2021年6月18日金曜日

米空軍の最新動向。NGADは複数機種構成になる。KC-46の進捗に耐え兼ね、KC-Y公示が発出。A330MRTTの採用となるのか。

 


NGADはさておき、KC-46は米国以外には日本、イスラエルぐらいしか採用がないのですが、このままA330MRTTが米空軍も採用すれば、日本も対応を考えざるべき事態が生まれそうですね。




ポイント: ボーイングはこれまでKC-46で50億ドル近くを失いながら、進捗は予定から遅れつつ、それでいて生産をこなせない観がある。


F-22後継機は航続距離が伸び、兵装搭載量が増え世界最高峰の制空戦闘機でありながら、対地攻撃もこなす機材になると空軍参謀総長が議会で発言した。


次世代制空戦闘機(NGAD)は単一機種ではなく、各型式で異なる任務をこなす機体になるとCQブラウン大将は下院軍事委員会(HASC)の2022年度予算要求公聴会で明らかにした。


一番驚かされたのはNGADに「対地攻撃能力も付与し、航空部隊や統合部隊に選択肢を広げる」とブラウン大将が発言したことだ。


Air Force Magazineは「空軍戦闘軍団司令官マーク・D・ケリー大将はNGADは二型式とし、インド太平洋向けに長距離大ペイロード型、ヨーロッパ向けには短距離型とすると述べた」と伝えている。


また本日の公聴会で飛び出したビッグニュースがある。一部議員がボーイングに対し旧型KC-135の代替用給油機KC-46を低リスク策で実現するのに時間がかかりすぎ、かつ製造が順調でないと痛烈に批判した。現時点でKC-46は安全な空中給油実施のためカメラシステムを刷新する必要が生まれている。ボーイングは50億ドル損失を発生させながら、事業は数年に及ぶ遅延となっており、製造の基本条件もうまくこなしていないように映る。


HASCで同給油機問題を扱う有力議員ロブ・ウィットマン下院議員はブラウン大将、空軍長官代行ジョン・ロス両名にボーイング向け契約の「見直しを強く求める」と発言した。


空軍上層部の両名は現行の固定価格契約をやり直せば費用増加はほぼ確実と返答した。現在は追加発生費用はすべてボーイング負担としており、空軍並びに納税者は追加費用を一切心配しなくてよい構造になっている。「契約構造を見直せば、事業がさらに遅延するのは確実なので、見直し策には効果はないと考える」とロス長官代行は発言した。


ボーイング幹部を動揺させたにちがいないニュースをDefense Oneが伝えている。空軍が別機種の給油機KC-Yとして160機程度調達の事業への入札希望企業を募集する公告を本日公開した。


「空軍は140-160機程度の民間機派生型給油機を納入可能な企業を求める。機材は年間12-15機納入とし、KC-46Aの生産終了時点で空軍の給油機材を補完するものとし、かつ次期給油機へのつなぎとする」と同文書にある。「民間機派生型給油機は2029年の運用開始とする。空軍は同事業の要求性能をまとめる段階にあるが、基本性能は次期給油機事業の第一段階にもとづくものとし、その他要求は追って空軍が決定する」


ここで想定する戦略給油機メーカーはエアバスしかない。ロッキード・マーティン及びブラジルのエンブラエルは戦術給油機のKC-130、KC-390をそれぞれ生産している。ロッキード・マーティンは「米空軍の調達先選定公示に応じ、ミッション投入可能案を提示し、空軍が求める今後の給油機性能に対応したい」と早くも対応する姿勢を示している。


現行事業をめぐりエアバスはボーイングに敗退した経緯がある。だが、エアバスのA330多用途給油輸送機は米国同盟国のオーストラリア、フランス、英国、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、シンガポール、韓国に加えNATO共同事業体が採用しており、ボーイング案は劣勢に立たされているのが現状だ。エアバスが入札参加を決めれば、A330には採択可能性は十分ある。


