2026年6月5日金曜日

アフリカでのテロ組織の拡大をCSISが警告。米アフリカ軍は縮小中。アフリカへ対する安全保障の関心は低いままということでしょうか。アルカイダ、ISなどひそかに勢力を強めていることが心配なのですが

 

米国が撤退中のアフリカでテロ脅威が高まっているとCSISが警告

Experts warn terrorism threat is rising in Africa as US pulls back

https://www.defensenews.com/news/pentagon-congress/2026/06/03/experts-warn-terrorism-threat-is-rising-in-africa-as-us-pulls-back/

2011年2月17日(木)ソマリアのモガディシュ郊外で行われた軍事演習中、武器を携え行進するアル・シャバブ戦闘員。(AP通信/モハメド・シェイク・ノール、アーカイブ)

略国際問題研究所(CSIS)は年次リスク分析報告書で、アフリカの「ホーン地域」から「サヘル地域」に至るまで、ジハード主義勢力の戦線が勢力を拡大していると警告している。

「2026年世界テロ脅威評価(Global Terrorism Threat Assessment 2026)」は、アルカイダやイスラム国(IS)の関連組織の能力が高まっていることを挙げ、同大陸におけるテロリズムを「最大の不確実性」と位置づけた。

「中東のテロ組織と異なり、アフリカのテロ組織のほとんどは疑いようもなく勢力を拡大している」と著者らは記し、戦闘部隊の規模拡大、資金力の増大、そして広大な地域を移動する能力を指摘した。

また、多くの組織が無人航空機システムや人工知能を活用し、殺傷能力を高めている。

「新たな能力は、国際テロリストにとって新たな活動形態、支援手段、そして動機付けをもたらすもので、国家側にも新技術を活用する新たな対応が求められる」と報告書は述べている。「技術革新のペースが加速していることを踏まえれば、テロリストと対テロ部隊が今後どのように対峙していくか、その未来はますます不透明になっている。」

同報告書は、ソマリアを拠点とするアルカイダ系組織「アル・シャバブ」を、アフリカで最も能力が高く、おそらく最大規模のテロ組織であり、米国に対する攻撃意図が最も明確に示されていると分類している。ただし、著者らは、この組織が米国本土に対する差し迫った脅威であると断定するまでには至っていない。

「アル・シャバブは地域的な目標に注力しているようであり、アフリカのテロ組織が米国本土に対して大量殺戮攻撃を仕掛ける可能性は依然として低い」と著者らは記している。

一方、紛争データを収集する非営利団体ACLEDの記録によると、2025年の11月までに発生したISISの活動のほぼ80%がアフリカで発生しており、前年比で50%の増加となっている。

この急増の中心が、イスラム国西アフリカ州(ISWAP)である。サヘル地域に拠点を置くこの強力な反政府勢力ネットワークは、アフリカ大陸におけるアル・シャバブの支配に対する最大の脅威で、同地域のイスラム国各支部間の情報収集や後方支援の調整拠点としての役割をますます強めている。

「ISWAPは最近、国際的なイスラム国組織が派遣した指導員による外部支援も受けており、これにより無人航空機(UAS)の運用、高度な爆発物の組み立て、および軍事戦術におけるISWAPの能力が強化されている」と著者らは記している。

トランプ政権は最近、アフリカにおける対テロ戦略を以下の2つの戦域に集中させている。一つは、米アフリカ軍(AFRICOM)が空爆とドローン攻撃を強化しているソマリアで、もう一つは、ワシントンが現地のパートナーと共に一連の空爆を開始し、訓練活動を支援するために少数の米軍要員を派遣しているナイジェリアである。

しかし、こうした動きは、米国がアフリカにおける軍事プレゼンスを75%削減した中で起こっている。

AFRICOMのダグヴィン・アンダーソン司令官は5月、議員らに対し、米国および同盟軍の撤退がアフリカ大陸に「情報上のブラックホール」を生み出したと述べた。アンダーソン司令官はまた、自身の指揮下にある部隊が「必要最小限の資源」で活動しており、兵力の縮小が危機への対応能力を損なっていると強調した。■

ターニャ・ヌーリーについて

ターニャ・ヌーリーは、『ミリタリー・タイムズ』および『ディフェンス・ニュース』の記者であり、ホワイトハウスと国防総省を主な取材対象としている。

AUKUS 米国はオーストラリアに現在供用中のヴァージニア級SSN3隻を売却する案に変更

 

オーストラリア向け「ヴァージニア」級潜水艦3隻を売却案は新型1隻・就役中2隻から就役中3隻に変更

U.S. Will Sell 3 In-service Virginia Subs to Australia Instead of 1 New, 2 In-service

https://news.usni.org/2026/06/01/u-s-will-sell-3-in-service-ヴァージニア- subs-to-australia-instead-of-1-new-2-in-service

2025年2月25日、オーストラリア・西オーストラリア州のHMASスターリングにて、ヴァージニア級高速攻撃型潜水艦USSミネソタ(SSN 783)に配属された乗組員が係留作業を行っている。米海軍写真

国は、就役中のヴァージニア級潜水艦3隻をオーストラリアに対し、売却する方針を固めた。これは当初計画されていた「新型1隻と就役中2隻のヴァージニア級潜水艦の取得」からの方針転換で、米豪両国は土曜日これを発表した。

ピート・ヘグセス米国防長官、リチャード・マールズ豪国防相、ジョン・ヒーリー英国防相は、シンガポールで開催された国際戦略研究所(IISS)主催のシャングリラ・ダイアローグの場外で行われたAUKUS国防相会合において、AUKUSの調達計画の修正を発表した。

「副首相および各国防長官は、オーストラリアによるヴァージニア級潜水艦(VCS)の取得を合理化し、サプライチェーン管理、運用および保守要件を簡素化し、コスト効率を最大化するという提案されたアプローチを歓迎した。このアプローチにより、オーストラリアは、新造艦と就役中VCSを組み合わせた構成に代わり、就役中VCSを3隻取得することが可能となる」と、発表後に発行された共同声明には記されている。

この3カ国間合意に基づき、オーストラリアが自国の原子力潜水艦能力を構築・維持するため必要な国内インフラと人材を育成する間、米国は2030年代からオーストラリアに対し、ヴァージニア級攻撃型潜水艦を売却する予定であった。以前の合意条件では、オーストラリアは新型のブロックVII型潜水艦1隻と、すでに米海軍で就役しているブロックIV型ヴァージニア級潜水艦2隻を購入する予定だった。さらに、英国とオーストラリアの共同事業である「SSN AUKUS」と呼ばれる新型原子力潜水艦の設計が、2040年代に就役する予定となっている。

