2019年7月23日火曜日

ロシア機へ警告射撃してしまった韓国空軍の行為は正しかったのか

Warning Shots Fired At Russian A-50 AEW Aircraft That Allegedly Violated South Korea’s Airspace

韓国領空を侵犯したロシアA-50AEW機に警告弾を発射


A file photo of a Beriev A-50 Mainstay. (Image credit: Aktug Ates via Wiki)


シア空軍と韓国空軍(ROKAF)間できわめて緊張の高い「接近遭遇」が本日発生した。

7月23日、ロシア空軍のA-50メインステイ空中早期警戒機が日本海上空で韓国領空を2回にわたり侵犯した。ROKAFはジェット戦闘機をスクランブル発進させ侵入機に警告弾280発を発射したと韓国統合参謀本部(JCS)が発表した。

発生場所は韓国が実効占拠する独島(竹島)付近で韓国領空を侵犯した外国機へ韓国が警告射撃をした初の事例となった。

同日にはそれ以前にロシアのTu-95爆撃機2機と中国のH-6爆撃機2機が韓国防空識別圏(KADIZ)に侵入している。このうちロシア爆撃機編隊は午後にも事前通告なく再度KADIZに侵入している。

ロシアは領空侵犯の事実を否定しており、逆に韓国パイロットが無謀な行為に走ったと非難している。

ただし領空とADIZには大きな違いがある。

ADIZは一国の領土を取り巻く空域であり、陸地上空または海上を飛行する航空機は所属、位置、意図を安全保障上の要求に応じ明らかにする必要がある。逆に言えば許可なくこうした空域を飛行すればQRA(迅速対応警戒)にあたる戦闘機から正体を明らかにするよう求められる。ADIZは自国領空の周囲に広がり、国際法の規定を受けず、いかなる航空機もに侵入すれば飛行は追跡され飛行経路の連絡を求められる。軍用機で侵入の意図がないものには所属の明示は求められず、ADIZの取り決めに従う必要もないが、軍用機でADIZ内を飛行するものに迎撃機を送り正体を探知しエスコートするのは通例である。

領空は一国の主権が及ぶ空域であり領土や12カイリ領空の上空となる。

領空侵犯はADIZ侵犯より頻度がはるかに少ない。6月20日にロシア軍の2機がKADIZに侵入しその範囲内に約30分とどまった事例がある。他方でロシア爆撃機がアラスカのADIZに接近したり侵入する事例が度々報じられている。

本日発生の事案については韓国の聯合通信が以下伝えている。

シア軍早期警戒機がKADIZに09:01に侵入し8分間飛行を続けた。

空軍は直ちにF-15KやF-16Kを発進させ作戦マニュアル通りに警告メッセージを送った。だが問題の機は応答せず、空軍機は警告としてフレア弾10発、警告弾80発を発射した。とJCSが発表。

ロシア機は3分後に移動しKADIZを9:15ごろに退出した。

だが9:33ごろ、再び韓国領空に同機が侵入した。今回はより強硬な軍事行動として280発の警告射撃をしたところ、4分後に同機は空域を去り、最終的に9:56に防空識別圏から出た。

これとは別に6:44ごろ中国のH-6の2機編隊がに北西から侵入しおよそ30分間KADIZ内を飛行した。

7:49に両機は再度防空識別圏に侵入し30分間とどまった後に北方向へ離れた。

この中国機にロシアTu-50の2機が合流し、一緒に日本海上空を南方へ移動した。4機はKADIZに8:40ごろ25分間にわたり侵入した、とJCSは発表。

同日13:11ごろ、ロシア爆撃機2機編隊が再度KADIZに侵入し、27分後に離脱した。

合計でロシア機はKADIZに93分間、中国機は85分間侵犯したことになる。


韓国軍によればロシア機中国機は共同訓練を実施した模様で、極めて異例の事態だ。

ベリエルA-50メインステイがロシアのベア爆撃機の長距離パトロール飛行に随行することはよくある。アラスカでも2017年5月の事例があった。

メインステイは過小評価してはならない。フランカーやベアのはるか後方を飛行するのは意図がある。AEW機としてA-50にはESM(電子支援装備」が搭載されているはずだ。いいかえると遠隔地目標を探知したりレーダーや通信、データリンクの発信を探っているはずだ。さらにQRAで出動したラプターは外部追加タンクやリューネブルグレンズを搭載するのが「通例」で、意図的にレーダーに映るようにしている。その場合のF-22は本来の姿と異なるがメインステイは同機のレーダー発信特性をいくらかでも把握できるはずだし、戦術面を観察できる。

