2024年9月2日月曜日

トランプ政権第2期を構想し、政権移行準備に入ったシンクタンク(プロジェクト2025ではない) (Politico)

 


最近までハリスは史上最低の副大統領と言われていた人で、民主党マシンによる非民主的な手続きで大統領候補になりあがっただけで、これから馬脚をあらわしていくでしょう。最新のCNNインタビューでは受け答えが悪く、まともに回答できていない、回答が矛盾しているとの批判がすでに出ているようで、こんな人を候補にしたことを後悔させているのでは。次は9月10日のディベートが山となり、ハリスが希望したメモ持ち込みが運営側から拒絶されたことで状況はかなり悪くなるでしょう。では、トランプはそんな二流候補を相手にしながらもじりじりと支持を減らしているようですが、鍵を握るのは接戦州の動向です。そんな中でトランプ当選を想定した政権移行の準備作業が始まっているというのが今回の記事の要約です。





アメリカ・ファースト政策研究所がトランプ政権第2期の青写真をすでに描きはじめている


ナルド・トランプのホワイトハウスを再び作る計画は、数年前から練られてきた。

 トランプ前政権の主要メンバーは、バイデン政権の規制を静かに精査し、元政府高官数百人にインタビューし、トランプが勝利した場合に次期政権を発足させる大統領令草案を作成している。その目的は、ジョー・バイデン大統領の遺産を迅速に覆すことができるプロフェッショナルな政権を立ち上げ、2016年の前回当選後にトランプ陣営を停滞させた混乱を回避することだ。

 これは、トランプ大統領から非難を浴び、左派から悪者扱いされているヘリテージ財団の「プロジェクト2025」構想ではない。トランジション計画は、別の保守系シンクタンクであるアメリカ・ファースト・ポリシー研究所によるものだ。

 その計画はトランプ陣営の公式な活動とは別に進められており、トランプ陣営自身の移行計画は、ホワイトハウス初出馬のスケジュールより数ヶ月遅れている。しかし、トランプと側近は外部の取り組みを認識しており、多くの共和党員は、それが注目を浴びず、トラン氏の怒りを買わない限り、公式なトランプ陣営の移行努力の重要な補完策になると見ている。

 トランプに忠誠を誓う者や内部関係者で占められた「アメリカ・ファースト政策研究所」(AFPI)は、2021年の設立以前からトランプから祝福を受けていた。同研究所のCEOブルック・ロリンズは、長年にわたりトランプと親しい関係で、トランプとシンクタンクの移行計画について話し合ったことがあると、この会合に詳しい関係者2名が述べている。今月、前大統領は、公式移行チームの共同リーダーに、同研究所の理事長リンダ・マクマホンを指名した。

 「3年半の間、AFPIは人事と政策に重点的に取り組んできました。AFPIは、初代トランプ政権のシニアスタッフによって結成され、初日から即戦力となることを目標としています」と、トランプの前顧問で、AFPIアメリカン・チャイルド・センターの議長ケリーアン・コンウェイは語る。「リンダ・マクマホン、ブルック・ロリンズ、そしてチームは、正確な計画を立て、謙虚な姿勢で実行してきました」

 ロビイストたちは注目し、クライアントにAFPIとの面会を指示したり、政策を提案したりしている。同シンクタンクは連邦政府の規制緩和と権限の制限に重点を置いている。AFPIに助言を求められたあるロビイストは「火事場の放水ホースから水を飲んでいるようなものだ」と述べ、このシンクタンクが「移行期の運転席に座っている」と強調した。(この記事のためにインタビューした他のほとんどの人々と同様に、このロビイストもトランプの周辺における微妙な力学について語るため匿名を条件に取材に応じた。)

 AFPIは501(c)3の非営利団体として、特定の立候補者を支援できない。当団体は、特定の選挙運動や候補者とは無関係であることを明確にしている。また、これまでトランプの周辺で犯しがちな大罪、すなわちトランプとの親密さや影響力を公に主張することは避けてきた。当団体は、世間の注目を避けるよう努めてきた。つまり、ヘリテージ財団の「プロジェクト2025」が巻き込まれたような大論争を避けるよう努めてきた。

 同シンクタンクは声明で「地方、州、国レベルの現職および次期リーダーが急進左派による被害を回復し、アメリカ国民の利益を最優先する政策を制定できるよう、ひそかに支援することに専念している」と、述べた。「AFPIは現職の代弁者ではなく、また選挙キャンペーンの代弁者でもない」。

 しかし、同シンクタンクのトランプおよびその支持者たちとのつながり、そしてアクセスは深い。また、共和党の一部は2025年の潜在的な準備における主要なプレーヤーと見なされている。

 「AFPIは移行準備はしません」と、トランプ陣営の移行準備に詳しい人物は、非公開の計画について議論するために匿名を条件に述べた。「しかし、彼らの立場と、この作業が非常に遅いスケジュールにあることを踏まえると、AFPIと移行準備は実質的に同じものかもしれません」

