2021年8月21日土曜日

「中国をビクつかせろ」ケンドール新空軍長官が就任。難航してきた旧式機材の整理も新手法で加速化するか。ケンドールはオバマ政権でDoD調達トップを経験し、ペンタゴン内部を熟知。

 

空軍長官フランク・ケンドールが宇宙軍参謀総長ジョン・W・レイモンド大将(左)、空軍参謀総長CQ・ブラウンジュニア大将、空軍次官ジーナ・オーティスと長官就任後初の打ち合わせを空軍省の各トップとヴァージニア州アーリントンで2021年7月28日に行った。(Eric Dietrich/U.S. Air Force)


空軍文官のトップとして宣誓を済ませたフランク・ケンドールはさっそく予算関係文書に向かった。

 

ペンタゴンで調達業務トップを務めていたケンドールは軍事技術に詳しく、ぎりぎりのところで2023年度空軍予算の修正を命じた。

 

ケンドールはDefense News単独取材の8月13日に狙いは「中国をびくつかせる」最新技術の配備にあるとした。だがこれが実現するかは議会が納得し、既存機材の整理が実現するか次第だ。

 

「空軍にしわ寄せがきている」「本当にしたいのは高い優先順位事業に資源をまわすことだ。だが議会は旧型機の退役をなかなかさせてくれず、難航している」

 

ケンドールはFY23予算で目指す具体的な支出面の変更点について触れたくないとした。空軍参謀総長C・Q・ブラウン大将は空軍には装備近代化で大胆な構想があると述べたものの、さらに野心的な提案が控えていることをほのめかす発言をしていた。

 

ケンドール長官は「中国について長く執着してきた。特に軍事力近代化は米国の安全保障にとって大きな影響がある」と述べた。ケンドールは陸軍で長い経歴を有し、ペンタゴン勤務も長い。オバマ政権下で調達の責任者だった。

 

「復帰後に目指しているのは中国がどんな近代化を狙っているかの情報収集の拡充だ」とし、「予想以上の相手は早く動いているので、気を抜く暇がないほど忙しく立ち向かう必要がある」

 

では中国が脅威を感じそうな技術にはどんなものがあるのか。

 

ケンドールはF-35のブロック4改修をとりあげ、情報処理能力の向上に加え新型兵装やセンサーの追加も可能となる。

 

また、ネットワーク化自律装備各種や人工知能も有望だが、各軍で効果的な活用がまだできておらず、取り組むべき課題だとケンドールは指摘。

 

さらに空軍には極秘事業数点がある。

 

「まだ公表していないが進行中の事業があり、ここではお話しできない」「その中でB-21爆撃機は一部公開した。同機は高性能機材となろう。また進行中のものが数点ある」

 

「将来の敵に脅威となる装備について止まることなく考えていく必要がある」

 

空軍長官としてケンドールは空軍、宇宙軍あわせ2,070億ドル予算を管理する立場になる。(ここに挙げた金額にはその他政府官庁の「転嫁」予算380億ドルを含める)バイデン政権の国防予算は伸びがなくなる予想だが、ケンドールは空軍のミッションは実現可能と述べた。

 

「本当に必要なことに集中させてもらえれば、話題に上ることが多い装備品を活用できる」「だが基地の処分はまかりならぬ、必要度が低い機材の処分は認められないとなれば萎縮してしまい、装備近代化の阻害となる」

 

同じ状況をケンドールは以前も経験している。

 

オバマ政権からトランプ政権にかけ、空軍は次世代機、人工知能、全領域指揮統制機能、自律運航装備など新技術向け予算を確保しようと、旧型機の処分を目指した。

.

空軍はA-10、U-2、RQ-4グローバルホークの全廃をFY14予算からFY17予算で狙った。だが議会の反対で、その狙いは一部でしか実現していない。

 

最近は空軍も断片的な要求の戦術に変更しており、議会はB-1爆撃機、KC-10給油機、RQ-4グローバルホークの部分的廃止を認めるに至った。ただ、節約効果は限られたものになっている。

 

ケンドールはむしろ機種全体の処分方針への復帰を支援する姿勢を暗示している。

 

「純粋な経済問題としてみれば一機種で全機廃止するほうが良い結果が得られる」「各機材には固定費用がついてくる。なかんずく、運用機数により変動費が生まれる。固定費をなくそうとすれば全機廃止するしかない」