冷戦終結後に両国の遭遇事案が発生しているがロシアは長距離攻撃ミッションのシミュレーションとともに精密なELINT電子偵察の意図があるのはあきらかだ。フランカーやベアは「おとり」となり米側のスクランブル戦術を探り可能な限りの信号やデータを米戦闘機のスクランブルから集めるのが目的だろう。

ADIZへの侵入あるいは接近するフライトは世界各地で多数発生している。主権の及ぶ領空への侵入は稀有でありより危険だが、迎撃機の警告発射は事態をエスカレートしかねずこれも稀有な事態であった。■

コメント 今回の実弾発射事案は異常です。先回のレーダー照射事案と通じる異常な精神の片鱗が認められます。常軌を逸したというところでしょう。ロシアも中国も完全に韓国をなめてきましたので韓国パイロットは独断で実弾を発射したのでしょう。こういう事態に後方からの統制はきかないようですね。今後大きな国際問題に発展するかもしれません。なお、原文では日本海のかわりにEast Seaとありますが、個々では日本海とさせていただきました。

2019年7月22日月曜日

$ロッキード株は買い? 小型核融合炉開発は遅れているものの着実に進んでいる

コメントは下にあります。

Skunk Works' Exotic Fusion Reactor Program Moves Forward With Larger, More Powerful Design

スカンクワークスによる核融合炉開発が進展し、大型かつ高出力化に向かっている

This will be the company's fifth major design iteration as it pushes ahead toward building a potentially revolutionary practical prototype.

同社の融合炉5号機は革命的な試作型製造につながる


BY JOSEPH TREVITHICKJULY 19, 2019
LOCKHEED MARTIN


型核融合炉CFRの開発を進めるロッキード・マーティンのスカンクワークスが新型かつ高性能の試験反応炉の製造に取り掛かっている。当初予想より進展が遅れているものの同社は依然として意味のある結果が生まれると自信たっぷりだ。実現すれば軍用民生用両面で発電方式を根本から変える効果が生まれる。
CFRの進展についてはAviation Weekが7月19日に報じ、ロッキード・マーティンは最新の試験反応炉T5を建造中とある。カリフォーニアに拠点をおく同社の伝説的なスカンクワークスは高度技術開発を担当し、CFRでも同様に開発に当たりこれまで四種類の反応炉を製造している。事業は2014年に開始されたと一般に信じられている。
「これまでの作業で当社がめざす物理理論の正しさが証明された」とスカンクワークス副社長ジェフ・バビオンがAviation Week語っている。「今年は反応炉T5の製造に取り組みT4より大型かつ高出力となります」.
T5の大きな役割はスカンクワークスの反応炉基本設計のままで内部に生まれる高エネルギープラズマの高温高圧に耐えられるかの実証にある。核融合反応ではガス状燃料の温度を上げ圧力を高めて原子構造を崩し粒子を融合し重い核に変える。この過程で大量のエナジーが放出されるので火力発電と同じ原理で発電する。
LOCKHEED MARTIN VIA STEPHEN TRIMBLE
2017年にスカンクワークスが発表sたCFR事業の説明資料より。T5はじめ実験反応炉をもとに実用型の先鞭を切る「TX」試作炉につなげるとある。
「現在の予定では年末までにT5を稼働させます。これにより当社コンセプトで使う物理面の実証が一歩前進します」(バビオン).
CFRの基本原理は同社の特許技術を中心とし、超電導コイルで磁場を形成し熱と圧力を封じ込めたまま反応を進めるもの。ロッキード・マーティンは1920年代に原理が提唱されながら実現を妨げてきた課題が克服できると見ている。
LOCKHEED MARTIN
ロッキード・マーティンのCFRの基本構造図。