ただし前回の選定中にボーイングは各議員に米国に本社を置く企業を採択すべきと働きかけエアバスを打倒した経緯がある。なお、ボーイングからはKC-Y入札参加の意向が表明されている。今回のような大型案件への外国企業参加には議会が抵抗を示す可能性があるが、ボーイングのKC-46生産のお粗末な実績がそもそもの原因で、ドアが開きつつあるといえよう。■



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Air Force Starts KC-Y Tanker Search As Lawmakers Slam KC-46

By   COLIN CLARK

on June 16, 2021 at 7:29 PM




2021年6月17日木曜日

(再出)B-21は2機完成済みとの次官補発言を空軍が訂正しているが、レイダーが一般の前に現れる日はそこまで来ている.....

 NORTHROP GRUMMANB-21 render with B-1Bs

ここがポイント B-21は2機が完成し、来年の初飛行を前に地上テストの準備に入っている。

空軍の爆撃機部門の近代化が勢いをつけてきた。高度機密に覆われたノースロップグラマンB-21レイダーステルス爆撃機は2機が完成したとの報せが入ってきた。一方で空軍はレイダー引渡しが始まる2020年代中ごろまでB-1Bは退役させない。空軍内部にはハイエンド脅威に対応できる爆撃機数は十分なのか懸念が強まっている。

B-21の最新状況は爆撃機部隊全体の状況とあわせ昨日の下院軍事委員会公聴会で明らかになった。空軍次官補ダーリーン・コステロからB-21の2機がカリフォーニア・パームデイルのプラント42で完成したと発言があった。初飛行は当初今年12月予定だったが、2022年初頭に変更される。同年中ごろにテスト飛行を展開する。空軍では完成したB-21の2機をどう活用するか明言していないが、地上テストやシミュレーションに活用されるのは確実だろう。

ただしB-21の進展から爆撃機225機体制の実現で空軍に懸念を生んでいる。空軍はB-21と冷戦時のB-52を大幅改修した2機種構成の実現を目指し、現有のB-2(20機)、B-1(61機)、B-52(76機)の合計が157機だが、すべてをこのまま供用し続けるわけではないとする。B-1が45機になる日が近づいており、爆撃機合計は142機になる。

空軍参謀次長デイヴィッド・S・ネイホム中将は225機体制を席上で確約し、B-1およびB-2を退役させれば単純計算で新体制はB-52が76機とB-21の149機になると述べた。ここで忘れてならないのはB-21については機数は確定しておらず、B-52の全体機数に変化がない前提になっていることだ。

B-21で前回の数字は最低145機としたフランク・ケンドール(バイデン大統領により空軍長官に指名された)のものだたった。その前まで空軍はB-21は最低100機生産する予定とのみ明らかにしていた。

「B-21は迅速調達できない」とS・クリントン・ハイノート中将(戦略統合調達担当空軍参謀次長)は同公聴会で発言した。「爆撃機戦力構成に与えるリスクは高い」とし、「うまく処理する必要がある。B-21戦力化は可能限り加速化する必要がある」

U.S. AIR FORCE/AIRMAN FIRST CLASS QUENTIN MARX

B-21レイダー耐環境シェルター試作型の建設がエルスワース空軍基地(サウスダコタ)で今年2月に始まった

最新の2022年度予算要求で空軍はB-21関連で28.73億ドルを求め、前年度から3千万ドル追加した。空軍は増額分を「初期生産準備」に必要としている。

B-21はエドワーズ空軍基地(カリフォーニア)でのテスト後にまずサウスダコタのエルズワース空軍基地へ配備される。その後、ホワイトマン空軍基地(ミズーリ)、ダイエス空軍基地(テキサス)へ配備が続く。両基地はそれぞれB-2とB-1の配備先になっている。

B-1では消耗度が高い17機がまず退役し、45機のまま、レイダーの到着を待つ。ネイホム中将によれば、B-21が加わるまでB-1はこれ以上の退役はない。「45機を下回らせない。現地指揮官が現在の戦力を今後5年、7年、10年と求めてくるはずだからだ」となるとB-1で燃料系統問題で最近も飛行停止措置があったが、機数削減は打ち止めになりそうだ。

