2023年9月10日日曜日

北朝鮮の「弾道ミサイル潜水艦」はまともな戦力になるのか。旧式潜水艦を無理やり改造した奇怪な「フランケンサブ」に疑問が消えない。ただし、今回の発表がハッタリとしても西側の対潜アセットは無視できなくなる。

 

旧式ロメオ級通常型潜水艦をここまで改造したのは、金正恩がめざす第2次攻撃核抑止力の夢のあらわれだ


KCNA



 戦時代のロメオ級ディーゼル電気潜水艦を、北朝鮮が「フランケンシュタイン」化し通常動力ミサイル潜水艦に作り変えた。金正恩が出席した式典は9月6日、北朝鮮東岸の新浦潜水艦基地で行われた。この潜水艦は「英雄キム・クンオク」と名付けられ、船体番号は841だ。


新浦で弾道ミサイル潜水艦を視察する金正恩委員長。(KCNA)



2019年に地上で改造中の、いわゆるゴラエ/シンポC級「SSB」の姿を初めて見た。セイル後方に接ぎ木されたミサイル・コンパートメントが、奇妙な外観を与えていた。それが今回我々が目にしているものと同じ艦であるかは明らかではないが、北朝鮮が何年もいじくりまわしていたことを考えれば、その可能性は高い。



同潜水艦の能力については、セイル後方にあるミサイル・コンパートメントの延両側に各5、合計10個のドアがあることが明らかだ。前方の4つは後方の6つより大きい。これは、この艦が複数種類のミサイル、具体的には短距離と長距離の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、および/またはSLBMと潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM)を混載する設計に符号する。特に、新型核搭載可能な海上発射巡航ミサイル、フワサル2は、潜水艦発射に適合しており、以前提唱したように、この潜水艦の巡航ミサイルの最有力候補となる。


この潜水艦の非常に古い船体設計と、接ぎ木されたミサイル・コンパートメントがわかる。(KCNA)


桟橋に横付けされた進水後の潜水艦。(KCNA)

北朝鮮は長年にわたり、弾道ミサイルを発射することで、公然と核抑止力を追求してきた。それでも、北朝鮮が大改造したSSBを機能させることができるとして、核パトロールが可能な艦を1隻か2隻持つだけでは、信頼に足る核の第2撃抑止力を確保することはできない。北朝鮮の潜水艦は現代の基準からすると非常に騒音が大きく、出港した瞬間から追跡される。それでも、このような能力が存在すること自体が、北朝鮮にとって核兵器開発という野放図な冒険の新たな大きな一歩と見なされるだろう。持続的なパトロールは、韓国、アメリカ、日本の対潜水艦の資源を大幅に拘束する可能性もある。


2019年に新浦の潜水艦ヤードを視察した金正恩は、政権のロメオ級からSSB「フランケンサブ」への野望を初めて垣間見た。(KCNA)


数年前、ロメオ級に乗る金正恩。このタイプは1950年代にさかのぼり、現在も北朝鮮海軍の潜水艦艦隊の基幹をなしている。(KCNA)


特筆すべきは、進水が9月6日に行われたとされている点だ。しかし、その日の高解像度の衛星写真には、進水式準備の様子も含め、その様子はまったく見られない。進水が行われ、桟橋エリアが素早くリセットされたか、あるいは準備が非常に迅速に行われ、衛星パスが何も拾わなかった可能性もあるが、少し奇妙に思える。


大々的なお披露目式での金正恩の発言について、NKNews.comはこう書いている:

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の指導者は水曜日の演説で、「既存の中型潜水艦を、現代戦において重要な役割を果たす戦術核を搭載した攻撃型潜水艦に改造する計画」の概要を説明した。

北朝鮮は、「原子力潜水艦建造のための開発計画や将来計画とは別の」計画で、「海軍の核武装を休むことなく加速させるだろう」と報じた。


ここまでユニークな同艦で次のマイルストーンは、SLBMの試射だろう。■


North Korea's Diesel-Electric Ballistic Missile 'Frankensub' Emerges


BYTYLER ROGOWAY|PUBLISHED SEP 7, 2023 8:31 PM EDT

THE WAR ZONE


2023年9月9日土曜日

習近平が台湾侵攻の前に別の脆弱な周辺国へ武力を行使する可能性が高まってきた。対象はどこか。

 


中国の武力行使は台湾以外の場所で始まる可能性

中国による台湾侵攻を抑止する米国の取り組みが成功すれば、中国が別の国を攻撃する可能性がある

メリカのアジア外交は、中国に台湾を侵攻させず、南シナ海におけるアメリカのパートナーの主張を簒奪するのを阻止することに重点を置いている。しかし、太平洋における米国の効果的な抑止力により、中国は台湾を攻撃する前に、より脆弱な近隣諸国を相手に能力を評価できる内陸部へ狙いをシフトさせるかもしれない。

アメリカの戦力がアジア内陸部に投射される機会はほとんどないため、この地域は中国にとって、最近整備された軍の能力を試す、低リスクのチャンスとなる。中国は、1979年にベトナムで屈辱を味わって以来、大規模な軍事作戦を行っていない。そのため、小規模介入を行うことで、能力を試すことができ、また中国の武力行使に対する世界の反応も試すことができる。従って、米国はこれらの地域におけるパワーバランスを改善させ、中国の軍事行動を抑止するべきである。

習近平国家主席は、対外軍事行動に向かわせる内政での圧力に直面している。習近平は、失速した経済を若返らせ、中国共産党の強さを国内外に示す党の期待に直面している。習近平はまた、人民解放軍(PLA)に対し、広範な改革の価値を示したいと考えている。

中国の人口ピラミッドが急速に逆転していること、国内の失業率が著しく、不満が高まっていること、習自身の年齢を考えれば、期待に応えるには時間がたりない。だからこそ、台湾の安全保障に対する米国の懸念は高まっているのだ。

