2018年11月20日火曜日

世界各地で建造中の空母5隻の最新情報



Aircraft Carrier Watch: 5 New Carriers Being Built Right Now You Need to Check Out 空母情報:世界で建造中の空母は計5隻

November 17, 2018  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarAircraft
界初の航空母艦HMSハーミーズの建造から100年が経ち、空母は現在でも威力を誇っている。ニューポートニューズから上海まで主要海軍国で空母建造が続いている。ステルス、スタンドオフ兵器や無人機など新型技術をいかにはやく導入し実用化できるかが重要かつ喫緊の課題になっており、空母は災害救助から制海任務まで多様な用途に投入されている。世界各地で建造中の空母5隻の最新状況は以下のとおりだ。
米国、USSジョン・F・ケネディ、USSエンタープライズ。ジェラルド・R・フォード級二番艦のUSSジョン・F・ケネディは第35代大統領の名を冠する二番目の艦となり、全長1,092フィート、飛行甲板は最大幅256フィートだ。満排水量は10万トン、航空要員含む全乗組員は4,450名となる。75機からなる有人機、無人機、ヘリコプターを搭載する。
USSケネディは2015年4月に起工し、現在50パーセント管制している。2019年に命名式を行い、2020年中に就役する。USSエンタープライズの就役は2027年で海軍は今後30年でフォード級12隻を整備する。
USSフォードで電磁航空機発進システムEMALSで問題があり、ケネディ、エンタープライズでは実証済みの蒸気カタパルトに戻す検討もあったが結局予定通りEMALSの採用が決まった。
英国、HMSプリンス・オブ・ウェールズ。クイーン・エリザベス級二号艦がHMSプリンス・オブ・ウェールズだ。艦容は両艦で同じで、全長920フィート、飛行甲板幅は240フィートある。排水量は64千トンだが米空母よりはるかに少ない1,600名が搭乗する。
プリンス・オブ・ウェールズはF-35Bを12機から24機搭載する他、対潜・多用途ヘリコプター14機を運用する。有事には戦闘機を36機まで増強できる。英米両国の合意で英軍向けF-35Bの戦力化まで米海兵隊所属のF-35B飛行隊が両艦から運用される。
プリンス・オブ・ウェールズ建造は2011年にスコットランド・ローサイス造船所で始まり、2017年にエリザベス女王により命名され、現在は艤装中だ。同艦は2019年に海上公試を開始し、2020年就航の予定だ。
中国、003型艦。中国初の空母遼寧が人民解放軍海軍で就役したのは2012年9月だった。二号艦は名称不明だが遼寧を原型に現在海上公試中だ。中国からの報道を見るとさらに二隻が建造中で003型艦となる。
003型艦の情報は少ない。上海で一隻が建造中で、二号艦は大連で建造中だ。近代建造技術を駆使する中国初の大型艦になり、一個が数百トンの「スーパーリフト」と呼ぶモジュールで建造する。中国の原子力推進は潜水艦に限定されており、大型水上艦向けにはシステムを拡大する必要があり、新型空母は通常動力を採用する。
003型空母はスキージャンプ甲板にならないようだ。遼寧、二号艦ではスキージャンプ方式を採用しプロペラ駆動の支援機は運用できない。さらに運用機材では燃料・兵装搭載量で制限がつき、性能を発揮できない。EMALSと同様の発艦装備があれば新型艦は各種機材を運用可能となろう。
003型艦の搭載機数は不明だが、これまでの中国艦より拡大するはずだ。船体規模によるが最大70機を搭載する可能性がある。
インド、INSヴィクラント。インドも海軍航空兵力の運用で長い実績を有しており、これまで旧英海軍空母を保有してきた。だがINSヴィクラントの建造でこの流れに終止符がうたれる。同艦はインド初の国産空母で、最新鋭空母二隻の保有を目指すインドに大事な一歩になる。最終的には三隻の運用を狙っている。
ヴィクラントは国産空母第一号(IAC-1) とも呼ばれ、建造は2008年にコチン造船所で始まった。ヴィクラントは通常型空母としては小型で排水量は45千トンだが、インドの建造史上最大の艦となる。全長860フィート、飛行甲板全幅203フィートだ。インド海軍旗艦INSヴィクラマディティヤと同様にヴィクラントにもスキージャンプが付き、着艦時には拘束ケーブルを使う。この着艦装置はロシアから調達する。
ヴィクラントは30機を搭載し、うち20機がMiG-29K多用途戦闘機でヘリコプターが10基だ。ヴィクラントは2018年就役予定だったが建造とライセンス問題で2020年10月に延期となった。二号艦IAC-2はINSヴィシャルと呼ばれ、設計段階にある。同艦は65千トンとヴィクラントを上回る艦容になり、米空母技術とくにEMALSを導入する見込みだ。■
Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.

