2017年2月16日木曜日

★T-X競合の最新状況:ボーイングは受注失敗で勝つことになるのか



要はメーカーとしての旨味のない契約になるのなら最初から参入しないということでしょう。まだ残る各社も受注してもあとが大変と見ているかもしれません。これでは要求どおりの機体が実現しないではないでしょうか。どこか間違っていますね。まず、米空軍の要求内容が米国でしか通用しない、世界市場を意識していないこと。これは純粋のアメリカ製自動車にも通じますね。次に練習機、軽戦闘機、軽攻撃機、ISR機のわくぐみにとらわれない低価格、低運行費用をめざしグローバルに需要を喚起できる機体を想定していないのが問題ではないでしょうか。それをボーイングだけに期待できるかと言われば株主の手前、無理でしょう。したがってT-Xはだれも幸せにならない事業になりそうです。

Aviation Week & Space Technology

Opinion: T-X Is Lockheed’s To Lose, And Boeing’s To Win

Feb 14, 2017 Richard Aboulafia | Aviation Week & Space Technology


  1. 米空軍のT-X練習機受注を巡る競争でノースロップ・グラマンが完全新型試作機まで作りながら参入しないと先月に社内決定した。レイセオンレオナルドのM-346原型のT-100で競合する予定だったが共同事業から降りてしまい、レオナルドは単独で非米国企業として参入するとみられる。
  2. 1月1日には4社が競う形だったのに今や二社が残るのみだ。ロッキード・マーティン韓国航空宇宙工業(KAI)のT-50Aを、ボーイングSAABと共同で完全新型設計で臨む。シエラ・ネヴァダが加わるかもしれない。ボーイングとロッキード・マーティンで事情が異なる。
  3. 脱落組には理由がある。T-Xの提案要求(RFP)最終版は昨年12月に発表されたが、基本的に価格競争になり、KC-X給油機競合の際と大差ない構造だ。RFPでは性能が優れていれば価格調整が可能となっているが、最大でも400百万ドルしかなく、総額160億ドル以上といわれる契約規模に比してきわめて少額だ。整備費で改善効果があるといっても評価されにくい。ライフサイクルコストの最大値が明記されているが、それを下回っても評価されない。
  4. T-Xでは開発費が超過してもある程度までは契約企業の自己負担となる。KC-Xがこの方式を採用して結果はボーイングはKC-46で15億ドルの損失を計上している。
  5. この条件で受注を狙う企業は既存機種を使うか、戦略的な選択を迫られる。ロッキード・マーティンは前者で、ボーイングは後者だ。ノースロップ・グラマンは新型機を持ち出し、一方でB-21の重要な契約を抱えながrそのどちらでもなかった。レイセオンはホーカー・ビーチクラフトを10年以上前に吸収合併したものの新型機は製造しておらず、レオナルドの既存機M-346で参入を目論んだが、入札は無理と判断した。
  6. T-50とボーイングT-Xは優秀な機体になるが、性能上での差がつけにくい。RFP内容からは特にそうなる。両機種はGEのF404エンジンで共通し、ともに他の候補機に比べ性能上の差別化はむずかしい。ロッキード・KAI連合の優位性は開発費をまるまる入札価格に入れなくて良い点だ。T-50は既存機種でリスク関連での価格調整の恐れが少ない。
  7. ボーイングの場合は完全新型機の開発費用をどこまで償却できるかで決まり、需要がどこまで期待できるかが肝心な点となる。経常外費用はSaabと分担するはずだが、Saabもある程度の裁量はほしいだろう。
  8. 開発費用を15億ドルとすると、また調達規模が350機だとすると、一機あたり4.3百万ドルの追加費用に相当する。T-Xの機体単価自体は20百万ドル未満と見られ、この追加分は相当の規模となる。RFPで想定するリスク調整の糊代が小さいことが気になる。だがボーイングが総需要を1,000機と想定すれば超過分は1.5百万ドルの範囲に収まり、管理可能だ。
  9. 問題は1,000機需要が想定にすぎないことだ。ボーイングは機体をT-X事業に最適化しており、超音速高等練習機の世界需要は小さい。軽戦闘機の需要はたしかにあるが、機体構造と練習機としての特徴からボーイングT-Xが軽戦闘機として有効に機能できるか不明だ。T-50もFA-50軽戦闘機としての採用実績があるものの、需要が小さいことに苦労している。ボーイングがT-X650機を世界各地で販売できるかといわれればきわめて困難だろう。
  10. したがってボーイングに大きな疑問がついてまわる。同社が本当に米空軍契約の受注をめざすつもりなら、コストを非現実的な規模の機数に広く織り込む必要があり、将来的には欠損も覚悟しないといけない。これをしない場青、ロッキード=KAI連合が受注することになるが、同連合も相当の価格提示をしてくるはずだ。そうなるとロッキードが受注して損を覚悟し、ボーイングは受注しないことで勝つことになる。
  11. 米空軍の立場で見れば、T-XのRFPチームは当初の有力4社をすでに二社に絞り込んで着々と仕事をこなしている形だが、それでも残る二社による競合が期待できる。空軍は予想より見返りが少なくなりそうな案件の交渉を進めることになりそうだ。■
Contributing columnist Richard Aboulafia is vice president of analysis at Teal Group. He is based in Washington.
The views expressed are not necessarily those of Aviation Week. ​



★★ボーイングが売り込むブロック3のスーパーホーネットはステルスより攻撃力、通信力を重視した健全な方向性



いかにも商売上手なボーイングですね。しかしF-22といいF-35といい通信仕様が他機種と違うためデータ共有が難しいというのは問題ではないでしょうか。軍用機の世界は機体供用期間の延長に進んでいきますね。新規製造機体はますます少なくなっていくのでしょうか。
Aviation Week & Space Technology