米国が台湾に注目することで、中国の野心を別の目標に向かわせる可能性がある。台湾の物理的な地理、ヤマアラシのような防衛戦略、アメリカの庇護は、台湾の制圧を困難にしている。中国軍の戦闘経験の欠如も相まって、台湾との戦争は習近平が直面している圧力を緩和する賢明な方法ではない。習近平はまず、中央アジアや東南アジアの、利害関係の低い舞台で限定的な軍事行動を追求するかもしれない。

習近平は中国の少数民族であるウイグル族を迫害しており、キルギス、タジキスタン、アフガニスタンなど、自国主権を守る能力に限界がある中央アジア各国と国境警備上で懸念を高めている。習近平は、アフガニスタンの崩壊や中国人へのテロ攻撃のような出来事を軍事介入する理由に活用できるだろう。これでPLAに貴重な実戦経験を提供し、習近平はPLAの即応性を評価し、軍に対する大規模改革の価値を証明できる。このような高価な改革が成功した証拠があれば、中国経済が失速し始めている中で政治的ストレスから解放されるかもしれない。以前であれば、この地域におけるロシアの軍事的優位が抑止力となっていたが、ウクライナ戦争により中国への依存度が高まり、北京に対抗するモスクワの信頼性が低下している。


中国が東南アジアの紛争に介入する可能性もある。中国はミャンマーと長い国境を接しており、ミャンマーは2021年5月以来、終わりの見えない内戦に巻き込まれている。中国は長い間、ミャンマーを代理の緩衝国として維持しており、政治的・安全保障上の懸念が軍事的経験を積む機会を生み出す可能性がある。気候変動による難民危機の脅威は、不安定さに対する認識を悪化させ、あるいはインドが前例のない中国の介入に挑戦する気をそらす可能性がある。

ミャンマーはASEANのメンバーだが、その他加盟国は紛争対処の努力を怠っている。さらに、南シナ海における中国の行動は、ASEANが抑止力と見られていないことを暗示している。そのため、中国はこの地域を「安定化」させるため軍事作戦を展開し、アフガニスタンと同様の利益を得るかもしれない。

第三のターゲットは、軍事的に弱いモンゴルである。中国と国境を接するモンゴルには、石炭、ウラン、モリブデン、銅、スズなど、世界で最も豊富な鉱床がある。これらの資源は、中国の拡大する原子力計画、石炭プラント建設、電子技術革新(特に半導体)の燃料となる可能性がある。中国がアメリカの貿易戦争や国際制裁から自国を守りたいのであれば、こうしたプロジェクトの拡大は極めて重要だ。モンゴルの多額の負債と、特に石炭生産に関連する最近の国内不安は、ウランバートルのこれらの鉱床の完全利用を妨げ、モンゴルと中国の貿易の現状を脅かしている。

2022年、国際通貨基金はモンゴルは世界的なショック、国境紛争、経済スタグフレーションに直面していると宣言した。モンゴルの「政治的不安定性」は、中国に有利な「戦略的鉱業プロジェクトを大きく混乱させる」可能性があるとIMFは述べている。正式な対外防衛コミットメントがなく、軍備も小さいモンゴルの不安定な状況は、国境資源を強引に奪取し、利用することに北京が魅力を覚えさせるかもしれない。

上記シナリオのいずれでも、軍事的経験と経済的利益、そして習近平にとっての政治的利益は、中国による予期せぬ対外行動を動機づけるかもしれない。しかし、中国が太平洋でアメリカに挑戦するためには、軍事経験と経済力が不可欠であることを考えれば、アメリカはロシアやインドのような地域大国に、中国とのバランスを取り、このような試練を防ぐよう働きかけるべきだろう。


アメリカが太平洋で中国を封じ込めることは、アメリカの利益にとって重要である。しかし、貴重な資産を支配し、中国軍の能力を証明する機会を失うことは、ひいては習近平が太平洋でより積極的な措置を取る自信の醸成を妨げることになりかねない。

地域内有力諸国が中国を中央アジアや東南アジアから締め出せば、太平洋におけるアメリカの投資を間接的に保護できる。だからこそアメリカは、中国が中央アジアや東南アジアにもたらすリスクを認識するだけでなく、そのリスクに対し行動を起こすよう、地域の大国に積極的に働きかけることが極めて重要なのだ。中国が潜在的に悲惨になる戦争を始める第一歩を踏み出す前に、アメリカはこの地域に利害関係を持つ有力国の利益を活用すべきである。■

China Won’t Start With Taiwan - 19FortyFive

By

Patrick Fox and Garrett Ehinger


Patrick Fox is a Program Assistant at the John Quincy Adams Society, the Co-Host of the Security Dilemma Podcast and the Editor-In-Chief for the Realist Review. He holds a bachelor’s degree in international relations from Syracuse University and was a Fall 2022 Marcellus Policy Fellow. You can follow him on Twitter at @patrckfox.

Garrett Ehinger is an Assistant Editor at Realist Review and a China analyst who holds a bachelor’s in Biomedical Science with a minor in Mandarin Chinese from Brigham Young University in Idaho. He is currently a master’s student at the University of Utah studying public health. He has studied Chinese culture and language for over a decade. You can follow him on Twitter at @GarrettEhinger.