日曜日の記者会見で、マールズ大臣は、条件変更の決定は、オーストラリアの将来の潜水艦運用を簡素化するために行われたと述べた。オーストラリアは当初、現役のコリンズ級潜水艦の就役期間を延長し、中古のヴァージニア級潜水艦2隻、新造のヴァージニア級1隻、そしてSSN-AUKUS潜水艦と共に運用する計画だった。これを実行すれば、オーストラリアは将来的に4種類の潜水艦を運用することになる。

記者会見の議事録によると、マールズ大臣は「潜水艦艦隊の運用という点で、かなり複雑になってしまう」と述べた。

マールズ代位jんによれば、中古潜水艦3隻の取得は、ヴァージニア級潜水艦3隻を取得するよりも簡素で費用対効果の高い道筋となるという。総コスト削減額はわずかだが、歓迎すべきことだと同氏は述べた。

「我々がこの件について考えているのは、プログラムの総コストがGDPの約0.15%に相当するという点だ。これが最も有用な考え方である。我々がここで行っている取り組みの全期間を通じて、その計算式を根本的に変えるものではないが、助けにはなる。間違いなく助けになる」とマールズ大臣は述べた。

海軍当局者は、オーストラリアにヴァージニア級潜水艦を売却するためには、米国の産業基盤が年間2.33隻の攻撃型潜水艦を建造すると同時に、コロンビア級核弾道ミサイル潜水艦を毎年1隻建造しなければならないと繰り返し述べている。現在、米国の産業基盤では年間約1.3隻の攻撃型潜水艦が建造されている。USNI Newsが以前報じたように、ダリル・コードル海軍作戦部長は5月12日、議会に対し、年間2隻の潜水艦納入目標が2032年に達成されるとの見通しを明らかにした。

しかし、マールズ大臣は、自身とヘグセス氏は生産ペースが改善していると確信していると述べた。

2024年、ジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボート社で建造中のヴァージニア級潜水艦。EB写真

「米国の産業基盤における課題については十分に認識している。しかし、2023年に最適な進路が発表された当初から、そのことは承知していた。だからこそ、生産率の向上を支援するため、米国の産業基盤に対して財政的支援を行っているのだ」とマールズ大臣は述べた。

さらに、オーストラリア技術者たちは現在、原子力潜水艦の整備に従事するため米国で訓練を受けている。マールズ大臣によると、約200人のオーストラリア人が真珠湾に滞在し、米海軍向けのヴァージニア級潜水艦の就役に向けた作業に従事しているという。

マールズ大臣は、2027年の発足に向け順調に進む「潜水艦ローテーション・フォース・ウェスト(Submarine Rotation Force-West)」の設立の重要性について語った。「潜水艦ローテーション・フォース・ウェスト」の下で原子力潜水艦(英国から1隻、米国から最大4隻)が、西オーストラリア州のHMASスターリング海軍基地に輪番配備されることになる。

「これらすべてを総合すると、2020年代初頭にはヴァージニア級潜水艦をオーストラリアに移管する余地が生まれるだろうという確信が持てる」とマールズ大臣は述べた。

土曜日の共同声明では、無人潜水機(UUV)プログラムも発表された。これはAUKUS第2の柱(Pillar II)に基づく初のプログラムであり、各国の防衛部門の知見を結集して、世界中の安全保障を支える先進的な軍事能力を開発するものである。このUUVプログラムは、3カ国すべてのUUV艦隊に配備可能なセンサーや兵器システムなどのペイロード開発を支援する。納入は2027年に開始される予定だ。

「本プロジェクトは、AUKUSパートナー各国の、重要な国家海底インフラの保護能力、最先端の監視・偵察・攻撃能力の展開能力、後方支援作戦の遂行能力を大幅に強化し、対潜水艦戦・対水上戦、機雷対策、電子戦、および競合する沿岸域での機動における優位性を高めることを目的としている」と声明には記されている。

米国防総省のファクトシートによると、このプログラムは2段階のアプローチで進められる。第1段階では、相互交換可能かつ各パートナー国によって統合可能な国家ペイロードが開発される。各国の開発は、ペイロードが提供する効果の種類ごとに異なる焦点を当てる。第2段階では、AUKUSパートナー国が共同で、次世代ペイロードを含む3カ国共通のペイロードおよび基盤技術を開発・生産する。■

ジルハン・マハジル

ジルハン・マハジルは、マレーシアのクアラルンプールを拠点とするフリーランスの防衛ジャーナリスト兼アナリストである。1998年以降、彼が執筆し、現在も寄稿している出版物には、『ディフェンス・レビュー・アジア』、『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』、『ネイビー・インターナショナル』、『インターナショナル・ディフェンス・レビュー』、『アジアン・ディフェンス・ジャーナル』、『ディフェンス・ヘリコプター』、『アジアン・ミリタリー・レビュー』、『アジア・パシフィック・ディフェンス・レポーター』などがある。


ウクライナが有利になってきたのは、ドローン無人システムを巧みに運用する能力によるもの。戦場の常識がかわりつつあるが、まだ日本メディアはロシアの敗北を認めたくないようだ

 Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy inspects a drone with German Federal Chancellor Friedrich Merz at an exhibition of German-Ukrainian products in the Federal Chancellery on April 14, 2026.

2026年4月14日、ドイツ連邦首相府で開催された独・ウクライナ製品展示会にて、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、フリードリヒ・メルツ独連邦首相と共にドローンを視察している。Michael Kappeler/picture alliance via Getty Images

ロボット導入でウクライナは「生き残る」段階を乗り越え、「勝利」が現実の選択肢となってきた

Thanks largely to robots, Ukraine is now talking about winning, not just surviving


ウクライナの無人・自律システム、適応する姿勢が、ロシアの優位性を無力化している

https://www.defenseone.com/technology/2026/06/ukraine-robots-winning/413902/?oref=d1-homepage-river


チェコ共和国・プラハ– 4年前には考えられなかったことを口にする欧州の当局者やアナリストたちが増えつつある。ウクライナはロシアとの過酷な戦争を単に生き延びているだけでなく、ある意味で勢いを増しており、勝利への道筋さえ見えているかもしれない、と。

これはまだ見出しには表れていないが、先週末にウクライナ周辺でロシアのドローンやミサイルが集中攻撃を仕掛けた件などでの詳細、例えば90パーセントが迎撃されたといった点に表れている。

