2021年6月7日月曜日

M60パットン戦車を今も供用中の国は多い。今後も活躍すべく改修が効果を出している。冷戦時の装備がいかにしっかり作ってあったかの証明か。

 

 

 

 

ここがポイント: 現在も相当数のM60が第一線で供用されており、M60の性能改修需要は相当の規模に及ぶ。国防産業大手のレイセオンやレオナードはすでにM60改修を事業化している。

 

2020年夏、M60パットン戦車一両がトレーラーから降ろされ、インディアナ州リッチモンドのウェイン郡軍人記念公園の特別陳列物になった。

 

陳列中のM60に実戦機会は訪れないが、世界では多数のM60が実戦投入に備えている。原型が生まれたのは1959年でソ連戦車への急場しのぎ対応として設計されたM60はつなぎ装備以上の存在になった。昨年時点でM60を現役で供用する国は17か国に及び、原設計の優秀性を証明している。

 

中でもエジプトがM60の最大使用国でM60A1が300両、M60A3派生型850両が陸軍にあり、サウジアラビアも400両近くを供用中だ。

 

M60改修の内容

 

トルコは国産アルタイ主力戦車の導入も進めているが、M60の供用は今後も続く。Forbes.comの記事ではトルコ戦車部隊の主力はM60で1,000両が今も稼働しているとあり、原型のままではなく改修を受けている。

 

トルコは域内提携先のイスラエルの支援を受け、M60の性能向上を図ってきた。イスラエルはイスラエル国防軍のM48、M60パットンに実施したのと同じ改修を提供した。

 

トルコでは687百万ドルで170両をM60Tに改装した。アクティブ、パッシブ両方の装甲を搭載し、火器管制システムを改良し、主砲を120mm平滑砲に換装し、エンジンは1,000馬力になった。

 

さらにトルコはM60Tにプラートアクティブ防御機能(APS)を車体六ケ所に追加し、ミサイル等への360度防御を実現した。

 

M60は改修で生き残る

 

これだけ多くのM60が供用中であることから、M60改装の国際市場が相当の規模になっても不思議ではない。国防産業大手のレイセオンレオナードがM60改修を事業化しており、各車の供用期間を延ばすとしている。改修は120mm平滑砲への換装しNATO標準弾の運用が可能となり、エンジン性能を改修し、その他パッシブ装甲も搭載する。

 

イタリアに本社を置くレオナードでは装甲改修も引き受けており、複合材モジュールを砲塔部分と車体に導入し、同社の説明ではM60は第3世代装備のM1エイブラムズやドイツ製レパード2に匹敵する戦車になる。この見解には疑問も残るが、大規模戦車部隊の維持を狙う各国には性能向上のチャンスとなるのは確実だ。■

 

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Study This Weapon: The Ancient M60 Tank Keeps on Fighting

by Peter Suciu

June 6, 2021  Topic: M60 Tank  Blog Brand: The Reboot  Tags: M60 TankTanksMilitaryM60Defense

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com. This article is being republished due to reader interest.

Image: Wikipedia.


2021年6月6日日曜日

米空軍エアフォースツーC-32A後継機は一気に超音速機になりそう。新興企業による技術ブレイクスルーに期待する米空軍。

 US Air Force Boom VIP

BOOM SUPERSONIC

 

 

空軍は超音速あるいは極超音速人員輸送機の開発で、現行のC-32A特別空輸機(原型は生産終了済みボーイング757-200)と大幅に異なる後継機の実現を目指す。C-32Aは副大統領の搭乗時のコールサイン「エアフォースツー」のほうが有名だ。

 

英仏共同開発のコンコードが2003年に運行停止した以降、高速飛行性能と低水準運行経費の両立が難題になっている。ただし、ユナイテッドエアラインズがマッハ1.7で飛行可能なオーヴァーチュア旅客機をブーム・スーパーソニック社から15機導入する基本合意ができたと本を発表したことで、空軍が目指す技術が現実に近づいてきた観がある。

 