Image: Wikimedia Commons

2018年11月19日月曜日

F-35導入の遅れを想定した米空軍の対応策とは、その他米航空戦力整備の最新案から読める情報とは



The Air Force Has a Plan if the F-35 Doesn't Work Out As Planned F-35事業が予定通り進展しない場合に備える米空軍の構想


November 16, 2018  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35MilitaryTechnologyWorldWarF-18. F/A-18




F-35が予定どおり戦力化しない場合に備えペンタゴンはF-15E、F-16、F-18の再調達を想定しているのか。


米議会調査部(CRS)によれば、ペンタゴンが出した航空戦力整備長期計画の背後にこの可能性が見えるという。


国防総省はアメリカの航空戦力を30年俯瞰で想定する構想案を毎年更新している。通常は総論で曖昧な内容に留まる事が多い。


今回は違う。「2018年4月発表の最新の三十年構想では詳細内容が豊富で、事業中止、耐用年数延長、新規事業に触れている」とCRSのジェレマイア・ガートラーが述べる。「一部は直接的、一部は間接的だ」


ガートラーは航空戦力整備構想で判明するパターンに注目している。とくにF-35に関する件だ。空軍はF-15Eストライクイーグル、F-16で耐用年数を延長しながらF-15C制空戦闘機は退役させようとしている。


「F-15EとF-16で共通要素は何か」とがートラーが問いかける。「ともにF-35ライトニングIIが後継機の予定だが、新構想ではF-35が予定通り就役ができない場合を想定し空軍が既存機種で耐用年数を延長して穴埋めをねらっているとわかる。F-35調達機数は変更がなく、空軍は1,763機だが予定通りに投入できない事態を想定し、空軍は旧型機の改修をめざす」


さらにA-10ウォートホッグは2030年代まで飛行継続し、ここでもガートラーはF-35調達の遅れを最初から空軍が想定していると見る。同様に海軍はF-18スーパーホーネットで耐用年数延長を目指しており、旧式のA型からD型は退役させる内容だ。つまり海軍はF-35のトラブルに備える構えだ。


ガートラーは今回の航空戦力整備で以下興味深い点がみつかったと指摘。


第六世代戦闘機で動きが来年発生。海軍と空軍は2019年に第六世代機の性能諸元を決定したいとする。「本格生産は数十年先になり、現在は概念形成の作業が中心。海軍は来年中に検討を完了させるとする。次のステップは提案内容の作成だ」(ガートラー)


KC-46の調達拡大。空軍は当初想定の179機を超えたKC-46ペガサス給油機の調達を希望。「今回の構想で空軍は既存規模では不足とし当初予定以上の機数を導入しつつ既存のKC-135でも改修を行う意向だとわかる。以前はKC-135を全機退役させる予定だったが空軍は供用年数を延長したいとする」


新型長距離給油機構想:航空戦力整備構想ではKC-46投入でKC-10を退役させる予定とわかる。ガートラーはこれを空軍が新型長距離給油機構想を断念する動きと解釈する。「空軍が給油機近代化を始めた段階でまずKC-Xとしてエアバス、ボーイングを競わせ179機導入でKC-135と交代させる構想だった。その次がKC-YでKC-X採択機材をやはり179機導入し、三番目のKC-Zは完全新型の大型機でKC-10の52機の後継機とするはずだった。今回の企画案ではKC-Zが消えている。KC-46は勢いを強めている現役機となっており同機の将来は一層有望に写る」


