2023年8月28日月曜日

北朝鮮がコルベット艦に核巡航ミサイルを搭載。核兵器体型の多様化を着実に進めつつある脅威に西側が対応を迫られる。

 コルベット艦は、対地攻撃型核巡航ミサイルの海上発射を念頭に建造された

 朝鮮の国営メディアは、西側ではアムノク級コルベット Amnok class corvetteとして知られ、朝鮮人民軍海軍で最大の艦で最も近代的な水上戦闘艦の新しい写真を公開した。興味深いのは、同艦が巡航ミサイルで武装していることで、核弾頭を搭載できる可能性が高く、北朝鮮の多様で増大する戦略兵器にまた新たなプラットフォームが加わる。

現地で661号哨戒艦として知られるこの艦の鮮明な写真が、北朝鮮国営メディアKCNAによって本日公開された。上と下の写真に見られるように、このシリーズには、北朝鮮の指導者である金正恩が見学した巡航ミサイル発射実験が写っているが、これらがいつ行われたのかは正確には明らかになっていない。

KCNAによると、金正恩は北朝鮮の東海岸のどこかでミサイル発射実験を監督したという。米国を拠点に北朝鮮を取材しているニュースサイト『NKニュース』のコリン・ズウィルコは、これを元山(ウォンサン)の北に位置する文川(ムンチョン)沖と特定している。

KCNAによれば、ミサイル発射は「艦船の戦闘機能とミサイルシステムの特徴」を検証するためで、同時に「実戦における攻撃任務」を遂行する乗員の能力を向上させたという。

「同艦はエラーもなく目標に素早く命中させた」と主張し、金正恩が「高い機動性と強力な打撃力、突発的な状況に対処するための戦闘態勢を常に維持している」と称賛したことを引用した。

また、KCNAはこれらの兵器を「戦略巡航ミサイル」と表現した。この文脈では通常、核弾頭の搭載、あるいは少なくとも核弾頭を搭載するオプションを意味する。

KCNAはこのミサイルを、以前は地上発射型として知られていたフワサル2と名付けた。潜水艦発射型も存在する可能性がある。地上発射型と艦船発射型のミサイルを視覚的に比較すると、極めて類似している。

一方、同艦の写真には、上部構造の後方に8基の巡航ミサイル発射管が設置されているように見える。ミサイルは垂直発射システム(VLS)ではなく、角度のついたコンテナから発射される。

ミサイルの性能は謎のままだが、NKニュースは、韓国の合同参謀本部(JCS)がオフレコのブリーフィングで詳細を提供したと報じている。JCSは、1発または複数発のファサル2が元山沖の「124マイル以下」の距離を飛行し、海上で目標に命中しなかったと述べたようだ。これは何らかの失敗があった可能性を示唆しているが、まだ不明であり、詳細そのものを独自に検証することはできない。

JCSは、韓国軍と米軍が「(艦船を)リアルタイムで監視していた」とし、発射実験に関する北朝鮮の声明は「誇張されている」とし、「(北朝鮮の説明には)真実と異なる部分が多い」と付け加えた。

現役のアムノク級コルベットは1隻しか知られていないが、水上戦闘艦からの巡航ミサイル発射能力を持てば、北朝鮮には重要な進展となる。

アムノク級は、他の艦船(大排気量の軍艦を含む)だけでなく、陸上の攻撃目標も長距離で攻撃できる可能性がある。さらに、通常兵装の巡航ミサイルはこうしたシナリオに役立つだろうが、核ペイロードのオプションは、平壌に韓国やその他の地域に対して核攻撃を仕掛ける新たなベクトルを提供することになる。核武装した巡航ミサイルは、敵の艦船群にも使用できる可能性がある。

アムノク級の最新の写真から明らかに重武装艦だとわかる。

巡航ミサイルだけでなく、この戦艦は100mm主砲を装備しており、他の艦船との交戦や陸上砲撃に使用できる。ミサイルや航空機を含む、より近距離の目標に対しては、6連装30mmガトリング型砲2基と、さらに6連装14.5mm機関砲2基で防御できる。

対潜水艦戦(ASW)では、前部にロケット支援深度爆雷の発射装置がある。533mm魚雷発射管と船体搭載型ソナーも装備され、包括的なASW能力を持つという噂もあるが、確認は取れていない。また、ヘリコプターを運用する装備もないため、ASWと対地戦任務の両方における可能性も低い。

アムノク級で不足していると思われるのは防空で、近距離砲は艦尾の6連装ランチャーによる携帯型防空(MANPAD)ミサイルで補われるのみである。これでは、近距離や低空での防御しかできない。また、対艦巡航ミサイルやその他の高性能な脅威に対処するには不向きである。

防空兵器の欠如は、北朝鮮軍が同艦の能力を誇張していただけに驚きだ。声明では、東海岸沖に「新型対空ミサイルを積んだ艦を常時配備する」計画があると述べている。これは、北朝鮮の排他的経済水域(EEZ)に進入する可能性のある米軍偵察機を、たとえ国際空域内でも撃墜する可能性があるという脅しと受け取られた。この脅しは威嚇に過ぎなかったかもしれない。同時に、米軍機のこの種の飛行に対する北朝鮮の怒りの問題は決して新しいものではないが、ここ数日、緊張が顕著に高まっている。

アムノク級の装備は中途半端な脅威に見えるだろう。しかし、それ以外の点では、北朝鮮艦隊の他の艦艇よりもはるかに近代的な艦艇であり、貴重な汎用性を提供することに変わりはない。

その一方で、アムノク級が1隻しか就役していないという事実は、北朝鮮の軍事態勢に対する全体的な影響が非常に限定的であることを意味する。

西側推定によると、アムノク級コルベット1隻は東海艦隊が運用しており、2017年頃から活動している。これが哨戒艦No.661であり、6月に初めて乗組員が乗船し、海上で目撃されたばかりであることから、最近になって現役に就いた可能性がある。