Boeing’s Souped-Up Super Hornet Adds Smart U.S. Navy Firepower

Feb 14, 2017 Lara Seligman | Aviation Week & Space Technology

Boeing Super Hornet “Block 3” fighter
ボーイングは改修型スーパーホーネットの「ブロック3」の売り込みをねらう。Credit: Boeing
ドナルド・トランプ大統領がF-35CとF/A-18を組み合わせた2020年代以降の空母航空戦力の編成見直しを示唆したことで、ボーイングはスーパーホーネットの「ブロック3」改修案まとめを急いでおり、攻撃力を強化しながら米海軍の導入する次代ネットワークで有能性を発揮させるとしている。
  1. F-35C1号機が2018年にオンライン状態になる見込みの中、F/A-18 E/Fスーパーホーネットは2040年代にかけて空母航空戦力の半分を構成する見込みだ。課題はスーパーホーネットを今世紀中頃まで敵の高性能脅威に十分対応できるよう維持することだ。同機の原設計は1990年代である。
  2. スーパーホーネットの将来像はここ数年で内容が変わってきた。ボーイングは「発展型スーパーホーネット」を2013年に提案し、ステルス性を重視していたが、今回のブロック3では海軍の統合ネットワーク構造での最適化を目指しているとボーイングでF/A-18とEA-18を担当するダン・ジリアンは説明している。
  3. 空母航空戦力での2030年まで続く大課題はジリアンに言わせると「スーパーホーネットを進化させてE-2Dホークアイやグラウラーと補完しつつ空母ギャップ問題にどう対処させるか」だという。
  4. ボーイングは海軍はスーパーホーネット・ブロック3の調達案の詳細を2018年度予算要求の段階までにまとめると見ている。今春後半だ。2019年度の調達となればボーイングは生産ラインを2020年代はじめまで維持できるとジリアンは見ている。
  5. トランプ発言が出てから高性能版スーパーホーネットの話題が再び浮上してきた。ロッキード・マーティンにつらい状況になったのはトランプがボーイングに価格提示を求め、F-35と同等の性能をもたせたスーパーホーネットをF-35C代替策として想定したことだ。それを受けてジェイムズ・マティス国防長官も二機種の比較検討を省内で命じている。
  6. ただしジリアンもブロック3がF-35Cの代替として空母航空隊で運用できるのかは明確に述べていない。ボーイングの主眼は「補完能力」であり海軍が両機種の最適構成を決定するはずとだけ述べている。
  7. ジリアンはブロック3のスーパーホーネットはステルス機のF-35C、グラウラーの全スペクトラムジャミング能力、E-2Dの早期警戒能力と組み合わせて制空任務が全うできると見ている。長距離赤外線センサー(IRST)の追加によりブロック3機は相当の距離から敵を探知追跡できるようになる。機体一体型燃料タンク(CFT)により航続距離は100から120カイリ伸び、主翼下の追加燃料タンクは不要となるので重量軽量化と抗力が減り、その分ペイロードを増やせる。
  8. これで完全装備のブロック3スーパーホーネットはF-35とともに防空任務をうまくこなせるようになり、攻撃力も増える。
  9. 「F-35はステルス性を活かして敵地奥深く送り、スーパーホーネットに航空優勢を長距離で確保させる、あるいはスーパーホーネットにF-35が搭載できない大型スタンドオフ兵器を搭載させ、F-35に防空任務を担当させる」とジリアンは説明し、「ミッションの柔軟性が生まれ、航続距離が重要になります」
Boeing Super Hornet “Block 3”
ボーイング提案の最新版スーパーホーネットの売りは追加兵装搭載能力、長距離IRST、機体一体型燃料タンクだ。Credit: Boeing

  1. 2013年の提案内容には密閉型兵装ポッドや機体内部搭載IRSTセンサーがあったが、今回のパッケージでは省かれている。これはボーイングの分析でスーパーホーネットの「ステルス性は十分あり」完全装備で飛んでも残存性が期待できるからだ。ボーイング技術陣は設計上の妥協により同機のレーダー断面積を減らすことは可能だと判断した。例えばペイロードに制限をかけることがある。
  2. ブロック3ではコンピュータ性能を向上させて将来の空母航空隊に導入される高機能センサー装備の活用をめざす。コックピットは大画面ディスプレイを導入してユーザーインターフェイスを改良するため、強力な処理能力を持つ分散型目標捕捉プロセッサーネットワーク(DTPN)および大型データパイプで戦術目標捕捉ネットワークテクノロジー(TTNT)の情報を流す。TTNTはすでにグラウラー、E-2Dで稼働中で、グラウラーではDTPNも搭載済みだ。
  3. 「IRSTがあり、別のセンサーが空母航空隊で使用可能となると大量の情報を流す大型パイプが必要となり、コンピュータも高性能化し情報すべてを融合させることになる」とジリアンは述べており、「ブロック3スーパーホーネットはネットワーク上で有益なノードとなり、大量のデータを流し、ネットワークを介し他の機体と共有します」
  4. この高性能コンピューター構成によりスーパーホーネット、グラウラー、E-2Dは相互に交信し重要な戦術データを同じネットワークでで流すことができる。ただしF-35はTTNTを利用できず、かわりに帯域が小さいリンク16ネットワークで情報の送受信を第四世代戦闘機と行う。
  5. その結果、F-35Cは空母航空隊の他機と通信できても大量データのやりとりは簡単ではない。
  6. 第五世代機から第四世代機への接続の改善議論はまだ続いているが、「この課題はF-35を他の機体にどう接続するかでしょうね」とジリアンは述べ、「他の機体がみんなTTNTを使っているのなら答えは明らかですね」
  7. 海軍はTTNTをF-35のリンク16機能に追加するだろうが、同機はリンク16の波形でデータを送ればステルス性に目をつぶることになる。と言うのはリンク16は探知困難な波形を使っていないからだ。F-35は大量データを別のF-35にはステルス性多機能高性能データリンクを通じて行うが、他の機種では利用がほとんど出来ない形式だ。
  8. もう一つ今回の提案内容と2013年版の違いがある。ボーイングは9千時間以上の稼働が可能な機体を生産可能と主張している。現在進行中の既存機の耐用限界を現行の6,500時間から9千時間に延長する作業と相まって、海軍は同機の活用を続けることが可能となるとジリアンは説明する。
  9. 海軍はまだブロック3への態度を明らかにしていないが、ジリアンは新型の性能内容には海軍が多大の関心を示すはずと見ている。
  10. 「スーパーホーネットで進化が必要です。2020年代から2040年代まで稼働する機体ですからね。ブロック3スーパーホーネットで空母航空隊の能力ギャップを埋めながらF-35、E-2Dやグララウーと補完して活躍できる日が来ます」■


