2016年2月19日金曜日

3月にLRS-Bで米空軍が情報開示?


ボーイングの不服申し立てが却下され、これで正式にノースロップが次期爆撃機の開発に向かえるようになったことから空軍ももうすこしだけ情報を開示するつもりのようです。ただしどこまでの開示になるのかが気になりますね。
-------------------------------------------------------------------------------------------------


US Air Force Promises More Details on Long Range Strike-Bomber

By Lara Seligman, Defense News7:08 p.m. EST February 18, 2016

635913979124195298-635908761896218813-635653871875131810-DFN-US-bomber-northrop.jpg(Photo: Northrop Grumman)
WASHINGTON — 米空軍はノースロップ・グラマンへの長距離打撃爆撃機契約交付を政府監査部門が承認したため、極秘とされてきた同機の追加詳細情報を三月に公開する。
  1. おそらく三月第一週に情報開示するとマイク・ホームズ中将(参謀次長戦略開発調達部門)がミッチェル研究所開催の会合で2月18日に述べた。ホームズは情報開示の内容については言及を避けている。
  2. 情報秘匿度次第だが、まずどの情報を開示するかを決め、慎重にすすめていく、とホームズは述べている。
  3. 政府会計検査院(GAO)は2月16日にボーイングの不服申し立てを却下し、LRS-B契約でノースロップ・グラマンが正式に主契約交付先になった。ただし、空軍がどう機体開発を進めるのか疑問が残ったままだ。
  4. 空軍はまだ同機の詳細情報を公開しておらず、契約額も不明だ。ノースロップには10月27日付でエンジニアリング・製造・開発契約が交付された。LRS-Bの機体寸法、重量、ペイロードは不明のままで、ステルス性能も同様だ。最上層部は同機の主要部品メーカー名についても口を閉ざしているが、プラット&ホイットニーがエンジン開発にあたる可能性が高い。
  5. ホームズのプレゼンテーション内容に対してジョン・マイケル・ロー退役大将(航空戦闘軍団司令官)がLRS-Bで透明性が足りないと批判している。ローは空軍に対し追加詳細情報の開示を求めている。とくに製造にあたる企業名の開示は非常に高額な開発を議会や一般国民が支持するためにも必要だという。
  6. 「LRS-B実現のため毎日、毎週、毎月、毎年奮闘する必要があるだろう。各方面から中止を求める声がでるはずだ。空軍が業界チームの企業名を早く公表すればそれだけ支援の輪が広がる。逆に公表しなければ事業は継続できない」
  7. ローによれば空軍参謀総長マーク・ウォルシュ大将はGAO裁定でボーイングの不服申し立てを却下次第追加情報の開示をすると確約したという。
  8. 「議会の支持をとりつけたければ、業界の支持を確保したいのであれば、行動が必要だ。RCOに秘匿扱いを任せていてはいけない」とローは空軍の調達部門で秘密扱いの事業を切り盛りする迅速戦力整備室の名前を言及している。
  9. ボーイングと提携先ロッキードが不服申し立てを11月6日にGAOへ提出したことで空軍と産業界のチームはLRS-B関連の事業を停止していた。だが今回GAOがボーイングの主張を却下したことでノースロップは空軍と事業を先に進め、エンジニアリングおよび開発業務を実施できることになった。初期作戦能力獲得の目標を2025年に設定している。
  10. 「今回の決定は米空軍が異例なまで完璧な選定手続きを経て最高の性能を妥当な価格で提供する事業案を採択したことを意味するもの」とノースロップ副社長ランディ・ベロートが声明を出した。
  11. 空軍はLRS-B開発、試験、評価ように121億ドルを用意し今後5年を費やすと空軍の2017年度予算要求説明書が述べている。この金額は空軍が昨年想定したものより35億ドルほど低くなっており、ノースロップに交付した契約での新しい積算を反映しているのだろう。
  12. ボーイングはGAO裁定を精査し、次の手段をとるかを数日以内に決定するとしている。GAO裁定自体は覆すことができないが、同社は連邦裁判所に案件を持ち込むことができる。
  13. 「現在も当社提案内容が空軍及び国家にとって最良の内容だと信じており、政府選定手順には根本的かつとりかえしのつかない欠陥があったと考えている」(同社声明)
  14. 不服申し立てを出した時点でボーイングとロッキードはLRS-B選定手順は「根本的に間違っている」と共同声明で述べ、政府による費用評価を問題にしていた。だが両社は不服が通る可能性は低いと判断。近年の国防調達で不服申し立てが認められたのは最新の2013年でも2%しかない。連邦政府の契約行為全体ではこれより高いがそれでも4%を下回る。
  15. 空軍は空中給油機を巡る混乱が10年近く続き、やはり不服申し立てをしたボーイングが当初のエアバス向け契約を覆した苦い経験からLRS-B契約交付については慎重に守っている。■

北朝鮮のKN08ICBMはどこまで戦力化しているのか


記事が指摘するように発射テスト未実施のままでは信頼性に欠けるので北朝鮮が次回発射するのがこのミサイルなら、実戦配備に一歩近づくことになりますね。それまではこけおどしの道具になるのではないでしょうか。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

North Korea making progress toward fielding KN08 ICBM

Richard D Fisher Jr, Washington, DC - IHS Jane's Defence Weekly
16 February 2016

  
KN08 ICBMの最新版はロシア製マカエフR-29潜水艦発射弾道ミサイルの影響が大きいことを示している。Source: Via Chinese internet