2023年9月8日金曜日

今年2月に発生した一連の未確認飛行物体遭遇、撃墜事例は未だに謎のまま。カナダ政府内部メモがあらたな疑問点を提示している。

 

(U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Austin M. May)

ジャスティン・トルドー首相宛てメモは、昨年2月の謎の空中戦について洞察を提供し、さらなる質問を示している

2月にアラスカ、ユーコン、ヒューロン湖上空で3日間で3つの未確認飛行物体が撃墜され、その1週間前にサウスカロライナ沖で中国のスパイ気球が撃墜された事件を受けて、カナダのジャスティン・トルドー首相は、2月11日のユーコン事件に関しカナダ政府の対応を記した極秘メモを受け取った。さらにそのメモには、2月10日に米空軍がアラスカ上空で撃墜した機体の "全容解明 "は "まだ完了していない "と記されている。数日後の報道では、アメリカは墜落した物体の残骸の捜索を中止したという。これがどのような諜報活動のことを指しているのか、正確には不明である。

2月14日に送信された "首相へのメモ "は、カナダのCTVニュースが情報公開法(FOIA)により入手したもので、メモによると、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は、"すぐに特定できない探知された物体すべてを追跡するために未知の物体に順次番号を付けている。反対尋問の結果、ほとんどの物体は無害であると判明し、より高い報告や交戦のより高いしきい値を満たしていない。しかし、メモが "UAP #23 "と特定した物体は、その年のその時点で北米上空でNORADがUAPと分類した23番目の未確認レーダートラックであったことを意味し、それが撃墜されたことを考えると、より高いレベルの懸念に上昇した。

メモには、2月11日に米空軍のF-22ラプターによって撃墜された未確認物体の「機能、推進方法、いかなる国家との関係も未確認のままである。それが武力的脅威をもたらすのか、情報収集能力を持っているのかは不明である」。

メモはまた、墜落した物体を見つけるためのカナダ空軍(CAF)の航空捜索活動に触れている。

「...山がちな地形、既存の積雪、そして予想される新たな降雪により、回収の見込みは低い」。

メモには、先住民のハンターがカリブー狩りの最中に誤って物体を発見してしまう懸念が記されていた。また、CAFのCF-18ホーネットがその物体を迎撃するためにスクランブルされたが、"F-22の方が時間、空間、薄れゆく光に基づいてより良い位置を特定できた"と説明されている。

このメモをトルドー首相と国家安全保障補佐官ジョディ・トーマスに送ったのは、当時「枢密院の有力な事務官」を務めていたカナダ政府高官ジャニス・シャレットであったと、CTVニュースは説明している。枢密院は「国の公共サービスを指揮する中枢であり、政策を決定する首相と内閣に超党派の支援を提供する責任がある」と同ニュースは伝えている。

シャレットは、カナダ当局やメディアによる報道から3日後、この物体が武装した脅威なのか、それとも情報収集能力があるのかについて疑問を呈した。

2月11日の記者会見で、カナダのアニータ・アナンド国防相は、未知の物体は2月4日にサウスカロライナ沖で撃墜された中国のスパイ気球よりも小さい「小さな円筒形の物体」だと述べた。その物体は、撃墜された時、40,000フィートで飛行していたと伝えられている。

またその日、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、この件に関する公式報告書を引用し、物体はテザーでつながれたペイロードを持つ小さな金属風船であったと報じた。これは、前述の記者会見でアメリカのF-22とカナダのCF-18の協力について語ったカナダのウェイン・エアー国防参謀総長の発言と一致している。

「気球を破壊するため最初で、最高のショットが可能な機体はゴーサインを持っていた」エアーは述べていた。

シャレットのメモには、2月10日、カナダとの国境に近いアラスカ北東部の水上でF-22がUAPを撃墜したことについても簡単に触れている。

「米国が2023年2月10日に関与したUAP#20の完全な利用はまだ完了していない」とシャレットは書いている。

2月11日、ニューヨーク・タイムズ紙は、プルドー湾沖の凍った海氷に衝突して落下した物体が「粉々に砕けた」と報じた。

シャレットがメモを提出した3日後、ニューヨーク・タイムズ紙は、シャレットのメモに書かれた両方の物体について「米国は捜索を中止した」と報じた。

また、2月10日にアラスカ上空で撃墜されたUAPの "完全な利用 "について、メモが何を意味しているのかも不明である。しかし、メモが言及したであろう努力の線はいくつもある。

情報機関は米軍とともに、航空機やミサイルの墜落現場を対象としたFME(Foreign Material Exploitation)と呼ばれる調査を行い、その構造や運用方法、実際の能力について詳しく調査する。これは、何十年にもわたり敵対国の重大な諜報活動の暴露に不可欠であった、長い間確立された影の慣行である。

残骸を見つけるために、アラスカの人里離れた地域で活発かつ集中的な捜索が行われた。しかし、アメリカ政府が主張するように何も発見されなかったとすれば、このメモは、物体を追跡した多くの資産によって収集されたセンサーから抽出されたデータに言及している可能性がある。特に航空プラットフォームは、物体に最も接近し、アラスカの辺境を横切る物体の視覚情報を記録したはずである。

当時のリポートで本誌が述べたように、国防総省の最高報道官パット・ライダー空軍准将は、F-35の2機変態が迎撃と物体の識別を行ったと記者団に語っていた。

F-35は、電気光学照準システム(EOTS)と分散開口システム(DAS)によって収集された赤外線データを使用して、昼夜を問わず物体の完全なビデオを撮影できる。これは、無線周波数ベースのセンサーシステムに追加して行われる。

2月10日のアラスカ上空での事件は謎に包まれたままであり、入手可能な情報からは、他の撃墜された物体とは対照的である。

撃墜直後、ホワイトハウス国家安全保障会議のジョン・カービー報道官は、破片は海氷の上に置かれており、分析のために回収する努力がなされていると述べた。彼はまた、その物体は容易に操縦可能であるようにも、かなりの積載量を持っているようにも見えなかったと述べた。

ライダーは、約40,000フィートで飛行していた物体は、"小型車ほどの大きさ "であったと述べた。その高度で航空への脅威と認識されたため、撃墜された。

ABCニュースは、アラスカ沖で撃墜された "物体 "は、"円筒形で銀色がかった灰色 "であったと、無名アメリカ政府関係者の話として報じた。

これらの詳細は、2月4日にサウスカロライナ沖で撃墜された中国のスパイ気球について、我々がこれまでに得た情報と大きく異なっている。気球のペイロードは小型旅客機並みで、重さは何千ポンドもあると米当局者は説明したが、操縦能力があり、高度60,000フィートから70,000フィートで舞い上がっていたという。

この情報の空白の中で、アラスカの物体について、それを観察したパイロットによる証言から、航空機のセンサーに干渉したらしいという報告まで、エキゾチックで未確認の主張がなされている。