数カ国で核融合反応路の建造が試みられているが、いずれも大型で非効率かつ非経済的な結果に終わっている。中国が実験高性能超電導トカマク(EAST)の建造で進展が生まれたと宣伝しているが、2階建てビルでないと収まらない大きさだ。各国共同事業で国際熱核融合実験炉が進められておりフランスで2021年に稼働予定だが重量は23千トンに及ぶ。
反応を封じ込め、しかも持続させるのが最大の難関だ。核融合反応で生まれる高温は華氏数億度に達し、同時に反応炉内部は極度の高圧状態となる。融合反応で生まれるエナジーは水爆に利用している。
強力な磁場の利用が封じ込めの有効手段となっている。トカマク型のEASTやITERは1950年代にソ連で生まれた構想を原型に、核融合研究の主流だが効率は低い。中国はEASTで100秒間封じ込めに成功したと主張している。フランスのトレ・スープラもトカマク型でプラズマ放電封じ込めで6分を超えた程度が世界記録だ。
2014年にAviation WeekがCFR事業統括のトーマス・マクガイヤ博士に取材しスカンクワークスの取り組みを報じていた。
「トカマク型の問題は『プラズマの保持がわずかしかできないことでこれをベータリミットと呼んでいる』とマクガイヤは述べる。プラズマ圧力と磁力圧力を対比するとベータリミットはトカマクで『封じ込め圧力比で5%程度』だという。自転車のタイヤにたとえてマクガイヤは『空気を入れすぎるとタイヤは最終的に破裂します。安全運転のためにはどうしても圧力を近づけられないのです』と述べた。
CFRではこの問題の回避策としてプラズマ封じ込めを画期的な方法にした。チューブ状の輪の中にプラズマを封じ込めるのではなく、超電導コイルを連続で配置し磁場の重心を作りプラズマを反応炉内チャンバーに封じ込める。超電導磁石をコイル内に配置し磁場をチャンバー外部に発生させる。『これまでのところ自転車のタイヤに空気をいれるのではなく、チューブを拡大し強い壁にしているというところです』(マクガイヤ)
システム制御には自律調整型のフィードバック機構を使い、プラズマが多く生まれれば磁場を強めて封じ込める。CFRのペータリミットは1.0となる見込みだ。『100%以上も夢ではない』とマクガイヤは述べた」
ロッキード・マーティンによればCFRはコンテナ内に収まる程度の小型化が可能でニミッツ級空母あるいは80千戸家庭の発電に十分な出力となるという。同社の特許資料によればさらに小型化すれば大型航空機の動力となる。
核分裂を利用する現在の原子力発電所の原子炉で必要な核燃料の数分の一歯科必要としない一方で長期間に渡り核廃棄物は大幅に減る。燃料は精製の必要はなく、取扱に危険は減る。
言うまでもなくこの新技術で既成の電力業界は大きく影響を受けることになり、軍民両面で広く活用されるはずだ。War Zoneでは米軍が求める戦場発電のニーズに適用できると考察している。米軍では小型移動式核分裂炉を実用化してエナジー確保を検討している。CFRが実用化されれば遥かに安全かつ効率がよい代替手段が生まれる。
残念ながらスカンクワークスで進展があったとはいえ、多くの疑問点がのこったままで新型反応炉構想で技術課題が満足させられるのか不明だ。ロッキード・マーティンは実用に耐える試作型が今年あるいは来年には実現すると当初は述べていた。
だが2017年に入り工程表に変更が入り、2020年代中頃に変わった。今回のAviation Week取材でもバビオンは同社がTXと呼ぶ実用炉の予想時期を明らかにしていない。
LOCKHEED MARTIN
スカンクワークスでCFRチームが実験炉制作にあたる。


スカンクワーク最大の難関は「小型化」の実現だ。バビオンも実用水準まで性能を引き上げれば物理的に大きくなることを認めている。
「高出力化をめざし都市一個分の発電需要に応えるのが課題です。簡単な課題ではないのですが可能性が広がってきました」(バビオン)
いまわかっているのはロッキード・マーティンがテスト用反応炉を製造中で、発電の概念を根本的に変える可能性を秘めた同事業に全力で取り組んでいることだ。
Contact the author: joe@thedrive.com


コメント 2014年からのスタートだったのかわかりませんが、開発には苦労しているようです。世界の常識を破る技術だけにその去就が注目されますが、成功すればロッキードは将来エナジー企業として一挙に世界のトップに躍り出ることもありえます。日本では原子力アレルギーが定着しており、核分裂と核融合の区別もできないまま、世界の趨勢から取り残される可能性もありとても心配です。発電容量に制約がなければ一挙に電動航空機の大型化もありうるでしょう。