長期的な傾向がウクライナに有利に傾いており、核心的な理由は、AIとロボティクスへの並々ならぬ注力にある。

戦争という試練の中で、ウクライナは領土を維持し、さらには奪還さえできるドローンや地上ロボットを開発してきた。物資補給ロボットや医療搬送車両のように、人間が完全に制御するものもある。しかし、空中ドローンに搭載される誘導システムから最高レベルの意思決定支援に至るまで、数十種類のAI製品によって一部の側面が制御されるケースが増えている。例えば「TFL-1」モジュールは、人間が標的を選択した後、片道飛行ドローンが自律的に機能できるようにし、ジャミングやその他の防御手段に対する脆弱性を低減する。製造元のウクライナ企業The Fourth Lawによると、TFL-1を搭載することでドローンの命中確率は4倍になるという。

技術と同様に重要なのが新戦術だ。実験に異例なまでの自由度を与えられたウクライナの戦闘員たちは、「1年以上前」から、空挺部隊と地上部隊による統合兵科攻撃など、ロボットを前面に押し出した歩兵戦術の概念を開発し始めた。「我々はこれを大規模に導入し始めている」と、国内外の安全保障に関する調整機関であるウクライナ国家安全保障・国防会議のダヴィド・アロイアン副事務局長はインタビューで語った。

ウクライナとパートナー諸国はロシアのドローンに対する高度に自律的な防衛のための新たな構想も急速に推進中で、ISRセンサーとAIを組み合わせ、より短時間で、より確実に敵ドローンを検知・識別しようとしている。

「すべてのシステムが相互に、さらに人間と連携している」とアロイアンは説明した。これにより、必要に応じ起動される迎撃ドローンを各地に配置した分散型ネットワークが構築される。「いずれは、迎撃の承認を担当する要員は10人程度になるだろう。そして、システムが自動的に標的へ直行するようになる」

人間オペレーターも分散配置される。「すべてをキーウやリヴィウ、あるいは他国の都市から制御することが可能だ」と彼は語った。

ウクライナの優位性は、兵器や戦術だけにとどまらない。ロシアや、さらにはキーウを支援する西側諸国を上回り、自律型戦争を軸に教義、調達、補給システムを再構築する意欲がウクライナにはある。

この流れに乗れない国は破滅のリスクを負う、とウクライナ有数のドローンメーカーの代表者が、当地で開催されたGLOBSEC会議で警告した。

「ヨーロッパの我々を恐怖に陥れるべきなのは、ウクライナに起きたこと(つまりロシアによるシャヘド・ドローンの集中攻撃)ではない」と、スワーマーのCEOセルヒー・クプリエンコは述べた。

その代わりに、クプリエンコは、平均的な軍事力(この場合はウクライナ)が、いかに迅速に、精密かつ壊滅的で長距離の打撃能力を身につけたかという点こそが、人々を恐怖に陥れると語った。

クプリエンコは、衛星画像など一部防衛技術分野において「我々は文字通り10年、あるいは20年遅れている」と認めた。にもかかわらず、ウクライナはわずか2年前には乗り越えられないと思われていた能力曲線を登り切った。他の国々も同様だと彼は語った。

「答えは常にAIソリューションにあり、官僚機構内の日常業務にさえAIを統合することにある」と彼は語った。

ウクライナはまた、ロシアの脅威に対抗できる防衛産業を発展させた。その成功は戦場だけでなく、ウクライナ国内で、あるいはウクライナと共同で開発された防衛製品に可能性を見出す増加する海外投資家の数にも反映されている。

「我々は2022年以降進化してきた。産業も、そして防衛体制も同様だ。現在、我々は[大量のドローン]資産だけでなく、エコシステムを構築するために必要なあらゆるもの——部品や生産、訓練、改造などを含めて——を提供できる」とアロイアンは述べた。

攻撃用ドローン万歳

ウクライナの攻撃用ドローンは、他のいかなる要因よりも、ロシアの主要な優位性——経済的に困窮した若年男性の大規模な人口と、死の代償を軽視する傾向——に対抗するのに役立っている。ウラジーミル・プーチン大統領は、前払いボーナスや保険給付で数十万人を動員しており、これはウクライナの戦場で数的優位をもたらすとともに、「低迷するロシア経済に相当の刺激」となっている、と海外在住の経済学者ウラジスラフ・イノゼムツェフは記している。同氏はこのシステムを「デスノミクス(死の経済学)」と呼んでいる。

しかし、兵士を補充できる速度よりも速くドローンが殺戮してしまうなら、人海戦術は無力となる――そして、まさにその状況になっていると、戦争研究所(Institute for the Study of War)は今週記した。

「ウクライナによる中距離および前線でのドローン攻撃作戦の成功は、ロシアが人員を前線へ輸送し、前線の陣地へ物資を供給・維持する能力を制限している」とISWは記した。プーチンは今や、「ますます疲弊するロシア国民に対し、5年目に突入する戦争を支持するだけでなく、すでに100万人以上の犠牲者を出している戦争への強制動員を受け入れるよう説得しなければならない」。

ウクライナによる深部攻撃能力は戦況を一変させている。ロシア領内の奥深くにある石油インフラはもはや安全ではなく、ホワイトハウスが制裁緩和をどうしようと、キーウはモスクワの輸出収入に影響力を行使できるようになった。さらに屈辱的なことに、ドローンの脅威により、プーチンは今月の恒例の戦勝記念日パレードを、ソ連風の戦車やミサイルの整列なしで行わざるを得なかった。

「信じてほしい。我々は50年間ソ連の占領下にあった。戦勝記念日パレードがいかに重要か、我々は知っている」と、エストニアのマルグス・ツァクナ外相はGLOBSECで語った。「プーチンは初めて、このパレードを執り行うことができなかった。これはまさに、見せかけが崩れ去ったということだ。そしてプーチンは、我々だけでなく、ロシア国民にも面目を失いつつある。」

「プーチンは、ウクライナは5日間で解決する問題だと思っていた。率直に言えば、我々も『5日で終わりだ』と言っていた」と、ルクセンブルクのザビエル・ベッテル副首相は述べた。「実際、ウクライナ人の粘り強さは、私たち全員にとって大きな驚きでした。」

情勢の急変

ウクライナの展望がいかに劇的に変化したかを理解するには、3月時点で国家情報局長(ODNI)だったタルシ・ガバードが、米情報機関はロシアが紛争で「優位に立っている」と見なしていたと証言した事実を想起すればよい。