別の艦は西海岸にあるが、まだ配備されていない可能性があり、実際に完成したかは確認がとれていない。

さらに近代的なコルベット2隻が北朝鮮によって運用されている。西側ではトゥマン級、あるいはナンポ級として知られているが、アムノク級ほど先進的ではなく、戦略巡航ミサイル能力を欠いているようだ。

全体的に見て、北朝鮮の海軍力は、米海軍との比較はおろか、はるかに近代的で急拡大中の南朝鮮の海軍力にもまったく及ばない。

しかし、少なくともこの艦船に戦略巡航ミサイルを搭載する決定は、平壌がより高度で新しい運搬システムを開発し、核戦力を分散させることで撃破されにくくしようとする動きの一環である。大型で射程の長い大陸間弾道ミサイル(ICBM)、短距離弾道ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、巡航ミサイルがここに含まれる。近年、平壌はまた、地上発射巡航ミサイル、潜水艀から発射されるSLBM、極超音速ブーストグライドビークル、鉄道車両ベースのミサイル発射装置を実証している。

なぜ今、アムノク級がクローズアップされているかというと、これは韓国とアメリカが行っている大規模な合同軍事演習に対する計算された反応であることはほぼ間違いない。ウルチ・フリーダム・シールド演習は今日始まったが、演習は戦争の予行演習だとする北朝鮮当局者の怒りをすでに買っている。

このような合同演習は通常、ミサイル発射実験や国境北からの妨害行動によって迎えられるが、「ウルチ・フリーダム・シールド」は北朝鮮の核とミサイルの脅威に焦点を当てたものではあるものの、夏の恒例行事となっている。一方、今回の訓練は韓国軍によって "過去最大規模 "と宣伝されている。

同時に北朝鮮は、先週末にメリーランド州で開催された日韓米3カ国首脳会談に呼応して、武力を誇示している可能性もある。日米韓の首脳会談では、北朝鮮に対抗するため共同の取り組みを強化することが約束された。

巡航ミサイル搭載コルベットは1隻だけが活動していることが分かっているため、アムノク級は、少なくともさらなる船体が完成するまでは、日本、韓国、アメリカが戦わなければならない主要な脅威にはならないだろう。その一方で、同艦が戦略巡航ミサイルで武装しているという事実は、北朝鮮の核兵器が多様化し、より柔軟で、より標的を定めにくくなっていることをさらに証明するものだ。■


“Strategic” Cruise Missile Tested From North Korea’s New Corvette

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED AUG 21, 2023 1:45 PM EDT

THE WAR ZONE


2023年8月27日日曜日

ウクライナにF-16が供与されどんな効果が期待できるのか。期待できないのか、冷静に見てみよう。

 


ウクライナは1年以上にわたる要請の末、F-16ファイティング・ファルコンを受領する。オランダがウクライナ軍パイロットが操縦訓練を受け次第、ウクライナに42機のF-16を供与すると発表した


 れはウクライナにとっての勝利であることは確かだが、高性能ジェット機が何ができるかだけでなく、何ができないかも理解することが重要だ。


最終的に、F-16はウクライナ軍に空対空能力と空対地能力の大幅な向上をもたらすだろうが、同機は47年前の設計だ。さらに、単一のプラットフォームやシステムでウクライナの戦争に勝てるわけではない。そして、最終的に最も重要になるのは、より広範な包括的戦闘戦略の中で、これらの航空機をどのように活用するかである。


新しい戦闘機には新しい戦術が必要


ソ連時代のMiG-29とSu-27で構成されるウクライナの戦闘機隊は、ロシアが運用するものと見た目は似ているが、さらに古いエイビオニクスを搭載し、年代物の戦闘機の性能をさらに制限している。


ウクライナ空軍司令部のユリイ・インハット報道官はウォール・ストリート・ジャーナル紙に、「ロシアのジェット機はレーダーで我々の戦闘機より2-3倍遠くを見ることができる」とウォール・ストリート・ジャーナル紙に語った。


その結果、ウクライナが受け取ることになるF-16は、1990年代に登場したシステムを搭載しているとはいえ、能力を大幅に向上させることになる。しかし、技術は戦闘パズルの1ピースに過ぎず、これらのプラットフォームが戦闘でどのように活用されるかが、その価値を大きく左右することも忘れてはならない。


「エイビオニクス、兵器システム、兵器の統合は、今(ウクライナが)飛ばしているものより何十年も進んでいる」と、元F-16パイロットでNATO連合軍最高司令官フィリップ・M・ブリードラブ退役大将は言う。「レーダー有効距離や武器の射程距離など、能力の向上はある。しかし、これがすべてではありません」。


退役米空軍准将ジョン・タイヒャートが説明したように、新兵器を配備するための米国のアプローチは、その使用が米国の飛行士にとって第二の天性であることを確実にさせる多数の教育、訓練、戦闘演習を伴う。ウクライナ軍パイロットはこれらの戦闘機を操作する訓練を受けているが、同じレベルの熟練度を示すことは短期的にはほぼ不可能だろう。


ブリードラブ将軍が説明したように、ウクライナがこれらのより先進的な戦闘機を活用する適切な戦術に精通していなければ、「本物の4世代以上の航空機を持つことの利点は何一つ実感できないだろう。F-16をMiG-29のように飛ばしても、ホットロッド版のMiG-29を手に入れるだけだ」。


また、システムの更新、アップグレード、入れ替えは時間の経過とともに行われることを理解することも重要だ。つまり、同じ国で飛んでいる2機のF-16が、搭載されているシステムや搭載可能な兵器によって異なる能力を提供する可能性があるということだ。ウクライナに提供される単座のF-16AMと2座のF-16BMは、2000年代初頭にミッドライフ・アップデートを受け、アメリカが砂漠の嵐で運用したブロック50/52のF-16とほぼ同等になった。


ウクライナでのF-16のパフォーマンスに影響を与える可能性のある変数はたくさんある。戦闘能力と能力が大幅に向上するのは間違いないが、これらの新しい戦闘機がこの紛争の力学をどのように変えるかを正確に知っていると称する人は、状況の複雑さを無視しているか、まったく不誠実であるかのどちらかである。