シャレット・メモは、撃墜された物体について報告するだけでなく、UAP21号と22号には特に触れていない。しかし、2月12日、米空軍のF-16がヒューロン湖上空でUAPを撃墜したことは、この記事の冒頭で述べたとおりである。当時の当局によれば、物体が最初に確認されたのは2月12日であったため、それがUAP#21か#22のどちらかであったかは不明である。

ヒューロン湖上空で撃墜された物体は、傍受された無線通信に基づいて、比較的小さな気球であったようだ。

本誌はシャレットのメモに記載された詳細について、より多くの情報を得るために機関数個に連絡を取った。また、シャレット本人にLinkedInのページや政府からのEメールで問い合わせた。適切な回答があれば、この記事を更新する。

NORADの広報担当者は水曜日、本誌に対し、"このメモについて具体的に言及することはできない "と述べた。

エリザベス・マティアス空軍大佐は水曜、本誌への電子メールで、「2月15日の内部文書1点が、その時期の出来事やプロセスに関する最も正確な情報を示しているとは限らないことに注意したい。「しかし、われわれの作戦や手順について、より多くの情報を喜んで提供するつもりだ」と伝えている。

本誌はまた、カナダ国防省、アメリカ国家安全保障会議、そして国防総省のUAPを追跡する部署であるAARO(All-Domain Anomaly Resolution Office)にも連絡を取り、追加の回答を求めた。これらの機関から提供された適切な情報があれば、この記事を更新する。

米議会や本誌を含むメディアが何度も要請しているにもかかわらず、国防総省は北米上空での3回の撃墜の画像をいまだに公表していない。物体の観測と破壊の間に収集された豊富なデータと画像があった。

2月4日の中国のスパイ気球の発見とその後の撃墜は、そのような物体からの防空能力について警鐘を大きく鳴らした。これは、本誌が何年も前から繰り返し指摘していたことだ。この一連の奇妙な事件の余波で、未確認物体への対処法を変えるとともに、そもそも未確認物体を発見しやすくしようと大きな動きが始まった。NORADのセンサー・エコシステムの大幅なアップグレードも進行中であり、多国籍軍事組織が自らの脆弱性をよりよく理解するよう議会から要求されている。

事実、北アメリカ上空で発生した前例のない一連の出来事をめぐる情報の欠如は、多くを困惑させ続けており、それらをめぐる光学的な問題は明らかに国防総省を苛立たせている。これらの物体について何が正確に知られていたのか、そしてそれらが互いにどのように異なっていたのか、そしてその情報がいつ知られたのか、一般の人々には謎のままだ。■


Secret Memo Raises More Questions About UFO Shootdowns Over Alaska, Canada


BYHOWARD ALTMAN, TYLER ROGOWAY|PUBLISHED SEP 6, 2023 9:12 PM EDT

THE WAR ZONE




2023年9月7日木曜日

ロシアとウクライナで戦争の意味がここまで違う。ウクライナ悲観論は大事な点を見逃している。

  クライナの反攻が最近失速しているとの指摘が一部論者から出ている。ウクライナの領土奪回は、キーウ、ハリコフ、ケルソン周辺での以前の戦果より小さい。ウクライナ側が領土を大幅奪還できるか疑問視する者さえいる。

これら論者は、この紛争が始まって以来、ロシアとウクライナは根本的に異なる2種類の戦争を戦っていることを理解していない。ウクライナ側は、ロシアの誇らしげな成功の定義を模倣しようとしたことはない。それどころか、ロシアの見出しへのこだわりを利用して大損害を与え、自分たちの勝利を早めることに余念がない。

ロシアにとっては常に広報戦だった。ウクライナがNATOに加盟する可能性への不満や、ウクライナのユダヤ系大統領が「ナチス」であるという虚偽のプロパガンダ以外に、ロシアがウクライナに是正を求める実質的な不満はなかった。それどころか、プーチンは劣等民族と見なした民族に対するロシアの人種的優位性を再確認し、ロシアで横行する腐敗が生み出した苦難からロシア国民の目をそらすため、愛国心を煽ろうと戦争を始めたのだ。

そのため、ロシアは代償に目をつむり自画自賛を追い求め続けている。プーチンが戦略上取るに足らない小さな都市バフムートに執着すると、軍指揮官はなんとしてもこの都市を占領するよう命じられた。そのためにロシアはウクライナの5倍の兵力を失い、血みどろの市街戦を7カ月も続けた。その過程で、ロシアは人海戦術で何千人もの徴用兵の命を落とした。

ロシア軍の損失は再び膨れ上がり、指揮官たちは取るに足らない集落を 「何としても 」維持するよう命じられていると伝えられている。

一方、ウクライナにとっては、常に国家存亡を賭けた戦争だった。ロシアはウクライナを攻撃しないという約束を何度も破ってきたため、ウクライナは、ロシアを打ち負かすことでしか安全保障は得られないと理解している。ロシアが1994年にウクライナのものと認めた領土を維持することを許せば、プーチンは軍備を整えた後に再び侵攻してくるだろう。そのためウクライナはすべての領土の奪回に集中している。 

ウクライナの戦略で重要な部分は、ロシアに不釣り合いな損失を与えることにある。プーチンがバフムートに執着していることを認識すると、ウクライナ人はゆっくり戦いながら撤退を開始し、ロシアに莫大な犠牲者を出しながら、自分たちの命を守るため譲り渡した。プーチンのプライドが、バフムート防衛に戦略的価値よりもはるかに多くの戦力を割かせることを知っているからだ。

ウクライナにとってもう一つの鍵は、無能なロシアの兵站を絞め殺すことだ。ロシアのキーウとハリコフへの初期の侵攻を鈍らせた後、ウクライナ側は侵攻者を強制的に立ち退かせるかわりに、ロシア側の食糧と弾薬の入手手段を断ち、最終的にロシアに撤退まで追い詰めた。同様の方法でロシアをケルソンから追い払った。