TYLER ROGOWAY

米空軍はC-32A特別空輸機を4機運用中だ。

 

 

空軍の2022年度予算案ではC-32高官輸送機再生事業が消えており、2021年度に同事業に計上されていた6.2百万ドルが浮く。

 

C-32A再整備事業の削除で特に関心を呼ぶのは空軍がその分の予算を高速輸送機の研究にす流用していると明らかにしている点だ。空軍の供用中VIP機材は既存型の旅客機やビズジェットを大幅に改装したものだ。

 

「2020年以降の予算は高性能高速輸送機材の評価、技術成熟化に投じられており、C-32A後継機を適切な時期に実現するべく国防産業基盤の強化に充てている」と空軍の予算文書にある。

 

空軍はC-32A(現有4機)と同水準の機材を後継機にすることに関心をなくし、かわりに高速高官輸送機材に焦点をあてている。

 

実際に作業は小規模ながら進んでいる。空軍は新興企業三社に契約を昨年交付し、高速高官輸送機材への応用を検討している。そのうち、前述のブーム・スーパーソニックはXB-1「ベイビーブーム」超音速実証機を昨年10月にロールアウトさせた。XB-1テストからオーヴァーチュア旅客機を誕生させる狙いがある。100%再生可能燃料を使い、乗客65-88名のオーヴァーチュアは2026年に路線就航する予定だ。

 

 

残る二社は同じく超音速機開発をめざすエグソソニックExosonicと極超音速機の実現にとりかかるハーミウスHermeus Corporationだ。

 

C-32Aは後継機種がないまま、航空機動軍団で2040年まで供用されると予算資料にあり、平均18年の耐用年数が残っている。C-32Aの就役開始は1998年で第89航空輸送団の第一空輸飛行隊がアンドリュース共用基地(メリーランド州)で運用している。

 

C-32Aでは改修作業も予定されており、2022年度には1.9百万ドルが計上されているが、2021年度の2.9百万ドルより減っている。予算資料では「プログラム管理装備(PMA)、助言支援機能(A&AS)、システム統合作業、訓練機器、その他政府関連費用に加え、高官用通信装備の更新を行う」とある。

 

さらにC-32A改装では機内意匠を「エアフォースワン」VC-25Aの大統領搭乗区画に近づける「内装リフレッシュ」作業も続いている。うち一機の内装改装が2018年に16百万ドルで発注されている。

 

 

その他の改装作業にコックピットのエイビオニクス改修、機体防御装備、通信機能の大幅向上がある。

 

これまで空軍は海軍とC-32A高官空輸機(EA)のみならず、E-4B国家空中作戦センター(NAOC)通称「審判の日」機、E-6B空中指揮命令所(ABNCP)、通信中継機(TACAMO)まですべて単一機材に更新する大胆な構想を進めてきた。空軍は現有の各機材は「老朽化し運用がどんどん難しくなっている」としている。

 

構想は各機の頭文字をとりNEATと呼ばれてきたが、昨年9月に中止となった。そこで空軍はE-4B後継機の検討を始め、海軍はC-130Jを次のTACAMO機候補としている。

 

となると、空軍が模索する高速高官空輸機はどうなるのか。新興企業三社向けの進展は予測不能だ。ただし、これまでの契約実績は研究中心で規模も少額であることに留意すべきだ。たとえば、ハーミウスには2百万ドル未満しか交付されていない。

 

HERMEUS CORPORATION

極超音速旅客機を空軍仕様にした想像図

 

 

そこで要求性能水準と実用性が問題となる。高官を乗せ世界各地を高速移動しつつ運航効率が高い、長距離を短期予定で移動できる性能は歓迎されるだろうが、単一機種として調達すれば非常に高額な装備になりそうだ。また、運行面では大陸上空の超音速飛行は米国、欧州で依然として禁止されたままであり、機体性能を活用できない。これは軍用、民生用共通だ。

 