韓国と米国の情報筋によれば北朝鮮がKN08(Hwasong-13火星)道路移動式大陸間弾道ミサイル(ICBM)の配備に向けて進展を示している。
  1. 韓国の聯合通信は「韓国の複数政府筋」が北朝鮮が戦略ロケット軍で「新部隊」を編成しKN08の配備に備えていると明かしたと2月14日に報じている。
  2. 一方、米国会情報長官ジェイムズ・R・クラッパーは「脅威内容評価」の証言で「北朝鮮はすでにKN08配備の初期段階に入っているが、同システムはまだ発射実験をおこなっていない」と証言。
A close-up of the redesigned warhead stage of the North Korean KN08 ICBM. (Via Chinese internet)
KN08 ICBMの再設計弾頭部分がよくわかる写真. (Via Chinese internet)
  1. ペンタゴンは恒例の北朝鮮軍事力報告を2月12日に刊行しており、「設計開発に成功すれば、KN08は米国大陸部のほとんどを射程に入れる」と記述している。ただし同報告書では同ミサイルが「きわめて複雑な構造で数回の発射テストを経て設計上の瑕疵や製造上の欠陥を除去すべきものだ。テスト実施がなければKN08のウェポンシステムとしての信頼度は低いまま」と指摘している。
  2. 2012年4月の軍事パレードで北朝鮮は三段式KN08ミサイル6発を公開したがモックアップだったとの評価が出ている。とはいえ、搬送車両は16輪の運搬発射台で製造元は万山特殊車両製造Wanshan Special Vehicle Corporationで同社は中国航天技集団 China Aerospace Science and Industry Corporation (CASIC)の傘下にある。
  3. 2015年10月の軍事パレードではKN08の派生型二段式ミサイルが新型弾頭部分をつけているのが目撃されている。弾頭の形状はロシアのマカエフR-29/RSM-40潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の多弾頭発射部分に似ていた。■

2016年2月18日木曜日

★中国・南シナ海>対空ミサイルの持ち込みは防空識別圏の設定につながるののか



既成事実の積み上げで自分の主張を固めていくのはいかにも中国的ですが、国際社会の反発は必至で不信を招き、最終的に破滅に至る可能性を認識しているのでしょうか。いないからこういうことができるのでしょうね。米軍は各島の施設はGrapesつまり簡単に除去できると言っているようですが、軍事行動にエスカレートすればそれこそ中国の思うつぼでしょう。

-----------------------------------------------------------------------------------------------------

Chinese Foreign Minister Wang Defends South China Sea Anti-Air Missile Deployment, PACOM CO Harris Expresses Concern

By: Sam LaGrone
February 17, 2016 12:17 PM • Updated: February 17, 2016 2:07 PM
Chinese Foreign Minister Wang Yi.
Chinese Foreign Minister Wang Yi.
woody_hq9
中国の王外相は南シナ海に対空ミサイル32発を人民解放軍が配備したのは自国主権の範囲内だと発言した。

  1. 毅外相はウッディ島にHQ-9ミサイルを配備したのは「国際法で許された自国防衛の権利の一環であり、何ら問題はない」と北京で報道陣に語った。報道会見はオーストラリアのジュリー・ビショップ外相と南シナ海問題で会談した直後だった。毅は「西側報道がネタを作ろうとしている」とした。
  2. 2月16日にフォックスニュースがウッディ島へのミサイル配備を報じている。
  3. 米太平洋軍司令官ハリー・ハリス大将は東京で報道陣に同島へのミサイル配備は南シナ海の軍事化の象徴であり習近平主席が軍事化はしないと発言していたのと矛盾すると発言。ペンタゴン関係者は繰り返し南シナ海問題は外交で解決すべきと述べている。「米国はすべての関係国に埋め立て工事、その他建設工事、および軍事施設の建設の中止を引き続き求めていく」と声明を発表した。
  4. 上院軍事委員会のジョン・マケイン(共、アリゾナ)委員長は声明文を出し、「中国の南シナ海での今週の動きは北京が引き続き軍事手段で海洋を支配しようとしていることの表れであり、習近平主席が訪米中に発言した内容とあいいれないものだ」「以前には埋め立て工事は中止している、南シナ海の軍事化はない、と主張していたことを考えると北京の発表がいかに事実に反するかがわかる」
  5. フォックスニュースが報じた衛星画像ではHQ-9移動式防空ミサイルの発射装置トレーダーが見える。HQ-9はロシアのS-300PMU(NATO呼称SA-10グランブル)を原型とし、有効射程は120マイル、速度はマッハ4.2だ。
  6. 「画像で判明した発射車両は北京郊外の製造工場でグーグルアースがとらえたものと同じだ」と海軍関係アナリストのクリス・カールソン海軍大佐(退役)がUSNI Newsに16日語っている。「各4発のミサイル部隊二個はこの数週間の間にウッディ島に搬入されたようだ」
  7. 今回のHQ-9配備の前に人民解放軍空軍が瀋陽J-11戦闘機編隊をウッディ島に11月に展開して懸念を招いており、南シナ海で中国が防空識別圏(ADIZ) を設定する動きとの観測を呼んでいる。2013年には東シナ海で中国がADIZを設定し、米国他への挑戦と受け止められた。直後にPLAは東シナ海で戦闘機を運用しADIZの実効性を示した。
  8. 南シナ海でも同様の動きに出れば、主権・領有権が複雑に絡み合った地域であり、中国は国際法に違反することになる。
  9. 自国領土内に防衛装備を配置することは国際法に違反しないが、この装備で国際空域や水域に「明白な脅威」を加えることは国際法に反すると海軍大学校の国際法教授ジェイムズ・クラスカはUSNI Newsに開設してくれた。「もし中国がこのミサイルを使って防空識別圏を設定する、あるいはその他の制約を航空に加えれば法への違反になる」
  10. HQ-9搬入は米国がFONop航行の自由作戦として誘導ミサイル駆逐艦一隻をパラセル諸島のトライトン島から12カイリ以内を航行させて一か月もたたない中、中国が島しょ部分で軍事施設を拡大中との報道が出て一週間後の動きとなった。■