西側諸国でよくある誤りは、ロシアがウクライナの制空権を確保できていないのは、戦闘機能力が不足しているからだと決めつけることだ。Sandboxx Newsが以前長く取り上げたように、ロシアの戦争ドクトリンは、ここ数十年で効果的だと認識されるようになった欧米やアメリカの戦争方法と大きく異なる。


米国は、航空優勢を、その後の戦闘作戦の状況を改善する手段として重視している。他方、ロシアはNATOを念頭に置いた戦争ドクトリンを確立しており、そのためロシアのプランナーは、NATOとの潜在的な衝突において航空優勢を確保することはできないというかなり鋭い想定をしている。そのため、ロシアでは航空戦力はそれ自体のパワーとは見なさず、むしろ火力優位を確保することに重点を置いていることの延長のとして見ている。


「ロシアの航空ドクトリンは西側の航空ドクトリンと大きく異なる。航空戦力は地上戦力の拡張手段としてしか使わない」と、AFAミッチェル航空宇宙研究所の長である退役空軍中将デビッド・A・デプチュラは説明する。


ウクライナの領空をコントロールできないロシアを擁護するためと見なすべきではない。この紛争が過去1年半にわたって展開された経緯は、このドクトリンの失敗を明確に示しているからだ。


言い換えれば、もしロシアが大規模な紛争で領空を支配できると信じていれば、そのドクトリンはそれを反映しているはずだ。しかし、ロシアのプランナーは、それができない可能性が高いことを知っているため、それに合わせて計画を調整している。これは、ロシアが単に戦争への異なるアプローチを選択した例ではなく、自国の戦略的・戦術的欠点を緩和した例である。ロシアの国防機構はプランナーにレモンを与え、この戦争へのアプローチはレモネードを作るための最善の試みなのだ。


ロシア空軍は、この紛争が始まった時点で900機以上の戦闘機を保有していたと考えられているが、その半分近くは攻撃作戦専用で、残りはマルチロールか航空迎撃用のプラットフォームと考えられていた。平均より低いが信じられる準備率を50%と仮定すると、領土防衛、シリアやその他の地域での作戦、ウクライナでの戦争など、ロシアの幅広い作戦に使用できる戦闘機は合計450機未満になる。ロシアはパイロット不足にも悩まされており、教官を訓練環境から連れ出して前線での戦闘に投入せざるを得ないため、戦闘機の出撃回数も効果もさらに制限されている。


このようなパイロット不足への懸念と、航空機生産を抑制する制裁により、ロシアは航空戦力の使用において保守的になっている。つまり、航空機をロシア領空内に留める一方、長距離兵器をウクライナに発射することが多い。AIM-120アドバンスト中距離空対空ミサイルAMRAAMを搭載したF-16は、それをはるかに困難にするだろう。ウクライナ軍パイロットは現在、ソ連時代のR-73レーダー誘導ミサイルや、R-27のレーダー誘導型や赤外線誘導型に頼っているが、いずれもAMRAAMの公表射程距離より30マイル以上短い。


それを考慮しても、ウクライナ軍F-16が数の上では苦しい戦いを強いられるのはほぼ間違いない。「F-16とSu-27のどちらが勝つか?」という問題ではなく、「F-16と2機のSu-27のどちらが勝つか?」という問題になることが多いかもしれない。


しかし、ウクライナ軍パイロットは、地上部隊を支援し、ロシアの防空システムと交戦しながら、領空争いを維持することに成功し、これまで信じられないほど機知に富んでいることが証明されている。


おそらくF-16がウクライナに提供できる最も強力な改良点は(機体数以上に)、敵防空の制圧や破壊(SEAD/DEAD)であろう。軽快なF-16は、F-4Gワイルド・ウィーゼルからその座を引き継いで以来、この役割において非常に効果的であることを証明している。この任務を任されたアメリカのF-16は、ワイルド・ウィーゼル特殊訓練に合わせて特殊な装備を受けることが多く、ウクライナに向かうやや古いF-16であっても、SEAD能力を即座に大幅に向上させることができる。(ワイルド・ウィーゼルとは、SEAD任務を遂行するために装備されたあらゆるタイプの航空機を指す)。


ウクライナ軍は2022年8月かそれ以前から、アメリカのAGM-88高速対放射線ミサイル(HARM)を活用してきたが、これらの兵器は、使用を想定していなかった旧式ソ連軍ジェット機で運用されているため、有用性は劇的に制限されている。


HARMのような対レーダーミサイルは、レーダーアレイによって放送される電磁波、言い換えればレーダー波に照準を合わせて機能する。米ワイルド・ウィーゼルのパイロットは、しばしば戦闘空域に機体を飛ばし、敵防空システムが自分たちや仲間を標的にしようとパワーアップするのを待つ。防空システムがレーダー波を発信すると、ワイルド・ウィーゼルのパイロットはHARMミサイルを発射しそのレーダー波に照準を合わせ、防空設備を破壊する。


HARMミサイルにはいくつかの改良型があり、それぞれにいくつかのユニークな能力と制限があることを理解することが重要である。


Operational modes and associated flight paths of HARM. (Airpower Australia)


ウクライナのソビエト時代の戦闘機がHARMミサイルを活用できるのは、多くの人が「プレ・ブリーフィング」と呼ぶモードだけだ。事実上、ミサイルは事前に目標地域をプログラムされ、航空機によって発射される。ミサイルは、シーカーを使い、パワーアップしてレーダー波を発射している防空システムを探しながら、目的のターゲットエリアに向かって飛行し、ミサイルに接近して破壊する。


この方法は、特に同ミサイルを大量に発射する場合に非常に効果的である。最終的に敵のレーダーサイトを破壊できなくても、その存在だけで防空アレイのパワーダウンを促すことが多いからだ。たとえ最終的に敵レーダーサイトを破壊したとしても、HARMの存在だけで防空アレイのパワーダウンが促されることが多く、これは事実上の防空抑圧に等しい。しかし、HARMの脅威が去れば、これらのアレイは電源を入れ直し、再びウクライナのジェット機を探し始めることができる。