ただし、空軍機材の削減には議会の同意が必要と本人も認識している。

 

ケンドールが議会関係者に示した構想とは複数機種をパッケージにして合意のもと廃止すれば、空軍は機種ごとに説明し同意を取り付ける必要がなくなるというものだ。

 

構想はまだ完成度が低いが、ケンドールは議会関係者のインプットを求めつつ、空軍が機材廃止を政界の同意ある形で進めつつ国内雇用や経済への影響は最小限にしたいと述べた。

 

「狙い通りにいかない場面もあるが、前に進まねば。国家安全保障はひとえに我々の動きにかかっている。逆の選択肢は長期間にかけて貧弱な戦力を有する部隊攻勢に転落することだ」■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。

市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmailまでご連絡ください。


The new US Air Force secretary wants to 'scare China'

By: Valerie Insinna   

 


2021年8月20日金曜日

アフガニスタン情勢:ロナルド・レーガン搭載のスーパーホーネットもカブール上空で警戒態勢に。空港内から外に出ない米軍部隊と対照的に英仏部隊は空港外でも活動中。一方、米軍撤退は8月31日が期限だが...

 A US Navy F/A-18E/F Super Hornet moves in to refuel over Afghanistan in 2020.

USAF

 

海軍のF/A-18E/Fスーパーホーネット隊がニミッツ級空母USSロナルド・レーガンを発艦した。同艦は現在北アラビア海を航行中で、ホーネットはカブール上空を24時間パトロールした。ただし、米軍関係者は各機がカブール市街区を低空飛行したとの報道を否定し、米海軍機が進行中の撤収作戦支援で空爆を行う可能性について言及を避けた。

 

ペンタゴン報道官ジョン・カービー、米陸軍ハンク・テイラー中将によるカブール上空に展開する米軍機の動向で最新状況の説明がペンタゴンで聞かれた。その他米軍用機と同様にパキスタン経由で米空軍給油機からの燃料補給を受け、スーパーホーネットはアフガニスタンに展開している。

 

カービーは「現地で低空通過飛行があったとの報道が出ているが、何らかの示威行動であろう。航空作戦の実態についてはテイラー中将が説明に適任」と述べた。カブールの報道陣からソーシャルメディアで戦闘機の低空通過飛行を見たとの投稿があった。その後の報道ではハミド・カルザイ国際空港で進行中の撤収作戦の支援として武力示威したとある。

 

空港での状態が混乱したままで、米軍他外国軍が周囲を警備する中で暴力事件も発生している状況を考えれば目くじらを立てるべきものではない。低空高速通過飛行を行った戦闘機は敵対勢力の意欲をしぼませる効果も期待したのか。

 

テイラー中将は「近接航空支援能力は現地司令官が必要と判断すれば投入できるよう機材を常時待機させている」と語った。

 

昨日は統合参謀本部議長マーク・ミリー陸軍大将から発言があり、有人無人取り混ぜ機材各種がアフガニスタン上空で同様に飛行任務を展開、あるいは中東地区で緊急事態に待機しているという。スーパーホーネット以外に米空軍がB-52H爆撃機、F-16C/Dヴァイパー、AC-130ガンシップ、MQ-9リーパー無人機が、米海兵隊はAV-8Bハリアージャンプジェットを展開している。

 

C-17A乗員は低空離陸訓練を受けており、地上砲火を避けるための対応だ。カブール空港からこの形で離陸しているのであれば、ハミド・カルザイ国際空港周辺で銃火の使用が続くとの報道も納得できる。タリバン戦闘員が離陸機に発射しているのだろう。

 

この24時間でC-17はさらに13機がカブールに到着し、兵員装備品を搬入した。さらに2000名超を同空港から運び出した。今週から始まった撤収作戦で米軍は約7千名を空輸しており、米国人、米政府に協力したアフガニスタン国民以外にテイラー中将が「国務省と調整のうえ対象とした避難民」がいるという。

 

USMC

ハミド・カルザイ国際空港で避難民に対応する米海兵隊員。Aug. 18, 2021.