米空軍2017年度予算のあらまし:F-35調達は5年で45機削減する苦しい台所事情


要はF-35で予算をやりくりしている、つまりF-35はバッファーにされているわけですね。それだけF-35の戦力化はまだ先が見えないということでしょうか。機体価格が上昇するのは必至で日本も高い買い物をすることになるのでは。
----------------------------------------------------------------------------------------------

US Air Force Defers 45 F-35As Over Next Five Years

By Lara Seligman, Defense News6:32 p.m. EST February 9, 2016

WASHINGTON – 空軍の2017年度予算要求は1,669億ドルと16年度の1,679億ドルからわずかな差しかない。内訳で最初に来るのが作戦・維持点検予算の469億ドルで次が調達の224億ドル、研究開発技術評価の196億ドル、123億ドルが海外展開作戦用に計上されている。
F-35
今後5年で計45機の取得を先送りし、生産期間も同時に伸びる。
空軍が三軍で最大の調整幅を吸収する形だが、ペンタゴン全体の購入機数も今後五年間で削減されると国防総省の管理官マイク・マッコードが報道陣に2月9日に話している。ペンタゴンが大幅に生産機数を引きあげようと準備する最中での発表になった。
その結果三軍が今後五年間で導入するF-35は404機になり、この範囲では機体単価には大きな変化は生じないとマッコードは言うものの、ペンタゴンが以前予定していた生産数を実施するかは不明だとする。「なんとか以前期待していた水準に戻れるようFYDPを通じ準備は怠らない」マッコードは後年度国防整備計画(FYDP)について言及している。「だが相当の金額になり、以前期待していた生産増が実現するか見えてこない」。
空軍の予算説明書ではF-35A生産の増産ピッチは以前の想定より相当ゆっくりになる。Defense Newsが最初に報道したように、空軍は今年分はF-35Aで5機受領を先送りし、43機の要求にとどめる。2018年度から年間60機に引き上げる当初の予定は、2017年度予算では年間60機の引き渡し実施は2021年になりそうだ。なお、年間ごとの機体調達は以下の通り。2017年 43機、2018年44機、2019年および2020年は各48機、2020年度から60機に急増する。
増産の遅れで、最終目標の1,763機生産が空軍には「厳しい選択」になり予算折衝の苦労が報われなくなると説明書は述べている。空軍はブロック4ソフトウェア改修に一部予算を拠出しており、核兵器運用能力の研究開発も開始している。
ペンタゴン全体の調達規模からすれば今回の空軍の調達削減は小さい存在だが、機体単価に少なからぬ影響が出る。アナリストの中にはドミノ効果の発生を見る向きがあり、海外参加国にも動揺が出るだろう。
ミッチェル研究所のダグ・バーキー専務理事はペンタゴンがF-35の機数をもてあそぶことに警句を鳴らしている。「いったん生産機数を下げたら、あるいは予定を遅らせたら、価格は直ちに上昇し、リスクが増えます」
それでもペンタゴンがFYDPで削減をしても事業全体に悪いニュースにならない。ロッキード・マーティンは予定通りの生産日程で世界各国の顧客に交渉することが可能とキャピタルアルファのバイロン・カランは指摘する。米空軍がF-35Aの購入機数を削減すれば、各国がその分を埋めてくれるというのだ。
その他機種
Defense Newsが報じたように空軍の17年度予算要求では長距離打撃爆撃機とKC-46 給油機15機は満額要求していると伝えている。要求案ではさらに共用監視標的攻撃用レーダー(JSTARS)の機材更新、戦闘捜索救難ヘリコプター、T-X高等練習機の更新、エアフォースワンの機材更改も入っている。JSTARSの初期作戦能力獲得は2024年設定と予算説明書で読める。
また長距離スタンドオフ兵器開発も継続する。空中発射式巡航ミサイルの後継装備としてLRSBへの搭載を予定している。
ロッキード・マーティンC-130Jスーパーハーキュリーズ輸送機の調達も遅らせる。17年度予算ではC-130Jが3機、HC-130Jも三機、MC-130Jが六機当初から削減されている。ただしEC-130 コンパスコールは電子攻撃能力のかなめとして維持している。一方で空軍はコンパスコールの装備を新型ビジネスジェットに搭載する事業費を要求している。
その他、予想通り空軍はA-10ウォートホグ退役を2022年まで先送りし、機体維持管理用の追加予算を求めている。A-10は飛行隊単位でF-35に更改される予定だ。一方で、A-10を2020年代でも飛行可能に維持する改修作業を開始している。機体近代化ではF-16とF-15の既存機材で複合攻撃防御能力改修を行う。17年度要求ではF-15のC/D型が対象で、新型アクティブ電子式スキャンアレイ (AESA) レーダーを搭載し、新型赤外線捜索追尾装置を装着して2040年代まで供用させる。旧型のF-16にも新型AESA レーダーや電子戦装備を搭載し、ソフトウェアを交換する。
弾薬補充
イスラム国対策でイラク、シリアで消費した分の弾薬類の補充もすすめる。JDAM共用直接攻撃弾、AGM-114ヘルファイヤー、小口径爆弾の調達は海外作戦勘定で要求すると予算説明書は記している。
ISR
ISR情報収集監視偵察関連では、ロッキード・マーティンU-2 の2019年度退役は変更なしと空軍は説明。他方でノースロップ・グラマンのRQ-4グローバルホークに新型センサーやペイロードアダプターを搭載し、U-2退役後のISR活動に穴が出ないよう工夫する。
宇宙システム
また宇宙空間での優位性維持も17年度予算で継続しており、GPS衛星の調達は17年度予定が18年度になった。またGPS III競争入札で浮いた予算を次世代作戦指揮統制システム(OCX)に流用する。■

2016年2月17日水曜日

★シンガポール空軍で唯一不足している分野は...戦闘機ではなく....



