2019年3月3日日曜日

中国がSu-57を検討して出した結論とは....異様な中国のステルス戦闘機運用思想

米ロが似通った設計思想を持っているのに対し中国が異質なのか、そもそも戦闘シナリオが違うのか、米空軍が機種を絞り込もうとする中で、中国はむしろ特化した機体をたくさん揃える傾向があると思います。Su-57は中国からすれば魅力がないのでしょうか。

China Is Studying Russia's Deadly Su-57 Stealth Fighter: Here's Why They Think 中国がロシアのSu-57を研究してわかったこと

February 26, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaRussiaMilitaryTechnologyWorldSu-57J-20F-22F-35
国人専門家はロシアのSu-57ステルス戦闘機に複雑な見方をしていると中国国営メディアが伝えている。Su-57には欠点も多いが「ユニークな」機体というのがWang Yongqingの結論だと環球時報にある。
WangはJ-31を開発した瀋陽航空設計研究所の主任設計者だ。中国海軍が同機の採用を検討中と伝えられる。
トラブル続きのSu-57を詳しく検討したWangは中国にも参考となるはずの教訓を見逃しているようだ。
Su-57が大量にロシアで供用される可能性はないようだが、同機の設計に欠陥があったわけではなく、むしろ非常に洗練されよく考慮されている。一番の問題は同機に機関銃が搭載されているが中国のJ-20は搭載していないことだ。
.だが機関銃問題はWangには重要でないようだ。
「中国観測筋はSu-57の性能を低く見ているが、軍用機設計者のひとりにはSu-57はとてもユニークに映るようだ」と環球時報の2019年1月24日付けが伝えている。
Su-57は大型双発戦闘機で大型主翼があり、2010年に初飛行した。ロシア空軍は10機ほどを取得しテストしてきた。スホイはSu-57全機を手作業で生産したといわれるが、出来具合がいかにも雑だ。
Su-57には戦闘装備がないといわれる。2機はシリアに2018年2月に展開したが、ロシアは根拠を示さずに空爆に投入したと発表している。
クレムリンは2018年8月に生産型機材10機ほどを発注し、2019年に初の実戦飛行隊の編成を目指した。だが国防予算が減少する中で同機の大量調達はしないとの決定が出た。
ロシア政府はSu-57の調達削減方針を正当化してきた。「Su-57は現時点出世界最高の機体ですよ」とユーリ・ボリソフは2018年テレビで語っている。「そのため同機の量産を急ぐのは理にかないません」
人民解放軍空軍はJ-20ステルス戦闘機で遥かに高い成功を実現してきた。2011年初飛行し、2018年初頭にPLAAFは同機初の飛行部隊が作戦可能となったと宣言している。
中国は少なくとも三種類のステルス軍用機を開発しており、戦闘爆撃機、爆撃機、そしてJ-31があり、後者は中国空母への搭載になる可能性がある。
PLAは米国に次ぐ世界第二位のステルス機運用をめざするがWangはSu-57開発から学ぶところがあるという。
.Su-57の性能は全体としては「まったく悪いものではない」とのWang発言を環球時報が引用している。
Wangの分析ではSu-57は「革新的空力特性の機体設計で推力偏向制御が可能なSu-57では超音速巡航飛行能力があるところが重要で操縦性もずばぬけている」とある。
Su-57の設計を検討しWangはロシアと米F-22、F-35ステルス戦闘機の作戦思想を比較している。
「米側の次世代航空戦闘の概念では視界外戦闘を重視していますが、その場合にミサイルは相当の距離を飛翔するわけでSu-57では操縦性を極限まで高めて回避する必要があります」「ロシア戦闘機は特殊レーダーを搭載しミサイルの飛来方向を正確に探知します」
「超射程ミサイルは別にすると最終的な対決は近接距離で発生するでしょう。そうなるとステルスや極限までの操縦性は意味を失います」と環球時報は伝えている。Su-57には30ミリ機関砲を近接戦に備え搭載する。
Wangの評価から米・露・中のステルス戦闘機での方向性が見えてくる。Su-57設計がF-22やF-35との近接航空戦を想定するのに対し、米戦闘機両型も機関銃を搭載していることに要注意だ。米空軍はステルス機も超接近戦に備える必要があると考えている。
対照的に中国のJ-20には機銃がなく、中国がステルス機の作戦想定を全く違う形にしているのはあきらかだ。「USAFや業界はJ-20は機敏な操縦性を想定せず速度とステルスを前面に押し出した機体と見ている。陸上目標あるいは給油機やISR機材への奇襲攻撃を想定しているのだろう」とAir Force誌は結論を出していた。
.言い換えればJ-20は防空網を高速突破してミサイルを発射する機材だ。近接航空戦闘は想定していないのがあきらかだ。
「空力特性上の成約とミサイルの運用条件を考えると将来の戦闘でも銃は不可欠だろう」とスチュアート・ニコルス少佐は1998年に空軍大学校で論文を書いていた。
「機銃は単純ながら運用維持が楽だ」とし、「敵の電子対抗手段やフレアでミサイルの性能は下がるが機銃は無関係だ。追う一つ銃の大きな特徴は搭載レーダーの機能と独立していることで、レーダーが敵の対抗措置に脆弱であることが重要だ」
.Su-57,F-22、F-35を比較することでWangは中国のステルス戦闘機部隊に有益な知識を得たと主張する。おそらくその中心は設計思想こそ違うがロシア、米国ともにステルス戦闘機に機銃を搭載していることだ。■
David Axe serves as the new Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring  and Machete Squad.

