2018年10月15日月曜日

★中国J-20対米F-35、台湾F-16、日本F-15の勝者は誰か



Showdown: China's J-20 Fighter vs. America's F-35, Taiwan's F-16 and Japan's F-15 (Who Wins?)対決:中国のJ-20対米F-35、台湾F-16、日本のF-15の勝者は?

So who would win a future battle for Asia’s skies? Read on. アジアの空を巡る次の戦いの勝者は誰か。
国軍はこの四半世紀で劇的なまでの変貌を遂げた。訓練もろくに受けない志願兵でいっぱいの部隊の姿はもはやない。大規模戦に必要な装備が揃わない部隊もない。
各種装備に予算投入した中国は、台湾、東シナ海、南シナ海で米国に挑戦する立場になった。DF-21D(「空母キラー」)、巡航ミサイル、高性能機雷、潜水艦、無人機、その他接近阻止領域拒否兵器が登場している。
空でも大きな進展を見せており、特筆すべき存在が新型第5世代戦闘機J-20だ。米軍の第四世代機、第5世代機を狙う同機は同時に日本、台湾、他の空軍にも脅威となる。
だが実戦で同機はどこまでの威力があるのか。F-35共用打撃戦闘機が相手ならどうなるのか。台湾のF-16や日本のF-15の場合は。以下、これまでの記事数点を一つにまとめたのでお楽しみいただきたい。
米空軍はJ-20をどう見ているのか
米空軍は西太平洋で今後も敵対勢力に対し「一方的な」優位性を維持する。これは人民解放軍空軍PLAAFが成都J-20ステルス戦闘機を実戦配備しても変わらない。というのが空軍トップの考え方だ。新型中国機の登場で地政学的な影響はどうなるかと聞いた際の答えだ。
「第5世代技術とは単なる機材にとどまらず複数システムのファミリーになる」と空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将がペンタゴンで報道陣に8月10日語っている。「ネットワークとなり、一方的な優位性を実現してくれるのでF-35対J-20の対決などというのは意味のない質問にすぎない」
たしかに大将の言うように空軍は今後も各種システムのファミリーでネットワークと情報共有を中心としていくのであり、個別の機材の性能に依存することはない。ロッキード・マーティンのF-35をJ-20と比較するのはゴールドフェイン自身が飛ばしていたF-117ナイトホーク・ステルス戦闘機の時代に戻るのと同じことで、同機は敵領空に外部との接続を断ち切って単独侵入する構想だった。「今は各種システムのファミリーに焦点を当て、単独機材よりもどう各機を接続させるかが中心だ」とゴールドフェインが述べた。
大将はナイトホークを比較対象としたが、J-20の搭載システムが1980年代製のF-117程度の内容と言うつもりはないはずだ。J-20に関する情報はわずかだが同機の装備がフェイズドアレイレーダー、電子戦装備、電子光学赤外線方式センサーなどF-35と似通っているとの情報もある。ただし、F-22やF-35で実現している「センサー融合」機能はないと空軍は見ている。
中国に欠けている要素として航空戦闘軍団司令官ハーバート・「ホーク」・カーライル大将が記者に教えてくれたのは「スパイクマネジメント」で、F-22やF-35のコックピットには機体がどこからどのように敵レーダーで探知されているかが表示される。パイロットはその情報により敵から逃れるべく探知・交戦される地帯を回避する。この技術の実用化に米国は数十年を費やした。当然試行錯誤が多数あった。
台湾空軍対J-20
台湾上空の航空優勢のバランスがゆっくりと変化中だ。かつて優勢だった中華民国空軍部隊が中国の台頭の前に、かつ台湾国防予算の削減のため中国が優勢になりつつある。
中国内戦の終了で中華民国政府は台湾へ脱出した。敵対する大陸と200マイル未満しか離れていない。だが、台湾が強力な海軍と空軍を維持すれば、そして中国が貧しいままなら台湾は有利なままのはずだった。