2017年2月15日水曜日

★B-21を大統領専用機に転用してはどうか



大統領専用車はテロ攻撃、化学攻撃に耐えるモンスターと言われていますが、専用機もその延長でB-21を改造すれば良いとの大胆な意見です。ただし、非軍事用途だと証明せずに各国の空港に乗り入れできるでしょうか。次代の大統領が「平和主義」なら搭乗に躊躇するのでは。また民生空港ではタラップも使えず、大統領の姿が屈辱的なかがみ込んだ姿で登場すれば大変です。(ここらは機体形状を改修して解決できるでしょう)実現すれば21世紀の大統領専用機らしくなり世界に知れ渡るでしょうが、可能性はどうでしょうか。日本は早々にB777を採用していますが、レガシージャンボのVC-25はまだまだこれからも飛ぶことになりそうですね。

Aerospace Daily & Defense Report

Presidential Bomber? Report Touts B-21 For Air Force One

Feb 10, 2017 James Drew | Aerospace Daily & Defense Report

B-21の「大統領専用爆撃機」が太平洋上空を移行する想像図。
James Drew, Aviation Week

国防アナリストの検討会から米空軍がすすめるボーイング747-8原型とするエアフォースワンのかわりにノースロップ・グラマンB-21ステルス爆撃機の改修案あるいはボーイング737フリートを軍用にする案が浮上した。
  1. 検討はライト・ウィリアムズアンドケリー(WWK)(コスト管理ソフトウェア・コンサルティング企業)の依頼で、747-8二機ないし三機を軍用仕様の専用機に改修する費用が莫大になるとドナルド・トランプ大統領が問題意識をもっていることを踏まえ、軍用仕様そのものを見直せば費用を大幅に圧縮できると指摘。現時点の要求水準ではエンジン四発、随行員70名以上の収容を求めている。最新鋭航空機が双発でも十分に安全かつ信頼性が高いことを考慮し空軍は代替策を検討すべきであり、ボーイング747-8あるいはエアバスA380しか検討対象にしていない状況を変えるべきと主張。
  2. 昨年12月にトランプは大統領専用機代替事業(PAR)をこき下ろし、推定32億ドル費用に批判の目を向け「制御不能」とツィッターで述べた。ジェイムズ・マティス国防長官は抜本的見直しで費用削減を求めている。ペンタゴンの再検討では自律運用能力、機内発電容量、空調、残存性ならびに軍用・民生通信能力に中心を置いている。だが機体の変更はないのだろうか。
  3. WWK報告の主筆ダニー・ラムは報告書ではB-21と737を中心に捉えたと述べる。ボーイング767やエアバス、ボンバルディアエンブラエルの外国勢も検討したが、ロシア・中国製の機体は対象外。
  4. 安上がりにするのなら737多数を採用することだ。同機はすでに軍用用途に多数利用されている。このうち737-700が原型のC-40は米海軍、空軍で運用中だ。737はP-8Aポセイドン対潜哨戒機として海軍が飛ばす他、オーストラリア、インド、ノルウェー、英国が運用する。またオーストラリア、韓国、トルコは同機を早期警戒統制機に転用している。ボーイングはE-8C共用監視目標攻撃用レーダー機(STARS)、EC-130Hコンパスコール、RC-135リベットジョイント各機の後継機として737を提案中だ。
  5. CFM-56-7Bを搭載したC-40B型C型は米空軍では111名までの輸送が可能で、空中給油なしで5,000カイリまで飛べる。つまりアンドリュース共用基地(メリーランド)からフランス、ドイツ、英国、南アメリカ、北アフリカまで一気に飛べる。またトラビス空軍基地(カリフォーニア)で途中燃料補給すればハワイまで飛べるし、日本にも到達できるはずだ。P-8Aは737-800ERXを補強した形で完全装備の場合はそこまで長距離は飛べないが、空中給油装備があり、軍用無線交信データリンク装置をつけ、エアフォースワンとなる747-8の通信能力と遜色はない。
  6. 「747で必要な装備はすべて737で利用可能」とラムは指摘する。747を軍用に転用すると言っても同機は販売不振で生産中止になりそうな機体だ。「737原型なら必要条件はほぼ全部満足しつつ、安価にできる。737は今後30年間は飛行しているはずだ」
  7. 737はボーイング商用機で最小で小規模空港でも利用できるが、大型747-8ではそうはいかない。大統領を乗せるための改修内容は多岐に渡るが、海軍が核戦争の際に大陸間弾道ミサイル発射の指令コードを空中から送るボーイングE-6マーキュリーでも早晩後継機が必要となり、指揮命令機能を備えた新型機はオーストラリア、カナダ、ドイツ、日本、英国の各同盟国でも必要とされるかもしれない。
  8. ラムはより大型の767-2C(米空軍向けKC-46ペガサス給油機の原型)も検討価値がある。「だが民間機737の方が有利」という。