2019年7月21日日曜日

緊急 イラン情勢ではイスラエルの動向に注意すべきだ:開戦は不可避なのか

For Israelis, War With Iran Looms; Iran Denies Drone Downed

イラン開戦が近づいたと見るイスラエル、イランは撃墜された無人機は自国所属機ではないと否定

The Iranian seizure of a British tanker in the Persian Gulf sends a new jolt of tension through the Middle East as complications arise on multiple fronts. イランが英国タンカーをペルシア湾で拿捕したことで中東にあらたな緊張が走り多方面で状況が複雑化

on July 19, 2019 at 2:53 PM
Iran patrol boats in Persian Gulf Credit: Iran MoD.
週金曜日にペルシア湾で新たな危機状況が発生した。イラン革命防衛隊が英国船籍の原油タンカーを拿捕したと発表し、同船はイラン領ケシム島に移動させられたようだ。米海軍USSボクサーがホルムズ海峡で同艦に接近しすぎた無人機を撃墜した事件に次ぎ衝撃が走った。
近隣のイスラエルでは国政選挙が近づき、制裁解除を目指しイランが協議再開の圧力をかける中、新事態の発生で開戦が近づいたと見る向きがある。
「核ミサイルが落下しないとイランの脅威に目覚めない国がヨーロッパにある」とイスラエル首相ベンジャミン・ネタニヤフが7月16日発言した。
この痛烈な発言はイスラエル国内で米国がイラン制裁を緩和するとの危惧の広がりを反映し、欧州各国がイラン政治指導部の発言を真に受けて核合意を維持するのではとの懸念も背景にある。「あの国は甘言による欺瞞工作の達人だ」とイラン問題のイスラエル人専門家が語る。
「イランは核兵器用の濃縮ウラニウム確保へ加速している。核兵器能力の実現に向けた作業はしていないと大嘘をついていた」とヨッシ・クパワッサー准将(退役)がBreaking Defense に語っている。准将はイスラエル国防軍(IDF)の情報部門で研究部長のほかイスラエル戦略省の局長も務めた。
単独インタビューでクパワッサーはイランには核兵器開発を中止する意向はないと述べ、核合意は兵器級濃縮ウラニウムの確保を一年遅らせる目的があったと指摘し、「現時点で8ヶ月先に近づいており、更に短縮の可能性がある」と述べた。
またテヘラン政府には明確な戦略構想があり核軍備の整備に走っているとも指摘。「戦略を進めながらあらゆる手段で偽装していくだろう」
イスラエル政府がイラン制裁解除に向けた協議を警戒し不満に感じているのはあきらかでネタニヤフはEUに即座に対イラン行動に出るよう求めている。首相は自身のソーシャルメディアアカウントで第二次大戦前夜に英国がナチ・ドイツ宥和に失敗した事例を想起させている。
「イランの核合意違反への欧州連合の対応は1930年代の欧州各国を思い起こさせる」とネタニヤフは解説。「当時は危険が近づく中で見えない、聞こえないふりをしたものがいた」「イランの核ミサイルが実際に着地するまで目が覚めないものがヨーロッパにいるようだ。もちろんそうなってからでは遅い。いずれにせよ必要な対策をすべて実施しイランの核兵器入手を阻止する」