現在、ウクライナ当局者やその他の観測筋は、ウクライナを支援する諸外国の間で時期尚早な勝利意識が広まりつつあることを懸念し始めている。キーウは支援と武器の輸入に依存していることにかわりはない。先週、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、米国から高性能なペイトリオットミサイルの供与を確保するための政府の取り組みについて、引き続き「非常に粘り強く」取り組んでいると述べた。「(米国は)もっと迅速に行動すべきだと考えている」と、彼はスウェーデン訪問中に記者団に語った

しかし、一部の欧州諸国政府は、単にウクライナのためだけでなく、自国の利益のためにも、欧州の新たな防衛リーダーとのより深い関係を築くことに、これまで以上に意欲的だ。

「これは将来的に、欧州連合(EU)やNATOの拡大プロセスを意味する」とエストニアのツァフクナは述べた。「ウクライナに対する、そしてウクライナのための安全保障の保証を意味するだけでなく、その逆もまた然りだ。なぜなら、実際にはウクライナは現在、欧州最大の軍事大国で産業基盤も拡大しているからだ」

ウクライナ政府にとって、勝利宣言するには、単に戦闘行為の停止だけでは不十分だ。アロイアンは、2014年のクリミア侵攻後に見られたような再軍備を許さないよう、侵略国を「はるかに弱体化」させなければならないと述べた。

「停戦が成立するとしても、制裁解除には極めて厳しい条件と困難な交渉が伴い、その時期も不透明だ」と彼は述べた。そうでなければ、ロシアは「全面侵攻前の段階ですべての(軍事増強の)プロセスを再開するだろう」。

「現在、ロシアは経済の約30%を防衛産業に充てようとしている」が、これは過剰だと彼は指摘した。

20世紀末からロシアを率いてきたプーチンの失脚では不十分だろう。

「体制の変化は、単に外部からであってはならない。内部からのものでもあるべきだ」と彼は語った。

もしそれが実現すれば、功績の多くはウクライナのドローンの製造者や運用者に帰属することになるだろう。■


米海兵隊のAV-8BハリアーIIがついに退役し、長く続いた供用に幕。海兵隊はF-35B/Cの運用に注力する

 

A Marine AV-8B Harrier takes off from amphibious assault ship USS Tarawa (LHA 1) just before sunset. Tarawa, along with embarked 11th Marine Expeditionary Unit, is on a scheduled deployment to the Western Pacific in support of maritime security operations and the Global War on Terrorism.米海軍写真/二等兵曹 デビッド・ブランデンバーグ

米海兵隊のAV-8Bハリアーが夕陽に向け飛び去った

The USMC’s AV-8B Harrier Has Flown Off Into The Sunset


「ハリアー・サンダウン」式典は、50年以上にわたる海兵隊の垂直離着陸機運用に幕を下ろした

https://www.twz.com/air/marines-av-8-harrier-jump-jet-takes-its-final-bow

AV-8B ハリアーIIの紛れもない轟音は、40年以上にわたり米海兵隊航空部隊のサウンドトラックとなってきた。中東やアフガニスタンの砂漠から、海上の強襲揚陸艦の甲板に至るまで、短い滑走路からの離陸、過酷な前線基地での運用、そして垂直着陸が可能なこの機体は、米軍マークを掲げた戦闘機の中でも最も特徴的な機体の一つとなった。その前身である初代AV-8Aハリアーは、1971年に海兵隊に導入されて以来、米軍における「ジャンプジェット」の先駆けとなっていた。

その輝かしい時代は幕を閉じた。

A Marine plane captain, from Marine Attack Squadron 223, Cherry Point, North Carolina, observes pre-flight checks of an AV-8B Harrier at Gowen Field, Boise, Idaho, April 19, 2021. The checks are designed to operational check various flight controls of the aircraft.2021年4月、アイダホ州ボイシのゴーエン・フィールドにて、ノースカロライナ州チェリーポイントの第223海兵攻撃飛行隊所属の海兵隊機長が、AV-8Bの飛行前点検を見守る。米国空軍州兵、ジョシュア・C・オールマラス上級曹長撮影

本日の式典で、海兵隊はAV-8Bに公式に別れを告げた。最後の現役ハリアーII部隊「ブルドッグス」の海兵隊攻撃飛行隊第223飛行隊(VMA-223)が、ノースカロライナ州チェリーポイント海兵隊航空基地にて同機の退役を記念した。

行事で海兵隊航空史における輝かしい一章に幕を閉じた。ハリアーの退役は、単なる航空機の引退にとどまらない。それは、何世代にもわたり海兵隊の航空戦力を形作り、海兵隊の遠征部隊としての特性を確立するのに貢献した戦術概念の終焉を意味する。

2026年5月15日、第2海兵航空団第14海兵航空群第223海兵攻撃飛行隊所属の米海兵隊AV-8Bが、ノースカロライナ州の海岸上空を飛行している。米海兵隊写真:ランス・コーポラル・ペリー・ウッド

ハリアーは単なる攻撃機ではなかった。同機は飛行場が存在するか否かにかかわらず、海兵隊が戦う場所ならどこへでも航空戦力を投入するという、海兵隊の長年にわたる決意を具現化した。

ハリアーの物語は、AV-8が米軍に導入される前から始まっていた。英国のホーカー・シドレー・ハリアー垂直離着陸機を基に開発されたこの機体は、垂直・短距離離着陸(V/STOL)という画期的なコンセプトを中心に設計された。エンジンノズルの向きを変えることで、この機体は即席の場所や道路、損傷した飛行場、さらには小さな艦船の甲板からも離陸できた。冷戦時代、計画立案者たちが通常の滑走路が大規模な紛争にで真っ先に破壊される標的となることを懸念していた当時、このコンセプトには明らかな魅力があったが、V/STOL戦闘機として真の成功を収めたのはハリアーだけだった。

海兵隊は早い段階からこの構想を受け入れた。初代AV-8Aがコンセプトの実証を果たした一方、AV-8BハリアーIIはそれを真に有能な戦場攻撃機へと変貌させた。AV-8Bは、より大型の複合材製主翼、性能の向上、積載量の増加、そして大幅に強化されたエイビオニクスを特徴としていた。その後の改修で夜間攻撃能力やレーダー装備型AV-8Bプラスが導入され、21世紀に入っても現役としての価値を維持した。近年、海兵隊で現役の単座機はすべて、F/A-18A/Bホーネットから中古で流用されたAN/APG-65レーダーを装備した「レーダー機」となり強力な対空戦闘能力を獲得していた。