  9. B-21採用案の中心は安全性だ。ラムは高性能地対空ミサイルが普及しており、「非国家戦闘集団」がエアフォースワンの脅威となると747-8では脆弱だと指摘。
  10. 「747はレーダーで格好の標的でB-52と同じ大きさに写ります」といい、「B-21はステルス機で核爆発にも耐える重度防御を施しています。機内はかなり窮屈ですが、何と言っても残存性が高い。特に二機、三機を同時に運行する場合です」
  11. B-21の詳細は極秘扱いだが開発は昨年始めに始まっており、試作各型はその前に制作済みだ。就役開始は2020年代なかばとなる。747-8が現行の747-200B原型のVC-25大統領専用機材に交替するのは「2024年想定」と空軍は説明している。
  12. 報告書では大統領専用機に爆撃機の転用案を分析するにあたり情報公開の扱いのノースロップB-2スピリット爆撃機を基本にしたとラムは説明。同機の兵装庫他の部分を取り外し、数名の人員輸送用に改装する。B-21は長さ20フィート重量30千ポンドのボーイング性大型貫通弾を搭載する予定で、兵装庫の大きさを推定できた。
  13. ただし同乗者全員が乗れないため、737およびB-21両案では追加機が残りの政府関係者、軍支援要員や報道陣を運ぶ。最重要ではない要員は大統領専用機から一定の距離を保ち安全を確保した機体から暗号化データリンクで通信を維持できる。
  14. 大統領用ヘリコプターや装甲リムジンのような大型貨物は今でも軍用輸送機が運んでいる。ボーイングC-17グローブマスター、ロッキード・マーティンC-5ギャラクシーやC-130ハーキュリーズが使われている。空中給油にはボーイングKC-135ストラトタンカー、KC-10エクステンダー、KC-46を使う。
  15. 国家としての威信を示す意味ではラムは747「ジャンボジェット」では1970年代と同じ効果は挙げられず、747そのものが間もなく姿を消すと指摘し、エアバスA380「スーパージャンボ」も同様だとする。二機あるVC-25は全米で今も稼働中の747-200の唯一の例だ。ラムは両機を予備に確保し、長距離飛行用や北京やモスクワと言った米政府が高性能ステルス機の駐機は回避したいと思う場所への移動用に使えば良いとする。
  16. 「どんなイメージを伝えたいのでしょうか。製造中止になった機体を使いますか。気を抜けば戦争になりそうな国にも行くんですよ。これは政策で決めることとはいえ、米大統領を奇襲攻撃で死亡させようと企む勢力でもしっかり防御され重武装の機体が複数現れれば考え直すのではないでしょうか」
  17. エアフォースワンを運用するのは第89空輸飛行隊でアンドリュース共用基地を本拠とする。短距離ヘリコプター移動は海兵隊第一ヘリコプター飛行隊(HMX-1)によりシコルスキーVH-3D、VH-60N、ベル=ボーイングMV-22Bを運用しており、今後VH-92Aが加わる。ヴァージニア州クアンティコに基地がある。
  18. 1980年代製のVC-25各機は今年中に耐用年数の30年を超える。空軍は大統領の空輸ミッションでは「失敗が許されない」とし、移動中も大統領に国務、軍の指揮に必要な居住空間を確保し「世界中どこでも空にいながら」各国元首にも連絡できる環境を提供する。核戦争の場合でも運用が必要となるため機体は電磁パルス他の障害に耐えるべく強化されている。2013年9月に公表された要求性能内容について昨年12月合計21社が説明会に参加した。選定はボーイング、エアバスに絞られたが、エアバスは機体のみの提供に止めたいと希望し、主契約企業になる意向はなかった。空軍は2015年に747-8案を採用し、ボーイングに同年末に提案提示を求めた。すでに同社には空軍から170百万ドルがリスク低減用に交付済みで今年中に初号機の機体購入になるはずだったが、まだ正式契約になっていない。
  19. トランプはVIP飛行にはなれている。自身でボーイング757-200を「トランプフォースワン」と呼び特別改修しており、選挙運動中に各地を移動していた。「シェパードワン」はローマ法王が使うアリタリア航空のA321法王専用機のことで、2015年9月にワシントンに飛来している。
  20. その他メキシコはボーイング787-8ドリームライナー特別改装機を空軍に運用させている。オーストラリア首相は以前はボーイングビジネスジェットをリースで使っていたが、今は空軍のエアバスKC-30A多用途給油輸送機で移動している。■


2017年2月14日火曜日

トランプ政権はISIS壊滅に向けてどんな動きを示すだろうか


トランプ政権が発足してから変化の流れが早くなっている気がします。以下ご紹介の記事でも前提としていたフリン補佐官が辞任してしまいました。ISISとの戦いはまだまだ続きそうですが、新政権の新思考で事態をうまく展開してもらいたいものです。