ウクライナの反攻は、強固なロシア陣地に対してコストのかかる全面的な正面攻撃を仕掛けるのではなく、不釣り合いな損失を与え、ロシアの兵站を破壊することに再び重点を置いている。1991年にサダム・フセインをクウェートから追放するために、アメリカは最初の兵士が国境を越える前に、イラクの兵員、弾薬庫、補給路を1カ月超にわたり集中爆撃していた。

ウクライナにはそれができない。西側諸国が先進的な軍用機の供与を拒否しているからだ。長距離ミサイルの供給も限られている。

したがって、ウクライナ側はロシアの部隊、装備、弾薬庫を、ウクライナ側が持つミサイルの射程内に入るほど誘い込む必要がある。そのため、ウクライナ軍は南部で十分に前進し、ロシア軍の資源を破壊している。そして、前線全体で圧力をかけ続けることで、ウクライナ側はロシアに全予備兵力の投入を余儀なくさせている。ロシアはプーチンの人為的な期限に間に合わせるために訓練将校の多くを戦場に急行させ、失った。

ウクライナ側は、ロシアが占領したクリミアへの物資の供給を妨げている。半島に入る唯一の道は橋と船だが、ウクライナ側はその双方を攻撃している。また、占領地南西部へ唯一の陸路鉄道も寸断された。ロシア軍は、ウクライナ軍が攻撃しても効果的な砲兵支援が得られなくなってきたと苦言を呈している。

プーチンは、少数民族やイスラム教徒をウクライナで不当に死に追いやることで、ロシアのエリート層の支持を得てきた。それが変わり始めたのは、6月のワグネル・グループによるクーデターが失敗に終わったときだ。プーチンは、クーデターに加担した、あるいは兵站が不十分だと公に訴えたとの理由で、多くのトップ将官を交代させた。ロシア国防省への度重なる無人機攻撃は、プーチンの無敵神話に穴をあけた。

プーチンの唯一の望みは、西側諸国が戦争に飽きウクライナ支援を打ち切ることだ。もしこちらが忍耐を示し、ウクライナ人にロシア式の広報戦を求めなければ、ロシアの兵站、ロシアの前線防衛、ロシアの体制が順不同に崩壊していくことが予想される。プーチンの醜悪な侵略をきっぱり打ち破れるのであれば、その価値は十分にある。■

Ukraine and Russia are fighting two different kinds of war | The Hill

BY DAVID A. SUPER, OPINION CONTRIBUTOR - 08/10/23 12:30 PM ET

David A. Super is a professor of law at Georgetown Law. He also served for several years as the general counsel for the Center on Budget and Policy Priorities. Follow him on @DavidASuper1.


2023年9月6日水曜日

ウクライナの「勝利」は額面通り受け取っていいのだろうか。考えれば考えるだけウクライナにとって厳しい事実が控えているのに

 厳しい現実: ウクライナ攻勢は失敗だ


ロシア-ウクライナ戦争で冷厳な真実は、ウクライナの最新の一手の攻勢が失敗に終わったことであり、いくら言い換えても結果は変わらない

2022年のキーウ軍は例外的で大きな戦場数カ所で成功を収めた。2023年に向け、これらの勝利が最終的な戦争勝利への道を開く期待が高まっていた。残念なことに、ウクライナの上級指導層は、誤った判断、自国能力の過大評価、そして悲しいことに、西側の軍事装備の有効性の過大評価に苦しんだ。

 2023年1月の時点で、西側メディアはウクライナの「春攻勢」を語り始めていた。当時、ロシア軍はウクライナのハリコフとケルソンをめぐる戦闘で大打撃を受けていた。モスクワは30万人の部隊を部分的に動員して4カ月が経過していたが、新兵の取り扱いで当初はひどいつまずきを見せ、未確認報道だが70万人ものロシア人青年が戦闘を避けるために国外逃亡したとされていた。ウクライナの士気はうなぎ登りで、ロシアのモチベーションは地に落ちていた。

 初期のロシア人徴兵兵の質は明らかに劣っていたが、11月の時点で、クレムリンはウクライナの秋攻勢で空いた穴に数万人以上の徴兵兵を投入し、流れを食い止めた。プーチンは1月までに、UAFに圧力をかけ続けるため、ソレダルとバフムートの双子都市に重点を置いて、1000キロの前線全体で攻撃作戦を強化した。プーチンはこの戦いをPMCワグネル・グループに委ねる選択をし、ここでウクライナは2023年最初の大きなミスを犯した。


ウクライナとロシアにとってバフムートは二重の災難

バフムートは70,000人ほどの中規模都市だった。ここを領有する者にとって戦術的な意義はあったが、それ自身が作戦レベルで重要な意味を持つとは考えられなかった。ウクライナはこの町を保持していたが、3月上旬までにワグネルは町の東の郊外に到達した。その時点でウクライナにとって軍事的に必要だったのは、西側の次の防衛線までバフムートから撤退することだった。

 なぜなら、ウクライナ側にはロシアが進軍しなければならない高地と開けた戦場があったため、いかなる攻撃も非常に困難で、人員と装備の面でコストがかかるからである。しかし、バフムートにとどまることで、ロシア軍の任務ははるかに容易になった。ロシア軍はバフムート内のウクライナ軍陣地から数メートル以内まで移動できたのだ。バフムート守備隊は、その時点から不利な立場に立たされた。

 しかし、ゼレンスキーはとにかく戦いを続ける道を選んだ。米国の上級指導層は数カ月にわたって、ウクライナ大統領に戦闘は勝ち目がなく、他の防衛陣地に移動するよう警告した。ゼレンスキーは優位な戦闘陣地への撤退を拒んだだけでなく、部下に建物一つも譲らないよう命じ、死闘を強いた。毎月毎月、ゼレンスキーは流れを逆転させようと、旅団を次々とバクムートの援軍に送り込んだ。

