国は一方的に有利な状況を生み出せる兵器群の開発に真剣に乗り出した。
では米海軍を相手にどんな兵器を中国は投入するだろうか。一部はNational Interest の読者なら承知しているだろう。その他今回取り上げる装備はそこまでの知名度はないが米海軍に対応が必要なものだ。台湾危機シナリオでは最大規模の軍事課題となるはずで、以下の装備は米戦略思考家にとって真の恐怖の対象となっており、現時点では効果的な対応策がみつかっていない。

大量の機雷
知られていないが、中国は世界最大の機雷運用国である。8万から10万個という試算がある。ただし、中国にこれだけの機雷を全部一度に展開する能力はないものの、重要な海面に敷設し、例えば台湾や南シナ海で、民間船舶少数を動員し探知されずに展開するかもしれない。歴史に見られるように高性能機雷や多数を敷設しなくても大きな損害を与えることができ、中国は過去の歴史を熟知している。TNIでライル・ゴールドスタインが次のように警告している。

「中国の軍事雑誌兵工科技に興味深いインタビュー記事が載っており、米海軍のフリゲート艦サミュエル・B・ロバーツが1988年にイランの機雷に接触した事例を取り上げている」

この際の機雷は「安価なロシアの原設計機雷でイランがつかったもの」だったが竜骨が折れて、機関出力を失った。90秒で艦の排水量の半分近くの浸水した」という。


大量のミサイル
中国の保有するミサイルは多様で有効射程や性能も幅広い。台湾シナリオで重要なのは米海軍を標的とするミサイルの本数だ。ミサイル防衛が最大に機能しても十分に対抗できないほどの量だ。
これは容易に克服できる脅威ではない。中国はミサイル多数を発射すればよいのであり、巡航ミサイル弾道ミサイルといった種類や発射地点を問わず、米海軍の防御態勢を圧倒できる。仮に米側のミサイル防衛がすべて成功したとしても艦が搭載する迎撃ミサイルの本数には限りがあり、すぐに限界を露呈するはずだ。
The Diplomat誌に単純な算数の問題として掲載されていたのが以下の内容だ。: 
米艦艇が搭載する対抗手段の本数に限界があり、敵が大量のミサイルを発射して飽和状態になったらどうなるのか。敵はまず旧型装備を発射し、精度に限界があるのを知りながら防御側が対応して持てる対抗措置を消費すれば、敵は高精度ミサイルを発射して確実に艦艇を仕留めるのではないか。突き詰めれば数の多いほうが勝つはずだ。


米海軍は「目隠し状態」で戦闘ができるのか
中国は衛星攻撃兵器(ASAT)を米衛星群に向け発射するはずだ。この話題は報道番組で知られるようになった。米海軍もこの事態が現実になったときの影響を測りかねている。ではもし中国が上空に向けてミサイル発射し、軌道上の米衛星多数を破壊したらどうなるか。GPSや通信用衛星の助けを借りずに米軍は有効な反撃ができるだろうか。中国の対衛星攻撃手段への警戒心が急に高まっているのは当然だろう。
米国にも同等の能力があるが、実施に移せばエスカレーションが一気に進む。緊張が高まる中、台湾シナリオで敵の衛星を叩けば一方的に有利な状況が生まれるとすればどうなるか。中国、あるいは米国はどの時点で実力行使に踏み切るだろうか。敵側は壊滅的な破壊を受けてからどう対応してくるだろうか。以下に留意してほしい。米中両国は核兵器を保有しているのである。

肯定的に見てみよう
米国や同盟国が中国と武力衝突する局面に至る可能性は少なからずあるものの、実際に開戦となるかと言われればそのチャンスは低い。今のところは。ただし中国が東シナ海南シナ海で強硬な態度を続けた場合、あるいは習主席が台湾問題の解決を強行した場合は状況が変わる。望むらくは危惧が現実にならないことだ。■

Harry Kazianis (@grecianformula) is a Senior Director at the Center for the National Interest. This first appeared several years ago. 

2019年10月28日月曜日

速報 バグダディ殺害:イスラム国は本当に崩壊するのか

最高指導者の死亡で組織は崩壊と、能天気なことを言う向きがありますが、世界は警戒を解くべきではない、ということでしょうか。今回は速報としてお伝えしますが、まもなく作戦実施の情報が出てくると思いますので別途お伝えすることにいたしましょう。


Abu Bakr al-Baghdadi Is Dead (But His Legacy Lives on) アブ・バカ・アル-バグダディは死んだがその遺産は生き続ける

October 27, 2019  Topic: Security  Blog Brand: Middle East Watch  Tags: Abu Bakr Al-BaghdadiBaghdadiIraqSyriaISIS