今月始め、イランから3.67%濃縮ウラニウムの300キログラム貯蔵制限を超え、4.5%純度までの濃縮作業を開始したとの発表があった。
核問題専門家はイランの濃縮作業継続で一年間を想定した期間が短縮され90%まで濃縮のウラニウムが生成され核兵器の実現につながると懸念する向きがある。
イランの動きは「非遵守の顕著なしるし」とは受け止められないとEU外交政策のまとめ役フェデリカ・モゲリーニは記者会見で述べた。EU各国外相が核合意維持のため協議で集まった際のことだ。
イラン外相モハマッド・ジャヴァド・ザリフは米国公式訪問中に米国による一方的政策は世界が拒否しているとし、米国に「国際社会への復帰」を求めた。
ザリフ外相は先週月曜日、イランは米国との戦争は望んでいないと述べ、トランプ大統領がイランへの厳しい制裁を解除すれば交渉に道が開けるとした。
これに対しイスラエルではイランの発言を深く憂慮して受け止めている。
エイモス・ジラッド退役少将はBreaking Defenseに「米国による制裁が理由で核爆弾作成が遅れているのであり、イランはこのまま続けて核爆弾を入手するだろう」と述べた。
ジラッドは国防省で政策・政治軍事問題部長を務めIDFで30年の経歴を有する軍事情報研究部門の長でもあった。
イスラエルはイラン核武装化は受入れられないと繰返し表明している。
イスラエル空軍が長距離ミッションの訓練を開始したとの外交筋情報がある。またIDFは高性能レーダーをガザの国境地帯に配備し、無人機攻撃に対応している。このレーダーはELTAのELM-2084多ミッションレーダー(MMR)だ。これはセンサーの各種情報を主要MMRに融合させ、アクティブ、パッシブをあわせた空中状況全体図(ASP)を作成する。イスラエル専門家から米軍とイラン軍の直接対決の場合、イランは武装無人機を数波にわたり投入するだろうとBreaking Defense に語った。
イスラエル専門家はイランの無人機は各国の安価なコピー版に見えるとしつつ作戦能力は向上しているとした。.
シャウル・シャイ大佐(退役)は南方司令部で対テロ部門や情報部門を歴任し、民間人として国家安全保障協議会(NSC)の次長も務めた。現在は国際対テロ研究所(ICT)の主任研究員としてイランは無人機の国産化に成功し偵察用ならびに武装無人機を保有していると解説。「ペルシア湾で戦火があがれば、イランが武装UASで米軍目標を攻撃するのは疑う余地がない」と話す。また「自殺攻撃用」無人機にクラスター弾頭をつけ多大な損傷を与えるという。
ただしイスラエルは無人機対策を開発している。なかでも高性能なのがラファエルの「ドローンドーム」で高性能レーダーでUASを探知しレーザーで撃破する装備だ。
イランは7月19日に強襲揚陸艦USSボクサーが撃墜したのは同国の無人機ではないと証明する画像を公開するとし、トランプ大統領の主張を否定した。同艦は同地域派遣部隊の一環とし第11海兵遠征部隊の2千名を収容している。
イランを取り巻く情勢には不確実な物が多いが、同国はアラブ首長国船籍のタンカー、リアを拿捕したと認めている。革命防衛隊は7月18日に同船は密輸に関与の疑いがあると述べた。英海兵隊がイランの超大型タンカーを7月4日にジブラルタル近郊で拿捕している。英政府はジブラルタル警察の命令にもとづき実行したと発表した。■