150719-N-NP779-003 INDIAN OCEAN (July 23, 2015) – Marine Sgt. Richard Szmygiel, from Oceanside, N.Y., and Marine Cpl. Erin Smith, from Spokane, Wash., VMA 311 ), work on a RADAR in the nose of an AV8B Harrier on the flight deck onboard forward-deployed amphibious assault ship USS Bonhomme Richard (LHD6). Bonhomme Richard is the lead ship of the Bonhomme Richard Expeditionary Strike Group and is on patrol in the U.S. 7th Fleet area of responsibility. (U.S Navy photo by Mass Communication Specialist 1st Class Ty C. Connors/ Released)水陸両用強襲揚陸艦「ボノム・リチャード」(LHD-6)の飛行甲板上で、AV-8Bの機首にあるレーダーの整備を行う海兵隊員たち。米海軍写真:マス・コミュニケーション・スペシャリスト1等兵 タイ・C・コナーズ/公開済み

ハリアーを傑出したものにしていたのは、ホバリング能力だけではなかった。その真価は柔軟性だった。海兵隊指揮官は、ハリアーを最前線の部隊の近くに配置することができ、それによって対応時間を短縮し、近接航空支援任務の有効性を高めた。この航空機は、強襲揚陸艦から作戦を展開する海兵隊遠征部隊にとって、うってつけの存在となった。その独自の能力により、固定翼戦術航空部隊が、従来の飛行場や空母から遠く離れた場所でも海兵隊に同行することが可能になったのである。

An AV-8B Harrier assigned to Marine Attack Squadron (VMA) 311 lands aboard the Tarawa-class amphibious assault ship USS Peleliu (LHA 5) as it steams through the South China Sea. Peleliu is the flaghsip of the Peleliu Expeditionary Strike Group and is on a scheduled deployment. (U.S. Navy photo/Petty Officer 2nd Class Scott Webb)2008年6月、南シナ海を航行中の強襲揚陸艦「ペリリュー」(LHA-5)に、海兵隊攻撃飛行隊第311飛行隊所属のAV-8Bが着艦する様子。米海軍写真/二等兵曹スコット・ウェッブ

ハリアーは瞬く間に実戦能力を証明した。

1991年の「砂漠の嵐作戦」において、海兵隊のハリアーは連合軍地上部隊を支援するため出撃を数千回行った。同機は過酷な条件下での飛行においても、高い作戦ペースを維持できる能力を実証した。その後の数十年間、ハリアーはバルカン半島、アフガニスタン、イラク、リビアでの任務やISISに対する作戦を含め、海兵隊のほぼすべての主要な戦闘作戦に参加した。

「デザート・シールド作戦」中、海兵隊のAV-8B 2機に対し、水陸両用強襲揚陸艦「ナッソー」(LHA-4)からの離陸準備として、最終離陸前点検が行われている。米国防総省

9.11以降の絶え間ない作戦展開の期間は、間違いなくハリアーにとって決定的な時期となった。AV-8Bは対反乱戦に極めて適していた。高度なターゲットポッドと精密誘導弾を装備した海兵隊のハリアーは、イラクやアフガニスタン上空で頻繁に見られる存在となり、地上部隊のすぐ近くで行動できる能力が特に高く評価された。

しかし、ハリアーが実戦で価値を証明し続けていた一方で、その将来はますます不透明になっていった。

Lt. Col. Thomas D. Gore, former commanding officer of Marine Attack Squadron 223, and a native of Tampa, Fla., pilots an AV-8B Harrier over the Kajaki Dam in Helmand province, Afghanistan, Nov. 20. From November 2011 to May 2012, VMA-223 provided close-air support for Marines and their Afghan and coalition partners conducting counterinsurgency operations in southwestern Afghanistan.

海兵隊第223攻撃飛行隊の元司令官、トーマス・D・ゴア中佐が、アフガニスタン・ヘルマンド州のカジャキダム上空でAV-8Bを操縦している。2011年11月から2012年5月にかけて、VMA-223はアフガニスタン南西部で対反乱作戦を展開する海兵隊およびアフガニスタン・連合軍パートナーに対し、近接航空支援を提供した。米国防総省

機体の老朽化、整備の負担、そして限られた発展の可能性が、命取りとなった。また、この機はパイロットへの負担も著しく大きく、安全かつ効率的に運用するためには独自の訓練カリキュラムが必要とされた。

高度な能力を持つ敵との将来の紛争における要求を見据え、海兵隊航空計画担当者は、次世代の垂直離着陸機には、第4世代攻撃機が提供できるものを超えるステルス性、高度なセンサー、ネットワーク戦能力、そして全体的な生存性が求められるとの結論に達した。

その答えがF-35B ライトニングIIだった。

ハリアーと同様、F-35Bは短距離離陸・垂直着陸能力を備えている。しかしハリアーと異なり、ステルス技術、センサーフュージョン、強力な電子戦システム、そして戦域全体で情報収集拠点として機能する能力を兼ね備えている。海兵隊航空部隊の指導者にとって、F-35Bは、ハリアーが切り拓いた遠征戦力の優位性を維持しつつ、戦闘能力を劇的に拡大する道筋を示した。

しかし注目すべきは、海兵隊が大型空母からも運用可能なF-35C型も調達している点である。

海兵隊のハリアー飛行隊は、次々とF-35Bへ転換を開始した。機体は退役し、整備員は再訓練を受け、パイロットは新しいプラットフォームへ移行した。このプロセスは、海兵隊が将来の紛争、特にインド太平洋地域での紛争に備えることに焦点を当てた、より広範な近代化の取り組みを進めるにつれて加速した。

ハリアーからの完全移行は、2022年の海兵隊航空計画に盛り込まれていた。『U.S. Marine Corps』

ハリアーの退役が近づく兆候は、ますます顕著になっていった。2024年、最後の2名の海兵隊パイロットがAV-8Bの資格訓練を修了し、海兵隊にハリアーパイロットとして認定された最後の飛行士となった。彼らの卒業は、「フライング・レザーネック」ことハリアー・コミュニティの終焉の始まりを告げるものだった。

2026年5月19日、ノースカロライナ州チェリーポイント海兵隊航空基地にて、第223海兵攻撃飛行隊所属のAV-8Bハリアー操縦士兼副官であるエリック・シーベ少佐と、同飛行隊の固定翼機整備士であるタチアナ・リオス軍曹が、記念飛行に参加した。写真:ブライアン・ジラルド一等兵(米国海兵隊)