ここ数年はアフガニスタンや中東でB-1が酷使されてきた影響が大きいのをハイノート中将も認めており、今回退役させるB-1の17機は運航経費が高く、供用を続ける価値がないという。

45機になってもB-1の利用率は向上するとネイホムは述べ、理由として整備作業が最も必要な機体が退役するからだという。運用整備面の改善とともに、B-1B各機はここにきて装備運用能力を大幅向上させており、極超音速ミサイル運用のほか、その他装備を外部パイロンに搭載し、対艦攻撃ミッションを新たに追加している。

U.S. AIR FORCE/AIRMAN 1ST CLASS DAMON KASBERG

長距離対艦ミサイル(LRASM)がB-1Bに搭載を待つ。テキサスのダイエス空軍基地。

 

事業全体はB-21の今後の日程次第であり、関係者は新型機の戦力化にあたり、F-35が同時開発で発生させた事態を繰り返さずに進展できるか気をもんでいる。同時開発とはテスト前に量産を始めることで、コステロ次官補はレイダーでこれは想定していないと発言した。もちろん、B-21でもテストにより何らかの変更が発生する可能性は排除できず、事業全体が遅延するリスクになる。

U.S. AIR FORCE/TODD MAKI

空軍次官補ダーリーン・コステロ(調達、技術、補給活動担当)

実際にB-21の稼働が始まってから、空軍の需要にこたえるべきか増産の可否を決めるとコステロは発言。B-21がRQ-180などその他機材の機能も強化できるとわかれば空軍全体に大きな効果が生まれる。

実際にB-21が公開されるまで、同機では多くが謎のままで、空軍関係者は実際の性能について口を閉ざしたままだ。例として、同機が核兵器運用性能があるのか不明だ。現在のB-2は可能だが、B-1全機は核兵器運用ができない。B-52の一部は核運用能力を取り除いている。この話は新START条約で戦略核兵器削減上で核兵器運搬装備にも上限があるため重要となる。重爆撃機もここに入り、米ロ両国に適用される。ただし、同条約は2026年に失効し、その後どうなるかは不明だ。

U.S. AIR FORCE/SENIOR AIRMAN LILLIAN MILLER

AGM-86空中発射式巡航ミサイルがB-52Hストラトフォートレスに搭載される。ルイジアナのバークスデイル空軍基地。

 

搭載する兵装種類に関係なく、B-21で空軍の爆撃戦力は大きな向上が生まれ、20機あまりのB-2やB-1をB-21の150機近くと交代させ、空軍は厳しい空域でも敵防空網突破可能な戦力の整備を進める。一方で必要とされる規模よりはるかに小規模の爆撃機部隊での対応を迫られそうだ。■

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Air Force Corrects Top Official's Statement On B-21 Bomber Progress (Updated)

BY THOMAS NEWDICK JUNE 9, 2021


台山原子力発電所で何が起こっているのか。燃料棒破損を中国が認めたが、相変わらずの透明性欠如で状況がわからず、米国も原発所有企業が反米企業リストにあるため手が出せないようです。

  • 状況はどうなっているのか、例によって中国の透明性欠如のため、ちっともわかりません。当初報道では米国が支援するなどと言っていましたが、原発の所要企業が悪い筋なので簡単に手を差し伸べられない事情があるのですね。本当に困った国ですね。

Taishan Nuclear Power Plant

PUBLIC DOMAIN


ポイント 中国はすべて制御下だと世界に保証しているが、中国南方の原子力発電所の状況はホワイトハウスも注視し続けている。


 

山原子力発電所Taishan Nuclear Power Plant で燃料棒数本が破損し、原子炉建屋内に放射性ガスがたまっている状況を中国がついに認め、生態学のみならず地政学的でも大事故になりかねないとの危惧が世界に広がっている。中国政府は今週に入り放射能異常値は発電所の外で探知されていないと述べたものの、同発電所を共同所有し運営を支援するフランス企業は「放射能の脅威が迫っている」と警告している。

 