だが中国はもはや貧しさと無関係で国力に相応の軍事力を整備中だ。中国は台湾が対応できない規模の軍用機を製造できるし、第五世代戦闘機を二機種同時開発中だ。
成都J-20は「昇竜」の名称で、台湾にとって最大の脅威になりうる。大型双発の同機はステルス特性と長距離航続距離が特徴で長距離航空優勢戦闘機になりうる。
これまでの中国戦闘機は航続距離不足が足かせで台湾上空で使える時間が限られていた。J-20は台湾に忍び寄り台湾空軍機を狩るだろう。J-20のステルス特性が本当に効果があれば、台湾の防空レーダーでは探知がむずかしいはずだ。
J-20の搭載センサー装備には新型アクティブ電子スキャンアレイAESAレーダーがあるはずで、開発が完了していないとされるが、赤外線探知追尾IRST装備のパッシブ追尾で敵機を撃墜できるはずだ。
台湾上空に達すればJ-20は相当の火力を繰り出すはずだ。昇竜には三箇所の機内兵装庫があり、2つを短距離ミサイル用に残りを長距離ミサイルに使う。通常の航空優勢ミッションならPL-9赤外線追尾短距離ミサイル4本を搭載する。ラムジェット推進のPL-15なら射程は95マイルから125マイルになるはずだ。
J-20に対する台湾の主力戦闘機はF-16ファイティングファルコンだがこれも強力な機材だ。当初は軽量戦闘機かつ昼間専用機としてF-15イーグルを米空軍で補完する役目だったが、その後全天候多用途機に発展した。機体価格は比較的安価ながら多様なミッションをこなせるF-16は台湾に適している。
台湾空軍にF-16Aブロック20は150機あり、1992年に発注し、1997年から2001年にかけ納入されており、最古機体は25年ほどだ。ブロック20はAN/APG-66(V)3レーダーでAIM-7スパロー、AIM-120C7 AMRAAM中距離レーダー誘導ミサイルをともに誘導できる。その他レイセオンの電子対抗措置ポッド、プラット&ホイットニーF-100-PW-220ターボファンエンジンを搭載する。
2011年の新造F-1665機発注は不発に終わり、米台両国は導入済みF-16の改修に集中した。改修でセンサー、航法、装備が手直しされた。各機にAPG-83伸縮自在アジャイルビームレーダーSABRが搭載され、F-22やF-35のレーダーから流用したハードウェア、ソフトウェアが導入されている。
台湾ではF-16へのSNIPERポッド装着も検討している。これは空対地精密照準ポッドで空対空戦での探知追尾にも使える。このポッド以外に台湾はAIM-9Xサイドワインダーも最高性能のドッグファイト兵器として導入するかもしれない。
航空優勢ミッションに投入する台湾のF-16はAIM-9Xを4本、AIM-120AMRAAMを2本搭載するだろう。
そうなると一騎打ちではどちらが勝つのか。視程外戦と視界内戦を区別して考える必要がある。
視程外戦ではJ-20が一方的にF-16を撃墜するだろう。あくまでも設計内容が的を得ていた場合だが、ステルスとレーダー、長距離ミサイルの組み合わせが致命的な結果を生む。F-16のSABRがJ-20を遠距離で探知する可能性は残るが台湾機の搭載するAMRAAMミサイルがジャミングに弱いのが足かせになる。PL-15とステルス特性のあるJ-20は理論上は台湾機が昇竜の存在を知る前にF-16に交戦を開始するはずだ。
短距離戦ではJ-20が敏捷性で不利となる。単発のF-16が操縦性で勝り、AIM-9Xサイドワインダーミサイルの効果が生まれる。視界内戦では相打ちの可能性が強い。
そうなると中華民国空軍部隊はJ-20相手に苦戦しそうだ。J-20の探知は難しく台湾機に先制攻撃をしかけそうだ。中華民国空軍の戦術としては機材を台湾の山岳地帯に低空飛行させてJ-20の得意な視程外戦をさせないことだ。