Paul McLeary contributed from Washington

コメント 中東、湾岸地区となると急にご関心の程度が低くなる方が日本には多いようですが、ホルムズ海峡は日本の「利益線」です。国境線でしかものを見られない向きには理解できないのかもしれません。今回の選挙戦中に最悪の事態が発生しなかったことが良かったのか悪かったかわかりませんが、選挙後の政局でこの地域の問題がのしかかるのは必至でしょう。イランとの友好もいいのですが、核武装したイランは絶対受け入れられません。ましてやイスラエル撲滅を公言するイランがイスラエルの生存に立ちふさがっている事態を正視すべきです。湾岸での有事は米イランの対決よりもイスラエルの先制攻撃で始まる可能性もありますね。ヨーロッパは結局何もできないまま指を加えているしかできないでしょう。

エリア51はこうして生まれた


The Crazy True Origin Story of Area 51 (And Why People Think UFOs Are There) エリア51誕生の真説 

July 20, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: Area 51AliensUFOsSR-71 BlackbirdSecret Aircraft


リア51は米空軍の極秘テスト施設でネヴァダ州南部の砂漠地帯にあり、インターネット上の情報のせいで一般の関心を集めている。
「ドリームランド」とか「グームレイク」とも呼ばれ60年に渡り同基地がペンタゴンもその存在を公表していない「ブラックプロジェクト」全機を受入れてきたことは間違いない。
CIAが2013年にエリア51の存在を認めたが、発足の経緯を説明したい。
民間施設がアイゼンハワー時代にトップ・シークレットスパイ機テストに供された
1950年代初頭に米国はソ連の各弾道ミサイル開発に極度の関心を指名していた。スパイ衛星はまだ実用化されておらず、確実に現場をスパイする方法は上空飛行で大型カメラを撮影することだけであった。だがソ連の防空体制にはジェット迎撃機も加わり通常の偵察機による飛行ではリスクが高まった。
このためロッキードの技術者ケリー・ジョンソンからグライダー状のスパイ機を70千フィート以上の高空をさせる構想が出た。これもソ連領空を非合法に侵犯することになるが撃墜されないはずだった。実際ソ連はスパイ機の飛行を実証できなかった。
1954年11月にアイゼンハワー大統領はU-2開発を「プロジェクトアクアトーン」の名称で承認しCIAによる運用を想定した。機体はロッキードのスカンクワークスで組み立てたがスパイ機であり目立たない場所でテストの必要があった。
ジョンソンはロッキード社のテストパイロット、トニー・ルヴィエに秘密を守れる飛行場を検索させた。ルヴィエはスカンクワークスのあるカリフォーニア州パームデールからビーチクラフト・ボナンザ軽飛行機を操縦して場所探しに出かけた。アリゾナ、カリフォーニア、ネヴァダ各州で二週間以上探したものの十分なまでに遠隔地と呼べる地点が見つからない。
だが空軍連絡将校オズモンド・リトランド大佐が大戦中に砲兵隊陣地に使われていた放棄されたX字型着陸帯を思い出した。
CIAのリチャード・ビッセル、ルヴィエ、ジョンソンは現地ヘ飛び、着陸帯を検分した。現地はネヴァダ州の乾燥塩湖グルームレイクに隣接していた。ビッセルは同地を「天然の着陸帯として最適....ビリヤード台のように真っ平らで追加工事が不要」と述べていた。ジョンソンは「ここに決めよう。ここへハンガーを作る」と述べた。
CLJという偽の民間企業がロッキードにより発足し施設建設の請負企業を募集したのは1955年のことで総費用は800千ドルだった。
荒涼たる同地は欺瞞対策で「パラダイス牧場」の名称がつき、1マイル近くの滑走路、ハンガー二箇所、管制塔、燃料水貯蔵タンク、アクセス道路、現地人員用トレイラー住宅が建設された。ルヴィエ自身がデブリや使用済み薬莢を取り除き離着陸の安全を確保した。
1955年7月24日、試作型U-2は分解されC-124グローブマスター輸送機により「牧場」へ運ばれた。着陸に際してはタイヤの空気圧を下げてタイヤ破損を防いだ。
ルヴィエは早速同機をタキシーテストし、時速80マイルで長い主翼が20フィートまで機体を浮かした。機体は四分の一マイル飛び、湖底に着地させたがタイヤがバーストし発火した。
U-2はその後テスト飛行を順調にこなし、CIAパイロットがソ連上空のスパイ飛行に使った。
民間機パイロットや航空管制官が不可能なはずの高度を飛ぶU-2に気づいた。空軍は真実を語れず、気象現象でごまかした。だが陰謀説を生むことになった。

ブラックバードの系譜、A-12、D-21、SR-71
ソ連のS-75地対空ミサイルがゲイリー・パウワーズ操縦のU-2を1960年に撃墜し、パイロットが諜報活動を自白すると、高度だけでは防御しきれないことが判明した。ケリー・ジョンソンはすでに1958年時点でこの脆弱性を認識しており、新型スパイ機構想づくりを始めていた。行動度にマッハ3超の高速を持続し、レーダー探知を逃れれば迎撃されることはないはずだ。
CIAとロッキードの「ブラックプロジェクト」には「プロジェクト・オックスカート」のコードネームが付き、未来的な形状のA-12単座スパイ機が生まれた。これをもとに知名度が高い(かつ機密解除された)複座SR-71ブラックバードが生まれ、同機は米空軍が運用した。
同時にグルームレイク施設には「エリア51」の呼称が付き、さらに施設を拡充し超音速機のテスト用に使われた。ハンガーの追加、滑走路を10千フィートに延長し、着陸帯を十分確保し、人員向けに130戸住宅をつくり、高温に耐えるJP-7貯蔵施設はA-12用に建設された。
A-12の第一陣は1962年に飛来し、一時的除隊手続きの軍パイロットもCIAによる雇用の形で加わった。ホワイトハウスはA-12をソ連上空飛行に投入しなかったがヴィエトナムと北朝鮮上空には合計32回のミッションをプロジェクトブラックシールドとしてSR-71に交代するまで行った。空軍のSR-71には速報監視カメラがつき敵地上空飛行の必要がなかった。 
ロッキードはスパイ無人機D-21も開発し、ブラックバードを小型化した単発機となり、ブラックバードを改装した母機M-21から運用した。そのD-21の一機がM-21と空中衝突し乗員は機外脱出したものの溺死し、ジョンソンはM-21開発を中止した。
だがCIAはD-21をB-52爆撃機から発進させ中国の核実験場をスパイした。同無人機のミッション5回ではいずれも写真画像の回収に失敗している。