AWACSは飛行を継続。E-3セントリー空中早期警戒統制機材7機の退役構想は棚上げになった。空軍はC-130供用を続けるがC-130Jは追加調達しない。海軍はC-130数機を調達する。


新型VIP機材。「もう一つ予想外の動きが空軍であり、ボーイング757原型のC-32VIP輸送機を退役させる」とがートラーは指摘。「757生産が終わり14年となり新型機が必要だ」


ポセイドン追加調達。中国との対立深刻化を受けて海軍がP-8ポセイドン哨戒機の調達への動きを示している。「現時点の地政学面の変化を考えれば、追加調達が必要だ」と航空戦力整備構想に記述がある。


海軍向け新型練習機:「もう一つ新規事業としてこれまで予算化されておらず今回の30年計画に盛り込まれたのがT-44の後継機だ。海軍が民生ビーチクラフト・キングエアを原型に訓練に投入している機体だ。」とガートラーは指摘。「陸軍にも同様の動きがある」


新型海軍向けヘリコプター:艦艇建造計画見直しに伴い、海軍はヘリコプター多数を必要とする。「2030年になると新型艦の就役が増えるともっと多数のヘリコプターが必要となる」(ガートラー)。通常は調達前倒しで生産ライン維持を図るが「海軍は完全新型機として2030年代中頃の調達を狙い次世代の垂直離着陸技術の導入を期待する。陸軍と共同で進める新型機がここで絡むのだろう。海軍が新型機を2030年代中頃に運用開始するなら今後三四年のうちに事業開始になるはずだ」


ベテランのCH-47チヌークは今後も飛行を継続する。「陸軍の次世代垂直離着陸機にはまだ大型機版がなく、陸軍はチヌークの改修で耐用年数を15から20年伸ばしておきたいと考えている」(ガートラー)


中古ブラックホークヘリコプターを販売。ガートラーはUH-60ブラックホークヘリコプターの一部を陸軍が民間に払い下げると見ている。航空戦力整備案では陸軍はメーカーのシコースキーにブラックホークを送り再整備させるとある。「構想案では米軍用の再整備と入っておらず、シコースキーは旧型機を再生し別の相手に販売するのではないか。だが米政府が中古機材を市場に放出する準備に入っている」

だがCRSのガートラーは構想案そのものが全体として予算増額をねらうペンタゴンの策である可能性を警告する。「提言は国防予算上限を改定すべく二年おきに議会と約束している内容の延長である。軍としては上限拡大を狙い、これだけの支出で何が手に入るかを議会へ示す必要がある。つまり予算手当がついていない要求リストを別の形で示しているだけである」というのだ。■


Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook .

2018年11月18日日曜日

いま開戦したら米国はロシア、中国に敗北する---米議会委員会報告書

Report: America Could Lose a War Against Russia or China 米国はロシア、中国との次の戦争に勝てないとの報告書

“Put bluntly, the U.S. military could lose the next state-versus-state war it fights.”「率直に言って、米軍は次回の国家間戦で敗北を喫するだろう」
November 15, 2018  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: RussiaChinaMilitaryTechnologyWorldA2/ad


国がロシアあるいは中国と明日開戦したら、米軍は「決定的な軍事敗北」を喫し、米国の「安全と安寧」は「過去最高の危険にさらされる」と警告する報告書がトランプ政権が今年出した国家防衛戦略を批判している。
報告書は議会選出による超党派の国家防衛戦略委員会がまとめ、北ヨーロッパでロシアを相手に米軍事作戦が展開された場合、または台灣を巡り中国を対象にした作戦を実施した場合「甚大な」数の死傷者が軍で発生するのみならず「主要装備」たる艦船、機材その他でも深刻な喪失が発生すると警句を鳴らしている。
-  理由は単純だ。冷戦後の米軍が「危険水域まで規模縮小」し、ロシアや中国の軍事力が米国並みに伸長している中、米国のみが強大な軍事力を行使する時代は終わっているからだ。
-  その結果、ペンタゴンは「航空優勢または制海権を確立する、または失地回復に困難を感じる」はずとし、「高水準装備を備えた敵に対抗するのはとてつもなく困難」と解説。
- 「米軍の遠征作戦では圧倒的威力を有する戦隊を現地に展開するのがこれまでは特徴だったが、いまや実施は圧倒的に困難かつ高価につくようになった」とも述べ、「率直に言って、米軍は次回の国家間戦で敗北を喫するだろう」と結論付けている。
This article originally appeared at Task & Purpose. Follow Task & Purpose on  Twitter