The National Interest

Here's How Trump's Pentagon Could Take On ISIS

February 7, 2017


ドナルド・トランプ大統領は国防長官および統合参謀本部議長にイラク・シリアのイスラム国(ISIS)に猛然と対決する案の作成を求めている。また大統領執行令では案の提出は2月末締切となっている。
電話一本で済む指示をわざわざペンタゴンまで足を運んで署名式を開催したのは大統領がISIS問題を真剣に捉えていることの現れだ。新政権の中東政策はまだ固まっていないが、いかなる政策になろうともISIS打倒が最上段に乗るのは間違いない。選挙運動中は「奴らをふっとばす」と主張していた大統領の公約はISISには海賊集団の末路を準備する(つまり壊滅)として政策に落とし込むとする。
ペンタゴン上層部にはオバマ政権時からの選択リストがあるが、前大統領も対ISIS作戦としては有効とは見ていなかった内容もある。ダンフォード統合参謀本部議長はISIS問題でトランプ大統領、ペンス副大統領と繰り返し会見しており、ホワイトハウスにもペンタゴンから出てくる提案内容は察しがついているようだ。いずれにせよ国家安全保障会議は今後30日間で考えられる選択肢全部を深く検討するだろう。
提案内容はおおむね以下に要約されるはずだ。
1. 戦術裁量権を拡大する
世界共通の交戦時の指揮命令系統の原則があり、武力衝突では敵側が民間人を利用する傾向がある際には特にこれが重要だ。ISISはこの戦術を多用している。モスルでのイラク攻勢が長引きイラク治安維持部隊に多大な損害が生まれたのはおよそ百万人の住民が戦闘の真っ只中にいたためだ。ISISは抜け目なく米軍は多数の住民がいれば空爆を実施しないと踏んだのだ。
ISIS掃討作戦をモスルで加速すべく、ペンタゴン上層部は交戦規則の変更を命じることができたはずだ。イラク治安維持部隊と共同作戦中の特殊部隊にもっと裁量を与えるとか、支援航空隊に現在は禁じられている民間人被害のリスクを承知で攻撃させるとかだ。残念ながら目標リストが拡大すれば民間人殺傷のリスクも増えることになるのは特に人口密度の高い都市部にあてはまる。トランプ大統領が米主導の空爆で数百名の現地市民の犠牲もやむを得ないと判断すれば、モスル解放はもっと早く実現し、作戦展開ももっと激烈にできていただろう。
2. 地上部隊を増強する
6千名の米軍隊員がISIS攻撃の顧問ならびに特殊部隊として現地にいる。これは2006年から2008年の最盛期の150千名体制とは大違いだ。当時はイラクはばらばらになりそうな状況だったがこれがオバマ政権で甘受できる最大値だった。オバマ大統領は国内政治の風向きからイラク・シリア派兵はこれ以上無理と判断していた。またオバマは千名単位で米軍を増派し、最前線近くに送っても効果は少ないと強く信じていた。現地友邦勢力を増強すればよいのであり、米兵が戦い命を犠牲にする必要があるのか。
ただしオバマ政権時の前提は消えた。保安官が変わり、新保安官は結果を求めている。しかも迅速に。CNN報道ではペンタゴンは12千名までの追加部隊をシリアに投入する提案をする可能性がある。ISISが自称する首都ラッカの陥落のためだ。米特殊部隊が攻撃の先頭に立つだろう。残りの部隊はラッカ近郊に展開し、航空部隊に攻撃目標を指示する。これで米軍がISIS領土深くに進軍することになり、前政権の方針とは大きく変わる。シリア民主部隊含む現地友邦勢力が米軍部隊を助けるだろうが、その逆はない。
3. クルド人部隊に武器をもっと供与する
米軍はシリア民主部隊のうちアラブ人部隊をシリア北部で何度となく空中物資投下で支援してきた。この根底にはシリア国内のクルド人勢力がトルコに衝突するのを回避する意義があった。トルコはシリア国内クルド人勢力を徹底して憎んでおり米国政府はあぶなかしいバランスをとってNATO主要加盟国のトルコを怒らせず、トルコ国内のインチリック空軍基地から米軍機を引き続き運用可能とし、地上で実力を三年間にわたり実証済みのクルド人勢力にも良い顔をしなければならない。トランプ大統領は外交上の配慮など無視するかもしれない。もしシリア国内のクルド人戦闘部隊がISIS地上作戦で一番有効な勢力だとわかれば、米国はクルド勢力が求める武器を配布するだけの思慮があっていいはずだ。
4. 敵の探知、捕捉、壊滅
スタンリー・マクリスタル、マイケル・フリン両将軍が特殊作戦、情報収集をイラク・アフガニスタンで指揮していたころ、米軍はテロリスト拠点への強襲作戦を毎晩実施していたものだ。強襲して大量の情報を回収し即座に司令部へ送り分析され、さらに強力な戦闘集団への作戦に応用されていた。この動きはF3EADと呼ばれ、find探知し、fix目標をおさえ、finish全滅させ、exploit情報を回収し、analyze分析し、disseminate次回作戦に応用するとの意味だ。このやり方でイラクのアルカイダは2010年にほぼ壊滅状態に追い込まれた。
マイク・フリンはこのF3EDづくりに一役買っており、今やトランプ大統領の国家安全保障担当補佐官である。一般閣僚が堆積したあとで大統領と直接協議できる立場だ。フリンはF3EADの復活を主張し、情報収集面を強調する形に変える可能性がある。その目的はISIS指導部を根本から壊滅することだ。
トランプ大統領はどんな選択をするだろうか。国内政治面での逆効果をあえて甘受しても数千名の追加派兵をイラク、シリアで命じ、米軍の死傷者増加を受け入れるだろうか。あるいは前任者の政策を継承し、地上戦は現地軍に任せ、米軍は空爆を強化するだろうか。最高司令官の検討課題は多いようだ。■
Daniel R. DePetris is a fellow at Defense Priorities.
Image: U.S. Marine Pfc. Garrett Reed during a security patrol in Garmsir, Afghanistan. Flickr/DVIDSHUB

北朝鮮の北極星2号ミサイルは日本に向けて発射されていた


どんどん技術を磨いていく北朝鮮には恐ろしいものがあります。国内の惨状には目をつむり国家財政を傾斜的にミサイル開発につぎ込める同国ですが、日本はじめ各国はどう対抗できるでしょうか。まず韓国は国内をしっかり固めて貰う必要がありますね。このままでは先制攻撃もできない事態が生まれそうで、政治部門には技術に目を向けて状況を把握してもらいたいものです。

The Pukguksong-2: A Higher Degree of Mobility, Survivability and Responsiveness


13 February 2017
A photo of North Korea's Pukguksong-2 pictured during a test on February 12, 2017 (Photo: KCNA).
The Pukguksong-2 pictured during a test on February 12, 2017 (Photo: KCNA).