しかし、パイロットが能力をフルに発揮できるNATO標準のバスを搭載した機体が運用すると、HARMでさらに2つの運用モードがある。自己防衛モードでは、航空機に搭載されたレーダー警告受信機が、放射中の敵レーダーアレイを識別する。そして、そのターゲット・データをHARMに渡し、敵がシステムをパワーダウンさせた場合に、レーダーそのものか、発信中の特定の場所のどちらかを絞り込むことができる。ターゲット・オブ・オポチュニティ・モードも同様だが、AGM-88が搭載のシーカーが敵レーダー・アレイのパワーアップを発見し、パイロットに武器を発射するよう警告する。


これらの追加モードは、ウクライナのF-16パイロットに敵の防空作戦の制圧または破壊のためのより多くのオプションを提供し、事実上、これらの資産の制圧よりも破壊に重点を置くことを可能にする。


また、これらのMLU F-16はAN/ALR-69A(V)レーダー警告受信機を装備しているため、ウクライナの現在のジェット機よりも着弾するミサイルを回避するのに非常に適している。これは、これらの航空機がウクライナに提供できるもう一つの重要な価値をもたらす。


ミサイルを回避し、撃ち落とす


デンマークとオランダのF-16が2000年代初頭に受けたミッドライフ・アップデートのおかげで、ウクライナに提供される機体はおそらくAN/ALR-69Aレーダー警報受信機を装備している。しかし、ALR-69Aにかかわらず、ウクライナがロシアの地対空ミサイルや空対空ミサイルをかわす能力は大幅向上する。また、これらのシステムの多くは、1990年代から2000年代にかけて信頼性と保守性(R&M)の改修を受けているが、その数を特定するのは難しい。


これらのRWRシステムは、戦闘環境を継続的に監視し、侵入してくる脅威を迅速に特定し、パイロットに警告を発し、さらに電子戦能力で脅威を軽減する攻撃的・防御的な行動をとる。


ALR-69Aは接近する脅威を探知するだけでなく、ヘッドアップディスプレイに自機を「ペイント」(探知)している脅威レーダーの種類をグラフィック表示することで、パイロットに状況認識を向上させる。レーダー周波数のオンボード・データベースを使用することで、味方と敵のレーダー・アレイだけでなく、異なる兵器システムによって利用されるアレイのタイプさえも認識し識別する。


これはウクライナにとって、F-16を空対地攻撃任務に活用する際の利点となる。現在、Su-25はレーダー警告受信機を搭載していないことが多い。


ウクライナのSu-25パイロット(コールサインはプンバ)は言う。「すべて目視です。ロシアのロケット発射が見えたら、ヒートトラップを発射したり、機動を変えて逃げようとするだけだ」。


このシステムは、SEADミッションにおけるウクライナのF-16の性能をさらに強化することができるのは明らかだが、前線付近での航空支援作戦を飛行する際にも非常に貴重なものとなる。



昨年12月、「ジュース」というコールサインのウクライナ戦闘機パイロットが、リトアニアの通信社Delfiのインタビューに応じ、ロシア戦闘機がR-37Mのような長距離空対空ミサイルでウクライナ戦闘機と交戦しようとしている方法を論破した。


彼は、ロシアのミコヤンMiG-31BMが、R-37Mレーダー誘導長距離ミサイルを1発搭載して高高度の防衛パトロールを行い、1日に6発ものR-37をウクライナの領空に発射したこともあると述べた。同ミサイルは、全長14フィート(約1.6メートル)、重量1,320ポンド(約1.6キロ)、極超音速に達し、射程距離は400キロ(約250マイル)近くと主張されている。これは、アメリカの目視外射程ミサイルの代表格であるAIM-120 AMRAAMの射程を大幅に上回る。


しかし、R-37Mは極端な距離ではあまり有効ではない: AWACSやタンカーのような大型で鈍重な航空機には脅威となる可能性があるが、戦闘機ではそうではない。戦闘機と交戦する場合、R-37Mが威力を発揮するのは約80マイル以内であり、その距離であっても、ウクライナのパイロットは接近してくるミサイルをかわすことができるとが証明されている(ただし、ウクライナのジェット機がR-37Mによって撃墜されたという報告もある)。


「私たちはこのミサイルを避けるためにさまざまな戦術を編み出しました」。ウクライナのパイロットは、一般に「ノッチング」、あるいは「ビーミング」と呼ばれる方法を使う。これは、向かってくる兵器のコースに対し垂直になるように急速に方位を変えるもので、兵器の視線上で戦闘機の相対速度を極端に低下させ、ロックを失わせる。しかし、ウクライナの戦闘機の多くは低空を飛ぶため、垂直旋回も有効な手段だ。ただ、この方法が本当に有効なのは、R-37Mに搭載されたシーカーが目標を発見して接近を開始し、レーダー警告受信機を通じパイロットに回避行動を取るよう警告してからだ。これは通常、20マイルほど離れた地点で起こる。


デンマークから譲渡されるF-16AMは、パイロン統合ディスペンサー・ステーションを装備しており、レーダー誘導ミサイルの方向転換のためにチャフを配備する。また、デンマークの先進小型ジャミング・システム(AN/ALQ-10)も装備されており、武器にレーダー信号をブロードキャストして、接近中の武器を混乱させる。これらのシステムとALR-69A RWRを組み合わせることで、この種の攻撃に対するウクライナ戦闘機の生存性がさらに向上することはほぼ間違いない。


また、ウクライナ戦闘機の大半は、空中巡航ミサイルを発見しても標的にする能力がない。「私たちの戦闘機には旧式レーダーがついていて、(ロシアの)巡航ミサイルを見ることができない」。ウクライナ空軍のヴォロディミル・ロハチョフ大佐はBBCにこう説明している。