もはや米国は単独で強力な敵に勝てないとの自覚だとすれば、同盟国と力をあわせて「ならず者」国家を制していくしかないということでしょう。国防予算の増額を巡ってときおり米国では自国の軍事力に悲観的な見解がでてきますが、今回はどうでしょうか。

Y-20が中国のグローバル大国志向に果たす役割に注目すべきである


This Not-So-Scary Picture Should Terrify the U.S. Military

一見無害なこの写真が米軍を震え上がらせる

Just how many Y-20s the PLAAF has ordered remains a mystery—at least eight are known to have entered service by 2018. The Y-20’s cost also remains obscure, with numbers ranging from $160 to $250 million floated. PLAAFが同機を何機発注しているかは不明のままだ。すくなくとも8機が2018年までに納入されたと判明している。機材価格もはっきりしないが、160百万ドルから250百万ドルの範囲といわれる。

by Sebastien Roblin

November 12, 2018  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaMilitaryTechnologyWorldY-20PLAAF



国がグローバル大国に近づこうとする中、往時の米国同様の装備調達が続いており、中でも大型輸送機での拡充が目を引く。新型Y-20輸送機は米C-17の生産が終了した現時点で製造中機体として世界最大の輸送機だ。

米空軍が運用中の輸送機材は600機ほどで、C-130ハーキュリーズ、C-17グローブマスター、C-5ギャラクシーの各型がある。人民解放軍空軍PLAAFには145機ほどしかない。そのうち43機あるY-7は六トンしか運べない。グローバルかつ「戦略的」輸送能力ではロシアから導入したIl-76MDの22機があり、53トンを運べる。リビア内戦が2011年に勃発し、PLAAFは自国民退避にIl-76を4機派遣した。

現在の中国ではアフリカでの軍事展開の必要が増えており、インド洋、太平洋での軍事基地、同盟国への補給任務も同様だ。だが戦略輸送能力が必要な背景には本国近辺の事情もある。2005年の四川大地震を受けてPLAAFは被災地への貨物輸送に奔走した。

そのわずか一年後に西安航空機が新型大型輸送機開発を開始した。それまでの中国貨物機はすべてソ連機のコピーあるいは輸入機材だったが、西安はアントノフ設計局の支援を仰いだ。ウクライナの同社からターボプロップAn-70の拡大、ジェット化案が提示された。中国が六十四トンの大型99A戦車を開発し設計案に手を加える必要が生まれた。

開発はJH-7戦闘爆撃機を開発したTang Changhongの手に委ねられた。開発チームは設計で3Dモデリング技法を全面採用し、3Dプリンターに混合材料を投入した。またrelational design 技法で機体の「骨格」モデルを作成し、一方の形状を変更すれば自動的に残りの部分の修正が完了した。この手法で機体開発・製造時間を30から75%短縮できたと伝えられ、2013年1月に試作機が初飛行できた。

四発機となり広い胴体から「太っちょ娘」の愛称がついた。なお、公式名称はKunpengである。110トンにおよぶ機体だが未整地滑走路運用も可能で最前線近くへ進出できる。600ないし700メートルで離陸可能という報道がある。ただしY-20の特徴は航続距離の長さにあり、貨物満載で2,700マイル(4,300キロ)、中程度軽程度の貨物なら7,200キロから9,900キロ飛べ、最大時速は575マイル(920キロ)だ。

Y-20は最大72.5トンの貨物搭載量があり、Il-76を上回るが、C-17の85.5トンには及ばない。それでも99型戦車一両の運搬には十分だし、軽装甲車両なら一度に数両を搭載できる。パラシュート投下可能なZBD.-03先頭車両は三両を搭載できる。