 

同空港を舞台に展開中の撤収作戦は順調に進んでいるとペンタゴンは述べているが、8月31日までの完了となるかは不明だ。テイラー中将は「今までのところ保安上の問題や妨害工作は発生していない」と述べた。

 

同時に報道では米国市民等で有効な米国旅券を有する者がタリバンが設けた検問所通過に苦しみ空港にたどりけなくなっているとある。必死に国外脱出を望むアフガン市民の場合はもっと厳しい状態にある。

 

昨日のロイド・オースティン国防長官発言では、米軍部隊には空港敷地外へ展開し、空港へ向かう市民を支援する予定は現時点ではないとした。カービー報道官、テイラー中将も本日同じ内容を口にした。これと反対に英軍仏軍部隊はカブール市内に積極的に展開し、避難民を見つけ次第援助しているとの報道がある。現地では米関係者と同盟国軍の間に緊張が生まれている。

 

こうした状況の中で米軍が撤収飛行をいつ完了できるのか疑問が出てきた。タリバンが外国軍活動の黙認を続けるのか、今後数週間が重要となる。空港には5,200名規模の米軍部隊が展開しており、補給活動も懸念材料となってきた。

 

「ハミド・カルザイ国際空港での燃料補給活動が規模拡大している」とカービー報道官が記者質問に対して発言した。米軍がタリバンから燃料購入する事態が生まれるのかとの質問だ。「米国は自国で確保できる。燃料以外に機材運用も同様だ」

 

カブールの米軍部隊も最終段階で撤収するので、相当量の資材を放棄する可能性がある。とくに撤収を迅速に行う必要がある場合にその可能性が高い。実際に米国務省はCH-46Eシーナイトへリコプター7機を現地で放棄する方針で、米大使館関係者の空港搬送に使った機材だ。

 

ペンタゴンは武装軍用機をカブール上空で警戒飛行に運用中で、すぐにでも近接航空支援に移る体制にあると強調している。あるいは機材、車両、その他資材をハミド・カルザイ国際空港に残した場合に効果的に破壊するのに投入するのか。

 

「こちら側人員や空港作戦に攻撃があれば、強力な兵力で対応するとタリバンに申し入れずみだ」(カービー)

 

今後何が発生するにせよ、ペンタゴンは米軍用機が今後もカブール上空に待機し、不測の事態に備えていることを明示している。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。

市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmailまでご連絡ください。


Navy Fighters Are Flying Armed Overwatch Missions Over Kabul

The Pentagon says American combat aircraft are covering the evacuations, but have not flown shows of force maneuvers or carried out any strikes.

BY JOSEPH TREVITHICK AUGUST 19, 2021



B-21登場で米爆撃機部隊はこう変わる。B-52はまだまだ供用を続けるが、B-1は順次退役。B-2は?

 


記事ではB-2の言及が皆無ですが、同機に残された時間は短いようです。B-1Bも一気に姿を消すのではなく、機体寿命が残っている機体に優先的に改修を行い、退役が完了するのはまだ先のようです。

 

U.S. Air Force B-21 Raider

米空軍が公表したB-21レイダーの最新想像図

U.S. Air Force

 

B-52はいつまで運用されるのか。B-1Bはどうか。米空軍は戦闘場面で必要となる規模の爆撃機は保有しておらず、数十年間供用を続ける機体もあり、新型機というとB-21のみに限られる。

 

B-21は増産にむかいそう

 

B-21の調達規模は少なくとも145機程度とこれまでよりも増えている。

 

B-21は多様な任務に対応する機体となり、多数の機材が行うミッションを単独でこなせる。

 

空軍にとってB-21は唯一の新型爆撃機であるが、旧式とはいえ新たに性能改修を受けつつあるB-52と併用する方針だ。

 

B-52は 近代化改修で大幅に変わる

 

冷戦時に生まれ性能は実証ずみのB-52は供用期間が最大100年になりそうだ。

 

じゅうたん爆撃で敵の重要地区を攻撃する機能で知られた同機はいまやサイバー攻撃に耐え、EW機能を身に着け、極超音速ミサイルを運用し、デジタルネットワーク化改修を受けた爆撃機となり、新世代の爆弾や精密誘導巡航ミサイルを搭載する。

 

まさしく変身したといってよい。

 

こうした改修が可能となったのも製造後数十年たっても機体構造が堅固なままであるためだ。構造面では一部補強がなされたが空軍の兵装開発部門によれば時の経過に耐えているという。

 

機体以外で今日のB-52は誕生当時と全く別の機体といってよい。改修の範囲はそこまで大きい。

 

B-52は新型最先端かつ先見的技術の搭載で、これからの脅威に対応可能となった。改修作業は数十年にかけ実施され、一度に列挙できないほどだ。

 