J-20は台湾にとって現実の脅威である。中国空軍の量的質的拡大で航空優勢の確保が台湾に困難になっている。防御中心戦術に検討価値があり、双方が接近阻止領域拒否の姿勢を取るかもしれない。
航空自衛隊対J-20
日中間で緊張が高まる中で中国と日本の軍用機同士が遭遇する事案が増えている。人民解放軍空軍PLAAFのSu-27が東シナ海で日本機に発見され日本も沖縄からF-15をスクランブル発進させた。
接近遭遇は日常茶飯事で、今後も続く見込みだ。このため中国のJ-20が運用開始となった後の遭遇も想定される。
日本はF-15Jイーグルを供用中だ。同機は確かに優秀な戦闘機だが防衛省は本来なら今頃F-22に交代させる予定だった。だが残念ながら悪名高いオベイ修正案によりラプター輸出が禁じられ、日本はF-15改修を続けざるを得なくなった。
F-15Jの導入は1981年開始でライセンスにより三菱重工業が製造した。米空軍機とほぼ同じだが、電子対抗装置およびレーダー警報装備が異なる。ともに米政府が売却を認めなかった装備だ。当初はAIM-9サイドワインダーと準アクティブレーダー誘導AIM-7スパローを搭載していたが、その後AIM-120AMRAAMに換装している。M61ガトリング砲20ミリも搭載する。
合計223機あったF-15Jだが事故で8機を喪失した。
F-15Jの供用が長期になり、2000年代初頭に改修を行い、新型赤外線誘導ミサイルAAM-3及びAAM-5の搭載、エンジン改修、AN/APG-63(V)1機械式スキャン・パルスドップラー・レーダーを追加した。電子対抗装置の改修と機首に赤外線探知追尾IRSTセンサーも追加して性能を近代化した。ただし改修は高額な作業になり年間10機未満しか作業されていない。結果として改修ずみ機体は半分程度しかない。
成都J-20には謎が多い。中国初の第5世代戦闘機として2011年に初めて姿を現した。双発単座戦闘機で前方カナード翼がありステルス特性のある同機はF-15Jの全長をやや上回る。機体を長く広くとり内部兵装庫と燃料搭載スペースを確保している。短距離ミサイル、長距離空対空ミサイル、対地兵装を搭載する。
J-20のノーズコーンが大型なため高性能アクティブ電子スキャンアレイレーダーAESAを搭載する狙いがあるのだろう。これで遠距離で敵機を探知しレーダー誘導ミサイル攻撃ができる。後期試作型は赤外線探知追尾装備や電子光学照準装置がついているようで後者は対地攻撃用だろう。
J-20の正確な任務内容は不明だが長距離ミッション用のようだ。「昇竜」はロシアのMiG-31同様の高速かつステルス迎撃機として敵の給油機、AWACS早期警戒統制機、偵察情報収集機等の撃墜を狙うだろう。あるいは米F-111のような中距離爆撃機として沖縄や日本各地の基地攻撃を狙う機体かもしれない。
ではJ-20を長距離航空優勢戦闘機の仕様で想定しよう。F-15Jとの対決ではどちらが勝つのか。
J-20の設計思想が効果的と仮定し、レーダー断面積が小さければF-15Jといえども長距離で探知に手間取るかもしれない。レーダー性能が本当に高いならJ-20は容易に日本機を探知するだろう。これでF-15Jには視程外戦では不利になる。とくにJ-20がPL-15ミサイルを搭載している場合だ。同ミサイルのテストは2015年9月に成功しており、アクティブレーダーシーカーを搭載し、おそらくパルスロケットモーター2基もついているだろう。(ラムジェットの可能性もある)
接近距離ではF-15Jが有利となる。J-20は出力不足と言われ、F-15Jの推力重量比は優秀だ。F-15は他の追随を許さないドッグファイターであり、大推力と操縦性の差を生かして有利な位置につくことは十分可能だろう。
試作型J-20では機関銃の搭載が見られない。航空戦の専門家でも銃の必要性をめぐり意見がわかれるが、近接ドッグファイトではF-15JのM61ガトリング銃が使い勝手の良い武器となるはずだ。
中国が急速に第5世代機で競合相手に迫っているのは今後の力のバランスを崩しかねない要素として看過できない。