この役割にF-16を活用することで、ウクライナ防空の負担が軽減される。また、MIM-104ペイトリオットのような高価なシステムと、ウクライナのソ連時代のシステムで活用されることがますます少なくなっている迎撃ミサイルの両方の安定した供給を維持するロジスティクスの負担も軽減される。


F-16は(長期的には)ロジスティクスを容易にする

ウクライナ軍パイロットにF-16操縦を訓練することの難しさについては議論が多数あるが、間違いなくもっと重要な課題は、ロジスティクスにもたらされる。F-16の運用には、有能なパイロット以上のものが必要だ。それどころか、整備の訓練を受け装備された地上クルー、機体を再装備する訓練を受け装備された兵器技術者、さらに部品や兵器を常に安定供給し続ける盤石なロジスティクスが必要だ。これらはすべて、ウクライナの戦いを支援する国々が何とかできると信じている巨大な課題である。


もしそうならば、この大きな障害はウクライナ軍にとって重要で新たな強みに急速に変わるだろう。これまで米国や他の国々は、ウクライナに物資を供給し続けるため、他国のソ連時代の在庫から部品や装備品、さらには代替機を探し出さなければならなかった。ウクライナ軍には、これらの航空機や兵器システムを運用し続ける訓練や装備のインフラがすでに整っていたからだ。というのも、NATO諸国にソビエト時代の装備品を大量に備蓄している国はそれほど多くない。


一方、F-16は世界20数カ国で運用されており、アメリカ空軍だけでも950機以上を保有している。つまり、アメリカのように国防予算が潤沢で、予備部品や装備品の備蓄がある国は、ウクライナに戦闘機の維持に必要な物資を容易に提供できる。ウクライナは、ポスト・ソビエトの部品樽の底をかき集めるかわりに、現存生産ラインで積極的に補充されている備蓄品から部品や軍需品を受け取ることができるのだ。


しかし、旧型F-16はロシアの最新鋭戦闘機を凌駕することはないだろう

ウクライナにそれなりの数のF-16を提供することは、ウクライナの能力、能力、さらに士気を大きく高めることになる。しかし、最新で最高の最高級ヴァイパーの話をしているのではないことを忘れてはならない。ロシアは数の上では大きな優位を保ち、ウクライナ軍パイロットの前に、最新鋭で能力が高く、装備の整った戦闘機が依然として現実的な課題を突きつけることになるだろう。


F-16がロシアのSu-35S(同機の最も一般的なバリエーション)に対してどの程度対抗できるかについては、多くの憶測がある。紙の上では、双発エンジンで推力ベクトルを持つロシア戦闘機は、両者のうちでより能力が高い。翼幅と重量がはるかに大きいにもかかわらず、Su-35の推力ベクトル制御は、至近距離での機動性に優れ、高い迎角で飛行しながらより高い制御度を維持する手段を与えている。ロシアのIrbis-Eレーダーアレイを装備している。これは、アメリカの第一線戦闘機の多くに搭載されている、より近代的なActive Electronically Scanned Arrayレーダーほど高度でも高性能でもないが、ウクライナが獲得するF-16が搭載するAN/APG-68パルスドップラーレーダーを凌駕する。Irbis-Eは、空対空と空対地作戦用のモードがあり、探知範囲は400kmに及ぶと言われる。F-16のAN/APG-68の探知距離は296キロと言われており、Su-35SはF-16より先にF-16を発見できる可能性が高い。


「我々の最大の敵はロシアのSu-35戦闘機だ。「我々は(ロシアの)防空位置を知っているし、射程距離も知っている。予測は可能だから、どれくらいの時間(敵のゾーン内に)留まることができるかは計算できる。しかし、戦闘機は機動性がある。彼らは良好な航空写真を持っており、我々がいつ前線に飛ぶかも知っている」。


しかし、このSu-35とF-16の紙上比較には問題がある...それは、ロシア政府とその主要な防衛請負業者によってなされた主張に基づいているからだ。


「Su-35のスペックは、多くの尺度でより優れた航空機であることを示しているかもしれない」と、元英国空軍上級司令官グレッグ・バグウェルはニューズウィークに語った。


このように評価すると、Su-35Sはかなり有能な戦闘機に見えるが、Su-35Sと対戦する訓練を受けたパイロットは異なる見解を示している。


退役した米空軍のダン・ハンプトン中佐は、空軍在職中、F-16で151回の戦闘任務に就いた。Su-35Sについての彼の評価は「典型的なロシア機」であり、「見た目は良い」が、「それほど良い機体ではない」と評している。


「航空ショーでよく見えるが、個人的な意見ではガラクタだ」とハンプトンはボイス・オブ・アメリカとのウクライナ語のインタビューで断言した。


おそらく、Su-35の性能に関する真実は、最大の推進派と否定派の主張の中間にあり、ウクライナ軍F-16パイロットにとって手強い敵となるだろう。実際のところ、ロシアはウクライナが新たに獲得したF-16の戦闘能力を無力化するだけでなく、プロパガンダでも大きな勝利を収めることを期待して、より能力の高いパイロットと戦闘機をウクライナに送り込むことはほぼ間違いないだろう。


ウクライナに救いの手を

ウクライナがF-16を要請して1年以上が経過し、世界のメディアはこの半世紀近く前の戦闘機をロシアの航空戦力に対する回答であるかのように扱ってきたため、F-16が撃墜されれば、ウクライナの勝利への希望と同様に、ロシアの支援を受けたメディアの報道と荒らしの大合唱が起こるだろう。


もちろん、このオール・オア・ナッシングの考え方は、微妙な現実を反映していない。この戦争でF-16が失われるのはほぼ確実だ。しかし、F-16が失われたからと言って、ウクライナにF-16を提供したことが失敗になるわけではない。


しかし、F-16をウクライナに提供することは、おそらく何よりも、苦境に立つウクライナへの世界的な支援の重要な表明であることを忘れてはならない。


だから、同型機がウクライナで飛び始めても、われわれの期待を和らげることが肝要だ。F-16は信じられないほど高性能な航空機だが、この戦争には戦闘機以上のものがある。この戦争に勝つためには、戦闘機以上のものが必要なのだ。■



A realistic analysis of what F-16s really can do for Ukraine | Sandboxx

  • BY ALEX HOLLINGS

  • AUGUST 25, 2023

ウクライナ特殊部隊がロシア占領下のクリミアを強襲。ウクライナ独立記念日のシンボリックな作戦か、それとも.... 