東南アジアでずば抜けた軍事力を有するシンガポールの空軍力で唯一不足しているのが海上哨戒能力だという指摘で、なんとなくP-8の採用を期待する論調ですが、同国が導入するのはビジネスジェットを改装した機材になるのではないでしょうか。P-1の選択は期待できないでしょうが、商戦には日本も参加すべきでしょう。空軍力というと戦闘機ばかりに目が向かいがちですが、状況に応じてバランスの取れた視点が必要ですね。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

Opinion: Singapore Air Force’s Missing Puzzle Piece

Feb 15, 2016 Richard Aboulafia | Aviation Week & Space Technology

http://aviationweek.com/defense/opinion-singapore-air-force-s-missing-puzzle-piece



軍事航空で必要な能力を整備するのは簡単ではない。大部分の国が予算の制約や更新が必要な機材が多数あることで苦労している。シンガポールの場合は独特な能力ギャップがあり短期間で大幅な手を打つ必要がある。
  1. 人口は6百万人に満たず、およそ20マイルx10マイルの島に集中しているシンガポールだが、世界有数の空軍力を保持し、国力以上の威力を発揮できる。シンガポール共和国空軍 (RSAF)はF-15SG60機とF-16C/D40機を保有し、旧型だがF-5も若干数ある。F-35国際開発にSCP安全保障協力国として関与しており、域内でいち早く同機を導入しそうだ。戦闘機には強力な空中早期警戒 (AEW) 能力が裏付けとなる。従来のノースロップ・グラマンE-2Cに代わりガルフストリーム550をもとにした新型機にEltaのEL/W-2085機体一体型AEW装備を積む。
  2. シンガポールは軍の巨大ショッピングモールにたとえられる。しかし同国が強力な軍備を保有するのは理解できる。シンガポールの国民一人当たり所得は米国を上回るが、周囲は裕福でない国ばかりで、政府統治能力は低く、不安定化しやすい。また非政府勢力の脅威も存在する。
  3. この現実の中で防衛上の最優先事項は自国存続の維持だ。現地ではこんな言い方がある。「魚の小骨でも飲み込めば喉に届く」。その結果、近隣のマレーシア、インドネシア他がシンガポールを強力な兵力で制圧する可能性は低い。
  4. だがこの都市国家の軍事力は自国主権の維持の範囲を明らかに超えた威力になっている。シンガポールは小国ながら空中給油能力を有し、KC-135Rの運用実績は数10年にわたる。2014年にはエアバスA330多用途給油輸送機を6機発注しており、機材を更新する。またKC-130給油機も運用中だ。
  5. だがなんといっても世界貿易に大きく依存する同国にとって海洋上の脅威に目を光らせる必要がある。2011年にシンガポールは初の海洋哨戒機(MPA)展開としてフォッカー50を一機38名の人員とともにアデン湾に派遣し、国際海賊対策に参加した。マラッカ海峡でも安全対策を実施している。
  6. 現在フォッカー50ターボプロップMPAは5機あり、ハープーンミサイルまたはユーロトープA244魚雷を搭載する。だが各機は1990年代初頭の取得機材であり、長距離対潜戦の実施には能力不足は否めない。航行の自由の維持に並外れた関心を有するシンガポールでは、防衛装備調達上これは大きなギャップとなる。
  7. 対照的に同国の回転翼MPA機材ははるかに近代的でシコルスキーS-70Bシーホーク6機を2011年に導入しており、2機が今年中に納入される。ただし短距離しかカバーせず、速度も固定翼MPA機材にはかなわない。
  8. このためシンガポールは新型MPAの候補を模索している。選択肢は広く、ビジネスジェットをMPAに改装する案、リージョナル用ターボプロップ機の改装案(ボンバルディアのダッシュ8 Q400がフォッカー50に相当する)もある。また米海軍で使用ずみのロッキード・マーティンP-3Cを購入する案も浮上したが、最新機体でも30年が経過しており、中古機の導入は実現していない。
  9. さらに最新装備がシンガポールの好みであることを考えると、また長距離海上哨戒飛行の安全を考えると、大型ジェット機を元にした機材が候補になる。ここではボーイングのP-8ポセイドンに加え、可能性だけだが川崎重工のP-1四発ジェット機もある。
  10. P-8をシンガポールが発注すれば同機の輸出先が増える。同機は優秀とはいえ、今のところ輸出で成約したのオーストラリアとインドだけだ。これに対しP-3は15か国に輸出されていた。
  11. P-1の選定は可能性が低いが、日本が2014年に武器輸出を解禁して日本産業界に輸出を目指す動きが増えており、まったく排除することはできない。
  12. シンガポールにとってP-8あるいはP-1の選定は非常に整備された域内軍事大国として最後のステップを完了することを意味する。また世界有数の船舶航路をそばに有する同国のプレゼンスを大きく伸ばすことにつながるだろう。■


★シリアへの地上軍展開でサウジアラビアはシリアの「流砂」で立ち往生しないか



日本からは今一理解が難しい中東情勢ですが、ここまで深刻になっている問題をどう解決するのか、答えはむき出しの暴力しかないのではないかと思います。平定後は民生復興にもっと努力が必要ですが、一度難民化した百万オーダーの住民を元に戻すためにも相当の努力が必要ですね。そうなると地上兵力の投入が避けて通れず、盟主を自任するサウジアラビア中心のアラブ軍だけで事に当たれるのか、米軍はじめとする西側軍事機構がどれだけ効果的な介入を実施できるかにかかっているのではないでしょうか。それにしてもここでもロシアの介入をむざむざと許したオバマ政権の失点が悔やまれますね。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

Syria: 'Quicksand' for Saudi Forces?