原子炉の一つで燃料棒を取り巻く蒸気と冷却水中に放射性ガスがたまってきたことに懸念が高まっている。中国は燃料棒のうち「5本くらい」が破損したと認めているが、発電所自体は600本あまりの燃料棒のうち四分の一が損傷しても安全操業が可能といわれる。フランスの原子力エナジー企業フラマトム(フランス電力EDFの傘下)が発電所の状況を管理し運用支援しているが燃料容器が原子炉内で劣化したことで今回の事態が発生したと説明している。「希ガスが主回路上に発生する現象は知られており、研究され原子炉運営上では想定済み」とEDFは声明を発表している。しかし、ニューヨークタイムズ記事によれば放射性ガスがたまっている原因は「設計、製造、あるいは管理の不具合によるもの」と専門家が見ている。正反対の観測がでているのだが、現時点で台山の危険度がどこまでなのか把握できない。

 

ASSOCIATED PRESS/BOBBY YIP

台山原子力発電所の建造現場で。2013年。

 

台山は広東省にあり、マカオ、香港、広州といった人口稠密地に近く、深センにも近い。この立地で原子力事故となれば健康面の影響は避けられない。香港含む周辺4都市は世界の人口トップ50圏内にあり、合計4千万人が暮らす。

 

GOOGLE MAPS

発電所は主要都市に近い場所にある。

 

CNNはバイデン政権筋の話として米政府は台山の状況は「危機レベル」ではなく、「発電所内関係者や周辺住民に深刻な安全上の脅威となっていない」と見ていると伝えた。しかし、CNNが同時に入手した資料では中国の安全担当官が発言所周辺の放射線許容水準を引き上げ、発電所閉鎖を回避しようとするのを米国は非難している。

 

中国外務省報道官趙立堅Zhao Lijianは報道会見で記者質問にこたえ、「放射線で異常値は発電所周辺で全く探知されていない」と述べた。中国報道機関はほぼ同じ内容を伝えている。「原子力発電所の安全性は保証つき」と中国生態環境省が述べたとChina Dailyが伝えている。「CNN報道は間違いだ」

 

ホワイトハウスの安全保障協議会はここにきて数回開催されており、状況把握につとめている。協議会を主宰するのは中国担当NSC上級ディレクターのローラ・ローゼンバーガー、軍備管理担当の上級ディレクターのマロリー・スチュワートだ。さらにホワイトハウスは中国フランス両国政府と連絡を密にしており、エナジー省(DOE)の専門家の意見も聴取している。CNNが米政府関係者に現時点での評価を尋ねたが、断られた。とはいえ現在有効な各種条約によれば米国は原子力災害による中国一般国民へのリスクをあらかじめ把握しておく必要がある。

 

CNNではフラマトム社から米エナジー省に放射性ガスの増加による危険度の評価の支援を求めてきたと報じている。フラマトムの親会社EDFが同発電所の株式30パーセントを、中国広核集団(CGN)が70パーセントをそれぞれ保有する。だがCGNは米国の外交政策に反する企業としてリストアップされており、このため米国の、あるいは米国所有の企業は同社と商取引が禁じられている。フラマトムは米国に対し禁止措置を一時的に止め、米国の原子力専門家の支援を受けられるよう要請してきたといわれる。

 

「状況は所内並びに周辺住民に放射能の危機を今にも生みそうなので、フラマトムは技術データとともに技術支援を入手する許可をすみやかに得て、発電所の運転を正常に戻す必要がある」と6月8日付でフラマトムがエナジー省に送った書簡が伝えているとCNNは報道した。

 

深刻な見出しの報道がある一方で、一部専門家には原子力災害が発生寸前との評価に疑問を投げかける向きもある。国際原子力エナジー機関(IAEA)からは放射性事故が発生したとの報告は入っていないとの声明が出ている。南カリフォーニア大の原子力安全専門家、ナジメディン・メシュカティはニューヨークタイムズに燃料棒破損はたびたび発生しており、台山の現状がそのまま周辺住民の深刻な脅威とは考えにくいと述べている。

 