 


Screenshot. Ukraine Defense Intelligence Directorate screencap


ウクライナの国防情報局は、クリミアで重要なSAMシステムを破壊した翌日、クリミアに急襲をかけたと発表した



 ロシアの全面侵攻から2回目の独立記念日の早朝、ウクライナの国防情報局(GUR)は、海軍の支援を受けた特殊部隊をクリミア半島の町オレニフカとマヤクに派遣し、大胆な急襲作戦を実行したと発表した。

 小型ボートで侵入した部隊は海岸に上陸し、ロシア軍と戦闘を行い、殺害し、装備を破壊し、ウクライナ国旗を設置したとGURはテレグラム・チャンネルで述べた。我々にはそれを確認する方法はないが、この襲撃は少し離れた場所でロシアのS-400防空システムを破壊したとGURが述べた翌日に行われた。

 「すべての目標と任務は完了した」とGURは木曜日、戦略的に重要なタルクハンクト岬への早朝の強襲について述べた。タルクハンクト岬はクリミア最西端の岬で、ケルソン州の前線から南へ約90マイル、オデーサの南東約115マイルの黒海に突き出ている。「特別作戦の終わりに、ウクライナの防衛隊は死傷者なしに現場を離れた」。

 GURがYouTubeに投稿した56秒のビデオでは、部隊が小舟で上陸し、青と黄色のウクライナ国旗を建物に取り付けている。サプレッサーを装備したライフル銃が数発発射されたような音が聞こえ、部隊が再びボートで去っていくようだ。

 ロシアのメディア『SHOT』は木曜日、テレグラム・チャンネルで、最初の発砲音は現地時間午前3時50分ごろに「オレニフカ村のキャンプ場で」聞こえたと報じた。目撃者によると、おそらくRPGと思われる銃声があったという。

 人々が目を覚まし、家やテントを海岸に残したとき、「海岸からそう遠くないところに2隻のゴムボートを見た。10人の男が乗っていた。うちの1隻がキャンプ場に向けて発砲した。しかし、命中したのは1回だけで、その後、グループは姿を消した」。

 この作戦の目的は、象徴性と心理的影響以外には、今のところ不明なままである。タルクハンクト岬はこ防空システムにとって理想的な場所で、ここを破壊すれば、半島と黒海北西部のロシアの防空上空に穴が開く可能性があり、空襲の危険性は低くなる。また、クリミアの同じ地域で、P-800オニクスの対艦巡航ミサイルを発射するロシアのK-300PバスティオンP沿岸防衛ミサイル・システムが攻撃されたという、公式機関による報告が昨日あった。そうだとすると、そのシステムを攻撃することも、特殊作戦の成功に不可欠であったかもしれない。

 さらに、GURが木曜日の空襲のもう一つの目的であると述べたマヤクは、「ロシア連邦航空宇宙軍の無線技術部隊の一部である第3無線技術連隊の基地である」とラジオ自由/ラジオヨーロッパのクリミア・リアリティーズは木曜日にテレグラム・チャンネルで報告した。「タルクハンクト半島にもレーダーノードがあり、Nebo-M[マルチバンド]レーダーとKasta-2E2[低高度3D全方位スタンバイ]レーダーがある。防空用の陣地は周辺に沿って準備されている」。

 クリミアン・リアリティーズは、GURの発表前にテレグラム・チャンネルにこの事件に関する情報を投稿し、午前5時頃にその村で爆発音が聞こえたと述べた。

「さらに、ウクライナ情報筋は、水上機と航空機を含む戦闘がこの地域で行われたことを確認した。詳細はまだ特定されていない」とクリミアン・リアリティーズはGURの確認の前に報じている。

レーダー装置が標的であったかどうか、また、この空襲によってレーダーに損害が生じたとすればどのようなものであったかは不明である。我々はGURの責任者であるキーロ・ブダノフ空軍大将に詳細を尋ねたが、彼は「クリミアでの地上作戦としては何年ぶりかの成功だ」とだけ語った。我々はまた、彼のスポークスマンに連絡を取り、追加の詳細が提供されれば、この記事を更新する予定である。

2日前、ブダノフはクリミアのロシア軍に対して不吉な脅しをかけていた。

 今日のクリミア・プラットフォーム首脳会議に先立ち、火曜日に行われたITV通信とのインタビューで、ブダノフはクリミア解放の努力には「一時的に占領された地域での抵抗と、クリミアからの占領者の排除」が含まれると述べた。我々の行動は現在明らかになっており、今後数日のうちにさらに多くのことが起こるだろう。

 本誌が、ブダノフに何を意味するのか詳細を尋ねたところ、ブダノフは典型的な不可解な返答をした。「いずれわかる。待ってくれ」

 この作戦について、ライバルのテレグラム・チャンネルは、ウクライナ軍が「英国が準備していた上陸作戦のための抜け穴を探して、数週間クリミア近郊を探査してきた。そして、タルクハンクトはこの種の行動に最も適した場所だ。岬の海岸線は海とほぼ同じ高さで、小型ボートの接近に最適だ。今回が単なる見せかけの出撃なら、丘に登ってそこの軍事施設を攻撃することを、何が妨げたのだろう?」と伝えた。


クリミアのタルクハンクト岬に位置するマヤクには、ロシアのレーダー施設がいくつかある。(グーグルアース画像)


 襲撃前の水曜日の夜、クリミア・リアリティーズとのインタビューで、ブダノフはこう語った: 「一時的に占領された自治共和国のどの地域でも攻撃できるようになった。クリミアの占領解除には多くの選択肢があるが、軍事行動なしには不可能だ」。