一方で、超音速機がこの機体サイズで実現すればその他任務にも投入できる。例として情報収集監視偵察(ISR) 、さらに攻撃任務も想定できる。ごく少数の人員や機材を長距離かつ高速に移動させられる。高速輸送機は搭載力が限られるとしても魅力ある選択肢に残る。 


うまく調整すればその他予算項目からの流用も可能になるのではないか。であればC-32A近代化改修は終了となりそうだ。

 

そうなると、C-32Aの後継機種がないまま、将来の「エアフォースツー」に高官が乗り超音速、あるいはそれ以上のスピードで移動する日が来るかもしれない。大手エアラインが信頼を示したことで空軍にもVIP高速輸送の夢が近づいたのではないか。■

 

次期大統領専用機VC-25Bの供用開始が遅れ気味になっています。一方で、超音速VIP機が空軍に納入されれば、副大統領が高スピードで移動し、大統領はゆっくり移動することになるのでしょうか。大統領の移動となると随行員や装備の関係で小型機では対応できないので、やはりこのままなのでしょうかねユナイテッドのブーム機材購入の話題はT1でお伝え済みです。

https://aviationspacet1.blogspot.com/



 

 

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'Air Force Two' Replacement Dropped With Funds Redirected To Supersonic Transport Research

BY THOMAS NEWDICK JUNE 3, 2021


2021年6月5日土曜日

コロナウィルスは自然発生ではない。武漢研究所起源説が証明されて困るのはだれか。バイデンも結局トランプ路線を進まざるを得ず、やはりトランプの主張が真実だったのか。

  

 

日本人はともすれば戦争でさえ、自然災害の変種ととらえる傾向がありますが、中国が関与した生物兵器の漏出あるいは意図的な拡散であれば、これはもう第三次世界大戦です。発生が発覚した2019年が開戦年であり、同時にPRCの終焉の始まりだったのかもしれません。わが国にも議論を封じている勢力がありますが、これから夜も眠れなくなる日が来るのが楽しみです。WHOは廃止になるかもしれません。



COVID-19 Cells

COVID-19 Cells. Image: Creative Commons.

 

 

ロナウィルスをめぐり科学研究界、政治指導層さらに主流メディアが起源を問う議論を封じてきたが、その努力が失敗に向かいつつある。

 

わずか数週間前までは武漢ウイルス研究所がウイルスの起源と主張すれば根拠のない陰謀説と一蹴されたものだ。トランプ大統領がこの説を繰り返したが、人種差別だと非難の対象となった。「実験室漏出」仮説を真剣に取り上げていたメディアはFox News、National ReviewAmerican Conservativeとごく少数で、それぞれ批判、非難され、黙殺されてきた。トランプ政権も同様の扱いを受けた。フェイスブックはじめソーシャルメディアで実験室起源説はすべて「偽情報」扱いで投稿できない扱いとなった。「集団思考」でおどろくほど頭が麻痺した好例だ。

 

だが、証拠が次々と出ており、ウィルスが自然発生と言えなくなってきた。疾病管理センターはじめ複数筋からウイルスが人為的に生まれた可能性は否定できないと従来の見解を変える発言が出ている。決定打となったのは五月末にバイデン政権がコロナウィルス起源を探る総合的調査を命じたことで、同政権の姿勢を180度変更した。同政権はトランプ政権が始めた調査活動を中止させていた。

 

こうした進展が米国の中華人民共和国(PRC)政策を大きく変化してしまった可能性がある。実験室仮説が真実だと判明すれば、反中タカ派は当然ながら米国は報復すべきと主張するだろう。危機状況の初期から保守派メディアは中国政府の透明性の欠如がパンデミックを起こしたと批判していた。

 

コロナウイルスは中国が世界にまき散らした生物兵器と主張する右派もあらわれた。そこまで過激にならなくても、責任がPRCにあるとの主張で武漢研究所の封じ込め体制の緩さに批判が集まっていた。マイク・ポンペイオ国務長官は2020年5月に「コロナウィルスが武漢の研究施設から始まった証拠は多数ある」と述べていた。

 