Image: Creative Commons.

お知らせ ターミナル1がお引越し

いつもこのターミナル2をごらんいただきありがとうございます。

さて、この度民間航空宇宙開発等を扱うターミナル1(以下T1)を移転することにしました。

あたらしいURLは
https://aviationspacet1.blogspot.com/
です。

T1は2008年から開設していますが、掲載記事が見にくくなっておりますのでこの度移転を決めました。

これまでの記事はそのまま残し、3月中は新旧サイトで同時掲載、4月kら新サイトのみに記事配信の予定です。

T1にもご愛顧をお願いします。

ご参考 現行のターミナル1URLは
https://wind.ap.teacup.com/aviationbusiness/

です。

オーストラリア>空軍力の整備と防錆装備輸出への期待

アジア太平洋時代に日本もオーストラリアとの連携を強めていますが、意外に同国の実態は知られていない気がします。防衛産業の積極輸出を目指す点では日豪は共通していますが、方法論や仕組みづくりは微妙に違うようですね。


Australia formulates its path to military modernization and industrial growth オーストラリアは軍事装備近代化と産業発展をこう進める


By: Mike Yeo

2015年2月の航空ショーでオーストラリア空軍のF/A-18Aホーネットがフレアを投下した。(Scott Barbour/Getty Images)



国に最も忠実な同盟国といってよいオーストラリはアジア太平洋の要衝で空軍力の再整備と国内防衛産業の振興を通じてグローバル競争力実現を近未来に実現したいとする。

オーストラリアは世界と隔離されているように見えるが、アジア貿易への依存から地域内安全保障に多大な支出をしてきた。
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同国軍は多国籍軍の一員としてアフガニスタン、イラクに展開し、イスラム国との戦いも支援してきた。国内政界には米国との同盟を重視し法の支配を世界規模で維持すべしとの意見が強い。南部ヴィクトリア州で隔年開催の航空ショーが今月末に始まるが、同国はロッキード・マーティンF-35Aの初号機を受領して空軍装備近代化に向かう中で陸軍海軍とのネットワーク化を目指している。

第5世代機の導入

ジェリコプランPlan Jerichoとして王立オーストラリア空軍RAAFは統合ネットワーク化された空軍力を情報化時代に恥じない形で届ける組織への変革を模索している。その中核がデータや状況把握の増強を図りつつ新鋭機供用を開始することだ。F-35Aの72機がF/A-18A/Bホーネットの後継機として主力戦闘機となる。これを支えるのが24機あるボーイングF/A-18FスーパーホーネットとEA-18Gグラウラー(11機)電子攻撃機だ。