 軍事的な基礎知識からして、ワグネルのバフムート占領を止める合理的な望みがほとんどないことは痛いほど明らかであっただけでなく、ゼレンスキーがバフムートを助けるため無益な援軍となった旅団の多くは、来るべき春と夏の攻勢にも緊急に必要であった。バフムート陥落から2日後、ゼレンスキーは反抗的な態度をとり、同市は陥落していないと主張した。2022年、ゼレンスキーの粘り強さと妥協を許さない姿勢は、ロシアの侵攻を鈍らせ、その後2度にわたって作戦上の大敗を喫する結果となった。

 ウクライナは、戦略的に取るに足らない都市の防衛にかけがえのない資源を費やしただけでなく、これから始まる長丁場の攻勢で極めて重要な旅団を失った。残念ながら、6月に攻勢が開始された後も、ミスは続いた。

 不十分で不適切な訓練が失敗への道を開いた攻撃開始の何カ月も前から、西側の出版物多数は、ウクライナ軍がNATO諸国から受けていた「高度な訓練」を称賛していた。同時に、ウクライナの多くの旅団は、チャレンジャー戦車やレオパルド戦車、米国の砲兵システム、ブラッドレー戦闘車、ストライカーなどの近代的なNATO戦闘車両を装備していた。NATOの技術とNATOの訓練を組み合わせることで、ロシアの防衛を突破し、アゾフ海岸にくさびを打ち込み、占領軍を真っ二つに分断するような質の高い攻撃能力を生み出すことが期待された。

 フォーリン・アフェアーズは攻撃開始当日に、「ウクライナの隠された優位性:欧州の訓練生はいかにしてキーウ軍を変貌させ、戦争を変えたか」と題する分析を発表した。しかし、作戦開始から3カ月近くが経過した現在、欧州とNATOの訓練はUAFを変貌させる効果はなかった。作戦が始まる数カ月前に筆者が主張したように、数週間から数カ月の訓練とNATOの装備の寄せ集めで、ウクライナが自らを変えることは不可能に近い。その理由は根本的なものであり、ウクライナ軍を非難するつもりはない。

 帯域防衛システムを準備した大国を打ち負かすために、複合武器作戦の効果的を生む実戦部隊を編成するには、まず、相当数の戦闘旅団を持たなければならない。各旅団の大隊と中隊には、小隊長や軍曹、中隊長、一等軍曹、少佐、大隊長、作戦将校など、このような作戦の実施経験を持つ者を配置しなければならない。こうしたリーダーには、小隊レベルで2~5年、中隊レベルで5~7年、大隊・旅団レベルで15~20年の経験が必要である。

 教育・訓練を受けた指導者が部隊に適切に配置されれば、次に必要なのは、個々の兵士が自分の技能(戦車運転手、ブラッドレー砲手、歩兵分隊員など)の熟練度を高め、次に装甲戦闘プラットフォームを運用するための乗組員を訓練し、その後小隊が一緒に戦い、次に中隊が一緒に戦い、さらに旅団で大隊が一緒に戦い、最後に戦域で旅団や師団が一緒に戦うことである。このような個人集団の訓練はすべて、調整された統合軍作戦を成功させるため行う。ウクライナにはその前提条件が皆無だった。それゆえ、待望の攻勢が当初からレンガの壁に突き当たったとしても不思議ではなかった。


2023年夏のウクライナ攻勢での戦術的パフォーマンス

 ウクライナ軍の攻勢における詳細なパフォーマンスは以前にも詳しく取り上げたが、ここでは成功に至らなかった原因となった重要なミスについて述べる。第一の問題は、ウクライナの軍部と政治指導部が攻勢開始を指示しなかったことだ。作戦開始からほぼ1カ月後、ウクライナのヴァレリー・ザルジニー司令官Valery Zaluzhnyはワシントン・ポストインタビューで、進展がないことへの不満を聞くと「腹が立つ」と主張した。

 しかし、同じインタビューで、「十分な補給がなければ、計画はまったく実現不可能だ」と認めている。彼の不満の主なものは、制空権がないことだ。NATOは制空権なしに攻撃作戦を開始することはない、と彼は言った。そして彼は正しい。しかし、ザルジニーにはさらに不利な要素があった。

 ウクライナはまた、慢性的な防空能力の欠如、榴弾砲と砲弾数の不足、電子戦システムの不足、ミサイル不足、そしておそらく最も重要なことだが、必要な地雷除去能力が25%しかないことに苦しんでいる。したがって、ウクライナが6月5日に広範な前線にわたり攻勢を開始したとき、キーウ、ワシントン、ブリュッセルの誰も、ロシアのバズソーに遭遇したことに驚かなかったはずだ。

 ロシアの多層防衛システムは、ウクライナ軍を足止めし、キルゾーンに誘導するため、地雷に大きく依存している。最初の2週間は、事実上すべての機甲攻撃が失敗し、獲得した領土はごくわずかで、作戦の価値は皆無だった。ニューヨーク・タイムズなどは、UAFは最初の2週間で攻撃部隊の5分の1を失ったと報じている。これ以外に方法はなかった。

 ロシアが制空権、強力な防空、砲弾の優位性、強固な電子戦システム(ウクライナの通信機能を低下させ、大量のUAFの無人機やミサイルを無力化する)を持ち、入念な防御作戦を準備するため6~9カ月もあったのなら、大規模な攻撃作戦を実施した経験の乏しい、部分的に訓練された部分的な装甲部隊を派遣することは、大勢の兵士を確実に死に追いやることであることは、疑問の余地なく明らかだったはずだ。

 ウクライナ側は装甲車両を最小限に抑え、歩兵中心の行動をとる戦術に変更した。UAFは3カ月目に入った現在、ザポレジア戦線において、スタロマイオルスケ、ウロジャインの大部分、ロボティナの大部分を奪取するなど、足踏み状態の前進を見せたものの、北部のクピャンスク地区で若干の失地を喫した。しかも、数キロを掻い潜るため兵力数万を失っている。UAFには、匍匐前進を続ける兵力も装備もない。中間目標に到達するずっと前に、兵力は尽きてしまうだろう。