2018年10月14日日曜日

☆F-35は現代のF-4ファントムなのか---ステルス機の展望と限界を正しく理解しよう



Good News and Bad News: The F-35 Might Just Be This Generations F-4 Phantom  F-35は良くも悪くも現代のF-4ファントムである

October 3, 2018  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35f-4MilitaryTechnologyAir Forcejet fighter

々は過去を忘れて同じことを繰り返す宿命なのか。戦争では次の戦いの様相が想像できず過去の戦闘イメージで戦うことから脱却できないのだろうか。
軍事戦略の観点では過去の作戦経験に学ぶことは重要だが、将来の戦争が全く同じ様相になると信じ込んではならない。このことを数千機を導入しようとする米国の三軍および九カ国に言いたい。
多任務機の想定のF-35は飛行速度と操縦性で第四世代機やF-22ラプターに劣る。ライトニングは対地攻撃に焦点をあてつつ、視界外(BVR) での空対空ミサイル運用も重視しているが、願わくば視界内 (WVR) ドッグファイトは避けたいところだ。探知され、敵機より操縦性が下回るからだ。
こう言うと米軍がヴィエトナム戦に投入したF-4ファントムと似ているように聞こえるという向きもあろう。

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.F-4ファントムは巨大な野獣のような機体で強力なJ79ターボジェットエンジン双発でマッハ2まで加速し、当時としては強力なレーダーを機首に収めた。武装はAIM-7D、E型のスパロー中距離ミサイルとAIM-9サイドワインダー、AIM-4Dファルコン熱追尾の短距離ミサイルだった。
米空軍が当初期待したのはファントムで数十マイル先から敵機を探知したあ、音速で接近し、スパローミサイル「有効射程28マイル)で撃墜することだった。短距離ドッグファイトは訓練でも想定しなかった。ファントムは操縦性が優れた機体ではなかったからだ。
北ヴィエトナムのMiG-17やMiG-21との遭遇が発生するとこの想定はそのとおりにならなかった。軽量のMiG-21搭載のレーダーは非力でもパイロットには地上から米軍機への誘導があった。これはソ連の軍事原則どおりだった。米国の交戦規則では敵機が確実に識別できるまで発砲が許されず、通常は視界内距離を意味した。
米軍戦闘機に発砲の機会が生まれてもファルコンやスパローは故障が多く撃墜率は10パーセント未満という有様だった。短距離用のサイドワインダーはもう少し高く15パーセントだったが、有利な位置につき熱シーカーを作動させるためすばしこいMiG相手に超接近する必要があった。米軍機材は高価なのに、撃墜被撃墜率が2対1にまで下がったこともある。
そこで米空軍と海軍はスパロー、サイドワインダーの改良型を導入し、旧式AIM-4ファルコンは使用中止とした。その後、機関砲搭載のF-4Eが配備されると近接交戦時に別の攻撃手段が生まれた。一方、海軍はトップガン学校を創設し短距離内ドッグファイト技術を海軍航空士に教え込んだ結果、海軍のファントムで撃墜率が向上した。
その後生まれたF-15やF-16では最初から機関砲が装備され、操縦性も優秀になり、高速高性能エイビオニクスが搭載された。
今日のF-35は長距離ミサイルと強力なレーダーを運用するがファントム並のスピードはない。ライトニングの最高速度はマッハ1.6から1.8程度だ。これはレーダー断面積を減らした代償だ。このため空軍もSu-35など敵機との近接交戦では不利を認めている。理論上はSu-35を長距離で探知し、ミサイル発射を有視界距離で行い撃破することが可能だ。
では今後の空戦はヴィエトナム上空の戦いとどこまで似ている、あるいは異なると予想できるだろうか。
視界外距離で発射したミサイルが敵機を撃墜する可能性は?
ヴィエトナム戦で洗礼を受けた空対空ミサイルはその後相当の進歩を遂げている。今日のAIM-120D、メテオ、R-77といったBVRミサイルは当時のAIM-7Eの域を完全に超えている。
最新BVRミサイルの試験状況を見ると撃墜率は50%が普通で相当向上しているようだ。これには旧世代ミサイルの経験が生きている。もっと重要なのはBVRミサイルの射程距離が伸びているとはいえ、空対空の撃墜実績では視界距離で短距離中距離ミサイルを使う事例が中心だ。BVRでも撃墜実績はあるが相手は装備や訓練が不十分な相手でかつレーダー警報機能がない機体だ。戦力面で互角な大国相手では期待できない事態だ。