F/A-18A/Bは順次退役を始めており、2022年頃に完全退役する。カナダが25機購入し、うち18機を稼働させ残りは部品取り用にする。

オーストラリアはロッキード・マーティンAP-3Cオライオン対潜哨戒機の後継機としてボーイングP-8Aポセイドンとノースロップ・グラマンMQ-4Cトライトン高高度長時間飛行UAVを海上の状況把握ミッションに投入する。

P-8Aが先行し、発注15機のうち7機が引き渡し済みだ。トライトンは6機発注で2023年から引き渡しが始まる。

P-8Aは国連の北朝鮮制裁にも投入されており、昨年12月に沖縄から運航を開始した。

ジェリコプランで輸送機部隊との接続実証試験を開始し、業界と協力しRAAFのロッキード・マーティンC-130Jスーパーハーキュリーズ部隊にワイドバンド衛星通信装置と主翼に落下式増槽を追加し、今後ライトニングAT電子光学照準ポッドも追加され戦術能力を引き上げる。


A Boeing-made Australian E-7A Wedgetail airborne early warning and control aircraft in 2014. (Melina Young/Royal Australian Air Force via Getty Images)
オーストラリアが運用するボーイングE-7Aウェッジテイル早期警戒統制機。 (Melina Young/Royal Australian Air Force via Getty Images)


装備調達での展望

オーストラリアの防衛白書2016年版に将来の調達計画の片鱗が伺え高速救難機材や特殊作戦用ヘリコプターが予定されている。

後者についてRAAFのボーイングC-17戦略輸送機への搭載が条件で白書では『特殊部隊の兵力投入・撤収により偵察行動から対テロ作戦、人質奪回作戦と多様な条件に投入する」想定だ。C-17で三機ないし四機の輸送が可能な小型機にする想定だ。

白書ではRAAFの初等練習機の更新を2022年開始としている。空軍はBAEシステムズのホーク127を初等練習機兼戦闘機として供用中だ。
ホークは2026年頃まで供用可能と見られる。

RAAF参謀総長のレオ・デイヴィス空軍中将Air Marshal Leo Daviesは次期練習戦闘機で選択肢を複数検討中で、ホークの供用期間延長も含むと昨年の取材でDefense Newsに述べていた。

同国は海軍艦艇から無人機を運用する構想も検討中だ。海軍はシーベルS-100カムコプターで実証試験を行い今後導入するパトロール艇やフリゲートに搭載する無人機の調達も検討中だ。

防衛産業への期待

現時点のオーストラリア政権は国内産業育成に高い優先順位をつけており、現地産業界の参画にむけて努力してきた。

F-35生産事業でオーストラリア企業が垂直尾翼、兵装庫、機体表面パネルの製造で実入りの良い仕事を獲得している。

さらにF-35運用の維持に絡むオーストラリア企業は多い。この内BAEシステムズオーストラリアが南太平洋地区の機体補給修理場に指名されたほか四社がティア1部品65点のうち64点で地域内補給整備業務を請け負う。
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英国はボーイングE-7ウェッジテイルを空中早期警戒機に昨年選定したが、オーストラリアは同機を供用中だ。国防産業相スティーブン・チオボには英国との共同開発や企業提携の機会と写る。「オーストラリア産業界にはウェッジテイル取得と運用に関与する企業200社超があり防衛輸出案件として大きな効果が期待できる」

オーストラリア政府も防衛装備輸出を重要視しており、昨年発表の輸出戦略構想で輸出実績につながる企画、指導、評価の仕組みを提唱した。

また2018年-19年に14百万ドルを追加計上し防衛装備輸出を支援するとし、国防省内に輸出を専門に扱う組織を創設し戦略の実施を目指す。目標は2028年までに世界の防衛装備輸出トップ10カ国になることだ。■

2019年3月2日土曜日

戦力強化型ストライカー装甲車をヨーロッパに派遣しロシアへの抑止効果を狙う米陸軍

設計に拡張性があるのが利点のようですね。大量調達(ストライカーは4,500両近く生産)のメリットでしょうか。


Pentagon to Send Up-Gunned, Drone-Killing Strykers to Europe to Deter Russia

火力強化し無人機攻撃も可能なストライカー戦闘車両をヨーロッパへ送りロシアへの抑止効果を期待するペンタゴン
The US Army is arming its Stryker vehicle with attack drones, lasers, up-gunned cannons and anti-aircraft missiles
米陸軍はストライカーで無人機攻撃能力、レーザー、火力を強化し対空ミサイルの搭載もめざす




