本件、すっかり報道が減っています。とにかく情報がないためいろいろと推測する向きが出てきたようですが今回の事件は単なる事故で片付くか疑問ですね。死者が発生したため米側も真剣に調査し、捜査権がない日本は傍観するだけですが、日本側メディアもその気になればいろいろ調査できるはず。政権打倒という負の方向ではなく、事故調査としていろいろおかしな点がを独自に調べてもらいたいものです。
TETSY JOKO—AP
We Don't Know Much About the Fitzgerald Collision and That Seems Odd
フィッツジェラルド衝突事件で判明したことが少ないのが妙だ
Authorities have been tight-lipped about the accident and the strange details we do know have quickly giving rise to conspiracy theories.
関係者は事故で口を閉ざすが奇妙な背景から陰謀論が浮上
米海軍駆逐艦と民間商船間で発生した事故からオンライン上で陰謀論が盛んに議論されている。事故状況の公式説明がほとんどないことから全体状況が常軌を逸していると思わないほうが難しい。
まず判明していることを列挙しよう。2017年6月17日、コンテナー船ACXクリスタルがアーレイ・バーク級駆逐艦USSフィッツジェラルドに本州沖合56マイルで衝突した。双方が損傷を受けたが、米艦船の被害の方が大きい。
第七艦隊前方配備部隊司令官ジョセフ・オーコイン中将は6月18日の報道記者会見で事故の被害状況に触れ、その後フィッツジェラルドは横須賀に帰港した。中将は以下説明していた。
- 艦は重大な損傷を受け直後に艦内大区画三つで浸水がはじまった。機械室1と116名収容の居室2だ。
- 艦長室も直撃を受け、艦長が閉じ込められた。乗員は迅速かつ効果的に動き、その行動に誇りを感じる。
- 英雄的行為で浸水の拡大を防ぎ、沈没を回避した。もっと悪い状態になっていた可能性もある。
- 艦は世界で最も混雑した港湾に磁気コンパスと予備航行装置だけで進めた。二本あるシャフトの一本はロックされていた。
- 乗組員の決意と勇気ある行動のおかげでダメージコントロールを続け、艦は自らの動力で昨日夜に帰港できた。
その日遅くにダイバーチームが損傷状況を調査し行方不明乗組員7名の遺体を発見した。公式発表の表現を見るとクリスタルが衝突して居室内で溺死したとわかる。今回死亡した乗組員の年齢分布をみると年若い青年たちが数十億ドル相当の軍艦を動かしているのわかる。氏名、階級、出身地は以下の通りだ。
- Gunner’s Mate Seaman Dakota Kyle Rigsby, 19, from Palmyra, Virginia
- Yeoman 3rd Class Shingo Alexander Douglass, 25, from San Diego, California
- Sonar Technician 3rd Class Ngoc T Truong Huynh, 25, from Oakville, Connecticut
- Gunner’s Mate 2nd Class Noe Hernandez, 26, from Weslaco, Texas
- Fire Controlman 2nd Class Carlos Victor Ganzon Sibayan, 23, from Chula Vista, California
- Personnel Specialist 1st Class Xavier Alec Martin, 24, from Halethorpe, Maryland
- Fire Controlman 1st Class Gary Leo Rehm Jr., 37, from Elyria, Ohio
事故発生を受け海上保安庁はただちにヘリコプター数機を現場に送り、医療搬送した。うち一回はブライス・ベンソン艦長で次に氏名未発表の水兵二名が搬送された。全員が横須賀海軍病院に送られた。
米国は捜査を三方向から行う。海軍の法務部(JAGMAN)は事故の根本状況を、海軍は別に安全面から検討を行う。米沿岸警備隊は「海洋障害調査」をクリスタルと乗員を対象に行う。日本関係者も独自の調査を行う。
だが今までのところ米日双方の当局関係者から事故がどのように発生したのかあるいはフィッツジェラルドの当時の任務について共に説明がない。オーコイン中将も「調査がいつ完了するか予測不可能」と言っていた。
そこで陰謀説が出てきたのは驚くべきことではない。衝突が故意に行われたとの主張に今のところ証拠はないが、今回の事故には奇妙な点が多々ある。
#USSFitzgerald Look at track of #ACXCrystal it veered OFF course TWICE The last time right b4 hitting USN ship.. Autopilot malfunction?