ただし、ミサイルの最大有効射程距離の公式発表が実用上の有効距離より相当長いことに注意が必要だ。つまるところ標的になった戦闘機はミサイルが到達する前に全速で脱出すればよいのだ。そうなるとAIM-120Dの名目上の有効射程は110マイルだが、F-35は十分な撃墜のためにはもっと近くへ接近する必要がある。そのため、次の疑問点が生まれる。
ステルス戦闘機は探知されるまでにどれだけ近づけるのだろうか
ステルス戦闘機は透明ではない。探知が難しいだけだ。敵センサーに探知される前にどこまで接近できるのか。
新鋭戦闘機には長距離赤外線探知追尾装備、電子光学センサーが装備され、有効距離は50から100マイルある。ステルス機では熱特徴を極力抑える設計だが、ジェットエンジンの高熱が対策対象になっているだけだ。一方で熱追尾ミサイルは短距離対応が普通である。そうなると赤外線がステルス戦闘機のアキレス腱だといえる。
ステルス機対策にはもうひとつ低帯域レーダーがあり、ステルス機の大まかな位置をプロットできる。ただし、誘導兵器用の精密度は期待できない。地上配備の低帯域レーダーでステルス機の存在を探知し、高速戦闘機を誘導し距離を詰めさせてIRSTであるいは短距離ならXバンド標的レーダーで探知するのだ。
この場合でもステルス機が先に第四世代迎撃機に発砲する可能性は高い。ただし数の面で有利な敵に敗れる可能性がある。離脱しようとしてもF-35より低速な第四世代機は少ない。ただしレーダーの有効範囲から脱出することは容易だろう。
視界外有効ミサイルの時代でドッグファイトに意味があるか
米軍の考え方では操縦特性よりもエネルギー(速力、高度)が重要とされる。高エネルギー状態の戦闘機は敵との交戦あるいは離脱に有利となり、ミサイルを出し抜くことも可能だ。他方で操縦性能でミサイルを回避してもエネルギーを使い果たせば、機体は次の攻撃の絶好の標的となる。
短距離兵器の威力が強まり単純な操縦性能はドッグファイトで重要性を失ったとの意見もある。ここに2つの関連技術の発達がある。ひとつがヘルメット搭載標的捕捉でパイロットがヘルメットを敵機の方向に向ければよい。もうひとつが高度視界外High Off-Boresight (HOBS)ミサイルでそもそも機体が敵の方向に向いていなくても発射できる。
ロシアが先に配備しその後米国もAIM-9Xとして追随したこの種のミサイルの意義は戦闘機が敵に向かって発射位置に付くこと自体を不要としたことだ。標的に向かう位置についた戦闘機はミサイルに速力を与えるあまり逆に撃墜されやすくなる。
最新の短距離ミサイルの命中率はWVR交戦で80ないし90パーセントと見られ、同程度の装備を搭載した2機がそれぞれの存在を探知ずみなら相打ちになる可能性が高い。この回避策として次世代の戦闘機バイロットは長距離からのミサイル発射を優先し、短距離の格闘戦は避けるのではないか。
交戦規則により短距離交戦はむずかしくなるのか
ヴィエトナム上空でファントムのパイロットがBVRミサイルを発射する優位性をみすみす逃した事態はヴィエトナム戦特有の事態と見られがちだが、実際の交戦規則でも有視界内交戦を重視する傾向が残っている。
これはもちろん民間航空機を誤って撃墜する事態を回避するためだが同時に敵味方が混じり合う混乱した空域で交戦許可が中々出ないためでもある。シリア空軍のSu-22を米海軍F/A-18ホーネットが撃墜した2017年の事例、1981年1989年と連続して発生したF-14トムキャットとリビアのSu-22、MiG-23との交戦事例が例だ。
それぞれの場合、F-35が飛行禁止空域をパトロール飛行していれば、敵機らしき機体の近くまで接近し自らの存在を示すことでステルスの優位性をわざわざ捨てることになる。F-15やラファールのような高速かつ操縦性が優れた第四世代機がこのような任務に望ましい。もちろん旧式第四世代機を使い、F-35はあくまでも深部侵攻攻撃や情報収集任務といった本来の得意分野に残してもこの問題は回避できる。
ヴィエトナム戦事例との比較でF-35の弱点が明らかになったが、ライトニングが航空優勢任務に必要な新技術の導入の余地を残しているため弱点だと断言も出来ない。長距離IRSTの有効距離、レーダーやミサイルでの敵ステルス機への対抗といった中核性能は公平に評価すべきだが、情報はすべて明らかにならないだろう。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .
読者の中にもF-35が万能の機材の用に錯覚されている向きがあるようですが、いろいろ足りない点があるのも事実のようです。ただこれまでの機体と違うのは機能がアップデートされる設計になっていることですが、技術の進歩に対応する余裕が本当にあるのか買い物として妥当なのか、こればかりは実戦がないとわかりません。