  1. 北朝鮮が打ち上げた弾道ミサイルを米韓日が報道している。北朝鮮は今年初めから大陸間弾道ミサイル打ち上げを示唆してきたが、今回のミサイルはICBMではない。報道によればミサイルは高度550キロまで上昇して北朝鮮海岸線から500キロ地点の日本海に着水した。韓国聯合通信は韓国軍統合参謀本部の評価としてノドン中距離ミサイルと最初に伝えた後ムスダン弾道ミサイルに固体燃料エンジンを搭載した可能性があると報道した。だが北朝鮮の労働新聞が「Pukguksong北極星2号、固体燃料ミサイル」の説明で写真を掲載しており、外見はKN-11液体燃料潜水艦発射ミサイルに類似している。KN-11は昨年8月に水中発射に成功しており、北朝鮮は「北極星1号」と命名していた。
  2. 当ウェブサイトはその他可能性も検討した。ICBMテストとして失敗したか、第一段だけの部分テストだったのか、今回の軌道は以前の北朝鮮ICBMで判明している第一段発射のパターンと合致しない。ICBMの速度に達していないが、ICBMに搭載する再突入体やほかの技術実証には有効に活用された可能性がある。今回の発射地点はKusong(亀城)近郊の軍用飛行基地であり、以前からムスダン発射に使われている。今回の軌道からみて可能性があるのはノドン中距離ミサイルあるいはKN-11であり、北朝鮮はKN-11を地上から発射する様子を公開した。
  3. 韓国統合参謀本部による評価とは別にこのミサイルにはノドン、ムスダンとの共通点がほとんどない。ムスダンの性能はないようだが、もっと効率のよい軌道に乗れば1200キロの射程は確保できるだろう。これだけあれば韓国、日本への到達は十分可能だ。問題はこのミサイルの機動性が高いことで、残存性、即応性もノドンをうわまわることだ。北極星2号はコールドロンチ用キャニスターに搭載されキャタピラ付きの搬送打ち上げ(TEL)車両で運ばれており、国内を縦横無尽に移動できる点がノドンの車輪式TELと違う。固体燃料方式では燃料運搬車両が不要で、所在が見つけにくくなる。また燃料の事前補充も不要なのでおそらく5分で発射できるはずで、ノドンで30分から60分必要だったのと大きく違う。総合すると北極星2号の探知破壊ははるかに困難になる。
  4. 今回のテストには政治的な意図があり発射のタイミングが問題だ。北朝鮮がミサイルを日本に向け打ち上げ意図的に海中に落下させたのが日米首脳がフロリダで会談している当日だったというのが単なる偶然でないのは確実だ。北朝鮮技術陣は今回のテストから多くを得ただろう。結果は成功と判定されている。実用化にはテスト発射一回では足りない。新型ミサイルが実用化され十分な信頼度を確保するまでいつまでかかるか不明だが今後もテスト発射が続けば完成度の進捗を測る手立てになるだろう。■

2月14日(火)のヘッドラインニュース

2月14日のヘッドラインニュース:T2

注目記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがありますのでご了承ください

  北朝鮮が打ち上げたのは新型固体燃料ミサイルか
朝鮮中央通信は新型ミサイル打ち上げに成功したと発表。今回発射されたのはKN-11潜水艦発射用ミサイルを改良し、有効距離が伸びていると同時に発表している。韓国軍はミサイルが高度550キロまであがり、550キロ離れた地点に着水したと発表。

エアバスA330のAWACS転用を狙うインド
インドはA330を6機エアバスから購入し、国産装備を搭載しAWACSに改修する。国防研究開発機構(DRDO)が明らかにした。初号機の軍への引き渡しは機体取得の7年後になるという。


  訃報 ハル・ムーア米陸軍中将(退役)
映画「ワンス・アンド・フォーエバー」(原題 We Were Soldiers)で描かれたハル・ムーアが2月10日に94歳で死去した。ムーアの戦績はAP通信にいたジョー・キャロウェイの著書We Were Soldiers Once and Youngで知られるようになりその後映画化された。ムーア中佐は第七騎兵連隊第一大隊を率いてベトナム戦争の激戦イア・ドランを戦った。

航自C-2技術実用試験が完了
航空自衛隊は川崎C-2輸送機の技術評価が1月26日に終了したと発表した。
航空開発実験集団が業務を行った。
(しかしこの広報はなんとかなりませんかね。デザイン等魅力がありません)


2017年2月13日月曜日

★★米空母の「軽」空母構想は実現するか



CSBA報告書を米海軍が前向きに捉えているようです。予想と違っていますね。新しい考え方を取りいれる態度がある海軍には将来性が感じられます。ただ報告書では財源を触れているのでしょうか。フォード級CVNの追加建造、コロンビア級新型ミサイル原潜と大型案件が控える中でCVL建造が簡単にできるでしょうか。そこで、艦体は日本が建造し、搭載航空部隊は米側が担当する案はいかがでしょうか。(英海軍の新型空母の例あり)現行のいずも級より相当大きくなりますが、日本にも有益な技術的進歩を実現する機会になりませんかね。

The National Interest

Will the U.S. Navy Build 'Light' Aircraft Carriers (Armed with Stealth Fighters)?