陸軍は米陸軍はストライカーで無人機攻撃能力、レーザー、砲塔を強化し対空ミサイルまでの搭載を2020年までに実現し、ヨーロッパに展開しロシアの「侵攻」を食い止めるべく国境防備体制を図りたいとする。

ロシアの脅威を前に米国は機動性と前方配備を重視した多機能装甲車両のヨーロッパ派遣を決定し、新型対空兵器を搭載させ「威力を増した」ストライカーが中心となる。

でたばかりのRAND報告書がこれまでロシアの脅威と動機について解説しており注目される。「ロシアの欧州における敵対行動」と題された報告書ではロシアの動向について説得力ある指摘が見つかる。

「2016年のロシア国内エリート層向け調査では82.3%が『現在の領土を拡張すること』がロシア国益につながると応え、2012年の43パーセント、2008年の64パーセントから増えている」

報告書の著者ラファエル・コーヘンとアンドリュー・レイディンは同時にロシアが「パラノイア」あるいはNATOの脅威を国境地帯で感じていると指摘。

「ロシアは一貫して脆弱に感じ防衛のあまり強硬な態度を時として示してきた....ロシア国境付近の小国が友好国として見られることは少ないのは敵勢力の前方基地になるとの恐れからだ」とし、プリンストン大教授スティーヴン・コトキンの見解を紹介している。

報告書にはロシアの関心地域の詳細が盛り込まれており、注目を集めるバルト海地区のみならず東ヨーロッパのスラブ語圏も含むとある。

この戦略構図を考慮すれば通常型のストライカーではヨーロッパ派遣に不十分な理由がわかる。派遣対象の車両には新型短距離防空兵器(SHORAD)としてヘルファイア、スティンガー、ジャヴェリンの各ミサイルでロシアを意識した防空能力を強化する。

中国あるいはロシアのヘリコプターや無人機がロケット、ミサイル、小火器で武装しており、SHORADはこの排除のため構想された。

これまでのストライカーに防空能力が欠けていたのでこれで解決する。またSHORAD兵器の搭載で無人機、ヘリコプター、低空飛行機、さらにミサイルも攻撃可能となる。陸軍の兵器開発部門では冷戦時に米軍はソ連脅威に直面し地上発射型対空兵器が当然ながら高優先順位を与えられていたがその後の15年は対戦闘員作戦に重心が移り能力が萎縮していたのだとする。

これによりSHORAD事業により30mm機関砲、攻撃型無人機、レーザー兵器を搭載し装甲戦闘車両を「大国間」対決想定に合う装備にする。
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陸軍上層部によればSHORAD対応ストライカー試作車が今年製造され、その後144両を生産する。

現在のストライカーにM2 50口径機関銃が搭載されているが、新型30mm機関砲は射程が二倍で火力も強力になる。

ジェネラル・ダイナミクス・ランドシステムズの兵器開発部門ではストライカーに搭載する小型センサー兼攻撃用無人機のテストを続けている。砲塔部分から垂直発射する小型無人機はシュライク2の名称で敵標的を探知、捕捉、追尾する。ビデオデータリンクを介し攻撃用ミサイルと協同して探知した標的を攻撃する。この技術でセンサーと攻撃の連携機能が生まれ「ハンター・キラー」になるとGDは説明。

同時に陸軍開発部門はストライカーで移動式高エネルギーレーザー兵器の運用が重要になると見ており、5kw級レーザーのテストで無人機に命中させている。レーザー兵器にはKuバンド追尾レーダーを用い自律的に標的を捕捉しその他センサー装備が戦闘中に破損しても対応可能とする。レーザーにより静かな防御攻撃が実現し、敵に位置を知らせずに戦闘任務を展開できる戦術面の優位性がストライカーに実現するという。