ナルド・トランプ大統領は米軍がイスラム国指導者アブ・バカ・アル-バグダディを土曜日早朝に強襲したところ本人が自爆し、配偶者数名と死亡したと発表した。自身の子どもたちは生存しているという。
バグダディの排除は一つの勝利であることは確かだが、それをもってシリア北東部からの米軍撤退とシリア民主軍(SDF)との協力関係を放棄する大統領判断の裏付けにはならない。事実、SDFを指揮するマズロウム・アブディはバグダディ死亡の報をうけて発信したメールで今回の作戦は五ヶ月に及ぶ米軍とSDFの「共同情報収集」で実現したと述べている。
ましてやバグダディの死でイスラム国の脅威が終焉したわけでもない。
2006年に当時ニューズウィーク特派員のマシュー・フィリップスはブッシュ大統領が最高権威者カリフの用語を歴史的な背景を理解せずに口にしていると報じた。
カリフを自称したバグダディだがその死後にイスラム国はどうなるのか。イスラム国は最盛期にイラク、シリアの三分の一の地域を支配し、世界各地のイスラム過激派を刺激した。ヤジディ族や非イスラム教徒を奴隷にし、イスラム世界でも数世紀前に消滅した奴隷制を復活させた。従来の夢想を現実化した本人の実績は今後数世代にわたり共感を与えそうだ。
だが今回の殺害で本質的な変化は生まれるのか。アルカイダ指導者だったオサマ・ビン・ラディンの発言が有名だ。「強い馬と弱い馬を目にすれば、強い馬を気にいるのは当然だろう」 たぶん、このためトランプ大統領が「本人は犬のように死んだ、臆病者のように死んだ」と述べたのだろう。
問題はバグダディの死亡は最初から想定ずみのイデオロギーとしてイスラム国が広げたことだ。イスラム神学者ツルキ・アル-ビナリ(イスラム国の教理を支えた)は世界の終焉までにカリフは12名登場し、バグダディは8番目とした。
ということはバグダディを権力の座につけたのと同じ力と情熱を後継者が現実に移す可能性があり、第九番目のカリフとして正当性を主張することになる。これに失敗すれば、信心が足りなかったと解釈される。いずれにせよ、バグダディの抱いた夢は今後も続く。
筆者は先週の大部分をアフガニスタンとパキスタンで政界、軍部の関係者と話をしてきた。アフガニスタンが見出しに出ることは最近は殆どない。その少ない例はタリバンのテロ攻撃であったり米特使ザルメイ・ハリザドがめざすタリバンとの合意形成の報道だ。いずれの場合でもアフガニスタン、パキスタン両国の関係者に危惧の対象となるが、実は最大の懸念はイスラム国が両国にまたがった存在意義を構築していることだ。例として10月18日、自爆攻撃でアフガニスタンのナンガハール村の金曜日礼拝で数十名が死亡した。アフガニスタン当局はタリバンよりイスラム国の犯行らしいとする。その理由として同村のモスクにイスラム国から事前に脅迫が届いていたからという。
トランプ及び米軍部隊には血にまみれたカリフを自称する人物の排除成功したことで称賛を与えて良い。だが本人を最高地位に登らせた力学が本人の死亡で終焉したと考えるとすればあまりにも単純すぎる。トランプは序章を終えただけにすぎず、バグダディの描いたイスラム帝国構想の第二章がこれから始まり、数年間、数十年間あるいは数世紀にわたり展開すると見るべきだろう。■

Michael Rubin is a resident scholar at the American Enterprise Institute (AEI). You can follow him on Twitter: @mrubin1971.

2019年10月27日日曜日

F-15EX、F-35のどちらが米空軍の今後に役立つ機材になるのか


Fighter Faceoff: Should The Air Force Buy More F-35s Or The F-15EX? 戦闘機真っ向勝負。空軍はF-35、F-15EXのどちらを導入すべきなのか。

Which is right for the Air Force of the future? どちらが空軍の将来に有益な機種なのか
Key point: Both are capable jets, but are tailored to exceed at specific missions.
軍の予算7,380億ドルは前例のない規模だが、事業受注をめぐる争いは熾烈を極めている。
中でも注目を集めているのが空軍が旧式戦闘機F-15イーグルの新型機種の調達に向かい、最新式F-35ライトニングの予算を流用する動きの去就だ。
話をややこしくしているのは両機種の想定任務が異なることだ。
単発のF-35Aは強固な防御体制の敵領空にステルス性で侵入し攻撃を加え、強力なセンサーで敵軍の追撃を逃れる設計だ。 A
これに対し退役が近づいてきたF-15Cは双発で空対空戦専用機材で米国周辺や海外基地付近の空域を哨戒し、敵の侵入を撃退するのが役目だ。F-15にはステルス性はないが、最高速度はマッハ2.5とF-35より33%高く、航続距離も長い。
ここ数年で海外からF-15の強化改修型への発注が続いており、ボーイングはF-15EXとして新技術を盛り込んだ機材を提供する。その中にはF-15Cでは不可能だった多任務能力もある。
F-15EX推進派からは調達はF-35予算を使うものではないとの主張があるが、ロッキード他空軍将官は別の見解で、激しく同機に反対意見を展開してる。国防総省はボーイングに有利な結論を出すことが続いており、実際に長官代行にはボーイング元役員が就任していた。
現時点でF-15EXは8機を11億ドルで初回発注されており、さらに144機が加わる可能性がある。
では両機種は実際のミッションでどこまでの効果を見せるのだろうか。