作戦活動の最終章を飾ったのは、最後までハリアーの旗を掲げ続けたVMA-223だった。揚陸艦「イオージマ」(LHD-7)への展開は、海兵隊ハリアーにとって最後の作戦展開となった。

「イオージマ」水陸両用即応群(ARG)の一員として、第22海兵遠征部隊とそのハリアー機は、カリブ海で違法薬物を積載している疑いのある船舶に対する米国の攻撃作戦である「サザン・スピア作戦」に参加した。「イオージマ」ARGは、今年初めのヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の捕獲作戦でも同地域に展開していた。

飛行隊が任務を完了し、最後の機体が帰還すると、退役へのカウントダウンは最終段階に入った。

この機体を操縦し、整備してきた海兵隊員たちにとって、退役は複雑な心境を伴う。ハリアーは敬意を払うに値する機体だった。独特な飛行特性と垂直着陸運用には、パイロットに並外れた技能が求められた。整備員は、老朽化した機体を任務遂行可能な状態に保つため、休む間もなく働いた。しかし、そうした困難こそが、米軍において他に類を見ないこのプラットフォームを中心に、結束の固いコミュニティを築いたのだ。■


2026年6月4日木曜日

台湾の複雑な国内事情―米国はじめ西側は台湾を中国ではなく台湾として正しく理解すべきである―可決した国防予算案は妥協の産物だ

 Between Beijing and the Budget: The Domestic Realities of Taiwan’s Defense Spending Drama

画像:KOKUYO via Wikimedia Commons

北京と予算駆け引きの間に揺れる台湾の防衛予算には国内事情があった

Between Beijing and the Budget: The Domestic Realities of Taiwan’s Defense Spending Drama

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5月8日、台湾の立法院は、250億ドルの国防予算案を可決し、6ヶ月間に及ぶ厳しい膠着状態を打破した。この動きは観測筋を驚かせた。この採決により、米台関係を危機的状況に追い込んでいた立法上の行き詰まりが、突然終結したからだ。数ヶ月にわたり、台湾の防衛政策の行方に対しワシントンで長くくすぶっていた不満は、保留中の防衛関連法案を承認するよう台湾に求める、米国上院議員による前例のない超党派の公開書簡をきっかけに、爆発寸前にまで高まっていた。台湾最大の野党国民党の新任党首鄭麗雲Cheng Li-wunが、習近平総書記と会談するため、物議を醸す「平和」使節団として北京を訪れたことで、事態はさらに緊迫した様相を呈した。メディア報道は、鄭による対話への呼びかけと、ワシントンへの批判を併せて大きく取り上げた。こうした報道は、野党が頼清徳 Lai Ching-te 総統の400億ドル規模の特別防衛予算の可決を拒否し、北京への目立った接近を図っていることは、自らの存続への投資を拒む妥協的な同盟国であることを示唆しているという、ワシントンで高まりつつある物語に拍車をかけていた。

しかし、この見方は台湾の国内実情を過度なまで単純化しており、問題そのものと適切な政策対応の両方で誤った診断を下すリスクがある。同国の防衛の軌跡は、国家の「戦う意志」の問題というよりは、複雑な国内政治的な駆け引きの結果なのだ。米国メディアは予算の可決を、ワシントンの圧力キャンペーンの正当化として描くかもしれないが、立法の細則を詳しく見れば、明確な勝利というよりは、ぎこちない妥協であることがわかる。当初の要求額から150億ドル削減されたことや、米国製装備への厳格な用途指定——真の「ヤマアラシ」戦略 “porcupine” strategy に不可欠な国内のイノベーションを軽視する形となったこと——は、台湾の国内政治に残る障壁を浮き彫りにしている。

これからのワシントンは台湾を自国の対中政策という狭い視点で見ることを超越し、活気に満ち、しばしば分裂する民主主義に内在する国内の圧力について理解を深めるべきである。台湾を独自の内部論理を持つ自律的な主体として認識してこそ、米国の政策立案者は度重なる挫折を乗り越え、相互の安全保障を脅かし続ける立法上のボトルネックの解決に貢献できるのだ。

分断された政府と10%の要求:特別予算をめぐる構造的な行き詰まり

台湾の国防予算をめぐる膠着状態は、台北の視点から見れば戦略的に達成不可能な一連の米国側の要求から始まった。2025年3月の上院承認公聴会で、国防次官(政策担当)候補のエルブリッジ・コルビーは、強硬な負担分担の姿勢を明確に示し北京による軍事力の増強が激化していることを踏まえ、台湾はGDPの10%を防衛費に充てるべきだと示唆した。台湾の政策立案者にとって、この要求の規模は財政上の無責任と紙一重であった。2025年の税収対GDP比が14.7%である状況下で国防費に10%を充てることは事実上不可能である。現在の2.45%からこの水準へ引き上げるには、主要な国内の社会福祉や医療プログラムの予算を削減するような、戦時動員に匹敵する措置が必要となる。歴史的な文脈で言えば、米国でこの水準に達したのは、朝鮮戦争やベトナム戦争の最盛期に限られていた。

経済的現実を踏まえつつ決意を示すため、2025年11月、ライ総統は2030年までに国防費をGDPの5%とする妥協案を公約した。この構想を実現するため、画期的な400億ドル規模の8年間にわたる「特別防衛予算」を提案した。これは、通常の立法上の上限や長期にわたる手続きを回避し、米国からの調達を加速させることを目的としたものである。ワシントンはライ提案に好意的に反応し、国務省は歓迎のコメントを発表し、超党派の議員連合もこの公約を称賛した。

ワシントンの視点から見れば、台北に増税を行う財政的余裕と、この投資に対する明確な戦略的必要性があれば、この予算案は台湾国民に対して容易に受け入れられるはずだ。しかし現実には道のりは険しい。数十年にわたる防衛軽視のため近代化は停滞し、制度的な惰性が根深く定着したままだ。現与党の民進党はこの傾向を逆転させ、2019年以降61%の支出増を実現してきたが、この軌道は持続不可能である可能性が高い。長年の停滞を打破するため必要な政治的決意は、支出増にますます警戒感を強める国民や立法府と衝突している。この抵抗は、2021年に蔡英文政権が86億ドルの特別予算を可決した際にも表面化していた。この取り組みは、このような急速な増額の持続可能性をめぐる国内での激しい議論の始まりとなった。