2018年10月13日土曜日

中国との有事に備え太平洋で代替基地を求める米空軍の動きに注目せよ


ここにきて米国では中国との対決を覚悟した記事が多数出てきましたね。現在の米中対立が次にどうなるかを既に想定しているということでしょう。一方、日本では貿易戦争の真の意味も理解できずピントのボケた論調ばかりではないでしょうか。

Take a Look at America's Backup Plan in Case of War with China これが中国との開戦時に備えた米国の緊急対応策だ

October 12, 2018  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaMilitaryTechnologyWorldwara2/ad
国との有事の際に太平洋地区の航空基地がミサイル攻撃の標的になることを米国は覚悟している。RANDコーポレーションがまとめた2015年論文が最悪の状況を伝えている。「大規模かつ正確な攻撃が対策未実施の基地に続くと破滅的な効果が生まれ、航空機多数が破壊され、航空基地の閉鎖は長引く」とある。
沖縄の嘉手納航空基地は中国に近いこともあり、最大の攻撃対象となりうる。中国は2015年にDF-26弾道ミサイルの存在を公表しており3000マイル離れたグアムのアンダーセン空軍基地を中国本土から狙えるとした。アンダーセン、嘉手納共に米軍の最大かつ最重要海外基地である。
そこでティニアンが登場する。グアムに近いちっぽけな同島が米空軍の代替基地のひとつになる。2月10日、空軍からティニアンを「アンダーセン空軍基地他西太平洋地点の施設の利用が不可能になった、あるいは制約を受ける事態が発生した場合」に代替施設とすると発表があった。
ペンタゴンは2017年度葉酸要求で9百万ドルで17.5エーカーの土地を購入し、「代替活用及び訓練」用に活用するとした。平時にはこの拡張で「最大12機の給油機他関連要員が配備」されると空軍は発表。
現在のティニアンは賑やかさと無縁の土地だ。
第二次大戦中は海兵第四師団、第二師団が同島を占領しその後B-29スーパーフォートレス部隊が進駐し、ノースフィールドから広島、長崎の原爆攻撃機が発進した。大戦中の武器弾薬庫や滑走路は放棄され使用されてこなかった。同島に残るかつての航空基地ウェストフィールドは国際空港だが小規模かつ活用されていない。
空軍はサイパンをまず活用しようとした。ティニアンは近接したサイパンの人工は15倍、空港施設と港湾もある。だが、「サンゴ礁、飲料水供給、交通事情、地元社会への社会経済的影響」を理由に空軍構想は現地で抵抗に遭ったとStars and Stripesが報じている。
反対派にはサイパン商工会議所も加わり、老朽しているティニアン空港の改修が無視されることを恐れたのもその理由だった。サイパン空港も混雑がひどく、空軍要員数百名が毎年八週間も演習でそこに加わるのはとても耐えられないと不評を買ったのだ。
これは過去への回帰とも言える。米国は冷戦中に世界各地に基地を分散させたが、ソ連のミサイル攻撃の驚異が消え、湾岸戦争後の予算カットで1990年代に苦境に陥いると、巨大基地への統合で経済性の追求を行ってきた。
しかし多数の基地に分散させたほうが残存性が高くなるとRANDのアラン・ヴィックも2015年の研究で指摘している。
「航空機を基地多数に分散させれば作戦基地・施設が多数になる。このことで飛行の安全性が高まるのは、悪天候や緊急事態に対応可能な予備施設が手に入るからだ。また飛行場が増えれば敵も監視対象が増え攻撃対象の絞り込みが難しくなる。(友軍機材は基地多数に分散配置する前提)」
「少なくとも分散配備で敵側は一層多くの装備を滑走路多数の破壊に当てる必要が生まれ、これまでのような集中攻撃はできなくなる。また航空機を基地多数に分散させれば建設費用運行費用は全体として増える。ただしコスト増対策として分散基地の施設は最小限とし当面は滑走路だけで可とすべきだろう」■

基地分散というのは既存基地の防衛が不可能と認めることですね。沖縄の人たちはこの事実からさらにネジ曲がった主張に導かれてしまわないか心配です。沖縄では下地空港がありますが、普天間はともかく辺野古の施設はどうしても必要でしょう。本土には空港多数がありますので支援部隊の展開が可能なはずです。これは有事法制で想定されているわけですね。北朝鮮はいわば初級レベルだったのですが、これからは真打ちとも言える中国への対応が待ったなしですね。

中国新型爆撃機H-20の初飛行近づくとの観測

China Says H-20 Stealth Bomber Makes 'Great Progress' Stirring Talk Of A First Flight Soon 中国がH-20ステルス爆撃機が「一大躍進」したと発表、初飛行が近づくとの噂が流れる

Word of the bomber's developmental progress comes amid a growing rift between the Chinese and American governments. 同機開発状況を巡る観測がある中、米中両国は一層対立を深めている


BY JOSEPH TREVITHICKOCTOBER 10, 2018
AVIC VIA CHINA DEFENSE ONLINE
年に渡り報道や噂に上っていた中国のH-20(轟炸20型)の開発が「大進展」したと国営通信社が伝え、初飛行も間もなくと思われる。同機の存在が公式非公式問わず浮上しているのは2018年の中国軍事航空の大きな進展の一つとされ、米国はじめ対抗勢力へ中国が一層強硬な姿勢をしめしている中で注目される。
2018年8月に国営中国中央テレビが「轟炸-20」は「新型長距離戦略爆撃機」と解説し、H-20の名称が初めて登場したと環球時報が伝えている。中国政府も同機が開発中と2015年に認めていたが、制式名称はその段階で示していなかった。H-20の名称はその後メディアに登場した。西安航空機工業(XAC)は国営中国航空工業(AVIC)の傘下企業で同機開発に従事中とも伝えられており、機体は米空軍のB-2に類似すると2000年代初期から伝えられていた。
「人民解放軍装備の開発は通常は極秘事項だ」と軍事専門家でテレビに顔をだすことの多いSong Zhongpingが述べたと環球時報2018年10月9日号で伝えている。「試験飛行が近づいている」
環球時報は中国共産党の公式新聞人民日報の傍系紙であり、中国語版、英語版を刊行しており米国内でも入手可能だ。
VIA ASIA TIMES
上の画像は中国中央テレビ報道からのものでH-20試作機だが実際の機体とは違う様相になるかもしれない。