B-52戦闘中ネットワーク通信技術Combat Network Communications Technology (CONECT)

 

空軍は同機の通信系統の改修に乗り出し、リアルタイムでの飛行中情報収集機能を実現した。

 

その機能は戦闘中ネットワーク通信技術と呼ばれ、デジタル技術によりB-52で重要なミッション詳細情報を利用可能とした。標的情報の更新、地形データ、敵の活動状況や飛行経路情報が利用できる。空軍は2016年からCONECT導入を開始し、CONECTによりパイロット両名は事前にプログラムした標的ミッション情報に頼らずにリアルタイムで飛行経路を変更し標的に向かい、敵の脅威内容に対応した変更が可能となる。

 

B-52機内兵装庫 Internal Weapons Bay (IWBU)

 

B-52ではエンジン換装以外に重要なのが機内兵装庫の更新で、同機の兵装搭載量が大きく伸びる。

 

IWBUは複数年度かけ実現していくが、レーザー誘導JDAM、共用空対地スタンドオフミサイル(JASSM)、JASSM長射程型の運用が可能となる。兵装運用の拡大では小型空中発射デコイ(MALD)、MALD-Jジャマー型の運用も視野に入る。

 

まさしくパラダイムチェンジとなる改修でB-52は極超音速ミサイル運用も目指しており、マッハ5の攻撃能力が実現する。この極超音速ミサイル搭載への準備段階として空軍はAGM-183空中発射迅速対応兵器を600マイル射程で試射した。B-52はB-21と併用して今後も投入されるが、老朽化してきたB-1ではこうはいかない。

 

B-1Bの行方

 

B-1Bは段階的に運用終了する予定で、空軍爆撃機部隊の構成に興味深い変化が生まれる。B-1Bは多用されすぎ、進展する敵の脅威に対応が困難となると空軍上層部は見ている。

空軍グローバル打撃軍団司令ティモシー・レイ大将はB-2が少数機しかなく、B-1Bの老朽化のため爆撃機不足に悩んでいるとたびたび発言している。

 

B-1Bに極超音速兵器運用を期待するのは同機の供用期間を延長するためでもある。各種改修を行っても同機の老朽化は隠せない。空軍は今後数年でB-1Bを退役させる。

 

B-52、 B-21を併用しつつ B-1Bも残る今後の姿

 

そうなると時の経過に耐えるB-52、新型B-21の併用で空軍は対応するつもりなのだろうか。そうだとすれば、戦術戦略両面、さらに空軍の爆撃機部隊活用にどんな変化が生まれるのだろうか。

related to the arrival of the B-21 stealth bomber. 

一つ考慮すべきはB-21の運用開始がどんなペースで進展するかだ。

 

B-1Bの退場で生まれるミッションの穴はB-21が埋める。無論のこと、ミッションの詳細情報は保安上の理由で不明だが、B-21が異次元のセンサー機能、データ分析、兵装の誘導方法、爆弾投下能力、コンピュータ処理能力、標的捕捉機能を実現してもおかしくない。つまり、B-21がB-1Bが行うミッション多数を引き継ぐ。

 

また長期計画ではB-1Bはすぐに姿を消す前提になっていない。空軍はB-1Bの複数年度改修を実施中で、兵装庫は極超音速兵器対応に改装し、その他エイビオニクス、エンジン、通信系統の改修も進める。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。

市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmailまでご連絡ください。

 

The Future of US Air Force B-21s, B-52s & B1-Bs

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

 

-- Kris Osborn is the President of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master's Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2021年8月19日木曜日

カブール上空にRC-135Wリベットジョイントが監視飛行。その他米軍機材のカブール空港への展開状況と撤収作戦の見通しについて。

An RC-135V/W Rivet Joint intelligence, surveillance, and reconnaissance aircraft takes off from Al Udeid Air Base in Qatar.