米国内の対中世論はコヴィッド流行が始まったことで大きく悪化し、同時に香港の民主運動弾圧を見て、今や敵意さえ示している。そこに武漢研究所が今回の出発点だとの証拠が出れば、さらに悪い状況になるのは必至だ。実際に今回の流行は偶発的に発生したのではなく、意図をもって米国他西側諸国を生物兵器で攻撃したとの疑惑が見え隠れしている。

 

そうなるとバイデン政権は中国へ強硬姿勢を示せとの圧力を受けることになる。中国へ宥和的姿勢を示し、協力関係を回復することでトランプ政権時との違いを示すはずだったのに、ますます「小型トランプ」の様相を示してきた。台湾、南シナ海、貿易と各問題でバイデン政権の対中姿勢は厳しさを増している。今回の大流行が中国の実験施設から始まったものと考えることでホワイトハウスはさらに強硬かつ対決に向かう政策を取らざるを得なくなる。このため米中関係の緊張は極めて危険な水準に入りかねない。

 

議会内のバイデンに近い勢力や主流メディアは一転して厳しい批判に直面しそうだ。議論をもみ消し、さらにコビッド大量流行でPRC政府に責任はないと主張してきたのが実はとんでもない誤算だったとどんでん返しになる。批判勢力はトランプ政権にただ反対するだけだった大統領選挙戦そのものに誤りがあったと指摘してくるだろう。トランプは中国政府との財政的つながりなど極悪非道な動機があったと指摘していた。このままだと新しいマッカーシズムさえ登場しそうだ。

 

米中関係にどんな影響が出ようと、今回のパンデミック起源の完全かつ客観的な調査が不可欠だ。今回の事件は科学界とあわせニュース報道に痛い教訓となる。イデオロギーや政局判断をもとに結論を急ぎすぎると、困った事態、破滅的な結果がその後生まれる。今回のような動きは決して繰り返してはいけない。■

 


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What Happens if the Coronavirus Wuhan Lab Leak Thesis Is True?

ByTed Galen Carpenter

 

Ted Galen Carpenter, a senior fellow in defense and foreign policy studies at the Cato Institute, is the author of 12 books and more than 900 articles on international affairs.

 


2021年6月4日金曜日

大隅海峡から太平洋入りした中国艦艇を海上自衛隊が捕捉。環球時報が記事にするとこれだけ嫌味な内容になる。

 こういう時は海洋法を根拠にするわけですか。世界で最も警戒されるのが中国人だというのも仕方ないですね。日本への警告? 神経戦にもちこもうというわけですか。そう簡単に海洋国家日本はくじけないでしょう。演習後のいせDDH-182は中国艦を監視していたのですね、ご苦労様です。   

 

A naval fleet comprised of the guided-missile destroyers Ningbo (Hull 139) and <em>Taiyuan</em> (Hull 131), as well as the guided-missile frigate Nantong (Hull 601), steams in astern formation in waters of the East China Sea during a maritime training drill in late January, 2021. Photo:China Military Online

誘導ミサイル駆逐艦寧波(艦番号139)、太原(131)、誘導ミサイルフリゲート南通(601)の三隻が隊列を組んで東シナ海で演習を展開した。2021年1月末撮影。 Photo:China Military Online

 

 

民解放軍海軍(PLAN)部隊が大隅海峡から太平洋へ展開したとの報道が5月31日に出たが、専門家からは全く正常な動きであり、PLANの海洋作戦能力向上を示すものとのコメントが出ている。

 

PLA艦艇は今年になり対馬海峡、宮古海峡とあわせ日本周辺海峡三か所を利用し太平洋方面に展開したと専門家は指摘。こうした移動は通常の動きながら、日本へ警告の意味があると解説している。日本は釣魚諸島や台湾問題などを通じ中国への敵意を強めて西側諸国との共同演習に加わっているが、演習が中国を狙ったものであるのは明らかだ。

 

海上自衛隊はPLAN部隊を見つけ、052D誘導ミサイル駆逐艦太原Taiyuan、054A誘導ミサイルフリゲート艦湘潭Xiangtan、093A型総合補給艦巢湖Chaohuの三隻が大隅海峡から太平洋に5月31日移動するのを確認しており、統合幕僚監部が翌日公表した。