By Awad Mustafa and Aaron Mehta, Defense News10:03 a.m. EST February 14, 2016
(DUBAI and BRUSSELS — 米国に湾岸アラブ同盟各国からシリアでの有志連合軍活動への貢献拡大を約束する声が届いたが、現在展開中のアラブ各国によるイエメン介入を見る限り実効性が疑わしく見えてくる。
  1. 氏名不詳のサウジ政府関係者が今月初めに15万名を湾岸協力協議会に参加するスーダン、エジプト、ヨルダンの部隊をトルコ国内からシリアへ侵攻させると述べていたが有志連合軍に参加中の少なくとも二か国から否定されている。
  2. ヨルダン政府関係者はトルコあるいはアラブ主導によるシリア侵攻には参加しないが、国連決議が出て西側部隊も参加の上ロシアが調整するなら話は別と述べている。
  3. 「ヨルダンにシリア派兵の意向はないが、英米が中心となれば別個考える」と上記関係者は匿名を条件に述べている。「イラク、シリアとは550キロにものぼる長い国境線がある。ヨルダン軍含め地上軍派兵は国連が認めた上でロシアが調整に入れば実施できる」
  4. クウェート政府高官が2月9日ロイターにクウェートはイスラム過激派に対抗する国際努力を支持するが、湾岸アラブ諸国の憲法では防衛目的以外の参戦は禁じていると指摘していた。
  5. 「クウェートはサウジアラビアと全方位で国境を共にしている。我が国憲法の制約範囲内で可能ないかなる貢献を湾岸各国向けに提供する用意はある」とシーク・モハマド・アルムバラク・アルサバー内閣府相はドバイでロイターに述べている。
  6. 同相は作戦支援は情報共有や有志連合軍向けの拠点提供に限定されるとも示唆している。
  7. 地上作戦について国防長官アシュ・カーターが2月11日にブリュッセルで多数の選択肢をアラブ各国と検討中と紹介した。
  8. 「まず軍部隊と警察部隊向け訓練がある。訓練の実施に地上に部隊を配置する必要がある。次に、各国軍の支援と場合によっては同行がある。これは地上部隊で実施できる範囲だ。この可能性はすでに議論しているが、これ以上ここではお話しできない。特殊部隊に関する問題で、きわめて特別な能力に関する話題だからだ」
  9. 「また兵站補給の支援、ラマディ復興の支援についても検討した。すべて融資連合国が参画できる内容で、サウジアラビアも当然ここに含まれる。また課題のaあらゆる点を検討している」
  10. サウジがシリア、イエメンで二正面作戦を実施できるのかについてカーター長官はだれもその実施を望んでいいないとしながらサウジには能力とやる気があり、対ISIS戦闘に自国資源をつぎ込む覚悟ができていると述べている。
  11. 「サウジに代わりお話しできないが、イエメンで事態鎮静化を願うばかりだ、イエメン国民のためににも戦闘が下火になることが望ましい」
  12. ウバイ・シャバンダール(前米国防総省、現在ドバイのドラゴーマンパートナーズを主宰)によればシリア国内でサウジがプレゼンスをどれだけ示すかはサウジの関与次第だという。
  13. 「サウジは空輸能力と特殊部隊で特に兵力投射能力を整備してきました。迅速に移動させ現地で協力関係を作ります。これはアメリカのやり方を参考にしていますが、選び抜かれた精鋭部隊です。下命あれば素早く機動的に展開し、あらゆる事態に対応できます」「つまりサウジにとってトルコ南部への進駐は容易だということです。」
  14. ただしシリアの地政学的条件は複雑で、ロシアも介入し、イランが北部にプレゼンスを置いているため事情が異なるはずだとシャバンダールは指摘する。
  15. 「トルコ・アラブ連合軍がシリア北部に侵攻するためにはNATOが空から支援するか各国の支援が必要でしょう」
  16. サウジ軍のイエメン介入でアラブ側は多大な資源投入を迫られており、同じ水準で兵力を多方面に投射するのは難関と指摘する。
  17. 「兵站補給の問題があるからと言って派遣部隊を送ることを躊躇する理由にはならないし、シリア-ヨルダン国境に偵察部隊を送る、またはシリア-トルコ国境にトルコまたはヨルダン軍部隊を送ることも同様だが、不確定要素はNATO、米国のいずれかか双方が航空支援を効果的に提供できるのか、シリア南部北部のダーシュ(ISIS)を平定できるのかだ」とする。「ロシアが空爆を継続していることも忘れてはならない。結果としてシリア北部やダマスカス郊外でダーシュが力をつけている」という。
  18. またシーア派外国人戦闘員がシリア国内に搬送されており、その視点ではシリア北部に侵攻するアラブ連合軍は一義的な脅威にとらえると指摘する。アレッポ前線で戦闘に加わっているシーア派過激派がイラン革命防衛隊の指揮下にあり、その意味ではイエメンで抵抗するフーシと同じだという。
  19. サウジがイエメンに派兵しているのは自国南部方面の国境の保全が主目的であると湾岸地区の安全保障軍事面で詳しいマシュー・ヘッジスは指摘する。「サウジ軍は国内の基地から作戦を展開している」という。
  20. サウジアラビアが投入するのは特殊部隊と戦闘航空機および少数の兵員になりそうだ。ただし、イエメンでの投入規模(戦闘部隊3,500名、支援部隊6,500名)を上回ることはないだろうとヘッジスは述べた。
  21. 「イエメンなのかシリアなのかの選択で人員の質が大きく変わる。戦闘経験があるのは一部の兵員に限られ、両方面で有能な働きができる兵員数は多くないだろう。サウジアラビアがシリア地上戦の実施準備ができているとの報道は各国に対して対イスラム過激主義への戦闘を早く実施させ、アサド政権の復権にも対抗させようというねらいがあるのだろう」
  22. 国家国防大学校のポール・サリヴァン教授によればサウジアラビアは軍事活動、外交活動ともに手を広げすぎないよう注意が必要と指摘する。シリアは「流砂」になりかねないというのだ。
  23. 「もしサウジアラビアがUAEやその他GCC加盟国とともに関与しなければシリア問題は一時的な解決しか望めない。ISIS問題にはモスレム教徒の軍隊が対処すべきと考える向きが多い。それはある程度正しいのだが、サウジアラビアやその他GCC加盟国は多くの脅威に今日直面しているのだ」
  24. 「そこでシリア問題の大きな課題は軍事的対応で脅威の深刻化を避ける点だ。おしなべてどのように戦闘状態を下火にすることにかかっており、もっと大事なのはシリアを再建し、国民に希望を与え、仕事や住居を確保することだ」■