USAF

 

 

ご注意 事態が急速に展開しており以下は米時間8月17日現在の内容です。

 

空軍のRC-135Wリベットジョイント情報収集偵察機一機がカブール上空を周回飛行しているのがオンラインフライト追跡サイトで確認でき、ハミッド・カルザイ国際空港で米国等の撤収作戦が進行している。米陸軍のエリート部隊第160特殊作戦航空連隊(SOAR)所属のヘリコプター数機が空港に配備されている。米国による撤収作戦はさらに拡大する模様で、陸軍第82師団の指揮統制部隊が空港現地に移動し支援するとの発表も出てきた。

 

このうちRC-135W(62-4138)はコールサインがパイソン52でアルウデイド航空基地(カタール)を本日早朝に離陸している。同機は北アラビア海上空を経由しパキスタンからアフガニスタンに移動した。米軍機がペルシア湾からアフガニスタンに移動する際の標準経路で、同機はその後追跡サイトで所在が見えなくなった。同機が基地帰投したかは不明だ。

 

リベットジョイント機投入は、カブール上空で高高度を飛行する他機は事実上存在せず、理にかなっている。リベットジョイントは強力な電子通信情報収集能力を有する。各種信号発信源とを突き止め、「電子戦闘序列」を形成するほか、指揮統制機能や敵のその他活動の探知が通常の任務だ。

 

タリバンには防空能力がなく、指揮統制機能も限定されている。RC-135Cでは広範な地区でのチャット通信を傍受する機能もあり、重要情報を地上部隊へ中継できる。リベットジョイントには通常は各国語に長けた暗号専門家が搭乗し、アフガニスタンの場合はパシュト、ダリの各言語専門家が該当する。搭載センサーが集める膨大な交信情報の処理が可能だ。

USAF

An official US Air Force graphic describing the different members of a typical Rivet Joint crew and their responsibilities.

 

現時点でタリバン上層部は外国による撤収作戦が展開するハミッド・カルザイ国際空港に干渉しないと公的に発言している。外国人の空港移動を支援する例も出ているが、アフガニスタン国民には空港利用を禁じているとの報道がある。

 

同空港での米軍活動は他国軍とあわせ、タリバンの気分に振り回されているといっても過言ではない。タリバンは首都を占拠しているが指導部が戦闘員をどこまで直接統制しているか不明だ。空港周辺で銃使用の報道も出ているが、ペンタゴンは昨日米軍隊員が武装した現地人二名を銃で殺害したと認めたが、タリバン所属の戦闘員だったかは明らかにしていない。

 

そこでカブール上空を旋回飛行するリベットジョイントだが、タリバン上層部が公表発言通りに行動しているか確認するため強力な機能を発揮する機材だ。同時に機内の情報収集機能を活用し、タリバンの指揮統制能力を把握する重要な任務もあり、弱点を見つければ将来活用の可能性を開く。

 

同機を上空待機させることで、同空港に終結する外国軍部隊へタリバンの動きを早期に伝え危険を予知できる。アフガニスタン上空のリベットジョイントがトランスポンダーを作動させれば、機体追跡サイトで存在を公示できるのでタリバンにも米軍が襲撃の動向を伝える通信に耳を傾けているぞと示せる。

 

米軍がリベットジョイントをこのように利用するのは今回が初めてではない。米海軍水兵をイランが2016年に捕獲した事件では解放された際にイラン政府が交渉内容通りに動いているか裏を取る目的で同機が投入されていた。

米軍の同空港でのプレゼンスはこれから増える。ワシントンポストのダン・ラモーテ記者は陸軍第82師団の司令部部隊がカブールに向け移動中で、空港での運用を統制するとあり、同部隊は空港の占拠、占領の訓練を受けているため、ともある。総勢6千名規模になる陸軍海兵隊部隊のトップ組織になる。

 

同空港では全くの混乱状態が昨日も続き、アフガン人多数が国外脱出を目指し、フライトラインにまで侵入した上、増援部隊の着陸にも支障が生まれた。同空港の運用そのものは少なくとも米軍他外国部隊の担当部分では大方安全に実施されている。

 

興味深いのは陸軍第160特殊作戦航空連隊)(SOAR)のMH-60ブラックホーク、MH-47Gチヌーク、AH/MH-6リトルバードの各型へリコプターが現地展開していることで、トルコ軍部隊も空港の保安に従事中とするツィッター投稿が見られる。160thSOARが撤退作戦のため各機を持ち込んだのか、アフガニスタン各地から集結させたのかは不明。

 

ヘリコプター各機は撤収作戦を有効に支援できよう。MH-60およびMH-47Gは空中給油対応だが、カブールに展開する標準型AH-64アパッチ、CH-47、UH-60さらに国務省のCH-46シーナイト、UH-60ブラックホークにはこれがない。AH/MH-6リトルバードは空中給油は受けられないが、燃料タンクを追加できるし、大型機への搭載も容易だ。各ヘリコプターは撤収作戦の最終段階で活躍しそうだ。