装甲車両の支援対象の歩兵部隊には近接航空支援の敵脅威に対抗する為移動式防空装備が必要となる。ここでストライカーのSHORADが真価を発揮する。歩兵隊がスティンガーを携帯してもストライカーが発射するヘルファイアやスティンガーの威力には及ばない。機械化部隊の大規模交戦では前方配備の歩兵隊に装甲車両の支援が必要となる。

SHORADで移動式防空力をリアルタイムで実現するのが目的だ。大型で固定式の地上発射ミサイルでは困難な任務となる。
例えばペイトリオットミサイルは中距離弾道ミサイルの迎撃に適しており、移動式とはいえペイトリオットでは敵ヘリコプターや無人機から歩兵部隊を守る能力は不足している。

「展開力」「移動力」「遠征派遣能力」を試される事態が米陸軍の目指すストライカー投入戦略の根幹だ。その意味でウェストポイントの近代戦研究所が発表した論文が注目される。ロシアは広範囲に整備した鉄道網があり兵力展開を迅速に行えるとある。ストライカー旅団は時速60マイルで移動できロシアの展開に対抗できる。この能力を数年前にDragoon Rideで示しており、ストライカー部隊は東ヨーロッパで護送任務を展開しながらNATO同盟軍との共同作戦体制を誇示している。■

-- Kris Osborn is a Senior Fellow at The Lexington Institute - HERE
Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.

2019年3月1日金曜日

☆インドMiG-21がパキスタンF-16撃墜との主張から浮かび上がる興味深い事実

The Indian Air Force Claims A MiG-21 Bison Managed To Shoot Down A Pakistan Air Force F-16D Block 52

インド空軍がパキスタン空軍F-16Dブロック52一機をMiG-21バイソンで撃墜したと主張



インド空軍のMiG-21バイソン (Image credit: IAFIAF発表ではMiG-21パイロットは身柄拘束されているが、被撃墜前にPAFのF-16を撃ち落としたという。

ずおことわりしておく。カシミール上空での事態ではい違う内容の発表がここ数日食出ており、インド・パキスタンの武力衝突で一部は確認が難しく実際に何が起こっているのかわかりにくい。


ひとつだけ両陣営発表から確認できたのはインド空軍IAF所属のMiG-21バイソン一機が撃墜されパイロットがパキスタン軍に身柄を拘束されていることだ。


本日判明した事項をお伝えしたい。


IAF発表によれば2月27日に撃墜されたMiG-21は8機編隊の一部で他にスホイ30(4機)、ミラージュ2000(2機)、MiG-21バイソンがあり、パキスタン空軍PAFの24機編隊(F-16が8機、ミラージュ-3の4機、JF-17サンダー4機含む)に空戦を挑んだものだった。


F-16の型式と存在を証明すべくIAFはインド領内で回収したAIM-120C5AMRAAM空対空ミサイルの残骸を公開した。


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Indian Armed Forces show parts of AIM-120 Advanced Medium Range Air-to-Air Missiles (AMRAAMs) launched from Pakistan Air Force F-16 over Kashmir near the LoC yesterday.
11:19 AM - 28 Feb 2019

最も興味を引くのは撃墜されたMiG-21バイソンが墜落前にPAFのF-16Dを管理境界線上空で撃墜したとのIAF発表だ。


「パキスタン空軍所属のF-16一機をインド空軍のMiG-21バイソンが撃墜した。F-16の破片は境界線沿いにパキスタンが実効支配するジャンムとカシミールに広がった。インド空軍もMiG-21一機を喪失し、パイロットは脱出したもののパラシュートが流されパキスタン軍に身柄を拘束された」とインド空軍は発表した。


「インド空軍第51飛行隊所属のMiG-21がロシア製ヴィンペルR-73近接対空ミサイルで敵機を撃墜した」との報道がある。


F-16が撃墜された証拠は示されていない。

PAFの F-16DがネリスAFBをレッドフラッグ演習 RF 16-4 で離陸している (Image credit: Tomás Del Coro)

確認がとれればだが、MiG-21による撃墜実績の意味は大きい。空戦で新型機(この場合はF-16)が必ずしも勝つ保証はないとの実証が加わることになるからだ。以下を頭に入れておく要素がある。パイロットの技量、他機材の支援(僚機やAEW機材など)、地上レーダー等だ。なかんずく交戦規則RoEが重要で、敵機のポジティブVIDが必要とあれば戦闘機はWVR(視界内)交戦を強いられ、MiG-21が威力を発揮する。このため第5世代戦闘機でも旧型機との交戦を常時訓練している。