台湾の税収対GDP比は低い水準にあるものの、この比率が2025年に26年ぶりの高水準に達したことで、財政的疲弊感が生じている。長年の着実な成長に大幅な増額を加えること自体が困難な政治的課題である上、過去の特別予算の4倍規模となるライ提案ならなおさらである。政治的現実が、この野心を複雑にしている。2024年の選挙後、台湾は与党が立法府の過半数を占めない「分断政府」の時代に入った。立法院は現在、国民党と台湾人民党の連立政権に支配されており、台湾人民党の8議席が決定的な「キングメーカー」の役割を果たしている。この構造変化が、大きな障壁を築いた。野党が特別国防予算案を8回も審議を遅らせた末、法案は2026年3月6日にようやく委員会段階に進み、2ヶ月間にわたる厳しい精査を経て、重大な意味を持つトランプ・習近平首脳会談の直前に急遽可決された。

敵対的な立法府を前に、頼政権は、特に財政上のトレードオフに関して、首尾一貫した国家安全保障のビジョンと支出を整合させることに苦慮している。半導体収入に支えられた予算黒字があるにもかかわらず、与党は国民を安心させるため実行可能な「軍備か民生か」という戦略をまだ提示できていない。近い将来におけるさらなる増税への国民の支持がほとんどない中、大幅な防衛予算増は、社会プログラムに対するゼロサムの脅威と見なされ、政治的に成立し得なくなっている。過去の政権は「特別予算」を活用し、こうした制約を回避して、F-16のような高額装備の調達資金として、年度予算サイクル外で余剰財源を充当してきたが、頼には前任者が享受していた立法府での過半数をなく、こうした支出を強行できない。

懐疑派を説得するため、頼は特別予算を経済安全保障への「戦略的投資」と位置づけ、国内の防衛産業とイノベーション能力を強化すると主張している。しかし、この主張は台湾の一般市民や国内産業界の双方から支持を得られていない。野党は、賴提案を、国家の安全保障への必要な投資というよりは、ワシントンへの「保護料の支払」に例えた。特に注目すべきは、退役中将で元国民党立法委員のシュアイ・ハーマンが、この提案を「空想」として一蹴し、この計画は直近の軍事準備態勢を強化するものでもなく、危機発生時の米国の介入を保証するものでもないと主張した点である。

プロセス、監視、そして不和

膠着状態が6ヶ月以上続いたのは、国民党主導の野党連合が、米国の対外軍事販売台湾自身の防衛支出の実績という長年の問題を武器に、予算審議を巧みに遅らせたためである。賴提案には、対外軍事販売に加え、長期的な防衛イノベーションと生産能力を強化することを目的とした野心的な国内プロジェクトが含まれている。野党の批判は、秘密裏に行われる暴走的な支出を強調し、根強い懐疑心を利用し、この提案を「白紙小切手」のように描こうとした。この攻撃には二つの側面がある。第一に、国防費のような重要施策は「特別予算」を通じて可決されるべきではないという点だ。野党は、特別予算は意図的に不透明に設計されたもので、立法府の監視から守られていると主張している。第二に、野党は国内調達に対する国民の不信感に訴え、歴史的に防衛産業を悩ませてきた汚職スキャンダルを指摘している。

不透明性という論調が一定の効果を上げたのは、国防省が指揮・統制・通信・コンピュータ(C4)のような、重要だが複雑な能力の獲得へと重点を移していることも一因である。こうしたシステムは国家の自衛に不可欠だが、初期費用は予測が難しく、その価値を具体的にイメージすることも困難なのだ。対照的に、国産潜水艦のような従来型プラットフォームは、高額であり戦略的有用性にも疑問符が付くものの、防衛費の具体的な形として存在している。目に見えるハードウェアから、目に見えにくいソフトウェアやシステムへ移行したことで、資金が「ブラックホール」に吸い込まれているという批判に対して現政権の調達方針は脆弱な立場に立たされている。野党も十分に記録された米国製兵器の納期遅延を指摘し、防衛費増額への批判を強めている。

「ヤマアラシ」構想と対照的に、国民党の鄭主席は120億ドルの予算を提唱した。これは大幅に縮小された枠組みであるが、2021年に可決された特別予算より大きい。このアプローチでは、米国によって正式に承認された兵器システムにのみ資金が充てられ、長期的な自給自足に必要な初期段階の研究開発は事実上、後回しにされる。鄭は、この案を「白紙小切手」的な支出に対する抑制策だと主張し、さらに重要な点として、平和維持のため緊張緩和を優先する、より低姿勢な防衛姿勢への回帰を意味するものだと述べた。

北京への賭け、国民党の分裂、そして中道

鄭の中国訪問は、国民党を賴政権に代わる平和的な選択肢として位置づけることを意図していた。しかし、訪問は党内の深刻な亀裂を露呈させ、彼女の融和的な政策方針と党内の穏健派との対立を浮き彫りにした。強固な国防を維持すべきという世論の圧力に押され、野党中道派は鄭の最小限の予算案を最終的に覆し、妥協案を成立させた。これは、台湾の海峡両岸戦略が最終的に国内の政治力学で形作られていることを証明している。

鄭の訪問は、賴総統の防衛力増強に対する対抗軸として、馬英九前総統の融和的なアプローチを踏襲するものであった。習近平との会談において、鄭は「平和の制度化」を呼びかけた一方で、米国を紛争の「触媒」と呼んだ。特に注目すべきは、彼女が台湾の自治権の主張から一歩引く姿勢を見せ、北京の政治的枠組みに同調することを示唆する発言を行った点である。

防衛予算の唐突な可決は、米国当局者が無視している鄭が直面する国内圧力を露呈している。鄭は、中国を訪問した国民党の現代史において、最も経験が浅く、政治的な人脈も最も乏しい指導者である。民進党から国民党に転向した鄭は、党内に支持基盤を欠いている。この不安定な立場は、彼女が紙一重の差で確保した党主席選の勝利で明らかだった。さらに、「一つの中国」というビジョンを掲げたことで、彼女は自らの政治的運命を不人気な立場に縛り付けてしまった。というのも、台湾国民の大多数は現状維持を望んでいるからだ。鄭は、北京がその後示した「10項目措置」を善意の表れとして挙げ、今回の訪問は外交上の成功だったと主張しているが、世論や党内における懐疑的な見方は根強い。国民党の有権者、特に若年層は、馬英九時代を彷彿とさせる「対中接近優先、防衛後回し」というアプローチを好まず、台湾に対する北京の侵略的姿勢という現実から乖離していると見ている。最近の世論調査によると、台湾国民のわずか34%しか鄭の訪中を支持しておらず、大多数は台湾の安全保障状況の改善にほとんど寄与しなかったと考えている。