 

太原

 

湘潭

 

巢湖

 

(上記はいずれも統合幕僚監部発表のもの)

 

こうした運用はすべて通常のものであり、PLANが外洋海軍を目指し着実に運用能力を引き上げている現状を反映している。各海峡は国際水路であり、日本の領海、領空を何ら侵犯したものではないという。

 

一方、日本のヘリコプター空母いせが四日間にわたるUSSロナルド・レーガンとの沖縄東方での共同訓練を終えた。日本はあわせて米、仏、豪各国との共同訓練を東シナ海で展開し、中国を封じ込める狙いとともに魚釣島や台湾のような問題を騒ぎ立てる狙いがあるとの見方が中国にある。

 

日本周辺でPLA艦艇の動きが頻繁になっているのはあくまでも訓練であり、特定国を狙う意図はない。戦闘対応能力を鍛えるという最重要な目的のためと中国軍事専門家でテレビ解説者のSong Zhongpingが環球時報に語ってくれた。

 

ただし、中国に悪意を示す国があれば、中国軍はこうした演習を利用して敵への対応を訓練するはずだとSongは語っている。■

 


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Drill by PLA warships in Pacific via Osumi Strait 'indicates far sea capability boost, warning to Japan'

By Liu Xuanzun

Published: Jun 02, 2021 08:16 PM

 

 


米空軍の22年度予算要求で、F-35追加調達希望がゼロに。かわってF-15EXは追加調達。これまでの流れと一変していることに注目。

 

 

F-15EXがフロリダ州のエグリン空軍基地で地上誘導を受けている。March 11, 2021. (Samuel King Jr./U.S. Air Force)

 

空軍がまとめた2022年度調達で予算復活希望の装備品リストは総額42億ドルで、うち14億ドルがボーイングF-15EXの追加調達12機にあてられ、老朽化したF-15C/D機材の穴埋めを期待している。

 

F-15EX調達予算が増額され、一体型燃料タンク24基の導入も含まれており、空軍の装備品リストで最上段に乗った。空軍はリストを議会に6月1日送付し、Defense Newsが入手した。

 

とはいえ、最大の驚きはF-35共用打撃戦闘機の追加調達希望が皆無なことだ。

 

予算手当てが必要な優先調達リストが各軍から議会に送られると、議員はリストを参照し予算修正を行う。とくに高額な艦艇や航空機が対象となることが多い。

 

これまで空軍はロッキード・マーティンF-35の調達を優先し、追加調達を模索してきた。しかし、FY22ではこの動きはなく、2020年代中ごろのブロック4改修を待つことを空軍関係者はほのめかしている。

 

逆に空軍作成リストではF-35の運用維持に360百万ドルを計上している。そのうち175百万ドルはF135エンジンのパワーモジュール20基用で、「機体稼働率を下げている」状況の改善を狙うもの、と空軍は正当性を主張している。

 

空軍はFY22で200機あまりの機材退役を想定しており、A-10ウォートホグ42機、F-16C/D47機、F-15C/D48機があることから、F-15EX調達を議会がさらに上乗せする可能性がある。

 

FY22予算で空軍が要求するF-15EXは12機、F-35は48機。

 

優先リストでつぎに大きい動きは825百万ドルを兵装システム維持や予備部品調達に充てて機材の運行を維持しようとするものだ。

 

具体的には37百万ドルで、特殊燃料の調達を含めたU-2の運行維持、U-2とT-38練習機の整備保守、ミッション立案セルの契約を延長する。さらに37百万ドルでEC-37コンパスコール用予備エンジン5基を生産終了前に確保する。EC-37はEC-130Hコンパスコール電子戦機材の後継機種だ。

 

リストでは377百万ドルで指揮統制用装備の強化をめざし、三次元現地展開長距離レーダーThree Dimensional Expeditionary Long-Range Radar事業を加速化させつつ、戦場空中通信中継Battlefield Airborne Communications Node 機材の調達、運用、維持を強化する。