影響はこれから出てくる

今日のロシアとウクライナの戦争における冷厳な真実は、ウクライナの最後の一手としての攻勢が失敗に終わったということだ。UAFが失敗したのは、楽観論や希望的観測やスピンに左右されない永続的な戦闘の基本に基づく、まったく予測可能な理由によるものだ。問題は米国が今何をすべきかである。

 開戦当初からワシントンが採用してきた方針は、「必要な限り」ウクライナを支援するというものだった。それが良い考えであったか悪い考えであったかは、別の機会に議論することにしよう。ここで重要なのは、この政策がキーウにとってもワシントンにとっても有益な結果をもたらさなかったということであり、新たな現実を認識し進化しなければならないということだ。

 何千台もの装甲車、何百万発もの砲弾、ミサイル、爆弾、そして訓練と情報支援、さらには何十億ドルものその他の援助を提供したのだから。しかし、その支援でウクライナの勝利はもたらさなかった。そして今、現実に照らして新たな政策を打ち出すときが来ている。■


The Hard Truth: Ukraine Has No Realistic Path to Victory Over Russia - 19FortyFive

By

Daniel Davis

Daniel L. Davis is a Senior Fellow for Defense Priorities and a former Lt. Col. in the U.S. Army who deployed into combat zones four times. He is the author of “The Eleventh Hour in 2020 America.” Davis is also a 19FortyFive Contributing Editor. 


2023年9月5日火曜日

たった2年で自律型兵器数千機を製造する国防総省の大胆な構想は明らかに中国との軍事対決を意識し、米国の技術優位性を活用しようとしている

 レプリケーターはわずか2年で自律型兵器数千機を製造する国防総省の大胆な構想

Repeated war gaming shows that large networked swarms of drones that can cover vast areas would be critical to winning a brawl over the Taiwan Strait. USAF/CDC

レプリケーターには米軍の戦い方を大きく変える可能性があり、中国の量的優位を正面から覆そうとするもの

 国防総省は、中国の急速な軍事力整備に対抗する最新戦略を発表した。レプリケーターReplicatorの名称で、「小型、スマート、安価、多数」を特徴とする、攻撃可能な自律型プラットフォーム「数千」機の実戦配備に重点を置く。この構想は、中国の大規模な軍に対抗する方法として、米国の技術革新を活用するもので、同時に、AIアルゴリズムの恩恵を受ける無人システムに任務を負わせようとするものでもある。

レプリケーター・プログラムは、キャスリーン・ヒックス国防副長官 Deputy Defense Secretary Kathleen Hicksが、ワシントンで開催された全米国防産業協会のエマージング・テクノロジー会議で発表した。

レプリケーターが相手にする脅威について、ヒックス副長官は「PRCの最大の利点は質と量である」とし、急速に多様化する中国の対アクセス/領域拒否能力がもたらす特別な課題にも言及した。

ヒックス副長官は、レプリケーターのアプローチには歴史的な前例があると付け加えた:「私たちが経済と製造基盤を動員するときでさえ、アメリカの戦争勝利戦略が、敵対国の船と船、あるいはショットとショットのマッチングだけに依存したことはめったにありません」とし、ロシアのウクライナへの全面侵攻に言及するかのような辛辣なコメントを付け加えた:「結局のところ、私たちは競合他社のように国民を大砲の餌にはしていません」。

対照的に、レプリケーターは、「敵国を出し抜き、敵国を戦略的に出し抜き、敵国を巧みに操ることによって、敵国を圧倒する」米国の能力を基礎とし、それを継続する。

レプリケーターが実現すれば、どのような構成になるのだろうか?

ヒックスは、このプログラムが「明日の技術を習得する」こと、すなわち「損耗前提attritableで自律攻撃するシステム」を目指すと説明するだけで、詳細はほとんど語らなかった。この種のプラットフォームの利点は、「コストが安く、射線上に置かれる人数が少なく、(中略)大幅に短いリードタイムで変更、更新、改良が可能」であることだ。「PLAの質量に我々の質量で対抗するが、我々の質量は、計画しにくく、命中しにくく、打ち負かしにくいものになる」。

この文脈にある「損耗覚悟」とは、通常、ハイリスクなミッションで負けることを厭わないほど安価でありながら、ミッションに十分な能力を持つプラットフォームを指す。しかし最近になって、空軍は「アフォーダブルマス」“affordable mass”という言葉を使い始めた。これらのシステムを実際に失っても構わないという意思を示唆するもので、作戦シナリオにおいては必ずしもそうではない可能性がある前提に基づいている。レプリケーターの場合、どの程度のコストになるかはまだ分からないが、明らかに、手頃な価格、迅速な反復開発サイクル、大量生産の可能性などが現段階では考慮される。

自律システムに関してヒックスは、レプリケーターが「国防総省が10年以上にわたり世界をリードしてきたAIと自律システムに対する我々の責任ある倫理的なアプローチに沿って開発され、実戦投入される」と述べた。

米軍は何十年も公的に自律型能力の開発に取り組んできたし、機密領域でも重要な仕事が展開されてきたのは確かだ。

ヒックスが「AIに対する責任ある倫理的アプローチ」に言及したことは、レプリケーターが、特にある種の繊細なタスク、とりわけ殺傷力を行使するかどうかの判断に関しては、依然として人間を「ループの中に」含む可能性があることを示唆している。この点で、特に中国は異なるアプローチを取っていると広く考えられている。ヒックスは、「我々が中国に対して持っているもう一つの比較優位」、すなわち「これらのシステムは我々の戦闘員に力を与えるものであり、彼らの能力を圧倒したり弱めたりするものではない」と述べた。

ヒックスは、ウクライナ戦争の事例を持ち出し、「民間企業や非伝統的企業によって開発された新たな技術」が、いかに「現代の軍事的侵略から身を守る上で決定的な存在」になりうるかを示した。具体的には、スターリンク・インターネット衛星、スイッチブレード浮遊弾、紛争に影響を与えた商業衛星画像の使用などを挙げた。