2028年の大統領選の有力候補である台中市の盧秀燕 Lu Shiow-yen 市長が、鄭の北京訪問に先立ち11日間の訪米を行い、国民党内の分裂は明らかになった。盧市長の訪問は、米国の政策立案者および国民党内の穏健派に対し、鄭の露骨な親北京姿勢が選挙上の足かせとなるという戦略的なシグナルを送る役割を果たした。盧は、自身の派閥を「抑止力のより信頼できる担い手」として位置づけることで、野党が一枚岩ではないことを示した。

この動きは、武器取引を阻止した国民党への世論の圧力が高まっていることを反映している。台湾中央研究院の最新の世論調査によると、台湾国民の約70%、野党支持層の最大61%が防衛費増額を支持している。さらに、たとえ増額が米国の要求として提示されたとしても、国民の51%近くが防衛費をGDP比3%に引き上げることに賛成している。

「主流派の罠」――つまり、完全に防衛に反対していると見なされるという政治的リスク――から逃れるため、野党連合は最終的に足並みを揃え、5月8日に250億ドルの「妥協案」予算を可決した。当初、盧や朱立倫 Eric Chu といった国民党の中道派指導者たちが主導したこの現実的な枠組みは、最終合意を条件として主要な米国製装備品の調達資金を承認するものであり、台湾が柔軟性を維持できることを保証している。この法案により、国民党は軍事準備と外交的関与のバランスを保つ能力を国民に示すことができ、一方、台湾人民党は財政責任への注力を維持するため、妥協案を支持した。

特別予算の可決は、有権者がもはや台湾の安全保障を「妥協」のみに委ねることを信頼しなくなった社会において、鄭がいかに「守りの戦い」を強いられているかを示した。中国人民解放軍による台湾への威圧的活動が目に見えて減少するといった具体的な「平和の配当」がないかぎり、党内中道派は2026年秋の中間選挙を利用して、彼女の党主席職に異議を唱えてくる可能性が高い。親北京派と穏健派の間の亀裂は、今後も国民党の将来を左右し続けるだろう。

米国の関与に向けた新たな道筋

新たな特別国防予算は、台湾の国家安全保障にとって重要ではあるものの、不完全な勝利に過ぎない。予算額は過去の配分よりはるかに多いものの、頼清徳の当初案から150億ドル削減されたことは、国内のイノベーションを停滞させ、米国からの武器販売への依存を固定化するという戦略的な代償を伴うものであり、台北が構築しようとしている「ヤマアラシ」的なレジリエンスそのものを損なう妥協をもたらしている。

多層防空「T-Dome」システムの中核ストロング・ボウ・システムを廃止することは、特に米国のペイトリオットミサイル生産の遅れを考慮すると、台湾を飽和攻撃にさらすことになる。同様に、国内のドローン開発計画を骨抜きにすることは、重要な非対称的な優位性と、極めて重要な産業的機会を放棄することになる。市場シェアの90%を独占するDJIに代わる地元企業を育成できなかったことで、台北は主要な敵対国が支配するサプライチェーンに縛られたままになるリスクを負っている。さらに悪いことに、こうした削減は決意の揺らぎと受け取られる恐れがある。実際、米国務省は指摘した。予算案の可決は心強いものの、「残りの提案された能力への資金提供がさらに遅れることは、中国共産党への譲歩だ」と。

しかし、今回の分析が示唆するように、台湾の防衛の行方は、決意の欠如というよりも、国内政治に内在する摩擦によって形作られている。したがって、ワシントンは「名指し非難」キャンペーンにとどまらず、同国の防衛に向けた持続可能な合意形成を支援すべきである。そのためには、ライ政権と協力し、対外軍事販売(FMS)プロセスに関する透明性のあるリアルタイムの情報を提供することで、台湾国民と直接対話を行う必要がある。「白紙小切手」説に異議を唱え、武器の未納状況の真の実態を明らかにすることにより、インド太平洋地域の相互安全保障を脅かし続けている国内のボトルネック解消に米国当局者は貢献できるだろう。

台湾における米国主導の洗練された広報キャンペーンは、戦略上の必要不可欠なものとなっている。米国当局者は、現地のメディアや予算監視団体を通じて、中国語で一般市民と直接対話すべきである。こうした関与は、複雑で「華やかさのない」プログラムの技術的な必要性と戦略的価値の両方を伝えるのに役立つだろう。例えば、台湾メディアとのインタビューで、在台米国院のレイモンド・グリーン所長は立法院に対し国防予算の可決を強く求めたほか、その後特別予算に向けた合意形成に向けた野党の努力を称賛した。このような関与は、米国政府の最高レベルから直接行われるべきである。

注目度の高い対外的な関与への転換は、単なる透明性の問題ではない。米国の信頼性へ懐疑と不信が高まる中、これは緊急に必要とされている。不安が高まる時代において、このような可視性は、台湾の防衛に対する米国のコミットメントを証明するため不可欠である。台湾の有権者を安心させることこそが、立法プロセスを混乱させた「武器化された疑念」を無力化する唯一の方法である。台湾を対中政策の一環ではなく、活気ある民主主義国家として扱うことで、ワシントンは行き詰まった予算案を、地域の安定のための持続可能な基盤へと変えることができる。■

ジェシカ・C・リャオは、米国陸軍戦争大学国家安全保障・戦略学科のアジア研究准教授であり、外交政策研究所(Foreign Policy Research Institute)の非居住シニアフェローを務めている。以前は、ノースカロライナ州立大学公共・国際問題学部の政治学准教授を務めていた。また、2020年から2021年にかけてウィルソン・チャイナ・フェローを務めた。2022年には、北京の米国大使館で経済開発専門官を務め、一帯一路イニシアチブ参加国との中国の対外関与に焦点を当てた。

カイル・マークラムは陸軍将校であり、米国陸軍戦争大学戦略研究所の中国陸上戦力研究センター所長を務める。2022年から2025年まで、在台湾米国協会の上級防衛代表兼渉外部長を務めた。

免責事項:本記事で表明された著者の見解は個人的なものであり、米国陸軍省やその他の米国政府機関の公式な政策や立場を反映するものではありません。