一方で、EDFエナジーの広報は状況は深刻ながら制御下にあると述べている。「炉心溶融の事故想定ではない。放射能汚染も想定しておらず、あくまでも制御しながらの放出だ」と述べた。EDFは別の声明文も発表しており、同じ論調だ。「入手できたデータを見ると、同発電所は安全許容範囲内で運転中だ」とし、「当社チームが関係者とともに状況評価とともに解決策を模索しており、問題解決を目指している」とある。

 

台山原子力発電所の燃料棒破損で発生する危険度では評価がわかれているが、原子力災害が人口稠密地付近で発生し、放射線レベルが危険な水準になれば、中国や香港の住民にパニックが発生しかねない。ただでさえ、南シナ海をめぐり緊張が高まっる中で、原子力災害が加われば、健康上の影響が中国国内に限定される保証もない。

 

台山での状況の推移については今後も新情報が入手次第お伝えていきたい。■

 

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Global Concerns And Questions Grow As China Admits Fuel Rods At Nuclear Plant Are Damaged

BY BRETT TINGLEY JUNE 16, 2021


 

中国は台湾を直接侵攻しなくても海上空中封鎖で陥落させる選択肢を有する。米国(および日本)はその事態にも備える必要がある。一つの中国は全くの虚偽であることを露呈。

 China army armored personnel carrier seaborne amphibious assault

中国軍装甲兵員輸送車がロシアで行われた国際陸軍競技会に登場した。 

Sergei Orlov\TASS via Getty Images

 

  • 台湾をめぐる緊張はここにきて高まりを見せており、米関係者は中国の何らかの動きに警戒を強めている。

  • 警戒対象に中国による直接侵攻があり、中国の軍事行動は活発になっている

  • だが台湾、米国は侵攻以外の事態も警戒している。中国が台湾を海上封鎖する事態だ。


湾海峡の地政学的緊張度は現時点で世界最高レベルといってよい。


昨年から自治体制を維持する台湾へ中国は非難を強めてきた。中国は台湾を地方反逆勢力とみなしている。


中国軍の実弾演習はいずれも台湾を想定しており、中国軍は海峡中間線を超え台湾防空識別圏への侵入回数で記録更新している。


米国は台湾海峡に艦船を通過させる作戦を1月のジョー・バイデン大統領就任後に少なくとも5回実施しており、都度中国が抗議している。日本は米国と並び台湾への支援を表明し、オーストラリアも侵攻が実現した場合の支援策を検討中と伝えられる。


いずれも中国軍の侵攻作戦が発生した場合に軍がどう備え、阻止するか、どう対応するかに焦点をあてている。一方で重要な脅威への関心が欠けている。台湾を封鎖する作戦だ。


統合封鎖作戦とは

South China Sea between Xiamen in China and Kinmen in Taiwan

中国本土のアモイから3マイル足らず先に台湾の金門島がある。 

An Rong Xu/Getty Images


台湾侵攻作戦がどんな形になるのか見えてこないが、実行されれば極めて厳しくかつ多大な犠牲を伴う事態が攻守双方に発生するのはほぼ確実だろう。また中国に侵攻作戦を実施する能力があるのかについて議論がある。


昨年の台湾国防部の結論では中国は全面侵攻を実施する能力はまだないとある。ペンタゴンの中国軍事力レポート最新版では侵攻作戦は「中国軍事力に相当の負担」を生み、「重大な政治軍事リスク」が中国に生まれるとある。


だが中国が台湾封鎖を実施する能力を有することを認めている点で共通する。封鎖作戦はペンタゴンが「統合封鎖作戦」と呼び、台湾の海空通商路および海軍活動のみならず情報ネットワークも遮断する想定だ。