 ブダノフは、解放の大義を支持するクリミア住民に、一歩踏み出すよう呼びかけた。

 「半島の最大限の無血解放を確実にし、それを加速させるために、これを待ち望んでいるクリミアの市民は、まずウクライナの諜報機関に準備とあらゆる協力をすべきだ」と述べた。

 彼はまた、半島の解放が予想より遅れていることも認めた。

 ブダノフはクリミア・リアリティーズに対し、「そう、残念ながら、あらゆる計算によれば、事態の進展が本来あるべき姿より遅いことは認めざるを得ない。しかし、我々は持っているものを持っている。しかし、クリミアや半島の領土で起きている敵対行為のレベルを見れば、2014年から2022年までの期間はもちろん、2022年と比較にならないことが理解できるだろう。つまり、我々はゴールに向かって進んでいるのだ。そう、予想より遅いが、私たちは進んでいる」。

 この襲撃について、クリミアの占領当局やロシア国防省からのコメントはまだない。

 GURがクリミア住民のネットワークを持っていて、おそらくドローンを使って攻撃を行った可能性がある。あるいは、クリミアで活動するウクライナのエリート部隊が実行した可能性もある。我々は過去に両方の可能性について書いてきた。

 木曜日の襲撃が、ウクライナの32回目の独立記念日にちなんだ旗を見せるだけの作戦だったのか、意のままに攻撃できることを示すための作戦だったのか、より多くのロシアの装備を攻撃するためのものだったのか、あるいは何らかの組み合わせだったのか、現時点では不明である。

 しかし、これは明らかに、クリミアがウクライナの攻撃に対しいっそう脆弱になっているというロシアへの新たな警鐘である。特に、ウクライナの無人偵察機が、クリミアの重要な防空システムが破壊される様子をビデオに収めつつ、何事もなく飛行した翌日である。■


Ukraine Special Operations Forces Raid Crimea | The Drive

BYHOWARD ALTMAN|PUBLISHED AUG 24, 2023 12:46 PM EDT

THE WAR ZONE


2023年8月26日土曜日

脅威を意識してグアムのミサイル防衛防空体制が一段と強化中。西太平洋の拠点としてグアムはなんとしても死守したい。

 


A map showing radar arcs and areas of restricted airspace associated with the Enhanced Integrated Air and Missile Defense system. <em>MDA</em>

A map showing radar arcs and areas of restricted airspace associated with the Enhanced Integrated Air and Missile Defense system. MDA


グアム全土に設定された恒久的な空域閉鎖は、グアムを要塞にする

 アムは、大規模な防衛向上計画の一環として、迎撃ミサイルやレーダーなどを満載した防空拠点を20箇所以上整備する。全体として、グアム島は地球上で最大限の防御密度の場所になる。


米軍が発表した、新たな防空・ミサイル防衛によるグアムの日常生活への潜在的な影響についての文書は、プロジェクトの規模と範囲について新たな見方を提供している。地対空迎撃ミサイル、レーダー、その他の強化統合防空ミサイル防衛(EIAMD)システムを設置するため、合計20もの場所が検討されている。このシステムは、常時運用され、潜在的な電磁波干渉の危険をもたらすレーダーサイト周辺で空域制限を伴うと予想がある。


米軍は今月初め、計画中のEIAMDシステムに関する情報を住民に提供し、意見を求めるため、グアムで複数のいわゆる「パブリック・スコーピング・ミーティング」を開催した。一般市民は8月18日までに、このプロジェクトとその潜在的な環境影響に関するさらなる意見や批判を提出できる。


公開情報には、EIAMDシステムのさまざまな要素をホストする候補地の位置を示す地図と、付随して設定されるレーダーアークと制限空域ゾーンを示す地図が含まれている。

「ミサイル防衛システムは、グアムを360度防衛することができる。360度能力は、島の複数の場所にシステムのコンポーネントを分散/配置することで達成される」と、候補地マップに添えられたブロックの文章は説明している。「候補地選定は現在進行中であり、さらなる候補地が検討される可能性もある」。


「提案された措置が実施された場合、MDA(ミサイル防衛庁)と陸軍は統合防空システム(EIAMD)を建設し、継続的に運用することになる」と、レーダー/空域マップの背景を説明する文章が追加されている。「FAA(米連邦航空局)は、航空機の電気・電子システムに対するFAA認証基準を超える高強度放射が存在する空域での航空機飛行制限に関連する行動をとるだろう。

「MDAと陸軍は、航空機の飛行制限に関するFAAの措置が完了するまで、EIAMDシステムの連続運用を開始しない」。


EIAMDの一部として新型レーダーの設置によるグアムへの影響についての特別な懸念は、以前から浮上しており、米軍は以前から特別な注意を要するトピックだと認めていた。


「米国内であろうと海外であろうと、......レーダーの電磁干渉を心配しなければならない......」と、当時MDAのトップだった、ジョン・ヒル副司令官は昨年語っている。「病院を建てようとしていて、ここにレーダーがあると、MEDEVAC(医療搬送)ヘリコプターが到着する場所にレーダーのエネルギーを通してもいいのだろうか?答えはノーだ」。


現在計画されているように、EIAMDは、グアム全体として、各種の空中脅威に対し360度の空とミサイル防衛の提供を意図した、分散された階層的な『システム・オブ・システム』だ。米領であるグアムは、西太平洋の戦略的な位置にあり、空軍、海軍、海兵隊の主要基地がある。これらは、中国に対するようなこの地域での将来のハイエンドの紛争において、相手国にとって優先的な標的のリストの上位に入るだろう。


EIAMDの中核は、グアム特有の地理的条件やその他の要件に合わせたイージス・アショア・システムだる。これは、現在ルーマニアとポーランドにある米軍のイージス・アショア・サイト(後者はまだ稼働していないが、今年後半に稼働する予定)と大きく異なるものになると予想される。米軍はハワイにイージス・アショア専用のテストサイトを持っている。