2016年2月16日火曜日

★米空軍>第六世代戦闘機は海軍とは別個の機体になる(参謀次長)



F-22やF-35の次に登場する戦闘機は現在の戦闘機と外観も変わっているかもしれませんし、高エネルギー兵器を搭載するため多大な発電容量も必要ですから機体寸法も大きくなっている可能性もあります。そうなると空軍は相当先を見越した機体開発が可能ですが、海軍は空母運用を前提にしますからそんな大型機では運用できないと考えるでしょう。ともあれ、少しずつ情報が出てきた第六世代機とは相当技術的に進んだ存在の想定のようです。F-15やF-16も2040年代まで供用する案もあるようなので、ドッグファイトは既存機にまかせて、6th Genが過日提唱されたBattle Planeに大化けする可能性もあるでしょう。その前身としてArsenal Plane構想は要注目ですね。一方でF-35で各軍共通機材の開発では相当ストレスが空軍に高まっていたようですね。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

Sixth-Gen Fighter Likely Won’t Be Common Across Services, Air Force General Says

Lara Seligman and Phillip Swarts, Defense News, Military Times 6:29 p.m. EST February 12, 2016
WASHINGTON — 各軍共通の機材としてF-35開発を進めた方法論とは反対に第六世代戦闘機は米空軍と海軍で共通要素のない機体になりそうだと空軍トップが語っている。
  1. 次世代戦闘機が各軍で別個の機体になりそうなのは空軍と海軍のミッション要求内容が異なることになりそうなためとジェイムズ・「マイク」・ホームズ中将(空軍参謀次長、計画立案要求性能担当)が述べている。第六世代機はF-22と海軍のF/A-18の後継機として2030年代実戦化を狙う。
  2. 「統合部隊といってもお互いに任務が違うので要求内容も異なる」とホームズ中将は報道陣に語った。「一部の技術要素は共通化できるだろうが、今の段階では同じ機体にはならないとみている」
  3. これは現在進行中の案件とは大きなかい離だ。第五世代F-35は空軍、海軍、海兵隊で共用の戦闘機として構想され、各軍向けに三つの型式が生まれた。
  4. 昨年は海軍と空軍が合同して代替策分析を実施し2030年代以降も航空優越性を確保する手段を模索するとしていた。だが海軍は独自にAOAを実施し、空軍はまだ行っていないとホームズ中将は述べた。ただし、両軍は強く連携していると強調するのは忘れなかった。
  5. 「意図的に一年を費やしもっと全体像を見るようにした」のだという。
  6. AOAを実施する代わりに、空軍は能力連携チームCapability Collaboration Team (CCT) を編成し、第六世代戦闘機の可能性を検討してきた。また空軍は産業界、その他の軍組織や学界、技術陣、政府研究施設とともに選択肢を二つまでにしぼったとホームズ中将は述べた。同チームは今春にも空軍上層部に検討結果を報告するとも明らかにした。
  7. 「多彩な領域を擁する空軍の中で問題解決も複数分野にまたがる方法を考えるのが空軍のやり方だ」とホームズは述べた。「宇宙、サイバー、飛行の各分野で何ができるかを見極め空対空の優位性を取り戻す方法を考える」
  8. 2017年度予算で空軍は複数の費目で実験と技術実証を求めており、第六世代戦闘機の開発リスクを低減するとホームズ中将は説明。第六世代機以外も含む広義の次世代制空戦闘機の予算は2017年度に20.6百万ドル確保し、2018年度2019年度は毎年13百万ドルを研究開発に使うと予算説明書は解説している。これとは別に2017年度から2019年度に75百万ドルが「イノベーションと実験」用に確保されており、第六世代戦闘機にも使われると空軍は説明している。
  9. 予算の使い方を空軍は今年中に決定するとホームズ中将は述べた。
  10. 「短期的にはまず実験と技術実証でリスク低減をこれから必要となる技術性能について行い、最終的には多様なシステムのファミリー構造が出現すると見ている」■