「封鎖により上陸作戦を回避し、広範囲の侵攻作戦が実現する」と東アジア担当情報官を務めたロニー・ヘンリーは2月に米中経済安全保障検討委員会で述べている。


統合封鎖作戦では「大規模ミサイル攻撃さらに台湾から遠方の島しょ部分の占拠もありうる」とし、ペンタゴンは南シナ海のプラタス諸島等を想定している。


住民が暮らす金門島、馬祖島の侵攻も中国軍は実行可能とペンタゴンは見ている。


封鎖作戦の厳しい影響


封鎖の結果は悲惨なものとなる。台湾がいつまでもつか誰も予測できない。


有事になれば台湾の重要資源がどれだけの期間で使い尽くされるかの検討作業はなく、救援部隊がいつ到着するかの検討もないとヘンリーは述べている。ヘンリーは国防情報部で中国アナリストの経験がある。


「封鎖下の台湾を維持すべく、どんな物資がどれだけ必要か、また台湾国内の食料飲料水補給物資その他の生産が有事にどれだけ確保できるかの評価作業結果はありません」とヘンリーは同委員会で述べていた。


外界から遮断された台湾は軍事、民生ともに急速な資源不足に直面するだろう。


だが封鎖の突破は相当困難となる。中国の海軍力は世界最大規模となっており、艦艇は新鋭艦が多く装備は近代化されているとペンタゴンは評価している。


中国海軍、空軍の航空戦力は域内で最大規模で、戦闘機爆撃機攻撃機が850貴も東部南部戦区に配備されている。ペンタゴンは「中国空軍力は急速に西側に追い付きつつある」と見る。


水上艦艇、航空機に加え中国は潜水艦60隻を展開する能力があり、ペンタゴンは台湾が完全に対空対艦ミサイルの射程に入ると想定している。

中国はフォークランド戦などこれまでの戦役を詳しく調査しており、海上補給活動が極めて困難になることがわかっている。


全面的な上陸作戦を撃退できても封鎖の恐れは残る。


「上陸作戦で多大な損耗が発生し、空海の装備を喪失しても中国は封鎖作戦を継続できる。米軍が救援物資を届けることができても量はごくわずかだろう」(ヘンリー)


台湾の備えは

Taiwan artillery fires into sea during exercise drill

200ミリ自走砲が台湾南部の演習で実弾発射を行った。May 30, 2019. 

SAM YEH/AFP via Getty Images


侵攻作戦なしでの封鎖は可能性が低いとはいえ、封鎖だけとなったシナリオに世界がどう反応するかは定かではない。


台湾と米国の相互防衛条約は機能停止中だが、台湾の離島部分は対象に入っておらず、周辺部が侵攻あるいは封鎖された場合、台湾への支援が行われるか不明だ。


専門家は台湾と米国は中国に相当の犠牲を与えるシナリオを作る必要があるとみている。たとえば装備近代化や非公式なものも含め同盟各国の準備態勢を進めることがあり、整備には数年かかるものがあるが、比較的早く開始できる内容もある。


「中国による侵攻を遅らせる最善の策は台湾の準備態勢を強化することで中実施した場合の危険度を中国なかんずく習近平に認識させることだ」とProject 2049を主宰するイアン・イーストンが本誌に語った。


China amphibious tanks invasion

中国山東省での中ロ合同演習で中国の揚陸作戦用戦車部隊が上陸作戦を展開した。 August 24, 2005. China Photos/Getty Images


台湾にとって当面の優先事項はあらゆる物資の備蓄で、食料、飲料水、軍事装備品すべてだ。特に重要なのがミサイル部隊だ。米製ミサイルは台湾製装備品で不可能な部分を補う効果を生む。


次に重要なのが予備部隊を十分な規模かつ高い能力のまま維持することだ。紙の上では台湾に予備役2百万名があるが、うち有効なのは770千名といわれ、しかも訓練は二年おき5-7週間に過ぎない。


台湾は2024年までに訓練期間を延ばす予定で、試行もはじめている。


「この効果は大きい。大規模かつ練度が高く、動員可能な予備部隊が生まれる」とイーストンは評価。「有事の際に台湾に優位性が生まれるが、現時点では存在していない」


米側の準備はいかにあるべきか


台湾に最も親密な米国が準備態勢の整備、抑止力の実現で手助けが可能だ。


米軍事チームや高官が台湾を訪れることがたびたびあるが、最高位の軍事専門家が訪台したことはない。域内米軍部隊の司令官として有事に重要決定を下せる人材だ。


「有事に米大統領に電話し、状況を説明でき、大統領に正しい理解を導くタイプの人材が台湾を一度も訪問せず、台湾の現状を理解していなくてつとまるのか」とイーストンは説明。