 このシンクタンクは、地方当局が選挙結果の認定を争う権限をめぐるジョージア州の訴訟への参加など、2020年の選挙否定論との関連性から左派からの批判を集めている。

 このグループは資金が潤沢だが、501(c)(3)の「ダークマネー」非営利団体であるため、寄付者の公表はしていない。最近の納税申告によると、2022年の収益は2360万ドルで、元トランプ政権高官多数に数十万ドルの報酬を支払っている。このグループ内のトランプ大統領に忠実な支持者たちは、時に「次期大統領」の「ホワイトハウス」とも呼ばれており、トランプ大統領の元国内政策委員会委員長のロリンズや、元国家経済会議委員長のラリー・クドローなどが含まれている。

 トランプは、自身のマール・ア・ラーゴ・クラブでAPFIの資金調達パーティーを主催し、自身の政治活動団体「セーブ・アメリカ」は同団体に献金し、ホワイトハウス退任後、ワシントンで行った最初の主要演説はAPFIのイベントであった。

 「彼らはトランプから許可を得ています」と、トランプの初回移行チームに所属したロビイストのブライアン・ランザ氏は言う。「リンダは元閣僚で、現在は移行期のメンバーです。そういうつながりがあることを示すものだと思います」と述べた。

 AFPIは、トランプ次期政権の「アメリカ第一移行プロジェクト」を定義する最終的な資料をまだ発表していない。しかし、同グループが広く一般に公開しているアジェンダは、連邦政府の規制緩和、宗教団体の権利拡大、犯罪への積極的な取り締まりなどに焦点を当てている。石油・天然ガスの増産、国境沿いの壁の完成、連邦支出の制限を支持している。また、反ファシスト運動(Antifa)を国内テロリスト集団に認定することや、トランプ減税を恒久化することにも賛成の意を示している。

 スタッフは、連邦政府運営の「管理、人事、政策、財務、行政」戦略について、「深く掘り下げる」ことを目標に広範な調査を実施した。

 AFPインターナショナルの事情通によると、同団体は元政権高官ら1000人以上とインタビューを行い、バイデン政権のすべての行政命令を分析し、100件以上の行政措置の提案を起草している。ランサによると、このグループは次期政権で優先的に人選すべき主要ポストの職名をまとめたという。

 トランプ政権の2期目を見据えた計画を練る中で、ロビイストたちはこの機会を捉えて、自分たちの議題に影響を与えようとしている。中には、クライアントにスタッフとの面会を働きかけている者もいるという。ある共和党系ロビイストは、クライアントにとって特に重要な問題であるバイデンの労働政策の撤廃に焦点を当てるよう、シンクタンクに働きかけていると語った。

 あるロビイストは、トランプ政権に影響を与える最善の方法はトランプ本人に近づくことだという誤った考えが一般的であると述べた。しかし、詳細な政策問題に関しては、実際にはそうではないと、そのロビイストは述べた。「経済問題、規制問題、政策問題に関しては、それほど単純なものではないでしょう?実際には、ほとんどの場合、ボトムアップで取り組む必要があります」。

 ある共和党ロビイストは、連邦政府の各部門の詳細な計画の検討を依頼された。別のロビイストは、AFPIが最初の100日間、最初の200日間の元の事務所に対する推奨行動を求めたと述べた。

 「彼らの目標は、... 早い段階で適切な政策を追求し、適切な人員配置を可能にする体制を整えることです」と、トランプ政権で働いていた共和党ロビイストは語った。「彼らは、すぐに実行可能なものを準備しており、それを選択肢として提示することができます」

 その取り組みは、次期トランプ政権のより円滑なスタートを確実にすることを目的としている。2016年のトランプの予想外の勝利により、当初はニュージャージー州のクリス・クリスティ前知事が主導していた移行プロジェクトは混乱した。トランプは選挙で勝利した数日後にクリスティを解雇した。

 「今週、私たちは移行チームのリーダーシップチームを発表し、そのチームを拡大しました」と、トランプ陣営の報道官ブライアン・ヒューズは声明で述べた。移行チームも選挙キャンペーンも、バイデン=ハリス政権の「失敗と混乱を元に戻すハードワーク」の準備をしていると彼は述べた。「移行チームの取り組みは選挙キャンペーンと同様に、トランプ大統領の政策を実施するものであり、11月の勝利の後、わが国を導く歴史的な次期政権のチームを構築する作業を主導するのはトランプ大統領です」。

 計画に詳しい関係者によると、現時点では、トランプはすでに特定の役職についてさまざまな名前を挙げているものの、閣僚候補の審査、あるいは候補者名についての最初のブレーンストーミングさえも本格的に開始されていないという。

 8月中旬、トランプは、政権移行チームのリーダーにマクマホンと、トランプの友人であり長年の支援者でもあるキャントール・フィッツジェラルドのCEO、ハワード・ルトニックを任命すると発表した。トランプの成人した息子であるエリック・トランプとドナルド・トランプ・ジュニア、そして副大統領候補であるJD・バンス上院議員が、移行チームの名誉共同議長に任命された。

 トランプは今週、ロバート・F・ケネディ・ジュニアとトゥルシー・ギャバードを名誉共同議長に追加しましたが、彼らが人事や政策にどれほどの影響力を持つかは不明だ。■


Meet the think tank planning a second Trump administration. (It’s not Project 2025.)