ステルス機の生誕地
A-12及びブラックバードのステルス特性は限定的だったが、1970年代に入り空軍はレーダー探知特性が低い機体を戦闘任務に投入することに関心を示した。
1977年にスカンクワークスが新型コンピュータモデリング技術を導入し、2機のダイヤモンド形状の角ばった表面にレーダー吸収用の鉄ボール塗装を施した機体を作成した。これが「ハブブルー」で分解されエリア51にC-5で搬送され再組み立てされた。
ハブブルー各機のレーダー断面積は大幅に減ったものの機体は空力学上で非常に不安定で両機は1979年に墜落してしまう。
ロッキードはハブブルーからF-117ナイトホーク攻撃機を開発し、コンピュータ制御のフライバイワイヤで機体の不安定さを補正した。YF-117試作機もやはり初飛行はグルームレイクで1981年6月17日に実施した。製造型のF-117はまずエリア51に集結し、近隣のトノパ試験場に派遣された。
ペンタゴンはステルス機の存在を1983年に認めたもののF-117をとりまく機密はそのままとし一般大衆がナイトホークの実際の姿を見ることはなく、制式呼称も秘密のままだった。(当時はF-19と言われていた)最終的に公開されたのは1988年のことである。
ノースロップもタシットブルー実証機(「クジラ」あるいは『エイリアンのスクールバス」と得意な外観から呼ばれた)でステルス技術を発展させた。同機の初飛行はやはりグルームレイクで1982年2月のことである。同機は135回のテスト飛行を実施し1985年に用途廃止となった。
ステルス偵察機として構想のタシットブルーはコンピュータ技術を応用した曲面処理技術に道を開き、同社のB-2ステルス爆撃機が生まれたのである。■

Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

2019年7月15日月曜日

AC-130Jゴーストライダーが初の実戦投入。ガンシップは新時代に突入。

AC-130J Ghostrider Gunships Have Flown Their Very First Combat Missions AC-130Jゴーストライダーガンシップ機が初の実戦投入

The AC-130J's arrival in Afghanistan marks a historic changing of the guard as older AC-130Us have now finished their last scheduled deployment AC-130Jがアフガニスタンに到着し、旧型AC-130Uと交代し歴史の新しいページが開かれた

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BY JOSEPH TREVITHICKJULY 10, 2019
USAF
空軍が導入したAC-130Jゴーストライダーがアフガニスタンで2019年6月に初めて実戦投入された。同機はAC-130UスプーキーIIからガンシップ任務を引き継ぎ、スプーキーII部隊は米本国へ帰還した。
Northwest Florida Daily News紙がいち早く2019年6月28日に報じたのはAC-130Jが初の戦闘ミッションをアフガニスタンで実施したというもので、フロリダ州にあるハールバートフィールドでの米空軍特殊軍団(AFSOC)の司令官交代式典で詳細があきらかになった。
「AC-130Jが海外出初の戦闘任務に投入されたことをお伝えでき嬉しく思う」と米空軍のキーヴィー・レイク大尉AFSOC広報官がThe War Zoneにメールで2019年7月10日に伝えてきた。「AC-130Jの初投入は2019年6月末のことでAC-130Uの任務が解かれ、同型機はハーバートフィールドに2019年7月8日に帰投している」
空軍はAC-130Jの初期作戦任務能力を2017年末に宣言しており、2018年にハーバートフィールドの73特殊作戦飛行隊が同型の初の実用飛行隊になった。同隊がアフガニスタンで同型機を運用中
USAF
73特殊作戦飛行隊のAC-130Jがエストニアでの2018年演習に投入された。 

73隊のゴーストライダー初投入について多くは不明だが、AFSOCのAC-130は夜間飛行が主で地上の特殊部隊を支援すべく、近接航空支援または監視飛行をしている。アフガニスタンでの米特殊部隊の活動は依然活発でタリバンはじめ戦闘員多数との交戦が続いている。
以前はAC-130を投入して特定人物への攻撃を行い、極秘の共同特殊作戦部隊を支援したこともある。第4特殊作戦飛行隊のAC-130Uが国境なき医師団の病院があるアフガニスタン・クンドゥスを2015年に誤射した事件は有名だ。その後の調査で機器故障と人的ミスが重なり悲劇につながったと判明した。
U型運行は第4飛行隊が最後となった。今後も同型は緊急時に備え一部を温存するがAC-130Jの納入で完全に交代する。ゴーストライダー納入は2019年3月に始まったばかりだ。
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The AC-130U has been working hard for more than 20 years, haunting the night skies above the enemy. Now it's time for the AC-130J Ghostrider to pick up where the Spooky left off.