中国の南シナ海進出>西沙諸島でのヘリコプター基地造成でヴィエトナムとの対立招く


後世の歴史解釈ではオバマ政権が中国の拡張政策に有効な手を打たなかったことがその後の世界秩序の崩壊につながる遠因となったといわれかねませんね。中国の価値観は全くゆがんだ構造になっているので、既成事実の積み重ねを黙認していくことがいかに危険か世界は思い知らされることになるでしょう。戦争をおこさずに支配を強める、自分たちの都合のよい世界を作る、という中国の発想にどう対抗するのか、今必要なのは戦略です。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------

China Reclaimed Land for South China Sea Anti-Submarine Helicopter Base Near Vietnam

By: Sam LaGrone
February 15, 2016 2:56 PM

PLAN Chinese Z-18F Anti-Submarine Helicopter
PLAN Chinese Z-18F Anti-Submarine Helicopter


最新の衛星画像解析から人民解放軍が南シナ海でヘリコプター基地を造成中で対潜作戦(ASW)の拠点に使用される可能性が浮かび上がってきた。
  1. 画像は最初にニュース専用ウェブサイトThe Diplomatが公開したもので、ASWヘリコプター基地に転用可能な大規模埋め立て工事がダンカン島(ヴェトナム沿岸からおよそ200マイル)で進行中と示している。同島は領有権を巡り紛糾中のパラセル諸島にある。
  2. 基地が完成すれば「中国のASW能力が南シナ海で増強される象徴となり、一連のヘリコプター基地や燃料補給拠点が域内に完成すれば域内のほぼ全域が作戦範囲になる」とヴィクター・ロバート・リーが分析している。
  3. 「各基地を中継すればASWヘリコプターは燃料の制約から自由に、また艦船の収容能力からも自由になり連続かつ切れ目のない対潜監視対応能力が手に入る」
thediplomat_2016-02-12_15-55-05

  1. さらに分析では「水上艦作戦や航空戦の戦略見直しにつながるだろう」としている。
  2. この点に関し、ペンタゴン関係者は再度域内各国に対し埋め立て工事に対する警戒を求めており、USNI Newsは2月14日にこれを入手した。
  3. 「米国は引き続き関係各国に島しょ造成向上の中止、南シナ海における軍事施設建設、軍事転用の中止を求めるものである」と報道官ビル・うアーバン中佐が述べている。「米国はいかなる領有権の主張にも組しない立場だが、中国による一方的な行為に懸念を強めており、中国の戦略意図が一層不確実さを生んでいることを問題視する」
  4. 海軍アナリストのエリック・ワーザイムはUSNI Newsに対し「分析が正しければ、中国の軍事選択肢は大幅に広がる」と述べている。
  5. 「南シナ海を制圧しようと精を出す中国のもう一つの実例だ」とし、「各基地が完成すれば不沈空母になり大きな意味が生まれる」
  6. ワーザイムによれば各基地はPLANの新型唱河Z-18F対潜ヘリ(フランスのSA321シュペルフルロン大型ヘリが原型)(行動半径450カイリ)の運用拠点になるという。ダンカン島からなら簡単にヴィエトナムの領海に出動可能だ。
thediplomat_2016-02-12_15-55-13

  1. 太平洋軍司令官ハリー・ハリス大将が昨年9月に上院で南シナ海で中国の施設整備拡張をどう見ているかをこう語っている。
  2. 「各施設を詳細にみると、ミサイル発射施設、監第五世代戦闘機運用可能な滑走路、監視偵察拠点などから中国が戦争せずに南シナ海を支配する仕組みが浮かび上がってきます」「戦時には各施設は攻撃の標的になりますが、戦争一歩手前の状況なら各地の軍事拠点化は域内の各国にとって大きな脅威になります」
  3. 今回のニュースが出たのはヴィエトナムが潜水会部隊の近代化を図り、ロシア製改キロ級ディーゼル電気推進潜水艦6隻を導入するさなかとなった。ハノイも領海防衛のため海軍力の拡張に乗り出したところだ。
  4. ただヴィエトナムと中国の海軍力の差は明白で、中国には海軍とは別に重武装の海警艦船もある。2014年にこれが痛感されたのは中国が10億ドルの沖合石油掘削施設をヴィエトナムの排他的経済水域の内部に移動させ、周囲を監視艦船で包囲したことだ。もし中国が同じような動きに次回出れば、ヴィエトナムも潜水艦部隊を整備したこともあり、中国のASWヘリコプターとの衝突のリスクが生まれることになる。
Victor Robert Lee image.

  1. 中国はパラセルを1970年代中ごろから実効支配しており、ヴィエトナムと台湾がそれぞれ領有を主張している。
  2. ダンカン島の施設は1年前の比較で50パーセント以上拡張したが、パラセルではウッディ島、ノース島、トゥリー島で航空基地を造成している。
  3. 「トゥリー、ノース、ダンカン各島での拡張は北京がパラセル諸島での守りを固めているのを示す。スプラトリー諸島での建設工事の陰で目立たない存在になっていた」とリーは記している。■

2016年2月15日月曜日

★★航空自衛隊の戦力整備方針はこのままでいいのか



X-2公開で事情をよく知らないマスメディアなど大騒ぎしていますが、さすがアナリストの視点は冷徹ですね。いよいよ日本も国産開発にこだわる姿勢を捨てて費用対効果、リスク低減効果を大上段に国際共同開発に進むのか、いくらお金をかけても国内産業基盤整備を貫くのか方向を決めなければいけない時期にきているのでしょう。(これは航空関係だけの話ではありませんが)皆さんはどう思われますか