America First Policy Institute has been quietly drafting blueprints for a second Trump administration.


https://www.politico.com/news/2024/08/29/trump-transition-plan-afpi-00176674


中国のスパイ活動は武力を伴わない戦争だとNATOが反発―しかし、一部加盟国の対応はまだ手ぬるくスパイ防止法が未制定の国も。(日本も同様ですが)(National Interest)

 



中国による影響力工作の広さと深さに直面している欧州はどうすべきか? 


1964年、京劇の歌手でスパイのシー・ペイ・プーは、フランスの外交官ベルナール・ブルシコと密会を始めた。二人の逢瀬はいつも暗闇の中で行われ、ブルシコはそれを中国人の慎み深さのせいと考えていた。実はシーは女装した男性だった。彼は子供まで差し出し、自分たちの子供だと主張した。この策略は、ブルシコがその後20年間にわたり中国共産党にフランス大使館の書類を渡し続けるよう仕向けるためだった。

 西側高官が中華人民共和国(PRC)を甘く見るべきではなかった事例は、これが初めてだったのかは記録にないが、伝統は続いている。 

 ほぼあらゆる国家がスパイ活動を行っており、影響力行使を求めているが、統一戦線工作部が主導するPRCによる活動の範囲と激しさは、米国でもヨーロッパでも圧倒的といってよい。筆者が住むベルギーは、NATO本部とEUの大部分の機関を擁しており、PRCの格好の標的となっている。

 最近の事件では、極右政党AfDのドイツ人欧州議会議員マクシミリアン・クラの中国人側近が関係していた。この側近は、欧州議会の審議内容を長年にわたり中国に流していた容疑で逮捕された。彼はドレスデンの在外中国系コミュニティも監視していたとみられている。 

 欧州における中国の影響力工作の目的のひとつに、権威主義的な共闘がある。中国共産党を肯定的に評価し、その内政・外交政策について好意的な発言をするよう、欧州の公人を説得することだ。そして、中国共産党の立場を宣伝する代理人として、こうした志を同じくする代理人を招き、発言させる。捕らえられたエリートは、政治団体、企業、意思決定機関に公然とロビー活動を行い、国内外に向けて中国共産党のエコーチェンバーを作り出すことができる。 

 ベルギーの民族主義政治家フランク・クライエルマンがその例だ。2022年12月、彼は中国の工作員であることが暴露された。報道によれば、彼はポーランドとルーマニアでも活動していた。クライエルマンのハンドラーは中国国家安全部(MSS)の浙江支部の所属だった。彼のスパイマスターがメールで伝えてきた中国共産党の主要目標は、"米欧関係の分断 "だった。 

 中国共産党の重要な目標のひとつに、中国内外の中国人をコントロールすることがある。これには、「フォックスハント作戦」の下、海外に逃亡した汚職の疑いのある中国人高官の追及も含まれる。海外にいる中国人をコントロールするため、中国共産党は世界53カ国に秘密の「警察署」のグローバルネットワークを構築した。これらの秘密警察署は、特にウイグル人、チベット人、香港人などの少数民族の行動を監視し、敵対的な活動を防ぐためにも使われている。 

 米国が先端技術の輸出規制を強化する中、北京はそうした能力に関する知識や情報を収集するため、欧州で取り組みを強化している。中国が先端技術を入手しようとする方法は複数ある。合法的には投資や研究資金を通じて、非合法的な手段としては企業内部の人間、サイバースパイ、輸出規制の回避、買収、技術のリバースエンジニアリングなどを組合わせて行う。 

 最近の欧州におけるスパイ事件も、中国とロシアの影響力活動の重複を示している。展開中のクライエルマン事件とクラ事件は、この点でいくつかの証拠を示している。議員秘書は優れた情報源であり、元議員は中国とロシア双方の諜報・影響活動の格好の標的となっているようだ。  最後に、欧州内の中国組織犯罪集団は、中国の在外公館に赴任している無届け警察官と協力し、海外からの移民や反体制派を監視・脅迫している証拠がある。こうしたグループは受け入れ国に根を下ろしており、警察に情報や支援を提供する。その代償として、中国当局は海外で活動する暴力団を起訴せず、彼らが中国に亡命しようとしても決して身柄を引き渡さない。このような中国の影響力行使の広さと深さに直面して、欧州は何をすべきなのだろうか? 