 

The War ZoneではKC-135RT「レシーバータンカー」について超低空かつ夜間暗視飛行の特別訓練を受けた搭乗員が運用している様子をお伝えしてきたが、撤収作戦で同機も支援にあたっている。

 

KC-135Rは標準形だが、KC-135RTは特殊作戦部隊支援が任務で、同時に空中給油も可能だ。この性能を生かし、通常の給油機から燃料を受け取りさらに別の機材への給油にも使う。空軍のMC-130特殊作戦用輸送・給油機が対象となる。こうした給油機がヘリコプターやオスプレイに給油する。国外脱出の対象には他の米軍部隊所属機や国務省所属の機材もある。だがハミッド・カルザイ国際空港がいつまで数千名の米軍部隊を受け入れ可能のままであるか不明であり、各部隊人員に合わせ車両、兵装、その他物資を撤収させる計画の内容も不明だ。

 

撤収作戦の最終段階で航空援護は複雑な様相を呈するはずだ。空軍のAC-130ガンシップやB-52爆撃機はペルシア湾岸から発進しアフガニスタン空爆を続けて来たが、ここ数日は投入されているか不明だ。Pajhwok Afghan News記事一点のみカブールへの本日未明の空爆について報じているが、その後この関連報道はない。米中央軍の広報部門は本日現在カブール近辺での米空爆作戦は実行されていないとThe War Zoneに語っている。

 

カブール空港には各国軍部隊も展開中で、前述のトルコ治安部隊にはアゼルバイジャン部隊も加わっている。米政府はトルコと交渉し空港の保安体制を米軍撤退後も担当するよう求めたが、当初案の想定と異なりタリバンがアフガニスタンの支配権を握ってしまった。トルコ軍およびアゼルバイジャン軍がいつまで現地に留まるかは不明だ。

 

すべてはタリバン次第で、タリバンは空港での外国軍活動を黙認しているが、いつ態度を変化するかは不明だ。

 

ペンタゴンの昨日発表では目標とする一日5千名の国外搬送能力の実現にはまだ数日かかるとある。昨夜はC-17A9機がカブール空港に到着し、兵員1,000名を装備品とともに送り込んできた。その後700名ないし800名を国外に移送した。米軍がめざす輸送目標から見れば小規模な実績にすぎない。

 

米軍が国外脱出の対象とするアフガン国民の定義ははっきりしない。特別移民査証(SIV)を受ける資格は米政府へ役務を提供したもので、今やタリバンの報復対象で、明らかに国外脱出の対象だが、総数は不明だし米国に移送される規模、その他国への脱出規模も不明だ。ペンタゴンは米国内施設に最大22千名を受け入れ可能と発表したが、米政府関係者はさらに数千名規模を他国で受け入れられないか動いている。

 

空港に集まった一般アフガン国民の間に失望感が増えているのが手に取るようにわかる。このままでは再びフライトラインに集まり離陸体制の機体に群がりかねない。一部には何としても国外へ逃げようと過激な行動に出るものもあり、C-17Aにつかまる様子の恐ろしい映像が流出している。

 

中には離陸機から振り落とされ死亡したものもある。本日の報道では機の右車輪格納庫に閉じ込められ死亡したものが発生したとある。映像では機体内に見つかった遺体がわかる。

 

アフガニスタン中央銀行前総裁となってしまったアジマル・アーマディはツイッター投稿し、同胞により文字通り機内に押し入れられてカブールから日曜日に脱出した、民間機便はキャンセルとなったとある。

 

アーマディはさらにアフガニスタンに留まる関係先からタリバンがアーマディを探していると伝えてきたとも記している。多数の元軍人やその他政府関係者の安全を心配し、タリバンが各戸を回りアーマディのような人物を捜索中で恐怖を呼んでいるという。

 

タリバンが中央銀行を占拠するリスクについては以前から懸念があった。昨年時点で中央銀行に90億ドル相当の外貨準備があったといわれる。米政府は米国銀行内のアフガン政府資金を凍結しており、タリバンとの間で緊張が高まりそうだ。

 

アフガニスタン情勢を総合すると極めて流動的で進展が生まれており、空港での脱出作戦の進展が急に変更されてもおかしくない。これが空軍のRC-135Wリベットジョイントが上空に留まる理由だ。

 

Update 2:30 PM EST:

 