February 11, 2017


  1. CSBA(戦略予算評価センター)がまとめた将来の海軍戦力整備案はCVN超大型空母12隻体制の維持とともに新たにCVL軽空母の開発をすすめるべきと提言している。新型空母が実用化するまでは現在の大型揚陸強襲艦をかわりに利用するとする。
  2. 「4万から6万トン規模の小型通常動力CVLを想定し、ARG揚陸即応集団の一部として抑止効果戦力を形成することを提言したい」とCSBA報告は言及。「CVLは兵力投射効果および制海能力を提供し、小規模交戦、攻撃、CASを戦闘初期段階で行い、CVNにはハイエンド交戦を複数艦で行わせる前方攻撃部隊あるいは北部ヨーロッパ抑止部隊に専念させる」
  3. 構想中の新型通常動力空母は第二次大戦時に生まれたミッドウェー級に匹敵する規模で、相当の航空戦力を運用するだろう。「当初は既存のLHA/LHD揚陸強襲艦をCVLとして運用し、F-35Bを20機から25機搭載する。各艦が耐用年数が終りを迎える頃に専用に建造したCVLが登場しカタパルトと拘束ギアを搭載する」(CSBA報告書)
  4. CVL搭載の航空部隊は現在の海兵隊航空戦闘部隊を発展させればよい。「CVL航空部隊にはF-35Bが20機でISR、AEA他小規模CAS、SUW他攻撃任務の目標捕捉を行わせ、抑止部隊として機能させる。空母搭載用のF-35Bは海兵隊の調達機数を考慮している。この配置で陸上基地から運用するUDP(部隊展開)に影響が出るが、UDP運用は域内のARGが支援し、複数陸上基地から柔軟運用が可能となる。AEWやC2ではLHA/LHD航空部隊は陸上基地運用の哨戒機やE-2Dの支援を受ける」
  5. 最終的にはCLV航空部隊にも専用の電子攻撃機や早期警戒機を配備する。「カタパルト・拘束ギア搭載してCVLを建造すれば、航空部隊にはUCAV、輸送給油用無人機、AEW機をそれぞれ一機ないし二機加えられる。海軍海兵隊の航空部隊は統合可能になるはずで、すでにCVNでこれは実現している」
  6. 米海軍はCSBAに報告書作成を委託し、構想を前向きに捉えているようだ。提言に盛り込まれた考え方の多くが参考になる、とジョン・リチャードソン作戦部長も述べている。「勝利をおさめるために思考を磨く必要があり、研究成果は参考になる。まさしく我々が求める内容が盛り込まれた新鮮な発想だ。提言は現在の考え方を裏付けながら、さらに先を目指すもの。検討が必要な内容もあるが研究成果を分析し、戦闘演習、実験、技術実証、試作に活かしたい」
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.


米海軍の艦載UAVの方向性はどうなっているのか


ペンタゴンと海軍の構想が噛み合わず、結局攻撃機になるはずだった無人機が給油機になりましたが、海軍はこれには満足せず、かつてのUCLASSの機能縮小版を期待しているということですか。一機種で全てを期待すると大変なことになるのはわかっているはずで、本当は専用機材を整備したいが懐事情からそうはいかないのでしょうね。中途半端な機体にならないよう祈るばかりです。ペイロードを期待すれば既存型機体、ステルスを重視すれば全翼機でしょうかね。期待しましょう。

Navy Moves Ahead On Carrier-based Drone

Feb 7, 2017 Lara Seligman | Aviation Week & Space Technology

X-47B Unmanned Combat Air System demonstrator
米海軍はX-47B無人戦闘航空システムを空母ジョージ・H・W・ブッシュで2013年に実証している。 Credit: U.S. Navy

高性能装備を敵対勢力が開発中のため米空母は敵海岸線からさらに遠い地点からの運用を迫られるとして、米海軍は無人給油機を空母に配備し航空隊の飛行距離を伸ばそうとしている。
  1. 海軍はUAVの空母運用を模索して構想は何度となく途中で変更されてきた。偵察攻撃用だったはずのUAVが結局給油機に落ち着いた。
  2. ペンタゴンは同機の実現にやっと動きはじめそうだ。これまで空母運用空中給油システム(CBARS)またはMQ-25の主任務を空母航空隊への空中給油と想定してきた。ここに来て海軍関係者からCBARSに同時に情報収集監視偵察(ISR)も副次ミッションとして盛り込みたいとの発言が出てきた。
  3. 「同機は将来の空母航空隊に不可欠な要素となり、空母の作戦能力を引き上げる効果を生む」とMQ-25開発を担当するボー・デュアルテ大佐が言う。
  4. その目標に向けて、海軍は4社に昨年契約を交付している。ボーイングロッキード・マーティンノースロップ・グラマンジェネラル・アトミックスに構想案取りまとめを発注しており、その先の技術製造開発段階の提案要求(RFP)への対応を期待する。RFPは今夏にも出て契約決定は2018年の想定。
  5. ドナルド・トランプ大統領からは国防費増額の構えが示されており、軍の即応体制の引き上げが期待される中、海軍は新型機開発を急ぐよう圧力を受けそうだ。ジョン・マケイン上院議員(共・アリゾナ)からはMQ-25開発を急ぐよう注文が出ており、5年以内の初期作戦能力獲得の国防構想白書を発表している。
  6. 「敵側が長距離高性能防空体制を整備する中で長距離飛行可能な新機材が空母航空隊に必要なのであり、敵防空網を突破し、攻撃・情報収集できる機体が必要だ」とマケイン議員は白書で持論を展開している。2月6日時点で海軍は白書に回答を寄せていない。
  7. だが無人空中給油・ISR兼用構想には問題がある。給油機と偵察機では設計要素が相反し、ISR機は高高度を長時間飛行する必要があるため、長い主翼と効率のよいエンジン性能が不可欠だ。ISR機が大量の燃料を機内搭載しないのは機体重量を増やさないためだ。これに対して給油機は大量の燃料を搭載し空母航空隊のニーズを満たし、エンジンも大型するはずだ。
  8. 海軍航空部門の立案部門は産業界とともに「スウィートスポット」をMQ-25で見つけて両方のミッションを実施できないかを模索しているとマイク・シューメーカー中将(海軍航空部隊司令)が昨年明らかにしている。
  9. もう一つの問題は将来の作戦環境を想定してどこまでステルス性をMQ-25に求めるかだ。ペンタゴン最上層部は生存性を中核性能にしなかったが、海軍は同機が脆弱にならないよう既存の「機体形状」を流用できないか検討中だとシューメーカー中将が明らかにしている。
  10. 中将は特定のメーカー名を口にしていないが、MQ-25の基本に活用できる設計構想はすでにあるとする。海軍は以前の無人空母運用型監視攻撃機材(UCLASS)構想で上記4社が提出していた内容を検討することになりそうだ。
  11. MQ-25を巡る各社の競合は最終的にジェネラルアトミックスやボーイングが提案した主翼胴体尾翼を備えた既存型あるいは無尾翼全翼機型のロッキードとノースロップ案のいずれかにおちつくだろう。
  12. シューメーカー中将は海軍がMQ-25のステルス形状を検討するのは確かとだけ述べており、給油機を敵領空に前方配備すれば脆弱性が露呈すると主張。
  13. 「空中給油任務の実施方法を見れば、他の機材より前方に送る必要があるのがわかる。MQ-25を単独で送り込んでも残存性は期待できない。送り込む以上簡単に撃墜されないようにしなくては」
  14. シューメーカー中将は「ステルスと給油機機能はMQ-25では両立しない」が「まず給油用UAVとして投入し、その後残存性のある攻撃機に進化させられる」と言う。
  15. 給油機の武装化は比較的容易だ。燃料の内部搭載用スペースを兵装用に転換すればよい。全翼機形状になった場合は最初からステルス性を考慮したことになり、レーダー吸収剤を施せば残存性が高まる。■