ウクライナが情報収集・偵察・監視、そして標的や攻撃のため効果的に使用中の、民生ドローンの種類は、レプリケーターがもたらす可能性のあるシステムを示す一つのヒントになるかもしれないが、プログラムははるかに広い。

消耗品扱いで自律的なシステムの開発は、これまでも航空戦領域で行われてきたが、ヒックスは、同じコンセプトが、すべての軍、国防革新ユニット、戦略能力局、そして各種戦闘司令部レベルを通じ、すでに国防総省の投資対象になっていることを指摘した。

攻撃可能で自律的なシステムの開発は、すでに「無人艦船から非搭乗員航空機など」複数の領域に及んでおり、レプリケーターも同様であろう。

コストを下げるだけでなく、ヒックスは、損耗前提コンセプトには、システムを「戦術的なエッジに近いところで生産できる」との大きなメリットもあると指摘する。このシステムは、従来の防衛技術より迅速に戦闘に投入でき、いったん実戦投入されれば、通常の任務指揮系統の外を含む、より異例の方法で使用することができる。

ヒックスはレプリケーターの攻撃可能で自律的なシステムのもう一つの興味深い機能、すなわち、「帯域幅が制限されたり、断続的になったり、劣化したり、拒否されても、回復力のある分散システムとして機能する」能力が必要だとも提起した。

レプリケーターで最も注目される側面は、想定速度と導入規模で、ヒックスは、"今後18〜24ヶ月以内に、複数ドメインで、数千の規模で”消耗品扱いの自律システムを実戦投入する目標を概説している。ヒックスは、これが「言うは易く行うは難し」で、国防総省のために、従来とは異なる企業を含む産業界を活用する全く新しいアプローチを必要とすると認めた。

特に空軍は、双方向ベースで生産可能な新しい航空機を迅速に開発するため、いわゆる「デジタル・エンジニアリング」に注目してきた。最近では、空軍のボスであるフランク・ケンドールでさえ、デジタル・エンジニアリングのプロセスが「誇張されすぎている 」と結論付けている。レプリケーターについては、国防総省は新しいプラットフォームを迅速に開発し、実戦配備するための他の方法論に目を向けなければならないかもしれない。

レプリケーターでどのようなシステムを開発し、どのようなミッションを遂行するかは、現時点ではまだ推測の域を出ない。しかし、ヒックスは、これらの攻撃可能で自律的なシステムは、一夜にして現在のシステムに取って代わると期待されているのではなく、国防総省が戦争に備え、出撃の方法における長期的なシフトの先駆けである事実を強調した。

ヒックスは将来の米軍について、「アメリカ軍は大型、精巧、高価で、数が少ないプラットフォームの恩恵を今後も受けているはず」と描いた。しかし、レプリケーターは、「小型で、スマートで、安価で、多数を活用するため、米軍の技術革新の遅すぎるシフトに活気を与えるだろう。これは、空軍と海軍の次世代制空権への取り組みに非常によく似ている。特に、極めてハイエンドの有人NGAD航空機に随伴して戦闘に参加するCCA(コラボレーティブ・コンバット・エアクラフト)無人機との間の二項対立である」。

ヒックスは、レプリケーターが最終的にこの種の戦争を有利なバランスに傾くプログラムであることを望んでいる。プログラムが量と速度に関して極めて野心的な目標を掲げているため、それを達成するのは非常に難しいかもしれない。特に、攻撃可能で自律的なシステムはすでに運用上の課題が山積している。

レプリケーターが生み出すと予想されるシステムの種類について詳細はまだ明らかになっていないが、同プログラムはすでに非常に注目に値する。

空中、水上、そして波の下と、さまざまな能力と複雑さを持つ無人システムが登場することは十分予想されるが、どれも「精巧」すぎて開発が長期化したり、価格が高騰したりすることはないだろう。しかし何よりも、これらのシステムの多くを結びつけ、コントローラーにその活動を知らせ続けることができる壮大なネットワーキング能力が、レプリケーターが生み出す可能性を最大限に運用する際の最大の課題となるだろう。また、広域で複数のドメインにまたがるメッシュ・ネットワークも欠かせない要素だろう。

AIは自律性だけでなく、重要な通信帯域幅の「パイプ」をすぐ詰まらせかねない、これらのシステムによって生成される絶対的に大量のデータを解析するためにも必要になる。遠くへ送る前に、そのデータをプラットフォーム上で解析すること、あるいは少なくともその場で解析することが、このようなコンセプトの大きな課題であり特徴になる。しかし何よりも、多様な「スウォーム(群れ)」の中で自律的に協働する異種能力の能力が、この新戦略の最もインパクトのある側面であることは間違いない。行動の量とスピードで敵を圧倒することが、ここでの重要なプレーであることは間違いない。

結論から言えば、これは非常に大きな問題で、その範囲だけが問題ではない。これは、長い間待ち望まれてきた無人化シフトの主要な部分であり、今まさに焦点となりつつある。目先の戦術や調達の変更にとどまらない。議論されているように実現すれば、米軍の戦い方や兵器の開発・調達方法は永遠に変わる。

タイミングとしては、今から2年後というのは、中国が軍事的に台湾に攻勢をかけると多くが予測している時期と重なる。そのため、レプリケーターは抑止力の役割を果たす可能性がある。戦争ゲームでは、自律型システムの大群が、台湾海峡をめぐる戦いでどちらが勝つかという決定的な要因になることが示されていることは注目に値する

「我々は、中国指導部が毎日目を覚まし、侵略のリスクを検討し、今日がその日ではなく、今日だけではないと結論づけるようにしなければならない」とヒックスは言う。リプリケータがどこまで成功するかは、時間が経てばわかるだろう。■


Replicator Is DoD's Big Play To Build Thousands Of Autonomous Weapons In Just Two Years

BYTHOMAS NEWDICK, TYLER ROGOWAY|PUBLISHED AUG 28, 2023 7:49 PM EDT

THE WAR ZONE