今回の事案は確認は取れていないが第3世代機でも第4世代機の撃墜はWVR交戦なら可能だとわかる。


MiG-21バイソンはロシア製機体の性能改修型だ。設計こそ旧式だがレーダー被探知性が低く鋭い旋回性能、加速性能にヘルメット搭載視認装置やR-73空対空ミサイルが加わり改修型MiG-21はあなどれない敵になる。2004年のコープインディア演習で米F-15を相手にインドのMiG-21等が9:1の優れた空戦記録を残した事を忘れてはならない。■


米海軍向けF-35Cが初期作戦能力を獲得


F-35C Achieves Initial Operational Capability

F-35Cが初期作戦能力を獲得


F-35C landing on USS Nimitz (CVN-68) in November 2014 (01)
U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Kelly M. Agee [Public domain], via Wikimedia Commons


Story Number: NNS190228-18Release Date: 2/28/2019 4:05:00 PM
From CNAF Public Affairs
SAN DIEGO (NNS) -- 米海軍航空部隊総監と海兵隊航空部隊副司令は2月28日に合同で共用打撃戦闘機の空母運用化型F-35Cが要求性能を実現し初期作戦能力を獲得したと発表した。
F-35C初の飛行隊、打撃戦闘機隊VFA-147がUSSカール・ヴィンソン(CVN-70)艦上での運用認証を得て飛行運用安全証明が出たことで今回の発表になった。なお同隊は初の海外展開の準備に入った。
IOC宣言のため最初の作戦機材運用飛行隊は艦隊作戦行動の支援に必要なミッション実施体制をチェックされる。今回はブロック3F仕様のF-35Cが10機そろうこと、予備部品が確保され支援機材、工具類、技術資料、訓練課程、自動補給情報システム(ALIS)の完備が求められた。
さらに運用空母にも必要な施設整備が求められ、認証が必要だ。最後に共同事業推進室、業界、海軍航空隊それぞれが必要な手順、工程、方針を完備し運用を維持継続する体制を示す必要がある。
「F-35Cを戦闘投入し勝利を収める準備ができた」と海軍航空部隊総監デウルフ・ミラー中将が宣言した。「空母戦闘群に同機が加わることで統合部隊の戦力が大幅に引き上げられる」
レムーア海軍航空基地が海軍のJSF戦闘機隊の本拠地だ。VFA-125が海軍海兵隊のJSFパイロットを養成する。同機導入にともない基地には新規施設が作られ機体整備、訓練に供され飛行部隊の機材更新に備える。
F-35Cが作戦投入可能となったことで米海軍の空母航空部隊にステルス、高性能エイビオニクス、センサー融合、兵装運用能力が加わり、F-35Cは今までの水準を超えた航空優勢、迎撃、敵防空能力の制圧、近接航空支援能力に加え高性能指揮統制機能も実現する。パイロット、指揮官には類を見ない戦闘状況認識能力と戦力を提供する。
F-35CのIOC獲得は米軍で最後となり、USAFのF-35A、USMCのF-35Bが先行していた。■
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空飛ぶホワイトハウス、次期エアフォースワンはVC-25Bの制式名称に

次期エアフォースワンとなる機体は今から製造するのではなく出来上がり機材を改装するだけのはずなのになんでこんなに時間がかかるんでしょう。改装対象が相当高度なのでしょう。日本向け777がいとも簡単に出来上がったのと対照的です。要求水準が違うんですね。それ以上に現行のVC-25(747-200)を30年にわたり米空軍が必死に整備していることが伺えますね。

 

The new Air Force One arrives in 2024. Here's what we know so far. 次期エアフォースワンは2024年供用開始予定。今のところ判明していること

This Presidents Day, consider the past, present, and future of the airborne White House. 大統領の日に空飛ぶホワイトハウスの過去現在未来を見てみよう。