 欧州はベルナール・ブルシコの歩んだ道を進むべきでない。米国も同様だ。その代わりに、例えを拡大するなら、私たちはスイッチを入れ、中国の京劇歌手の顔に生えた無精ひげを見て、中国に対する私たちの甘さを終わらせなければならない。

 この無煙戦争には、長期的な視野に立った大西洋横断戦略が必要なだけでなく、NATOのパートナーであるインド太平洋4カ国(オーストラリア、日本、韓国、ニュージーランド)を巻き込み、こうした国の成功事例から学ぶ必要がある。

 1)中国の影響力工作を調査し、その仕組みを理解するとともに、効果的な対抗策や阻止策を講じることができるよう、認識を高める

 2)  反スパイ法を未導入の欧州諸国は、導入を検討する

 3)  北京が後援するメディアが華僑に与える影響に対抗するため、独立した中国語メディアを支援する 

 4)  冷戦時代のソ連の諜報活動への対抗での経験を生かし、防諜能力を強化する

 5)  外国による情報操作や干渉に対抗するための活動を強化する。

 6) 「太陽光の消毒剤」を推進し、外国による影響に対する透明性登録制度を提唱する

 7)  中国共産党の機能について政策立案者の知識を高め、次世代の専門家を育成するための中国語と中国文化教育に投資する 

 政策立案者と情報機関は、革新し、教育し、変化する脅威の状況に適応しなければならない。重要な課題は、大西洋の両側での戦略的対応が、自由、開放性、合法性という理想を尊重することである。

 北京による無煙戦争への慎重な対応は、「ブルシコ」にならないための不断の警戒と相まって、民主的制度を守り、中国共産党の脅威の増大に対する抵抗力を構築するのに役立つだろう。 ■


テレサ・ファロンは、ブリュッセルを拠点に20年以上の経験を持つ、世界のエネルギーと地政学に関するアナリスト、ライター、コメンテーター。アジア太平洋安全保障協力会議(CSCAP-EU)のメンバーであり、2016年にはロシア・欧州・アジア研究センター(CREAS)を設立した。現在の研究テーマは、EU・アジア関係、中露関係、海洋安全保障、グローバル・ガバナンス、中国の一帯一路構想である。トピックに関する長文は、Concordiam誌に掲載予定。 


Smokeless War: Europe is Getting “Boursicoted” by Beijing

Faced with this breadth and depth of Chinese influence operations, what should Europe do?

by Theresa Fallon

August 31, 2024  Topic: Security  Region: Europe  Tags: ChinaEspionageGreat Power CompetitionEuropean UnionSurveillanceNATO

https://nationalinterest.org/feature/smokeless-war-europe-getting-%E2%80%9Cboursicoted%E2%80%9D-beijing-212553


2024年9月1日日曜日

中国の新スタンドオフ電子戦機Y-9LGの最新画像が流出。日本領空に侵入したY-9Z電子偵察機など派生型に付いて解説(The War Zone)


Alternatively known as the Y-9LG, the Y-8GX-12 is another ECM version based on the Y-8 Category III Platform. It was first identified in satellite imagery in late 2017. Surprisingly, considering its assumed role, the Y-8GX-12 has a ‘balance beam’ radar antenna above its fuselage, as found on the KJ-200 airborne early warning and control (AEW&C) aircraft. It is believed, however, that the radar aboard the Y-8GX-12 is instead used for long-range jamming, using its powerful electronically scanned radar beams to suppress enemy radar signals.  

via X


  • スタンドオフ電子戦機Y-9LGは、中国が電子戦プラットフォームに巨額を投じている一環として開発された、最新鋭の空中遠隔妨害手段だ

  • その他Y-9派生型をまとめてご紹介する

  • 日本領空に侵入した機体はどれか

  • C-130と同様に各種任務に特化した機体に回収するのに都合のよい機体なのだろうが、有事の生存性は疑問


れまで詳細に目にする機会がほとんどなかった、長距離妨害プラットフォームとされる中国のY-9LG電子戦機が、タイとの共同軍事演習に参加し、この革新的な設計を観察する機会が大幅に増えた。

 Y-9LGは、拡大中の中国の特殊任務機隊に最近加わった機体であるだけでなく、多用途の山西Shaanxi Y-8/Y-9 4発ターボプロップ輸送機シリーズをベースにした最新機種でもある。

 Y-9LGの新しい写真が、現在ウドーン・タイ空軍基地で行われている、中国人民解放軍(PLA)とタイ王国軍による合同空軍演習「ファルコン・ストライク」で公開されている。Y-9LGに加え、タイに展開した中国軍部隊には、KJ-500早期警戒管制機(AEW&C)、J-10C多用途戦闘機、JH-7A海上攻撃機、戦術ヘリコプターが含まれている。KJ-500、J-10、JH-7は以前のファルコン・ストライク演習に参加していたが、Y-9LGの登場は今回が初めてだ。

 Y-8GX-12という別名で「ハイ・ニュー」の指定シリーズに属するY-9LGは、2017年の終わり頃に衛星画像で確認されていたが、それ以降はまれにしか目撃されていない。しかし2023年初頭、同機がやっと中国人民解放軍空軍(PLAAF)で就役したとの報告があった。

 Y-9LGの運用部隊は、南部戦区司令部傘下の貴陽-雷荘基地に拠点を置く第58航空連隊の第20特殊部隊だと報告されている。同部隊は、戦略的に重要な南シナ海の防衛を担当しているが、台湾に対する主要作戦にも関与する可能性が高いと思われる。