----------------------------------------------------------------------

Japan Faces Challenging Choices for Cash-Strapped Air Force

By Paul Kallender-Umezu, Defense News11 a.m. EST February 14, 2016
TOKYO — 航空自衛隊へ懸念が高まっている。第五世代機導入を少数にとどめ大部分がF-2とF-15で構成する第四世代機のまま、相互運用性がない機種を開発していいのかという声だ。
  1. 現状の予算では航空自衛隊はF-35をわずか42機しかも年間数機のペースで調達するが、貴重な財源を旧式機の改修に割り振っている。今年の航空自衛隊の調達はF-35を6機、F-2の近代化改修はデジタル通信装置をつける11機にとどまる。
  2. 鳴り物入りで公開に踏み切った第五世代機X-2心神ステルス実証機および海上自衛隊のDDHいずも級ヘリコプター空母への短距離離陸垂直着陸F-35Bの導入可能性は航空自衛隊が分かれ道にきていること、より実効性のある戦力整備が課題であることを示す。しかし実施できるのか。
  3. Tealグループ副社長のリチャード・アブラフィアは予算制約、費用とF-2に将来がないことから、航空自衛隊が想定するシナリオではF-35追加調達とF-15改修の可能性が一番高いとみる。日本が新型のF-15を導入する選択肢もあるが、42機のF-35が優先順位が高く追加F-15の予算はねん出不可能だろうと語る。
  4. 「F-15が今後も航空自衛隊の最重要機種の地位に留まるのは確かです。航続距離、ペイロードでF-15は大変有能な機種で改修が高い優先事項です。F-15はF-35と相乗効果を上げるが、F-2改修はどちらかといえば三番目の優先事項でしょう」
  5. 「日本はF-35に相当の投資しているとはいえ、今以上の機数をすぐには調達できない状態です。F-2の重要度は国内防衛産業の温存だけといってよい」と語るのはスティーブン・ガンヤード(アヴァセントインターナショナル社長)だ。ガンヤードは一番すっきりする選択肢はF-15の改修で、航空自衛隊のF-15は耐用年数は残っているものの性能改修は避けて通れないと指摘した。
  6. 「日本にとっての脅威は中国の戦闘機ではなく、数千発に上る巡航ミサイル・弾道ミサイルで九州から南が分断されてしまうことです。これこそF-35とAESAレーダー搭載の改修F-15が必要な理由で低空飛行する巡航ミサイルの一斉発射に対抗するのです。同時に南西諸島には移動式レイルガンの配備が重要になるのではないでしょうか」(ガンヤード)
  7. その観点で日米は共同開発で費用負担をし、リスク低減と相互運用性を引き上げる方向に進むはずだ。その成果となるのは米国、イスラエル、オーストラリア、シンガポールも今後保有するのと同じ構成の空軍部隊で、第五世代機と能力向上第四世代機を組み合わせ統合運用を行うのだ。
  8. だがもっと根深い問題は各アナリストが見るように国際市場で競争力が大してない機体への資金投入を中止できるかという点で、F-2、C-2、P-1がその例だ。浮いた資金を研究開発の重要案件のほか、自国で製造できない装備の調達にあてるのである。.
  9. そうなると心神は無駄な支出にしか映らないとアナリスト陣は見る。
  10. 「心神が低価格ステルス戦闘機になってヨーロッパや米国が共同開発に関心を示す機体になるでしょうか、インド、オーストラリア他の各国が真剣に購入を検討するでしょうか。実現すれば機体単価を相当下げますが、心神の今後でよい点が見えてきません」と語るのは明治大学国際総合研究所客員研究員奥村準だ。奥村が以前所属していた経済産業省は国産防衛装備開発を支援している。
  11. アブラフィアも心神への資金投入は数十億ドル使ってよくわからない機体を作るだけなら防衛力整備で逆効果と見る。「防衛上のニーズよりも技術開発と自尊心の国家的な象徴にしかならないでしょう。ただし輸出を視野に入れた高い目標が本当にあれば話は別でしょうが」
  12. 一方で日本がF-35B取得に向かうとの観測が数年前から強まっている。DDHいずも級ヘリコプター駆逐艦にF-35B運用も可能な昇降機が装備されていることも材料のひとつだ。
  13. 「F-35Bはぜいたく品であり航空自衛隊が真剣に調達するとは思えない。航空母艦は低速で脆弱性があり、多大な支援を必要とする。海軍力を南シナ海以遠まで投射する意図があり、日米同盟が崩壊するのでない限り導入の可能性は考える価値がないですね」(奥村)
  14. アブラフィアも同意見で、固定翼機の空母航空戦力は兵力投射や域内プレゼンスの観点では魅力があるが、日本には高すぎる買い物だという。
  15. 「空母打撃兵力の整備はあまりにも高費用で踏み切れば問題は悪化するだけだ。もし日本が数十億ドルの防衛予算追加を決意すれば話は別だが、17機のV-22導入も何とか支払える範囲だったのではないか」
  16. だがガンヤードはF-35B導入が遠のいても米海軍の新鋭フォード級空母に搭載した電磁航空機発進システム(EMALS)にヒントがあるという。
  17. 「DDHにEMALSと拘束装置をつければよい。斜め飛行甲板をつけ、若干排水量と全長を伸ばせば海上自衛隊も固定翼機運用に復帰できる」
  18. 「ここまの方向転換では政府上層部もおいそれとは動けないだろうが、日本が空母戦力を再度整備すれば得られるメリットは戦略的に大きいのではないか」■