ただし難点がある。中国機の例に漏れず、国産ターボファンエンジンだ。Y-20には今のところロシア製のソロヴィエフD-30ターボファンを搭載し最大貨物搭載量を55トンに制限している。だが性能諸元を見ると大出力の瀋陽WS-20高バイパス比ターボファンに換装するようで、推力が24千ポンドから28千ポンドへ引き上がる。だがWS-20は高バイパス比版のWS-10Aエンジン(Taihang)でJ-11戦闘機搭載エンジンを改装したものだ。同エンジンは性能、信頼性両面の欠陥で悪名高い。

PLAAFはY-20の2機をまず第12輸送連隊(四川省成都)に2016年7月に導入した。2018年5月に初の落下傘兵降下、貨物投下を実施した。

長距離輸送以外にも中国は同機を空中給油機また早期警戒機として活用するのはほぼ確実だ。給油機として投入されれば戦力増強効果を発揮し、H-6K戦略爆撃機の航続距離を伸ばし、太平洋地区全域が作戦範囲に入るだろう。

Y-20の長距離性能があれば海洋哨戒機・対潜機材として、さらに電子線機材やスパイ機として理想的だ。ただし、一部任務では機材が大きすぎる場合もある。現時点での欠陥は空中給油を受けられないことだ。

中国では同機に固体ロケットを搭載し衛星の迅速打ち上げに流用する構想が出ている。また空中発射レーザーで弾道ミサイル防衛にも利用できるとする意見も出ている。西安航空機では民生型も開発し輸出も進めたいとし、スリランカから照会を受けている。

PLAAFが同機を何機発注しているかは不明のままだ。すくなくとも8機が2018年までに納入されたと判明している。機材価格もはっきりしないが、160百万ドルから250百万ドルの範囲といわれる。
2016年にはAVIC関係者 Zhu Qianが中国にはY-20が最低1,000機必要と発言して驚かせる事態が発生。世界各地で飛行中の大型輸送機の合計はこの数より少ない。もちろん発言はメーカーの意見であり中国軍の見解ではない。国防大学が先に発表した研究結果はY-20が400機が必要としていたが、それでも相当の規模だ。
だが中国国防アナリストのXu Yonglingが人民日報に語った内容ではY-20発注規模は100機未満とし、今後5ないし10年すればより高性能の機材が登場するという。AVICでは米C-5ギャラクシーあるいはアントノフAn-225に匹敵する超大型機の開発も想定しているという。An-225は世界最大の実用輸送機でペイロード最大は275トンもある。中国は同型一機をウクライナから購入している。
Y-20及び後継機は中国の軍事政治両面の国力投影能力を着実に伸ばす手段になり、とかく注目を集めがちのステルス戦闘機や空母より意味のある存在かもしれない。ステルス機や空母はハイテク装備を有する敵との大規模戦で実力を発揮する。だが輸送機が大量にあれば超大国への道を目指す中国の台頭を日常的に見せつけられる。迅速展開した部隊の活動を維持する、あるいは人道援助を世界各地で展開できる。同時にこれまで米国や欧州各国が果たしてきた「世界統治」ミッションに中国も加わることになるからだ。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

2018年11月17日土曜日

気になるボーイングのロングビーチ工場売却。C-17生産再開は可能性なし

Boeing Is Selling Off Its Historic C-17 Production Line Facility In Long Beach ボーイングがC-17生産にも使った歴史あるロングビーチ工場を売却

The property could be attractive to space launch and other aerospace firms, but there are also proposals to completely transform the area. 宇宙打ち上げ始め航空宇宙企業に魅力ある物件になるがその他にも再開発構想がある

BY JOSEPH TREVITHICKNOVEMBER 7, 2018
USAF


ーイングがカリフォーニア州ロングビーチの生産施設売却に動いている。同施設はC-17AグローブマスターIII輸送機を製造した場所で、売却が実現すれば同社は南カリフォーニアでの軍用機連続生産を終了するとともに米空軍で高まる同機の生産再開の芽もつまれることになる。敷地はヴァージン・オービットスペースXのような宇宙打ち上げ企業にも魅力となるだろうし、その他の再開発構想もある。
ボーイング(本社シカゴ)は同施設売却を2018年11月5日に公示した。ロングビーチ空港に隣接する4百万平方フィート(約37万平方メートル)の敷地内に組立工場(110万平方フィート、約10万平方メートル)がありC-17を280機あまり米空軍やその他国向けに生産した場所だ。今の所売却希望価格は不明だ。
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C-17からステルス舟艇とともに投下する特殊部隊チームWATCH THIS SPECIAL OPS TEAM TOSS THEIR STEALTHY BOATS AND THEMSELVES OUT OF A C-17By Tyler RogowayPosted in THE WAR ZONE