ゴーストライダーの引渡しは2021年に終了予定で最終的に37機が空軍に揃うと残るAC-130U、AC-130WスティンガーIIガンシップが用途廃止となる。2019年3月時点でAFSOCはU型10機、W型12機を退役させていた。AC-130Hスペクターは2016年に全機退役となっていた。
AC-130J投入でAC-130Uの戦闘任務投入が終了するとAFSOCのガンシップ運用が大きく変わる。スプーキーIIは1995年に就役し、空軍に残る旧型AC-130ガンシップの最後の存在だった。五連装25mmGAU-12/Uガトリング砲、単装40mmボフォース砲、105mm榴弾砲各一で武装していた。
各機はヴィエトナム戦時代のAC-130の直系で、AC-130Uは第二次大戦時の40mmボフォース砲搭載の最後の機体だった。同砲は効果は大きいが運用と保守管理が大変で空軍は世界各地で部品集めに駆けずり回ったほどである。結果として1940年代の40mm弾を再生産して装備運用を続けていた。
CLEMENS VASTERS VIA WIKIMEDIA
40mmボフォース砲(左)と105mm榴弾砲(右)を搭載したAC-130Hスペクターガンシップ。AC-130Uは同様の兵装を搭載する。

これに対しAC-130Jは全く違う存在で105mm榴弾砲は搭載するが、小型の30mmGAU-23/Aブッシュマスター砲に切り替えている。同時にゴーストライダーは当初から精密誘導兵器の運用を前提とし、AGM-114ヘルファイヤーミサイルやGBU-39/B小口径爆弾(SDB)、GBU-44/Bヴァイパー打撃誘導爆弾、AGM-176グリフィン(推進式ミサイル、無動力誘導爆弾のいずれでも運用可)を搭載する。AC-130WはC-130H輸送機を改装し、全く同じ装備を運用する。
空軍はAC-130JやAC-130Wには105mm榴弾砲の搭載は想定していなかったが最終的に方針を変更。AFSOCはブロック20仕様のAC-130Jに榴弾砲を搭載して2016年に初受領した。ゴーストライダーの30mmGAU-23/Aの性能には懸念があったが、その後解決したとペンタゴンの作戦試験評価部門が認めている。
精密誘導兵器の性能によりガンシップの戦力に新しい次元が開けた。スタンドオフ攻撃が可能となり、複数目標を同時攻撃できるようになった。今後導入される兵装のGBU-53/Bストームブレイカー(旧称SDBII)、GBU-69/B小型誘導弾はともに複合モードの誘導兵器でAC-130Jの作戦柔軟性が増す。30mm、105mm砲により以前同様に極めて精密な直接火力支援を提供できる。
AC-130Jではセンサー、データリンク、通信装備、他の性能向上もはかられている。最新のブロック30のゴーストライダーの受領が2019年3月に始まっており、ブロック20からの改良が見られる。その一つがセンサータレットに高精度の電子光学赤外線フルモーションビデオカメラがつき、ブロードバンド衛星通信用の「ハンプ」が機体上部に着いたのが特徴だ。
USAF
第4特殊作戦飛行隊がブロック30仕様のAC-130Jを検分中

空軍はガンシップ各機の残存性を今後の戦闘環境でも維持すべく改良を加えようとしており、GPSジャミング対策もそのひとつだ。2018年に米陸軍のレイモンド・トーマス大将(米特殊作戦司令部総司令官、当時)は国名こそ特定しなかったがロシアあるいはロシア支援を受ける部隊がシリア上空のガンシップに電子攻撃を試みていると発言していた。
新規装備もゴーストライダーに今後導入されるはずで、AFSOCは高出力レーザー兵器の実証を2022年に予定している。
.AC-130Uの運用予定がなく、AC-130Jが戦闘ミッションに投入される中、空軍はガンシップ作戦の新時代に突入したと言える。■
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コメント 航空自衛隊にもC-130Hが14機ありますが、ガンシップへ改装したらすごい戦力になりますね。ただし、運用する場所は国外になってしまいそうですが。ガンシップは制空権が確保されているのが前提なので今後の世界では運用がむずかしくなるのかもしれません。ロシアが今からAnt輸送機を改装してガンシップにするというのは出遅れの観があるのですが