評論家Songが中国政府の代弁者ではなく、独自の見解を述べていることに注意が必要だ。環球時報は南シナ海をめぐり米中が全面戦争に突入すると警世を鳴らす記事が2017年に掲載したようにしばしばおおげさな論調で知られる。
ただしSongは人民解放軍第二砲撃隊工兵大学の卒業で同大講師もつとめ「軍事ダイジェスト」編集者を務めた人物だ。第二砲撃隊はロケット軍と改称され、核弾道ミサイル部隊として知られる。
2018年5月にXAC設立60周年を祝いAVICがCGIを多用した映像でH-20を紹介した。全翼機らしき機体が布の下に隠され、ノースロップ・グラマンが米空軍向けB-21爆撃機を2015年のスーパーボウル中に瞬間見せたのと同一の構図になっている。
NORTHROP GRUMMAN/AVIC VIA CHINA DEFENSE ONLINE
上)ノースロップ・グラマンの広告(2015年) 下)AVIC発表の映像から

確度の高いH-20情報は皆無に近いが、わかっている情報から同機がステルス全翼機で少なくとも10トンの兵装を搭載し約5千マイルの行動半径があるとわかる。人民解放軍空軍 (PLAAF) の現行機種H-6がソ連時代のTu-16バジャーが原型なのを考えると相当の性能アップとなる。中国は爆撃機の進化をいきなり数世代飛ばすことになる。
核非核両用CJ-10K空中発射巡航ミサイルを満載すれば、中国に全く別次元の長距離戦略機能が生まれ、敵制圧が可能となる。開発中のCJ-10新型ではレーダー探知特性がさらに減るといわれる。H-20導入で大陸間弾道ミサイル、潜水艦発射式弾道ミサイルと並び、長距離核攻撃爆撃機の「核の三本柱」が実現する。
「中距離爆撃機ではPLA空軍の欠点たる戦略攻撃能力と戦力抑止力が手に入る」と中国共産党の公式紙China Dailyが2015年に伝えている。「空軍には大陸間戦略爆撃機で敵防空網の突破する能力が必要だ」
行動半径が5,000マイルあれば太平洋地区で、特に南シナ海で危機発生時の初期段階に権益の防御に役立つ。中国政府は南シナ海の支配でますます強硬になっており、米駆逐艦が2018年9月にゲイヴン礁付近を航行した際に中国艦船が危険操艦で接近した事件も発生している。
JAPAN MOD
中国のH-6K爆撃機