米政府はハミッド・カルザイ国際空港からの国外脱出を無傷で続けられるようタリバンと交渉中と認めた。その他未解決の課題として撤収作戦の期間延長があり、予定される8月31日以後の運用が可能となるかがある。

 

バイデン政権の国家安全保障担当補佐官ジェイク・サリバンもその他米政府関係者と懸念を共有しており、米政府が緊急事態対応をあらかじめ立案していたもののアフガニスタン政府の崩壊スピードが想定外だったと認めた。サリバンからはジョー・バイデン大統領は日曜日のカブール崩壊以後は海外指導者のだれとも意見交換をしておらず、その他国が慌てて自国民の国外脱出に追われる中で興味深い事実となっている。

 

サリバンからは米軍の国外脱出実施能力の現況についても発言があり、各機で約300名を収容できるという。今後数日でこの数字が増えることを期待したい。

Update 3:20 PM EST:

 

米海兵隊フランク・マッケンジー大将(中央軍司令官)がハミッド・カルザイ国際空港を本日視察し、作戦の実施状況を直接把握した。声明発表ではタリバンが撤収活動への妨害をすれば米軍は「圧倒的戦力で部隊を防御する」とした。また有視界飛行に限り民間機運用が可能とも述べた。

 

米政府関係者からはアフガニスタン国内にはまだ11千名が残留しており、各国外交団や第三国国民も同数残っているとの発言が出た。全員が国外脱出を必要とする。アフガニスタン市民4千から6千名もカブール空港内に留まり、航空機による脱出を期待し帰宅を拒んでいるという。

 

Update 3:55 PM EST:

 

米空軍はカブール空港を離陸したC-17Aから振り落とされ死亡したとされるアフガニスタン市民の事件について正式調査を開始したと Politicoに認めた。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。

市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmailまでご連絡ください。

 

 

RC-135W Rivet Joint Spy Plane Is Flying Orbits Over Kabul (Updated)

 

BY JOSEPH TREVITHICK AUGUST 17, 2021


 

環球時報=CCPの論説を読む。米台がレッドラインを超えればPLA軍用機が堂々と台湾上空を制圧する突破口になる。-----どうしたらこんな発想が出てくるのか。

  

今回は環球時報の論説をなるべく原文のままお伝えします。台湾を台湾島と表現するのも気になりますが、全体としてどうしたらこんな思想が生まれるのか、こんな世界への視点が生まれるのか、原則論だけで世界が自分たちの臨む方向へ動く(中華思想ですね)となるのか非常に興味深いところです。問題はこういう見方をする大量の国民が情報統制の中で生きていることで、世界市民としての視点がこのままでは生まれることは絶望的ですね。

 

Two J-10 fighter jets attached to an aviation brigade of the air force under the PLA Southern Theater Command soar into the air in formation during a combat flight training mission on November 17, 2020. (eng.chinamil.com.cn/Photo by Wu Gaoming)
PLA南方戦域司令部隷下の航空連隊所属のJ-10戦闘機編隊が演習のため離陸した。November 17, 2020. (eng.chinamil.com.cn/Photo by Wu Gaoming)

 

ご注意 この記事は環球時報の社説をそのままご紹介し、CCPの考え方をお伝えするものです。当ブログの見解をお伝えするものではありません。

 

 

ョー・バイデン大統領が「世界の民主国家を仮想民主主義サミットに招待し、一年後には対面でのサミット開催を目指す」と8月11日にホワイトハウスが発表した。

 

サミットは12月9日から10日にかけ開催される。メディア多数は中国対抗策としてバイデン政権が打つ次の手だとの解説がある。

 

サミットでは世界各国を民主主義国家、非民主主義国家別名「専制主義」集団に分ける。この線引きで世界を区分するという。ロシアなど多数の国には西側同様の複数政党制度があるが、西側メディアにより「専制主義」国家に区分されることが多い。同様の扱いを受けるのが米国の同盟国たるトルコだ。サウジアラビアは民主陣営から外されている。

 

台湾の民進党(DPP)政権はサミット参加に興奮を隠せない。バイデン発表を伝えた台湾現地紙Taiwan Newsは「下院外交委員会公聴会のあった3月10日にブリンケン国務長官はサミットに台湾を招待したいと発言している」と報道した。

 

同記事では公聴会でブリンケン長官は台湾には堅固な民主体制があり、同時に重要な技術ハブ国でもある、と述べ、世界に貢献する国でもある、と発言したとある。

 