侵攻攻撃
ロシア、中国や機材輸入国は一層強力なレーダーや地対空ミサイル装備の導入に向かっており、F-15EX含む通常型戦闘機なら100マイル地点から探知し攻撃できる。
防空体制で生き残るため、第4世代機はSAM対抗手段各種を駆使せざるを得ず、ジャミング機材、HARM対レーダーミサイルやワイルド・ウィーゼル攻撃隊や高価な長距離スタンドオフミサイルも必要だ。こうした集中運用をしても脆弱性が消えるわけではなく、数日数週間に渡る実施で防空ネットワークを弱体化させるねらいだが、初期段階で全日の攻撃は実施できないだろう。
比較すると、ステルス機はレーダー断面積が小さく、ごく短距離で標的捕捉レーダーに捕まるだけで、敵レーダー網の「バブル」の間に容易に侵入し、短距離誘導兵器を発射できる。つまり、F-35は開戦日に敵の領空内を自由に飛び回れる。
さらにF-35推進派からはステルス機により多数の機材を動員する大規模攻撃は不要になると、1991年湾岸戦争時の空軍作戦を念頭にした発言が出ている。

制空権を確立した空域での航空支援・阻止作戦
タリバンやISISが相手の戦闘で高高度対応の対空装備がない環境なら、ステルス性能は無用の存在となる。代わりに戦闘地区上空で滞空し、正確にペイロードを投下する性能が鍵となる。
F-35だと機内兵装庫に4発ないし6発しか搭載できない。ステルスが不要で有利な状況の戦闘シナリオでは「ビーストモード」のF-35は機体外部にさらに4発から6発を搭載できる。だが前口上ばかり先立つこの機能はまだ開発が終わっていない。
旧型F-15Cは地上攻撃は想定していないが、F-15EXは想定しており、より多くの地上攻撃兵装を主翼下に搭載できる。
それでもF-35には別の利点がある。同機のネットワーク対応センサー一式は敵の位置を探知し、友軍と情報共有できるのだ。

迎撃・領空防衛
F-15EXとはF-15Cが行ってきた空中哨戒任務を肩代りするのが主な役割だ。中国やロシアはひんぱんに空域に接近しており、インターセプトの回数は増えている。
そのためF-15C後継機には平時、有事ともに効率よく任務を達成できるかが問われる。
F-15は平時の航空哨戒に適した機材で1,200マイルの戦闘半径により長時間の哨戒ができ、空中給油機の出番も少なくなる。これに対し、F-35Aでは770マイルしかない。さらもイーグルが双発なことからエンジン一基が不調となっても無事生還できる可能性が高い。実際に単発のF-16の事故率はF-15より高いる。
打ち合いの戦闘になれば最高速度とミサイル搭載本数の多さでF-15は特殊4発搭載ラックまで使えば20本とF-35の六本より多く、F-15なら爆撃機の迎撃に適しており、多くのミサイルで有利となる。
ただしF-35推進派はステルスにより同機は敵爆撃機を奇襲攻撃でき、撃墜の可能性は十分あると主張し、敵援護機の攻撃から逃れるともいう。

航空優勢Air Superiority
航空優勢の概念は敵戦闘機を有利な形で排除し空域を制圧することを指す。航空優勢戦闘機は有視界距離(WVR)での戦闘で操縦性の高さが必須とされてきた。敵戦闘機は視界外(BVR)ミサイルの攻撃を恐れて避難すると言われてきた。
F-15EXはBVRだと敵戦闘機の攻撃に脆弱度が高い。とくに改良型4.5世代機のSu-35や中国ステルス機の成都J-20が相手だと歩が悪い。端的に言って、F-15でも敵の4.5世代機を遠方から撃破できるし、大量のミサイルを運用できるが同時に脆弱でもある。
近距離ではF-15はF-35より有利だ。F-35は赤外線やレーダー探知を受けやすい。高度の機動性を誇るF-22ラプターとの比較ではF-35はWVR戦には適合していると言い難い。.
だが空軍によればレッドフラッグ演習でF-35は非ステルス機に対し圧倒的有利で20対1で勝っている。

納税者負担と官僚制度の判断は
予想に反しF-35Aは決してF-15EXより高価ではない。ともに85百万ドルの機体単価だ。これはF-35でペンタゴンの想定する2千機もの生産規模を反映し単価切り下げが効果を上げていることを意味する。
ただし、F-15EXに価格優位性が生まれるとすれば、運用経費の分野だ。F-15EXの一時間あたり経費は27千ドルになる予想で空軍は40年間供用しているF-15の構造を熟知しているため、F-15EXの稼働率は高くなるだろうが、現時点でF-35では恐ろしく低い。
とはいえF-15EXの命運は政治部門に大きく左右される。あくまでも同機調達は文民が主張したもので軍人の支持は少ない。そうなると政権交代になればF-15EXは生き残れなくなる可能性もある。
仮に空軍がF-15EXを不採用としたら、F-35を迎撃や航空哨戒に投入すべく航続距離延長型の検討を迫られるだろう。2019年の空軍は完全新規の第6世代有人機開発にますます消極的になっている。■

Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring. This article first appeared earlier this year.