当初の設計通り、イージス・アショアは、AN/SPY-1レーダーやMk 41垂直発射システム(VLS)を含む様々なコンポーネントを、フライトIIAアーレイ・バーク級駆逐艦から陸上配備型に直接移植したものだ。このシステムの主要な迎撃ミサイルは、地球大気圏外を飛行する大陸間弾道ミサイル(ICBM)をミッドコースで迎撃できる設計のブロックIIAを含むSM-3のバリエーションだ。


Mk 41 VLSの多目的性のおかげで、多目的SM-6や、飛来する極超音速ブーストグライドビークルに対処するために現在開発中の滑空位相迎撃ミサイル(GPI)などのミサイルが、将来統合される可能性がある。


グアムのイージス・アショア・システムの正確な構成はまだわからない。しかし、米ミサイル防衛局は過去に、従来型システムよりはるかに広範囲に分散配置されると明らかにしている。特定のコンポーネントを硬化した地下施設に設置したり、道路を移動できる地上プラットフォームに搭載することについては、過去にも議論があった。


EIAMDの上位層には少なくとも4台のAN/TPY-6レーダーも含まれることが判明している。この設計は、以前は国土防衛レーダー・グアム(Homeland Defense Radar-Guam)として知られており、現在アラスカに設置されているロッキード・マーチンの長距離識別レーダー(LRDR)の技術を活用している。

米陸軍は、対弾道ミサイルシステムTHAAD(Terminal High Altitude Area Defense)、地対空ミサイルシステムのペイトリオットPatriot、Typhon Mid-Range Capabilityシステム(SM-6多目的ミサイルとトマホーク巡航ミサイルを発射可能)で、Enduring Shield Indirect Fire Protection Systemsを提供し、下層の防空・ミサイル防衛をカバーする。


THAAD、パトリオット、SM-6を搭載したタイフォンは、さまざまな種類の弾道ミサイルや巡航ミサイル、固定翼機やその他の空中からの脅威と交戦するオプションを提供する。少なくとも当初はAIM-9Xサイドワインダー・ミサイルを発射するエンデュアリング・シールドは、巡航ミサイル、無人偵察機、は砲弾ロケットに対する追加防御を提供する。本誌では、監視やその他の悪意のある目的に使用したりできる超低価格の商用タイプを含むドローンが、グアム含む海外や国内の米軍にもたらす脅威を繰り返し強調してきた。


グアムには2013年以来、陸軍のTHAAD砲台が配備されている。陸軍はまた、2021年の試験の一環として、アイアンドーム・システムを配備した。


グアムの新しいEIAMDに対する陸軍の貢献には、少なくとも3基の下層防空ミサイルセンサー(LTAMDS)レーダーと、島の周囲に分散配置された複数の小型センチネル・タイプが含まれる。


海軍のイージス・コンバット・システムと陸軍の統合戦闘指揮システム(IBCS)の要素を含むコマンド・アンド・コントロール・アーキテクチャは、これらすべてを結びつけるのに役立ち、柔軟性の拡大と全般的な状況認識を可能にする。このネットワークはまた、グアム防衛側がさまざまな迎撃ミサイルや関連センサー、より忠実度の高い追跡・照準データを生成するためのデータ融合を選択し、さまざまなタイプの到来する脅威に最適に対応し、より速く、より高い精度で対応するのに役立つ。


また、これらのネットワークは外部ソースからの情報も取り込むことができるようになる。これには、既存および将来の宇宙ベースのセンシング資産も含まれる。極超音速兵器に特化した新しい追跡コンステレーションの開発はすでに始まっており、最終的には数十基の衛星が含まれる見込みだ。


前述したように、EIAMDのさまざまな構成要素がどこに配置されるかは、まだ完全には決まっていない。


公開された環境影響情報に含まれるレーダー/空域マップには、グアム北端のリティディアン・ポイント付近、島中央部にあるグアム海軍基地(NBG)のバリガダ・サイト、南部の海軍軍需施設(NMS)内の位置から放射される3つの顕著なレーダー・アークが示されている。これらはAN/TPY-6やLTMADSレーダーの設置が検討されている場所である可能性がある。


グアムの海兵隊の新キャンプ・ブレイズの管轄下にあるリティディアン・ポイントからは、4つ目の非常に大きなアークも突き出ている。また、島の北端にすでに設置されている陸軍のTHAAD砲台に関連する既存のAN/TPY-2レーダーを反映している可能性もある。


地図上には他にも11のレーダーアークが記されており、これは完全なEIAMDSの様々な下層コンポーネントを反映していると思われる。

計画されているEIAMDSの全コンポーネントがいつ設置されるのか、正確なスケジュールは不明だ。関係者は過去に、システムの少なくとも一部を2026年までに運用開始したいと述べている。今週初めの会見で、MDA長官代理のダグ・ウィリアムズ海軍少将は、2024年12月にグアムでイージス・アショアサイトからSM-3ブロックIIAミサイルの初期実射テストを実施する計画が進行中であると述べた。

グアム住民の反対など、EIAMDSの取り組みを遅らせる可能性のあるハードルはいくつもある。米軍はまた、グアム島のため各種の新しい防空・ミサイル防衛システムの費用を賄うために、複数年にわたり予算を十分に確保する必要がある。ディフェンス・ニュースによると、ミサイル防衛局と陸軍は、この作業を支援するため、2024会計年度だけで14億4000万ドル近くを要求している。


さらに米陸軍は最近、今後数年間でペイトリオット・システムを増やす別計画での話し合いの中で、同軍の防空部門の採用における課題を浮き彫りにした。すでに兵役に就いている者でさえも、陸軍のこの特殊な部門に参加させるのが難しいということは、ペイトリオット・コミュニティ以外にも影響を及ぼしかねず、ひいてはEIAMDSのスケジュールにも影響を及ぼしかねない。


はっきりしているのは、グアムの防空・ミサイル防衛を大幅に拡大する米軍の計画が固まりつつあり、計画通りに進めば、地上と上空の両方で、グアムに大きな変化が生まれそうだということだ。■


Guam’s Airspace Set To Be Most Defended On Earth In New Plans

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED AUG 11, 2023 4:21 PM EDT

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