 Y-9LGで最も顕著な特徴は、KJ-200 AEW&Cタイプと同様の「バランスビーム」レーダーアンテナが機体上部に搭載されていることだ。しかし、KJ-200にはフェーズド・アレイ方式の早期警戒レーダーが搭載されているのに対し、Y-9LGの「バランスビーム」には攻撃能力を持つアレイが搭載されていると見られる。この場合、電子走査レーダービームを放射して敵のレーダー信号を妨害し、長距離にわたって複数の標的に対して複雑なピンポイントの電子攻撃を実行できる。


KJ-200早期警戒管制機。X経由 A KJ-200A、中国空軍第26師団運用機。B747SPNKG/中国インターネット経由


 Y-9LGの機体周りには、大型ノーズコーンなど、他の電子戦装備も見られる。後部胴体の側面のフェアリングは、おそらく側方探知電子情報収集または電子支援措置(ELINT/ESM)アンテナとして使用されている。前方および後部胴体の下部と尾翼の上部にも、追加のESMアンテナが設置されている。ESM機能により、無線周波数の送信のパッシブ監視が可能となり、Y-9LGは情報、監視、偵察(ISR)システムとしても利用でき、航空機や船舶のレーダー、地上施設からデータを収集し、広範囲にわたって位置を特定することができる。最後に、前方胴体上部にSATCOMアンテナが配置されている。

 以上の分析が正しければ、同機の役割の詳細についてはまだ不明な点があるものの、Y-9LGの戦時任務は、敵指揮統制通信、レーダー、航法システムなどを混乱させ、敵の活動を妨害し、とりわけ戦域調整能力を妨害することを目的としていると考えられる。

 米空軍の新型EC-37Bコンパスコール機(就役したばかり)やその前身機EC-130Hと同様に、Y-9LGは遠距離から作戦を展開し、強力なレーダーを敵の通信システムに照準を合わせて使用するだけでなく、その他の電子攻撃や妨害にも使用される。さらに、ELINT/ESMセンサーを搭載することで、探知、追跡、位置特定が可能な、多数の脅威エミッターに関する情報を収集できるようになるだろう。こうしたセンサーは、自軍の主アンテナから指向性の高いレーダービームを使用して攻撃される可能性があるほか、PLAが関心を強めている運動攻撃を含め、他の資産に引き継いで対処することも可能だ。また、Y-9LGでサイバー攻撃を誘発できる可能性もある。

 遠隔距離での任務遂行を目的としているが、互角戦力の敵対者との激しい紛争において、この種のプラットフォームの生存能力について疑問の声が高まっている。結局のところ、Y-9LGに搭載されたセンサーは、機能を果たすためにはエミッターが必要で、これは標的になる。また、高性能の長距離防空システムが増加し続けているため、EC-37Bの生存能力も議論の的となっている。とはいえ、少なくともアジア太平洋地域での紛争では、中国軍には自国の「裏庭」で活動できる利点がある。

 Y-9LGはY-8/Y-9をベースにした最新の長距離妨害プラットフォームであるが、これが最初というわけではない。

 中国空軍の保有機には、2005年頃に初めて確認された、以前のY-8カテゴリーIIプラットフォームをベースとするY-8GX-3がすでに含まれている。西側諸国は「マウス」というコードネームを付け、Y-8Gとも呼ばれるこの機体は、長距離電子妨害機で、前方胴体の側面に「ハムスターのほお」のようなフェアリングが目立つ。このフェアリングには、スタンドオフ妨害能力を提供するアンテナが収容されている可能性が高い。


PLAAF(中国空軍)が使用するY-8GX-3またはY-8Gのスタンドオフ妨害

機。X経由


 マウスの後継機と思われるのがY-8GX-11(別名Y-9G)で、2014年に初めて確認され、Y-9輸送機から派生したより近代的なY-8カテゴリーIIIプラットフォームをベースとしている。伝えられるところによると、Y-8GX-11は、敵のレーダー送信および通信を抑制するアクティブフェーズドアレイレーダー技術を使用し、胴体両側の3つの大きな楕円形および長方形のフェアリングにアンテナが格納されている。その他のアンテナは尾翼と独特な顎状のレーダードームに搭載され、胴体下には各種ブレードアンテナ、翼端下には半球形アンテナが配置されている。


PLAAF(中国空軍)が使用するY-8GX-11またはY-89スタンドオフ妨害機


Y-8GX-11は、戦略的に重要な台湾海峡付近で、かなり定期的に活動しているのが確認されていますが、これらの航空機は日本近海にも進出し、南シナ海のスプラトリー諸島にも展開している。


 最後に、PLAの特殊任務用航空機の中でも最も近代的なもののひとつであるY-8GX-13(Y-9Zとも呼ばれる)も、遠隔妨害機能を備えていると考えられている。しかし、同機は、電子情報収集、地上監視、場合によっては心理戦といった他の任務も想定した、多目的電子戦プラットフォームに近いものと考えられている。Y-8GX-13は2023年から台湾近海で目撃されているが、日本近海の西太平洋でも活動しています。今週初めには、前例のない事件として、日本領空に侵入した例が報告された。


Japan reports that a Chinese Y-9Z surveillance aircraft violated its airspace in what it says is the first time such an incident has taken place.