マクダネル・ダグラスがC-17を開発し同地で生産を1991年開始した。ボーイングが同社を1997年に買収し、グローブマスターIII生産施設を引き継いだ。
ロングビーチ施設には第二次大戦前まで遡る長い歴史があり、ダグラスは戦時中にボーイングB-17爆撃機後期型を同地で受託生産した。戦後も機体生産が続き、1980年代にはマクダネル・ダグラスMD-80旅客機が同工場で生産された。
USAF
米空軍のC-17.


ボーイングは今後も南カリフォーニアでC-17関連の整備その他支援を行うが、ロングビーチ工場はグローブマスターIII最終号機が完成した2015年以降は未利用のままだった。米空軍が空輸能力拡充を必要とし同機の生産再開が話題に上っていたがこれで事実上雲散霧消してしまう。
RANDコーポレーションによる2012年の詳細検討では数年間の空白後はC-17生産再開は80億ドル近くになると結論づけ燃料消費改良型150機を新規生産する想定だった。RANDはボーイングはロングビーチ以外で生産すると仮定していた。2008年時点で同社はグローブマスターIII生産終了後に別の機種生産にロングビーチ工場は使うのは効率が悪いと判断していたようだ。
BOEING
2010年のコンセプトでは燃料消費改良型C-17(C-17FE)をC-17原型と比較していた。


ボーイングは購入希望の第一回締切を2018年12月初旬に設定とロサンジェルス・タイムズが伝えており、広大な敷地に関心を示す向きが誰かまだわからない。
宇宙打ち上げ企業が関心を示すのは大型ハンガーの他作業スペースがあるからだが、2012年にボーイングは旧マクダネル・ダグラス施設のダグラスパークを不動産デベロッパーに売却した実績がある
GOOGLE EARTH
ロングビーチ空港。C-17を生産ていた施設が左に見える。衛星画像は 2015年撮影で生産工場横にC-17一機が見える。


大富豪リチャード・ブランソンの多国籍企業ヴァージン・グループ傘下のヴァージン・オービットが同上地点に本社を構える。同社は小型衛星を軌道に乗せるべく空中発射方式ロケット(呼称ローンチャーワン)を開発中で改装したボーイング747旅客機(呼称コスミック・ガール)を母機に使う。
2018年10月24日、ヴァージン・オービットはローンチャーワンをコスミック・ガールに初めて搭載し、11月後半に初の発射を目指す。作業はロングビーチ空港で行った。
ヴァージン・オービットが空港隣接の敷地を拠点にほしいというのは十分理解できるし、大規模の航空関連施設も事業にぴったりだ。ブランソンには購入希望出て維持できる資金が十分ある。
だがスペースX(本社は近隣のカリフォーニア州ホーソン)も関心を寄せるはずだ。
不動産デベロッパーが企業向け集合オフィス用地に転換する可能性もある。グーグルがハワード・ヒューズが巨大飛行艇「スプルース・グース」の格納庫だったロサンジェルス施設を購入し、現在、事業所用に変える作業を進めている。
HOLLIDAY FENOGLIO FOWLER
ヒューズ航空機がスプルース・グース飛行艇を製造したハンガーがグーグルの「ハンガー」事務棟に改装されるとこうなる。


ロング・ビーチ市も同敷地を購入して都市再開発プロジェクト「グローブマスター・コリド」にしたいとする。これは商用公的施設の複合体で公園他レクリエーション空間も同時に確保する構想だ。
「ボーイングと地域社会にとって最適の選択肢を検討しているところです」とボーイング広報C.J.ノーザムが2018年6月に報道陣に語っている。「詳細は今お話できませんが」
はたしてこの物件が今後も航空宇宙産業に関連して使われるのか、それとも名前だけ残すことになるのか興味あるところだ。いずれにせよボーイングに同工場でC-17生産再開の予定がないことは確かだ。■

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