 

リストには適応型エンジン開発に57百万ドルが計上され、ジェネラルエレクトリック、プラット&ホイットニーの両社が試作エンジンを完成させる。

 

希望リストにはインフラ関係に10億ドルをあて、うち736百万ドルで基地等の構築を進める。■

 

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US Air Force wish list includes more F-15EX jets but no F-35s The Air

By: Valerie Insinna 

 


2021年6月3日木曜日

(再出)ヴァージニア級攻撃型原潜の後継艦SSN(X)の概略が浮上。ヴァージニア級からさらに戦力性能がアップする。問題は毎年2隻超の建造能力の実現だろう。目標は2050年度に達成する。

 SSN(X) next generation US Navy Submarine

 

海軍は現行のヴァージニア級原子力攻撃型潜水艦(SSN)の後継艦について研究開発を2021年度中に開始する。新型艦はヴァージニア級より全幅が広がりシーウルフ級並みとなり、将来登場する水上、水中の脅威によりよく対応でき、最新の静粛化推進方式を採用し、各種技術を搭載するはずだ。

 

議会調査サービス(CRS)が2021年5月10日発表した文書では米海軍の次世代攻撃型潜水艦SSN(X)の概略に触れている。以下、CRSによるSSN(X)に関する報告書から引用する。

 

海軍が2020年度にまとめた30年計画(FY2020-FY2049)建艦計画では、SSN(X)一号艦は2031年度調達とあり、同年にはヴァージニア級潜水艦一隻も調達する。2032年度、2033年度にヴァージニア級の最終調達として4隻を調達し、各年2隻を調達する。その後のSSN(X)調達も毎年2隻で2034年度に開始する。30年建艦計画でSSNを毎年2隻調達していくとSSN66隻を調達でき、現行の海軍SSN戦力整備目標は2048年度に達成できる。

 

トランプ政権が2020年12月9日付で公開した海軍建艦計画が2022年度30年建艦案の基礎となっており、SSNでは72隻から78隻を整備目標としている。この目標を達成するのは2040年代後半となり、2035年度から2041年度には毎年3隻、2042年度から2050年度には毎年2.67隻の建造が必要だ。

 

新型SSN(X)でも対潜戦(ASW)を重視し、移動速力とステルス性はヴァージニア級を超える水準とする。さらにSSN(X)は兵装搭載量が増え、搭載ペイロードの種類もヴぁージニア級を超え、敵の高性能艦、無人水中機UUVに対抗しながら、同盟国艦艇との協調性も確保する。

 

CRSのSSN(X)報告書ではさらに「海軍ではSSN(X)の設計で3案を検討し、ヴァージニア級SSNを発展させる案、コロンビア級SSBNを原型とする案、完全新規設計案がある。

 

「産業界にはSSN(X)の艦体直径はヴァージニア級の34フィートより大きく、シーウルフ級SSNおよびコロンビア級SSBN(それぞれ40フィート、43フィート)に近づくとの意見がある。

 

「2021年4月にCBOが2020年12月9日付の30年間海軍建艦案文書に対する検討結果を発表しており、2021年度ドル価値でSSN(X)の平均建造費を海軍は58億ドルとしているが、CBOは62億ドルと試算している。

 

潜水艦に詳しい専門家H.I.サットンはSSN(X)は以下の新技術が搭載されると見る。

 

  • レーザー兵器

  • 一体型艦首ソナー

  • 量子技術

  • 大型兵装庫に各種兵装やUUVを格納する

  • 魚雷発射管数を増やし各種兵装を運用する

  • 超大型艦側面アレイ

  • 静粛化対策済み電動推進

  • X字形状潜舵による操艦機能の向上

  • 巡航ミサイルや極超音速ミサイルを搭載するVLS


記事上部の想像図も参照されたい。■


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US Navy Outlines the Next-Generation Attack Submarine SSN(X) Program

Peter Ong  25 May 2021