今週初め、日本は中国軍のY-9Z偵察機が領空侵犯したと発表した。このような事件は初めてとしている。日本の防衛省


 これらのスタンドオフ妨害プラットフォームは、やや時代遅れに見えるかもしれないが、その能力を過小評価すべきではない。また、これらは潜在的な敵による電磁スペクトル使用を妨害することに重点を置く中国軍の方針を明確に示している。また、中国軍が、地上および空母搭載の戦闘機用の妨害能力を急速に開発していることも明らかだ。

 全体として、中国軍は米軍が展開している分野と並行し、高性能で多層的な空中電子戦能力を開発している。特に、敵の防空網を実際に突破して作戦行動を行う戦術航空機を補完する、離れた距離からの支援に重点が置かれている。


米軍が現在利用可能な空中電子戦能力の各層に関する非常に大まかな概要。中国は、EC-130Hとほぼ同様の役割を担うY-9LG(および同様のプラットフォーム)を配備し、同様の能力セットの配備に取り組んでいるようだ。GAO


 同時に、この種の空中からの妨害支援は、中国軍が編成中の多領域電子戦能力の一側面に過ぎない。その他のシステムは、アジア太平洋地域における潜在的な戦闘環境の性質を反映して、陸上および海上の資産用に開発されている。

 また、以前にも述べたように、Y-8/Y-9プラットフォームは、より分散した、あるいは簡素な基地からの作戦行動に特に適している。すでに、特殊任務機として、中国の島嶼前哨基地に日常的に現れており、台湾海峡でも定期的に運用されている。


Y-9LGの飛行中の画像が初めて公開された。 X経由


 台湾に関して言えば、海峡を挟み中国が軍事介入を行う際には、空中(および地上や海上)からの電子戦支援が重要な任務となる。特に、台湾の防空能力を考慮すると、その傾向は顕著だ。

 インド太平洋地域における他の潜在的な敵対国、例えばインドや米国との大規模な紛争においても、電磁スペクトルを支配するため激しい努力が見られるはずだ。

 これは米軍も十分に認識しており、例えば、2021年に米空軍長官フランク・ケンドールは、電子戦能力が中国軍の重点分野の一つと明確に警告していた。中国が「兵器の在庫レベルと性能を高め、兵器をサポートするキルチェーン全体で冗長システムを近代化している」とケンドール長官は指摘した。この空中待機型ISRへの中国の莫大な投資にはAEW&Cも含まれ、その結果、多様かつ拡大する部隊が生まれている。

 Y-9LGの正確な能力は依然として謎に包まれているが、謎めいた電子戦任務にふさわしく、二国間演習への登場は、さまざまな潜在的なシナリオにおける重要性を示すだけでなく、近代化を推進する中国軍が新しい強力な電子戦能力を重視していることを反映している。■


Our Best Look Yet At China’s New Standoff Electronic Warfare Plane

The Y-9LG is the latest in a line of Chinese airborne standoff jammers, part of a huge investment in electronic warfare platforms.

Thomas Newdick

Posted on Aug 30, 2024 4:48 PM EDT


https://www.twz.com/air/our-best-look-yet-at-chinas-new-standoff-electronic-warfare-plane


タイ王国空軍がF-16を退けグリペン購入に傾く―海外採用が芳しくなかったサーブには大きな後押し(Breaking Defense /The War Zone)

 Gripen

Saab


サーブは「前向き」な一歩としつつも、最終決定権は同国政府にあると慎重な姿勢だ


イは次世代戦闘機グリペンの選定に一歩近づいた。 

 タイ軍は次期戦闘機の選択肢にサーブ・グリペンE/Fを公的に支持した。

 タイ空軍(RTAF)がFacebookページに投稿した声明によると、グリペンはタイ空軍の機体近代化に「最も適した」選択肢であると認識されている。

 RTAFは、初期型のグリペンC/Dを運用しているが、グリペンE/Fは、まったく新しい航空機といってよいほどの大幅な能力向上をもたらす。 

 サーブは、「RTAFがサーブのグリペン戦闘機の購入を希望していることを確認している」と広報担当者が本誌に語った。「これは明らかにサーブにとってもスウェーデンにとっても非常にポジティブなことだが、現時点では契約も発注も行われていない。サーブは、タイの将来の戦闘機能力に関して、タイ空軍および当局と話し合いを続けることを楽しみにしている」。 

 以前の報道では、RTAFはグリペンに傾いているとされていたが、今日まで公式には何も発表されていなかった。

 『バンコク・ポスト』記事によると、決定の大きな要因は、両チームがどのような産業オフセット(請負業者が購入国に提供する副次的な利益で、しばしば取引の甘みとして機能する)を提供するかだったが、これらのパッケージの詳細は現在公表されていない。

 ロイター通信によると、タイ政府は2025年から2029年の間に4機を購入するために5億6,000万ドルの予算を組んでおり、2034年までにさらに8機を購入するのが目標としている。 

 最終的な購入決定には、タイ内閣の承認が必要となる。


A single-seat Gripen E. Saab www.twz.com


 タイはグリペンとF-16双方の旧型を運用しているため、最終的な選択がどうなるかにかかわらず、同国のパイロットが次世代戦闘機に移行する際の学習曲線は少なくて済むはずだ。 