ACXクリスタルの航跡を見ると二回方向転換してから米艦に衝突している。オートパイロットの故障なのか。
まずMarineTrafficだ。オンラインの船舶航路追跡サービスで航空機のFlightRadar24に似ている。これによるとクリスタルは6月17日1:30 AMに緊急方向転換をしている。同サイトによるとコンテナー船の速度は14ノットからゼロになっている。ゼロはおそらく衝突時だろう。ただし直後に元の速度に戻している。衛星データがの精度を確認しようがないが、重要なデータのようだ。同船から2:25 AMに事故報告があり、五分後に衝突地点と思われる場所へ戻っている。同船のオートパイロット機能が故障したのかエラーがあったと見る向きがある。
海上保安庁も当初は事故発生時間を2:20 AMとしていたが、民間船から当局への報告が一時間も後になった理由を調査中といわれる。海上の当て逃げ事件といってよい。2017年6月19日現在で米海軍が当初発表のあった時間の通りと信じているか不明だ。「緊急事態になり、乗員は連絡する余裕がなかった」と日本郵船の広報の発言をCBSニュースが伝えている。日本郵船はクリスタルの所有企業だ。フィッツジェラルドから事故直後に海軍司令部にすぐ連絡が入らなかった点でも説明がない。連絡があれば直ちに対応措置をしていたはずだ。
またクリスタルの一連の行動から裏に不正な力があったとの観測が生まれている。同船の所有権をたどると日本特有の系列が見えてくる。表向きはACXアジアコンテナーエキスプレスが日本郵船の子会社として運航する。しかし大日インベストメントが船主になっている。日本郵船は三菱グループ企業だ。同船は日本郵船が2014年からフィリピンの海運会社に貸し出している。つまり同船は第三者が借り乗員、燃料その他を用意して運航している。クリスタルの乗組員の情報と事故にどう対応したのかで関係当局からの発表は皆無に近い。
未確認のうわさがある。クリスタルは航行灯をつけず、海上トランスポンダーを付けずに航行し、事故防止措置をとっていなかったという。しかしMarineTrafficで非暗号化トランスポンダーデータで作成した地図があり同船の事故前後の位置が示されており、トランスポンダーを切っていたというのはあり得ない。フィッツジェラルドでも同艦のレーダー他監視装置が事故当時に作動していたのか観測がさかんだ。
AP
事故後のACX クリスタル船首部分。
「USSフィッツジェラルドが貨物満載の商船と日本沖合で深夜に衝突した状況ではわからないことが多すぎる」とジョン・カービー(退役米海軍少将でオバマ政権で国務省報道官、現CNN解説者)は感想を述べている。「同艦のレーダーは正常に作動したのか、当直要員はどう判断したのか、あるいは判断を誤ったのか、事故を回避できなかったのか。貨物船の乗組員がどんな行動で悲劇を招いたのか回避できなかったのかがわからない」
今広がっている陰謀論はなんらかの理由でクリスタルのバルバスバウがフィッツジェラルドに衝突し、側面を損傷させるのに最適の手段というもの。このとおりなら北朝鮮が背後に浮かぶ。同国は自国貨物船をフロント企業を通じ使い、海外の不良企業により貨物を輸出入している。さらに米朝間の言葉の応酬が激しくなる中で実際に衝突手前の事態も発生しており、6月18日には北朝鮮外交官がニューヨークJFK国際空港で国家保安省係官と理由不明の取っ組み合いをしている。北朝鮮は今年2月の金正男暗殺など秘密工作活動を堂々と展開している。
だが前述のようにこのシナリオを証明する詳細な事実関係はない。クリスタル乗員が犯罪に関係し、必要な書類なしで運行していたため現場を慌てて退去し、その後事態の大きさに気付いたのかもしれない。また実は単なる事故で技術上の問題あるいは機械的な故障あるいは昔からの人的エラーが原因だったのかもしれない。■
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高橋洋一氏いわく、今のマスメディアの調査力とはいかに官僚から(裏付け取れて無かろうと)資料を得られるか、だそうで。
返信削除コネも何も持たない日本の各社には調査報道など無理でしょう。ましてや状況もハッキリとしていないにも関わらず米海軍をSNSで非難してしまう記者が編集部にいるメディアですから。