Duckworth Sullivan Coons senators Taiwan

タミー・ダックワース、ダン・サリバン、クリス・クーンズの上院議員三名が台北松山空港に到着した。June 6, 2021. Central News Agency/Pool via REUTERS


米国は高官を台湾へ送り、現実をよりよく理解させ、支援の意図を明確に伝えるべきだ。台湾を大規模演習に加えるのもよい。リムパック演習も選択肢のひとつだ。


軍事支援顧問団を台湾で再整備する選択肢もある。軍事顧問が訓練と連絡役を兼ね、米台の軍事的つながりを確実にできる。


とはいえこうした動きにはリスクも生まれる。中国は米国の台湾向けの動きに毎回のように抗議の声を上げている。北京から見ればいわゆる一つの中国方針の違反と映るからで、ワシントンは北京を正式承認しつつ、台北との密接な関係の維持のバランスをうまくとる必要があるのだ。


中国による侵攻に台湾をよりよく準備させれば北京の逆鱗にふれ、米国が「戦略的あいまいさ」を放棄し、台湾防衛に真剣になっていること理解されかねない。米関係者は北京は行動に移らざるを得なくなる事態を危惧している。■


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Taiwan and the US Also Face Risk of China Blockading Taiwan

An invasion isn't the only threat from China that Taiwan and the US have to worry about

Benjamin Brimelow 


2021年6月15日火曜日

B-21は2機完成済みとの次官補発言を空軍が訂正しているが、レイダーが一般の前に現れる日はそこまで来ている.....

B-21 render with B-1BsNORTHROP GRUMMAN

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ここがポイント B-21は2機が完成し、来年の初飛行を前に地上テストの準備に入っている。

空軍の爆撃機部門の近代化が勢いをつけてきた。高度機密に覆われたノースロップグラマンB-21レイダーステルス爆撃機は2機が完成したとの報せが入ってきた。一方で空軍はレイダー引渡しが始まる2020年代中ごろまでB-1Bは退役させない。空軍内部にはハイエンド脅威に対応できる爆撃機数は十分なのか懸念が強まっている。

B-21の最新状況は爆撃機部隊全体の状況とあわせ昨日の下院軍事委員会公聴会で明らかになった。空軍次官補ダーリーン・コステロからB-21の2機がカリフォーニア・パームデイルのプラント42で完成したと発言があった。初飛行は当初今年12月予定だったが、2022年初頭に変更される。同年中ごろにテスト飛行を展開する。空軍では完成したB-21の2機をどう活用するか明言していないが、地上テストやシミュレーションに活用されるのは確実だろう。

ただしB-21の進展から爆撃機225機体制の実現で空軍に懸念を生んでいる。空軍はB-21と冷戦時のB-52を大幅改修した2機種構成の実現を目指し、現有のB-2(20機)、B-1(61機)、B-52(76機)の合計が157機だが、すべてをこのまま供用し続けるわけではないとする。B-1が45機になる日が近づいており、爆撃機合計は142機になる。

空軍参謀次長デイヴィッド・S・ネイホム中将は225機体制を席上で確約し、B-1およびB-2を退役させれば単純計算で新体制はB-52が76機とB-21の149機になると述べた。ここで忘れてならないのはB-21については機数は確定しておらず、B-52の全体機数に変化がない前提になっていることだ。

B-21で前回の数字は最低145機としたフランク・ケンドール(バイデン大統領により空軍長官に指名された)のものだたった。その前まで空軍はB-21は最低100機生産する予定とのみ明らかにしていた。

「B-21は迅速調達できない」とS・クリントン・ハイノート中将(戦略統合調達担当空軍参謀次長)は同公聴会で発言した。「爆撃機戦力構成に与えるリスクは高い」とし、「うまく処理する必要がある。B-21戦力化は可能限り加速化する必要がある」