 当初、新しいグリペンは、コラートを拠点とする102飛行隊が運用するRTAFの最古のF-16(1987年発注の残存機)に取って代わると予想されていた。 

 しかしその後、RTAFはF-5E/Fの代替を必要としており、2031会計年度からさらに12~14機を取得する予定だ。

 タイは最後のタイガー運用国のひとつである一方、イスラエルのエルビット・システムズとラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズによって新しいソフトウェアとハードウェアで改造された装備の充実ぶりも際立っている。スーパー・タイガーとして知られるこれらの航空機は、新しいレーダー、電子戦スイート、グラスコックピットを装備し、パイロットにはエルビット・システムズのヘルメット装着型ディスプレイが提供される。 

 アジア太平洋地域の各国とは対照的に、タイは近年、中国とかなり友好的な関係を保っており、北京との間に領土問題はない。

 しかし、タイは中国との関係を維持する一方で、最近では米国との安全保障上の関係を深めようとしている。タイは中国を直接の脅威とは考えていないため、タイ軍は現在も米国との定期的な軍事演習に参加しており、なかでもコブラ・ゴールドはこの地域で最大かつ最も長期にわたって実施されている多国籍軍事演習のひとつである。

 同時に、2006年と2014年のクーデター以降、米タイ関係に摩擦が生じている。中国はその溝を多少なりとも埋めようと動き、合同航空演習や武器移転の増加など、タイとの軍事協力の深化を開始した。米国が供給するF-16やF-5が中国軍との演習に参加することを禁じられていることは注目に値するが、この制限はグリペンには適用されない。 

 タイはブラジルに次いでグリペンE/Fの2番目の輸出先となる。サーブは2014年にブラジルと36機のグリペンE/Fの契約を結んでおり、さらに72機の追加を長期的に要求している。スウェーデン空軍もまた、60機のグリペンEを獲得している。


A formation of RTAF Gripen C/Ds. Saab Katsuhiko TOKUNAGA/DACT,INC.


 しかし、それ以外では、グリペンE/Fは、参戦した複数の国際戦闘機コンペティションで失敗しか見ておらず、特に、まったく異なるレベルの能力を提供する米国製F-35ステルス戦闘機やF-16を支持して却下された。 

 後続の受注の見込みもほぼ確実なことから、サーブがタイでグリペンE/Fのさらなる受注を獲得する可能性は高そうだ。バンコクからの今回の後押しは、これまで限定的な成功しかなかったグリペンE/Fで将来の競争における可能性を向上させるだろう。■

  


Thailand’s air force supports buying Gripen fighters over F-16

Saab called it a "positive" step but cautioned that the government will have the final procurement say.

By   Aaron Mehta

on August 27, 2024 at 4:44 PM

https://breakingdefense.com/2024/08/thailands-air-force-supports-buying-gripen-fighters-over-f-16/



Thailand Chooses Gripen E/F As Its New Fighter

After repeated losses in international fighter competitions, the Swedish Gripen E/F just got a major boost.

Thomas Newdick

Posted on Aug 27, 2024 4:03 PM EDT

https://www.twz.com/air/thailand-chooses-gripen-e-f-as-its-new-fighter



空の仕事人C-130が初飛行から70周年を祝う (Air and Space Forces Magazine)

 



c-130

An Air Force Reserve aircrew flying a C-130 Hercules assigned to the 910th Airlift Wing, Youngstown Air Reserve Station, Ohio, performs aerial spraying June 25, 2014, over Joint Base Charleston, S.C. (U.S. Air Force photo/Senior Airman Dennis Sloan)



70年前の8月23日、ロッキードのテストパイロット、スタン・ベルツとロイ・ウィマー、そしてフライトエンジニアのジャック・リアルとディック・スタントンが、新型機YC-130プロトタイプをカリフォーニア州バーバンクから約50マイル東のエドワーズ空軍基地まで初飛行させた。この時から70年間、C-130ハーキュリーズは、中東の砂漠、東南アジアのジャングル、南極大陸やグリーンランドの雪原など、あらゆる場所の未舗装で短い滑走路に兵員、装備品、救命物資を輸送してきた。 

 歴史上最も長く生産され続け、世界70カ国で2500機以上が運用されている同機の短距離離着陸性能は、多くの強みのひとつにすぎない。 

 「ロッキードに多用途で耐久性に優れ、高性能な航空機を提供するというビジョンがあったことが、世界各地の空軍、特に米空軍で最大の空輸主力機につながった」と、米空軍士官学校の歴史学助教授であり、元空軍将校のダグラス・ケネディ博士は語る。


1954年8月23日、カリフォーニア州バーバンクからエドワーズ空軍基地へのフェリーフライト中のYC-130のアーカイブ写真。


 初飛行は1954年に行われたが、C-130の物語は1951年に始まった。朝鮮戦争で部隊が戦う中、短い滑走路に着陸するのに苦労していた小型輸送機と大型輸送機の間を埋める中型貨物機を空軍が要請したのだ。 