ヘッドラインニュース 2月13日(月)


2月13日のヘッドラインニュース:T2

注目記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがありますのでご了承ください

航自パイロットがF-35Aを初操縦
防衛省は航空自衛隊パイロットがF-35Aをルーク空軍基地(アリゾナ)で2月7日に初めて操縦したと発表。


超小型ドローンの大群をF-16から放出する実験
ペンタゴンの戦略能力開発室SCOが進めている構想ではアルゴリズムにより同時に多数の超小型無人機を空中で放出し、敵の妨害に当たらせる。ドローンにはPerdixの名称がついており、低空飛行させ偵察にも投入できるが消耗品扱いだ。Perdixはフレアの放出装置から空中に展開する。

ロシアTu-160ブラックジャック編隊が英本土に近づく飛行を実施
2月9日英空軍はタイフーン戦闘機編隊でTu-160編隊にスクランブル発進させた。ロシア編隊はアイルランド経由で北東方面から飛来したが英領空には侵入しなかった。ただしロシア機に長距離巡航ミサイルが搭載されていたという。ロシアはここにきて空軍による演習を活発化させており、「戦時」に備えるためといわれる。NATO各国の領空に接近する事例も増え、各国はスクランブルで対応している。


アリゾナで行方不明となりコロラド州で発見された無人機
米陸軍のRQ-7シャドウ無人機がアリゾナ州で運用中に行方不明となり、600マイル離れたコロラド州エヴァーグリーンで発見された。RQ-7は野戦用の情報収集無人機で第7師団が訓練に投入していた。燃料58リットルを搭載し9時間滞空できる。機体は山中でハイカーが発見した。


2017年2月12日日曜日

2月8日の東シナ海上空米海軍P-3CとPLA機の異常接近事案の続報


今回の事件は意図的なものではなかったということのようです。しかしこれから南シナ海(東シナ海も)上空での予期せぬ事態は発生するでしょう。

Pentagon Reviewing ‘Unsafe’ Military Aircraft Encounter Over South China Sea

By: Sam LaGrone
February 10, 2017 2:46 PM

A U.S. Navy P-3C Orion maritime patrol aircraft from to the Skinny Dragons of Patrol Squadron (VP) 4 conducts a fly-by with the guided-missile destroyer USS Cole (DDG 67) on Nov. 15, 2014. US Navy photo.
米海軍P-3C。哨戒飛行隊(VP)4所属。USSコール(DDG-67)上空を飛行している。US Navy photo.


人民解放軍機と米海軍機との間で南シナ海上空で発生した飛行中の危険な遭遇事案はペンタゴンが検証中だ。
  1. 2月8日に発生したのはP-3Cと中国空軍KJ-200の異常接近で、米太平洋軍は「危険」な状況と判断して以下声明を発表している。「米海軍所属P-3Cは通常のミッションを国際法に従って実行中だった」「国防総省と米太平洋軍は中国軍との危険接近を常に憂慮している」
  2. ペンタゴンはこの事案を検証中だと報道官ゲイリー・ロス中佐がUSNI Newsに10日述べている。

KJ-200 surveillance aircraft
人民解放軍のKJ-200。2015年。 Japan MoD Photo

  1. 「両者とも艦船航空機の安全運行を維持しようと相当努力している。中国軍との連絡チャンネルはすでに確立されており、軍事海洋協議合意の仕組みもその一例」「国防総省は本件を外交・軍事チャンネルを介して中国側に提起したい」
  2. KJ-200とは「人民解放軍空軍と海軍航空隊PLANの双方が空からの監視用に供用している」とDefense Newsが伝えている。
  3. 「今回の機体がどちらの所属か不明だが、PLANのKJ-200は海南島から運用されており、今回の事件の現場スカボロー礁から530マイルの地点だ」
  4. PLA所属機との間でこれまでに発生した事案では中国機が乱暴な操縦を米偵察機に行っている点が今回と異なる。たとえば2014年にはPLA戦闘機がP-8Aポセイドンに嫌がらせをしているが、今回は不注意が原因だったかもしれない。
  5. P-3Cでは衝突警報が作動した際に旋回途中でKJ-200を目視し、回避行動をとったと関係者がUSNI Newsに10日述べている。
  6. この関係者によれば衝突警報が鳴るまで両機とも相手機の接近は認知できなかった。■