U.S. AIR FORCE/AIRMAN FIRST CLASS QUENTIN MARX

B-21レイダー耐環境シェルター試作型の建設がエルスワース空軍基地(サウスダコタ)で今年2月に始まった

最新の2022年度予算要求で空軍はB-21関連で28.73億ドルを求め、前年度から3千万ドル追加した。空軍は増額分を「初期生産準備」に必要としている。

B-21はエドワーズ空軍基地(カリフォーニア)でのテスト後にまずサウスダコタのエルズワース空軍基地へ配備される。その後、ホワイトマン空軍基地(ミズーリ)、ダイエス空軍基地(テキサス)へ配備が続く。両基地はそれぞれB-2とB-1の配備先になっている。

B-1では消耗度が高い17機がまず退役し、45機のまま、レイダーの到着を待つ。ネイホム中将によれば、B-21が加わるまでB-1はこれ以上の退役はない。「45機を下回らせない。現地指揮官が現在の戦力を今後5年、7年、10年と求めてくるはずだからだ」となるとB-1で燃料系統問題で最近も飛行停止措置があったが、機数削減は打ち止めになりそうだ。

ここ数年はアフガニスタンや中東でB-1が酷使されてきた影響が大きいのをハイノート中将も認めており、今回退役させるB-1の17機は運航経費が高く、供用を続ける価値がないという。

45機になってもB-1の利用率は向上するとネイホムは述べ、理由として整備作業が最も必要な機体が退役するからだという。運用整備面の改善とともに、B-1B各機はここにきて装備運用能力を大幅向上させており、極超音速ミサイル運用のほか、その他装備を外部パイロンに搭載し、対艦攻撃ミッションを新たに追加している。

U.S. AIR FORCE/AIRMAN 1ST CLASS DAMON KASBERG

長距離対艦ミサイル(LRASM)がB-1Bに搭載を待つ。テキサスのダイエス空軍基地。

 

事業全体はB-21の今後の日程次第であり、関係者は新型機の戦力化にあたり、F-35が同時開発で発生させた事態を繰り返さずに進展できるか気をもんでいる。同時開発とはテスト前に量産を始めることで、コステロ次官補はレイダーでこれは想定していないと発言した。もちろん、B-21でもテストにより何らかの変更が発生する可能性は排除できず、事業全体が遅延するリスクになる。

U.S. AIR FORCE/TODD MAKI

空軍次官補ダーリーン・コステロ(調達、技術、補給活動担当)

実際にB-21の稼働が始まってから、空軍の需要にこたえるべきか増産の可否を決めるとコステロは発言。B-21がRQ-180などその他機材の機能も強化できるとわかれば空軍全体に大きな効果が生まれる。

実際にB-21が公開されるまで、同機では多くが謎のままで、空軍関係者は実際の性能について口を閉ざしたままだ。例として、同機が核兵器運用性能があるのか不明だ。現在のB-2は可能だが、B-1全機は核兵器運用ができない。B-52の一部は核運用能力を取り除いている。この話は新START条約で戦略核兵器削減上で核兵器運搬装備にも上限があるため重要となる。重爆撃機もここに入り、米ロ両国に適用される。ただし、同条約は2026年に失効し、その後どうなるかは不明だ。

U.S. AIR FORCE/SENIOR AIRMAN LILLIAN MILLER

AGM-86空中発射式巡航ミサイルがB-52Hストラトフォートレスに搭載される。ルイジアナのバークスデイル空軍基地。

 

搭載する兵装種類に関係なく、B-21で空軍の爆撃戦力は大きな向上が生まれ、20機あまりのB-2やB-1をB-21の150機近くと交代させ、空軍は厳しい空域でも敵防空網突破可能な戦力の整備を進める。一方で必要とされる規模よりはるかに小規模の爆撃機部隊での対応を迫られそうだ。■

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Air Force Corrects Top Official's Statement On B-21 Bomber Progress (Updated)

BY THOMAS NEWDICK JUNE 9, 2021