 丈夫で耐久性ある機体、低速で機体を安定させる大型尾翼、エンジンが埃や汚れにまみれないように高い位置に取り付けられたプロペラ、道路上でも道路外でも操作できる頑丈なタイヤに挟まれた狭い足回り、さまざまな貨物を積めるように地面から低い位置に設置された完全加圧の貨物室、「最も近い地上電源カートが150マイル離れている場合でも機体を始動させることができる」内蔵の補助電源ユニットなどだ、とHistoryNetは2017年に書いている。 

 ハーキュリーズはベトナム戦争で真価を発揮し、1967年のジャンクション・シティ作戦では数百人の空挺部隊を輸送し、1968年にはケサンで包囲された海兵隊への物資輸送で着陸させたり空輸したりした。 救助ヘリコプターへの空中給油タンカー、特殊作戦部隊のためのどこでも着陸可能なタクシー、近接航空支援のための側射ガンシップなど、新たな役割を手に入れた。 


HC-130Pタンカーから給油を受けるHH-3「ジョリー・グリーン・ジャイアント」。飛行中にヘリコプターに燃料を補給できるようになったことで、ヘリコプターの航続距離が伸び、東南アジアでの捜索救助活動が大幅に強化された。


 1975年4月29日、南ベトナム空軍のパイロットが操縦する1機のC-130で452人の難民をタイに運んだ。

 「機体は少なくとも10,000ポンド過積載で、後部タラップドアを閉めるためにタキシング中にブレーキを踏むなど、離陸に滑走路の全部を必要とした」と、アメリカ空軍はこのフライトについて書いている。 

 何でも、どこでも C-130の柔軟性は、その特徴のひとつである。1960年から1986年まで、空軍のC-130クルーは、太平洋上空でパラシュートからぶら下がるスパイ衛星フィルムを詰めたカプセルを捕獲した。砂漠の盾」と「砂漠の嵐」両作戦では、EC-130コマンド・ソロがイラク軍に降伏を説得するラジオ番組を放送し、コンパス・コール型は敵の通信とレーダーを妨害した。1963年、C-130は空母から離着陸した最大かつ最重量の飛行機となった。 

 2021年には、C-130が無人航空機を空中から発進するドローンキャリアとして活躍した。その1年後には、MC-130JコマンドーIIがパレットから投下された巡航ミサイルを初めて実射した。 

 しかし、C-130の平時のポートフォリオはさらに幅広い。コロラド州で立ち往生した牛に干し草を投下したこともある。一方、オハイオ州を拠点とする第910空輸航空団は、大規模なハリケーンが残した洪水で孵化した蚊やハエを退治する空中散布ユニットを装備している。 

 1965年以来、C-130は第53気象偵察飛行隊の「ハリケーン・ハンター」にも選ばれており、嵐に飛び込んで、科学者や緊急当局者のためにデータを収集している。 

 そうした技術的な役割以外でも、ダルフール紛争時のスーダン南部など、地球上のほぼあらゆる場所で食料や医療物資を降ろすだけで、ハーキュリーズは何千もの命を救ってきた。「機体に燃料を補給しながら飛行します。所要時間は15分から20分です。もしC-130がなかったら、多くの人々が亡くなっていたでしょう」。

  常に改善 C-130が新しい役割を担い続けることができるのは、機体自体が常に変化し続けているからだ。アナログ的で滑らかな鼻のYC-130は、プロペラに3枚の羽根をつけ、エンジンはドライヤーのようなものだった。「しかし、2つのことは変わらない:C-130の貨物倉に乗ることは、今でも操縦席の下のクラスであること、そして、最初のA型から最新のJ型まで、飛ぶことが楽しいということだ」。

「モロッコの砂漠、イギリス南部の旧第二次世界大戦時の空き地、コロンビア南部の石灰岩の短い滑走路に着陸したり、人類が知る限り最も殺傷力の高い兵力を投下したりと、アメリカ大陸、ヨーロッパ、アフリカ、中東のあちこちでこの美しい獣を操ることを、私はいつも誇りに思っていた。「ケネディの同僚のハーク・ドライバーであるマイク・ミニハン元空軍機動司令部長は、ハークを "史上最高の飛行機"と呼んだ。それでもミニハンは『Air & Space Forces Magazine』誌に、この飛行機を操縦し、修理し、サポートする人々がいなければ何の意味もないと語った。その家族の一員になるまでは、威厳もなければ外見的な魅力もありません」と、彼は涙をこらえながら説明した。「そして、世界で最も雄大で魅力的なものになる。あの飛行機は、アメリカやアメリカ人から最高のものを引き出す力を持っている」将軍は、C-130を操縦する日々が終わったことに心を痛めつつも、「70年間も製造され続け、当分の間は生産が続く」飛行機に有頂天になっていると語った。

 「その機体を祝うだけでなく、より重要なのは、操縦し、修理し、サポートする人々を祝えることを嬉しく思う」 。■


Workhorse of the Air: C-130 Celebrates 70 Years Since First Flight

Aug. 23, 2024 | By David Roza

https://www.airandspaceforces.com/c-130-hercules-70-years-first-flight/