By Rob Verger February 18, 2019

Air Force One
ジョージ・H・W・ブッシュ葬儀で飛んだエアフォースワン。2018年12月3日。U.S. Army photo by Spc. James Harvey

べて計画通りなら2024年に米大統領が誰になるにせよ次期エアフォースワンとなる新型機材2機を受領する。現行機種はボーイング747で次期機材も同じだが新型機種となり全長翼幅共に増え航続距離・巡航速度も増加する。
ホワイトハウス同様にエアフォースワンは大統領の象徴だ。「大統領個々人とは関係ありません」と述べるのは戦略国際研究センターで航空宇宙安全保障部門長のトッド・ハリソンだ。「大統領、米政府の顔です」
以下エアフォースワンの新型機となる米空軍制式名称VC-25Bで判明している内容だ。
Air Force One
1959年から1962年にかけて専用機のボーイング707には青白塗色は使われていなかった Boeing

大統領専用機の歴史

各大統領がボーイング747を使ってきたわけではない。エアフォースワンで著書のあるケネス・ウォルシュはトルーマン大統領はプロペラ機「インディペンデンス」を専用機とし、「鷲のように見える塗装だった」という。
その後アイゼンハワー時代にボーイング707になり、当初は「軍用機調」だったという。
その同じ機体が現行機同様の青白塗装になったのはケネディ時代で「エアフォースワン」の呼称も生まれた。
「航空管制で区別できるコードネームが必要だったのでエアフォースワンには堂々たる響きもありましたからね」とウォルシュは言う。このコードネームが一般大衆にも知られることになった。
ケネディは同機を「大統領専用機」らしくし、結局同機は1959年から1990年にかけて稼働した
Air Force One
1962年から1990年までのエアフォースワンは引き続きボーイング707だったが大統領らしい塗装となった Boeing

電磁パルスにも対応可能

現在のエアフォースワンはH.W.ブッシュ政権に稼働開始しており、ボーイング747-200はVC-25Aとして現在も供用中だ。

「機材更新の理由は機材老朽化が一番だ」とハリソンは言う。新型機に切り替えれば恩恵は明らかでエンジン燃費が向上し信頼性も引き上がり、新型防御・通信装置の搭載も期待できる。
たとえば2001年9月11日、ジョージ・W・ブッシュ大統領は機内から通信に苦労していた。当時U.S. News and World Reportのホワイトハウス特派員として大統領の移動に300回同行していたウォルシュによれば「ブッシュ大統領は通話中に何度も途切れた電話に戸惑っていた」とし、「今回は完全に解決したようだ」としている。
ウォルシュによれば9/11以降は大統領が機内から全国放送できるようになっている。
現行機には極秘の防御装備がついている。「わかっているのはエアフォースワンの機体表面には核戦争の際に発生する電磁パルスを受け付けない加工がされていることです」とし次期機材でも同様の構造だろうとする。
ウォルシュは現行機には携行型熱追尾ミサイルのような兵器への対応能力もあり、離着陸時のリスクに備えるとする。「対抗装置があることがわかっています」とし、小型ミサイルを「受け付けない」のだという。
「それ以上は軍も話したがりません」とウォルシュは述べ、「報道陣としては他の防御装備もあると見ていますが、秘密の壁で守られています」
Air Force One
1990年からエアフォースワンはボーイング747-200で2024年まで2機が飛び続ける Boeing

「あらゆる国家非常事態」に備える機体

米空軍は新型機747-8について以下説明している。

「改装作業では詳細は運用上の安全の観点からすべて明かすことはできない。通信装備、医療装備、執務室内部、防御装備、自己完結型地上運用体制等である。VC-25Bは空のホワイトハウスとして最高司令官が憲法上の責務に従って移動中も執務しながら、最高水準の指揮統制機能を軍事力を対象に行い国家の安全を維持する機能をいかなる国家非常事態や緊急事態の中でも確立するのが目的だ」
Air Force One
次期エアフォースワンの想像図 Boeing

次世代エアフォースワンには空中給油機能はついていない問われるが、ウォルシュは本当にそうなのか疑わしいという。「エアフォースワンは緊急時にも大統領を乗せたまま安全に飛び続ける必要があります」

なお機材調達予算は39億ドルである。■