H-20は太平洋で米軍にとり無視できない脅威になりうる。PLAAFには米海軍水上艦部隊への対抗手段となり、空母戦闘群や主要空軍海軍基地特にグアムに脅威となる。米軍はすでに既存基地が破壊あるいは使用できない事態が発生した場合を想定した準備もはじめており、B-2爆撃隊がウェイク島から初めて運用を実施したのもこの一環だ。
H-20が実際に姿を現し、高性能だと判明すれば、米軍全体にショック波が伝わり、米国防産業界では新規装備や戦術、戦闘手順を改め同機への対抗措置がすぐに生まれるだろう。中国が米国の最個数性能軍事装備の機密を盗んだ疑いに懸念が生まれるはずだ。
同機は敵防空網を突破し重要標的を無力化するだろう。例えば航空基地、指揮統制施設であり、大規模通常戦の初期段階に投入されるはずだ。また防空網に穴を開け後続する攻撃隊の突破経路を開く役割も想定されH-6がその恩恵をうけるはずだ。投入するとすればインドのような域内敵勢力を相手にした作戦だろう。
PLAAFは新旧爆撃機を当面使い続けるはずで、米国がB-21レイダーステルス爆撃機の運用を開始してもB-52を使い続けるのと同様だ。H-6は旧式だが低リスク環境なら重要任務を任せられるし、新型長距離兵器の母機としての使い勝手は高い。
DOD
ゲイヴン礁に構築した人工軍事施設の衛星写真
ゲイヴン礁は人工軍事施設のひとつだ。中国は各施設の軍備を増強しており、長距離地対空ミサイルまで設置し対抗勢力にとっては有事の際の障害となる。PLAAFはH-6爆撃機部隊をウッディ島に2018年5月にはじめて展開させ新設基地から大型機の運用能力を誇示した。
「こうした無謀な嫌がらせにもかかわらず米海軍はこれからも国際法の許す範囲で飛行、航行を続けて我が国益の求めに応じていく」とマイク・ペンス副大統領がゲイヴン礁事件を受け10月4日に演説した。「こんなことでおじけづくことはない。引き下がるわけに行かない」
H-20の存在をあきらかにしたのは米国初め各国に南シナ海問題への口出しをやめさせる狙いがあるのだろう。好例が2018年1月にオンライン上で流布した画像で中国が海軍用レイルガン試作品だと認め、実用化されればゲームの様相を一変する別の装備品となる
H-6K含む中国爆撃機が南方海洋地方で離着陸訓練を行っている
こうした画像は公式発表分でないが中国政府が外部にその存在を意図的に目撃させソーシャルメディアに拡散させようとしたのは明らかだ。その後は公式ないし半公式に中国が各種装備の実用化を狙っていることが明らかになる。高性能有人機、無人機、極超音速兵器、衛星攻撃装備などこの例の枚挙にいとまがない。
米中両国の政府は緊張を極度に高めており、台湾向け軍事支援、貿易戦争、中国によるメディアを通じた露骨なドナルド・トランプ大統領攻撃など争点は多い。全てを念頭に入れると中国政府が公式メディアを使いH-20を軍事力増強の象徴とさせたとする説明も可能だ。実機の開発状況と無関係の場合もありうる。
「中国は政府をあげての動きを示しており、政治経済軍事のツールを駆使すると共に宣伝工作で米国内に自国の影響力を強め自国権益を確保しようとしている。軍事力を再建しつつ米国はこれからも自国権益をインド太平洋全域で主張していく」(ペンス副大統領)
中国がH-20開発に20年を費やしているとすれば、試作機が初飛行しても良さそうな頃である。現在の対米関係からすれば、初飛行は最悪のタイミングとなるのではないか。■
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2018年10月12日金曜日

★初のリチウムイオン電池搭載そうりゅう級11号艦おうりゅうが進水!

Japan launches first Soryu-class submarine equipped with lithium-ion batteries 

そうりゅう級のリチウムイオン電池搭載一号艦が進水

Gabriel Dominguez, London - IHS Jane's Defence Weekly
08 October 2018
  
建造主三菱重工が海上自衛隊向けおおりゅうを10月4日進水させた。同艦はリチウムイオン電池を搭載。Source: JMSDF


菱重工業(MHI)が海上自衛隊向けそうりゅう級ディーゼル電気推進攻撃型潜水艦(SSK)ではじめてのリチウムイオン電池搭載艦を進水させた。
同艦はおうりゅうと命名され艦番号をSS511とし10月4日、MHIの神戸造船所で進水式を迎えた。
同艦は同型艦11隻目かつMHI建造では6号艦となる。残り5隻は川崎重工業が建造している。おうりゅうは2015年3月に起工され、海上自衛隊へ2020年に編入される予定だ。
バッテリーメーカーGSユアサ(本社京都市)が2017年2月に日本は従来型鉛電池より大容量のリチウムイオン電池を初めて搭載したSSKを導入すると2017年2月に発表していた。また新型電池はそうりゅう級の最終建造艦SS511、SS512に搭載されると同社は述べていた。
Jane's Fighting Shipsによればそうりゅう級は全長84メートル、潜航時排水量4,100トン。
以前建造された同級艦は川崎重工製12V 25/25ディーゼル発電機2基、川崎コックムスV4-275Rスターリング大気非依存推進(AIP)エンジン4基が搭載され、鉛電池で電力を貯蔵していた。各艦の最大速力は潜航時20ノット、浮上時12ノットだ。
533ミリ魚雷発射管6門で日本が開発した89式大型魚雷を発射する。またUGM-84Cハープーン中距離対艦ミサイルも運用する。また水中対抗手段発射管2門も搭載している。■

いよいよそうりゅう級も最終建造段階に入ったのですね。そこで次世代につながる新型二次電池が導入されるわけですがどれだけの性能の相違を見せてくれるのか興味深いものですが、機密性が高い潜水艦だけにわれわれがその詳細を知ることはなさそうですね。