ホワイトハウスは今回のサミットで「各国の国家元首、民主社会、博愛主義、民間部門をつなぎ、世界の指導者に役立つ機会にしたい」と述べている。この文脈では台湾参加者を仮想サミットに招待するのは米国のだれなのか。中国は自国の立ち位置を明確に示する。米国が台湾の地方指導者蔡英文を同会合に招待することに断固反対する。蔡を参加させスクリーン上に各国トップと同時にその姿が映れば一つの中国の原則に大きく違反する。

 

ご注意 この記事は環球時報の社説をそのままご紹介し、CCPの考え方をお伝えするものです。当ブログの見解をお伝えするものではありません。

 

米国はAPECで慣行となっている台湾招待の方式に従うべきだ。そうでなければこのサミットは台湾問題への干渉をさらにエスカレートさせることになる。米国と台湾島が基本線を破るのを中国本土は看過することも容認することもできない。その際は誰も見たことのない嵐が台湾海峡に吹き荒れるだろう。

 

米国政府と台湾島に警告する。いわゆる民主体制を「台湾独立」推進の隠れ蓑にしてはならない。もしワシントンが蔡に各国首脳とともに参加する機会を設ければ、それは台湾を「国家」として公認することになる。そうなれば台湾海峡の現状を外部から否定することになる。中国は確固たる手段を行使せざるをえなくなる。一つの中国原則固持のため決定的な対抗措置を取る。

 

1995年に台湾の地方指導者李登輝がコーネル大同窓会出席の名目で訪米した。ここから深刻な台湾海峡問題が生まれた。人民解放軍はミサイル数発を同島周囲にうちこんだ。もしバイデンが蔡をサミットへ招待すれば、さらに深刻な事態となる。中国は1995年当時を上回る規模の対抗策を打つ。その場合、「独立」に対抗し、長期にわたり効果を生む対策が必要となり、再統一を早める必要が生まれる。その場限りの対応に止める必要はない。

 

米国と台湾島が共謀し「サラミ切り」戦術を進めていることに留意すべきだ。これは台湾問題で大きな進展の実現を目指している。だが、本土には台湾分離主義者の動きを封じる意思も手段がともに急速に伸長している。中国はためらうことなく刀を下ろし、米国及び台湾島の高慢な態度に一撃を加える。その他西側諸国は台湾問題への小細工を減らすべきだ。

 

米国および台湾島がレッドラインを超えれば、台湾上空をPLA戦闘機が飛行する日が来ると中国は警告してきた。これは強い抑止効果を生んでいる。迷うことなく中国は台湾への主権行使を宣言し、米国・台湾島の言葉だけの主張や小細工を圧倒する。また台湾海峡を挟む状況の支配権のありかを明瞭に示すことになる。本土が動く前に、特別な機会が必要となる。蔡がサミットにバイデン招待のもと参加すれば、まさしくその機会がやってくる。

 

ご注意 この記事は環球時報の社説をそのままご紹介し、CCPの考え方をお伝えするものです。当ブログの見解をお伝えするものではありません。

 

バイデン政権は台湾問題を混乱させている。これにより中国本土は問題への対処で負担が高くなった。本土は次のような戦術の行使を求められている。そちらはそちらのルールでプレイしてほしい。こちらははこちらのルールでプレイする。米国との競合関係にとらわれてはいけない。

 

米国と台湾が小細工を止めないと、大きな危機が台湾海峡に発生するのは必至だ。危機が現実になる前に確固たる措置を進める必要がある。不断の努力で対決に向かう必要がある。また米国台湾島の傲慢な態度を徹底的に打破し、中国の勝利を永続させる必要がある。高度集中戦に対処すべく、中国は心理面軍事面双方で臨戦態勢を整える必要がある。

 

米国および台湾島が突破口となる事態を作ればPLA軍用機が台湾上空全域を飛び回る事態が生まれるとみている。台湾島上空の空域はPLAの通常作戦範囲内にある。戦闘機が上空を飛べば、その下の地面は中国の領土であることを示し、台湾内の軍事施設に照準を合わせる本土のミサイル多数さらにわが爆撃機部隊は確固たる答えとなり、歴史を創ることになる。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。

市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmailまでご連絡ください。

 

US, Taiwan crossing the red line will create historic opportunity for PLA fighter jets to fly over island: Global Times editorial

By Global Times

Published: Aug 12, 2021 06:07 PM